奉仕しないと帰れない部屋に囚われた男の業務記録 作:dolph
「似合わない」
「だったら着替えさせて。こんなのまるで喪服じゃない」
「喪服なんて知ってるのか」
「知ってるわよ」
アウラに夜のお店スタイルのまま利用者たちを迎えさせるわけにはいかない。利用者ではなく持て成す側であると見てわかるようにメイド服を着せたら、これがとても似合わない。
黒いワンピースは長袖襟付き。谷間も肩も出ていない。丈は長く、スカート部は足首まで隠す。その上に付けるホワイトエプロンは、襟のすぐ下から足元まで。フリルや刺繍皆無の実用重視。エプロンは十全に機能を発揮するだろうが、着用者の体形がわかりにくい。一応着けてるヘッドドレスは飾り気皆無のただのカチューシャ、髪留め以上の意味がない。
社会性皆無なのにお洒落な魔族からすると、とても野暮ったい服装である。
前に着ていた服との差異が甚だしく、またアウラの性格や顔立ちにも合ってない。
結果、物凄く似合わない。
「お前があんな魔法を使わなければ良かったんだよ」
「あんたがあんな命令したからじゃない。私のせいにしないで」
二人共現状を好ましく思わず、互いに罪をなすりつける。が、それで現状が変わるわけがない。
それを重々承知の男だが、愚痴らずにいられなかった。
仮定を前提に仮定を重ねて推察したものだが、アウラが部屋に囚われたのはアウラの魔法の影響が大きいと結論した。
魔法の才能皆無な男なので、観測出来ない魔力や魂はさっぱりわからない。ヒントはノートの警告文だ。そこには『部屋の訪問はアウラの意志ではない』とあった。アウラの意志でなければ誰の意志か。アウラが服従する男の意志である。どうやらアウラは、男に従属的な存在と判定されたらしい。男が部屋に囚われているのだから、男の一部と見做されるアウラも、と言う訳だ。
と言う推測は、真実に的中せずとも掠めていた。
アウラが魔法によって服従を強いられているのはこの部屋である。男は部屋の一部であり、代弁者に過ぎない。アウラは最初からこの部屋に囚われていたのだ。男が警告と判断したノートの一文は、警告ではなくアウラが囚われることになった理由である。
とどのつまりはどちらも悪い。
詳細は不明ながらアウラの魔法が影響していると判断した男は、即座にアウラを服従の魔法から解放しようとした。しかし、解除の仕方がわからなかった。魔法の理屈はわかっても、知覚出来ないものはどうにもならない。鍵があっても見えも触れも出来ないのと同じである。
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「例えるなら、無利子無担保返済不要と思って使い続けていたら不良債権を押し付けられたようなものか」
「お恥ずかしい限りです」
「尤も、ヴィルトだけが悪いわけではないだろう。いきなり服従の魔法なぞを掛けなければ……。火に飛び込んだ虫だな。兎なら月に登るが虫は焼かれる。そして魔族は囚われる、か」
「虫も魔族も利他の心は持っていないでしょう」
「驚いた。今の話がわかるとは思わなかったよ。勉強熱心で何よりだ」
「恐縮です」
通じ合ってるらしい二人と違って、木偶のように突っ立ってるだけのアウラには何を話しているかさっぱりわからない。
わからないことが不快なら、あんな子供に傅くのも気に入らない。男が元の世界に戻るには利用者の訪問を促してサインを貰う必要があると聞いてはいるが、わかっていても気に入らないものは気に入らない。
「ずっと黙ったままだな? 魔族とは寡黙な種族なのか?」
「いえ、喋らないよう命じております。口の利き方まで教えておりませんので」
「馬鹿や無能ならともかく、無知に目くじらを立てるほど子供ではないよ。構わんさ」
「そう仰るのでしたら。アウラ、口を開くことを許可する」
口を開くにも許可がいる。アウラは男を睨みつけ、口を開いた。
「どうしてこんな子供の機嫌を取るのよ。来いって命令すればいいだけじゃない」
「これはこれは……」
ターニャは楽しそうに笑うが、男は頭痛が痛んで額を押さえた。
「魔力も何もないただの子供じゃない。あんたが私にしたみたいに脅せばいいでしょ?」
「あれは脅しではなく試験だと」
「ヴィルトがどう脅すのか興味がある。それよりも私に魔力がないと判断したのは何故だ? 隠してるだけかも知れないだろう?」
「は? 隠す? そんな卑怯な真似をしてるの!?」
気色ばむアウラに、ターニャのほうが面食らった。
男が魔族について補足説明を入れる。
「魔族とは体が魔力で構成されている種族なだけあって、魔法について強いこだわりがあるようなのです。魔族の価値観では魔力の多寡が全て。魔力を隠すのは卑怯者の所業であり、魔法に誇りを持つ魔族は絶対に出来ないことなのだそうです」
「うん? よくわからないな。魔族は群れないんだろう? だったら体面もクソもないはずだ。誰に対しての誇りなんだ?」
「自分自身よ!」
言い切るアウラに、ターニャは呆気に取られた。
中々言葉が見つからず、少しぬるくなった珈琲を啜る。
「そうか。君たちの世界はよほど平和で、平和主義者しかいないんだな。心の底から羨ましい限りだ」
「はあ?」
ターニャの言葉には一片の悪意も含まれていない。嘲りや侮辱ではなく、本当に羨ましがっていることがアウラにはわかり、だからこそわからない。平和かどうかは立場によるだろうが、平和主義者ばかりではないのは確実だ。アウラ自身が平和を乱す存在だった。
「私達は魔法ではなく魔術と呼ぶ。機序がどう違うかわからんが使い方が……。いや、止めておこう。虚しい限りだ。私も花畑を作る魔法を使ってみたかったものだよ」
「なによそれ」
「なんでもない。ただのないものねだりだ」
ターニャの顔には、年齢に見合わない諦念と達観と羨望が浮かんだ。500歳のアウラでは出来そうにない表情だ。
「それよりも、口振りからすると相手の魔力量がわかるようだな? 折角だ。私の魔力を測ってみてくれたまえ」
「え?」
魔力を全く知覚出来ない男には、ターニャが何をしてアウラが何を感じているのか全くわからない。
ただし物理現象として、無風の室内で局所的に気圧の微小な変化が発生し、ターニャの短く整えた金髪が僅かにそよぐのを確認した。
そしてアウラはその場に尻もちをついた。目には怯えが浮かんでいた。
「その様子を見ると、そこそこに多いようだな?」
アウラは答えられない。ただただ無言で頷いた。
ターニャの魔力量は、アウラの知る誰よりも多かったのだ。当然、かつて仕えた魔王よりも。
アウラが知るわけがないしターニャとしては非常に腹立たしい事実であるが、ターニャは生まれ変わりの際に神を名乗る存在Xからの恩寵を授かった。神の奇跡を具現して信仰心を高めるために遣わされたのがターニャなのだ。その魔力量が生半なものであるわけがない。
「しかし、ここで魔力は不要だ。彼女をどう使うかはヴィルトの腕の見せ所だな。無能でも無能なりに有効活用するのが優秀な指揮官だよ」
「……物の持ち運びくらいなら出来るでしょう」
「差し当たって、君には私を運んでもらいたいものだがね?」
「たまわりました」
男は小柄なターニャを難なく抱き上げた。
「わかってると思うが覗くんじゃないぞ? 覗かれたら然るべき処分をしなければならない」
「……然るべき処分って何よ?」
「ターニャ様、アウラは比喩やほのめかしを理解しません」
「面倒だな。それなら言ってやろう。殺処分だ。それくらいわかるだろう? 生憎名誉ある銃殺はくれてやれないが、大好きな魔法で焼き尽くしてやる」
「…………絶対に覗かないわ」
男に抱かれたターニャから冷たい一瞥を与えられ、アウラはその場に縫い留められたように動けなくなった。
二人が隣室に消えてから「なによあれぇ……」と涙ながらに呟いた。
▽
「今日は私が上になる。ヴィルトは動くな」
ベッドに上がるなりターニャは男を押し倒し、服を剥ぎに掛かった。上も下も脱がせてベッドの外へ放り投げ、男の腹に馬乗りになる。加えて男の腕に膝を乗せた。絶対に動くなという強い命令であり、動かさないという意思表示でもある。
ターニャは男の頬を両手で包み、真正面から見下ろした。
「あれが君に全く好意を持ってないのはわかる。社会性がないと云うのも本当だな。人間と同じ形をしてもあれは別物だ」
「あの短時間でおわかりになりましたか?」
「わかるとも。あの偏屈さは微笑ましい限りだ。君が虫と例えたのもよくわかる」
ターニャの言葉は男に賛同するものなのに、顔は全く笑っていない。
「だが…………。女の嫉妬は愚かしいと思ったのに私も女と云う事だな。君の傍に女の形をしたものがいるのが少々面白くないのだよ」
「私も然るべき処分を考えなくもありませんでしたが」
言葉の途中でターニャが塞いだ。
「ここで可能かどうかもわからず、可能だとしてもどのような影響が」
またもターニャが塞ぐ。貪るように強く吸い、舌を絡め、離れる時は糸を引く。
「それは全部わかっているとも。わかっているが心が荒れる。君にわかるか?」
「それは」
「いや、答えなくていい。これは私の問題だ。私が飲み込むための儀式とでも思ってくれ」
ターニャが男の上で服を脱ぐ。
慎ましいけども、乳房には確かに膨らみがある。先端の桜色が男の目を引いた。乳輪の色が薄いので、本当に先端だけが色づいているように見える。
「ターニャ様に触れられないのをいささか苦しく感じます」
「ふふ、そう思ってくれるなら嬉しいものだね」
男が見ている部分を、ターニャは自分の指で撫でてみせた。
簡単に指で潰れる柔らかい突起が、繰り返す内に起き上がってくる。赤みも増して、白い肌に浮かび上がった。
「私だって君に舐めてもらいたいさ。君のような男が私の小さな胸に吸い付いているのを見ると……。男とはこういう生き物だったと思うし、求められているのが嬉しく……安らぐ、かな? それにとても良いものだ」
「でしたら」
「しかし、儀式のようなものだと言っただろう? 私には必要なものなのだよ。んっ……。自分でしても感じるものだな?」
細い指が突起を撫で続ける。指で触れても形が崩れず、つんと突き出てきた。
「もちろん、自分でするばかりじゃない。君の事も忘れていないさ」
ターニャは「動くな」と命じてから尻を上げ、ズボンとパンツを脱いでやはりベッドの外へ放り投げる。
座り直した場所はへその下。嗜虐的に笑いながら男の上で前後に動き、後ろへ下がったところで笑みを深めた。小さな尻にあたるものがあった。
「っ! ターニャ様」
「なにかな? こうすれば君も私も準備が出来るだろう? 一石二鳥、というのは無粋かな?」
ターニャは尻にぶつかるものがあっても、構わず下がった。
それはターニャの尻の割れ目を強い弾力で押しながらも押し下げられ、ターニャが下がりきると勢いよく跳ね上がる。勢いが良すぎて下腹をペチンと打ち、先端はへそまで届いた。
今度はその上を、ターニャが股の下に敷いて体を滑らせる。
「……ターニャ様が濡らしているのを感じますよ」
「ああ、そうだ。君とこうして濡らさない女はいない。私だって女だ。当然だろう?」
ターニャの股の下に来ているのは、男が勃起させた逸物だ。ターニャはその上で腰を前後に動かす。
逸物は上を向こうとしているし、ターニャは体重を掛けて股間を押し付けている。筋に過ぎなかったターニャの割れ目が開き男の逸物を挟んだ。
挿入こそしていないものの、内側が直に男に触れている。内側が湿って来れば、すぐに男へ塗りたくられる。
「素股と言ったかな? ちんこの裏側は敏感だろう? 私の中に来る前に果ててくれるなよ?」
「敏感な部分をよくご存じで」
「それは……、君が私に教え込んだんだろうが!」
「口でしていただく際にそのように申し上げた事もありました」
ターニャは前世での経験を口走ろうとして、危ういところで留まった。代わりに指摘されたのが口淫の指導だ。小さな口では頬張りきれず、舌を使う事を教えられた。
逸物に口を付け根元から先端までねっとり舐め上げ、裏側の亀頭と竿の合わせ目である裏筋は丹念に舐めた。舌を使いながら両手で竿を扱き、そのまま出させたことがある。
「あの時はターニャ様に全部飲んでいただきましたね」
「……あんなに出るとは思わなかった。いつもあれだけの量を私の中に出してたんだな」
「タイミングは調整できても、量の加減までは出来ませんよ」
「それも、そうか……」
ターニャの顔から嗜虐の色が薄れた。代わりに恥ずかしそうな嬉しそうな、それを隠そうとして横を向く。
気が逸れたからか、男の手が太ももに乗っても何も言わなかった。
「今日も中でと仰せでしたのでその通りに。ターニャ様がご満足されるまで何度でも」
「そう何度もされて堪るか。一度で十分だ」
「本当でございますか?」
「本当だ。あんなの何度もされたら壊れる。私の年を忘れたわけじゃないだろう?」
「覚えておりますよ。ターニャ様は一度で気を飛ばしてしまわれる事も多く、二度目以降の機会が中々訪れないのは確かですね」
「うっ……」
毎回気絶するほど良い。改めて突き付けられると、自分が淫らになったように思えてくる。
「腰が止まっていますよ?」
「あ……。あぁ……。んっ……。ふ、ふふ……。もうガチガチだな?」
「ターニャ様もほぐれてきているようで」
ターニャが男の熱さと固さを感じていれば、男もターニャの潤いと柔らかさを感じている。
ターニャの割れ目に挟まれ扱かれる逸物は、先端から根元まで更に下の玉袋までターニャの愛液に濡れてきた。汁気は多く、男の下腹まで濡らす。
「ターニャ様も赤い回復薬をご使用になったことがおありでしょう? あれは傷だけではなく体力も回復します。ターニャ様が消耗しても、あれを掛ければ元通りに」
「……そんなことが……」
一度だけでもすごいあれが何度でも。と想像して、ターニャは唾を飲み込んだ。期待で下腹が疼き、熱を持つ。
「回数だけではなく長くすることも出来ますよ? それこそ一晩中でも。ターニャ様の中に何度か放ってしまうかも知れませんが、ずっと入れたままに」
「わ……私のが、元に戻らなくなるだろう?」
「大丈夫ですよ。仮にそうなっても、私のものが入りやすくなるだけでしょう?」
「う…………。あっ」
男の手が太ももから更に伸びて、ターニャの小尻を掴んだ。動きが止まりがちなターニャを助け、前後に動かす。ターニャの割れ目は開くところまで開いてしまい、内側の媚肉を男の逸物に押し付ける。十分すぎるほど濡れているので、動きを妨げる事も痛む事もない。
「ここのところは続けて訪問していただくだけでなく、ターニャ様も随分とご自分をお慰めになっていらっしゃるようで」
「同じことを何度も聞くなっ!」
「同じではありませんよ」
男が体を起こした。
ターニャは動くなと言ったのに、始めは手で男の体を押さえていたのに、今は妨げるものが何もない。
薄く微笑む男に間近から見据えられ、ターニャは息を飲んだ。
自分が主導権を握っていたのに自分が上に乗っていたのに自分が攻めていたのに、いつの間にか逆転している。
赤と青の異色光彩に自分の顔が映っている。男のくせして相変わらず息を飲むような美貌だ。
「ターニャ様が動くと入り口に触れるんですよ。柔らかさが前とは違うように感じます。心当たりがおありですね?」
「うっ…………」
顔を逸らしたいが逸らせない。指摘された事と見られている事が恥ずかしく、顔に熱が溜まっていく。
「だから、今日は上になると仰ったのですね? 何本入れるのですか? 今夜もここにいらっしゃる前にご自身でほぐされましたか?」
「……そんなことあるものか!」
「ターニャ様の指は細いですから、四本でも足りないでしょう。比べてみてください」
「あっ……。ま、まて!? 今日は私がすると……」
男はターニャの腰を掴んで、軽く持ち上げた。ターニャの尻が上がるに連れて圧迫されていた逸物が上を向く。
亀頭がターニャの割れ目を撫でながら尚も上向き、深く沈む場所を見つけるとターニャの股が降りてくる。
「あぅっ……、勝手に、いれるなぁ……」
「位置を合わせたのは私ですが、入れてるのはターニャ様ですよ?」
「!?」
唇より赤い膣口が大きく開いて亀頭に吸い付き咥え込む。
狭い膣は入ってきたものを押し返そうとするのか強い弾力があるものの、ターニャが腰を落とせば抗えきれずに受け入れる。
媚肉が逸物をピッタリと包んで、亀頭が子宮口に触れると膣口がきゅっと締まった。
「直にほぐしてないのに、奥まで入りましたね? 痛みはありますか?」
「ない……。だがキツい! お前は私みたいな子供にちんこを突っ込んで悦ぶ変態だっ!」
「お悦び頂いているのはターニャ様もでしょう? 前回より柔らかく感じます。今も奥のほうがふわりとしてます。入れて欲しかったようですね。それだけでなく、中で出して欲しいですか?」
「なっ、なっ、なに、おっ!? あっ、うっ……、あぁっ!?」
ターニャの足はベッドに突いている。両手は男の首筋に回し、小柄なのでぶら下がっているようだ。
挿入を果たしたので、男の手はターニャの小尻に戻った。ターニャは体格相応に体重も軽いので、簡単に持ち上がる。ターニャが上下しない代わりに男がターニャの体を持ち上げ、力を抜けばすぐに戻ってくる。
「入り口が締まるのは抜いて欲しくないからですか? さっきの話を真に受けられたようで、ずっと奥まで欲しいのですね」
「ちっ……ちが…………。ちがわない、かも知れないが……。んっ、んぅっ……。だと、しても、だ!」
「わかっておりますよ。ターニャ様の中は全部知っておりますから。焦らすだけでなく、動いて欲しいのでしょう? ターニャ様の穴を余すことなく全部使って精液を出して欲しいのでしょう?」
「うっ……うぅ…………! んっ……、あぁっ!」
ターニャは顔を紅潮させて悔しそうに男を睨むが、軽く揺すられるだけで険しさが溶け消える。
溶けているのは股も同じ。未成熟で幼い膣に大きな逸物を挿入されているのだ。狭い膣が思い切り押し広げられて下腹に強い圧迫感があるのに、どろどろに溶けて中に入ってきてるように錯覚する。
動けば中に入れられてるとわかるのに、動かれ続けるとわからなくなる。奥まで来て圧されると、このまま一つに混じり合ってしまうのではと思わされる。
そして、そうなりたいと思う自分をターニャはとっくに見つけていた。
「サディストめ……」
敗北を宣言するように呻く。敗者の顔を見られたくなく、男に抱きつき広い胸板に顔を埋めた。
「違いますよ」
「……何が違う?」
忸怩たる思いで敗北宣言したのに、即座に否定された。否定されるのは面白くない。ターニャの声に険が混じったが、
「ターニャ様がマゾヒストなんですよ」
「なっ………………。あっ、こらっ、あっ、あっ、あんっ! あんっ、やぁ、らめぇ♡ あぁんっ♡」
ゆさゆさと体を揺すられ、隠した顔を暴かれる。そこに険しさも厳しさもなく、淫らに崩れて甘い声で鳴き始めた。
普段が厳しく苛烈であると、ベッドの上では真逆の傾向があることを男は経験から知っていた。
どうやらターニャはその傾向通りであるらしい。張り詰めた精神を緩め、普段は得られないものを貪っている。
貪るのは下だけでなく上の口でも。
「あむぅっ、ちゅぅぅう……、ちゅる、んっんっ、じゅるる……。んんっ♡ んぅっ! んっ! んんっ! あぁぁンっっ♡」
最初のキスより強く唇を押し付け舌を差し入れ強く吸う。男の唾を一滴残らず吸い出す。
吸わずに互いの舌を舐め合えば、自然と唾が湧いてくる。続けて吸えないのは穴を使われているからだ。
ターニャの足は体を支えるだけで、上下に動こうとしない。男の手で腰を振らされている。それが女の穴を使われてると強く感じ、ターニャの快感をより深めた。
奥まで来られると膣口は締めるのに奥の方では柔らかく緩む。それが精液を取り込もうとする動きであると、ターニャには自覚がない。代わりに男が教えてやった。
「ターニャ様の膣内がどう蠢いているのか全てわかりますよ。とても物欲しそうにしています。もう出して欲しいのですか?」
「らって、かってにぃ! あっ♡ ん♡ あッ♡ あんっ♡ うっ♡ んっ♡ ーーーーっ♡ ひぅっ……」
さっきは啜った唾を、今度は全部啜られる。
そのまま男から抱きしめられ、押し倒された。体面座位だったのが正常位になり、伸し掛かられ、ターニャの小さな体は完全に包まれた。
男の下でターニャが鳴く。意識的にも無意識的にも、男に媚びた甘い声を出してしまう。
「はうぅっ!? あ゛っ!? お゛っ! あ゛っ♡ あっ、あっ、あうっ♡ はぁッ♡ はあんっ♡」
一番奥まで来ているのに、奥の口を強く圧されて鈍い痛みがあったと思ったのは錯覚だったか。体が勝手に悦んで膣が痙攣する。
媚肉がとろけてされるがままになり、抽挿が激しくなった。
「あっ、あっ、あ゛っ♡ あんっ♡ いぃっ♡ 〜〜〜〜〜〜っ♡」
ターニャは全身で男にしがみつく。振りほどかれないように、接する面積を少しでも増やすために。
快感に翻弄されながらも頭のどこかの冷静な部分が、こうすれば可愛く見られる、と計算する。
「あ゛あぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ♡♡」
何度も達して緩くなった膣の一番奥で、熱い精液をどぴゅどぴゅとたっぷり吐き出された。
口で出された時は頬が膨らむほどの量は小さな膣に収まりきらず、中をみっちりと埋められているのに出口を求めて溢れてきた。
「あ…………う………………」
最後の一滴までターニャの中に放つと、弛緩したターニャをそのままに男は離れた。
ターニャは夢うつつの中で、すぐに離れるなんて冷たいじゃないか、と思った。
「つめたっ!?」
本当に冷たくなった。薄れゆくターニャの意識が引き戻され自分の体を見ると、小さな胸から下腹に掛けて赤い飲み薬を垂らされているところだった。
飲んでも掛けても効果がある回復薬は、効果を発揮すると消えてしまう。ターニャの体もシーツも濡れてない。互いの淫液で濡らしたのは別の話だ。
「体力も回復すると申し上げたでしょう?」
「確かに聞いたが……」
絶頂の余韻が甘く体を痺れさせている。しかし、セックスで消耗した体力は完全に回復した。よく食べよく眠って準備運動をした後のような快調さだ。
ターニャが体の調子を確かめていると、薄く笑う男が迫ってきた。
「ターニャ様とは正常位が多かったのですが、おそらくこちらもお好きでしょう」
「うわっ!? 急になにを……」
小さな体を抱えられ、うつ伏せに寝かされた。
脚を開かされ、男がターニャの脚を跨ぐ。
「ああっ!?」
濡れた逸物が尻の割れ目を撫でたと思ったら、さっきまで入っていた穴にもう一度侵入してきた。
たっぷりと出された精液が押し出されるのを、ターニャも感じた。股も尻も下腹も濡れて、ネトネトになっている。
男がターニャの奥をぐりぐりと圧してから引くと、ターニャの尻と男の下腹で淫液が幾本もの糸を引いた。
「せっかく体力を回復したのですから、色々試してみましょう」
「まっまてっ!? ひゃっ!? あ゛っ! あぁぁーーーーーーっ♡」
ターニャ初めての二回戦が始まった。
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とても辛いことがあれば、美味しいご飯を食べても味がしない。
反対に落ち込むことがあっても、美味しいご飯を食べれば元気になれる。気持ちの良いお風呂に入れば気分は爽快だ。適切なマッサージを受ければ生まれ変わった気分になれる。
ターニャはその全てで極上を甘受した。
「雫の返事は読んだ。私はいつでも良いと書いたが、こればかりは本当に会えるかわからないな。私が会えなくともそこのアウラが魔法を見せてやればいいだろう」
「ターニャ様のお言葉通りに」
「どっちでもいいんだ。アウラのおかげで読めるものも増えた」
ターニャが読んでいるのは、アウラの世界の魔導書である。
ターニャ曰く平和主義者たちの世界の魔法だが、手段を増やして得をすることはあっても損をすることはない。尤も、ターニャが使用できるかどうかはわからない。
民間魔法とでも言うのか、地味だが便利な魔法が多くて本当に平和なんだなあとターニャはしみじみ感じた。
「ヴィルトは部屋を増設できるだろう? 大規模な魔法を行使できる場所を作れるか試してみてくれ」
「かしこまりました」
「その時はアウラの魔法を見せてもらおう」
「……わかったわ」
ターニャは上機嫌に部屋を後にした。
アウラは、はぁ…………と深い息を吐いてその場に座り込んでしまった。
「後片付けの必要はないし、今日はもう何方もいらっしゃらないだろう。が、そんなところに座るな」
「……ターニャ様ってどんな魔法使うの?」
ターニャはアウラの上である。魔族的格付けは絶対だ。
「気になるなら書斎で探すといい。ターニャ様が行使なさる魔術を解説したものが幾らでもある」
「大体でいいから教えて。自分で学ぶのはそれからにする」
「……まあ、いいか」
ターニャに時事や戦場の問題を報告するのに際し、ターニャの世界の魔術を把握しておくのは必須である。男に魔法の技術は皆無だが知識だけは教師を務められるほどにあった。
「教えながらアウラの訓練をするか」
「訓練? 何の?」
「色々ありすぎて一言では無理だな。優先順位の高い方からやる。とりあえず立て」
「……わかったわよ」
アウラは仕方無しに立ち上がった。
ターニャの世界の魔術を聞いて背筋に冷たいものを感じながら意味不明の訓練を受ける。
訓練の目的を聞いてもやっぱりよくわからない。魔族の常識にはないものだ。
とりあえず日課になるらしいが、負荷は少ないし何時間も取られるものではないのは幸いだった。
この調子で紹介してくと次が遠のくので、あたりが柔らかい二人は適度に端折ります