連行されたのは広い「取調室」だ。奥側は一段高くなっていて、そこに酷薄な表情を浮かべている黒風斎が準備されている机の前の椅子に座っている。
沙那が連行されたのは、そこから見下ろすかたちの手前側だ。
ただ、そこには壁に鎖や革の拘束具、縄などがぶらさがり、さらに様々な拷問具が並んでいる。
沙那も見知っている拷問具だが、まさか自分がそれを味わわされる立場になるとは夢にも思わなかった。
ここに来るまでの間に、必要以上に下着姿の沙那の半裸を棒で小突き回してきた張須賀たちが沙那の両手首と両足首に革製の拘束具を嵌めた。それに留め具がついていて、まずは沙那の両足首の枷の間に肩幅ほどの棒を繋ぐ。
「手を上にあげろよ、沙那」
部屋の中心から滑車に繋げられた鎖が引き下ろされる。すぐに張須賀は、その鎖の先端にある金具を沙那の両手首の枷に接続した。
「張須賀、話を聞いて。わたしが燭台など盗むわけがないでしょう……。これは罠よ」
両手首に繋がっている鎖が引きあがるあいだに、沙那は小声で張須賀にささやく。沙那の視線には、こっちを無表情で見つめる黒風斎がある。
これはあの男の仕業に違いなかった。
いまのところ目的がわからないが、黒風斎はなんらかの理由があり、沙那に冤罪を仕掛けたのだろう。だが、少なくとも張須賀はただ命じられて沙那を連行してきただけと思う。
いけ好かない男だが同僚のよしみで、この男の情に訴えるくらいしか、沙那には打開策を思いつけない。
「んぐうっ」
だが、次の瞬間、腕を引きあげられて無防備になっていた腹に金属の棒の先端が押し当てられ、凄まじい程の衝撃が加わった。
激痛で身体が脱力し、沙那はどうやら電撃のようなものを腹に加えられたのだと悟った。あの金属棒だろう。
電撃を浴びせる法術具か?
しかし、この弱水の軍営にあったものではないと思う。
それはともかく、そのあいだにも、鎖がさらにあがり、沙那の足先が床から離れていく。
電撃を帯びたことによる身体の痺れはまだ続いている。
その身体がついに宙に浮いた。
「ああっ」
両手首と両肩に体重がのしかかる。
「素直に盗みを白状するんだな。盗みを自白させるための道具はいくらでも揃っている。黒風斎閣下がお貸しになられたものだ。これもそのひとつでな」
背中にさっきの金属棒がまた押しつけられたのがわかった。
はっとした。
「はぐうっ」
灼けつけるような激痛に、沙那は宙吊りの上体をそらせる。
すると、今度は前から棒を当てられる。
いま気がついたが、張須賀を含めて三人の訊問者に囲まれていたが、全員があの金属棒を持っていることに気がついた。
「んぐうっ」
腹に電撃──。
沙那は宙吊りの身体をもがかせた。
これまで幾度も暴力は受けたことはある。鞭打ちや棒打ちも体験したこともあり、多少の暴力には耐性があると思っていた。
しかし、電撃などを受けることは初めてであり、身体の内側から拡がるようなこの苦痛には、沙那は恐怖を覚えてしまった。
ただ、おかげで助かったのは、宝玄仙の悪戯で埋められている貞操帯の内側に拡がる激しい掻痒感が激痛のあいだは忘れることができることだ。
それだけは助かったと思う。
「じゃあ、訊問といこうか。名前と年齢はいいだろう。それよりも、これまでの男性経験を訊ねるかな。まずは、あの玄奘という男とは何回くらいまぐあいをした? 正直に言え」
張須賀がにやついた顔をしながら沙那の顔を見あげる。
「はあ?」
馬鹿げた質問に思わず張須賀を睨みおろす。
すると、電撃が背中から浴びせられる。
「うああっ」
沙那はのけぞった。
幾度受けても、慣れるということがない激痛だ。まるで身体の内側から掘り起こされるような苦痛に自然に口から悲鳴が迸る。
「まずは泣くまで続けろ。折角の
黒風斎が感情のこもっていない口調で声を掛ける。
だが、それよりも“しんけいべん”?
耳にしたことのない言葉だ。
この電撃棒のことのようだが、ただの電撃を放出する武器というだけではないようだ、
身体の内側にある痛覚そのものを活性化されるような激痛であり、いずれにせよ、拷問専用の法術具であることは間違いないのだろう。
「ははは、閣下のご命令だ。まずは下着をひん剥け」
張須賀の言葉で周囲の兵が金属棒を腰に戻して一斉に沙那に手を伸ばす。
あっという間にまとっていた下着を引き千切られて、素っ裸にされた。ただ、宝玄仙に装着されている革帯の貞操帯は残っている。その内側では、二本の張形が前後の穴に埋められている、その張形に塗られていた媚薬がじんじんと大きな痒みを沙那にもたらしてもいた。
「な、なんだこれは──?」
張須賀が唖然としている。
「ほう? あの狂い女奉仕の性具か。目下、調教中だったというわけか? なるほど、随分とあの女の心に食い込んでいるようだな。ますます都合がよい、調教中で自分が優位に立っている相手に裏切られるとは思わんだろう。そういう油断があの女の弱点でな」
黒風斎がいつの間にか近づいてきていた。
沙那の股間に嵌まった革帯に顔を寄せ、刻まれている紋様を喰い入るように見る。
そして、しばらくそうしていたかと思うと、手を伸ばして革帯に触れ、口の中で呪文のような言葉を呟くのが聞こえた。
すると、ぽちんという金属音のような音とともに、腰に喰い込んでいた革帯が緩むのかわかった。
「あっ」
最奥まで喰い込んでいた張形が革帯の緩みにより抜けおちようとする。
沙那は堪らない快感を覚えて、思わず身体を震わせてしまった。
「収穫だな……。やはり、宝玄仙ほどの法術使いであっても、いまだに闘勝仙様の解呪紋には歯が立たないようだ。……そうか……」
黒風斎は考え込んでいるようだ。
だが、それよりも外された革帯に手を伸ばした張須賀たちが歓声をあげながら、沙那の下腹部から張形を引き抜いた。
ねっとりと蜜で濡れまみれの張形が目の前に晒されて、沙那の身体をかっと羞恥が襲う。
「ちっ、こんなものを咥え込むほどに、あの男に仕込まれてやがるのかよ」
しかし、張須賀ひとりだけはなんだか不満そうだ。
ただ、それよりも、張形を挿入されていて、それを締めつけることで痒みを癒やしていたところもあったが、なにもなくなることで、痒みという次元の違う苦痛が沙那を襲う。
「これなら、沙那を使えない場合でも、別のやり方もあるな。闘勝仙様の術紋に未だに抗じる手段を持っていないということであれば、その術紋の上に誘い出すという手もあるか……」
黒風斎はいまだに、独り言のような言葉を呟いている。
そして、顔を張須賀たちに向けた。
「お前たちは予定通りに、この沙那を屈服させろ。明日の朝までに隷属を誓わせるんだ。よいな」
それだけを言い捨てて、黒風斎が部屋から出て行く。
今度は沙那が唖然とする番だった。
だが、いま起こったことを鑑みるに、あの黒風斎の狙いが宝玄仙であり、その宝玄仙に対するなんらかの対抗手段を思いついたというところではないかと思った。
だったら、沙那に対して冤罪を仕掛けた理由もわかる。
沙那は現時点において、結界を敷いた離れの別宅に引きこもっている宝玄仙に接触できる唯一の存在だ。
その沙那を隷属させて、宝玄仙への罠を仕掛けさせようという魂胆なのだろう。だが、隷属の術は簡単ではない、
本人の意思に反して、隷属の術をかけることは不可能であり、まずは口先だけじゃない心からの屈服というのが必要なのだ。
一度隷属させれば、隷属の譲渡については簡単なのだが、最初の隷属だけは真の屈服が必要なので時間も手間もかかる。
黒風斎は沙那を冤罪で捕らえさせて拷問し、まずは隷属をかけたかったのだろう。
しかし、その黒風斎はなにか別の手段を思いついたらしく、慌ただしく立ち去ってしまった。
「へへへ、邪魔な皇都の役人もいなくなりましたし、早速、この沙那の味見といきましょうや、張須賀様。淫具を嵌めて生活するような変態女とは知りませんでしたが、これだけの美女ですし、あっしらは変態でもちっとも構いませんし」
黒風斎が部屋から立ち去ったことで、周囲の兵が急に落ち着きをなくしたのがわかった。卑猥な表情になっている。
沙那は嘆息した。
まあ、これから輪姦でもされるのだろうなと思った。女は捕らえられれば、まずは犯される。ましてや沙那は自分がそれなりの美女であることを知っている。そんなものだとは思っているので、大きな抵抗はない。
それよりも、、その陵辱の中からどうやって隙を見つけるかだ。女を犯すときには男は油断する。
逃亡の機会は必ずある──。
それまでは耐えるしかない。
「まあ待て。犯すのは簡単だが、それじゃあ、この気の強い女は落ちない。あくまで、目的は屈服させることだ……。あれを準備しろ」
だが、張須賀が血走った表情の兵を留める。そして、なにかの準備を指示してひとりを去らせた。
そして、張須賀自身は再び金属棒を腰から抜く。ほかの兵も同様だ。
「まずは、とことん暴れてもらおうか。体力を徹底的に削ぐ。それが拷問の第一段階でな」
下腹部に電撃棒が押し当てられる。
「ひっ」
さすがに、慌ててそれを避けようと腰を必死に動かす。
「ふがあああっ」
だが容赦のない電撃が股間を貫く。
股間が避けたかと思うような苦痛が襲いかかる。
局部に直接に流された電撃は激痛というような生優しいものではなかった。まさに苦痛そのものだった。
一瞬にして、意識が跳んでしまったかのようだった。
「ほごおおっ」
今度は尻穴に押し当てられて電撃を流される。
「はぎゃああ──」
また股間──。
必死に鎖を握って身体を持ちあげる。少しでも衝撃から逃れたいという反射だ。
「いががががが──」
しかし、乳房に金属棒を押し当てられ、電撃を流されて、一気に脱力した。左右からふたつの乳房に電撃が貫いたのだ。
頭が真っ白になる。
「んぎゃああ──」
またもや股間に電撃──。
避けたくても、足首に棒が挟まっているので、脚を閉じることさえできない。
「ああああっ」
沙那は股間から生温かいものが流れるのを感じた。
「小便をもらしたか。みっともないものだな。せめて、糞は垂れないでくれよ」
お尻に金属棒が当たる。
いまだにゆばりは続いているが、必死に腰を前に動かす。だが、失禁を続ける股間に金属棒が押し当てられる。
「いやああっ」
沙那は恐怖に顔を引きつらせた。
そして、衝撃が全身を襲う。
「ははは、小便を撒き散らすなよ。汚えなあ」
張須賀の嘲笑が聞こえた。
そこにさらに下腹部に電撃──。
「んごおおおっ」
獣のような咆哮をして、沙那は身体を限界までをのけぞらせる。
全身から力が抜ける。
だが、気絶はできない。
股間が濡れたことで、濡れることで痒みが増すというあの宝玄仙の媚薬が効果を発揮して、狂うような痒みがさらに拡大したのだ。
「もういやあああ、許してええ──」
沙那は叫んだ。
「ははは、ついに鉄の女が泣きやがったか」
すると張須賀が大きな声で嘲笑した。
顔面に水を浴びせられて、沙那は失神状態から覚醒した。
両手首に繋げられていた鎖は外され、身体は床に横たわっていた。
しかし、すぐに両足首があがり始める。
今度は足首の間にある棒に鎖が繋がっていたのだ。それが引きあがり、沙那の髪が床を掃いたところで、逆さ吊りの上昇がとまる。
「くっ」
沙那は思わずは歯を喰いしばる。
繰り返された電撃棒による苦痛も残っているが、股間が痒いのだ。激しい掻痒感がまたもや襲う。
「お前のような鉄女は、苦痛には強いだろうからな。だが、色責めはどうかな。今度は耐えることのできない拷問で責めたててやるぜ」
沙那は逆さ吊りのまま、眼を大きく見開かせた。
張須賀たちが準備してきたのは皮を剥いている数本の長芋だったからだ。すでに痒みに襲われている股間にさらに痒みを加える?
沙那は心の底からぞっとした。
「うわああっ、やめて──。やめなさい──。それだけはやめて──」
沙那は身体を暴れさせる。
だが、容赦なく張須賀が一番大きな長芋を沙那の股間にあてがう。そして、先端から滴る汁を塗り始める。
とにかく、ただでさえ痒みに苦しむ股間をこれ以上痒みを追加されるのは避けたい。
必死に股間に力を入れる。
「んぐううっ」
だが、背中から電撃を浴びせられて、途端に脱力してしまう。
「それにしても、最初から濡れ濡れじゃえかよ。鋼鉄女の正体が責められて股間を濡らす痴女だとは知らなかったが、まあ、しばらく腰を振ってな」
一気に貫かれた皮を剥かれた長芋が子宮の表面にまで到達したのがわかった。
その長芋とぐるぐると回転させて、さらに痒み汁を張須賀が沙那の膣に擦り込み続ける。
「あああっ」
沙那は大きく身体をのけぞり、喘ぎ声をあげてしまった。