※この作品はR-18です。

奉仕しないと帰れない部屋に囚われた男の業務記録   作:dolph

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昨夜涼しかったので回復出来ました。
前話が雑だったので補足的な。


小さな二つの勝利

 ソリテールが生きる第一の目的は旦那様とあり続ける事だ。存在理由と言い換えても良い。

 

 第二の目的が旦那様とある事。その瞬間に旦那様と一緒にある事。それが自分の生に価値を与える。第二なのだから、当然第一が優先する。

 第一が潰えたら第二が一番となる。旦那様に二度と会えないと思ったから永遠に一つであれるよう喰い殺そうとした。

 幸いな事に第一は潰えていないらしい。

 話し合いに参加しなかったシュタルクはリーニエから話を聞かされたが、肝心なところが頭に入っていなかった。リーニエが全て話したのは本人から確認済み。

 続いてフリーレンがシュタルクに確認したが、肝心なところを話す前に話が流れてしまう。

 ここまでは旦那様の予想通り。まだ第一を優先すべきである。

 

 第三に保身となる。自分の命とこれからの安全のために何でもし得る。

 

 第四になってようやくこれまでの習慣が来る。人類の研究である。第三は第四に優先するため、これまでは情報を得た対象を尽く殺してきた。故に無名の大魔族であり続けている。

 今は、少なくともフェルン・フリーレン・シュタルクの三者については必要ない。

 フリーレンとシュタルクはアウラの魔法で縛り、フェルンは自らの意思で隠蔽を選んだ。この三者からは後の憂いなく情報を得られる。

 人類は何を求めてどのように行動するのか。旦那様と夫婦になったのも、元はと言えばこれを知るため。夫婦とは人類社会を知るためにとても重要である、らしいのだ。

 ならばこそ、新たに夫婦となった旦那様とフェルンの夫婦生活は是非にも観察したい。

 生憎フェルンには断られてしまったが、フリーレンなら覗き見の魔法を知っている可能性がある。

 

 ソリテールは、これまでに知った人類の性質を最大限に活用してフリーレンの説得に掛かった。

 

 

 

 

 

 

 フェルンは、実に十年振りに兄様と二人きりになった。

 十年前は大人と子供として。

 それから十年経った今は大人の男と大人の女として。そこに結婚したばかりの夫婦と付け加える。

 夫婦が初めて一緒に過ごす夜。初夜である。

 

 色々な覚悟と決意をしていた。決意をしたからこそフリーレンに絶対に妊娠する魔法の有無を尋ねた。

 残念ながらなかったわけだが。あったらエルフがこうも少ない筈がない。非常に有用な魔法と思われるのにどうして開発しなかったのか恨めしい。

 しかし仮にあったとしても、妊娠に絶対必要な行為を省けるわけではない。省きたいわけでもない。

 考えた事もなかったが、兄様に再会した瞬間に何処からか湧き出てきた。

 省きたいどころか望んでいる、らしい。

 再会して抱き締められた時に、結婚してキスをされた時に。もっと、と思ってしまった。

 それを口に出すのは、これまで倣い覚えた習慣やら常識やらに照らし合わせると間違いなくはしたなくて恥ずかしい事である。

 自分はエッチな女の子ではないのだ。

 

 覚悟はしていても、それは受け入れる覚悟であって踏み出す勇気ではなかった。

 暗い部屋で二人きりになっても頭が茹だるばかりで言葉が出ない。

 座っていたベッドから立ち上がって兄様を迎えたのは、ベッドに座っているのは余りにも露骨過ぎると思ったのであって何かをしようと思ったわけではなく、言い訳が際限なく出てくる自覚はあるのだがどうにも出来ず、熱い体は固まったままで、なのだから避けられるわけもつもりもないはずで、逞しい腕に抱き締められた。

 

「さっきは怒られたけどもう一度言わせて欲しい。フェルンが元気で良かった」

「に、兄様……」

 

 一言も残さず会いに行かなくなった自分を気に掛けていてくれた。

 それだけで何も感じないでいた十年の苦しさを自覚して瞬時に癒され、こみ上げるものがあった。

 おずおずと男の背に腕を回して力を込める。もう泣き顔は見せまいと、広い胸に顔を埋めた。

 

 男の言葉は利用者の歓心を買うためではなく、真情そのものである。

 自身が元の世界に戻るために来訪者を必要として、そのためにあらゆる要求に応えてきた。逆から見ると、訪問を見込めない利用者への関心はとても薄くなる。訪れなくなった者たちへは尚更だ。

 故に、訪問しなくなった者が属する世界の情報は全くの不要となる。しかし、フェルンは別だった。

 フェルンが訪れなくなって長くなっても、フェルンの世界の書物を紐解く事が稀にあった。フェルンが心配で、気になったからだ。フェルンは幼い子供だったのだから。

 フェルンが訪れなくなっただけでなく、フェルンと同じ世界出身であるアウラが来訪した。フェルンは死んでしまったのだろうと残念に思っていたのだが、美しく成長したフェルンと再会出来た。

 

「二人きりなら構わないだろう? 会えなかった間に何があったか聞かせて欲しい。今はフリーレン様たちと旅をしているのかな。するとハイター様は。ご高齢と聞いていたしね」

「……はい。フリーレン様に魔法の指導をして頂きました。ハイター様をお送りしてからは一緒に旅をしております。兄様は本当にお変わりなく。アウラ様とソリテール様が何度も仰っておりましたが……、兄様は人間でございますよね?」

「フェルンまでそんな事を言うのか……。正真正銘の人間だよ。あの部屋では時間が止まっているし、不老を授かったと言ったのを覚えてるかな? フェルンは大きくなったけど、私は変わりようがないよ」

「子供扱いするのはお止めくださいと申し上げました! 私はもう大人です!」

「重ねて失礼を。でも、そうだね。とても綺麗になった」

「そっ……それも、おやめください……」

 

 本心なんだけどなあ、とぼやく声はフェルンに届かなかった。

 

 男の好みは黒髪ロングのおっぱいである。中央に位置して絶対の不動である。

 フェルンは髪色こそ違えど、とても近いところにいた。加えて暗い部屋だと、紫色の髪は黒く見えなくもない。部屋の灯りはまだ落としていないが、フェルンの髪が紫色に輝く明るさはなかったのだ。

 抱き締めれば豊かな胸が押し付けられ、否が応にも服の下を想像させられる。とは言っても、男にそのつもりはなかった。

 ソリテールのおかげで恥辱に塗れた死は避けられた。フェルンに協力してもらわなくても大丈夫である。精力は兎も角として、性欲は薄いであろう自負があった。

 それよりも会えなかった間の話をしたい。そしてそれに優先すべき話があった。

 

「フェルンが綺麗になったのは本当だけど、忘れない内に話しておく事がある。ソリテール様には先に聞いてもらった。フェルンにも聞いて欲しい」

「……どのような事でございますか?」

 

 ここにはいない女の名前である。ついさっき良からぬ事をしていたらしき相手の名前である。

 ソリテールはどういうわけか兄様と夫婦関係にあるらしいので夫婦で為される事をしていてもおかしいとまでは言えないかも知れないが自分もまた結婚して夫婦になった。二人きりになってこれから初夜と云う時に聞きたい名前ではない。

 

 フェルンの表情が抜け落ちて声が凍えても、男は気付かない。今は並んでベッドに座っているから顔が見えないのだ。

 気負わず言葉を続け、フェルンはソリテールの事も忘れて食いついた。

 

「確証はないが確信はしている。傍証はある。フェルンが失くした鍵の事だよ」

「どういう事でございますか?」

「シュタルク君は話を聞いていなかった。リーニエが改めて説明したのに頭に入ってない。フリーレン様が確認したが、フリーレン様もまた鍵とドアの事を話せなかった」

「……それは何を意味するのでございましょうか?」

「鍵の話を聞き、それを話せないフェルンたちには鍵の所有権があると云う事だよ。いつになるかわからないが、遠からず誰かが手にするだろう。そうでもなければ私がここにいる訳がない。そうなったら皆で来て欲しい。フェルンが来てくれていた時のように歓迎するよ」

「あ……。それ、は……」

 

 男の言葉が頭に染み込むまで時間が掛かった。

 フェルンは呆然と開きたがる口を抑えられず、大きな目が大きく見開かれて丸くなる。

 

「また、あの部屋へ伺えると? これからも兄様にお会いできると? そう云う事でございますね?」

「そう云う事。フェルンがまた来てくれるのをずっと待っているよ。今度こそルールを破らないで欲しい」

「それは……もちろんでございます! もう二度と、けっして……。ずっと、兄様に……!」

 

 フェルンの十二年前。今のように泣きつくことが何度もあった。涙の意味はその時と全くの正反対。

 幼いフェルンへ何度もしたように、男はフェルンの頭を優しく撫でた。

 

 

 

 涙が止まっても、フェルンは男の胸にいた。

 顔を上げられない。前提条件が覆った以上、意味がまるで違ってくる。

 

 初夜を求めたのは子作りのため。実態はソリテールの提案を受けて時間を譲ってもらった形になるが、そこはどうでも良い。

 幼い頃にお嫁さんになると信じて疑わなかった兄様との子供を授かって、二度と会えなくなっても兄様は確かにいたのだと、自分と愛し合った証があるのだと世界に認めさせたかったからだ。

 しかし、これからも会えるらしい。確証はないらしいので絶対とまでは言えないが、そうであるらしい。

 説明を聞くと少なくとも一週間はここにいて、明日にもいなくなってしまう、と云う事はないようだ。

 どれも推測ばかりで絶対ではないのだが、そんな事を言われて猶予を与えられると決意と覚悟が揺らいでしまう。

 そもそもにして、絶対に妊娠する魔法がない以上、子供が出来る事をしても絶対に出来るとは限らない。だから子供は授かりものと言う。可能性を高めるには数を打った方が良い。一体何をどこへ撃つのか。

 具体的な色々が脳裏を過って顔から火が出た。

 

「まだ早い時間だろうけど冬だから日が沈むのが早いね。外はもう真っ暗だ。でも遮るものがないし、他に灯りもない。夜空が良く見えそうだね。寒そうだから出ないけど」

 

 命を握られてるメイド長ではない方のメイド長に防寒ブレスレットをプレゼントされて大切にしているのだが、用がない時は基本的に外している。自身の世界のお屋敷の書斎に置いてそのままだ。

 

「そうで、ございます、ね」

「フェルンには見飽きた夜空かな? でも私には初めて見る星空だ。星図や天球図を描いてみたい。私がここで何かを作って残すのは問題ないだろう」

「そうで、ございます、ね」

「そこに触れた書物もあったが、実際に見ると随分と不正確だ。天文に関心が向かないわけがないからそこまでの余剰がなかったのか。魔族が本を書いてくれれば良かったんだが。魔族でなくとも長く生きた方々は魔法ばかりのようだし」

「そうで、ございます、ね」

「私は魔法の理論はわかっても実践以前に魔力を知覚出来ない。フリーレン様も私から魔力を全く感じないと仰っていた」

「そうで、ございます、ね」

「……フェルンはどうかしたのか?」

「そうで……、いえ。そういうわけでは……ございませんが……」

 

 子作りの使命感で覚悟が出来た。

 そこが揺らいでしまうと、とても厳しく難しい。

 それならば一切を忘れて、と云うのは不可能だ。

 兄様の顔を見ていたい。声を聞いていたい。傍に居たい。だけども小さな頃とは違って、見られているのが恥ずかしい。それだけなら問題なかった。問題は、体が熱い事。

 部屋で一人待っている間も色々な事を浮かべて体が熱くなり、服の汚れをきれいさっぱり落とす魔法を使用した。夜着にしている白いワンピースはどこも汚れていなくとも、下着を少々濡らしてしまった感覚があった。

 今は想像ではなくて、実体を伴った兄様がそこにいる。抱き締められて想いを再確認した。距離を空けずに座っているので体温が伝わってくる。気が緩むと精度を増した想像が叩いても叩いても際限なく湧いてくる。

 

「ふむ……」

「なっ!? んで、ござい、ます、か?」

 

 男に腰を抱かれて引き寄せられ、顎に指を添えられ俯きがちな顔を上げさせられた。

 思わず出た声は裏返った。間近で顔を覗き込まれ、体中が火照ってくるのを自覚する。はしたない想いを見透かされるようで恥ずかしくて堪らないが、見て、見られるのは喜びだ。

 少しだけ苦しくても、間違いなく幸せな時間である。

 

「ソリテール様は初夜と仰った。フェルンと結婚したんだからその通りではあるが……」

「はっ…………。はぃ…………」

「フェルンは初夜の意味を知っているかな? 知らないようなら明日教えるよ。私は何も言われなかったから、今夜はここで寝ればいいのかな?」

「それは……」

 

 かつて淫乱う゛ぃっち吸血鬼が勘違いした初手の羞恥責めではない。

 フェルンが求めているなら兎も角、一先ずの死を避けられたのだから無理に抱こうとは思わない。数限りなく淫魔淫獣と指差されて来たが、ちゃんとした人間であって性欲が強い訳でもないのだ。

 その上、男の記憶にあるフェルンは小さくて可愛らしい子供だった。美しく成長した今も当時の名残がある。フェルンは美しい大人の女性だけれども、子供の頃の延長と見ていた。

 生乳を揉んでも立たせなかった実績があり、そのつもりはない。フェルンと思い出話をしながら寝るつもりでいた。

 しかし、フェルンはそうではないとしたら。

 

「それは……」

「それは?」

 

 フェルンは、暗い部屋でも赤く青く輝く瞳を見た。空の星々よりもずっと綺麗に煌めいている。

 飲まれるようにも落ちていくようにも感じられて、外に世界はなくここには二人しかいない事を理性に依らずに受け入れた。

 恥ずかしいしふしだらとも思うし、そんな事を言ってしまって幻滅されたらと思えば怖くもなるが、理性ではないものが強く求めている。

 そこへ理性が少しだけ支援した。おそらくはソリテールとそのような事をしていたらしいのだから、正式に結婚した自分が求めるのは全くもって問題ない事である。

 

「存じております」

 

 フェルンの答えを聞いて、男はパチパチと二度瞬きをした。

 目の前のフェルンはいなくならない。潤んだ目で真っすぐこちらを見詰めている。聞き違えでなければ、フェルンが幻なわけでもないらしい。

 

 子供だったフェルンが、瞬間的に大人の女に変わったようだった。

 

「初夜にする事も知ってるかな?」

「知っております」

 

 今度の答えは早かった。じっと向けられる双眸も揺らがない。

 

「そう、だね。夫婦になったなら当然だ。夫婦の夜に相応しい事を教えるよ。実践しながらね」

「はぃ…………、あっ!?」

 

 腰を抱いていた手が少し上がって胸に触れた。正しくは、胸の下部にぶつかっただけであるが、間違いなく触れている。乳房の柔らかさを感じられている。触れているのを感じている。

 

「フェルンの体全部を触れる事になる。服の上からじゃない。小さなフェルンを洗ってあげた触り方でもない」

「ぁ……」

 

 唇が耳朶に触れていた。

 フェルンの髪は長く、腰まで届く。眠る時はまとめず流すが、今は精いっぱい綺麗にしようと前に流れる髪は髪留めを使ってまとめている。出している耳に男が唇を寄せ、これから起こる事を宣言した。

 

 囁かれた言葉が頭の中に入ってぐちゃぐちゃにかき回す。

 色々な思い全てを刺激して、争って、一番強いものが勝利を収めた。

 半ば呆然として男の顔を見上げれば、見た事がない顔をしていた。

 優しいようでも知らない顔だから少し怖くて、だけども真っ直ぐに自分だけを見詰めていて、息が詰まって胸が高鳴れば体を火照らせて、いつの間にか湧いていた唾を、喉を鳴らして飲み込んだ。

 

「わかって、います」

 

 声が掠れた。

 唾を飲み込んで潤っているはずの喉が、どうしてか乾いている。

 

「それなら……」

「あっ!」

 

 男の手のひらが上を向いた。下から軽く触れるだけだったのが、フェルンの乳房に触れた。フェルンなりに大きいと自覚して、フリーレンがちょっぴりアンニュイになってしまう大きさ。

 服の上からではあったが、男の手指が乳房を包む。

 子供の体を洗う手付きではなくて、女の柔らかさを感じるための触り方。

 フェルンがそちらへの関心を少しでも持っていたら、男が浮かべる表情をいやらしいと評したかも知れなかった。

 

「フェルンにも俺に触れてもらうよ?」

「はぅ…………。はぃ……」

 

 子供ではなく女であると認められたのを、求められているのを、フェルンの体は理解した。

 

「誓いのキスはすぐに離れたけど、今度はそうはいかない。教える通りに、された通りにやってごらん」

「はい……。教えてください……。んっ……」

 

 乳房を這う手が蠢いている。

 今のように膨らんできてからは、自分以外に誰にも触れさせなかった場所。少しくすぐったく思うけれど、不快ではない。

 触ってくるのだからきっと触りたいはず。触りたいのなら幾らでも触っていて構わない。服が邪魔なら脱いでしまってもいい。

 悦んでもらえるから触って欲しいのか、触られたいから触っていて欲しいのか。どちらなのか曖昧だ。きっとどちらであっても、どちらもでも問題ない。

 

「あ……。ちゅ…………。んぅ…………。んっ…………」

 

 顔と顔が近付いて、唇同士が触れ合った。

 すぐには離れず、押し付け、微かにずらして、唇と唇の間にぬめる何かが入ってくる。

 縮こまっていた舌をつんつんとつつかれて、フェルンは応えた。された通りにと言われたばかり。

 唇と唇を強く押し付けて、その中で互いの舌が行き来している。絡み合って舐め合って、頭の中でぐちゅぐちゅと粘着質な音が響いた。乾いた喉が潤ってくる。

 

「んっ……んっ……、あっ……。兄様……?」

「脱がせるよ?」

「…………はい」

 

 キスをしている間もフェルンの乳房を堪能していた男の手が、白いワンピースのボタンを外し始めた。

 全てのボタンを外すとキスは一旦中断。

 ベッドの真ん中で二人は向き直って、男はフェルンが着るワンピースの前を開いた。開くに留まらず肩まで出させて腕も抜く。

 薄暗い部屋で、白いブラジャーは仄かに光るようだった。

 

「んっ……」

 

 世界が違ってもブラジャーの作りは同じだった。

 幼いフェルンは着ける必要がなかったし、魔族から裸族になってしまいそうなアウラは着けていなかった。ソリテールは着ける必要がない。

 知ってる作りなら滞りなく万事が進む。命を握られてるメイド長に怒られた時とは違うのだ。

 男は片手でも外せるが、今回は抱き締めるようにフェルンの背へ両手を回す。

 ホックを外すと、豊かな乳房が僅かに揺れた。

 

 フェルンは部屋の灯りを落とす事を完全に失念していた。

 

 

 

 

 

 

 一方その頃、ソリテールはフリーレンとの論戦に勝利した。

 愛しの旦那様を悪逆非道な男であるように語りはしたが、フリーレンはそのように思っているのではないかとの推測を口にしただけである。仮に旦那様に聞かれても問題ない。聞いても気にしないと思われる。

 

「お前の口車に乗ったわけじゃないよ。フェルンが心配だからだ」

「わかってるわ。私は人類を研究してると言ったでしょう? フリーレンがフェルンを心配する気持ちはよくわかるの」

「どうだか」

 

 心配する気持ちがあるだろうと推測出来るので、そこを刺激して人類を狩った事が何度もあるソリテールである。それが今この時に勝利を与えたのだ。何が役に立つかわからない。だから色々知りたいと思ってしまう。これから知る事もその一つ。

 

 しばらく胡乱な目でソリテールを見ていたフリーレンは、一つの魔法を発動した。少し離れたところを見る魔法、である。

 本当に少し離れたところしか見えない。精々がドア一枚向こうを見れる程度。それくらいだったら自分の目で見た方がずっと早い。

 一応は壁の向こうが見えるので待ち伏せ防止に使えるようでいて、ドア一枚の距離まで近付くくらいなら他に有効な魔法がある。その上、憎たらしい事に宝箱の中身は見えない。

 魔法なら何でも収集しているフリーレンであるが、この魔法は肝心なところで役に立ちそうでいて立たない魔法である。覚えた直後と、宝箱への試用を何度か試しただけで、以降は使った事がなかった。

 

 なお、エルフと魔族がいる部屋は新婚夫婦の隣である。

 壁一枚向こうが見えるだけで全てが見えた。

 

 ソリテールの勝利は二人の開戦に間に合った。




このペースで作中一週間を書くとあと20話くらい要るのではなかろうか。
適度にキンクリしなければ、と思ったところでキンクリとの表現を最近見ないと気付く。
検索するとJOJO五部発表が95年と云う事は30年前。
見なくなるわけだ。
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