奉仕しないと帰れない部屋に囚われた男の業務記録 作:dolph
勘の鋭い方々がおりました
お見逸れしましたm(__)m
わざわざ分割したのに24k弱
エーリカがベッドへ上がり、男が続く。レースのカーテンが閉じて閉じ込められた。
抱き締められてキスをして舌を絡めて唾をすする。そこまでしてしまっても、けっして自分から望んだわけではないつもりでいる。
少しの時間でも接触が途切れれば、あれで良かったのかとの自問が際限なく湧いてきた。
そのつもりはなくて大いに迷い戸惑いも強いのに、逃げ場がない。
自分からなくしてしまったし、カーテンが閉じられたので物理的にも逃げられない。
「あっ!?」
そんな戸惑いは、男に抱き締められた瞬間に霧散した。
エーリカからもおずおずと背中へ腕を回し、恐る恐る上を向いた。ソファーでの感触が鮮やかに蘇る。
しかし、それをするには身長差があり過ぎた。サイボーグから肉の体を得たエーリカは少しだけ背が伸びたが、元が低かった。反面、男の背はかなり高い。エーリカが目一杯背伸びをして、男が屈まないと不可能だ。
柔らかく微笑む男はこちらの内心を見透かしているようで気恥ずかしくなり、同時に反発心が湧いてくる。心理的リアクタンスだ。脛を蹴ってやろうかと思う。
実行に移す前に先手を取られた。
長い脚が、脚と脚の間に入ってくる。男の太ももに股間が触れた。
ワイシャツとジャージの時より一枚多いし、生地の厚さも違う。けども、肩と腕の時とはわけが違う。
「先ほど申し上げましたでしょう? エーリカ様のお体の隅から隅まで触れるのです。内側に触れる事もございましょう」
「う、うちがわ? どうやって?」
二百年以上戦争ばかりしていたエーリカである。体の内側と言われたら、真っ赤に飛び散るあれやこれや。突然出てきた物騒な言葉に目を白黒させた。そんな言葉が出てくる場面ではないはずであるし、この男がするわけがない。
するわけがない男は苦笑を滲ませた。
「ご覧になっていた映像をお忘れですか? やはり久し振りの生身の体で色々とお忘れなのですね。私の脚が触れている箇所の奥です。膣内と言えばおわかりですか? アナルは次の機会にいたしましょう」
「………………あっ」
思い至った瞬間。エーリカの顔は火が点いたように赤くなった。
セックスはそこに男の一部を入れてしまう。ムービーでたっぷり観た。入る場所もセックスレッスンのオナニー編で確認した。自分の体では確かめてない。
エーリカがサイボーグになったのは、そこにそんなところがあると自覚出来なかった幼い頃。知識として持ってはいても実感はゼロ。本当に自分にそんなところがあるのか疑ってしまうレベルである。
「今は処女のお体ですから、そのようにいたしますよ。ご心配なさらず、気を楽に為さってください」
「わ、わかっ……ひぁっ!?」
問答の間に男の手が上がって下がって。
片手は背中を抱いたままだが、もう一方の手が腰から下に降りてきた。
尻を撫でられている。
こんな風に撫でられるのは、生まれて初めてだ。先日再会した幼馴染の尻を撫でてやったが、サイボーグであるのに悲鳴を上げて飛び跳ねた。サイボーグであれなのに、生身であったらどうなってしまうのか。
触り方はとても繊細で、指先だけで触れている。
触れる場所が問題だ。尻だからと言うわけではなく、ジャージのズボンの上から下着のラインをなぞっている。下に着ているものを意識されてる。
男の顔を見上げていられず、顔を伏せた。
「あぅ…………!」
それをどう受け止められたのか。背中を抱く手も下がってきた。
両の尻に触れられ撫でられ、はっきりと掴まれた時は腰が震えた。
ムービーで観た女たちは尻を叩かれても平気な顔をしていたのだ。尻は案外鈍感な場所であるとの知識はある。肉厚である事もあるし。
今の自分は、鈍感どころか男の指の一本一本まで感じている。
尻肉を掴まれ揉まれて引き寄せられた。
股間に差し込まれた脚は一層深くなって、男の太ももに跨っているかのよう。
内側を触れるところの外側が圧されている。
その更に奥が熱くなってきた。
「ベッドで立ったままでいる事はないでしょう」
頭上から降ってくる声に答えられない。顔を伏せて目を閉じている。視覚情報を遮断するから他の感覚が鋭くなった。変化に気付いた。
下腹の奥が熱くなってるのは自覚している。感じたのは外側の事。
男の太ももに跨るような姿勢だからそこから上は少し離れているけども、尻を掴まれ引き寄せられているから時々触れた。
下腹に触れるのは男の股間。
閉じた目を開け、そっと男の胸を押せば、どうなっているか見えてしまった。
スラックス越しでもはっきりわかるくらいに、男の股間が膨らんでいた。
エーリカほどではないが、男にもいささかの戸惑いがあった。
その気にならなければ生乳を揉んでも立たせないでいられる。エーリカの経験は兎も角体は処女なのだから、段階を踏んで丁寧にしようと思っていた。
にもかかわらず、甘い体臭を嗅いだだけで感じるものがあった。
あまやかな体に触れればはっきりと熱がこもり、キスを交わす間に形になった。こうなってしまった以上、出さなければ落ち着かない。
幸運なことに、エーリカもそれを求めている。
処女の振りをしてまで誘惑してくれるのだから、期待に十分応える所存である。
▽
「あっ!」
エーリカは、今度こそベッドに押し倒された。
股間に押し付けられた太ももは外れたが、体全部が男に触れている。
所在なく宙を掻く手は男の手に捉えられ、きゅっと握られた。手のひらと手のひらがぴったり合わされ、指の股に指が入ってくる。
手の汗が、と気にする余裕はなかった。手のひらから直に熱が伝わってくる。腕を伝わり脳まで届いた。
自由を封じられ、もう一度キスが降ってくる。
唇を押し付けられ、舌が入ってくるのはさっきと同じ。けれどもさっきよりずっと激しい。
「ちゅ、んぅっ……じゅるるっ……。んっ……んっ……」
口の中を隅々まで舐めるように蹂躙される。強く吸われて舌を吸い出された。
唇と歯で甘く捕らえられ、揶揄うように舌先を嬲られる。
解放されたと思ったら、口内に唾が注がれてきた。
上から下へ流れるのは世界の法則。少しだけ温度が違うぬめる汁が舌を包んで口内に溜まり、唇の端から少しだけ溢れてしまう。
これ以上垂らしてしまわないよう、エーリカは何度も喉を鳴らした。
それに満足したのか、握られた手が離れてしまう。
とても熱いと感じていたのに、外気を感じて少しだけひんやりとした。汗を掻いていたからと気付き、慌ててシーツで拭う。
「……吸い過ぎ。ちょっとベロが痛かったから」
「失礼いたしました。次は加減いたします。エーリカ様からも吸ってくださって構いませんよ?」
「…………いっぱい飲まされた」
唇が離れる時は、上下の唇を甘く食まれた。涎を拭われているようで恥ずかしくなり、軽口が飛び出す。あっさりいなされたのが憎たらしくて睨み付けた。
何とか繕った険しい目は、一瞬で消えた。
握られていた手が離れたのだから、男の手も自由になっている。
その手が、触れていた。
「あっ……、あうぅ……。んっ…………。いたく、しないで……」
「わかっております」
「ひゃんっ!」
軽口の応酬をしながら男の手はエーリカの腹に触れ、ゆっくりと上がっていった。これから触る場所を教えるかのように。
「拝見してしまった時は大きくて形が良いと思ったものです。こうして触れますと、見た目だけではないと感じますよ?」
「くぅ……!」
すぐ耳元で囁かれた。エーリカは髪を短くさせたものだから、少し払えば形の良い耳が露わになる。
唇を耳に触れさせながら喋っている。甘い声が脳髄へ直に注がれるようなもの。
温かい吐息はくすぐったいと思うのに、ピリリと何かが背筋を走った。
そして、胸。
ブラジャーとジャージの二枚を挟んでいるものの、乳房を男の手が触れている。
初対面で胸を触られた時、思わず足が出た。出して当然と思うが、サイボーグのボディであったのだ。なのに自分は悲鳴を上げて胸を隠した。あの時の自分は一体何を感じたのだろう。
あの時がわからないのだから、今だってわからない。
乳房を揉まれて褒められて。褒められたのだから嬉しくなるのは当然のはず。褒められながら揉まれたから、もっと触って欲しいと思ったに決まってる。
そうじゃなかったら、自分は胸を揉んで欲しい事になってしまう。
「エーリカ様はこちらに。触れてくださるだけで結構です」
「なっ……、なに? 触るってどこ?」
男の右手が胸を触れれば、左手はエーリカの右手を取った。
男は少しだけ体を浮かせ、エーリカの手を引き導く。触りやすい様に、手のひらを上に向けさせた。
「こ……これ…………って!!」
辿り着いたら浮かせた体を戻しつつ、エーリカの右手を押し付けさせる。
「何度も申し上げたでしょう? エーリカ様はとてもお綺麗ですよ。お体も魅力的でこうして触れ合っているとその思いが強くなるばかりです。エーリカ様の魅力がこうさせたとお思い下さい」
「なっ……あっ……、うぅ……。で、でも……。こんなに……」
導かれたのは男の股間。
膨らんでいたと視認してしまったところに触ってしまった。
手のひらで触れたものだから、固くて棒状のものだとわかってしまう。ムービーで何度も見てしまった男のあれ。
「エーリカ様は何と呼んでいらっしゃいましたか? 土地と時代によって多様な呼び方がありますので、エーリカ様に合わせましょう」
「しっ……しら…………」
知らないと言いかけ口を噤んだ。
本当は本当に処女だけれど、経験豊富と思われている。ここで知らないと言ってしまったら嘘を知られてしまう。それは避けたい。
必死の思いで絞り出した知恵は、凡庸なものだった。
「私が合わせる。そっちじゃなんて言うの?」
「様々ですが、ちんこと呼ぶのが多いでしょう。語頭に『お』を付けて丁寧に呼ぶこともございますよ」
「ちんこ…………」
舌で転がすように、教えられた言葉を小さく口にした。名前を知った事で、想像が形になった。
男のちんこが、自分の中に入ってくる。
「ついでに申し上げますと、女性器をおまんこと呼びます。クリトリスや膣などは共通でしょう。隠語は幾らでもありますが、そこまで把握する必要はありません」
「おまんこ……」
「私のちんこがエーリカ様に入る場所の事ですよ」
「~~~~~~っ!」
想像した事を宣言された。漠然とした想像が実感を伴って襲ってきた。
触っているのも良くない。
生身になって電磁感覚は失ったものの、触覚は遥かに鋭くなった。三次元空間を認識する能力は全く衰えず、触れているモノの形を脳裏に描ける。
手のひらが包む形になって、太さを捉えた。熱さも伝わってきた。
エーリカの意思に依らずして、入る場所が準備を始めた。
「あっ……」
感覚が如何に鋭くても、こんな状況で全てに注意を払うのは難しい。エーリカは男に触れるのが初めてだったし、初めて触れるものに有無を言わさず集中させられた。
だから、ジャージのジッパーを下ろされる音が聞こえなかった。
気付けば肌を外気が舐めている。
ジャージの前面を大きく開かれ、丸く盛り上がる乳房をさらけ出された。
「何度見てもお綺麗ですよ」
ジャージの下は飾り気のないシンプルな白いブラジャー。着心地だけを優先して、大きな乳房全体を包むフルカップ。
「まっ…………!」
静止の声は声にならなかった。
ブラジャーのアンダーにすっと親指を入れられる。いやらしい顔で見下ろされながら、ずり上げられた。
背中で留めるホックをいつ外されたのか、下着は役割を放棄して白い乳房がぷるんと零れ出た。
サイボーグであった時も膨らみはあったが、空気の粘性を考慮して流体力学的に適切な大きさに留めていた。大きすぎても邪魔なだけ。
肉の体を得た今は、足元が見えなくなるくらいに大きい。柔らかいから少しの動きで大きく揺れる。体を振り回されるようで、仕方なくブラジャーを着けていた。
他に大きな違いは乳房の先端。サイボーグには全く不要な突起が付いている。薄ピンクの輪に囲まれて、先端は赤みが濃い。風呂を何度も使ったから、そのようなところがあるのは把握していた。その時と様子が違った。
赤みが増して濡れてるような透明感がある。一番の違いは大きさで、柔らかそうだったのが固く尖っている。内側から何かを注がれて張り詰めているかのようだ。
「エーリカ様は敏感でいらっしゃいますね」
「びんかん?」
おうむ返しに聞き返した。
全く経験がない事だし、長い間なかった部分だ。
「乳首が立っていますよ? 女性が性的に興奮するとそのようになるのです。色々な事をお忘れのようで」
「ちくび……」
呆然と呟いて、自分の体を見下ろした。
白い柔肉の真ん中で赤く尖っているのは、ここにあると自己主張しているかのよう。
「失礼いたします」
体を引き起こされて、ジャージを脱がされたらブラジャーを剥ぎ取られる。脱がされる事に、全く抵抗出来なかった。
初めて胸を見られた時は悲鳴を上げて隠したものだが、今は自分の体より目の前の事。
男がワイシャツのボタンを外していた。
上から順々にボタンが外され、全て外されると前を開く。逞しい男の裸身が覗いた。
女の体と違って筋肉のうねりが目立ち、見るからに硬そうだ。鋼の硬さとは違う肉の硬さ。
ほうと見詰めている間にワイシャツが脱ぎ捨てられた。
「あっ……」
半裸の男と半裸のエーリカは互いの手が届く距離にいる。
男がエーリカの手を掴んで引き寄せれば、裸身が男の胸に飛び込んだ。
「こうして裸で抱き合うのも良いものでしょう? エーリカ様にはその時の事を思い出して頂かないと」
思い出すも何も初めてだ。
初めてだけど、言われた通り。
服を着て抱き合った時も感じるものがあったのに、間に何も挟まない素肌同士の触れ合いは、エーリカの知識にも想像の延長にも存在しなかった。
肌と肌が触れ合って隙間をなくして密着して、柔らかさと硬さが伝わり熱を交換して溶け合っていく。
楽しいのか嬉しいのか。安心は絶対違う。安心してたらこんなに胸は高鳴らない。
ただ、ずっとこうしていたくなった。
「あ……んっ…………。ちゅっ……。ちゅる、んっんっ、れろぉ……。じゅるる……」
自分が知らない大きな力で顔を上げさせられれば、唇が降ってきた。
キスをしてから、キスをしたかったのだと気が付いた。
キスは繰り返す度に進んでいく。
唇が触れるだけだったのが舌を入れられ、舌を絡めて唾をすすって強く吸われ、今度は服を脱がされた。
「こちらへどうぞ」
「きゃっ」
座っていても背の高さが違い過ぎる。エーリカは大きく見上げないとキスが出来ない。それで男の脚に座らされた。
股を開く形が少し恥ずかしいが、それを言ったら胸を出してしまってる方が恥ずかしいはず。
恥ずかしいけれど、大きさに色に形を言葉を変えて何度も褒められ、褒められる方が恥ずかしくなった。
そんな言葉を掛けられた事はなくても、口が上手すぎると思った。この男は言葉で女をいい気にさせて騙しているのだ。僅かに残る反発心がそんな事を言わせたが、
「言葉だけの事でしたら、こうはなっておりませんよ」
そう言って、自分の股間に手を導く。
エーリカが脳裏で描いた男のそこは、スラックスの中で窮屈そうに膨らんでいた。
今度のキスはそこをさすりながら交わしている。
エーリカが男の股を撫でるなら、男はエーリカの胸を撫でていた。
揉むほどには力を入れない。柔らかな感触を楽しんでも、指が沈むほどではなかった。
五指を伸ばして乳肉を包み、滑らかな肌の上をすべらせている。
但し、先端には一度も触れない。
「んぅっ……! あっ、ふぅ……。そこ、は? んっちゅぅ……。…………まだ、しない?」
真っ赤に充血して痛々しく自己主張する。それでも相手にされずに張り詰め続ける。
経験がないエーリカでも、どうなっているかわからされた。熱が溜まって疼いて訴えている。
キスの合間にそっと下を見れば、膨らみ方が一層激しい。内から弾けてしまいそう。
男ならどうにかする方法を知ってると思ってそれとなく訊いてみるも、毎回キスで黙らされる。
「エーリカ様は久し振りで、今のお体は処女ですから。小出しにするより焦らして高めた方が良いのですよ」
「……焦らすだけじゃないわよね?」
焦らすだけ焦らしてそのままにされたら、足を出しても許される気がする。
今の体の能力を把握しきれていなくても、痛い思いをさせるくらいは出来るはず。
そう思って言ってやったが、意外な言葉が返ってきた。
「焦らされているのは私もです」
「へ?」
そう言われても、何のことだかさっぱりわからなかった。
キョトンと小首を傾げれば、男の股を撫でていた右手を取られた。目の前で進む事態に言葉が出なかった。
エーリカが見守る中、男がスラックスのベルトを外す。ジーっと音を立ててジッパーを下ろした。
「あ……あ……」
もう一度右手を取られて導かれる。さすっていた所より少し上。手首を返したものだから、手のひらが男の下腹に触れた。割れた腹筋同様に無駄な肉がない。
手のひらに伝わる素肌は逞しかったが、問題は指先の行方である。指先が、男の下着の内側に潜ってしまった。
自分でしているのか、男に促されているのかわからない。ただ、指はどんどん中に入ってしまって、すぐに触れた。
「握って」
「…………」
言われるがままにしてしまった。
伸縮性がある下着なのか、それとも男がさりげなく下ろしていたのか。
エーリカの手が包むと同時に現れた。
ポルノグラフィで観たのと同じ形。細部は違う。太さも長さも違って、熱かった。硬かった。
エーリカは、生まれて初めて、勃起した男性器を目の当たりにした。
「これがエーリカ様の中に入るのですよ」
「っ! こんな……大きいのに……」
「入りますよ。そのための準備を致しませんと」
「じゅんび……」
エーリカが知らない事だらけだ。
準備と言われても何をするのか何も知らない。握らされた肉の棒をどうすればいいかもわからない。
「私にお任せください。心配は要りませんよ。エーリカ様にも少しお手伝いをして頂きますが」
「手伝い、って?」
「私のちんこを扱いてください」
「…………」
エーリカには、扱くの意味がよくわからなかった。
ここまで来ても処女の演技を止めないエーリカに男は疑問を感じ、数瞬の考察で答えを得た。
エーリカは染められる悦びを与えようとしているのだ!
女を自分色に染めたいとは、複数の文献が示唆する嗜好である。男自身にも覚えがある。長く付き合うなら、自分好みになって欲しいと思うのは当然の願望だろう。
演技とは言え、エーリカはそこまでしてこちらを悦ばそうとしてくれているのだ。
率直に言って、エーリカは凶暴で傲慢で我儘で、それらを許す凄まじい格闘能力を持つ女性であるが、こんなにも健気な一面があるのは意外にも程があった。
優しい気持ちになれると同時に興奮もいや増して、今すぐ押し倒したくなってくる。
しかし、今のエーリカは処女である。演技には真摯に応えなければならない。
しかし、重ねて述べるが誤解である。
エーリカは本当に経験がない処女で、そもそも経験豊富な演技をしていた事すら忘れている。
男の一方的な誤解であるが、誤解のまま進んでも何の問題もなかった。
「握ったまま上下に動かしてください。繊細な部分ですが、竿を握るならもう少し力を強くしても大丈夫です」
「……こう?」
「ええ、そのまま続けて」
「…………うん」
「それがちんこを扱く、です。手で扱くので手コキとも呼びますね。そのまま射精するまで続けてもらうこともありますが、最初はエーリカ様の中に」
「わたしの、なか……」
エーリカには知らない言葉もあったが、最後だけ拾い上げた。
体中を熱くして、もっと熱い逸物を握って上下に振る。
脳裏で描いた形はその通りで、実物を目にすれば脳裏に焼き付いた。
「そこがどこかおわかりでしょう? ここの事です」
「あっ!?」
エーリカが男の股座に手を伸ばすように、男の手もエーリカの股間に伸びた。
男の太ももを跨いで座っているので、股を開いてしまっている。脚を閉じることが出来ない。ジャージのズボンの上からではあったが、男の手がエーリカの股間に貼り付いた。
「んっ……、んぅ……。んっ! あぁ…………。あんっ……。うぅ……!」
手のひらを揃えて軽く圧し、小さな円を何度も描く。
二枚の布地を挟んでもエーリカの柔らかさは男の手に伝わってくる。それより伝わるのが蒸れた熱気。
体にこもる熱を吐き出すように、エーリカの吐息が熱くなる。艶めいた声も出た。初めて聞く自分の嬌声に、エーリカは赤い顔を伏せて下唇を噛んだ。
演技とわかっていても、男は一層興奮させられた。
何と言う魔性だろう。恐ろしいとしか言いようがない。その上でこの美貌。そしてあの凶暴性。さぞや数多の男を惑わし捨てて来たと思われる。
エーリカの手コキは拙く快感とまではいかないのに、逸物に通う血が増えてくる。痛みを感じる程に勃起させられた。
このままでは遠からず理性の限界を迎えて襲い掛かってしまうだろう。何としてもそれは避けなければならない。
せめて理性が働く間にと、男はエーリカの手を逸物から外させた。
「な……なに?」
男の胸中を知らないエーリカは、初めての不手際で何かしてしまったかと不安に思う。
肩を掴まれゆっくり押されて、不安が違う不安に入れ替わった。不安を感じても動悸は激しく、不安より大きな期待を無視出来ない。
素肌に触れるベッドのシーツは、サラサラで気持ち良かった。
押し倒されて間を置かず、スラックスを脱ぎ捨てた男が乗ってきた。
ジャージのズボンを脱がされてないのは僅かな安心材料。
「あむっ、んっちゅぅぅ……、んっ、……ちゅっ……」
手首を掴まれて自由を封じられ、口付けするのは始めと同じ。けれど、今度のキスは短かった。
男の唇が離れた時、エーリカの口は半開きで物欲しそうに舌を伸ばしていた。
ふっと笑われしてしまった事を自覚する。羞恥心が悲鳴を上げて顔を逸らしたが、男を見ていなかったのは拙かった。
「あっ!」
エーリカの乳房は緩く潰れてなお大きく、見るだけで柔らかいとわからせる。
柔らかい乳肉に、今度こそ男の指が沈んできた。下から包んで絞るように揉んでいる。
柔肉は男の手指に蹂躙され、思う様に形を変えられた。
素晴らしいおっぱいに男は谷間に挟みたくなったが、我慢である。
焦らしに焦らして高めたのを解放してやらなければならない。エーリカからも要求されている。
「あ…………」
男の口が乳房の先端に、充血した勃起乳首に近付くのを、エーリカは夢うつつに眺めていた。
ポルノグラフィで観ていても、自分がされるとは思っていなかった。
「ひゃっ……」
舌が伸び、掠めるように乳首を舐めた。
一瞬だけ走った甘い痺れは何だったのかと思う内に、吸い付かれた。
「あっ♡」
くすぐったいようで、でもそれだけでなく。体が痺れるようで、けども痛みらしい痛みはなくて。
心と体が、これは良いものであるとエーリカに強く告げた。
「あっ、あっ? なに? あっ、やっ、あんっ♡ なん、でっ? こえ、かってにぃ……、あぁんっ♡」
固く尖った乳首を吸われている。
口の中では舌で舐められ転がされる。唇で挟まれれば硬い歯に囚われて、嬲るように先端を舐められた。
幸せなのはもう一方も。
右の乳首は摘ままれた。弾力を確かめるようにくにくにと弄られて、意地悪するように引っ張られる。
甘い痺れは全身を巡って強く疼かせ、ぬるりと降りてくるのをエーリカは感じていた。
始めは気のせいだと思った。エーリカがサイボーグになったのは初潮前だ。全くの未知なのだからわかろうはずがない。
けども何度も起これば何かが起きていると想像出来た。
キスをしたり抱き締められたり、肌と肌が触れ合うとぬめる熱が降りてくる。
それが異常か正常かもわからない。どうなっているのか怖くて確かめられないし、確かめられる状況でもない。ずっと座っていたから汗の臭いもこもってる。
そこを、自分より先に確かめられようとしていた。
乳首を吸って乳肉を食み、何箇所も鬱血させてくれた口が下がっていく。
ぬらりと濡れ光るのは舐められた跡。
へそまで来られてようやく危機感を覚えた。
「ダメッ!」
どんな顔をしたかわからないが、必死の叫びは届いたらしい。男は顔を上げて柔らかく微笑んだ。
今まで、我ながら理不尽と思われる要求にも全力で応えた男だ。こんな簡単な命令を聞かないわけがない。
しかし、安堵したのはほんの一瞬。事態の変遷に目を見開いた。
ズボンの縁に手を掛けられて、するりと膝まで下ろされた。
下半身が外気に晒され、けどもひんやりとは感じない。
レースのカーテンで閉じられたベッドの上は、二人の熱気がこもっている。
エーリカは抵抗らしい抵抗も出来ず、ズボンを全部脱がされた。出来たのは、シーツを掴んでいた手で顔を隠す事だけだった。
初めての快感と羞恥で泣きそうになってるエーリカに、男は唸らされる事頻りである。初々しい仕草に制止の叫びは完璧だった。
女が行為の最中に「ダメ」とか「やめて」と言うのはもっとやれを意味すると教え込まれてきた。つまりは禁忌の破壊である。
禁忌を設定してあえて破らせる事により、興奮を煽るのだ。搾精人形が力説していたのを覚えている。エーリカの演技は、件の搾精人形より遥かに高度だ。
下着こそ色気の欠片もないパンツだが、包まれているのはエーリカである。
ズボンを脱がした瞬間にむわりと広がる女の匂いで目眩がした。下半身に溜まった血が解放を訴えている。
しかし、まだいけない。エーリカの準備が残っている。
「あ…………」
パンツにも手を掛ける。
ゆったりサイズが幸いして、ジャージ同様に脱がすのは簡単だ。
むっちりと肉がついた太ももで引っかかる事もなく、足首から抜いて放り投げた。
「何度も申し上げているでしょう? エーリカ様はお綺麗ですよ」
「うっ……」
エーリカが顔を覆う指の隙間からチラチラと覗いているのは気付いていた。
女性を安心させる為にこと細かく褒めるのは、血反吐を吐かせられながら覚えさせられた。エーリカは演技とわかっていても油断はしない。
社交辞令でも世辞でもなく、本当に綺麗である。
たっぷり可愛がった乳房は言うに及ばず、形良いへそを舐めて悶えさせ、ぬめるような下腹には頬擦りをしてマーキングもする。太ももはぴったり閉じているけれど、恥丘に掛けて淡く茂る金色は品が良いながらもいやらしい。雌の匂いを立ち昇らせている。陰毛にこもる匂いとはこれなのだと気付かされた。
顔を埋めて深呼吸したくなるのは理性で耐える。まだまだ先があるのだから。
肌触り抜群の太ももを掴めば、しっとりと汗ばみ指に吸い付く。開いてやろうとそっと力を入れても閉じたまま。もう少し段階を踏めと仰せである。
「っ!」
むにむにと太ももを揉みながら手指を滑らせれば、内側に落とした親指が脚の根元に届く。
頼りない柔らかさを優しく揉みほぐし、下腹にちゅっちゅとキスを落とす。顎をエーリカの陰毛がくすぐった。僅かに縮れ、細いので柔らかい。
顔をなおも下がらせれば唇に触れる。エーリカの匂いが濃くなった。
「拝見いたしますよ?」
「くぅ…………」
答えらしい答えはない。代わりに太ももから力が抜けて、男の手で開かされた。
「おお……!」
顔を輝かせる男を、エーリカは見ていられない。
サイボーグであった時にはなかった部分だ。風呂で部分自体は確かめても、こんな事になってるのは初めてだ。自分でもおかしくなってると思うのに、本当におかしいと言われたら。体が何かを求めているのはわかっても、不安と恐怖が鎌首をもたげてくる。
股を開かせた男の手が離れた時は、心臓がキュッと冷たくなった気がした。
「あっ? なに、してるの? あっ!? いまのなに? あっ……んっ!」
指の隙間から見下ろせば、男の手が股間に伸びていた。
おかしくなったところに触れている。手のひらを当てられて温かい。体の芯を揺すられているようで、熱いぬめりが次から次へと降りてくる。
「失礼いたしました。クンニリングスを楽しんで頂こうと思ったのですが……」
「なっ……なに? ですがって? なんで出来ないの?」
クンニリングスの意味すら知らないエーリカだ。しかし、やろうとした事が出来ないと言うのは気になって仕方ない。さっきまでなら不安が大きく聞けなかったろうが、甘い疼きに急かされた。
問われた男は苦い顔。とは言え、エーリカに問題があるわけがない。
「……エーリカ様が……。想像以上にお綺麗だったのですよ。あのまま口を使っていたら、遠からず自制が効かなくなると判断しました。代わりに手指で……」
股を開かされたエーリカの淫裂が、とても淫らだったのだ。
経験豊富だろうと体は処女。着色は皆無の幼くも見える割れ目。なのに緩く開いて内側と同じ色の肉ひだが少しだけ顔を出す。
匂いでわかっていたが、僅かに覗く内側は愛液で潤って、鑑賞する間にもとろりと垂れてきた。
ふっくらとした陰唇を指で広げたかった。未通の膣に処女膜が付いているかどうかを確認したかった。クリトリスを愛撫するのは王道中の王道で、包皮を剥いて立たせてやりたかった。舐めたかったし吸いたくもあった。膣に舌を差し込み、エーリカを直に味わいたかった。
しかし、やったが最後。いつの間にか突っ込んでいる事になりかねなかった。
こんなにも女の体が欲しくなるのは、真の主を別として、搾精人形に三時間以上射精を許されなかった時と、人妻に強壮剤を飲まされた時と、真の主から下賜される至高のミルクを飲んだ時くらいだ。割とある気がするが、真の主以外は外部要因である。
この男を知る女なら原因を容易く見抜いた事だろう。単に禁欲時間が長かっただけである。
男は自身の世界だと、十時間以上射精しない日はない。言うまでもなく十時間は睡眠時間だ。睡眠時に襲われる事も多々あるので、八時間や七時間になる日も多い。
寝てる時でそれなのだから、起きてる時は最長でも五時間である。そして就寝前のゴールデンタイムでは五度六度が当たり前。たった二十時間の禁欲を勝ち取るのにどれほど苦労した事か。
そんな毎日を送っている男が、異界の部屋の効力を甘受せずに六十時間も活動を続けた。溜まり具合はソリテールを初めて抱いた時より遥かに上。
一緒にいるのが利用者であるエーリカだからここまで自制出来ていた。アウラであったら問答無用で押し倒していた。
男は忸怩たる思いで自身の至らなさを告白した。効果は抜群で、エーリカからは不安も恐怖も消え去った。代わりに多幸感が溢れてくる。男が続ける言葉が耳に入らない。
真っ二つにされても「うへぇ」の一言で終わらせた男が、掠れた声で何かを言っている。おかしいかも知れないと思ったところを耐えきれなくなるほどに欲しがっている。
顔が火照って胸が高鳴り、下腹の奥が疼いた。直後、エーリカの股間で、かすかな水音が鳴った。
「エーリカ様からもお願いします」
「うっ……うん……。んっ……、あっ……ぁんッ!」
顔の隣に男は腰を下ろしたのだから、そうなのだろうとは思っていた。肉の棒がすぐ隣で雄々しくそそり立っている。
エーリカの手がのろのろと男の股に伸びて、届く前に自分の股を意識させられた。熱いぬめりが降りていったところを、何かが入り込んでいた。体の中だ。体の中を、男の指が入ってきている。
二百年以上生きても、そんなところに何かが入った事は一度たりともない。そもそも、そんなところがない期間がほとんどだった。
全くの未知が自分を変えようとしている。男の指から何かが滲み出てきているかのように、自分の体が侵されていく。
それでも構わないと思った。
「エーリカ様……」
「だって……、ゆび……。おまんこに来て……、んっ♡」
「……でしたら、口を開けてください。舌も出して。歯は立てないように」
「それって……!」
男は口を使うと言った。かなり遅れて、あそこを舐めるのかとエーリカは気が付いた。クンニリングスとは、どうやらその事であるらしい。
舐めるのがあるなら、舐められるのもあるのだろうか。いや、あった。ポルノグラフィでは、男も女も熱心に舐めていた。それをしろと言うことらしい。
顔を横へ倒せば、既に間近に迫っている。匂いも届いた。頭がくらくらしてきた。
触っただけでも脳裏に形を描けたが、近距離で視覚情報を得ると感じ方が違ってくる。
幾本もの血管が浮き出てるのは、生々しい肉の棒と強く感じる。太さと長さは握った時に把握済み。硬さと熱さは増してるようで、唇に熱が届く。
竿部をそっと握って先端を自分へ向ければ、丸みを帯びた形が何だか可愛い。小さく入った割れ目から、透明な雫が滲んでいる。
唾を飲み込む前に口を開けたものだから、涎が垂れて頬を濡らす。
頭をベッドから上げ顔を近付け、開いた口に男の逸物を迎え入れた。ほんのりとした塩気が舌を刺した。
フェラチオの名称すら知らないエーリカだ。舐め方もしゃぶり方もわからない。何かを語りかけられているけども、口内の感触に集中して聞こえてない。竿部を緩く扱きながら先端を咥える。意外なほど熱い。舌先で亀頭を撫でると、びくんと跳ねた。
エーリカの股ではくちくちくちゅくちゅと水音が鳴る。膣内を長い指が往復し、膣壁を擦られて腰を震わせ愛液を掻き出される。ベッドから尻が浮くことも多い。そんな時はつま先がキュッと折れ曲がった。
「んっんっ……、ちゅうぅっ……。あんっ♡ あっあっ、んぅ……! あむぅ……。じゅるる……」
よがりながら逸物をしゃぶるエーリカを見下ろして、男は非常にアンビバレンツな心境でいた。
傲慢・我儘・凶暴と三拍子揃ったエーリカがフェラチオをしているのは、とても掻き立てられる情景だ。手マンでほぐしているのもあって、うっとりとした顔でしゃぶっているのはとても可愛らしい。
が!
している口淫がとても拙いのだ。好奇心に駆られた子供が舐めているのと大差ない。根元を手で扱いているが、こちらも刺激が弱すぎる。何度か助言しても無視されているようで変わりがない。そっちがその気ならもう突っ込んでやろうと思うと、良いところを舐められて離れがたくなる。
乳首への愛撫を焦らした報復か。焦らして嬲るのを楽しんでいるのだ。サイボーグから生身になっても、エーリカが性悪なのは全く変わりがなかった。
「んっ! あぁっ♡ あっ…………あぁ…………♡」
温かいエーリカの中で中指と薬指を折り曲げ、圧し続けていたのを注挿する。きゅうと締め付けられて、ぬめる汁が絡むのを感じた。引き抜けばとろりと溢れ、尻の割れ目に伝って流れて白いシーツに新しい染みを作った。
「はぁ……はぁ……。………………まだ?」
「こちらの台詞ですよ」
「あっ♡」
愛欲に揺蕩った顔が、次の行為をおねだりしてくる。焦らしていたのはどっちだと言いたくなるのを堪え、エーリカの体に覆い被さった。
「エーリカ様の準備も整ったようでございますから」
「見せるなっ!!」
右手の五指を開き、中指と薬指を揃えて立てる。
指は先端から根元どころか、手のひらまで濡れている。
「私を受け入れるためにエーリカ様が濡らしてくださったのですよ? 確認していただきませんと」
「うぅ~~~~~っ!」
たっぷり濡らしたのはエーリカの愛液だ。
セックスどころか愛液の存在すら知らなかったエーリカである。本当に確認のためなのか、辱められているのか判別出来ない。とても恥ずかしく思ったのと、男がいやらしく笑う顔から目が離せないのは確かだった。
くすくす笑われて屈辱なのに、幸福感が湧き出てくる。顔が緩まないようにするには、怒った振りをするしかなかった。
それもピタリと当てられて、演技を強制終了させられた。
「これからエーリカ様の処女をいただきますよ?」
「いっ……いいわよ?」
じっくり弄られ奥までほぐされ、エーリカの淫裂は開きかかっている。股を大きく開かされているから、指で広げなくても内側を覗かせるだろう。
その割れ目を、指に代わって男の亀頭が撫でている。
淫裂の内側に沈んで下から上に、上から下に。
「んっ!」
入り口を圧されて、エーリカの体が少しだけ強張った。
入ってくる覚悟をしたのに、またすぐ上へと滑って戻ってくる。
「エーリカ様もそんなお顔をするのですね。とても可愛らしいですよ」
「……うるさい」
「酷い事を仰る。褒めておりますのに」
「……そんなの褒められても嬉しくない」
「でしたら……」
エーリカの頬を両手で包んだ。
右手は手のひらまでエーリカの汁で濡れている。左手はずっとエーリカの髪を優しく撫でていた。
亀頭が膣口に潜り込み、手を添えなくても外れない。
「エーリカ様が何をお悦びになるか、教えて頂けませんか?」
「うっ……くぅ……!」
先端が完全にエーリカの中に入り込み、裂かれた処女膜が処女の血を流し始めた。
丹念にほぐされ自覚なく何度も達し、潤いが十分なら媚肉は受け入れる準備を整えた。
けれども、存在を意識すらしなかった場所に入られるのは未知の感覚。狭い穴をこじ開け押し広げられるのは、圧迫感があれば痛みもある。貫かれて引き裂かれる鋭くも鈍い痛み。
痛くしない方法もあると言っていたのに痛くされている。反射的に顎が上がって小さく呻いた。
「ですが今は、私に愛されてください」
「あ………………」
目を逸らす事を許されず、唇が唇を掠めながら告げられた。
赤と青の目に自分の目が映っている。ここがどこなのかを忘れれば、一切の過去全てが消え去って、今この時だけになった。体の真芯を貫かれる痛みに意味を与えられた。この男と一つになった証である。
知らない場所に入ってきた男の形を幻視して、本当の目で見るのは男の瞳。
頬を包んでいた手が体を抱きしめ肩を掴んだ。唇を掠めていた唇が耳に触れ、熱い吐息が耳朶をくすぐる。耳から注がれる囁きが脳髄を溶かす。
綺麗だ、とか、あなたの悦びを、だとか、奥に触れた、だとか。
エーリカも男の背に腕を回した。
「エーリカ様の中に全部入りましたよ。おわかりですか?」
「わかる……。ちんこ、あんなに大きかったのに。全部入っちゃったの?」
「入りました。私のは大きいらしいのですが、エーリカ様は全て受け入れてくださいました。処女でしたから固いのは仕方ありませんが、狭くはありませんし、締め付けられているのを感じます」
「そんなこと……言わないでよ……!」
「とても具合がいいと申し上げてるのですよ」
「うっ……」
恥ずかしいが、逃げるどころではない。これ以上ないほどに密着して、一つになっている。
それに恥ずかしくても、言われる度に心が弾む。顔は互いの首筋に埋めているから緩んでいるのは見られてないが、首から下も制御出来ない。不随意運動というやつで、入ってるものを締め付けた。大きなものを入れられて圧迫感が酷いのに、一層強く感じてしまう。
「エーリカ様のお体は処女でしたから痛みがある事を懸念しておりました。そのご様子ですと問題ありませんね」
「痛かった! あんなの……、入れた事ないのに!」
「再生したばかりなのですから仕方ありませんよ」
「ちっ…………がわない、けど。でも……おおきくて、かたくて……。私のおまんこにちゃんと入った? 入ってるのはわかるけど……」
「ちゃんと入っておりますよ。本当に大丈夫のようですね。それなら、そろそろ始めますよ?」
「はじめる? あっ?」
奥まで来られて、体の中に男の形を捉えている。とっくに始まっていると思っていたのに、何かはまだこれかららしい。
そう思った時、中に来た男がゆっくり引いた。
引きながらも時々戻って、内側を擦っている。擦られる度に、一つになれた充足感に何かが足された。足される何かは増えはしても減りはせず、ひたすらに積まれていく。
「あっ……、あっ……、な、なに……? やっ……!」
自分が知らない何かを引きずり出される。
未知への恐怖に焦燥を駆られるも、自分の体は悪いものではないと知ってるらしい。もっと求めろと、脳が体に命令される。
欲しいとは言わせられなかったが、顔は抑えきれなかった。
「とてもいいお顔をしていますよ」
「あぅ……。あっ! あっ……、あっ……」
愛欲に潤んだ目は輝いて、可愛らしい顔を切なそうに、わかる者が見れば物欲しそうに歪めて訴えている。
わかる者に分類される男は、細い首筋から顔を上げ、欲情しているエーリカの顔を見下ろした。
引いては戻るを繰り返して入り口付近まで戻った逸物を、エーリカの求めに応えて奥まで一息に突いてやった。
「あっ……はああぁんっ♡」
エーリカは処女に戻って未通になったのだから、最初の挿入は気を遣った。
少しずつ圧を掛けて入っていくことを体に教え、処女膜を貫いた。
亀頭が入り口をこじ開けても、閉じていた膣は強い弾力で押し返してくる。少しずつ進めてエーリカの顔が歪んでいくのは、少々の嗜虐心と征服欲を煽ってくる。エーリカ自身は経験豊富なようだが、今の体は完全に新品である。高慢ちきなエーリカに男を教えて女の顔をさせていると思えば、高ぶってくるのは当然だ。
エーリカの中は入っていく毎に目覚めていくようで、膣壁が隙間なく密着してくる。締め付けは強く、奥まで入れれば根元をぎっちりと咥えこまれた。そのくせ奥はふんわりと柔らかい。絡みつく肉ひだは亀頭にしゃぶりついてくるようだ。
締まりが良いので、抜くときは吸い付かれているかのよう。
初めてでこれなのだ。末恐ろしい名器に育つ予感があった。
「お顔だけでなく、声も可愛らしいですよ?」
「あっやっ……、言うなあぁあんっ♡ あんっ♡ あんっ♡ だってかってにぃぃ……!」
エーリカの腕は男の首筋にすがり付く。股を開かされたまま、膝から先が何度も宙を掻いてベッドに落ちた。
男が腰を振って、開かされたばかりの膣を太い逸物が往復する。知らなかった場所は、男を受け入れるためにあったのだとわからされる。
挿入直後にあった痛みが全く違うものに変質している。中で動くたびに甘く痺れて、動かずに奥を圧される時は何かがひたすら溜まっていく。
男と一つになってる実感が幸せなのだから、入れられているところが気持ち良くないわけがない。抜かれる時は逃がすまいと勝手に締まった。奥まで来ると、やはり逃がすまいと意識して締め付ける。中で妖しく蠢いて、自分が作り変えられていく。
焦がれる疼きは強くなった。
下腹の奥の熱い場所。満たされながら飢えていく。もっともっとと欲しがっている。
快感は全身を駆け巡って、男に触れるところ全てが気持ちいい。接触面積を増やしたくて、幼子のようにすがりつく。
今なら37兆ある細胞全てを内観出来そう。細胞全てが神経線維の伝える信号を受け取って、全身全脳が男を受け入れろと答えを出した。得るために媚びろと言っている。
可愛らしい顔をして、可愛い声で鳴いて、男を愛して愛されろと命令する。
自分全ての訴えに、エーリカが抗えるわけがない。
「あっ♡ あっ♡ あんっ♡ へんなこえでて……♡ ぜんぶきもちぃ♡ おまんこもぉ……♡ あっ、やんっ!」
自分から腰を揺らして蕩けた顔を見せながら、甘い声で鳴き続ける。普段のエーリカを知れば知るほど信じがたい顔と声。
淫らに乱れる様も演技だとしたら男には全く見破れないが、真であるとの確信がある。エーリカに宣言した通り己の技に自負があるし、時折痙攣する膣肉が達していると教えてくれる。
結合部はエーリカの膣から掻き出される愛液でしとどに濡れて、薄めの陰毛が肌に貼り付いた。
エーリカの下腹が見えるのは体を起こしたからだ。密着状態が解かれてエーリカの眉間に皺が寄る。それでも見たい光景があった。
「おっぱいが揺れてますよ? これは支えないといけませんね」
「ばかぁ……。……おっぱいするなら。……ちくびもして? きゃうぅぅんっ♡」
密着していると、エーリカのおっぱいがたぷたぷしてるのが見えないのだ。
うつ伏せになってなお大きい美巨乳が、腰を打ち付ける度にたぷんと揺れるのはとても目に楽しい。
動く物に注意を引かれるのは生物として当然である。手を伸ばせばむにゅんと指が沈んで幸せが伝わってきた。
どのくらいの触り方がエーリカの好みなのかも把握済み。まずは優しく、不意を突くようにきゅっと握る。乳肉を絞られて赤い乳首が強調されて、触って欲しいと言っているかのようだった。エーリカの口が代弁した。応えてやった。
「エーリカ様の手はこちらに」
「あんっ♡ あんっ♡ あっ、なにぃ?」
男は小刻みに腰を使いながら、エーリカの手を取った。中指と薬指をちろりと舐めれば僅かに泡立つ唾がたっぷり塗られる。
わざわざ塗った唾が垂れないよう素早く慎重に。白い指先を結合部に導いてやった。
エーリカの指が自身の陰毛に触れ、更に進み、指が届いたのは小さな肉芽。
「私はこちらを揉んでいたいので、クリトリスはエーリカ様に擦って頂きます」
「く……くり……?」
二百年以上生きていても、ずっとサイボーグだったエーリカにはない知識。ちんことおまんこだって男に教えられるまで何となくでしか知らなかった。
陰核の場所がわからない。わからない事を言われて少しだけ血が冷たくなったが、指が触れた瞬間に理解した。
「あっ♡ あっ♡ あっ、すごっ……♡ どっちも、きもちぃ♡ ちくびも、おまんこも、くりもぉ♡ あんっ♡ あっはぁ……、あああぁあんっ♡」
男だけを見詰めて淫らに乱れる顔を見せ、触れたところを擦り始めた。
撫でる前から膨らんでいた肉芽は、擦り続ける内に包皮が剥けて、つるりとした顔を出す。
直にしても刺激が強すぎる事はないらしく、エーリカの手は止まらない。
深すぎる快感が細やかに深まって、閾値はとっくに越えている。ビクンと腰を震わせて、肛門がキュッと締まれば膣肉も逸物を締め付ける。
そろそろと思った男は、手のひらの幸せを断念してエーリカの顔に顔を近付けた。
男の顔が近付いても、エーリカの顔は淫らに崩れたままでいる。
全てを見せて、全てを委ねた。
近付いたのだからと、唇を突き出した。
盗むように唇を合わされて、耳元で囁かれた。
「出しますよ?」
「えっ?」
何が出るのか聞いてない。
ポルノグラフィでたっぷり観ていたが、今のエーリカの頭には存在してない。過去の全てが消え去って今だけになったのだから、何を見たのか覚えているわけがない。
直後にわかった。
「あっ?」
終始余裕を見せていた男の顔が、少しだけ苦しそうに耐えるように強張った。
同時にエーリカの子宮口を圧していた逸物の先端が、エーリカが可愛いと思った亀頭の小さな割れ目から、どぴゅどぴゅと熱い精液を吐き出した。
甘く達している途中だった。
引き摺り込まれたのか引き上げられたのかわからない。わかったのは体の事。
男の逸物が体の中で何かを出している。逸物に負けず劣らず熱くて、膣の最奥目掛けて迸る。
出されてから子宮口を打つまでの瞬きにも満たない時間に、エーリカの心と体は求めていた事を得られて歓喜した。
「ああぁぁぁああぁあーーーーーーーーーーーっっ♡♡」
多幸感に酔いしれて悦びを叫びながらも、体がどう反応したか、エーリカには手に取るようにわかってしまった。
男の逸物を深く咥えた膣肉はキュッと締まって痙攣し、竿を包む肉ひだが蠕動している。
膣の奥の名前も知らないところが、吐き出されたものを取り込もうと口を開いた。押し付けられる亀頭に吸い付いて、吸っている。男の一部を取り込んでいる。
比喩ではなく実体として体の中に入って染み込み、自分の体も心も過去すらも書き換えられる。
自分だって痙攣しているが、入っている逸物もピクピクと小さく震え、ぴゅっぴゅると断続的に熱い何かを吐き出した。
奥に入りきらなかった熱いものが膣内に満ちてくる。
中の全部を染められるようだった。
「あっ!?」
宇宙の真実すら悟れたような幸福感は、すぐに現実に戻された。
何かを出した逸物は固いままで、中でぐりゅんと捻られる。どうやったのかと思ったら、自分の片脚が高く持ち上げられ下半身を回されただけだった。
「まだまだ満足されては私が困ります。正常位はお楽しみいただけたようでしたが、エーリカ様はそのお体を試すのが初めてです。色々な体位を試してみましょう」
「えっ? あっ……あっ……♡ あっ! まって、いまだめ、ダメなのにぃぃいいい♡」
体の位置を変えられて抉られると、中で擦れる場所が違ってきた。
強い陶酔を伴う多幸感は何処にも行かない。生きたまま天の国に連れられる。
中にたっぷり出されてからかき混ぜられるものだから、膣内にたっぷり満ちた淫液を掻き出され、にちゃにちゃじゅぷじゅぽと卑猥な音を響かせる。音を立ててる実体は二人の股間を大いに汚す。
エーリカの愛液だけだった時より粘りが強いので、男が腰を打ち付ける度に幾本もの糸を引いた。
「あんっ、またっ!? こんなかっこう……! これふかくてぇ……♡ んっ……んっ……んんっ♡」
「後背位は基本中の基本とおわかりでしょう? 再生したばかりのお体ですから肛門が無着色ですね。後ろからだとよく見えますよ」
「いうなぁみるなぁっ! あんっ! あっ♡ あっ♡ こんなのだめぇえぇぇ♡ 」
腰から下を更に半回転され、両膝がベッドについた。その状態で腰を抱えられると、男へ向かって尻を突き出してしまう。
肉厚の尻に男の下腹がぶつかって、パンパンと乾いた音が小気味よいリズムで何度も続く。
エーリカは見られる羞恥に悶えてシーツを強く握るけれど、見ている男からは素晴らしい光景である。
尻肉が揺れるのは言うに及ばず、エーリカの膣内に逸物が出入りするのがよく見えた。処女を散らして男の味を知ったばかりの雌の穴。
脚を開かせているので、可愛らしい窄まりは尻の割れ目に隠れられない。経験豊富なエーリカはそちらも当然経験済みだろうから、試してあげるべきだろう。
深く突き立て奥の壁の上側を圧してやると、尻がぷるぷると震えてきた。窄まりの皺も伸びたり深くなったりと。
白い背中が美しいのは言うを待たない。
「ここでは駄目なことは何もございません。エーリカ様は私にお任せくださればよいのです」
「あぅっ♡ らってぇ……♡ あっ♡ あ゛っ! お゛あ゛っ!? あっ……ひゅぅっ……、あ゛~~~~~~~~っ♡♡」
後背位で腰を打ち付けながら、段々体を倒して女の胸を追うのも基本である。
たぷたぷ揺れるエーリカの乳房を揉みしだき、正常位でエーリカにさせたように結合部へ指を伸ばす。男の技とエーリカの擦り方では、如何に経験を重ねようとけっして埋められない差があった。
先の絶頂の余韻が冷めやらない中で両側から責められる。
内では男が暴れていて、外では何かが染み込んでくるようで。
顎ががくがくと震えて涎を垂らす。たわわに実る乳肉は先端を目一杯尖らせて、扱かれ摘ままれる肉芽も勃起させていた。
きゅうと膣肉が逸物を締め付ける反面、足腰からは力が萎えて膝を立たせていられなくなった。男の支えをなくして下腹がベッドに落ちた時、男はエーリカの一番奥に届かせていた。
「~~~~~~~~~っ♡♡」
何度も達してよがって愛を叫んでいたのだ。エーリカの体は孕もうとして子宮が下がっていた。
子宮口を押し上げられ鈍い痛みを伴ったのは、悦びを際立たせるためにあった。
中でまた出されていた。
視界が明滅して頻繁に真っ白になって、全身が幸せになっている。
男に手を握られると反射的に握り返し、唇に触れるものには反射的に口付けて舌を這わせた。
「あむぅっ! んっ、んっ……じゅちゅ、じゅぷぷっ。んっ♡ ちゅぷ……ん~~~~~~~っ♡♡」
「やはり前戯では手を抜いていたのですね。教えれば出来るではないですか」
夢うつつで、男の股に顔を埋めていた。
最初にした時は先端だけを咥えて子猫のようにペロリと舐め、緩く握って扱くだけだった。
今度は体が求めている。言われるがままに大きく口を開いて口内に逸物を迎え入れ、吸い付きながら頭を振った。手を使うのも忘れないよう指摘される。
「んんっ! げほっ……けほ…………。こんなに……こんなのだして……♡」
手のひらを窪ませて皿を作り、口に出されたものをどろりと垂らす。大小のあぶくが混じった白濁した粘液が唇を汚して顎も濡らし、手のひらに溜まった。
「それだけエーリカ様のお口が良かったのですよ」
お世辞にも上手とは言えない口淫だったが、あのエーリカがひた向きにしゃぶっているのを見せられると込み上げるものがあった。
そこに加えてかなり溜まっていると、男はようやく自覚した。
生身の体は、腹が減ったら食べなければならず、溜まったら出さなければならないのだ。
ごっくんしたお口にキスをするのは遠慮したい男であるので、精液を舐めとらせた後はベッドテーブルに用意したドリンクで口内を洗わせる。
続いてはエーリカが密着したがったので対面座位。
愛の言葉を囁きながら突き上げてやれば、必死にしがみついてくるエーリカは顔を真っ赤にして腰を震わせた。
意味ある言葉を話さなくなり、これは危ないと思った男は赤い回復薬を強制摂取させる。
深い絶頂で失った体力は元通り。ただし、肉体の疲労や損傷は癒しても、精神面への効果は期待出来ない。失った血液や体液を補充できても、体の中に留める液体はそのままだ。
「そろそろ風呂を使いましょう」
エーリカは言葉なく、赤い顔で、けども男から目を離せず、俯きがちに頷いた。
体を綺麗に洗って膣内の精液を掻き出してからは、ベッドで出来なかったクンニリングスを披露した。
エーリカがまたも失神しそうになったのでお薬の出番である。
風呂でも口を使ったし、雌穴を塞いでやったし、ささやかな抵抗を見せるエーリカを説き伏せて肛門の開発に着手した。
最強のローション風呂があるので順調に進み、実用段階に達した。
男が一度出すまでにエーリカが達した数は、浅いものを含めれば両手両足の指では少々足りない。
エーリカの色々なところを使って男が三度出す頃になると、エーリカの体力と意識が怪しくなってお薬の出番となる。
エーリカは赤い回復薬を五度服用させられた。
男は一度も服用しなかった。
▼
男の前で服を着るのが、エーリカには少しだけ恥ずかしかった。
色気の欠片もない下着だし、その上に着るのはダボっとしたジャージである。時間がないからと言われて選ばれた服であるが、もっと可愛らしい服を着たくなる。
これだったら裸でいた方が、と思わなくもないが流石に断念した。
誤解と見栄と雰囲気と勢いで流されてセックスしてしまったわけだが、終わってみれば凄いの一言だった。
生身にはこんなにもいいものがあるのかと初めて知った。
始める前は悪くないと思っていた男が、良く見えてしまって仕方ない。
見てるだけで心が弾み、近付きたくなり、触れたくなって、声が聞きたくなり、抱き締めて欲しくなる。
けれど出てくるのは憎まれ口。
「あんた上手すぎ。そんなに女が好きなの?」
「自負があると申し上げたでしょう? それと、好き嫌いと得手不得手は全く別の問題です。エーリカ様が大変お綺麗で体も素晴らしいのは言うまでもありません。勿論好ましく思っておりますよ」
「ふんっ」
何を言っても上手に返してくれるこの安心感。
気を抜いたら顔がだらしなく緩んでしまう。緩めてしまっても問題ないと気付き、にひひと笑った。
ところで、エーリカは生身を得たからこそ快感を得られたのだと思っているし、男もその通りだと思っている。
実のところ、無関係とは言わなくとも、絶対必要とまではならなかった。
形而上の領域で触れ得る男なのだ。だからこそサイボーグ体であった時のエーリカは、胸を触られただけで悲鳴を上げた。単なる物理的な接触に留まらず、それ以上のものを感じたからだ。
男がその気になりさえすれば、エーリカがサイボーグ体だろうと星幽体だろうと同等の、場合によってはそれ以上の快感を与えていた。
そうでもなければ、全くの未経験である処女の体が、中でも外でも達せられるようになるわけがなかった。
未経験のエーリカにそんなことがわかるわけがなく、男とても自覚がない。
真の主の主がちょっぴり秘密主義なのがいけないのだ。
「大分時間を費やしてしまいました。私は作業に戻ります。エーリカ様はご自由に為さって構いませんが、出来る限り私と同じ部屋にいらしてください」
「あんたがあんなにするからよ。スケベ!」
「エーリカ様にもお楽しみいただけたと存じますよ。これで体の馴らしは十分に行えたと存じます。お戻りになったら、以前のように楽しむことが可能となりましょう」
「……は?」
緩んでいたエーリカの顔から表情が落ちた。声からも温度がなくなる。
それに気付かない男は言葉を続けた。
「前に生身だった頃は経験豊富だったのでございましょう? 今のお体も十分ほぐれたと存じますから、気が向くままに遊ぶことが叶いましょう。病気を拾ってしまった時も、こちらにお出で頂ければ治療が可能となります。呪いの類すら解呪出来るようです」
「………………」
そういう設定だった。
前に生身だった頃のエーリカは凄い美人の男好きがする体で引く手あまたであり気の向くまま男遊びをしていた。というのはあくまで設定である。
見栄が邪魔して、男の言葉を否定出来なかっただけだ。
そもそも生身からサイボーグになったのは幼女の頃だった。男遊びもクソもない。あるわけない。正真正銘の処女だったし、男に抱かれるのもキスするのだって初めてだった。
最大限に理性を発揮して、自分に非があるのは認めなくもない。
だがしかし、たっぷり愛を交わして、と云うか愛の行為と散々言って来たのは向こうの方。言われる度に心も体も悦んだ。
にもかかわらず、向こうに戻ったら男遊びをどうぞとはどういうつもりか。
自分に非があるのは確かに認める。
しかし、許せなかった。
「死ね!!!!」
zang! ゲヴォアッ! アレ…? ナゼ…。
エーリカが男を殺すつもりで放った本気の蹴りは、ジャケットの上から男を真っ二つにした。
▼
男は速やかに回復してもらってから、工作を中断してエーリカの体力測定を提案した。
その結果、かなり鍛えた成人女性レベルとなった。エーリカのサイボーグ体を分割したレーザー・ビームでも使わなければジャケットを着た男を真っ二つに出来るわけがない。無手では絶対に不可能だ。
次に条件を変えて様々な方向から測定する。
すると、強い感情、生存に関わるような闘争に赴く心境になるとあらゆる結果が跳ね上がった。戦闘用ボディを上回る数値もあった。
エーリカの体は生体脳から抽出した遺伝子情報を元に再生したものである。
ならば最初の測定結果、すなわち成人女性相当の数値になるのが妥当なところであるが、異常な結果を叩き出す。
エーリカは単純に驚き喜んでいるが、男は首を捻る事頻りであった。
男が失念していた、と云うよりも思い至らなかったのは、エーリカの体を作った設備である。
件の設備の本当の主の種族は、五十人力が基準である。血筋がよければその倍。握力で言えば10トンである。これだけで戦闘用ボディを使っていたエーリカを凌駕する。
そして、上限は不明。
加えて、空間拡張装置すら実現する進み過ぎた科学技術。
人工筋肉により、千馬力を可能としていたりする。人間大のサイズが千馬力の力を振るうのだ。凄まじいを通り越して出鱈目である。
件の利用者は、彼の施設を祖父から贈られた。
その祖父は、四つある辺境の内西方全てを管理する大公爵だ。地位も力も埒外である。
そんな存在が可愛い孫娘のために贈った施設。
新生エーリカの体は、普通に強化人間だった。
ポルノグラフィにないものを表現出来るかが長いテーマ
次の次あたりでようやっとソリテールが死にそうな話になるはずです