奉仕しないと帰れない部屋に囚われた男の業務記録 作:dolph
アウラの時間が出来ても、二人の過ごし方は全くと言っていいほど変化がない。
男は基本的に書斎にこもり、時々アトリエに足を運んで工作する。フリーレンの杖を試作しているのだ。
魔力が知覚出来ないので汎用性は諦め、術式の構成が完全に解析されているゾルトラークの射出に特化したものを考えている。
如何にエルフの大魔法使いであるフリーレンと言えど、一分あたり1,200発のゾルトラークを放ったらあっという間に魔力が枯渇すると思われるので、先ずは速射性を高める予定だ。
試作品が出来たらアウラに試射して欲しいところであるが、「するわけないでしょ」の一言で一蹴されている。魔族に協力を求める方が間違っていると、男は認識を新たにした。
そのアウラもこれまで通り、基本的には魔力の研鑽。魔導書を紐解き使いやすいよう術式を工夫して、訓練ルームで試射をする。
術式の工夫に男を使うのも同じ。男の読書中はまともに反応しないので、話を聞かせるために揺するところまで同じ。
パントリーに食事を取りに行くのは自分でする。男に声を掛けて取りに行かせる手間を掛けるのだったら、自分で取りに行く方がずっと早い。それならずっと傍に控えさせておけばいいのだが、近くにいられたら気が散って鬱陶しい。必要な時に使えればいいのだ。
必要な時がいつになるかわからない男であるが、儀礼的に一度はベッドへ誘う。何も言われないからと放置したら怒られた事が多々あるのだ。
けれども折角の提案を素気なく断られ、それならいいかと読書に戻ると怒られた。理不尽である。
そこで引かずに誘い続ければならないらしい。
言葉を尽くしてアウラをおだて、もとい称えてベッドを共にするまでがワンセットになった。
なんでこんな面倒をと思うこと甚だしいが、ロマンス小説で得た知識の実践的復習と思う事にした。結果として得られるアウラは、重ねる度に良くなっていく。ソリテールと違って技術の習得に積極的でないのは残念であるのだが。
アウラが戻ったのが関係あるのかどうか、利用者の来訪は順調である。
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ターニャはようやっと長期の出張が終わり、レジャールームこと異界の部屋を訪れた。長期なだけあって疲労が溜まったらしく、年に見合わぬ疲れた顔を見せた。
疲れを癒すのは男の仕事であって、アウラは顔を見せるだけでさっさと引っ込む。アウラが不在だった期間にターニャは一度も訪問しなかったので、いつもの事として何も言わなかった。
が、アウラは後に有効活用される事が決定した。
ターニャが出張している間に様々な動きがあったようで、次の訪問までに情報をまとめてくれと大量の宿題を出してくれたのだ。察するに、半年以上。
0.1ミリの二つ下のオーダーまで目視で確認出来る男である。ターニャの身長が伸びていた事を見逃さない。その事を指摘すると、「成長期の子供まで駆り出すのか」と辟易して深い息を吐く。
果たしてターニャが優秀過ぎるためか、体制が間違っているからか、男には判断する基準がなかった。
それはそれとして、有効活用されるアウラがぶちぶちこぼすのもいつもの事である。
ラムとレムが訪問しなかったのは、二人が仕える主人ロズワールの客人が王選なるものに立候補して、俄かに忙しくなったからのようだ。
他陣営の妨害工作なのか、それ以外の要因か、はたまた偶然か、物騒な襲撃もあるらしい。いずれもラムが睨むだけで煙化の魔法に掛けられたかの如くで、危険らしい危険はない。ただただ鬱陶しい。中でも魔女教なるものは独特の臭気を発するらしく、「お鼻が曲がっちゃいそうです」とはレムの言葉。それを聞いたアウラは、死臭をつけなかった判断の正しさを確信した。
レムも以前のレムとは違い、ロズワールに積極的に意見するようになった。ゲボクさんから戦略的思考、とまで云うと大袈裟だが、多角的に考える事の大切さを学んだからだ。ラムの角を癒した件がまさにその一つである。とは言っても急造で思考回路を変えられるわけがないので、最後は直感である。主人であるロズワールからの命令と意見が対立する事もあるのだが、ラムが「レムがこう言ってるんだけど?」と一言言えばロズワールは目を逸らした。
ロズワールが決定的に何かを諦めたのを、二人が知らなければ誰も知らない。
ダクネスはダクネスである。
誰も彼もが彼女の治療には匙を投げた。男も同じであり、アウラは近付きたくない。しかしそこは、異界の部屋に囚われた者の運命である。ダクネスの接待にアウラが有効活用されるのは必然である。
基本は羞恥心を刺激するのだが、やり過ぎると二人の精神を汚染する。工房に籠る錬金術師が様々な実験を繰り返すようにダクネスへ様々な刺激を試みて、アウラが顔を青くするのを男は関知しない。アウラが大変だろうと自分が大変なわけではないのだ。
が、ダクネスが帰還した後に訪れるアウラの時間にて、アウラの我儘に拍車がかかるのもまた必然であった。
アウラと再会出来て泣いて喜んだのは海夢だけだ。「ア゛ウ゛ラ゛さ゛ま゛~~~~~~~~~~~~っ!!」と喚きながら抱き着いて、アウラに心底うんざりした顔をさせたのだが、海夢は離れてくれなかった。
あちらではほぼ無敵で心配される方が失礼である、とアウラの言葉を男が翻訳して海夢に伝え、ようやく落ち着いたようだった。
そして始まるコスプレ撮影会。
海夢が持ち込んだインスタントカメラにより、男の写真が撮れるのだからアウラの写真だってきちんと撮れる。
ここでもまたアウラにうんざりした顔をさせ、海夢の気遣いが発動しそうなところで男が窘め、時計の長針がくるくる回る。
あまりに色々着せ替えさせられたせいか、海夢が帰った後のアウラは魔族から裸族になった。
バラライカは愚直で素直で嘘を吐かないアウラを気に入っているが、いなければいないで気に掛けず、いたとしても「いたの」の一言で終わらせる。
あちらでは随分と平和になってしまったようで、退屈の中に僅かな穏やかさを覗かせるのだが、それに気付ける二人ではない。
日々の環境が少々変わってもバラライカの本質が変わるわけもなく、男には激しいセックスを求めた。
バラライカが帰った後のアウラの時間では、男の中に少々の余韻が残って、アウラを激しく責めたりもした。アウラは知らない扉を強制的に開かされた。
エーリカがアウラと会うのは初めてである。
初対面は、少し荒れた。
「こいつ何よ?」
「あんたこそ何よ?」
気性に似た部分があり、表面的な態度は似通ってる二人である。
エーリカはこのような人柄だから、と男が前もって注意していてもアウラはアウラだった。真正面から飛んでくるエーリカの視線を臆さず受け止め、魔族の仏頂面で言葉を返す。
それも、エーリカがテーブルをちょこんと小突くまでだった。
エーリカが重厚なテーブルを指でノックすると、それだけでテーブル上の飾り皿が粉になった。粉々に砕け散ったのではなく、文字通りの粉。粉末状になった。
アウラは無言の涙目で男の後ろに隠れるのだが、
「ばあ!」
「キャアアァァッァアアッッ!!」
正面にいたはずのエーリカに背後から肩を叩かれ、泣き出した。アウラが一人の訪問者であった頃、泣くと生存に繋がると学んでいたのだ。
エーリカが披露したのは
「あははははっ! 泣き虫さんだね? エーリカお姉さんが遊んであげようか?」
「いいいいいらないからっ!」
「アウラについて説明いたします」
アウラが泣いても可哀そうとは思わない男である。エーリカがアウラで遊んで自分の労力が減るなら幸いとすら思っている。それはそれとして、誤解と無理解を放置するのは良くない事だ。軽く説明したところ、エーリカの好奇心を刺激してしまった。
「死ぬと塵になるの? すっごく見たくなっちゃった」
「いや……、やめて……! あんたの方がずっと強いしそんなのする意味がないじゃない!」
「塵になると治療が出来ませんから、どうかご容赦を。どんなペナルティがあるか不明でもありますから」
「……まあね。ここに来れなくなったらつまらないし、そんなの虐めるより
エルフとツヴェルフは、エーリカの幼馴染である陽子から知識と能力をコピーし製造された12体のアンドロイドの生き残りである。アンドロイドなので多少壊れてもボディを交換すれば全く問題ない。今はエーリカの玩具になっている。
二人が話し始めたのを幸いとアウラは自室に引っ込んで、男からエーリカの帰還を告げられるまで部屋から出てこなかった。
そして訪れるアウラの時間、の前に、豪奢な応接間が灰色に沈んだ。囚われた者が帰還を許される合図である。
アウラは帰還に拘らないので男が自身の世界に戻り、日常を満喫した。
実を言えば、ラムとレムが帰った頃から嫌な予感を覚えていた男であるが、日常を過ごす内に忘れてしまった。忘れたかったとも云う。高度に人間に擬態した魔族と言われようと人間であって、見たくないものから目を逸らす機能が備わっているのだ。
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「ようこそお出で下さいました」
「また来たの。よく飽きないわね」
「飽きるわけないわ。だって旦那様に会えるんですもの♡」
「……ソリテール様と同じです。飽きるようなものではありません」
「まだ二回目だしね。飽きるどころじゃないよ」
リーニエだけは無言で、期待の眼差しを向けてくる。
ソリテールたちが四人で二度目の訪問である。男は覚えた予感を忘れ、心から歓迎の意を表した。
「それじゃわかってるわね?」
「…………ああ。今回は私がリーニエをパントリーに案内します。ここでは食べたいものを注文すれば何でも出てくるのですが、知識にないものは出せません。私の方がアウラより飲食物に詳しいでしょう」
「だったら私も行きたいわ。いいかしら?」
「あんたたちには私から話があるのよ。魔法のこと。リーニエは戦士だから関係ないでしょ? とりあえずこいつに任せてあんたたちはこっち」
リーニエは魔法使い三人と分断された。前回と同じであるが、今回は担当者が違う。アウラの強い要望があったのだ。
アウラの時間に為される命令はアウラの時間にだけ有効なのであって、時間を終えたら従う道理はないと男は反論したのだが、言ってわかってもらえるならこうなっていなかった。アウラは魔族なので「イヤなものはイヤなの絶対イヤ」とまでは言わなかったが、何を言っても「だから何?」と返ってきた。言葉とは無力である。
書斎にて行われる魔法談義は、魔法使い三人の興味をいたく引いた。時計の長針が二周もすると軽い空腹を覚える者が出てきた。アウラがそろそろ良いだろうと判断して応接間に戻れば、リーニエが魔族らしい無表情ながらどこかのぼせた様子でテーブルに着いていた。
目の前にパフェがあると云うのに、スプーンが進んでいない。傍らに立つ男とパフェを、視線が何度も往復する。
「リーニエ、どっちがいい?」
「……………………あっちです」
リーニエは、男を見ながらそう言った。
「いい子ね」
アウラはリーニエの頭に手を置いて、唇の端を吊り上げた。
アウラが男に命令したのは、「リーニエにも教えなさい」である。
男はちょっとだけ教えてやった。最後までは至らなかった。アウラに施してきた開発もとい訓練を濃くしただけである。
今回の訪問にてフェルンは一歩引き、ソリテールは充実した時間を過ごして、フリーレンはそれに巻き込まれ、リーニエは美味しいものを食べて美味しくなるための加工を施される。
時間が来て帰還の段になると、フェルンの欲張りが発動した。
ソリテールに譲ったのだから、これからは自分だけの時間である。
それに、二人きりで相談したいこともあった。
前回の訪問では十年ぶりの再訪で感極まり綺麗に忘れていた。今度は考える時間が十分あったので覚えている。ソリテールに時間を譲ったのも忘れないためだ。
いつか兄様との子供を授かりたいので、妊娠と出産はいつ頃が良いか相談したかった。
しかしフェルンが何と切り出せばいいか迷っている内に、男が悪魔の如く囁いた。
「どんな結論を出すかはフェルン次第だ。どちらであれ私はフェルンの意思を尊重するよ。但し、最低でも一年は考えて欲しい。遅くなってもいいが、早過ぎる結論は頂けないね」
「…………………………わかりました」
フェルンが顔を白くして頷く傍ら、男は真の主の主から授かった金言を使いこなせたことに満足していた。
『重大事は簡単に答を出して良いものではない。最低でも一年は熟慮してから結論を出すべきである』
男がフェルンにした提案は、まさに重大事であった。
この男がフェルンに持ち掛けたのは、あろうことかメトセライズである。不老長寿化であった。理由は複数ある。
フェルンの傍にいるのは、ソリテール、フリーレン、リーニエの三者である。いずれも不老長寿であり、フェルンだけ歩みが違う。足並みを揃えても良いと思えた。身近に不老長寿が幾人もいるフェルンだからこそ提案したのだ。如何に何度も訪問して欲しいとは言え、ターニャたちには絶対出来ない話である。
メトセライズを施せる場所は、エーリカを連れていったために管理するアンドロイドたちの心象、と云うよりもデータに歓迎出来ないものを残してしまった。そこへ素直でお行儀がいいフェルンを連れていけば、マイナスがプラスになってくれるのではと思われた。なお、件の場所の本当の主がどう感じるかは未知数である。どのような感想を抱かれるかは不明であるが、いずれであれ限界まで絞られるのは確定している。毒を喰らわば皿までであった。
不老長寿と云っても不死になるわけではない。その点はエルフや魔族と同じである。年を取らない人間がいる事に疑念を向けられるだろうが、人間に擬態する魔法を極めたエルフとでもすればよい。百年もすれば今生きてる人間は全員死んでいるので、以降はそれで通せるだろう。なおも生き続ける少数は、一人一人話を通せば済む事だ。
大いなる悩みの種を植え付けられたフェルンは妊娠出産どころではなくなって、けども心も体も男に癒されて晴れ晴れとした気分で帰っていった。
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そして、再び応接間が灰色に沈む。
よし、と男は拳を作るが、白いドアの向こうを見て固まった。
男の後姿を冷めた目で見ていたアウラは、一向に動こうとしない男に小首を傾げた。
「何よ。帰るんじゃないの? あら?」
いつぞやの焼き直しのような言葉である。アウラが男の肩越しに見たドアの向こうは、アウラが向こうで最後にいた場所だった。
「今度は私の番なわけ? あいつらに会ったばかりだからしばらく顔は見たくないんだけど。…………仕方ないわね。ちょっと帰ってくるから、いつものやつしなさいよ」
いつものは洗髪だけでなく、色々と加わった。
しかしながら男と云う生き物は精神の影響によって難しい時もある。アウラは止む無く外部刺激を与えてやった。口数が減った男の指示もとい助言を聞いて、手と口でその気にさせる術を覚えた。
不満は多々あれど最低限の満足を得たアウラはドアの向こうに足を踏み入れ、数歩進んで戻ってきた。
男の顔が引き攣るが、アウラは全く意に介さない。男の腕に腕を絡めた。
「おい……バカ……やめろ……。俺は行かないぞ。行かないったら行かないんだ。俺が行くところじゃないだろお前が帰る場所だなんで俺までだから引っ張るのはやめろーーーーーーーーーーっ!!」
「うるさい。あんたも来ないとドアが閉まらないんでしょ?」
「俺が知るか!」
「私も知らないわよ。今は私の時間よ。私の命令に従いなさい」
「…………………………」
男は無言で渾身の力を込めて抗ったが、細腕に見えて大魔族のアウラはとっても力持ちなのだ。
いつぞやと全く同じように、抵抗空しく男も白いドアを越えさせられた。
灰色に沈んだ世界に色が戻り、二人の背後からドアが消える。
止まった時間が流れだした。
「ここどこぉ…………?」
「あんたバカじゃないの。あんたも来たでしょ。ソリテールの塒よ」
「だからそう言う事じゃねえ……」
「もう黙ってついてきなさい」
飛行魔法を使える魔族にとって階段は飾りである。吹き抜けを軽やかに飛び下り、男は肩を落として階段を下りた。中ほどで階下から上ってきたアウラに腕を引っ張られた。
造船工場を改築した大きな家の外は冬である。早い時間の様で、空腹ならさぞや食欲をそそる良い匂いが漂ってきた。
一同がいるであろう場所の扉をアウラが開ければ、男が不在でも五人は揃って食事をしていた。
真っ先にソリテールが飛んできた。
「旦那様! また来てくれたの!? また帰ってしまうまで一緒に過ごせるのね♡」
「ソリテール様! 私にも譲ってください! いつもいつも狡いです!」
「狡いって何のこと? 私は旦那様に会えて嬉しいだけよ?」
「私だって嬉しいです!」
ソリテールにフェルンが続く。
二人から抱き着かれ、男は魔族みたいな無表情に苦笑を浮かべた。
嫌な予感が確定してしまった。
ソリテールたちは四人で訪れ、四つのサインを残してくれた。
それがそのまま数えられるなら、ターニャに続いてラムとレムがサインを残してくれた時点で帰還出来たはずである。が、叶わず、帰還までは更に四つのサインを要した。
ならばソリテールたちのサインは何だったのか。
その答えが今である。
アウラが帰還するために費やされるのだと思われた。
男は瞬時に察し、情動が人類と違うために頭が弱いと散々言われたアウラも察した。アウラはけして愚かではない。むしろ、並よりも遥かに聡明である。
「ふふっ…………。あははっ! あははははっ!」
どのような機序故かわからなくても、男が自分のために労力を払ったのは理解出来た。
それが愉快で堪らない。
「どうしてかしら? あんたがそんな顔してるのがとっても面白いわ!」
フリーレンは目を丸くした。
アウラが笑っている。楽しそうに笑っている。
アウラは魔族だ。人類の様に笑うことはない。笑う振りなら魔族も出来る。現にソリテールはいつも微笑を浮かべている。旦那様といる時は少し違うようだが、今のアウラみたいに笑うところは一度も見た事がない。
誰かを欺く場面でもなければその必要もない。
それなのにアウラが笑っている。
「………………このアマぁ……!」
笑うアウラに気を取られていたフェルンは気付けず、男の呟きを耳聡く捉えたソリテールは目を見開いた。
いつだって穏やかな表情をして、自分が命を狙った時だって涼しい笑みを崩さなかった旦那様が、アウラを鋭い目で睨んでいる。
自分が見ているのに気付いたようですぐに元の表情に戻ったけれど、確かに見た。
どう見ても好意的な表情ではない。
でもそれでも、旦那様にあんな顔をさせたアウラが何だか羨ましくなった。
シュタルクは女世帯に同性が増えて安堵の息を吐き、リーニエはスプーンが止まって男の顔を凝視する。
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来てしまった以上、どうにもならなかった。
男は前回の訪問と同じようにそれなりの一週間を過ごして、アウラと共に異界の部屋に連れ戻された。
真っ先に確認した利用者ノートの裏表紙を捲り、膝から崩れ落ちる。
アウラも確認して、とても綺麗な笑顔を見せた。
異界の部屋に囚われた者を絶対的に縛る利用者ノートの裏表紙に書かれた絶対のルールに、男がアウラと交わした契約が刻まれていた。
おしまい
操作ミスから投稿公開して11年と二か月
最初期からお付き合いある方はいないだろうが、ここまでありがとうございます