「い,いやああ、待って──。許して──。もう、許して──。お願いします……。ああっ」
張須賀が逆さ吊りの再開を宣言した瞬間、沙那が絶叫とともに哀願の言葉を口にした。
さっきまでの様子とはちょっと異なる。
これまでも哀願や哀訴の言葉を口にしてはいたが、心の奥底にはまだ反抗の気持ちが残っていたような気がしていた。
だが、この瞬間、その余裕はすでにかき消えている感じだ。
それどころか、まるで卑賤の婦女子のように、脂汗まみれの裸身を必死にくねらせながら、号泣し始めたのだ。
まるで感情が破けたような慟哭だ。
局部や胸に塗られた長芋の汁の痒みがついに、沙那を完全に追い詰めたのだろうか。やはり、鞭や電撃責めよりも痒み責めというのは余程に辛いのだろう。
張須賀は気の強い沙那のあられもない泣き顔に、沙那に対して感じていた劣等感のようなものも癒えてすっかりと満足した。
これだけ追い詰めれば、心の底からの屈服によって首に嵌めている隷属の首輪が効果を結ぶのは、もうそれほどの時間はかからないだろう。
もっと耐えるのかと思ったが、案外と造作もなかった。
張須賀は口元をほころばせた。
「だったら、なにをすればいいかわかるだろう、沙那。屈服を誓って、俺たち全員から精をすすって腹に呑み込め。そうすれば、中和剤を塗った俺たちの性器で犯してやる」
張須賀は沙那の前に突き出している股間をぐいとさらに近づける。
沙那のあられもない姿に、さっきから張須賀の一物は完全に勃起している。その先走り汁を沙那の美しい顔に擦り付ける。
「……はあ、はあ、はあ……、わ、わかったわ……」
後手縛りの縄を背中側で天井から伸びた鎖に繋がれ、膝と膝のあいだに挟んでいる棒により脚を閉じることもできない沙那は、跪いて身体を伸ばした姿で切なそうに腰を震わせて身悶えている。
少しもじっとしていられないに違いない。
その沙那が躊躇するような態度を示したのは一瞬だけだ。すぐに観念したように小さな口を精一杯に開いて、張須賀の性器を口で咥えようとする。
しかし、張須賀は伸びてきた沙那の顔から避けるように腰を後ろに引いた。
逃げていった張須賀に、沙那は呆気にとられたように、涙に濡れた顔で上目遣いに張須賀を見る。
「な、なんで……」
「まだ、お預けだ。俺たちの一物を舐めたければ、女奴隷らしく、お願いしますと頼め。そして、犯してくれと頼むんだ。さあ、やれ」
張須賀は傲然と言った。
沙那が泣き濡れた眼を大きく見開いて、唖然とした表情になる。
「あ、あんた……こ、この後に及んで、まだそんな辱めを……」
「言えないのか? 言えないなら、なにもしないまでだ。俺たちのちんぽは咥えさせてやらねえ。精液を飲むことはできないから、犯してもやれないということだ。いつまでも尻を振ってな。お前の頑張りがいつまで続くか、俺たちでしっかりと見物してやろう」
張須賀は意地悪く言い、露出していた性器を下袍の中にしまった。ふたりの兵もげらげらと笑いながら、張須賀に倣う。
沙那の美しい顔が屈辱で歪んだのがわかった。
そして、はっとした表情になる。
「ま、待って……。い、いえ、待ってください、張須賀様──」
沙那がうわずらせたような声で呼び止める。
「張須賀様?」
沙那の物言いにさすがに張須賀もちょっと驚いた。
「ああっ、く、屈服します……。もう限界よ……。屈服するわ……。ちょ、張須賀様様……、皆様……。沙那を……女奴隷の沙那を嬲ってください………。どうか、お願いいたします……。性器を咥えさせてください……。この通りです……」
沙那がまたもやぼろぼろと涙をこぼしながら、緊縛されている上半身を折り曲げて頭をさげた。
すると、頭をさげている沙那がその格好のままいきなり吠えるように泣き出す。
またもや、ちょっとこっちまでたじろいでしまうような号泣だ。
まるで感情が壊れたかのような泣きっぷりに張須賀も一瞬呆気にとられる。
すると、いきなり沙那ががくがくと激しい痙攣のような仕草をした。
「あっ、な、なに? なにこれ──。ああっ、なに?」
沙那ががばりと顔をあげて、顔を恐怖に染めたような表情になった。
様子がおかしい。
張須賀は驚いたが、はっと気がついた。
「もしかして、もう隷属が結ばれたのか──? 命令だ。沙那、その場で小便をしろ──」
張須賀は突然の沙那のおかしな反応に、隷属の呪術が沙那に結ばれたのではないかと気がついた。
この訊問の最初に、沙那の首には奴隷に落とすための「隷属の首輪」を装着させている。だが、隷属の首輪はただ嵌めるだけでは、隷属の呪術が結ぶことはない。
首輪を嵌められた者が言葉で奴隷になること誓うとともに、心の底からの屈服をすることが必要なのである。
一度奴隷に落としてしまえば、支配権の譲渡はただ命令するだけで終わるが、最初に奴隷にするときには、どうしても心の屈服がいるのである。だから、奴隷化の過程には大抵は拷問を伴うものなのだが、掛かる時間は千差万別だ。
しかし、気の強い沙那だからこそ、心が折れてしまうのはあっという間だったのかもしれない。
まあ、試してみることだ。
「な、な、なんで……? なんで……?」
沙那が驚いた様子とともに、まるで身体が勝手に動いているかのような仕草で立膝の脚をわずかに開くような格好になる。
次の瞬間、いきなり激しく放尿をし始めた。
「やりやがった──」
「へへ、小便をしたぜ──」
「うわっ」
張須賀がわざとらしく声をあげると、ふたりの兵たちも同調するように哄笑する。
「あ、ああっ、な、なんでよ。どうして、身体が勝手に……」
沙那は放尿を続けながら、狼狽えた様子だ。
張須賀は沙那の隷属が結ばれたのだということを確信した。
「どうやら、本当に隷属が結んだようだな……。おい、沙那の縄に繋いでいる鎖を外せ。小便が終わったら、床を綺麗にしろ。舌で舐め尽くせ。命令だ」
張須賀は笑いながら言った。
沙那の顔が口惜しそうに歪んだが、それだけだ。
隷属が結ばれたとしたら、いくら心で抵抗しても、拒否することはできない。拒絶する行動はとれないし、無理に抵抗しようすれば全身が苦痛に見舞われるらしい。
部下たちが沙那の後手縛りの緊縛に繋がっていた天井からの鎖を切り離す。
だが、両腕は縛ったままだし、膝と膝の間には待っている棒もそのままだ。
万が一、隷属が不完全でも抵抗は不可能だろう。
「ああ、痒いのよおおっ。か、痒い──。いやあ、もう許して──」
鎖から身体を離された沙那は、いまだに襲っている痒みに、腰を右に左にと激しく揺すりたて、哀訴の声を噴きこぼす。
だが、さっきの命令が効いているようであり、腰を振りながらも、沙那は上半身を倒して、自分が汚した床の放尿を舐める体勢になった。
「へへ、隊長、これから口で俺たちの一物を舐めさせるんですよねえ。だったら、舌で床を舐めさせるのはどうなんですかねえ。鼻ですするというのはどうなんでしょう?」
そのとき、兵のひとりが軽口を叩いた。
張須賀がその物言いに大笑いした。
「それはいい。沙那、口じゃなくて、小便を鼻ですすれ。命令だ」
冗談半分の命令だったが、沙那は悲痛な表情になっただけで、逆らう態度はとらなかった。
すぐに床に溜まった自分の小便に鼻を突っ込み、ずずずと鼻で吸い込む。
「んひっ、ひんっ、ひいっ」
鼻で小便を吸い込んで痛みが走るのか、沙那が小さな悲鳴をあげる。それでも、鼻で小便をすするのはやめない。
そのあまりものみっともない姿に、張須賀は兵たちとともに爆笑してしまった。
「もういい。沙那、今度こそ、性器を舐めさせてやる。足の棒も外せ。沙那、正座をしろ。女奴隷の奉仕は正座をしてするんだ」
部下に命じて足の棒も外す。
沙那の顔は小便と床の汚れでまみれていたが、さすがの美貌だ。これだけみっともない姿になっても、十分に性欲をそそる。
いや、あの気の強い女がこれだけ惨めな姿になったのだと思うと、むしろ嗜虐心が沸騰してくる。
「ああっ、もう犯してください、張須賀様……、ご主人様……」
沙那が大粒の涙を流しながら、腰をもじもじと動かしながら言った。
大人しく正座をしながらも、必死になって内腿を擦って少しでも痒みを癒やそうともがいている。
そして、眼前に突きつけられた張須賀の肉棒に口を寄せると、唇と唇のあいだに勃起した張須賀の性器を招き入れた。
すぐに舌が激しく動き出して、張須賀の性器を嵌め始める。
「ははは、ついに咥えやがったか」
口奉仕そのものは命令は与えてない。
だが、奴隷としての隷属が結ばれた以上、危害を加えることは不可能だ。噛みつかれる心配もない。
その証拠に、沙那は一心不乱に舌を動かして、張須賀の性器を舐めている。
あの沙那が自分の性器を咥えて、涙を流していると思うと、沙那に対して抱いていた劣等感のようなものが消失して、心の底からの満足を覚えた。
あっという間に射精しそうになる。
「こりゃあ、堪らないぜ。予定変更だ。自分で乗っかって股ぐらで精を呑み込んだ。そのまま待て──」
張須賀は沙那の口から性器を抜くと、下袍と下着を脱いで下半身を露出させると、その場に仰向けになった。また、自分の勃起した性器に油剤を塗る。沙那の股間に塗りたくっている長芋の汁の痒みの影響を受けないための処置である。
ただし、これは中和剤ではない。
まだまだ、沙那の痒みの苦しみを解放するつもりはないのだ。
「よし、いいぞ。跨がれ、奴隷──」
「ああっ、ありがとうございます──」
沙那がその張須賀の股に跨がり、自ら張須賀の勃起した性器に膣を埋め込んでくる。
「あああっ、気持ちいい──」
沙那がいきなり快感の声をあげる。
「あっ、隊長狡いですよ。俺たち全員の性器を舐めさせると言ったじゃないですか」
また、沙那が張須賀の性器に跨がったのを見て、待たされていた兵ふたりが不満の声をあげる。
そうだっただなと、沙那に犯させながら、張須賀は苦笑した。
「ああ、そうか。まあ、次にはお前たちの番するから、待ってろ。どっちにしても、主人として結んでいるのは俺だけだ。お前たちにも逆らうなと命令してやるから、ちょっと待ってろ」
張須賀は兵たちにうそぶく。
一方で、沙那はそれどころじゃないようだ。
やっと、痒みに襲われている股間に刺激を受けることを許され、狂ったように腰を上下させて、派手なよがり声をあげている。
「あああっ、き、気持ちいい──。気持ちいいのおお──。あああっ、いくうううっ」
しかも、あっという間に沙那は喜悦の声を絞り出しながら、そのまま絶頂をしてしまったようだ。
張須賀の腰の上で弓なりにのけぞりながら、がくがくと身体を痙攣させる。
「まだだ──。俺が満足するまで腰を動かし続けろ」
絶頂の余韻で沙那は、がくりと脱力しかけたが、すかさす“命令”を与えて、律動を続けさせた。
沙那が再び激しく腰を動かし出す。
「ああっ、いいいっ、いやああっ、あああっ」
沙那が狼狽えたように声を震わせながら、腰の揺すりを再開させた。
まだまだ掻痒感は続いているはずだから、こうやって肉棒を埋めていると快感がすごいのだろう。
沙那の反応はかなり激しい。
脂汗を全身から撒き散らしながら、必死に双臀を揺すり、裸身をのたくらせる。
「あああっ、またいぐううっ」
沙那が二度目の絶頂だ。
張須賀はそれに合わせて、沙那の膣の中に精を噴き出させた。
さすがに、これ以上の自重はできなかったのだ。
「ははは、出してやったぞ。もういい。じゃあ、次だ。部下たちについても、一切逆らうことなく、女奴隷として満足させろ。命令だ」
沙那を突き飛ばして、自分の身体の上からどかす。
縄で後手縛りに拘束されている沙那は、受け身もとることもできずに、床に転がったが、すぐに身体をよじって起きあがる。
肩で息をしながら、兵たちに向かって正座をして、頭をさげた。
「ああ……。よ、よろしくお願いします……」
そのときだった。
張須賀は起きあがりながらも、なぜか自分の腰の周りに、かなりの縄のくずが落ちていることに気がついた。
一瞬、どうして、こんなに縄の破片くずがおちているのかと不思議に思った。
そして、はっとした。
沙那が兵たちに正座をして身体を向けながらも、背中に曲げて拘束している手の指がせわしなく動いていることを見つけたのだ。
しかも、指で縄の表面からちょっとずつ縄を裂いている。
大量の縄くずが落ちていたのはそのためだと悟った。
「あっ、沙那──。お前、なにをしている──。勝手なことをするな──。命令だ──。すぐに縄から指を離せ──。命令だぞ──」
張須賀は慌てて叫んだ。
沙那の形相が一瞬にして変化する。
「ちっ、気がついたわね──」
沙那が立ちあがるとともに、いきなり張須賀の顔を蹴りあげた。
「ぐあっ」
強烈な蹴りで一瞬気が遠くなりそうになる。
「し、しまった──。隷属はまだ結ばれてない。こいつはその振りをしていただけだ──」
張須賀は転がりながら叫んだ。
兵ふたりが仰天するとともに、沙那に掴みかかろうとする。
「触るんじゃないわよ──」
だが、沙那が身体を捩って、兵ふたりにも凄まじい蹴りを放つ。
「ぐあっ」
「あぎいっ」
ものの見事にふたりに顔面に沙那の蹴りが炸裂する。
部下たちが蹴り飛ばされる。
「くっ」
しかし、次の瞬間、沙那の腰ががくんと沈んだ。
必死に踏ん張って身体を支えたが、どうやら腰に力が入らないみたいだ。
無理もない。
立て続けに、二度も気をやっている。
やはり、女なのだ。
張須賀はほくそ笑むとともに、沙那を捕まえるために飛び掛かった。
いまだに、沙那の後手の縄は解けてない。
しかし、いまでも必死にもがいている。
「ち、近づくんじゃないわよ──。顔面、蹴り壊すわよ──」
まだ縄で後手に縛られている沙那が張須賀に向かって体勢を立て直すとともに、吠えるように叫んだ。
さすがに躊躇して、途中でやめて距離を取り直す。
そのとき、この訊問室の出入り口の扉が外から開いた。
張須賀たちの視線が一斉にそっちに集まる。