奉仕しないと帰れない部屋に囚われた男の業務記録 作:dolph
本話14k超
バラライカの股からは甘い匂いがする。舐めれば匂いと同じく仄かに甘い。色々塗ったからだ。
脱毛剤は劇薬のくせして蜂蜜のように甘いし、色素吸着薬は主原料が蜂蜜である。拭き取っても匂いは取りきれない。
そこに生々しい女の匂いが湧いてくる。始める前から興奮しているらしい。いきなり顔面騎乗するだけはあった。
顔に座って容赦なく体重を掛けてくれたが、そのまま放尿されたり経血を舐めさせるに比べたら遥かに優しい。恥垢を舐めとるに比べたら何を況や。
但し、座られたままだと舌を使うのが難しい。バラライカはそこに気が付いたらしく、こちらの胸元に尻を突いた。舐めやすい様に股間を前に向けて。顔を上げればよく見えた。
完璧に仕上げた直後の秘部である。沈着した色は綺麗に落ちて、陰毛に隠れることはなく、小陰唇も可愛らしい。それでいて股を開けば内側を覗かせる。てらてらのサーモンピンクになった小陰唇がささやかに膣口を囲み、小さく開いた穴は潤って、ひと舐めした肉芽は半分だけ包皮が剥けてつるりとした顔を見せる。
バラライカは肛門に触れたときの反応も良かった。それよりも、やはりクリトリスが王道。
肉付きの良い太ももを両手で掴む。上半身同様に下半身も鍛え抜かれた肉体だが、触れれば女の柔らかさがある。女の甘い肉をしっかりまとっているようだ。
引き寄せつつ顔を近付ければ、蜂蜜の甘い匂いにバラライカの匂いが濃くなった。
舌を伸ばすよりも、薄く口を開いて吸い付いた。
「はうっ!?」
女の体がビクリと震える。男から見えるのはバラライカの下腹だけで、鼻先が整えた陰毛に埋まっている。
吸い付き包皮から吸い出した肉芽を唇で食み、舌で触れる。あっという間に膨らんできた。舌触りはつるつるのくせして肉の弾力がある。その周囲はとろけるように柔らかい。ここだけを舐めろと言っているかのようだ。
「まっ、まちなさっ、いぃっ!」
男の胸元に掛かる体重が、震えるを越えて揺れだした。
バラライカは後ろ手に突いた手を伸ばそうとするのだが、そうしてしまうと体を支えられなくなる。言葉で止めようにも言葉にならない。迂闊に口を開くと意味をなさない声になる。
下腹に力が入っては弛緩して、自分の意思とは無関係に反応する。中で何かが暴れている。
体が仰け反って、突き出した乳房はこれでもかと乳首が屹立していた。
久し振りにそんなつもりになって、久し振りでも女の体は反応して、このようなものだったと思えたのは数秒にも満たず、記憶にある全てを越えた。
見たこともない美男であるし、想像しただけで背徳的な悦びを覚えたのは確かだ。実際にされると想像を軽く越えた。
快感があるのは勿論のこと、嬉しいと感じている。体が悦ぶだけでなく心も喜んでいる。
まるで恋い焦がれた男と結ばれたかのようだ。そんなものは色あせて擦り切れて、記憶の彼方でも見つけられない。それが何故か、ここにある。
気持ちが良くても酷く困惑させられ、まさかドラッグと思えどそんな物は持っていなかったし、使うことはないだろうと思うくらいには信頼がある。それにそんなもので、こうも喜べるわけがない。
心と体と記憶すら刺激され、とっくに忘れていたものが、あるいは知りもしなかった何かが湧いてくる。
「あっ!?」
股を覗く余裕はない。跳ねたがる腰は太ももをしっかりと押さえられ、代わりに背が反った。高い天井が見えた。星が降ってくるようだった。
腰から下が溶けたようだ。ドロドロになってかき混ぜられ、そこに何かが混ざってくる。混ぜられたものは自分の体に溶け込んで、全身の隅々にまで入り込んできた。
頭の天辺まで来た。
浮遊感を覚え、体が落ちる。
その事に不安は感じなかった。
(まずい!)
バラライカは不安を感じなかろうと、乗られている男はそうでもない。
バラライカの体は反り気味だ。支えが不安定になり、このままだと後ろへ倒れる。それだけなら大したことではない。問題は、情事を迎える男のマナーとして立たせていることだった。
その気にならなければ揉もうと舐めようと全裸を隅々まで鑑賞しようと静かなものだが、その気になりさえすれば自由自在である。奥義を使えばナメクジ相手にだって立たせられることだろう。
バラライカに顔面騎乗され、丹念に舐め可愛らしい反応を引き出して、股間をきちんと反応させていた。その上に倒れられると、常人より丈夫になった男でもダメージ必至である。
太ももを掴み、更に進ませて陰唇をまさぐっていた手を咄嗟に伸ばし、バラライカの腰を押さえた。
(ぐぐぐ!)
しかし、腰を掴んだだけで倒れようとする体を支えるには無理がある。バラライカの体はゆっくりと下がっていき、背が触れるかどうかと言ったところで負荷が消えた。バラライカの腕に力が戻ったらしい。
バラライカが男の上から降りた。床の上に尻を突いて、揺れる瞳で男を見る。
多少の混乱があるようでも、上気した顔には愛欲が窺えるし、男の股間に視線が定まっても目を逸らすことはない。次への期待が確実にあった。
男は起き上がってバラライカに近付き、女の名を呼びながら手を伸ばそうとしたところで止められた。
「……続きはベッドでして」
「かしこまりました」
男がいやらしく笑った、と思ったのはバラライカの気のせいか。
男はワイシャツを脱ぎ、バラライカの肩に掛ける。そんな振る舞いよりも、バラライカは男の体に気を取られた。細身に思えて脱ぐと案外逞しい。筋骨隆々の部下たちに比べれば薄いが、ひ弱には見えない。
「失礼いたします」
「あっ」
と思ったら目の前で屈まれ、横抱きにされた。
大柄で鍛えた体のバラライカを抱き上げても、無理をしているようには見えず安定している。バラライカは思わずシャツの合わせを引っ張って乳房を隠した。
クローゼットルームを出る時は足でドアを開ける。
バラライカは目を丸くした。生まれたときから安穏と暮らす育ちの良い男だと思ったら、必ずしもそうではないらしい。
応接間にアウラはいなかった。
ベッドルームへのドアも足で開け、バラライカは大きなベッドに優しく降ろされた。
バラライカは覆い被さってくる男を見ることが出来なかった。どういうわけか、焦燥が濃くなっていく。連れて顔も熱くなった。
全裸になって顔に座り、じっくり股を舐めさせた。女の穴から尻の穴まで。その上でベッドに誘ったのだから、これからどうなるかわかりきってる。
それなのに自分の体を抱いて胸を隠し、顔は横を向いてシーツの海を眺めている。自分は何を恥ずかしがっている、と思ったところで恥ずかしがってる事に気が付いた。
本当に今更だ。胸を晒したのは最初の訪問。一体何が恥ずかしいのか自分で訳が分からない。
「バラライカ様」
「っ!」
名を呼ばれ、頬を男の手が撫でる。正面を向かされ、顔が迫ってきた。
「メイクは取った方が良かったかしら!?」
声が上擦り震えた。抑える余裕はなかった。
男は一瞬だけ動きを止め、軽く唇を落とした。バラライカの右目の下だ。それだけで心が震え、体を抱く腕から力が抜けた。
右目の下は、火傷で爛れていた部分だった。今は火傷痕を模したメイクを施してある。
「付けたままでも違和感はないと存じます。お気になりますか?」
「そうじゃ、ないわ」
長い付き合いがあった火傷痕だ。バラライカ自身はもう全く気にならない。自分ではなく、目の前の男が気になるかどうかが問題だ。
「あなたは気にならないの?」
「メイクをしていようといまいと、バラライカ様はお美しいと存じますよ。美しさを際立たせることはあっても損なうことはございません。アウラが余計なことをした事を改めて謝罪いたします」
「……もういいわ。んっ」
唇を塞がれた。押し付けられた唇が僅かに歪んで隙間から柔らかいものが忍んで来る。
入ってきた舌に、バラライカは積極的に応えた。主導権争いをするように舌同士を激しく絡め、湧いてきた唾を混ぜ合った。強く吸って舌を引き入れ、一緒に入ってきた泡立つ唾を啜り、喉を鳴らして飲み込んだ。
力が抜けた腕を取られたのは、隠したものを暴くため。乳房に触れられ撫でられ、搾るように握られる。
「葉巻の臭い……、した?」
「いえ、全く。ウォトカで消されたようです」
紙巻より葉巻を愛飲するバラライカだ。どちらであれ臭いがある。煙草を吸わない者からしたら好ましくないと思う。キスをされてから気が付いた。
「んっ……。手慣れてるわね」
キスをしながら胸を揉まれるだけならまだしも、男の膝が股の間に入ってきている。膝はそのまま脚の付け根にまで進んで、バラライカの股間を軽く圧してきた。スラックスが濡れるだろうが、それはどうでもいい。
バラライカはマフィアの頭目だ。組織の収入源には売春もある。色事の様々が耳に届いた。された事はなくとも、慣れた男がどう振舞うかは聞いた事があった。
「バラライカ様に尽くすためでございますよ。それともクンニリングスがお気に召しましたか?」
「それはもういいっ!」
秘部が圧されて子宮に響く。
下腹から生まれる波が体の隅々にまで届いて、頭を茹らせてくる。
「でしたら」
「あっ!」
股から膝が離れ、けども外気に触れていた時間は短かった。すぐに男の右手が貼り付いた。
下腹に触れた手は上品にされた陰毛の上を滑って割れ目に届き、穴の中に入ってきた。一本か二本かはわからない。何かが入ってくるのは本当に久し振りだ。久し振りでも女の穴はきちんと開いて、潤って、悦んで迎え入れる。
「ああっ!?」
入れられたと意識がそちらへ向かった瞬間に、乳首に吸い付かれ軽く噛まれた。
股を舐めさせていた時にされたいと思った事をされている。
歓喜は苦みを伴った。
とても良いのに、されたいと思っていたのに、されたら想像以上なのに、何が苦いのかさっぱりわからない。
なのに体は思った以上に反応して、尖った乳首は痺れるようで、指に嬲られる穴は蕩けてくる。快感が口をこじ開けた。可愛く鳴いてしまっているのは打算か、男の興奮を煽るためか、体が悦んで出てしまっているのか。
あっあっと鳴かされながら、体を開かされていく。全身が熱を持ち、顔が紅潮していくのがわかる。
よがりながら男の体を盗み見れば、スラックスの下で股間が張り詰めているのが見えた。ベルトに手が掛かり、いよいよと期待しつつもこのままでは不味いと思う。何が不味いのかは未だにわからない。
男がスラックスを脱ぎ捨て股間にそそり立つものに目を奪われてしまったが、焦燥は消えてない。
「バラライカ様?」
「……私にもさせなさい」
時間稼ぎに、男の股へ手を伸ばした。
記憶の彼方だがやり方はわかってる。逸物を五指で握り、上下に扱く。熱さと逞しさに我を忘れそうになる。だが、答えを出さない限り先に進めない。何が留めているか探り続け、罪悪感に似ていると気付いた。
「あなたは、私の仕事を知ってるでしょう?」
「事業計画を立てたのは私ですから」
「その前よ」
バラライカは男の胸に頭を預け、告白するように問いかけた。
「私が何をしてきたか、想像付いてるでしょう?」
「軍人か警察か、あるいは国家の許諾がないそれと類する組織と想像しております」
「回りくどい言い方を」
「暴力を商品とするのに、どこが認可を与えるかの違いだけかと存じますよ」
バラライカが犯罪組織で高い地位にあると、始めから察していた男である。バラライカも、知られている事に気付いていたはずだ。何が気になっているのかさっぱりわからない。
そんな事より早く続きを、と思うのだが主導権はあちらにある。ここで下手な事をして、再訪がなくなるならまだしも鍵を壊されたら堪らない。
「人殺しよ。何とも思わないのかしら?」
「血が流れない土地も時代もありません。バラライカ様は偶々その場にいただけでしょう。運について私が言えることは何もありませんよ」
それを言うなら、人食い魔族であるアウラは千や二千ではないだろう。五百年生きたのを信じるなら、であるが。しかし、事の最中に他の女の名を挙げてはいけないと叩き込まれてきた。今更の失敗は犯さない。
「ここではバラライカ様を追う者も、バラライカ様が負うべきものもありませんよ」
「……それで私が納得すると思うのか?」
納得も何も、男にはさっぱりわからない。バラライカ自身にも答えがわからないものがこの男にわかるわけがない。
しかし、なら止めようとは口が裂けても言えなかった。
ベッドに誘われ、承諾したのに訪れなかった報いはとても酷いものになる。それを挿入直前になって、面倒だから止めようと言ったら死んでも済まない。
何だかよくわからないが、バラライカを納得させなければならないらしい。男に出来る事は限られていた。
「バラライカ様!」
「あっ!? 何、を……」
男はバラライカをベッドに押し倒した。両手を押さえ、上から覆いかぶさる。膝を脚と脚の間に割り入れ、股を開かせた。
「ソーフィヤ様、私はあなたが欲しい。おわかりでしょう?」
「うっ……」
バラライカが目を逸らすのを許さず、正面を向かせた。
男の手はバラライカの手から離れたわけだが、押し退けられることはなかった。通称ではなく本名を呼んでも咎められなかった。
「ソーフィヤ様、ソーフィヤ、ここではバラライカでいる必要はありません。ソーフィヤでいてください」
「そっ、それ、は……。んっ……」
男が名を呼び、唇を交わすごとにバラライカの顔が変わっていく。
年輪のように幾層に刻まれた険が徐々に薄れ、マフィアの頭目ではなくなっていく。
マフィアである事も、軍人であった事も薄れて忘れて消えていき、ただのソーフィヤになっていく。
あらゆる業を削ぎ落し、記憶の彼方に消えてしまった、しかし確実に存在していた頃を思い出し、浮かび上がり、今のソーフィヤに重なっていく。
「ソーフィヤ、あなたは私に愛されてください」
「……ええ。わかったわ。来て」
バラライカから険が消え、陰りの無い、いっそあどけない笑みを浮かべた。
笑みはすぐに崩れ、眉間に皺を寄せた。
開いた股に男の腰が重なって、入ってきた。
「あっあっあんっ! いいわ、そこもっとぉ!」
焦燥も罪悪感も憂いも暗い過去に引き摺り込む何もかもは全て掻き消え、バラライカは大いに楽しんだ。かつてを思い出しても熟れた体が変わるわけではない。
あどけない笑みに見えたのは挿入直前だけで、始まってしまえば恥じることなく全身で応えた。まるで枷が外れた獣のようだ。
楽しんでいるのはもう一方も。
率直に言って、バラライカの体は男の好みだった。華奢であるよりも、大柄で抱き応えがある方が好ましい。
小柄で華奢な体を振り回すのはそれはそれで楽しいものがあるが、ここでして良いことではない。小柄の代表であるターニャの中身がダクネスであったら遠慮なく出来るのだが、そんな事を口にしようものなら致死の魔法が飛んでくる。
ラムは言うまでもなく、レムは胸こそあるものの背が低い。
海夢はモデルをしているだけあって身長がそこそこにあり、プロポーションも美しい。が、痩身が好まれる社会でのモデルであるため、痩せ気味だ。
その点、ダクネスは背があれば胸もあり、クルセイダーをしているだけあって体格がしっかりしている。しかし大変好ましく思えるのは外面だけで、中身が違う。あれは何なのだろう。サキュバスゾンビと言われたら信じてしまう。
バラライカを抱くのは初めてだが、まさか中身がサキュバスゾンビであることはないだろう。ないと信じる。
バラライカの体は期待通りに抱き応えがあり、その中に女の柔らかさがある。胸の大きさは初めて会った時から目を引いた。重量感たっぷりでたぷたぷに柔らかいくせして、鍛え抜いた肉体であるためだらしなく垂れる事はない。
中も上々だ。引き締まった体はこちらの締まりも良い。どうやら久し振りであるらしく、挿入直後はやや固さがあったものの、すぐに馴染んできた。処女のような割れ目に見えて、淫液に潤って逸物を咥えるのは見物である。
正常位でも十分悦んでいるようだし、締め付けと体を震わせる様子から何度か達しているようだが、まだまだ余裕がありそうだった。膣内を詳細に探るため、何度か体位を変えた。
「私に腰を振れというのか? いいだろう、搾ってやる」
「是非」
正常位からバラライカの体を抱き起し、男がベッドに体を倒せば騎乗位だ。上になったバラライカは挑発的な笑みで歯を剥いた。
「んっ、んっ……。あっ……、あんっ、あっうごくなっ! あぁんっ♡」
宣言通りに腰を振る。
枕に頭を預ける男からは、バラライカの股に逸物が出たり入ったりするのが良く見えた。長い金髪を振り乱すのは情熱的だ。大きな乳房がぶるんぶるんと暴れるのも目に楽しい。
乳房を下から支えつつ、腰が下りるのに合わせて突き上げると抗議された。けれども言葉だけの事で、凛々しい美貌は愛欲に歪んでいる。男は思わず食指をそそられ、胸に突かれたバラライカの手を取った。
「あっ!?」
支えを失くせば倒れるのが道理である。バラライカの上半身は男の胸に倒れ、優しく受け止められた。
「んっ、あむっ、ちゅっちゅっ、れろ……、んぅ……」
顔が近付くなり、バラライカの両手は男の頬を包み、口付けた。唇が触れる前から口を開いて舌を伸ばし、貪るように吸って舌を絡める。
キスはバラライカに任せ、男の手は括れた腰に回った。膝を立て、繋がった部分を深くして、バラライカの腰をやや浮かせ、
「あ゛っ!? あぁあぁぁああぁぁあぁああ~~~~~~っ!!」
抜けそうになった逸物を素早くバラライカの中に戻す。下から打ち付けるように腰を使い、膣内を往復する。
ここまでの腰遣いは優しいものだった。ゆっくり引いてゆっくり戻り、バラライカの中を入り口から奥まで探る動き。体を合わせて息も合わせ、高めるためのもの。バラライカが上になった時の方がよほど激しい。
そしてそれよりも激しく腰を使う。
バラライカの叫びは大きく揺れた。キスを忘れて男の体にしがみつく。
充血した膣口は太い逸物でめいっぱい広げられ、女の穴を抉られる。奥に湧く愛液を亀頭のエラで掻き出され、男の下腹まで濡らしていく。
腰を掴む手が尻肉を掴んだのには気が付かず、尻の割れ目を広げられるのもわからない。長い指が窄まりに届いたのもわからなかったが、激しい快感が自分を卑猥な粘液に変えたようだと感じていた。
体を嬲られて嬌声を叫ぶだけの雌にされて、男の裸体にしがみつく。
マフィアの頭目としての矜持は何処にもない。今のバラライカはマフィアでも軍人でもないソーフィヤなのだから、何者にも憚ることなくよがるだけの雌に成り下がれる。
今の己は獣になった。
銃弾が飛び交う事も血が流れる事も死が間近に迫る事もないのに、一匹の獣になった。これが正しい在り方だとすら思った。
「あっ? 今度は何? 後ろ? あんっ♡」
深い快感で腰を震えさせていたら、いつの間にか男の体が下から抜け出ていた。始まってから体のどこかを必ず触れられているので、どこかに行ってしまったとは思わない。
バラライカの後ろに回った男は、バラライカを膝立ちにさせて尻を突き出させると、後ろから挿入してきた。
後背位は獣が交わる体位だ。獣になったと感じたバラライカには、望ましいとすら思えた。
「こちらからもお好きでしょう?」
「させたこと、ないわっ。んっ、んっ、んっくぅ……! んあっ! あぁんっ♡」
バラライカはマフィアであり軍人であった過去があり、様々な経験で精神を鍛えてきた。しかし、生来のものがあってこそ今のバラライカがある。気丈で厳しい所は昔からだ。女が従属するような後背位は許してこなかった。その時々の男を組み伏して上になった方が圧倒的に多い。
初めてのバックは、してる男が男だからと云うものあるだろうが、かなり良い。中で擦れるところが変わり、前からとは違った快感がある。これなら変な意地を見せず、素直に後ろからさせていれば、とすら思った。
「あっ、そこ、だめ、もっとぉ!」
バラライカは両手をベッドに突き立て、遠吠えする狼のようにおとがいを上げる。掠れた低い声が高く甘い音になって、バラライカの喉から流れてきた。
それも最初の内だけである。
「あっ、あっ、ひゃっ! あーーっ! ~~~~っ!!」
後ろから腰を打ち付け、下腹に打たれた尻肉がたぷたぷ波打つ。尻が大きく、尻肉が柔らかくないとこうはならない。
両手を突き立てていた時は、たわわな乳房がぶるんと揺れた。今はもう揺れてない。シーツに埋もれた。
肘が折れてバラライカの顔は枕に沈み、両手はシーツを皺になるまで握り締める。
尻を打たれるのとは無関係に尻肉を震わせる頻度が高くなり、むっちりとしながら引き締まった内股を粘性の薄い透明な汁が伝っていく。
後ろから責める男は、バラライカの体を楽しみつつもけして溺れない。腰を使いながら冷静に観察する。
幾つかの体位を試したところ、後背位が一番お気に召すようだ。バラライカが内側で好む部分は背中側であるらしい。顔に乗られて舌を使った時も、アナルの反応が良かった。色を抜いてピンク色になった肛門は膣の収縮に合わせて皺が伸び縮みする。尻肉を掴んで広げれば伸縮性は十分と思われた。
「あ゛っ……、まっ、ああっ! う゛あっ!」
バラライカは少し前から感じていた。それはまだ止めろと言いたいのだが言葉にならない。理性が快感に飲み込まれる。そして一秒後には何が駄目なのか忘れてしまう。
つぷりと入れられる異物感に何が駄目なのか思い出すが、やはり言葉にならない。口からは獣じみた嬌声が零れるだけだ。
このままでは使われる。そこは処女だ。するなら了解を得てからにしろと思うそばから獣性が食い殺す。
「ソーフィヤはこちらも気になっていたでしょう?」
後背位でバラライカに突き立てながら、男が弄っているのはバラライカの尻の穴。
最強のローションをちょっぴり垂らして皺の隅々にまで塗り込んでから、腰の動きに合わせてほぐしていた。親指の腹で撫でまわし、十分に柔らかくなってきたと判断したら指を入れる。
親指を突き入れて括約筋に逆らって中で回し、入り口が完了したら腰の動きを止めて中指を差し込む。どちらの指もローションが塗ってある。滑りを助けるだけでなく老廃物を分解してくれるのだ。
バラライカは背を反らして尻を高く突き上げているので、挿入しながら指を入れるのは苦ではなかった。
肛門に挿入した指は、薄い肉壁越しに膣に挿入した逸物を感じる。軽く撫でると、バラライカの声が裏返った。肛門に突き立てた指も、膣に挿入している逸物もきつく締め付けられ、ひくひくと痙攣し、弛緩した。
絶頂が深かったらしい。
もう少しほぐそうと思っていたが、好機である。
「まっ! あっ、やっ! あぅ、あ゛っ!? あ゛あ゛っ!!」
バラライカは怯えた小娘のように固く目を閉じ、シーツを握り締める。抵抗したつもりだったが、一瞬で破られた。その一瞬で奥まで来た。
前の穴でも熱かったが、後ろの穴は焼けるようだ。体を内側から炙られて、ひたすら熱が溜まっていく。
「あ゛っっ!!」
抜かれる時は体の中身が引き抜かれるようだ。
口からは掠れた声に相応しい太い叫び声が出てきた。
全身が張り詰めて、どこを触れても爆発してしまいそう。シーツに擦れる乳首が堪らない。
シーツでそれなのだから、入れられてるところはどうなっているのかわからない。全身が性器になって、入られるだけで視界が光った。
「あ゛っ! あ゛っ! あ゛お゛っ!? あ゛あ゛っ♡」
男の予想通り、バラライカは後ろの穴が好みであった。
意外なのは、これほど感じているのに挿入時は固かったこと。親指が入るところまでほぐしたのに不足だったようだ。固さは処女だった時のダクネスに匹敵した。後ろは処女だったのかも知れない。
とは言え、前の穴と違って膜で塞がれているわけではなし。入り口を通れば根元まで入れるのは容易かった。
それはそれとして、締め付けが凄まじい。体の鍛えようからきついとは思っていたが想像以上だった。締め付けるというより、食いつかれると言った方が相応しい。
「おっと。窒息してしまいますよ?」
「あうっ? あ゛っ♡ あ゛っ、らめぇぇぇええ♡ あ゛ぐぅっ♡」
枕に顔を埋め、体は震えているものの声が出なくなったバラライカを抱え起し、膝立ちにさせた。手を突かない後背位だ。但し、挿入しているのはバラライカのアナルである。
四つん這いの後背位と違って、上半身を起こすと愛撫がしやすい。
男はバラライカの体を抱きしめ、左手は乳房を握り、右手は寂しそうな女の穴をまさぐった。
男の下腹がバラライカの尻を打つ乾いた音は、バラライカの鳴き声でかき消される。
内股を流れる汁は粘性が薄くなり量が増え、仄かに色づく。
体を仰け反らせて突き出す乳房は、先端が痛々しいほどに尖っていたのに、容赦なくきゅっと摘ままれ鳴き声がより高く。
食いちぎるようだった締め付けは幾分和らいで、諦めたように、或いは悦んで男を迎え入れる。
どっちに欲しいですか、と言われたのをバラライカは聞いてない。幾つもの波が重なって、遠い所へ連れていかれる。叫び過ぎて喉が枯れそうだった。
「~~~~~~~~~~~~~~~っっ!!!」
体の奥で、どくどくと男が脈動しているのはかろうじてわかった。
中で出された。尻の穴だ。初めてのアナルセックスで、ゴムも付けてないのに中に出された。
全身が弛緩して、体を動かせなければ声も出せない。
頬を撫でられ髪をかき上げられ、耳元に寄せられた唇が何事かを囁いている。何を言ってるかわからなかったが、心地よかった。
男が離れてベッドに寝かされ、しばらくしてからバラライカに理性が戻ってきた。
セックスしたのはいい。はっきりと口にしたわけではなかったが、望んでいた事だ。顔面騎乗してからベッドに誘ったのだから当然だ。
しかし、アナルまでは許してない。全くの未知の世界で少しだけ怖かった。素晴らしく良かったが。
この年になってお漏らしまでさせられたのは、言葉に出来ない。させられるまで責められたわけだが、してしまったのは自分だ。責めようにも責められない。
ここはやはり無断でアナルを使ってきたことを叱るべきと考えて、うつ伏せの体を転がされた。
「次は前にいたしましょうか?」
「え? あっ、出したばかりなのに……。あっ、まちなさいぃっんっ!」
最初の時のように股を開かされ、男が入ってきた。
前戯はもう必要ない。入り口で嬲ることも、子宮を揺らすこともない。奥まで来て、腰を引いたらすぐに戻ってくる。
たっぷりしたばかりなのに、或いはしたばかりだからか、信じがたいほどに濡れている。今度は失禁ではない。愛液だ。男を受け入れるために股が勝手に応えている。バラライカも応えた。
枯れ気味だった喉は、男から口移しで何かを飲まされるとすっきり通るようになった。野太い声ではなく、可愛い声を上げられる。
両腕は男の背中に回し、きつく抱き締めた。下の穴でも締めてやった。
悪戯に笑い、キスで黙らされた。
▼
珈琲の香りが鼻孔をくすぐる。
深く濃厚な香りは精神を覚醒させる効果があるようだ。幸せに微睡んでいたバラライカは目を覚ました。
「お目覚めでございますか? 珈琲を淹れたところでございます。紅茶も用意できますが、如何いたしましょう?」
「…………それ、もらうわ」
シーツを手繰り寄せて体を隠したバラライカは、トレイに乗ったコーヒーカップに手を伸ばした。
持ってきたのは体を重ねたばかりの男だ。あんなにも激しい情交だったのに、何もなかったかのような振る舞い。
一度寝たから自分の女、と思われでもしたら軍隊式に修正してやるところだ。弁えているなら、それはそれで好ましい。しかし、それはそれで悔しくもある。悔しいので何も言わなかったが、視線に乗るのは止められない。
「バラライカ様はお休みでございました。以前ご説明した事をもう一度繰り返しますと、24時間はこの部屋で問題なく滞在する事が可能です。24時間を過ぎますと、睡眠などの何らかの事情で意識を失った瞬間に元居た世界に戻されます。可能でしたら、ドアを開いて帰還されることをお勧めします」
「…………ええ」
何とはなしに面白くないが、体はかつてないほどに好調で、素晴らしく快適な目覚めだった。
鬱屈した思いも体の芯にあった気怠さも綺麗に消えている。比喩ではなく体が軽い。珈琲も美味しい。何も入れないブラックだからこそ酸味や苦みに仄かな甘さまで鮮烈に感じる。自分の舌はここまで繊細だったかと驚くほどだ。
何がこうさせて世界が新しくなったのか。答えは一つだろう。
「お体の調子は如何でしょうか? バラライカ様がお休みの間に少々マッサージをさせていただきました」
「好調よ。こんな事まで出来るのね」
「恐れ入ります」
セックスしただけではなかったらしい。どんなマッサージだったか知らないが、すこぶる調子が良い。肌の艶もいつになく良いようだ。目の前にかざした手の甲は染みも傷もない綺麗なもので、毛穴がわからないくらいに肌理細かい。マッサージでここまでの効果があるのだろうか。セックスが素晴らしかった翌日は肌も髪も調子が良かった記憶があるが、良くなりすぎな気がした。
「鏡はある?」
「こちらに」
用意があったらしく、手鏡を渡された。
そこに映る己の姿を見て、バラライカは言葉が出なかった。
メイクを落とされているのはどうでも良い。肌も髪も艶が良い。良すぎる。シーツを剥がして体を見れば、腕も脚も腹も胸も、全部が綺麗だ。以前と明らかに違う。違い過ぎる。顔かたちは同じなのに、まるで別人だ。
もしも仮に同一人物と仮定したら何が起こってこうなったかはわからないが、間違いなく色気づいたと思われるし、バラライカもそう思う。
それが我が身に起こってしまった。
「入念にケアさせていただきました」
男が恭しく頭を下げた。
充実したセックスによって女性ホルモンの分泌が促され、肌が潤い瞳は輝き髪の艶も増して調子が上向くのは事実である。
そこへ男の手による入念なケアが加わった。
深い絶頂によってバラライカが失神してからの事である。
男は、ちょっとやそっとでは現世に戻れなくなったバラライカを抱き上げてバスルームに移動した。色々な液体に濡れたバラライカの体を綺麗にするためであるが、ベッドルームの清掃も兼ねている。勝手に綺麗になってくれる部屋は、誰かが在室していると綺麗になってくれないのだ。小水で濡れたベッドをそのままには出来ない。
折角バスルームに連れてきたのだから、念入りに磨いた。アウラにも手伝わせた。険しい目で睨まれたが、命令すればきちんと動く。
最強のローションを使って全身隈なく磨いてから、自己開発した美容品の数々を惜しげもなく使う。どうせどれだけ使っても勝手に補充されるのだから惜しむ必要は全くない。
何度も絶頂して失った体力回復のために赤い回復薬を掛けてからマッサージを始めると、バラライカの体は敏感に反応した。男は求めに応えてやった。一応、アウラには席を外させた。バラライカの夢が幸せになって且つ長くなったのはこの所為である。
傾城の美姫たちが満足する美容品は期待通りの効果を発揮し、バラライカはどこもかしこもつるつるでぷにぷにのぷるんぷるんになった。なってしまった。
「…………………………後で火傷のメイクを頼むわ」
「かしこまりました」
「今度は私の手で簡単に剝がれるようにして」
「そうしますと耐久性が落ちてしまいます」
「構わない」
白いドアを潜ったら、バラライカは長い休暇を取る事にした。
一週間かそこらを留守にするだけだったら、あの街でも何とか持つだろう。
その休暇で、美容エステを受けた事にする。ついでに火傷の痕も消えた事にする。
心境の変化をあちこちから問われるだろう。しかし、突然別人のようになるよりマシである。
今からもう頭が痛かった。
原因になった男は、涼しい笑みを浮かべている。
我ながら良い仕事をしたとの満足感があった。
他の利用者たちにはここまでしない。バラライカだけへのサービスである。バラライカとのセックスはなかなか良かったのだ。
鍛えているのでそこそこの体力があったが、サキュバスゾンビとは違った。そこが一番良い所である。余った労力でサービスをしたくもなるというものである。
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「他の女にも同じことをしてやってるのかしら?」
衣服を整え応接間に戻ったバラライカは、珍しく利用者ノートを捲っていた。
給仕の男はバラライカの隣に佇み、パントリーと往復して一仕事終えたアウラも同席している。
「恐れながら、以前申し上げました通りお話する事が出来ません」
昨日クローゼットルームに行く前に同じことを問答していた。
「私の事なら話せるわよ?」
「アウラの?」
昨日と違ってアウラが口を挟んだ。
バラライカは、アウラは魔族であるとしか聞いてない。当然のことながら、どうしてこの場にいるかも知らない。男と同じようにこの部屋に囚われたのだと思っていた。
しかし、アウラの事情は男と違うらしい。始めからこの部屋に囚われていたのではなく、バラライカたちと同じくする部屋の利用者であったらしい。
囚われた原因は不明ながら、アウラの魔法が大きく関係しているようだ。自分が囚われる事はなさそうだと、バラライカはそっと安堵の息を吐いた。
「こいつ、私を泥人形だとか虫だとか思ってたらしいわ」
「へえ?」
男が止めに入るのを、バラライカは手で制す。
アウラから聞かされる話は、それはもう哀れなものだった。
獣のように野山で暮らすことを強制され、言葉を弄して酷く裏切られ、眼球にナイフを突きつけられ死の恐怖を感じるか確かめられたとか。
「誤解があるようです。一連の行動は私とアウラの認識に齟齬があったからです。アウラが何を言おうと、私はアウラの生存を第一にしておりました」
「……本気で言ってる?」
「勿論でございます」
濃厚な経験を得てきたバラライカだ。男が嘘を言ってるようには見えなかった。
「本気で言ってるなら、あなたはとんだ悪党ね」
「そこにも誤解があります」
「まさかそんな事をして、自分が善人だとでも言うつもり?」
「そもそも悪党とか善人って何? 人間はすぐに善だ悪だ言うけど、それって何なの? 何を区切ってるわけ?」
素直で物を知らず、社会性がない魔族が疑問を口にした。善悪は魔族にない概念なのだ。しかし、それが人間の間で重要らしいのは察していた。物は知らなくても頭が弱いわけではない。使ってこなかっただけなのだ。
「善悪は、人間つまり社会を作る者達の多数派、或いは体制側に益があるか不利益となるかによって定まる価値観だ」
「多数派? それじゃそいつらが少数派になったら?」
「当然、善悪の基準も変わる。土地と時代によって、同じことが善行になったり悪行になったりする」
「何よそれ。そんなにコロコロ変わるもので人間は騒いでるわけ?」
「人間は魔族ほど生きないからな」
「バッカみたい」
「馬鹿なのはアウラですが、以上によって私の行いが善とも悪とも判断する基準がない事となります」
「あんたねぇ、私の事をバカバカ言うのは何なの?」
騒ぎ始めたアウラといなす男を、バラライカは胡乱な目で見た。
色々な事が書き綴られている利用者ノートの最新のページに戻り、ペンを持つ。
今までは名前と日付をサインするだけだったが、他の利用者に倣って有用な情報を書いてやるつもりになった。
「あなたたちはここに書かれたのが読めないのね?」
「はい、仰る通りでございます」
「他の客に読んでもらう事は?」
「可能とも不可能とも申せません。他の方が読み上げてくださることはございますが、書かれた方が私どもに読まれまいとした事は読んでくださっても聞き取ることが出来ないようなのです」
「そう。今更だけど不思議ね」
「今になっても、どのような法則に従っているのか解せません。いらっしゃる方々の意思が強く反映されるのは確かなようです」
「わかったわ」
バラライカはノートにさらさらとサインをして、パタリと閉じた。
「またのご訪問を心よりお待ちしております」
「ええ。また来るわ」
バラライカは白いドアへ踏み出し振り返り、男の胸ぐらを掴んで引き寄せ軽く口付けた。
少しだけ赤くなった頬を隠すようにすぐにドアへ向き直り、自分の世界に帰っていった。
利用者ノートの最新ページに、バラライカのサインが記されている。
その下に、バラライカは初めてメモを残した。
囚われた二人に読めない文字は、かくあった。
『極悪人。但しセックスは最高』
第二ノルマの200k字を前話にて達成
あれとかこれとか書きたいと思いつつも次回未定
夏は終わりましたよね?
もう暑くなんないですよね?