※この作品はR-18です。

学園一の美少女の裏側はドMな正癖を持っていた   作:Tifa Lockhart

46 / 47
復活したエルフと立ち上がったクリエイターは次の世界を開く
復活の魔法で蘇生したエルフは、清らかな心を保っているのだろうか


 眼の前の建物は病院。

 

 何で彼女が病院にいるんだ? 

 

「ーー──安静にしてーー大ーー──大──だかー」

 

 上山は僕になにか言ったけど聞こえなかった。

 

 この中に翠がいるなんて……

 

 僕のせいで彼女が入院したんだ……

 

 早く彼女のところに行かないと……

 

 翠がいなくなる……

 

「翠が……僕のせいで……あぁぁ……ああああ!!」

 

 立ち上がって飛び出すと、腕を持たれ肩を押さえて止められる。

 

「落ち着け! 命に別条はないし、明日には退院もできる!」

 

 命に別状がなくても、僕が原因なんだから、落ち着くことなんてできるはずがない。

 

「でも……でも……僕が彼女を!」

 

 制止を振り切ろうともがいても、体力のない僕より上山の方が明らかに強い。

 

「とりあえず話を聞くんだ」

 

「話なんか聞いても!」

 

 僕の手をさらに強く引き、無理やりベンチに座らされた。それでも手を振りほどこうと両手を引っ張る。

 

 何かを話そうとしても、パニックになって何も言えない。

 

「大丈夫だから。心配ないから落ち着け」

 

 汗をかいているのに寒気が襲い、頭の中に血が上り、心臓が激しく動いている。

 

「でも……僕のせいで……みどり……みどりが」

 

 落ち着けと言われても、どうしていいかわからず震えていた。

 

 上山から深呼吸をするように言われて、何度も大きく息を吸って吐き出す。何とか平常心を取り戻したものの、不安と恐怖が心を埋め尽くしている。

 

「20日前から俺が連絡しても電話も出なかったんだ。橋田は連絡しなかったのか?」

 

 話したいと思っても、僕から連絡する勇気はなかった。

 

「……してません……」

 

「そうか、もしかして突き放して別れたのか?」

 

「……はい……僕から……あぁ……何てことをしたんだ……」

 

 握りこぶしを作り何度も膝を殴っても何も解決しないと判っている。でも自分のしたことを許すことは出来なかった。

 

「俺のところにも連絡がなくてな。昼頃に化粧もせず店に現れたんだが”好きなようにしていい。私の存在する意味なんてない”と言って倒れてしまった。その時に、新に振られたと言っていたんだ」

 

 翠は振られてから、精神が不安定になり、ずっと何も食べていなかったらしい。

 

 味がしないと言いながらご飯も食べていた僕に比べて、彼女は食べることすらできなかったんだ。

 

「とりあえず、点滴を打って寝ているから、大丈夫だ。体調は点滴で何とかなる」

 

 肩をギュッと掴まれて睨むような目で僕に言う。

 

「精神的なことは、橋田がいれば大丈夫だ」

 

「僕が……いれば……大丈夫」

 

「あぁ、本気で好きな橋田がいれば、ずっと一緒にいると約束すれば柊は回復するよ」

 

 翠はずっと僕のことを信じていたんだ。

 

 隠していた動画を見て、僕が寝取らせを求めていると思っていたんだ。

 

 自分の性癖と僕の性癖が一致していることに気づいたから、上山に寝取られる選択をした。

 

 やっぱ全部僕が悪いんじゃないか。僕が求める心を汲み取って実践したんだ。

 

 それを信じることもできず、何も聞かずに別れてしまった。

 

「落ち着いたか」

 

 なんとか落ち着きはしたものの、彼女が病院にいる事実に変わりはい。

 

「はい……何号室……ですか」

 

「西棟の403号室だ。あとは任せたぞ」と言って肩をバン! と強く叩かれた。こいつに叩かれるのは嫌だけど、気合は入った。

 

 心の中で「よし」と言って病院の自動ドアを潜る。

 

 病室に入る前に怖くて躊躇したけど、彼女のことだけを考えて扉を開けた。

 

 目の前のベッドに、シーツを胸までかけた彼女が寝ている。

 

 点滴から液体がポタポタと落ち、腕に固定された細いチューブを伝って流れている。

 

 頬がこけてやせ細った顔。

 

 目の周りは黒ずんだ隈。

 

 パサついて乱れた髪の毛。

 

 彼女は起きる気配はなく熟睡していた。

 

 いろんな姿を見てきたけど、ここまで変わり果てた姿を見たことはなかった。

 

 こんな姿になるまで悩ませていたなんて……

 

「本当にごめん。翠……本当にごめんなさい……」

 

 手を握ると肌の暖かさが伝わってくる。

 

 白くてスベスベだった手がカサつき、指先にはささくれができていた。

 

 こんなになるまで追い詰めて……

 

 振ってしまった僕を許してくれるのだろうか。

 

 突き放した僕をまた同じ目で見てくれるのだろうか。

 

 彼女を輝かせるこができなかった僕が、笑顔を見る資格はあるのだろうか。

 

 でも、僕が今悩んでたってどうしようもない。ずっと支えてあげないと。

 

 面会時間を過ぎると看護師から帰るように言われる。紙とボールペンを借りて伝言を残した。

 

 ”また明日来ます。新”

 

 ◇

 

 朝9時。

 

 結局昨日は心配で眠ることも出来ずに朝を迎える。昨日、看護師さんに聞いて、彼女の着替えを持って病院に向かった。

 

 どういう顔をしていいのか分からない。

 

 僕を許してくれなくても、彼女が元気になるなら僕はどうなったっていい。

 

 意を決して扉を開け、病室に入った。

 

 ガチャッ。

 

 彼女は起きていて、ベッドに座ったまま外を眺めていた。

 

「み……翠……」

 

 彼女は体をビクッとさせて僕を見つめる。

 

 次の瞬間シーツを頭から被ってしまった。

 

 ベッドの横に行って、彼女に触れようとしたけど躊躇してしまう。

 

「本当にごめん。僕が悪かった。翠の気持ちを考えられずにひとりよがりで……本当に……ごめんなさい」

 

 その場に膝をついてベッドに手をかける。

 

 彼女はシーツに包まったまま「私は汚れたよ……だからもう……」

 

「違うよ。翠は汚れてなんかいないよ。汚したのは僕だから」

 

 シーツから出た指をギュッと握る。彼女の指も僕の指を握り返した。

 

「先生が……運んでくれているとき”橋田を呼ぶから、絶対に呼んで看病させるからな”って聞こえたの。でも本当に来てくれるとは思わなかった」

 

 顔を出して僕を見つめる。

 

 目が潤んでいたけど昨日よりは精気を感じられる。

 

「私は付き合う資格ないよ。独りよがりで、新のこと考えずに……シちゃって」

 

 彼女の独りよがりを生んだのも、僕の性癖を押し付けた結果だ。

 

「全部僕のせいだよ」

 

 潤んだ瞳から数滴の涙が流れた。

 

「私でいいの?」

 

「“私で“じゃないよ。翠じゃなきゃイヤだ」

 

 頬を伝う涙と少しの笑顔を見せる。

 

 ゆっくりと立ち上がり肩に手を置くと、彼女は僕の背中に優しく手を回した。

 

 背中に触れた指は少し震えていて力が感じない。

 

 僕も背中に回すと、ほんの少し骨ばった感じがしたから優しく抱きしめた。

 

「新、ありがとう」

 

「本当にごめんね。今日退院出来るんだよね? 家に帰ろう」

 

「うん……」

 

 彼女の返事に元気はなく、まだ苦しんでいるように見える。

 

 家から持ってきた着替えを渡して、僕は受付で退院の手続きを行った。

 

 彼女の家に行こうとしたけど、「新の家に行きたい」と言って僕の家に向かう。

 

 ◇

 

 彼女が入る約20日ぶりの僕の部屋はいつもと変わらない。

 

 彼女が「ただいま……」と言ってくれたことが、まだ自分の家と思ってくれているようで嬉しい。

 

「お帰りなさい」と彼女を見て頭を下げると、彼女ももう一度「ただいま」と僕を見ながら笑顔で頭を下げる。

 

 でも彼女の顔が少し曇った。彼女を不安にさせる物はないはず……

 

 彼女がソファに座ると「……新、掃除してないでしょ」

 

「あ、え……実はあんまり家にいなかったから」

 

 彼女に別れを告げた後の生活で、ほとんど家にいなかったことを話をした。

 

 でもエルフの女王様が来たことは話していない。

 

「そう……なんだ……家にいなかったんだね。じゃぁ掃除しようかな」

 

 退院できたとはいえ、10キロ近く体重を落とした体で無理をさせるわけにもいかず、掃除は止めてもらった。

 

「それより」と言ってソファを降りて、彼女の前に正座する。

 

「本当にごめんなさい」と言って頭を下げる。

 

 僕の性癖がきっかけで、翠が入院することになったんだ。一度謝っただけで許してもらえるとは思ってないけど、本気で謝らなければと頭を下げる。

 

「……ううん。私こそ」と言って彼女もソファを降りて正座をして頭を下げた。

 

 頭を上げた後、お互いの膝を突き合わせて話をつづける。

 

「私は、新が寝取られを求めてるって勘違いしたの。素直に気持ちを聞いたらよかったのに……それと……パソコンの動画……勝手に見てごめんなさい。新が寝ている時に、あの動画……本当にあるか確かめた。それが間違いだったのよ」

 

「ううん。僕こそ……」そう言おうとした時、涙が溢れてくる。

 

 彼女がこの部屋にいることの嬉しさ。

 

 食べられなくなるほどに心を病んでいたこと。

 

 ずっと僕を思ってくれていた気持ち。

 

 2度の戻らないと思っていたのに、ここに居てくれることの嬉しさで、涙が溢れてきた。彼女も僕を見て涙をが頬を伝う。

 

 少し嬉しそうな顔が、伏し目がちで悲しみを含んだ表情に変わる。

 

「でも私の……本当の気持ちを聞いてから決めてほしい」

 

「本当の気持ち?」

 

 彼女から振られるなら分かるけど、僕が決める権利はない。だから彼女の気持ちを聞いても心は揺りがない自信はある。

 

 そして彼女は続けた。

 

「新としていた疑似の寝取られをすることで、他人とセックスすることに憧れを持った。本当に他人とシたらどうなるのだろうって。罪悪感もあったけど高揚感もあった。そして上山から脅されてセックスをしたときは、本当に感じていたの」

 

「上山から脅されて……感じていた……?」

 

 無理やりされて感じることがあるのか……

 

 見つめていた目を逸らした。

 

 動画の中でも、言葉に詰まりながら体は反応していたけど、本人から”感じていた”って聞くと、みぞおちの奥が締め付けられる。

 

 手をギュッと握り、心の痛みに耐えた。

 

「その時の動画が1回目のセックス」

 

「あれが……1回目……」

 

「もちろん抵抗したし、気持ちいいとも言わなかったけど、本当は凄く気持ちよくて、何回もイッていた。一晩だけだったけど、忘れることの出来ない濃厚なセックス。でも快楽に流されたことと、一瞬、新を忘れて本気でキスをしようとした罪悪感が大きくて……」

 

「あの、元気がなかった日……」

 

「そう、新に寄りかかった前の日」

 

 あの時の涙は、上山に犯されたからじゃなく、僕の存在を忘れてしまった罪悪感なのか……

 

「その後から、金曜日の夜はここに来るようにしていた。疑似の寝取られを止めたのも、先生との行為を思い出したくなかったから。思い出したらお腹の下の感覚が甦ってくる。嫌な行為として思い出す訳じゃなくて、快感を思い出すのが怖かった」

 

 上山の大きなモノが刻みつけられて、忘れられないほどの快楽が……彼女の体に……

 

「そして2か月間我慢していたけど、新から求めてきたよね」

 

「うん……あの時、翠は我慢するの止めるねって言ってた」

 

「うん、あの疑似の寝取られをしたときに、私は……本当に寝取られたいって思ってた。想像だったけど、本当にシてるつもりの寝取られだった」

 

 あのリアルな寝取られは迫真の演技だった。でも本気で寝取られたいって思ってたなんて……

 

 話を聴くのはやはり辛い。まさか、本気で寝取られたいって聞くと、心がかき回されて生きている心地がしない。

 

「そう……なんだ……」

 

 彼女は僕の表情を見て、悲しそうに俯いた。

 

「先生から”新は寝取られしてほしい”ってLINE来てるって聞いて、本当か確かめに行ったの。新は本気の寝取られを望むはずがない。だって寝取られる”ふり”だけで泣いていたのに」

 

 相手が上山とは知らなかったけど、モザイクの中の少女を彼女と思ったのは間違いない。

 

「それで先生から新のメール見せられて……凄く嬉しかった。新は私と同じ気持ちなんだって。だから……って訳じゃないけど……またマッサージの勉強に通ったの」

 

「また……ヤられるかもしれないのに?」

 

 彼女は返事をせず、僕を見ながら顎を下げる。

 

「でも毎週通っても先生は私を寝取るどころか、まともに触れることもしなかった。だからマッサージの勉強をしながら性欲を溜め続けてて……それを新とのセックスで解消できたんだけど……」

 

 あの時は僕も寝取られを我慢していたけど彼女も我慢していたのか。

 

「新に優しく抱かれるのも、中に入れてイクのも凄く気持ちいい。でも、一番良かったのは、疑似の寝取られをした時。あの時の高揚感は、目の前にいる新を裏切ってるのに、凄く気持ちよくて……期待以上のことをしたいって思った」

 

 僕を裏切ることが気持ちいいなんて……

 

「だから……私から先生にローションのマッサージを、私からお願いしたの」

 

「あれは本当に……していたんだ……」

 

「あのマッサージはね、性感マッサージって言うの。私の体の感度を上げてセックスしたくなるマッサージ。それを私からお願いした。先生に犯されるために」

 

 彼女の顔がほんの少し朱くなって恥ずかしそうにもじもじしている。

 

「え? ……翠から犯されるために……でも性感マッサージやられたから、気持ちよくなったんだよね」

 

「違うの。ヤられるために、わざと性感マッサージをお願いした。表面上は、新の性癖を叶えられるって思っていたけど、心の中では私の性癖が叶えられるって思ってた」

 

 彼女の告白は、体もだけじゃなく心も快楽の虜になったこと告白じゃないか。

 

 僕が彼女の性癖を作り出し、自分から快楽を求めるように育てたのは僕なんだ。

 

「だから、私は汚れてるの。新を心から愛してて、ずっと一緒に居たいって思いながら……他人に……ち……っ……チンポ突っ込まれるのがすごい気持ちいいって気付いてしまった。こんな私を愛しくれるの?」

 

 彼女が”私は汚れている”って言ったのは、上山から犯されたからではなく、自分から他人を求める体と心を持ってしまったから汚れていると言ったのか……

 

 俯きがちに、上目使いで僕を見る目。罪悪感があるのか、それとも上山との行為を思い出しているのか分からない。

 

 でも、彼女の性癖を作ったのは僕なんだ。

 

 その行為は僕の心をエグりながら、もっと淫らな姿を見たいと求めていた。

 

「翠の動画……何回も見たよ。1本目も2本目の動画も、翠だと思って何度もオナニーしていた……翠じゃないと思いながら、翠だって気づいてたんだ。あんなに肌が白くて、髪型も一緒で。寝取られる翠が……凄く素敵だって……気付いた。モザイクの掛かってない動画……見たときは性欲が収まらなくて、何回もオナニーしたよ。精子出なくなっても勃起して、それでも射精して……」

 

 僕を見る目に好奇心の色が見える。きっと、彼女が望んでいたことを本当にしていたことを喜んでいる。

 

「同人誌は……寝取られたら完全に落ちて終わりだから。僕は終わりだって思ってた。翠の心は僕にないんだって、だから悲しくて辛くて、僕から別れたんだ」

 

「そう……だったのね。じゃぁやっぱり私が悪い。新の性癖知ってたのに何も言わずに寝取られたんだから。でももう大丈夫……だよね。ずっと好きでいてくれる……よね」

 

 哀願る目と不安な声は、僕が2度と裏切らないことを確かめている。

 

 僕たちは、お日様の当たる春のような恋愛ではなく、ほの暗い光の届かないドロドロした場所で、背徳的な行為を求めていたんだ。

 

「ずっと好きでいられる。二度と僕から別れることはないよ。だから僕と一緒に居てほしい。お互い汚れているなら……ううん、汚れている翠が凄く好きになれる」

 

「うん、私も今まで以上に新が好き。私の全部を受け止めてくれる新と一緒にいたい」

 

 彼女の手を取り、背中に手を回す。暖かくて優しい抱擁を。お互いの愛を確かめ合うハグをしていた。

 

 僕は抱きしめたまま聞いた。

 

「1つ……確認したいんだけど……翠は上山こと……好きなの?」

 

 彼女は迷いなく答えた。

 

「先生のことは……好きという気持ちじゃない。先生として尊敬もしてるけど、盗撮した事実もあるから軽蔑もしてる……でも、私の性癖を理解してくれたのは上山先生だから……」

 

「そう……わかった」

 

 彼女の心が上山に取られてないことには安心できるけど、じゃあ何で……上山を求めたんだろう……

 

 …………

 

 ……

 

 上山だからだ。

 

 自ら罵倒して土下座させた元教師から調教を受ける。上から見ていたゲスな男に跪き、敬語を使って奉仕する。そこに性癖が刺激される。

 

 完全にドМな性癖。

 

 それは僕では絶対に与えられない背徳的な快楽。

 

「でも、こんな私でいいの? 本当に心の中から汚れているんだよ」

 

「うん。凄く汚れている。でも汚したのは僕だし、真っ黒なダークエルフは凄く綺麗だ」

 

「ふふwまたエルフに例えるのねw」

 

「だって、ずっと憧れていた最上級のエルフだからw」

 

 今まで通り、同じような生活を続けられるかは分からない。

 

 彼女の大学はとりあえず4年間は通えるけど、今まで住んでいたマンションは引き払うだろう。

 

 彼女の両親に会いに行かなきゃ。

 

 そして僕の両親にも紹介したい。

 

 大学を卒業しても、ずっと一緒に過ごしていくんだ。僕はフリーのゲーム制作者で、彼女はスポーツ療法士。まるで戦士と僧侶の2人パーティーみたいだ。

 

 立ち上がり、翠を見つめる。僕の両手が彼女の両手を包む。

 

「翠、僕は翠が大好きだ。僕と結婚してほしい。一生幸せにするから。絶対に不幸な思いはさせない」

 

 彼女は満面の笑みで、涙を流しながら言った。

 

「新。私も新が大好き。家柄なんて関係ない。お金や地位なんかいらない。私は新と一生を添い遂げたい」

 

 彼女の体を気遣い僕が座ってキスをする。

 

 チュッ。

 

 唇を離し、見つめあってもう一度キスをした。

 

 チュッ。

 

 2年前の劇のセリフはお互いに忘れることなく心に刻まれていた。

 

 本当はこのままベッドになだれ込みたいけど、彼女はまだ病み上がりで、僕も一睡もしていなかった。だから抱き合ったままベッドでキスを続ける。

 

 今までとは違う、でも今まで以上に充実した気持ち。

 

 彼女と前を向いて、同じ轍を歩ける幸せ。

 

 お互いの足枷を支えながら、一生を歩いていく。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。