日曜日。夜の風呂時間以外は基本的に自由にしてていいと言われている休日。
その日もまた、耳郎は間飛の部屋を訪ねていた。
「……アレ?俺チャット送ったっけ……?」
「…………」
「耳郎さ──ん゙っ!?」
ベッドに腰掛けていた間飛に近寄ると、耳郎はそっと彼の頭を胸に抱き抱えた。
「……あんたのせいでさ」
「……っ」
「私……変になっちゃった……」
一体何を、と思う前に気付かされる。彼女のような耳の良さが無くても分かるほどに伝わる鼓動を。
頭に添えられた手の震えを感じながらも、間飛は何も言わない。言う権利がない。彼女をそうしてしまったのは他でもない自分なのだから。
より強く抱きしめながら、震えた声で耳郎は続ける。
「あんたと同じで……自分でやってもイけなくて……っ」
「……」
「何回やっても、何回やっても同じ事を考えるようになって……それで、さ」
手の力が緩められる。ゆっくりと視線を上げた先にあるのは……様々な感情でグチャグチャになった耳郎の顔だった。
「責任……取ってくれるよね……?♡」
「……はい」
吐息のような返事に、耳郎は口付けを返した。
「……もうグショグショに濡れてるな」
「誰のっ……♡せいだと……っ♡♡」
焦らしに焦らされた耳郎の腟内は何かをするまでもなく濡れていた。放っておけばポタポタと雫が落ちるほどに。
互いに下着のみの姿で向き合っている。間飛はベッドに腰掛けたままで、耳郎はその前に立っている。
そっと指をあてただけでも分かるくらいに熱く、どれだけ我慢していたのか分かってしまう。
陰裂へと指をあて、ゆっくりと腟内に挿入していく。たちまち膣壁は指に吸い付くと愛液をたっぷりと塗りたくり、盛大に歓迎した。
「ふぁぁっ……!?♡」
「っ……」
無意識なのか、それとも狙ってなのか。耳郎の耳から伸びる【イヤホンジャック】が間飛の腕に緩く絡みついてくる。止めて、という意味なのかそれとももっと、という意味なのか。
どちらにせよ間飛がすることは同じだった。
お腹側の膣壁を押し込むように指を曲げ、指の腹を使って少しだけ膣壁を擦った。
「っあ……!?♡♡あ……♡」
「え……イッ……た?」
「あー……♡やっと、イけた……♡」
我慢に我慢を重ねた体にはそれすら限界だった。たった一撫でで快楽のダムは決壊し、ビクリと全身を震わせる。
その一回の絶頂で膝はガクガクと揺れ、間飛に身体をベチャリと預けてしまう。
大丈夫か。その一言が出る前に耳郎は耳元で囁いた。
「……まだ、足りない」
「っ……いいんだな?」
返事はいらなかった。
もたれかかっていた耳郎を軽く持ち上げ、ベッドへと仰向けに寝かせる。汗に濡れた薄い身体に微かにシーリングライトの光が跳ね返っていた。
それを押しのけるように間飛の影が覆い被さる。
「私さ……そんなに胸も大きくないけど、それでも好きなの?」
「……アレにも書いてたろ。八百万さんよりもレディ・ナガンよりも、俺にとっては耳郎さんの方が魅力的なんだよ」
「ふふ……変な趣味」
「本人が言うのかよ……」
同級生と比べても貧相な身体だとコンプレックスに思っていた身体が、今この時だけは嬉しくて仕方がない。誰よりも近く抱きしめられるこの身体がとても嬉しい。
両手を頭に添え、そっと口付けを交わした。啄むような短いキスを何度も、何度も。
「そろそろいいか?」
「うん……いいよ。きて?」
自分の指よりも間飛の指よりも太く、硬く、大きいソレが陰裂にあてがわれる。目を合わせたまま答えると、肉棒は静かに腟内へと挿入っていった。
「うあっ……♡」
「狭っ……!?」
亀頭が完全に入ってから数センチ進んだ辺りで挿入が止められる。初めてという事を差し引いてもかなりの狭さをしており、無理やり捩じ込むには躊躇われるほどだ。
それでもジワジワと少しずつ、慎重に奥へ奥へと突き入れていく。吸い付くを通り越して押しつぶされそうな狭さの腟内をあますことなく擦りながら。
やがてある程度進んだあたりでプチプチ、と音が響いた。
「あ……♡」
「……処女膜、なくなったな。大丈夫か?」
「うん……全然平気。だから、続けて」
ジワリと微かに滲む血。しかし痛みはなく、それを塗りつぶすほどの心地良さがあった。耳郎の言葉を信じて更に進めていく。
そしてようやく、コツン……♡と少し硬い部分に到達した。
「これで……全部入っ……た?」
「いや、ちょっと入り切ってない。少し慣らそう」
「あっ♡ちょ、いきなりっ……♡♡」
あとほんの数センチ。根元が僅かに入り切らなかった。外から見てどこまで挿入されているのか腹の膨らみ具合で分かってしまいそうなくらいなのだから当然と言えば当然だ。
その数センチを入れたい。その為にと間飛は奥深くをグリグリと刺激し、耳郎の腟内が馴染むのを待つ。
「……そういえばさ」
「何?」
「“さん”付け、やめてくれない?」
「……そういやまださん付けか」
「ここまで……んっ♡し、したのに呼び捨てじゃないのも……寂しい、でしょっ……?♡」
腹の奥をズリズリと引っかかれながら耳郎が頼んだのは敬称の撤廃。既に裸の付き合いをしているのに今更おかしいだろうと彼女は言った。
間飛からすればタイミングを逃していただけなのだが、どうせなら少しイタズラっぽくしたい。耳郎を気遣って浮かせていた上体を完全に耳郎へと預けた。
「ふぎゃっ!?お、重いって……」
「……響香?」
「ひゃうっ!?♡♡」
「うぉっ……!?」
逃げ場のない状態で耳元で囁くように名前を呼んだ。すると突然ビクン!と強く身体を跳ねさせた。
驚かされた間飛が耳郎の顔を見てみると真っ赤に染まっており、涙目でプルプルと震えていた。
「耳……敏感なんだって……!!」
「……ふーん?」
「……ねえ、ちょっとやめてよ?本当にヤバいからね?」
そろそろ腟内もこなれて来たかというところでいい事を聞いた。彼女が止めるのも聞かず、間飛は【イヤホンジャック】を掴み……。
「あむ」
「あ゙っ!?♡♡」
「んー……」
「いやっ!?♡ちょ、舐め……っ!?♡♡♡ひゃあああっ!?♡♡♡」
先端部分を口に咥えた。再び耳郎の身体が跳ねる。
そのまま口の中で弄び、唾液まみれにしつつ舌でレロレロと舐めまわしてみれば面白いように耳郎が艶やかな声を上げた。
くすぐったいでは済んでいない。声を上げて反応するほど愛液の量は増えており、明らかに快感として受け取っているのが分かる。
一分も経たないうちに悲鳴は蕩けた嬌声へと変わり、どこか余裕のあった表情も涙やヨダレでグチャグチャになってしまった。
「耳ぃ……♡♡耳は……だめだってぇ……♡♡♡」
「めっちゃ気持ちよさそうだったのに」
「気持ちよすぎてダメなんらってぇ……♡♡」
唾液でベトベトになった【イヤホンジャック】から伝わる感触が余程効いたのか、呂律まで危うくなってしまっている。
しかしそこまですれば腟内の方も激しくしても問題ないだろう。
既に先程から慎重にしていたはずなのに、耳郎の方から耐えられないとばかりに腰をくねらせて擦り付けようとしているくらいだ。
肉棒を入口近くまでジワジワと引き抜いていく。高いカリ首が膣壁全てを削るほどの勢いで刺激し、吐息混じりの嬌声を出させる。
「お……♡おぉほおぉおお゙おほおお゙??♡♡♡にゃにいまのぉ……?♡♡」
「っく……響香。動くぞ」
「ぇ……?♡♡」
入口近くまで引き抜かれた肉棒が再び奥深くへと突き込まれた。最初の一回とは違って、遠慮のない速度で。
グリュゥッ!!♡♡♡
「んぎぃっ!?♡♡♡」
「っ……!!」
「っあ゙♡♡あがっ……!?♡♡お゙っ、お゙ほお゙ぉぉおおぉおお゙??♡♡♡」
深く早く強く突き込み、遅く丁寧に深く戻っていく。行きと帰りで全く異なる快楽を叩きつけられ、脳の処理が上手く回ってないのか普段と違って汚い声で喘いでしまう。
一息に子宮口まで突き込まれ、ヒダをこそぎ落とすようにゆっくりと引き戻される。それを腟内よりも大きい男根にされているのだ。段々と腟内そのものが肉棒へとあった形に変えられていく。
「ひぎぃっ……!?♡♡♡」
「響香、口開けろ……っ」
「ぇあ……?♡♡んむぅっ♡♡」
それだけではない。言われるがままに開いた口に舌を捩じ込まれ、唇どころか舌同士を絡ませるディープなキスまでされている。
ただでさえ耳のいい彼女の頭の中に舌が絡まって起こる水音が響き、密着した間飛の体温を受け取りたいと無意識に【イヤホンジャック】と手足を絡めた。
途端により深くまで肉棒が突き刺さった。
「んむぅ……!?♡♡ん゙ん゙っ!!?♡♡」
「……っ!!」
足を絡めてしまったことで後押しを受け、間飛が更に腰を押し付けることになった。それは腟内に挿入っている肉棒を自身の子宮口へと押し付ける行為に他ならず、自分で自分の子宮を押し潰してしまっていた。
間飛からすればコレを強請られたとしか思えず、求められるままに間飛は突き込みをより深くする。
「ッ!!?♡♡♡〜〜〜〜〜ッッッ!!!?♡♡♡♡」
「……はあっ、はっ……」
「ぷぁ……♡♡」
既に耳郎に間飛のピストンを跳ね除けるだけの力もなければ抵抗する気もなく、されるがままに快感を受け取ることしかできていない。
段々とピストンの速度は速くなり、絡みついた手足もより強く間飛を抱き締めんとしていた。
互いに限界が近く、最早気遣う余裕も消え失せた。互いが互いを貪り合うような、獣のソレのようにひたすらに腰を振る。
「イっ……♡♡イグッ……!!♡♡♡」
「俺もっ……もうすぐ……っ!?」
「ちょうだいっ!!♡♡腟内にっ……♡♡♡腟内に射精してっ……!?♡♡♡」
子宮そのものを押し潰すほどに子宮口へと押し付けられ───限界に達した。
ビュルルルッ!!♡♡ビュグッ!!♡ビューッ!!♡♡♡
「あ゙っ……がっ……!?♡♡あ、熱いのが……♡♡いっぱい……っ♡♡」
「ぐぅぅっ……!ぁ……はぁ……っ……」
最後の一滴まで注ぎ込まれながら、ギュッと目を閉じてキスをする。射精の終わりと同時に唇が離れ、もう一度短いキスが交わされた。
引き抜かれた肉棒は愛液と白濁混じりの粘液でテラテラと光っており、腟内からは逆流した精液がゴポリと溢れ出す。
たった一度のセックスとは思えない量の射精と快感にぐったりと身体を投げ出しながらも、二人は目を合わせて照れくさそうに笑っていた。
「……立てそう?」
「ちょっとキツイ……かな。ごめん」
あれだけやったしなぁ、と笑う間飛。デリカシー……と言いたくなるけれど実際その通りだし何も言えないなあ。
……別に滅茶苦茶好きだったってワケでもなければ、コイツだけは絶対無理!ってワケでもなかった。ただのクラスメイトの一人、って感じだった。
全部変わったのは合宿だったっけ。
あの時、間飛が何かヤバい奴と戦ってる音が聞こえてた。後でそれがオール・フォー・ワンっていうとんでもない悪の親玉だと分かって……すっごく怖かった。
「……間飛ってさあ、結構バカだよね」
「喧嘩か?買うが?」
「無理無理。私じゃ色んな意味で勝てないから」
……今なら分かる。あの時の間飛は普通に怖がってた。逃げていいなら逃げたかったんだろうし、ラグドールに全部任せて知らん顔したかったんじゃないかなって。
それを全部飲み込んで戦ってくれてた。
……ズルいじゃんそんなの。そんなにロックで、そんなにかっこいいことされたらどうしようもないじゃん。
「よいしょ」
「うげっ、間飛重いってー……」
「うるへー。可愛いんだか吸わせろー」
「……しょうがないなあ」
あの日、本当は間飛が何を書いてたのかも知ってたし……あの時入られたくないのも分かってて入った。そしたら少しくらいいい方向に持っていけないかなって。
……まあ、想像よりも凄いの書いてたから勢いに任せちゃったけど。
「移ー?」
「……急な名前呼びドキッとするな。何?響香」
「呼んだだけ!」
……まあ、いっか。
Hルート
END⑧【壁に耳あり】