「いやっ、ああっ、あああっ」
「ほら、相変わらず、後ろから掘られるのが好きな女だねえ……。それっ、それっ」
玄奘──いや、宝玄が嘲笑のような笑い声をあげながら、拘束している沙那を張形で犯し続けている。
このところ、ずっと続いている女同士の性の絡みだ。
県令の館において、宝玄にあてがわれている離れの客室であり、ふたりきりである。宝玄の結界術で部屋全体を封印しており、どんなによがり狂っても、沙那の恥ずかしい声が外に漏れることはない。
それだけはありがたい。
「ひあああっ」
沙那は崩れいく情感と懸命に戦っていた。
だが、四つ脚の卓に上半身をうつ伏せにされて縛られ、両脚を卓の脚に開脚して拘束されている恰好で玄奘──いや、宝玄に後ろから張形で犯されていると、秘宮が狂ったように熱く疼き、自分でも股間からねっとりと愛液が濃さを増して分泌していくのがわかる。
この格好は後背位というらしい。
沙那がこの貴人の世話を命令されてから、毎晩どころか、日に何度も、この宝玄の性の相手をさせられているのだが、それが重なるにつれて、自分が淫らになっていき、感じやすい身体に変化していくのを感じている。
いまも、自分でも驚くほどの淫らな反応をしてしまっていた。
この宝玄という皇都からやってきた法術師がこの県令の屋敷に逗留するようになって、十日に近い時間が過ぎていた。
その間、宝玄の身の回りの世話については、女将校である沙那が一手に引き受けている。なにが気に入ったのかわからないが、この宝玄は最初に沙那が性奉仕の相手として閨にあがって以来、県令に沙那を自分の世話の専属にするように強要し、県令も沙那に命令を与え、宝玄のそばに侍って万事、宝玄に従うように任務を与えられている。
宝玄が沙那に期待しているのは、護衛でも身の回りの世話でもなく、狂ったような彼女の奔放な性の相手であることはわかっているが、沙那の立場では逆らうこともできず、渋々、ずっと相手をするようになった。
女同士の性愛というのが、この世にあることは認識していたが、まさか、自分がそれを受けることになるとは、少し前までは思ってもいなかった。
だが、仕方がない。
県令には、これもまた、女将校としての潜入調査任務の一環だと言われれば、頑なに拒絶することもできないし、実際、県令には宝玄が何者であるのかを性奉仕の場を使ってでも探れと密命も与えられている。
女将校というのは、ただ戦うだけが役割ではない。治安維持のために犯罪組織に接触し、娼婦にやつして情報収集をするということもよくやる。
使えるものは、自分の身体でもなんでも使う──。
それが女軍人というものだろうし、沙那も自分の貞操にこだわりはない。
それに、この宝玄という女法師がなにからなにまで怪しいのは事実だ。
最初において、この宝玄は自分が旅の法師であり、名は玄奘だと名乗ったが、そもそも、それは偽名であり、法術師としての戒名は、宝玄というらしい。それを沙那にあっさりと閨で喋った。
類まれな法術遣いであることは間違いないのだが、自分が誰かに呪術を掛けられていることもまた、あっさりと沙那に白状したし、実際に宝玄の下腹部に、花を思わせるような幾何学的な紋様があることも確認している。
隠すつもりがあるがあるのか、ないのかわからないが、宝玄は沙那を愛しながら、かなり包み隠さずに沙那に口走った。
それによれば、その淫紋のために宝玄は常に発情し、それを他人との性愛で発散しないと、次第に法術が遣えなくなるそうだ。そんなことまで沙那に教えてくれた。
沙那も驚いたが、この十日足らずの宝玄との付き合いで、どうやら、それは事実であるようだということも確信したし、淫紋を刻まれて呪術を掛けられているというのは、宝玄にとって大変に屈辱的な事実なのも認識した。
一体全体、どういう背景によって、彼女のような高位法術遣いが娼婦のように淫紋を刻まれてしまう事態に陥ったのかは想像もつかないが、それが女の尊厳を奪う大変な侮辱的な事実であるということはわかる。
純粋に気の毒とは思う。
しかも、宝玄に刻まれている淫紋の呪術は、自慰による性欲の発散を許さないらしく、他人との性愛でないと、発情を抑えられないようになっているらしい。
だから、宝玄は自分の法術が凍結されるのを防ぐ応急的な処置として、性愛の相手を必要とし、今回のこの屋敷における逗留にあたり、沙那をその相手に指定したというわけなのだ。
女としての性欲を満たすのであれば、女である沙那よりも、男の相手の方がいいような気がするのだが、宝玄に言わせれば、男は都合が悪いそうだ。
これについては、まだはっきりとは口にしないが、性愛に夢中になると、この宝玄はすぐに口が軽くなるので、それを利用して探っていくうちに、どうやら、宝玄に刻まれている淫紋は、同じ男から精を繰り返し子宮に注がれると、次第に、その男の支配下に陥っていく呪術もあるようだ。
宝玄はそれを嫌って、男を相手にするのを避け、女の沙那に性愛の相手をさせているということらしい。
それはともかく、淫紋の影響なのか、あるいは、この宝玄のもともとの性質なのかは判断できないが、この宝玄は実に淫乱だ。
しかも、嗜虐癖であり、沙那に性の相手をさせるときには、必ず、沙那を拘束して自由を奪ってから相手をさせる。
自由を奪われるのは怖いし、屈辱的なのだが、これも任務の一環だと思って諦め、ずっと諦めて宝玄から求められるままに相手をしてきた。
だが、それも毎晩、毎日、日に数回ともなるにつれ、沙那も自分の身体に変化が起きてきて、いまは困惑の気持ちである、
被虐の快感というか、拘束されて好き勝手に身体を嬲られることに快感を覚え、これまでに経験したこともないような深い情欲に引きずり込まれるようになっていっているのを自覚している。
いまもそうだ。
卓に開脚縛りでうつ伏せにされ、後ろから宝玄の操る張形に股間を犯されて、狂ったように興奮をしてしまっている。
感じるのだ──。
淫らな身体にされたのだと思った……。
それとも、宝玄がなにかにつけて、揶揄い口調で沙那に告げるように、沙那に隠れていた被虐に性欲のためなのだろうか。
「ほらほら、またみっともなく、達するのかい、淫乱女──」
宝玄が操るのは、かなり太い張形だ。
しかも、表面にたくさんの丸い突起がついている特別性だ。
それが股間を激しく出入りする。
「い、いぐうう──」
沙那は拘束されている身体を大きく弓なりにした。
口から断末魔のような声が迸る。
こんなに激しくよがるような女じゃなかったのだ。
それが、たった十日で、こんなに淫らな反応をするのを抑えられなくなってしまった。
「ははは、堪らないだろう、沙那──。ほら、ほら」
宝玄が張形を動かしながら、片手を卓に押しつぶされている沙那の乳房に差し入れる。
そして、卑猥に揉み込んでくる。
「ひあああっ」
沙那の身体がぴんと硬直する。
だが、その瞬間だ。
宝玄の愛撫がぴたりと中断され、張形が静止する。
「いやああ、もう許してください──」
沙那は悶え啼いた。
今日は焦らし責めというものをやるのだそうだ。
これもまた調教であり、快感を上昇させては、ぎりぎりで寸止めするのだそうだ。これをひたすらに繰り返すらしい。
だが、やられてわかった。
こんなに苦しいものはない。
すでに寸止めは十回以上繰り返されているのだが、さすがに沙那も泣き狂ってしまった。
「まだまだよ。それとも、奴隷になるのを誓うかい?」
宝玄が笑う。
「ひ、卑怯です──。ち、誓いません──」
「ははは、そうかい」
宝玄が愉しそうに後ろで笑った。
「じゃあ、次はそろそろ、こっちで遊ぼうかい」
背後の宝玄が卓に拘束されている沙那からほとんど密着していた裸身を離す。
はっとした。
次になにをされるのかがわかったからだ。
慌てて気を引き締めようとしたときには遅かった。次の瞬間、宝玄の指が沙那の肛門の中に打ち込まれてきたのだ。
「はううっ」
沙那の身体が大きく弾んだ。
この十日間に、この沙那の排泄の器官を性行為の場所として仕込んだのもまた、この宝玄だ。
この性狂いの女法師は、なぜか尻責めが大好きで、沙那との逢瀬のときには、必ずこの尻を性感帯にする調教を沙那に施した。
十日のあいだに、宝玄の性の手管に加えて、媚薬や法術による感度向上、さらに淫具まで使われて、いまやすっかりと沙那のお尻はしっかりとした性感帯に成長してしまっている。
これもまた、この女法師に接することで変えられてしまった忌々しい身体の変化のひとつである。
「どうだい、沙那。わたしの性奴隷になれば、こんな気持ちのいいことを毎日体験できるんだ。奴隷になると誓いな。そうすれば、わたしの秘密を教えてやるよ」
「ひ、秘密って……?」
秘密とはなんだ──?
おそらく、この宝玄が最初に玄奘と名乗ったこと……。股間の淫紋の呪術のこと……。そして、なにかから逃げている気配であることに関係があると思うのだが……。
「そりゃあ、奴隷にならないと教えられないさ。もう、裏切られることにはこりごりだしね」
裏切り……?
沙那は怪訝に思った。
しかし、思念はそこまだ。
宝玄が沙那のお尻に入っている指をさらに奥に進めながら、内襞を残らず擦るように、左右に回転をさせ始めたのだ。
しかも、いつの間にか、指に油剤のようなものを塗っていたのか、その潤滑を利用して、荒々しく縦横無尽に肛門が宝玄の指で刺激される。
「ああっ、いやああっ」
沙那は卓にうつ伏せに拘束されている身体を限界まで突っ張らせた。
お尻の中をいたぶられるのは汚辱であるが、それと同時に、それまでの人生で同時に体験したことのないほどの愉悦には違いない。
その衝撃が四肢に走る。
「感じてるようだね、女将校様? 尻で感じるような女は被虐の性癖だ。いい加減に認めな。お前は本物の被虐癖さ。変態の奴隷の素質が十分だ」
宝玄が哄笑する。
反論したくても、お尻から次々に駆け上がる喜悦の感覚に、沙那はただただ身体の芯からの快感をせり上げさせられるばかりだった。
いくっ──。
そして、大きなものが込みあがった。
沙那は全身を突っ張らせながら、背中を大きく反らせていた。
「ははは、お預けさ」
宝玄が肛門から指を抜く。
またしても、沙那は絶頂の寸前に快感を止められてしまった。
「いやあ、許してください──」
沙那は我を忘れて泣き叫んだ。
「許してじゃないだろう。いかせてくださいだろう」
「い、いかせてください」
間髪知れずに沙那は口にした。
もはや、快感は沸騰して弾けんばかりに身体に充満している。だが、その出口を与えられずに、うねり狂わせられている。
快感を無理矢理に上昇されては、ぎりぎりで引き下げられる……。
それがこんなに苦しいものとは思わなかった。
まさに性の地獄だ。
「……じゃあ、ここに口づけをしな……。そして奉仕するんだ。わたしに快感を極めさせてくれれば、欲しいものをやるさ」
宝玄が前に回ってきて、沙那の視界に入る。
沙那は卓に上体をうつ伏せにされて、首から先を卓の縁から出すような体勢になっていたが、顔の高さはちょうど宝玄の下腹部の辺りだった。
その宝玄の下腹部では、あの淫紋が真っ赤になり、まるで生きているかのように花の模様が収縮を繰り返していた。
そして、宝玄もまた性的興奮に陥っているようであり、女の股間も真っ赤に充血していて、おびただしい程の愛液が股間から滴っている。
もしかしたら、これもまた淫紋の影響なのだろうか……。
だが、宝玄が手に持っていた張形を底にあてがうと同時に、まるで男性器のように、宝玄の股間に密着して一体化したのだ。
これも法術?
沙那は目を見張った。
「舐めな」
宝玄がその張形……男根を沙那の口に押し込む。
いやも応もない。
もはや、知力は沙那から奪われている。
ほとんど本能のまま、沙那は宝玄の股間から生えているものを咥え、舌で刺激する。
口に入れられているものを通じて、宝玄の中に流れる気の流れを感じた。
それを練るようにして、直接に機を打ち込む。
武芸者の沙那だからこそできる技だ。
「くあっ、お、お前……。じょ、上手じゃないかい──。ああっ」
途端に宝玄にあった余裕のようなものが吹き飛んだのがわかった。
沙那はちょっとほくそ笑みそうになってしまった。
嗜虐癖の性狂いの変態女が、こんなに可愛らしい反応もするのだと思った。
面白くなって、沙那はさらに気を激しく流す。
宝玄の中にある気の遮蔽物のようなものに気塊を連発して当てて突き破る。その破れた場所に一気に大量の気を注ぎ込む。
「ああっ、いいいっ」
宝玄の身体が突っ張り、がくがくと激しく震えた。
そして、沙那の口に中に、宝玄の下腹部に生えている男根の先からねっとりしたものが大量に噴き出したのがわかった。
「くふうっ」
宝玄の身体ががくりと折れ曲がり、沙那の上に覆い被さってきた。
そのあいだも、宝玄の身体は震え続け、沙那の口の中にある男根が熱を帯びながら収縮して粘性物を噴き出し続ける。
沙那はなにも考えずに、その粘性物を喉の奥に押し込んでいった。
「はあ、はあ、はあ……。お、お前、最高だよ……。やっぱり、わたしの性奴隷になりな……。護衛として西方行脚についてきておくれよ……」
荒々しく息をしている宝玄が身体を起こして沙那を見下ろしながら微笑んできた。
この狂い女の性奴隷になって旅か……。
まあ、見知らぬ土地を旅して、まだ見ぬ世界に接する。
それはそれで、沙那の知的好奇心を満足させるに違いない魅力的な提案ではあるが、この狂い巫女の奴隷か……。
奴隷とはいうのは、ひとつの契約だ。
生殺与奪まで支配されるわけではないし、隷属の呪術により「主人」に逆らうことと傷つけることはできなくなるが、その代わりに、主人は奴隷の衣食住に責任を負うように呪術で縛られる。
双方の心を呪術が縛るのである。
別段、地方領主の女将校とういまの立場に固執するまでのものはないから、旅に同行することについてだけならやぶさかでもないいものの、この変態女の性の相手をさせられるというのは、やはり、少しばかり逡巡するものがある。
性奴隷といっているのだから、性の相手も奴隷としての義務として呪術に縛られるようになるのだろう。
たったの十日……。
それでここまで淫乱になってしまった身体が、宝玄との旅でどこまで作り替えられてしまうのだろうと考えると正直怖い……。
「や、やはり、性奴隷というのは……」
沙那は首を横に振った。
「そうかい。まあ、まだまだこの県令の屋敷には逗留するつもりさ。口説き落としてみせるよ」
すると、宝玄が宙から取り出すようにして、なにかを出現させた。
二本の細い革帯のようなものが接続したものだが、驚いたのはそのうちの一本の革帯の内側に二本の張形が装備されていたことだ。
しかも、革帯には白い線で紋様が刻まれている。
一見して、法術が込められたものであり、しかも淫具であることがわかった。
「また来るんだ。そのときに外してやるよ」
宝玄が笑いながら再び沙那の腰の後ろにまわり、その革帯を股間に潜らせて二本の張形を沙那の股間と肛門に埋めると、その革帯に交差しているもう一本の革帯を腰の括れに締めつける。
股間と腰に革帯が喰い込み、勝手にぎゅっと締めつけられた。
沙那ははっとした。
また、愕然ともなった。
この宝玄によって執拗に責め上げられ、幾度となく絶頂寸前まで押し上げられていた快楽のただれるような焦燥がそのままなのだ。
しかも、二本の張形の触れている部分が熱い。
抵抗なく埋め込まれたことから、潤滑油のような油剤が事前に塗ってあったのは感じたが、そこからむず痒いような妖しい感覚が拡がっている。
そして、どんどんとそれが強くなる。
「じゃあ、行っていいよ。ご苦労さん。明日にでもまた来な。だけど、どうしても我慢できなくなったら部屋を訪ねてもいい。もちろん、そのときには性奴隷になることを覚悟しておくんだ」
四肢に喰い込んでいた縄が緩んで拘束が解ける。
沙那は崩れるように床にしゃがみ込んだが、すぐに両手を股間の革帯にやる。しっかりと喰い込んでいて、革帯の内側には指先一本入る様子もない。
それだけでなく、大きな違和感がある。
沙那は知らず、ほとんど無意識に革帯の内側の張形を動かすように揺すってしまっていたのだが、その刺激がまったく内側に伝わらないのである、
なんだこれ……?
「わたしの法術が刻み込まれた特別な淫具さ。どんなに外から揺すっても、刺激が内側には伝わらない。ただし、張形そのものの揺れはお前の性感を直撃さ。それだけ淫らになったお前の身体がどれだけ耐え垂れるか我慢比べだね。さあ、出て行きな」
宝玄がからからと笑いながら、沙那の身体の前に、沙那から事前に取りあげていた軍装や下着の一式を放り投げた。