皆城織姫の一件から日にちが経ち、七番組のエントランスでは優希に一同が問いただしていた。
その中には天花とカノンも入っていた。
「優希、あの子供とはどういう関係だ?」
「向こうの世界での島のコアです。彼女は二代目。」
「コアってどういうこと?」
朱々が尋ねると優希は説明をする。
「元々竜宮島は日本のわずかな生き残りが生き延びるために作られた人工島。フェストゥムの研究のために働いていた職員の一人が同化された。名前は皆城鞘。椿、織姫、輝夜、朔夜の親に当たると言っていいかな?彼女が島のコアと同化され、彼女を見つけるために液体型のコンピューターが増設された。後にウルドの泉って呼ばれる場所になってね。結果的にそれがフェストゥムを発見するきっかけになった。
そして同時にフェストゥムに学習させる意味合いも込めて彼女たちは生と死を繰り返す。」
『っ!?』
その言葉にカノン以外の一同が衝撃を受ける。
「待ってユッキー!なんでそうしないといけないの!」
「フェストゥムは人間とは違って個体じゃないんだ。いわば一個一個が一つの意志の統一された土人形。でもその中で生命を理解する個体が稀にいる。それは大きな変化点でもあるんだ。生命と死を知るためにはそれを繰り返さないといけなかった。彼らは学習する必要があったんだ。」
朱々の問いに対してカノンが説明をする。
「報告書では竜宮島以外にも三つ存在が認知されている。そのうちの一つは島を守るために一度死んだ。」
一同カノンの言葉に衝撃が走る。
「正確に言えば一度死んで新たな生命として生まれる道を選んだんです。彼女の名は皆城椿。長い時間をかけて赤ん坊から寧ちゃんくらいの肉体に成長した。
彼女たちにとってすべてが祝福だったんだ。
痛み、悲しみ、喜び、感覚、食事、睡眠。全てが今まで感じたことのない経験や感覚。彼女たちは短いサイクルの中で学習してフェストゥム生命を学習させるのが目的だった。
けど美羽ちゃんがそれに終止符を打った。」
「確か寧と一個下の子ですよね?一体どうやって?」
寧の問いに優希は答える。
「アルタイルが竜宮島に来て、アルタイルは人間をある程度学習したけど完全じゃなかった。当初は美羽ちゃんを犠牲にする提案があったけど、総士がそれを止めて新たな可能性を見出した。そしておはなしをしたんだ。」
「おはなし?」
「そ。美羽ちゃんはアルタイルとお話をして、泣いていたあの子を助けた。そして世界にアルタイルの祝福を与えた。今後どうなるかはわかんないんだけど、きっと大丈夫な気がするんだ。」
これは優希の願いでもあった。
優希もあの計画自体は反対であったがそれ以外選択がなかった。
だからこそ優希は美和のために出来ることをたくさんした。色々教えた。
「私も記録で見たが、こんなに大きくなるとは思わなかった。666、いや道生と弓子との子供だから二人の特徴が出ているがどちらかと言えば遠見先生の方に顔が近いな。彼女たちなら大丈夫だろう。」
カノンも転生した後も島のことは心配であった。優希からの贈り物のおかげで少し安堵はしている。
「そろそろ夜も遅いし、組長。戻るとしよう。」
「そうだね、カノン。」
天花とカノンは立ち上がる。
「それじゃあ奴隷クン、またね。」
「無茶をあまりするなよ、優希。」
天御鳥命で二人は六番組へ戻る。
「スイマセン、少し席を外します。」
優希はそう言うと自分の部屋へと戻る。
「・・・・・・・・・」
自分の部屋に入るなり優希はベッドに腰掛ける。
「ぐっ・・・・・・・あぁ・・・・・・・・・・・・・・あっ!」
優希の左腕から結晶が現れる。
「静まれ・・・・・・・・・・亡霊が!」
優希は結晶を砕く。ベッドには緑の結晶が散りばめられていた。
「はぁ・・・・・・・・・はぁ・・・・・・・・・はぁ・・・・・・・・・」
日に日にMk.Nichtの影響が増していく優希。
Mk.Seinの影響もありクロッシングが勝手に行われる。
「なるべく使う機会を見つけないと、皆を失うわけにはいかない・・・・・・・!」
優希はシーツに結晶を隠す。
その時京香がノックもせずに入って来る。
「入るぞ!」
「京香さん!」
普段であればマナーを守る彼女であるが今回は珍しい。
「朱々と寧が危険だ!変身しろ!」
「はいっ!」
優希は京香と外に出て無窮の鎖を発動する。
「あの二人が危険ってどういうことですか?」
「寧の能力で醜鬼に追いかけられている人を保護しようとしたのが人型醜鬼だった!」
「っ!?」
その時優希の脳裏には姉の姿が浮かんだ。
(なんでこのタイミング?いや問題はそこじゃない。あの一角以外にも従えてる方を警戒するべきか?でも待てよ?なんでわざわざ追いかけられる演出を?魔防隊を誘い込ませるなら醜鬼を出せばいいはず。わざとだとして狙いはなんだ?)
優希は人型醜鬼の行動理由が謎のまま優希たちは日万凛たちの援護に向かう。
しかし進行方向には一角を従えていた人型醜鬼が桃を手に待ち構えていた。
「出て来たわね。」
「あいつは!」
京香は以前の戦闘を思い出す。
(クロッシングをしなくてもわかる・・・・・あれは青羽姉ちゃんだ!)
青羽は神を操り優希を捉えようとする。
「回避しろ!」
「はい!」
優希は回避行動を取ろうとする。
しかし青羽は大きく息を吸うと叫ぶ。
「優希動くなぁああああああああああああ!」
無意識に体を固めてしまう優希。
青羽の髪の毛が優希を捉えようとする。
「京香さん、すいません!」
優希は京香を投げた。
「優希!!」
「京香さん、体制を整えてください!」
優希はしゃべれなくなるほどに拘束される。
「目標達成よ!」
青羽が指を鳴らすと地面に潜んでいた醜鬼たちが姿を現す。
「どけ!」
目の前の醜鬼を切り伏せるが既に優希の姿はなかった。
夢の中
ウルドの泉の通路に優希はいた。
「ウルドの泉・・・・・・・・ここになんで?」
「それは君に話すべきことがあるからだよ。」
聞き覚えのある声に優希は振り向くとそこにはある人物がいた。
「来主操!」
「うん、久しぶりだね、優希。最後に話したのは海神島の時だね。」
優希はどの操かわかった。
「でもお前は!」
「うん、あの時消えた。ねぇ優希、お義母さんは元気?」
「あ、そうか・・・・・お前はあの時にコアだけになったんだよな。うん、元気だ。新しいお前の目覚めを待ってるし、何よりお前のことも忘れてはいない。」
「そっか・・・・・・・・・・よかった。僕が生きた証はそこにちゃんとあるんだね?」
「例えいなくなっても、その事実は消えない。だから安心してろ。」
「そうするよ。・・・・・・・・・・・・・・・・・優希。」
「なんだ?」
「遠くない未来、君は残酷な選択をすると思う。でもまだ決まったわけじゃないけど、後悔だけしないで。」
人間らしい言葉に優希は微笑む。
「ああ。安心しろ。」
「ん・・・・・・・・・・んっ!?」
優希は重い瞼をゆっくり開けるが目の前の状況に驚いていた。
病院で使われているであろうパイプベッドの上でココに全身を舐められていた。
「なんで!」
優希は起き上がろうとするがもう一人に人物に抑えられる。
「コラ、動いちゃ駄目。」
「イヤ無理あると思うんですけど!」
優希が動揺するのもお構いなしにここは優希の顔を舐める。
「すぐ良くなるから、大人しくしてな。」
そう言うとここは優希に尻を向ける。
(何がどうなってるわけ!)