人型醜鬼に攫われた優希は今ベッドに押さえつけられて何故か全身を舐められていた。
「マジで一旦その舌止めて!」
優希は冷静になるためにも起き上がろうとする。
しかしここは恥部を優希に押し付け黙らせる。
「動くなって。くまなく見てんだよ。」
(ナニを!ナニをくまなく!)
今までの褒美でもここまで過激な内容は無かったのと女性経験もない優希に今冷静な判断はできない。
しかしそんな状況でも救世主はいる。
「よーし、追っては無しと!優希はどう?気がつい・・・・・・・・・・・た。」
青羽の目の前にある光景に誤解は百億パーセントで生まれてもおかしくない状況である。
裸同然の弟を押し倒してるのだから。
「青羽姉、今ちょうどいいところにこいつを―――――」
刹那、ここに青羽はロメロ・スペシャルを決める。
「ギブギブギブ!」
「私の弟を剥いてあまつさえ舐めるとかどういう事!」
状況的に怒られても仕方ないココ。
だが彼女のことを擁護する声が上がる。
「その誤解は美しくない・・・・彼は変身が解けたら傷だらけだった。だからここが直したのよ。献身的な美だわ。」
「青羽姉の弟、だからさ。軽い傷でも直してやりたくて・・・・・・」
「そういや軽い傷だから放置してた。」
「あたしの唾液には治癒の力があるから・・・・・」
「すぐに良くなるって言われたでしょ。」
「確かにそうだけど説明は必要だと思います!」
優希は大前提に必要なことを話す。
そして青羽はすぐにここを開放すると撫でる。
「悪かったココ!そしてありがと。アイスおごるね!」
「うーい。」
優希の脳裏によぎるのは失踪前に自分にしてたように撫でる青羽の姿。
「クロッシングしなくてもわかる・・・・・・・・姉ちゃんだよね?」
その言葉を聞いて青羽は優希に抱き着く。
「久しぶり!立派になったわね、優希!」
抱きしめられて改めて実感した。
そこにいるのは間違いなく自分の本当の姉であることに。
「俺も生きててうれしいよ、姉ちゃん。」
「私がくたばるわけないでしょ!」
明るい性格は時間が経っても健在である・
「良かった良かった。」
「姉弟愛・・・・美しいわね。」
二人も姉弟の再会を喜ぶ。
「ところで姉ちゃん、まず服頂戴。流石に俺裸だから恥ずかしい。」
「そうね。ココ。」
「はいはーい。」
ココは優希が来ていた服を渡す。
「服を着たら外に出ましょう。ここがどこなのか、私たちが何なのか、見た方が早いわ。」
優希は青羽の言葉を聞いて服を着て外に出る。
そこは地下の入り組んだ洞窟。自然ではあるがどこか人工的でもあった。
「すごいな・・・・・」
「驚くよねー。魔都の地下だよ。」
「私たちは隠れ里と呼んでいる。」
「魔都の地下に・・・・・・ここ以外にも?」
「ええ。魔都の中央にもあるわよ、地下洞窟。そこには桃ノ木がたくさんある方魔防隊が常に探索しているけどね。」
「こちとら魔都の端で桃も無いから探索の手が回らないと。」
「入り口も美しく隠してるわ・・・・」
ふと目に入った人たちが手を振って来るので優希はそれに応える。
「もしかしてここにいるのは元人間?」
「よくわかったわね、優希。流石私の弟。二十人ぐらい住んでいるわ。」
優希の推理に感心する青羽。
「あたしは銭函ココ。」
「湯野波音・・・・」
優希は自分の予想が当たったことに驚く。
そして考えさせられる。
(もしかして醜鬼って・・・・・・・いやそれならこの空間も・・・・・・)
「優希?」
「あ、ああ・・・・ごめん。ちょっと考え事をね。」
「そう。でも私たち事故でこんな姿になったけど、魂は人間のつもりだわ。」
「魂・・・・・・・」
優希の脳裏には一騎が浮かんだ。
「ねぇ優希。お願いがあるの。」
「お願い?」
「ここで私と一緒に暮らすの。」
「え?」
「運ぶときにケガさせてごめんね。モタつくと助け出すの難しいから。もう大丈夫、奴隷扱いされなくて済むわ。」
「いやちょっと待って!なんで隠れてるのかそれを教えて欲しい!人間なんだから魔防隊に方にも協力をしてもらえばいいんじゃないの?」
優希がそう言った途端、三人の空気が変わった。
「魔防隊は敵だよ!」
「優希を奴隷扱いした組織の構造上絶対に敵ね!」
「・・・私たちはある研究機関を襲おうと思ってるの。魔防隊は必ず立ちふさがる。戦いは避けられない。」
三人から感じる憎しみや怒りが優希に伝わってくる。
「いったい何が・・・・・・ぐっ!」
その憎しみにMk.Nichtが共鳴する。
「優希!」
「来ないで!」
「っ!?」
優希の声に三人は足を止める。
優希の左腕が結晶で覆われ始める。
「静まれ・・・・・・・亡霊!」
結晶は砕かれ、腕は元に戻る。
「ハァ・・・・・・・・・ハァ・・・・・・・・・ハァ・・・・・・・・・ハァ・・・・・・・・・」
肩で息をする優希。
「優希・・・・・大丈夫なの?」
「うん・・・・・ごめんね。これは京香さんの能力じゃなくて俺の力・・・・・ファフナーの影響。やっぱり憎しみや怒りに共鳴するか・・・・・・・・」
Mk.Nichtは多くの憎しみや怒りと言った負の感情に反応する性質がある。
それに加えMk.Seinを使った影響もある。
(どこかで使う機会を得ないと・・・・・・最悪皆を殺してしまう!)
優希が最も恐れているのは言うまでもなくMk.Nichtの暴走である。
それが醜鬼相手であれば問題はないが人間は違う。
憎しみや負の感情がMk.Nichtと同調する。
「優希、その力について教えてくれる?」
「そうだね・・・・・・ちょっと落ち着いて話せる場所じゃないと聞くだけで吐き気催す内容が多いから。」
優希は青羽に自分が体験したこと全てを話すことを決意する。
一方その頃七番隊の寮では朱々は日万凛に応急処置を施されていた。
「どう?新しく支給された魔都包帯は?」
「うん、動く。ナイス応急処置。」
朱々は手を動かす。が、それでも心配事があった。
「ユッキーは、大丈夫かな?」
そんな朱々に日万凛は明るく話しかける。
「醜鬼たちは罠まで張ったのに優希を確保したらすぐ逃げたのよ。強い目的があるに違いないわ!」
「その通りだ。出撃する。」
京香と寧が部屋に入って来る。
「ユッキーの居場所が分かったんですか?」
「私の身体が動き始めた。つまり・・・・・」
「優希は・・・・変身を解いたんですね!」
「そっか!能力の代償!」
二人は優希が生きている確証を得られて喜ぶ。
「褒美を与えに行く私自身、優希を探すレーダーだ。」
今まで使えない能力とばかり思っていた能力がこうも役立つとは京香自身思っていなかった。
その時天花の天御鳥命で六番組が合流する。
「寧はここからカノンと戦況を見つつ逐一報告を。」
「任せてください!魔防隊全体に連絡を入れました!」
頑張る寧の姿にカノンは微笑む。
「っ!?」
しかし一瞬見えたビジョンにカノンは走り出す。
「カノン?」
天花たちはカノンの後を追うとそこは優希の部屋であった。
「ちょ、ちょっと!いくらユッキーと仲いいからってそれは!」
朱々は止めようとするがカノンはそれを聞かずシーツをひっくり返す。
すると床に結晶が落ちる。
「優希、お前・・・・・」
カノンは動揺する。
「これって優希がよくファフナーになるときの結晶よね?」
「でもなんで部屋でこっそりファフナーに?」
「・・・・・・・・・・がう・・・・・」
朱々の日万凛の疑問に対してカノンは絞るような声で言う。
「カノン、何か知ってるの?」
「違うんだ・・・・・・・・・・優希は同化現象に襲われている!」
『っ!?』
一同に衝撃が走る。
「待って!ユッキー組長の能力の変身の機会が多かったりしてるけどファフナーに似合ってもそんなの私たちの前で出してなかったよ!」
「ああ。だがこれはMk.XVIIの影響ではない。Mk.Nichtだ!」
「確かそれってザルヴァートルモデルって奴のだよね?Mk.Seinみたいに変身しないの?」
サハラの問いにカノンは答える。
「Mk.Nichtは島を滅ぼせるほどの力を単体で持っている。それ故周りへの被害は計り知れない。」
「と言うことは私たちに気を使ってなのか?何故言わない、優希!」
京香は歯を喰いしばる。
「京ちん、優希君は知ってるからこそ言えなかったんだよ。カノン、Mk.Nichtはそれほど危険なの?」
「ああ・・・・・・・危険だ。操縦者を喰らう機体がファフナーだが、その中でも危険な部類に入る。組長、頼みがある。」
「うん、何でも言って。」
「これを優希に打って欲しい。」
カノンはそう言うと拮抗薬を注射できるガンタイプを渡す。
「使い方は前に教わったから大丈夫。でもそれでどれくらい時間を稼げるの?」
「一週間が限界だ。羽前組長、優希にどこかでMk.Nichtを使わせてくれ。そうでなければあいつはーーーー」
「ああ、わかっている。」
憎しみが生まれるからこそ、人は争うのか?
それとも人が争うから、憎しみが生まれるのか?
その答えを出せる者はいないだろう
君は知るだろう
小さなほころびからにじみ出るその悪意が、大きな悪意に変貌することを
そしてそれは気づかぬ内に大きく、まがまがしいものへと変貌していくことに