※この作品はR-18です。

奉仕しないと帰れない部屋に囚われた男の業務記録   作:dolph

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魂が教えること 魂に触れ得るアウラ▽

 命令を受けて男が最初にしたのは茶器をワゴンに戻すこと。アウラは眉間に皺を刻んだ。

 もちろん男に片付けさせるつもりだったが、始めにするのがそれなのか。自分より雑事を優先されるのはとても気に食わない。

 空いた皿でも投げつけてやろうと思ったところで男に訊かれた。

 

「任されたわけだが、場所くらいはアウラが選んでくれ。どこがいい?」

「……そうね」

 

 特別訓練をする場所はその時によりけりだ。応接間であったり書斎であったりバスルームであったり、始めようと思った時にいた場所を使ってきた。

 今回は訓練より進む予定。いつもと同じ場所ではいささか足りない。基本はベッドルームと思い、アウラはそこへ通じるドアへ視線を走らせたが、却下した。それではここに来る連中と同じである。

 

「私の部屋にするわ」

 

 異界の部屋では、管理者たる囚われた二人の意思で部屋を増設出来る。中にはダクネスが一度だけ使って封印したモニタールームのような部屋もある。

 その機能を使って、アウラは自分だけの部屋を作っていた。部屋への訪問者は絶対に入れない。この男でも、アウラが許可しなければ入らせない。アウラが過ごすためだけの部屋である。アウラはその部屋で寝起きをしていた。

 

 ちなみに、男の方はいつも適当なところで寝ている。書斎のソファで寝ていたことは数知れず。自身の世界では廊下で行き倒れた事もあるくらいなので、眠れる場所ならどこでも良いと思っていた。このささやかな堕落によって、自身の世界で困る事はないのだ。

 

「ついてきなさい」

「待った」

「なによ?」

 

 立ち上がったアウラを、男が呼び止める。

 茶器の片付けといい、続けて水を差された事に眉間の皺が深くなって、男は何を思ったかアウラの前で跪いた。

 

「失礼」

「キャッ!?」

 

 男に足を払われ、体が後ろへ倒れた。

 突然の浮遊感に、反射的に受け身を取ろうとして、背中を力強く支えられた。払われた足も、膝の裏に男の腕が差し込まれている。

 男が立ち上がれば視線が高くなる。

 横抱きにされたらしかった。

 

「ビックリするでしょ!? いきなりしないで!」

「だから失礼と断っただろうが」

「あんたバカじゃない!?」

「……アウラの部屋に向かうよ」

 

 魔族にバカと呼ばれるのは非常に遺憾であるが、魔族と言い争っても得るものはないと、男はとっくに悟っている。加えて今はアウラの時間。反論はせず一歩を踏み出し、茶器一式その他を乗せたワゴンの持ち手に足を置いた。

 そのまま強く蹴り押し、完璧な加速を与えられたワゴンは乗せた茶器やグラスを倒すことなく音もなく滑って、アウラの部屋の前でピタリと止まった。

 無駄に芸がある男なのだ。真の主の主にロボ疑惑を抱かせたのは伊達ではない。

 

「途中で喉が渇くと思ってね」

「……そう」

 

 今しがたの無作法を言い訳するような口ぶりである。アウラにはどうでも良かった。

 抱き上げられ男の顔が近くなり、アウラは少しだけ視線を上げてすぐに下げた。

 食事を挟んでも風呂の後なので、アウラはバスローブ一枚だ。肌触りが良くて水気を吸うために厚手で、けども一枚下では心臓がうるさく鳴っている。

 突然倒れそうになったのだ。動悸がするのは当然だ。

 

「ドアを蹴り開けていいかな?」

「止めなさい。私が開けるわ」

 

 広い応接間だろうと、アウラの部屋まではあっという間。

 男の腕の中からアウラが手を伸ばし、ドアノブを捻って軽く押しやる。

 ドアは滑らかに開き、男がまたもワゴンを蹴り押し、アウラはベッドの縁に座らされた。

 ドアを閉める男の後姿を、何とはなしに目で追っていた。

 

 

 

 アウラは女であっても魔族だ。部屋に無駄な物はない。

 応接間に比べたら遥かに狭いが、アウラが一人で使うには十分な広さ。

 棚に並ぶ書物はアウラが書いたもの。文字通りの書き物で、紙にメモした物を本の形に綴じただけ。

 机の上には書きかけのメモが幾つも重なる。筆記具は定位置に。

 アウラがまめに整理しているわけではなく、部屋を出ると勝手に位置を変えられる。書斎から持ってきた書物も目を離せば書斎に帰ってしまう。掃除をしなくてもいいのは楽だが、変なところで不便である。

 脱いだ服もクローゼットルームに帰ってしまうため、裸で寝ると裸で彷徨う事になる。けしてアウラが魔族から裸族に進化したわけではないのだが、服を取りに行く前に男に声を掛けるのがよろしくなかった。そもそもハンガーなどに掛けておけば勝手に帰ってしまう事はない。それが出来ない時が多いので、度々クローゼットルームへメイド服クエストに出る羽目になる。

 

 いわゆる女らしい装飾や小物は何処にもなく、実用性しか存在しない。その反面、壁や調度は応接間と同等に豪奢である。主人がいない部屋にも見えた。

 その主人が座るベッドは、アウラだけが眠る一人用。但し、部屋の広さに合わせてベッドも大きい。同じ方向に三度寝返りを打っても落っこちない。二人が暴れる広さには十分すぎる。

 

「さて」

 

 ドアを閉めた男が戻ってきた。

 すぐにはアウラに触れず、脱いだジャケットを椅子に掛けた。

 アウラと違って、こちらは風呂の後でもバスローブではなく三つ揃えを着ていた。ここを油断するとどこまでも堕落する自覚があったからだ。と、本人だけは注意しているつもりなのだが、既に堕落しきってどうにもならないと周囲から思われているのは余談である。

 

「アウラの好みもあるんだろうが、まだアウラにもわからないだろう?」

「だからあんたが考えなさいって言ったでしょ」

「そうだったな」

 

 ベストも脱いでジャケットの上に。

 ワイシャツのボタンは、フリーレンを驚かせた技で流れるように外してしまう。シャツの合わせ目から覗く男の肌に、アウラの目は引き寄せられた。風呂では全てを見たと云うのに。

 

「それなら、逆にされたくない事はあるか?」

「だから知らないって言ってるでしょ。あんたが考えなさいよ。でもあれみたいにしたら許さないわ!」

 

 脳裏にあるのはダクネスの痴態である。重度、或いは極度の被虐嗜好であるダクネスは、実に手荒な扱いを受けていた。あれが基準だったら堪らないし、あれを基準と思われたら男の方も堪らない。

 

「するわけないだろ……。あれはダクネス様が強く望んだからだ。俺がいつもあんなだと思われたら困る」

「じゃあ絶対にするな」

「しないよ」

 

 ワイシャツも脱ぎ捨てた男は、複雑な苦笑を浮かべていた。

 

「他は、そうだな。今までしてきた訓練は手で触れるだけだった」

 

 男がかざす右手は、五本の指が独立したように連動せずに蠢いている。アウラは食事の前の風呂で味わったばかりだ。記憶も鮮やかに、湧いた唾を飲み込んだ。

 

「今度は口も使う事になる。キスまではしているしな」

「……別に」

 

 訓練時の絶頂で高ぶって、アウラから男の唇を奪った事が何度もあった。

 始めこそ何であんな事をと自身の不可解さに自問自答したが、繰り返せば慣れてしまう。或いは覚えてしまう。もしくは覚えさせられたか。

 五回訓練すれば、その三倍は唇を重ねていた。

 

「唇だけじゃない。アウラの体中に触れるだろう。それは構わないかな?」

「あんたが考えなさいって言ったわ」

「賜りました」

 

 男はにやりと笑い、アウラの隣へ。

 但しベッドに座るではなく、今度もアウラの体を抱き上げた。

 たった二歩の距離をアウラは運ばれ、ベッドの真ん中で下ろされた。

 横たわったまま胸に手を置きシーツを掴み、男がスラックスを脱ぎ捨てるのを眺めていた。

 始まりの言葉はなく、逞しい体が近付いてきた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 

 本日、と云うと語弊があるが、男は目を覚ましてからソリテール達を迎え、三人からの求めに応えていた。中でもフェルンはちょっぴり欲張りだったので、合計して二桁に届いている。

 体力や精力は赤い回復薬を度々飲んでいたので万全だが、それだけすると飽きが来る。これ以上は余程の相手か、頑張らないとその気になれない。

 そこでアウラは、命令とは無関係に特別だった。処女のまま徹底的に開発したので、どの程度仕上がっているかと云う楽しみがある。

 

「……それ、本当にいつもするわね。犬にでもなったつもり?」

 

 アウラに覆い被さった男が始めにしたのは、首筋に顔を埋めて鼻を鳴らすこと。風呂以外で訓練をする時は必ずしている。臭いと言われたらただではおかないつもりでいるが、男の言葉はいつもと同じ。

 

「今日もいい匂いがしてるよ」

「風呂に入ったばかりじゃない」

「好きな匂いなんだ。良いだろう?」

「……別に、いいけど」

 

 アウラの頬に手を添えて首筋に顔を埋める男には、アウラの目が泳いだのが見えなかった。

 

 処女のまま開発したのはアウラだけではない。そちらと比べても、アウラはやはり特別だった。

 髪や体を洗う浴用品以外に、日々の食事さえ気を配った。食べたものが体を作るのは魔族も同じであるのだ。その結果、アウラの体臭は男の好みになっていた。好きな匂いの五指に入っている。

 一位から三位までは同一人物の匂いなので、実質的に一・二を争うと言って良い。

 良い匂いで好きな匂いなのだから、嗅いでいたいのは道理である。

 

「ひゃっ!? くすぐったいでしょ!」

 

 男の鼻先は首筋から頬へ、頬から更に上がって尖った耳に来た。そこで匂いを嗅がれると、耳の穴に息を吹き込まれる。訓練では感じた事のない刺激だった。背筋に悪寒らしきものが走って声を上げたが、体は動こうとしない。

 

「基本中の基本なんだが気付かなかったな。まあ、いいか」

 

 男の声音はどこか悔いるようである。

 

「……何のことよ?」

「ここの事だよ」

「ひゃっ!? だからやめっ……!」

 

 頬を撫でていた手が進み、耳に触れた。輪郭をなぞり、薄い耳朶を揉み始める。それだけだったら少々くすぐったいで済ませられるところを、匂いを嗅がれていた方には濡れた感触。耳で感じる温かさが深いところまで沁み込もうとして、浸る前に離れてしまった。

 あ、と知らずに出てきた声は、男の耳に届いていた。

 

「アウラは好きそうだと思ったんだけどね。やめろと言うなら止めておくよ」

「…………あんたが考えなさいって言ったでしょ。一々私に聞かないで」

「アウラが悦ぶために?」

「そう言ってるわ」

 

 アウラの顔が男からは見えないように、男の口角を上がるのがアウラからは見えなかった。

 

「仰せの通りに」

「ひゃんっ! んっ……、だから、くすぐったい、……って! あっ……」

 

 男が尖らせた舌をアウラの耳孔に差し込み舐め上げ、今度はすぐに離れない。

 濡れた舌の這いずり回る音が頭の中で反響している。舐められているのは耳なのに、もっと深いところのように錯覚する。粘り気のある水音なのもよくなかった。男の垂らした汁が体の中に混ぜられているかのよう。

 耳を繰り返し責められるのは初めてで、そちらに気を取られてすぐには気付かなかった。

 気付いた時にはバスローブの腰紐を解かれて、合わせが大きく開かされていた。肩まではだけている。胸が出ていた。

 

 さっきは一緒に風呂を使って体中を洗わせたのだから、裸を見せるのも触らせるのも今更のこと。

 けれども男の手が乳房に触れるのは、それとは決定的に違うように思えた。

 

「アウラの胸は揉むほどあるね」

「だから何よ?」

「触ってて楽しいって事だ」

「あんっ!」

 

 乳房を包む男の指が、柔らかな乳肉に埋まろうとした。

 

 魔族の強靭な肌を極上の環境で丹念に磨き上げ、肌触りはとても良い。

 ソリテールが時々愚痴のような疑問をこぼすように、アウラの乳房はそれなりにある。フェルンには流石に負けるものの、五指を広げても包み切れない。

 魔族であろうと女の甘い肉であり、けども柔らかすぎず適度な張りがある。

 そして一番は、男が楽しみにとっておいたもの。

 数度揉んだだけで、指と指の間に挟まれた赤い突起が腫れてきた。

 

「アウラだけじゃない。俺も楽しませてもらおうか」

「なにを、かってに、……んっ…………くぅっ!」

 

 髪よりも鮮やかなピンクの突起は、充血して真っ赤になって尖っている。内側から張り詰めて、始める前と比べたら明らかに形も大きさも変わっている。

 指で摘まめば、柔らかさよりも小生意気な弾力を持っていた。

 緩急つけて摘まみ続け、時に転がし引っ張ると、アウラは喉で鳴くようになる。

 

 アウラの訓練もとい開発は、胸から始まったのだ。アウラが声を出さないように耐えようとも、これからどうなるかを男は知っている。

 

「なっ……なによ……。何見てるのよ……!」

「アウラを悦ばせると言っただろう? アウラの反応を観察して試行錯誤するわけだ」

「そんなの……、いつもの……。んっ!」

 

 アウラの耳に首筋に頬にと唇を落としていた男は、唇までは奪わない。掠める距離でアウラを見下ろしている。

 左腕はアウラの頭の脇に肘をついて体を支えていても、右手はアウラの乳房を這っている。

 揉みしだいて乳首を責めて、男の手は幸せになっているのに、アウラは敵意すら混じる鋭い目で男を睨んでいた。けれども目は潤み、口は閉じていても喉で鳴き、赤い唇も時折綻ぶ。

 そのままアウラの顔が歪むのを見届ける事なく、男はアウラの体を下がっていった。

 

 魔族であるアウラは基本的に表情を動かさない。訓練時もそうしようと思うのか、顔を強張らせて声を抑えようとする。抑えられなくなると顔を手で覆う事も多い。かざされた手の向こうでアウラがどんな顔をしているのか、男は知っている。抑えきれなくなった声の甘さも知っている。

 普段との落差が大きいだけに、とても良いものなのだ。

 胸への愛撫を続けて暴いてしまう事も出来たが、楽しみに取っておく事にした。アウラを悦ばせると同等以上に、自分も楽しむつもりでいる。

 

「んっ……」

 

 男の唇はアウラの喉へ吸い付き鎖骨をなぞって、柔らかな膨らみに下りていく。乳房に鼻を押し付け甘い体臭を楽しみながら、唇では乳肉を軽く啄んで、自己主張する乳首は舌で触れた。

 アウラが小さく鳴くが、視界には白い肌しか映らずどんな顔をしたか見えないでいる。アウラを悦ばせるのだから、安心して緩めて欲しい。

 余計な祈りを込めつつ、舌で捉えた乳首に吸い付いた。

 指で摘まんだとは違う乳首も、アウラは尖らせていた。歯で甘く食み、先端を舐めてやれば一層張り詰めてきた。色づく乳輪もうっすら膨らみ、目立つようにと赤みを増して吸うのに適した姿に変わる。

 生殖しない魔族が授乳するわけがない。なのに乳首があるのは、この時に吸われるため。

 形が良ければ、転がしても戻ってくる弾力も愛らしい。色艶が見えないのは舌で味わっているからだ。

 ここまでは男が感じる事であって、一番良いのはそれ以外。

 

「んっ! ……くぅ…………。んっ! ……ぁんっ!」

 

 喉で鳴るだけだったアウラの声が、くぐもったものに変わってきた。口の中で留められず、シーツを握っていた手を口元に置いている。抑えようとしても、甘い響きまでは隠せない。

 いつもなら鳴かせるだけ鳴かせてアウラが満足するか、一定時間を経過したら終了となる。今回は違う。

 これまでは訓練と完全に割り切っていた男であるが、アウラの命令はそこで留まらない。

 どんな声で鳴いて、どんな顔を見せてくれるのか、期待に駆られてしまう。だからと云って、逸る愚は犯さない。

 乳首に吸い付き時折歯で噛んでやりながら、乳房を握っていた右手はアウラの体を這っていく。

 

「ひゃんっ!? バカ! どこさわってるのよ!!」

「……失礼」

 

 脇腹を通ったのが拙かったらしい。アウラの開発は順調に進んでいたのだが、弊害としてちょっぴり敏感になってしまっている。不意に触ると怒られるのだ。

 

「次はわかるだろ? 言ってやった方がいいか?」

「……わかるわよ」

 

 流れを壊さないよう謝罪は軽く。

 

 アウラは処女でも、一連の流れを知っている。

 ダクネスとの行為を見せられたのは全く関係なく、訓練の流れがそうだったからだ。

 胸へのマッサージの次に来るのが下半身。股を開いて脚の付け根を触りやすい姿勢になって、そこへ男の手指が伸びてくる。

 

「っ!」

 

 男が位置を変えようと体を起こせば、アウラは咄嗟に顔を背けた。

 そんな仕草が一々可愛らしい。かと言って無理に見ようとすると怒られる。魔族の矜持がどこにあるのか今ひとつわからない。魔力だけでなさそうなのはアウラだからか。

 つまらない考察は一瞬で打ち切り、男はアウラの体を見下ろした。

 バスローブは上から下まで完全に開かれて、張りのある乳房は仰向けになってもつんと上向き、乳首が部屋の灯りに照り光る。

 括れた腰にいつも見せてるへそに目を引かれるが、そこの開発は次回以降だ。

 下着のたぐいは着けてない。白い下腹に顔を近付ければ、アウラの匂いが鼻孔をくすぐる。髪と同色の陰毛に匂いがこもっているらしい。ピンクの下生えに覚えた違和感は、とっくになくなっている。

 わかっているアウラはしなやかな太ももを開いて、処女であっても入念な開発の甲斐あって女の割れ目も薄く開き、

 

「まっ、まちなさい! ……どうするつもりなのよ?」

「どうするって何のことだ?」

 

 突然の制止に、男はわけがわからなかった。

 顔を上げれば、アウラは逸らすことなく真っすぐ見返す。堪えるような顔ではなくて焦燥が浮かぶのは、何が気になるのかさっぱりわからない。

 

「だって…………。手じゃないの?」

 

 訓練で何度も触られているのだから、見られたり触られたりは今更だ。けれども、知らない事があれば戸惑いもする。

 触られると思ったのに男の手は太ももに触れて押し広げ、近付こうとしたのは顔だったのだから。

 

「今日は口も使うと言っただろう?」

「口? ………………舐めるの? あそこを? あんたが?」

「そう言ってる。もういいな?」

「え? え? え、まっ……、まち……、あっ……! そんなとこぉ……!」

 

 任せたのはアウラの方。クンニリングスは全くもっておかしなことではない。

 太ももを押し広げる手指はなめらかな肌を滑り下り、親指が乳肉より柔らかな割れ目に届いた。興奮か快感で上気し少しだけ髪色に近付いた陰唇は、弾力が薄く頼りないほど柔らかだ。そして、それよりも柔らかなところを隠している。

 隠しきれずに僅かに覗かせる内側は、アウラの内側の色。始める前から潤う肉色は、食欲にも似た獣欲を刺激する。

 開きながら親指を上下に動かせば、透明な汁を湛える穴がある。指は何度も入れてきたが、入り口を狭める肉ひだは残ったまま。今日はこれを破いてやるのだ。

 割れ目の上端は広げるまでもなく、小さな肉芽が見えている。まずはこちらで、根元を軽く指で押さえれば、包皮が剥けてつるりとした顔を見せた。直には触れず根元を扱くと、見る間に膨らんできた。こちらは立ってきても乳首ほどには硬くならない。始めから強い刺激は厳禁である。

 優しくすべく、男は唾を乗せた舌の腹を、軽く押しあてた。

 柔らかな肉でも丸い形がはっきりと感じとれ、舌先にはアウラの味が乗ってくる。

 

「あっ……、んっ! あん……、やぁ……、そんなぁっ! あっ!? ひゃんっ!」

 

 くぐもった声が甘さを増して、はっきりと男の耳に届き始めた。

 太ももの内側が汗ばみ、アウラの熱と匂いが濃くなってくる。

 爪先はシーツを掻いて、口を押さえられない手は枕を握った。

 これまでを吐き出すように鳴きだした。

 

「ああっ!? いっしょにするなぁあぁぁああんっ!」

 

 唇でクリトリスを甘く食み、吸いながら舌で転がしていれば、手指は少し下を責めていた。

 

 クリトリスは勃起させられ指で押さえなくとも包皮が剥けたまま。空いた両手はそれぞれで、左手は揉んでやれなかった方の乳房を握って楽しみながら楽しませ、右手は中指を立て膣口に突き立てた。

 処女膜の裂け目から入った指は、濡れた弾力に阻まれず根元まで飲み込まれた。温かく滑らかで、形のない泥に包まれているようだ。そのくせ全ての方向から締め付けてくる。

 アウラの中を良く知っている。指がざらつき具合を覚えているし、アウラがどこを好むかもわかっている。

 鼻先をピンクの陰毛にくすぐられながら、口の中では肉芽を嬲り、中では出し入れする事なく折り曲げた。

 

「あぁ……。そこ、そんなにぃ……! すうなばかぁ……! あっ、やっ、あぅ……! ……あぁんっ!」

 

 ポカリと男の頭を叩くが軽いもので、むしろ押し付けるように銀色の頭へ手を置いたままにする。

 開いた太ももを閉じようとするも、間には男の顔があって閉じ切れない。太ももで男の顔を挟んでやるようなもの。

 勝手に腰が浮きたがり、男の顔が乗っていなければ跳ねていた。舐められ入れられている部分から何かが這い上がって、体を支配されかけている。何度も訓練をして近い所まで経験があるのに一体何が違うのか。

 気持ちいいのは確かでも、さっきと違う何かが混じる。

 

 アウラの中に入っているのは指が一本だけで抽挿は全くしてないけども、十分すぎるほどにほぐれて潤いも不足がない。

 食事の前に入った風呂で、男は全身マッサージをしてやっていたのだ。

 入れたり出したりはしなかったが、下腹を適度に揉みながら秘部全体を揉みほぐした。マッサージのために使った最強のローションかアウラの愛液か判然としなくなり、終わった後は男が手を貸さなければ立てない有様となっていた。

 それで消耗した体力を回復するためにアウラは赤い回復薬を飲んだわけだが、風呂の前にも飲んでいる。飲み過ぎの副作用は特にない。失った体液も元通りになる。

 それもあってか、指で掻き出されているわけでもないのに溢れ続け、男の顎を濡らせばシーツにも染みを作る。

 

「そろそろいいか」

 

 アウラの股から顔を上げた男は、下唇を濡らす汁を舐めとって、閉じ気味になった太ももを押し開き、抱え持った。

 

 どちらの準備もとっくに整っていた。

 本日は二桁を幾つか超えているが、いよいよアウラを抱くと思えば期待に逸って頑張らなくても立ってしまう。好みの匂いと可愛らしい声に、期待通りの感触があるのだから当然だ。

 前戯としてアウラに色々したわけだが、風呂での余韻があるようで、指を入れた時点で挿入には何の問題もなく潤いほぐれていた。それでも続けていたのは命令通りにアウラを悦ばせるためと、左の乳房と同じだけ右の乳房を可愛がるためだ。魔族なので偏った刺激によって大きさに違いが出てくることはないだろうが、これまでの習いと言って良い。

 それにそろそろ、アウラが欲しくなってきた。

 立たせたままでいて、女に迎えさせる準備をしている。欲しくならないわけがない。

 

「あ…………え……?」

 

 アウラが呆然と体を見下ろせば、乳房と乳房の隙間から自分の太ももが立たされているのが見える。その向こうでは、男の股間から肉の棒がそそり立っていた。

 ベッドの上では裸になったし、さっきは一緒に風呂を使った。男のあれは何度も見ている。立っているのは一度だけ。その時はダクネスに向けられた。今は自分だ。

 あれを入れられるととても気持ちが良いらしく、ダクネスは例外らしいのであっちに措いて、男とセックスしたらしい女たちは全員が機嫌を良くしていた。焼却処分を仄めかしたターニャも、手足を引っこ抜き口をむしろうとしたラムとレムも。

 だから自分もと思ったのだが、今は不味い。

 

「まっ……」

 

 制止の声は男の耳に届いたが、ここまで来て止まれる男はいない。求めたのはアウラなのだから止まる必要もない。

 股を開かせれば、指で広げなくともアウラの淫裂も開いてしまって、指でほぐした入り口が小さく口を開いている。

 手を添えずとも腰の動きだけで位置を合わせ、数度上下に動かしアウラの汁を塗り付ける。

 内側に潜る先端が入り口に触れれば少しだけ深く潜れるようになり、押し入ろうとした瞬間だった。

 

「あんたの汚くないでしょうね!?」

「なっ………………ん・・・だと・・・?」

 

 頭に血が上ると言葉が出なくなることを男は知った。とは言え自分の事であるので、失明まではしなかった。

 

「一緒に風呂に入ったばかりだろうが。汚いわけがあるか!」

 

 高度に人間に擬態した魔族と云われる男であろうと、やはり人間である。腰をそれ以上進められず、己の正しさを主張しないではいられなかった。

 

「どうだか」

「………………」

 

 吐き捨てるような言葉にカッチーンと来たが、アウラの時間であるし、魔族と言い争っても得るものはない。アウラは頭が魔族だから現実を認識出来ないのだと自分の心を慰めた。

 

「だったら私に確認させなさい!」

「はあ? おっと」

 

 一体何が気に入らないのか、アウラの顔にも声にも険がある。

 男が呆気に取られていると、顔に枕が飛んできた。アウラの頭の下にあった枕だ。アウラの匂いがした。

 

「こっちは絶対見るんじゃないわよ」

「……仰せの通りに」

 

 魔族に反論しても時間の無駄である。男はぱたりとベッドに倒れた。

 アウラがどのように確認するつもりか知らないが、座ったままだといささか難がある。アウラの頭には一対の角が生えているのだ。座ったまま近付かれるとぐさりとくる。角がある相手とは幾度となく経験があり、適切な対処法を知っていた。

 真の主もまた一対の角を持つのだが、アウラとは違って角の先端が前を向き、お腹をちくちくされるのは稀でない。そのせいでお腹が丈夫になったりもしたが、それが影響してオーガの骨髄ローストを食べたくなったわけではないのは余談である。

 

「繊細なところだから扱いには気を付けてくれ」

「ふん」

 

 鼻を鳴らされ不安を煽るが、アウラは荒事を出来ないはずと信じて身を任せた。

 男が枕の向こうで沈黙してから、アウラはそろりと近付いた。

 

 アウラは男と初めて風呂を使った時、手入れが行き届かなかった性器を嫌そうな顔で洗われた。結果としてその意趣返しとなったわけだが、魔族はそんな事を根に持たない。本当に汚いかも知れないと思ったわけでもなく、時間稼ぎのためだった。

 男が離れた今も疼いて熱い。

 口と指でされるのは、体が融けるようだった。自分と男の境界がなくなって、男の体が自分の体に溶け込んで、体の中からかき混ぜられる。指が入っていたから中と云えば中なのだが、そのような域ではなかった。

 あのまま指より大きなあれを入れられたら、絶対にどうにかなってしまう。体を落ち着かせる時間が必要だ。

 素直にそんな事を言えるわけがなく、中断なんて以ての外だ。

 今は自分の時間なのだから、敗北は自分自身が許さない。

 

「ふぅん……。近くで見るのは初めてだけどこんななのね」

「歯や爪を立てるなよ?」

「うるさいわね。しないわよ」

 

 時間稼ぎであっても、汚くないと知っていても、興味はあった。

 大の字に横たわる男へ四つん這いでにじり寄り、股座から生える肉棒を人差し指でつんと突く。真っすぐに硬く立っていても、それだけで軽く揺れて、すぐに元の位置に戻ってきた。

 男が何も言わないのをいいことに数度つついて揺れさせて、握ってみた。他の部分とは明らかに違う熱さがあった。

 

「こんなのを……、入れるのね」

「…………お手柔らかに」

「うるさい」

 

 男を黙らせ顔を寄せる。鼻を近付けても風呂の後だからか、おかしな匂いはしていない。

 

「折角だから扱いてくれ」

「だからうるさい」

 

 棒状なのだが、先端は丸みを帯びて太くなっている。アウラの手で輪を作っても、潜れそうにないくらいに。

 自分にもある穴へ入れるらしいが、入る太さに思えない。それでも入ると言うのなら、小さな穴を目一杯広げさせられる事になる。自分で試した時は、指を二本までしかする気になれなかった。

 こんな事で嘘を言う男ではないし、ダクネスへはその目で見ている。

 それはそう云うことだと思う事にして、情動が少ない代わりに魔族の良すぎる記憶力が男の言葉を思い出した。

 あの時は反射的に「死ね」と返した。汚いところを冗談ではない。

 しかし今は、間違いなく綺麗だと知っている。目で見て確かめ、汚れがなければ匂いもない。

 さっきは自分がされていたし、例外と念を押されたがダクネスは半分以上受け入れていた。この長さであの深さだと、間違いなく喉奥に触れている。例外なのは深さとしたら、おかしい事ではないかも知れない。

 

 アウラは自分でも気づかない内に、ゆるゆると手を上下に振っている。

 男の顔が枕の向こうにあるのを上目遣いに確認し、赤い舌をちろりと伸ばす。味らしい味はない。

 薄く開いた唇で先端だけを包み、ゆっくりと顔を沈めれば太さに合わせて口を開いて、男の逸物をしゃぶり始めた。

 

 されている男には驚きが大きかった。

 逸物を握られ軽く扱かれるのは、刺激らしい刺激がなく実にもどかしい。そこで口を挟んだら機嫌を悪くするだけである。

 飽きるまで好きにさせようと思っていたら、ぬめる感触。まさかと思う間に、温かく包まれた。

 以前に舐めてくれと言った時は、実に嫌そうな顔をして即座に「死ね」と返ってきた。そのアウラが何を言われるでもなく逸物をしゃぶっている。感慨は一入でどんな顔でいるのか是非にも見たい。

 淫らで恍惚とした顔でも、嫌そうな顔をしたままでも、どちらであれ興奮を掻き立てるのは間違いない。が、絶対に見るなと念を押されていた。

 

「れろっ……。んーー……。味はないわね。ちゅっ……。ちゅっ……。れろ…………。あむぅ……」

 

 顔に枕が被さっていても、アウラの声は聞こえてくる。音楽も何もない部屋なので、僅かな水音すら届いてしまう。

 とても良いのは間違いないのだが、肝心の技術が皆無だった。

 どこをどうすればいいか知らない以前に、手淫と口淫の意味をわかってない。好奇心に駆られた子供の方がもっと熱心にしてくれるだろう。研究癖のある魔族ならではなのかも知れないが、快感らしい快感は少なく、ひたすらに焦れったい。前戯としては実にお粗末で、かつての己だったら萎れていたと思われる。

 なのだけれど、幸か不幸か一度立ったら簡単には萎えない体にされてしまった。挿入直前まで行ったのだ。期待と獣欲が煽り立てる。早々に音を上げた。

 

「アウラ……、そろそろいいんじゃないか?」

「何が?」

「アウラに入れたい」

「へ? ……………………ふっうううぅうう~~~~ん? どうしようかしら?」

「……」

 

 とても嫌な返事が返ってきた。

 セックスしたいと言ったのはアウラであり、故にここでこうなっている。

 しかし、もしも気が変わったとでも言われたらどうすればいいのか。いつぞや覚悟したように、土下座してセックスさせてくださいと言わなければならないのだろうか。

 

「ま、いいわよ? セックスで悦ばせなさいって言ったのは私だし」

「…………ああ」

 

 土下座も辞さない覚悟がアウラに伝わったのか、軽やかな言葉で了承された。

 事実、アウラの心は軽くなった。

 

 今この瞬間は、この男が自分のものなのであって、逆ではない。自分が負けてしまうなんて以ての外。

 口と指でされた疼きは何処にも行かず、濡れたところは濡れたままでも、向こうから頭を下げるなら勝敗は一目瞭然。自分が優位にあるなら許してやらなくもない。

 

「アウラは初めてだから正常位で始めるか。さっきのように横になってくれ」

「せいじょうい? 何それ?」

「体位、と言ってもわからないか。姿勢の事だよ」

「ふぅん?」

 

 自分で聞いておきながら、さして興味を示さないのが魔族もといアウラである。

 わかったようなわからないような顔で小首を傾げ、肩に掛けていただけとなったバスローブを脱ぎ捨てる。放り投げたが、ベッドが広いので床まで届かなかった。

 男から受け取った枕を頭の下に敷き、手足を広げて寝転んだ。

 

「で、どうするの? それを入れるのよね?」

「……そうなる」

 

 アウラは頬のみならず全身を薄く上気させ、乳房の中央では充血した乳首が勃起し、太ももと太ももの間から覗く割れ目は濡れて淫臭を漂わせる。

 とても煽情的なはずなのに、態度が全くもってそぐわない。表情だっていつもの仏頂面だ。

 数多の経験を持つ男でも、ここまで投げやり、或いは落差がある態度をされるのは初めてだった。

 それでもする事は同じであり為すべきを為さなければならない。アウラの希望であるし、自分のためでもある。

 それに乱れ始めたアウラが違う顔をするのを知っている。

 少々の嗜虐心を滲ませて、アウラの下へ近付いた。

 

「んっ」

「一々アウラに確認しなくてもいいんだろう?」

「……いいわよ」

 

 アウラの脚を開かせ膝を立たせた。

 前戯から少々間を置き、入り口こそ媚肉に埋もれて見えないが、丁寧に愛撫した秘部は濡れたままでいる。これが見納めと思って、男は確認を兼ねて割れ目を広げた。

 内側はアウラの髪色より鮮やかなピンク色。とろける肉は濡れ光り、小さな穴が空いている。肉の輪のように見えるのは入り口を狭める薄い肉ひだのせいだ。何度も見てきたアウラの処女膜。

 ここに入れると思えば、下半身の血が一層滾り逸物がピクリと震えた。

 

 アウラは、そんな男を冷めた目で見下ろしている。

 指であれだけ良かったのだから、あれが入ったらもっと、とは素直に思えないでいた。

 ダクネスはよがっていたし他の女たちも好んでいるらしい上に、バラライカは率先してセックスを希望していた。それが自分に当てはまるかどうか。

 もしも良かったら自分の望む通りであり、良くなかったらこの男を支配し続ける材料になる。さっきのようにこの男が入れたがったら、条件を付けて雁字搦めにしてやるのだ。

 どちらであっても自分の勝利が疑いない事に自然と口角が上がり、男が触れると反射的に腰が震えた。

 

「確認しなくていいと言ったが、入れるぞ?」

「……ええ、いいわ」

 

 開いた股の間に男が入る。

 アウラ自身が濡れているし、男の逸物はアウラの唾で濡れている。潤滑液に不足はなく、太い先端が割れ目に潜った。

 直前まで行った先と同じように亀頭がぬめる内側を撫で、アウラの女にあてがわれる。処女膜がついていようと圧せば僅かに沈み、そこにはもっと奥があると教えてくれる。

 

「……なによ?」

「初めてなんだからこうしてもいいだろう?」

「別に……好きにしなさいよ」

 

 男は、手を使わなければ位置を合わせられない初心者ではない。腰の動きだけでアウラに合わせると、体を倒してアウラに抱き着いた。

 左腕ではアウラの細い肩を抱き、右手は頬に掛かる髪を払う。手のひらが頬を撫でれば指先は耳に触れ、親指は艶やかな唇をなぞる。

 子供をあやすような手付きに思えてアウラは気に喰わなかったが、どうしてあやすような手付きと思ったのかはわからなかった。

 

「んっ!」

 

 アウラの顎が上がり、傷つくのを恐れて腰が引けようとする。その時にはもう、終わっていた。

 500年以上アウラにあった処女膜は、初めての男に切り裂かれた。

 

 魔族の処女膜が丈夫なのを、男はソリテールとの経験から知っていた。見た目は儚くとも尋常な強さではなく、事前に切開した方が良いかと思わされるほど。

 初めて遭遇した時は内心の焦りもあって少々乱暴な挿入になってしまったが、同じ愚は繰り返さない。全身でアウラのリズムを感じて緩む瞬間に瞬間を合わせ、押し入った。

 一息で根元まで入ってしまう事はなく、亀頭だけがアウラの膣口に潜り込んだ。

 指で何度もしていようと逸物の方がずっと太く、指よりも深く入っていく。

 アウラが強靭な肉体を誇る魔族であるとわかっていても、壊れやすい処女を愛でるようにゆっくりと進めていく。

 時間は幾らでもある。

 進むに連れて変わっていくアウラの表情が可愛らしい。

 

「痛みは?」

「…………こんなの。痛いわけないでしょ……。こんなので終わりじゃないでしょうね?」

「それは勿論」

 

 こんな事で嘘を言う魔族はいない。本当に痛みはない。

 指よりずっと太いから、狭いところを押し広げられる感覚はある。それが奥まで昇ってくる。圧迫感があっても痛みには繋がらない。

 但し、他の何かが強くなる。

 

 たっぷり開発をされてきたアウラは、処女であるのに固くない。アウラ自身が快感を得やすくなるだけでなく、男を受け入れやすくもなっていた。

 指では届かない領域に来ても、未通の穴は拒むことなく受け入れる。だからと云って緩いわけがなく、指へしていたように全ての面で隙間なく密着し、包んでしまう。

 吸い付き具合も十分な上に、ソリテールがそうだったように、やはり深い。

 進んでも進んでも奥まで辿り着かず、長い逸物が根元まで飲み込まれ、肩を抱く手に力を込めて引き寄せて、それでようやく奥まで届いた。アウラの熱さと柔らかさを、体の内側から感じられる。

 時間を掛けた甲斐があり、これは飽きようにも飽きられない体であると男が思う一方で、肝心のアウラは顔を強張らせていた。

 痛みはないと言っていたし、続きを促す言葉だった。

 

「っ!!」

 

 男が来た道を戻っていけば、隙間なく咥え込まれているので、離れ難く吸われているようでもある。ますます良いと内心で頷くも、アウラの様子がおかしかった。

 挿入を果たしたのに仏頂面のアウラは頂けないし訓練時と違う様子に疑問を感じなくもないのだが、止められるわけがない。

 さりとて処女だ。破瓜を成して処女を奪ったとは言え、乱暴に抽挿してはいけないのだ。ダクネスの様にはするなと釘を刺されたし、遺憾ながら相当に長い付き合いになると思われる。アウラの好みがはっきりとわかるまでは、丁寧に愛するべきである。

 

「まっ、あむぅっ!? んっ……んぅ……。ん……」

 

 三度目は言わせない。開きかけた口を塞ぎ、ゆるゆると腰を振る。

 舌を入れるのは噛まれそうだったので唇を押し付けるだけにして、三往復してから顔を離した。

 青い目が潤んでいる。訓練で把握した好みの場所を擦ってやれば、甘い吐息が芳しく、背中に細い腕が回される。

 目付きの悪さは変わらないが、ずっと引き締まっていた唇は緩んできた。

 

「痛くはないんだろう?」

「平気って言ったわ。だから…………。チッ……!」

「……だから?」

「ふんっ」

「…………」

 

 どこまでも態度が悪い魔族である。

 アウラからも抱き着いてきたし、媚肉の甘やかさと締め付けを思えば、全く感じないではないと思われる。

 だけれども、体の反応とアウラの態度は正反対だ。ただでさえ感情の機微とか云う難しいものがわからない男なのだから、アウラが何を考えているのかさっぱりわからなかった。

 わかるのはアウラの体。具合がよく、柔らかな女の肢体が絡みつくのはそれだけで心地よい。

 アウラを悦ばせるだけでなく、こちらも楽しむと宣言した。実行すべく腰を引き、名残惜しそうに吸い付く媚肉を後にして、戻った速さの倍の速さで奥に戻った。

 先端が最奥に届き、股間と股間がぶつかり合って、乾いた音を立てた。

 アウラの腕に力が入り、顎が上がって口を開けば、可愛らしい声で鳴き始めた。

 

「うっ……くぅ……! んっ! ……あっ! あっ、あんっ、あんっ! あんっ、こんなぁ……、あぁんっ♡ あんっ♡ あんっ♡」

 

 男にわかるわけがなかったし、男に抱かれた女たちにもわからなかった。

 固有魔法によって魂に触れ得るアウラだからこそわかること。

 

「あんっ♡ やぁんんっ♡ あんっ♡ そこいぃ……! だから、もっとぉ……♡」

 

 太い逸物で体の芯を押し広げられ、今まで知ることすらなかったところに入ってきている。

 熱くて硬くて容赦なく抉られるから、自分の中にある事をこれでもかと教え込まれる。アウラが言葉を知っていれば、充足感と言ったかも知れない。

 自分に満ちて、存在を想像すらしなかったものが足りている。

 触れているところ全てが気持ちよい。それが自分の中に入って、繋がっている。一つになっている。男が体の中に来て、内側から支配されてる。

 そこまでだったら他の女たちと同じところ。

 

「あっ、あっ、あっ、だめぇ……♡ きもちいいのぉ♡ はいってるのが……♡ なかも、ぜんぶ……っ! んっ!? ……ふぅ……。んっ、んっ、ちゅるる……♡」

 

 焦らされた報復ではないけれど、始めた男は緩めない。

 頬を撫でていた手もアウラの肩を捉え、細い体を押さえつける。そうして腰を打ち付ければ、ベッドのスプリングで減衰せずにアウラに伝わる。柔らかな弾力に拒まれる事はなく、一番奥まで辿り着けば僅かに押した。

 生殖しない魔族であっても体の造りは人間と、或いはエルフと同じ。男から与えられるものを求めて、子宮が下がってきている。

 態度の悪さは何処へ行ったものか、妙齢の美女と言って差し支えない整った顔立ちは愛欲に緩み、閉じられない唇は耳に心地よく鳴き続ける。

 今度は恐れず舌を差し込むと、アウラから吸ってきた。舌で応えるのはもちろん、唾液をかき混ぜる前にアウラが啜って喉を鳴らす。

 負けじと吸うまでもなく押し込み押し上げてやれば、アウラが涎で溺れないよう吸ってやらなければならなくなる。

 たっぷり唾液を交換し、アウラの手から力が抜けた隙に体を起こした。

 唇を繋ぐ唾液の糸が長く伸び、千切れ落ちれば白い裸身に筋を残す。

 アウラは口を開いたまま赤い舌を尖らせて、背中に回っていた手も縋るように伸ばしたまま。

 

「なっ、なに? キスは? あっ? あっ、そこぉ……、ちがうとこにぃ♡ あんっ♡ これも、いぃからぁ♡」

「それは良かった」

「えぇ……、とっても、いいわ♡ んっ、んっ、あっ♡ あぁっ♡」

 

 上半身を起こした男はベッドに膝をつき、アウラに大きく股を開かせて膝を上げさせた。異界の専門用語で呼ぶところのまんぐり返しに近く、挿入は浅くなるものの結合部もアウラの体もよく見える。腰を打ち付ける度に乳房がたぷんと揺れて、逸物は媚肉を巻き込んで飲み込まれる。とても目に楽しい。

 無論のことそれだけでなく、角度が変わって擦れるところが違ってくる。指でじっくり開発したところを嬲られて、アウラは気に入ったようだった。

 締め付け具合と潤いからアウラが快感を得ているのはわかっているし、アウラ自身も素直に認める。

 男の本能として、女が悦べば満足感も快感も深くなる。

 さっきの悪態は何であったか、疑問は疑問のままどうでもよくなった。

 つまらない事は忘れて腰を使い、揺れる乳房に手を伸ばす。

 指が乳肉に食い込み、アウラが精強な肉体を持つ魔族でなかったら痣になっていた。

 

「んっ♡ あっ♡ あんっ♡ ねえ? ……んっ♡ あんっ♡ もうっ! ねぇったら!」

 

 愛欲に蕩けた顔は、笑みばかりでなく何かを堪えるような切なさも垣間見せる。けれどもさっきと違って険はない。自ら求めて求められる悦びに浸っている。

 しかし、手を伸ばしたにも関わらず、即座に応えがなかったのは気に入らないようだった。快感に霞んでいた目が瞬時に吊り上がる。

 男は苦笑を一つこぼして体を倒した。

 アウラの腕に捕まり、ぶつかる前に首を傾げ、アウラも同じように口を開いて重ね合った。

 

「んぅ…………、ちゅうぅ……。ちゅぷ、ちゅるる……♡ んっ……んんっ!」

 

 キスをするために顔を近付け、やや浮いていたアウラの尻がベッドに落ちる。男はそこでも強く押し付け強く押し込み、深く入った逸物がアウラの子宮を押し上げた。

 

 アウラは開発したところをじっくり嬲られ、気持ち良いのは当然で全身が多幸感に満ちている。

 その上で女の悦びを教え込む女に触れられて、微かに残る理性が二度と戻れないと訴えた。

 

 魂に触れ得るアウラだからこそわかることがあった。

 自分の魂が、この男に屈服しようとしている。

 魔族か女か支配者としてか、いずれかのアウラが抵抗を試みはしたものの、魔族の理性と女の本能が飲み込まれろと叫んでいた。

 恐怖すら伴った一瞬の抵抗は、形をとる前に押し流された。

 

「あっ♡ あんっ♡ あんっ♡ あっ、これぇ……♡ あぁっ! もう……だめぇ…………♡」

 

 両腕が男を抱き締めていれば、両脚は開くだけとなるのを良しとせず男の腰に回された。

 間に何も挟まない素肌同士が密着して、自分を抱く男だけが全てになる。

 体の中に来ている。繋がっている。一つになっている。

 かつてのアウラなら「そんな事」と鼻で笑うような事で、自分も世界も満たされた。

 

「あっあっ、あんっ♡ もう……、だからぁ……♡ あっ、あっ……! おくに……、おくでぇ…………、はやくぅぅぅうぅぅ!」

 

 アウラにキスを続ける余裕はなく、全身で男にしがみ付いた。手にも脚にも爪先にまで力が入るのは、緊張とは全く関係ない。

 アウラの奥に入る男は、中でも強く感じていた。

 膣口がきゅっと締まって締め付けられ、奥では媚肉が騒めいている。

 呼吸よりも早いリズムで締まっては緩み、痙攣している。奥まで突いて股間を密着させれば、小さな震えも伝わってきた。

 何度も達していたのはわかっていたが、今度は特に深いらしい。早く早くと懇願するのは、初めてであっても女の体が教えるのか。

 男とてそろそろ限界に近付くのを感じていたが、豊富過ぎる経験と本日十数度目の余裕が報復を可能とさせた。アウラは自分からして欲しいと言った癖して所々で態度が悪かったのだ。

 

「はやく、なんだ?」

 

 嗜虐的に悪そうな顔で唇を歪め、聞いてやった。

 間髪入れずに叫ばれた。

 

「だして!! おまんこにちんこのいっぱいいぃぃいいいぃぃ♡♡ あっ……イっ……!」

 

 甘やかな女の体に根元まで包まれ蠢かれるのは熱を引き出す。

 腰を打ち付ける度に可愛い声で鳴くのは嗜虐心と支配欲を満たし、普段は絶対に見せない蕩けた顔は愛らしい。

 そこへ淫らな叫びは追い打ちの不意打ちだった。

 そろそろと思っていたのだ。

 

「あっ……、ああぁぁぁぁぁあああぁっぁぁあああああーーーーーっっ♡♡」

 

 アウラの腕に力が入って男の体を抱き締めれば、腰に回った脚は逃がすまいとさらに強く締め付けた。

 魔族の深い膣では快感で下がった子宮口に亀頭が押し付けられ、尚も深く入ろうと押し上げて、熱い精液をどぴゅどぴゅと吐き出した。

 膣壁は精液を子宮へ導こうと淫らに蠢き、膣口はきつく締まって入った逸物を逃がさない。

 髪を撫でられるのすらかつて味わった事のない至福であって、中と外の境界が融けていく。

 

 この瞬間、アウラはこの世全ての支配者になった。

 

 

 

 

 

 

 世界全てが染まるほどの快感が過ぎ去っても、アウラは男を感じていた。まだ中に入っているし、裸で抱き合ったままでいる。

 これがいつもの訓練時であったら、気持ちよくなったのだからと邪険に男を追い払うところ。今は不思議とそんな気分になれなかった。

 快感と幸福感の余韻が心にも体にも強く残り、いつまでも味わっていたくなる。体力はまだまだ残っているのだから、もう一度時間を掛けてと欲が出る。

 それが男に支配されたように思えて気に喰わない。

 今は自分が支配する時間なのだ。

 

「……? なんだ?」

「なんでもないわよ!」

 

 二人は最後の形で重なったまま、互いの首筋に顔を埋めている。

 アウラは男の首にカプリとやって歯型を付けてやったのだが、付けられた男は全く気にした様子がない。

 そこを噛みつかれて吸血鬼に吸血されるのは稀ではないし、血ではなく肉を齧り取られるのもまた稀ではない。歯型程度は甘噛みと同じである。

 

「なんでもないならいいが」

 

 女が「なんでもない」と言うのは「なんでもなくない」のだが、成長しない男は額面通りに受け取った。それがアウラの眉間に皺を刻むのだが、成長している面もあった。

 

「とても良かった。アウラを抱いたのは初めてだったが、こんなに良いとは知らなかったよ。今まで惜しい事をしてたな」

 

 課題図書として云百冊のロマンス小説を読まされてきたのは伊達ではない。女が喜ぶロマンチックな言葉の定型を把握している。場面毎に応用する術も学んでいる。淫乱スライムや発情狼も、偶には合格点を出してくれた。

 果たしてアウラに通用したか否かは、男にはわからなかった。

 

「そ」

「……アウラも感じてくれたようで嬉しいよ」

「うるさいわね」

「…………」

 

 絶対感じていたと確信している男だが、反論していい事はない。学んだのだ。

 

「あんた……私の中で出したのよね? あの白いやつ。精液って言ったかしら?」

「出してと言ったのは……。そうだな。アウラの中にね」

 

 出してと言ったのは、と言いかけ鋭く睨まれ、賢くも言葉を変えた。

 

「ちんこもまだ入ってるし、お腹が……苦しくはないけどいっぱいになってる感じね」

「っ……」

「あっ…………」

 

 いっぱいになってるのを感じるためだったのか、逸物を収めたままの膣がきゅうと締まった。

 射精したばかりなので萎え切らずとも硬さを失いつつあった逸物が、締められても潰れないよう反発した。

 寝て起きてから何度目であろうと、赤い回復薬を飲んだのだ。体力と精力は万全であって、例え気分が乗らなくても外部刺激があれば反応してしまう。

 

「中で……硬くなってる。また大きくして……。また私の中に出したいの?」

「……ああ。もう一度、いいかな?」

「仕方ないわね」

 

 アウラは男を抱き締め銀色の後頭部に手を添えていた。だらしなく頬が緩むのは見られなかった。




魔族回のサブタイは何故に詩的になるのだろう?


【挿絵表示】

たぶんどっかでこんなシーンが

本作は体力と時間が許す限り無限に続けられますが、54後書きで宣言した通りに一先ず次回最終話。
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