※この作品はR-18です。

タイトルはまだありません   作:だーばやし

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普通を異常へ異常を普通へ普通を普通へ…普通ってなんだよ?w

 意識が戻りながら青年の声が聞こえることに疑問を抱きながらもその言葉の意味を聞き取ろうとする。誰なのか分からない、心当たりが全くない。視界は謎の青年が寝ているコチラを呼んでいることだけ伝えるが、聞き取った言葉が私を困惑させる。

「母さん…おはよう」

「………。」

青い髪に青い蝶の羽根、白いローブを着こなす青年はメイを母と認識している。その瞳は純粋で真っ直ぐで顔は美少年過ぎる故に困惑と異性への魅力に対する耐性の無さが合わさり、目覚めた身体が寝たままの異様な姿勢で魚雷飛びの如く一直線に吹っ飛んでいた。直線上に突っ立っていた人物の懐に強烈な頭突きとして命中し、くの字に姿勢をへし折った。捉えた対象がケルベロスであることに後から気づくがそもそもここは何処だ?

「母さん!?」

「メイ…寝ていると見せかけて不意打ちするとは…カハッ!」

「ふぇっ!?誰この人!羽根あるし!」

「落ち着け…まあなんだ。おめでとう」

「は?」

どうやら寝ている間に吐き出された幼虫が蛹から蝶へと変態したようで、その蝶が目の前にいる美少年だと神は言っている。善の循環による異常発達により本来ならば残虐非道な悪魔になるはずが天使や精霊に近い異物と説明された。

「ここ…こんなイケメンが私から産まれる訳ない!そもそも父親誰だよ!?寝ている間に私犯されたんか!汚されたんか!?」

「父親なんぞいない、自分も神になりきってること忘れてないか?」

「善の循環とか意味わかんないし!気持ち悪い虫がいっぱい出て起きたらコレだよ!?おかしくね!?」

「進化と変態だ。環境に適合する為に異常な善を獲得して立派に成長した我が子をせめて抱きしめたらどうだ?」

「我が子…?」

美少年と目が合う。少し哀しそうな気持ちを抑えて複雑な家庭環境に耐える母子家庭の子供そのものだ。形がどうであれ産まれた直後の地獄のような兄弟姉妹との戦いに勝ち上がり生き延びた。

「えーっと…待って…いやマジでさっきからおかしい」

メイは自分がギルドのベッドで寝ていたことに気づいた。当然のように部屋に神もいるしケルベロスも一緒で介護にイケメンと何がどうして皆んな揃って仲良くいるのか分からない。

「何がだ?世界がと言うなら今更と言いたいが」

「メイ…それは同じ気持ちだ。私も目が覚めるとココにいたんだ。姉さんや皆んなも生きていた。何事もなかったように…」

「二人が一緒にいるのが一番納得できないんだけど」

「一時休戦と言うやつだ。犬が身籠ってな…今でも消してやりたいが」

「なんで?できないの?」

やれるものならやってると言わんばかりに神は腕を組んで黙った。メイは意識が飛ぶ前の記憶、突如現れたゼノムがケルベロスを抱え上げエロゲの如く犯して去ったのを思い出す。アレが本当ならケルベロスのお腹の中にあのイカれた男の子供がいることになる。我が子を敵陣にそのまま置き去りにしてたのなら父親失格であろう何か厄介なものまで植え付け安全を確保してるはずだ。

「あの時の幸せな時間が現実だったとは今でも信じられないが姉さんや皆んなが生きているのも納得がいく根拠だ。ゼノム様の子…私の子…ふふ!強いに決まっている!」

「忠誠心だの何だのを敵の前でベラベラと気持ち悪いな…」

自分の腹を撫でて幸せそうなケルベロスに苛立ちが抑えきれない神。メイはそんな妊婦さん目掛けて頭突きしていた自分の顔を手で隠す。誰も何も指摘していないので話題を変えて流すことにした。

「とりあえず状況は理解したから!そうだ!名前付けなきゃだよね?この子の!」

美少年の肩を掴み中央へと押し視線を集めさせる。やや風圧で漂うこの子の香りが良すぎて一瞬理性が壊れかけたが踏み止まる。その時、記事や調べ物で母性本能なんて本能が本当に存在しないと実感した。確かに女性と男性で脳の作りから違うので考え方が割れるが母性本能は本能と書いてるが実際の所、本人の努力や考え方で身につくものだ。取り戻した理性は「おまえ母親向いてねぇーよ」と言っている辛い…自分を母さんと呼ぶ子供に対しての感情が「ショタ…デュフ!」なの死にたい…ショタに色んなこと教えてあげたい。純粋過ぎるイケメン美少年なのが拍車を掛けて暴走しそうだ…最低な自分を自分で問い詰めて精神を追い詰めておかねば落ち着けない。

「ん?急に冷静になったな…自分の子供が気に入ったか?なら増やすか?」

神は手を近づけてみるがメイは距離を取る。

「前も言ったよね?やり方どうにかなんないの…?」

「やり方?緑の大魔王みたいな卵を吐くのと人間のような出産どちらもお気に召さないか…人外らしい出し方が好きと?」

「卵吐くのは人外だろ…そうじゃなくて」

「母さん…この人、凄く悪そうだけど」

メイを守るように割って出てきた青年は神を睨み続けていた。神も対抗して殺意を向けて場が凍る…

「善の異常発達で産まれた出来損ないが我を睨むとは良い度胸だ…」

「ボクには母さんがいる…出来損ないかどうかは貴方が決めるようなことではない!」

「ちょ!ストーップ!?」

まさか二人がそういう流れになるとは思ってもいなかった。まだ名前も決めてない我が子を見殺しには出来ないので何とかして止めたい。

「随分気に入ったみたいだな…こんな出来損ない」

「そういう教育方針は私に無いから!愛情注いで貰えなかった子供の生涯なんて私が一番知ってるわよ、そんな扱いさせない!」

「あと名前に関してだがコイツは元からあるんだよ」

「あ…そう」

「母さん!そんなの気にしないで名前付けてよ!ボクはボクなんだ!」

「チッ…特異点の観測者が名付けなんかしたらゼノムがどう出るか知らんぞ」

「そうだな…こう出ておくか?」

「そうそう…こうやって鎖で縛ってだな…ナニィッ!?」

いつの間にかゼノムが隣にヌルッと出てきて神を即拘束していた。相変わらず出てくるタイミングどうかしてると思う。

「ゼノム様!?」

ケルベロスはゼノムの顔を見て立ち上がる。もはや帰りを待っていた妻の顔だ気持ち悪い…

「はぁ…今度は何しに来たの?息子殺しに来た?」

「いやいやガチで息子だと思ってるなら鼻で笑うわwあっ…ごめんねケルベロス!後でいっぱいお菓子あげるから!」

「あん?処女イジリなら早く消えろよな!」

「いやーこのまま吐かれると少々面倒でさぁ…また仕事が増えるじゃん?働きたくないでござる」

「母さんの友達?」

「友達?いや全然違うけど」

「じゃあ父さんって呼んでもいいですか!」

メイとゼノムが二人揃ってズッコケた。この子は意味を分かってて言ってるのか危ういボケと捉えるべきなのか二人は悩んだ。

「まあそういう世界にすれば…やらないけど…」

「こっち見んなし!?」

「ほら、仮にも母親なんだしここは教育してあげないと…」

「ダメダメ!こんなクズ父さんじゃないから!?本当のお父さんは貴方に似て顔も心もイケメンだから!」

「えーダメなの?」

「母親の心がドロドロで草」

お互いの毒の吐き合いに完全スルーで名付けを始めることにした。外野は黙ってろと言いたいようでゼノムの出したであろう拘束する鎖は神の顔面を覆い隠していた。特異点の観測者が名付けをした影響にゼノムも興味があったようで今回は珍しく直ぐに帰らない。

「アンタが長時間の外出なんて珍しいじゃん」

「前世となんだかんだで全部同期しちゃってるー。馴染んできたか?」

「本当にエロゲの世界のままなら普通馴染めないっしょ」

「まあリョナが含まれるからな…」

「リョナ?何それ?」

「え…同期したのに入ってないの?思い出せないの?マジかーアイツやりやがったな」

「うーん…まあこの子の名前それでいいんじゃね?」

「いや草」

ゼノムは吹き出した笑い声の勢いが止まらず喉がカッスカスになる。メイは全ての同期を終えて『前世の記憶』や違う世界線での経験を得たがその上で名前を聞くと妨害される『あの人』に関する情報と似たように一部のものが抜け落ち消失しているとゼノムは述べた。

「いやー親子揃って意味わかってないままアホ抜かしてるーwまあそれは置いておきますと!はぁ…善の循環とかそんなの囮だよなぁ…そうだよなー」

「一人でなんか納得してまーたブツブツと…何?そんなヤバいもん抜けちゃったの私」

「頭のネジがブッ飛んでるのは百も承知だが…真なる想起に一度到達したやつだ。理屈どうこうバグ技どうこうじゃないんだよな」

「とりあえずそのリョナってのが抜けて何がヤバいわけ?」

「ん?普通になるけど」

「え…じゃあ良いじゃん」

「たわけ!リョナが普通なのはヤバいだろ!?リョナが何なのかググれカス!異常性癖の代表例だぞ!普通が普通で無くなるのは素晴らしいことだ!強さを求めて快楽を求めて幻想…んんっ!理想郷を作り上げるのは異常そのもの…そんな我儘を貫くのが一番の強さ!インフレを加速させ上には上が高次元のその先へと進み更なる認識…!その全てを悟り我が身とする!そんな礎をヤツは逆に突き進んで消し去り普通にしてしまうんだ!このヤバさが理解できるか!?」

「マシンガントーク過ぎてビビる〜つまり何でも普通にするのが真なる想起ってやつなん?」

「いや知らん…何アイツこわ…」

メイは転げ落ちた。絶対的強さをこの目と様々な同期した記憶で確かめたはずなのにゼノムの強さに反比例して『あの人』が何者なのか分からなくなっていく。本当にまともに相手したらゼノムですらこの反応なのだ何がヤバいのか分からない程ヤバい…それしか出てこない。

「母さん!大丈夫ですか!?」

「リョナ君のお出ましだよ。名付けから虐待してないか?w」

「大丈夫よリョナ…母さん頑張るから」

ゼノムは腹を抱えて爆笑しながら部屋を出た。数分後、隣の部屋からベッドが激しく軋む音が一定のリズムでこちらの部屋まで聞こえてきた。

「母さん…あれが」

「ダメよ!見ちゃダメ!」

部屋を出て廊下を通る時、前回との大きな違和感があった。部屋が増えているのだ。まるでゼノムがヤる為だけに増やしたような不思議な増え方だった。開けたままのドアをメイはゆっくり閉めてリョナを階段へ引っ張る。

「あの野郎…絶対ワザとだろ……え?」

閉める直前に見ないようにしていたゼノムとケルベロスの遊戯をチラ見してしまっていた。その光景が誠であれば幼女が三人いたような…いや疲れているのだろう気のせいだ。マジだったとしてもゼノムならそれくらいやれる…

「あのロリペド野郎…」

「ロリペド?」

「あー!?ごめんごめん!今のなし!」

我が子の前でとんでもない発言をしてしまったメイだった。

 

部屋でぶら下がっている鎖の塊が左右に揺れる。

(ゼノム殺す…!殺す…絶対殺す…!!)

「まだまだあるぞ〜!」

放置された神は隣の部屋から聞こえてくる忌々しいゼノムの声と幼女の喘ぎ、時折響く遠吠えに激怒し次第に鎖が砕かれていた。

「あーまだあるんだって」

ゼノムは隣の部屋に向けて笑みを浮かべて何かを施した。無限に鎖が巻き続けられて神は成す術など無いまま力尽きてしまった。そんな神を煽るように再び喘ぎ声が響く…

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