学園一の美少女の裏側はドMな正癖を持っていた 作:Tifa Lockhart
日曜日の夕方。
愛を出し尽くした2人は、充実した行為の余韻に浸っている。
僕は疲れてソファに座り、疲れた体を休ませていた。
翠(みどり)は中高と陸上を続けていたから体力が余っている。僕みたいに脱力して賢者になる訳じゃなく、PCで同人誌を見ていた。
「また、同人誌増えたね」
もちろん翠をオカズにしているけど、たまに同人誌も買っている。
「ははwまぁね」
また”オナニー禁止”とか言わないよね。
彼女は流し見するんじゃなくて、本気で読んでいた。うしろ姿を見ると、腰がモジモジする時がある。
恐らく性欲が収まっていないんだ。
前に僕の同人誌を見てたときは、同じことをする?と言って高校の制服でプレイした。
あの時はお互い性欲を溜めてセックスしたから凄く興奮した。
またしたいけど……
「ねぇ、またしてみる?」
「そ……そうだね……」
嬉しい反面、彼女の性欲の深さと性癖が大きくなっていることに不安を感じる。
「新は、いつも寝取られの本を買ってるけど、何で寝取られが好きなの?」
「そ、それ聞いちゃう?」
まさか聞かれるとは思いもよらず答えを迷ってしまう。僕自身も理解してないんだ。
どうして彼女が”他人に触れられる”のが嬉しいのか。
どうして彼女が”他人に見られる”ことに興奮するのか。
どうして彼女が”他人とセックス’する想像をするのか。
何でだろう……
実際に他人に触れられたら不快に思うし涙も出るだろう。だって疑似の寝取られだけで、悲しさが溢れて苦しかったんだ。
でも自分には見せたことのない姿を見たい。
僕の愛撫以上に、感じている姿を覗きたい。
大切な彼女を見てほしい。
彼女のセックスする姿を、俯瞰して見たい。
「自分でも理解できないんだ。でも恐らく……」
「恐らく?」
彼女に大きな憧れがあるんだ。高校の時には手の届かなかった、最上位クラスの美少女エルフ。
優秀な成績と運動能力。全校生徒から憧れられる美貌とスタイル。
そのエルフは目の前に降臨し、僕を愛して人生を共にしている。その気持ちは変わらず、今も憧れ続けている。
心も体も隣にいるけど、崇拝したい存在なんだ。
「悪い言い方だけど……自慢したいのかも」
「自慢?」
僕が世界で一番速く走れたら。勇者のような力を持っていたら。誰にも負けない魔法を使えたら。宝くじで数百億円得られたら。
誰にも言わずに秘密にできるだろうか。
僕はそこまで心が強くないし、虚栄心だって……少しある。
僕と付き合ってる女性が、世界一の美少女だったら……
「世界最高の美少女が、彼女でいてくれることが何よりの自慢だから……かな」
「なによそれw嬉しいけど、世界最高は言いすぎでしょ?」
彼女は照れた笑いを見せているけど、たくさんの友達から告白されてしたし、女子からも”あの顔”に産まれたかったと声が聞こえていた。
「そんなことないよ。今でも世界最高のエルフのような美少女だって思ってる」
「エルフ?」
彼女に対して”エルフ”って初めて言ってた。北欧神話に登場する幻の種族。世界中の映画やアニメを見てもエルフは美しく清らか。それも、美しさだけじゃなく、強さも兼ね備えている。
「白い肌。金色の髪。美しさだけじゃなくて戦闘能力も高くて、翠が走っていた姿を重ねていたんだ」
「そう……ありがとう。でも……」
「でも?」
「でも何で、最高に美しい彼女を寝取らせたいの? それも自慢?」
そこも僕自身が理解できない。
付き合う前、演劇の練習中は他の学生から声を掛けられるのが凄く辛かった。
僕じゃない誰かと手を繋ぎ、肩を抱かれ、キスをする姿は想像したくなかった。
「自慢……なのかな。これも恐らくだけど……僕を愛してることが前提にあるからだと思う。究極を言えば、他人に抱かれても僕を愛している……ん~~やっぱり分からないや」
「やっぱり私が他人に触れられるのは嫌? 嬉しい?」
「……どっちもかな。辛いけど嬉しい。嬉しいけど嫌」
「じゃあ、どっちも満たせればいいの?」
「え? どういう……こと?」
彼女は寝取られプレイは嫌だけど、マッサージを受けるのはどうかと言ってきた。
他人に体を触れられ、彼女は気持ちよくなっていく。
「マッサージなら私も勉強になるし、新の性癖も満たされるかなって」
僕のマッサージ師のイメージは、中年の禿げたおっさんが、薄青い服を着て親指で指圧する姿。
そんなおっさんが、彼女の体中をグリグリと押しまくり、彼女は気持ちよくなっていく。
足先から太もも、指先から胸、胸から下腹部。
ヤバい。興奮してきた。
「うん……いいかも。いや凄くいい」
「ん? 新おっきくなってる?」
バレた……セックスを妄想したわけじゃないのに、指圧して悶えてる姿と、気持ちよさそうな顔を妄想しただけなのに。
「うん……ごめん」
「ふふw新は本当に寝取られ好きなのねw」
笑いながら言ってるけど、かなりダークな話だよ。
「じゃぁ今度の土曜日!マッサージに行ってくる」
「えぇ! 土曜日! 決断力はや!」
彼女は寝取られとか関係なく、理学療法士に必要なマッサージを学びたいと言っていた。
もし僕に”理学療法士の為のマッサージ”と言っていたら、普通に応援していただろう。
でも彼女は僕の性癖を理解して、あえて寝取られ”風”に言ってくれたんだ。
「じゃぁマッサージ店探してみるね。経験豊富なマッサージ師w」
あぁぁ経験豊富なマッサージ師に体中を揉まれ、快楽に浸り、抗えずにセックスしちゃうんだぁぁぁ……
あ!
「じゃぁ……またお願いがあるんだけど……」
「おやおやおや? 何かな?」とニヤニヤしながら言ってきた。
僕がお願いしたのは”報告の仕方”だ。ただマッサージの内容を言うだけじゃなくて、恥ずかしそうに、人に言えないことをしてきた”風”に話した方が興奮する。
「いやらしく、罪悪感あるように……報告してほしい」
僕は何をお願いしているのだろう。
彼女は不敵な笑みを浮かべ僕の耳元でささやいた。
「ふふw新の……えっち……本当に寝取られたら……ごめんね……」
心臓が激しく揺す振られる。胸をこじ開け、手を入て握られているようだ。
「あぁ……いや……」
彼女はさらに続ける。
「いいけど……私からも1つ条件があるの……何だと思う?」
まさか……更に僕を苦しめるのか……
「じ、条件……なに……かな」
「それはね……オナニー禁止。私が帰ってくるまで絶対ダメ」
マッサージ以上の事するのかと思った。
あぁそっちか……良かった……って良くない。
今日は日曜日だぞ。今も金曜の夜は会わないようにしているから、次に会うのは6日後だ。
「それは……辛いよ。せめて……翠でオナニーしちゃ駄目?」
「え? 私で……♡じゃぁ、もう一つ条件付けるね」
更に条件を付きつけるのか? 彼女はM体質じゃなかったか? 僕は責められてる?
「な、何でしょう」と言って背中を丸める。
「それは……オナニーの報告して。その報告で私もするから♡」
それは……素敵すぎる! でもそれなら……
「じゃぁ僕からも条件……いいかな」
これは絶対に断らないはず。
「え……なに?」
「電話で一緒にオナニーしたい」
「♡♡♡うん♡したい♡」
◇
土曜日の朝。
彼女は午前中にマッサージ店に行ってから、僕の家に来ることになった。
彼女は家を出てから店に入るまで、まめにLINEをくれる。
”今からマッサージ受けに行きます。ごめんなさい”
行く前から役に入っているw何で謝るんだよw
”本当にイクんだね。僕は君を信じてるよ”
僕も彼女の演技に乗ってみた。
”今マッサージ店の前に居ます。本当にイッていいのね”
僕の真似をして”イク”をカタカナにしている。
”あぁ楽しんできて。君の気持ちよくなった体が想像できるよ”
”あなた……今回だけで終わらないかも……その時は許してくれる? ”
”それは君次第だよ。僕を愛するか。それともマッサージ師に寝取られるか”
”ふふw楽しいねwじゃあ行ってきまーす”
”はーい、出たらLINEちょうだいね”
最後のLINEは既読が付かなかった。
ただのマッサージ店だ。不安はないけど、ちょっとドキドキする。
理学療法士は、怪我の予防やリハビリをメインに行う仕事だ。彼女は理学療法士でも、スポーツ療法士を目指している。
怪我の予防や動作の指導を行う事で、選手のパフォーマンスを向上が主な仕事になるらしい。
その中でマッサージの技術は必須らしく、実技を見てみたいと話していた。
きっと勉強になるんだろうな。彼女が頑張っているなら僕も頑張らなくちゃ。
寝取られマッサージは気になるけど、彼女の努力を無駄にしたくない。僕の性癖だけを押し付けるのは彼女の成長を止めることになる。
「よし、今日は機械学習について勉強しよう」とPCの前に座り勉強を始めた。
◇
ふと時計を見ると10時40分になっていた。
マッサージ店に入ったのは……9時過ぎだから……ちょっと遅すぎないか?
LINEを見ても既読になってない。
マッサージを受けたことないから、1回の時間が分からない。でも1時間以上も施術するのだろうか。
どうしたんだ……
心の中で不安が広がる。
11時ちょうどにLINEが既読になる。
”遅くなってごめんなさい。今から帰るね”
ごめんなさいって……文章のトーンが暗い。何かあったのか。それとも役に入っているのか?
”ねぇ大丈夫? ”
”うん……帰ったら報告する”
どうしたんだ。本当に寝取られたのか……電話してみよう。
プルルルル
プルルルル
プルルルル
プ────
切れた……何で!
”今電車の中だから、帰ったら報告するね”
駅を降りたらすぐに話したい。帰ってからじゃないとだめなのか?
あぁぁぁ。
ただのマッサージのはずだ。役になりきっているだけだよ。
大丈夫。大丈夫。
◇
マッサージ店から1時間くらいで着くはずなのにまだ帰ってこない。
どうしたんだ? もう一度電話を掛けてみよう。
プルルルル
プルルルル
プルルルル……
電話に出ないぞ。
今どこにいるんだ……
ガチャ
玄関のドアが開いた。
「ただいまー。電話くれてたね。荷物持ってて出られなかったの」
彼女はお昼の食材を買ってから帰ってきた。疑っちゃった……ごめんなさい。
「あ、あぁ、大丈夫? 何かあった?」
「ん? 何にもないよwあぁ……でも……とりあえずご飯にしよ。お腹減っちゃったw」と言って台所で用意を始める。
僕が作っておけばよかったんだ。気か利かない彼氏だよ……反省しないと。
彼女はいつもと変わらず笑顔でいるけど、少し含みがあった。
”でも”って何だろう。
見た目では分からないけど、動きに異変は無いし、顔つきもいつも通りだ。
彼女はチャーハンとコンソメスープを作っている。
作っている途中で内容を聞こうとしたけど、食事の後にしようと言われた。
料理をする姿。
楽しそうな笑顔。
いつもと変わらない様子だった。
◇
食事が終わり、珈琲を入れると彼女は話し始める。
「良かったことと、悪かったことがあったの」
どっちも気になるけど、マッサージを受けて悪い事ってなんだ?
「悪い事?」
「ふふwやっぱりそっちが気になるのねw」と笑顔で返してくる。
悪い事なのに何で笑顔なんだ?
「マッサージ受けてきたんだけど、実は上山だった」
上山? どの上山だ……え?
「上山先生?」
「そう、あの、か・み・や・ま」
上山先生は、僕たちが夏休みに盗撮を現行犯で捕まえ、退職に追いやった先生だ。彼女は凄く嫌っていて、”先生”とも呼んでいない。
「なんで……上山が?」僕も先生の呼称は付けたくなかった。
上山は学校を辞めた後からマッサージ店を開業したらしい。もともと先生をしながらマッサージの資格を取り、定年後に開業する予定だった。
たまたま退職することになって、地元じゃなく東京の小さなマンションの一角でマッサージ店を開業していた。
「入ってすぐに上山だって気が付いたの。店を出ようとしたら、申し訳なかったって土下座してきたの」
彼は本当に反省したらしく、何度も床に頭を打ち付けて謝ってきた。本人は心の病で盗撮したけど、柊に見つかって良かったと言っていた。そこで止めなけらば更に盗撮を続け警察に掴まっていたと話していた。
「それで……何もされなかったの?」
「されたよ……」
彼女は俯き、頬に手を添える。
そして肩を震わせて言った。
「マッサージされたwふふw驚いた?」
冗談だったらしい。でも本当にマッサージ受けてきたんだ。あれだけ嫌っていた上山に。
「は……はは……マッサージは受けてきたんだね」
「それは勉強のためだから。何度も謝ってきて、しょうがないから1回だけマッサージ受けてきたの」
「どんなマッサージ受けたの?」
彼のマッサージは凄かったらしく、肩と足に触っただけで、どこの筋肉が悪いかを教えてくれた。
「私の首の付け根に触れただけで、机で前屈みで勉強してること当てたんだ。胸鎖乳突筋が硬いから、椅子の位置を変えて、パソコンの画面を正面の目線の位置にしろって言われたの」
それ以外にも上半身の強張った筋肉を、どうやって解すかも細かく教えてくてたらしい。
本当にエロマッサージじゃなかったんだ。上山ってところに不満があるけど、彼女の知識と経験になるのなら良かったのだろう。
2人でソファに座り珈琲を飲んでいた。
彼女は僕の肩に寄り掛かり、上目遣いに見つめる。
「ねぇ……マッサージ受けた体だよ……知らないおじさんに触れられちゃった……ぐすん」
”ぐすん”って言葉には出さないけど、これからスルことを想像させる。
「ぼ、僕の翠が、おじさんに触られたなんて! 僕で上書きしてやるw」
「はやく♡私を上書きしてwって上書きって何?」
「ははw上書きは、寝取られた彼女と中出しセックスすることだよw」
「あーんw寝取られちゃった~早く上書きして~」
そんな茶番もすぐ終わり、僕たちは愛を貪りあった。
もちろん、上山から受けたマッサージの内容を聞きながら、僕は彼女を気持ちよくさせる。
僕は”疑似寝取られ”で性欲を解放し、彼女は”隠語とおじさんに触れられたこと”で欲求をぶちまける。
他人から見れば僕たちのセックスは普通じゃないだろう。寝取られプレイなんてしないし、変態な言葉で感じることもない。
それが普通のセックスなんだ。
でも僕たちは違う。
お互いの性癖を理解して楽しんでいる。
僕たちには正しい性癖なんだ。
でも……
セックスの余韻に浸りながら彼女は言った。
「またマッサージ受けに行っていい? 凄く勉強になったんだ。だからもっと教えてもらいたいの」
少しの不安が僕の心臓に棘を刺す。
「反対はしないけど、上山でいいの? ほかにもマッサージ店あるんじゃない?」
「そうなんだけど、知ってる人の方が聞きやすいし、上山なら大丈夫よ」
どこで間違ったのだろう。
この時に止めていればよかったのか。
僕の性癖を出さなければよかったのか。
彼女と付き合わなければよかったのか。
演劇なんてしなきゃよかったのか。
もう戻れない。
彼女を失いたくない。
でも、彼女の心の中に僕はいないのかもしれない。
別れる決断は、彼女が大学を卒業する時だと思っていた。
こんなに早く別れるなんて思いもよらなかった。
信じたいのに。
離れたくないのに。
まだ心から愛してるのに。
あんな姿を見せられるなんて。
この話で3章が終了となります。最後まで読んでいただきありがとうございます。
この小説を書き始めたのは4月25日ころなので約1か月で性癖が発露しましたね。長い時間が掛かりましたが、辛抱強く読んでいただきありがとうございます。
憧れから恋に。恋から愛へ。愛する二人はお互いを尊重して成長しあっていました。しかし良くも悪くも2人は特殊な性癖が出てしまう。
これが1人だけなら別れていたかもしれません。2人が補完し合える性癖を持っていたからこそ、長く付き合えるんです。
しかし二人に試練が訪れます。
まだまだ幼い恋愛感情で、真の通った愛を創れていません。
快楽に流され愛を失うのか。
性に溺れて愛する事を忘れるのか。
話は佳境に入ります。
時間は掛かりますが期待を裏切らない作品を作っていきます。
今後とも新と翠を応援してください。
もし少しでも気に入っていただけたら、お気に入り、評価、感想何でも構わないのでお願いします。
今後の作品作りのモチベーションになります。どうぞよろしくお願いします。