31 五行山の石猿
冷たい──。
まるで山の水をかけられたような、容赦のない冷たさが頬を打ち抜いた。
「……っ、ぶ、はっ……」
喉に入った水で咳き込みながら、孫空女は目を開けた。
ぼやけた視界が震えるように揺れていた。
どこかで火の光──いや、燭台か……。ぐるりと囲まれた男たちの人影が焚火のように揺れている。
喧騒。酔った笑い声。獣のような野卑な臭い──。
「眼が覚めたかい、頭領……いや、孫空女?」
その声だけは、はっきりと届いた。
正面。薄く濁った視界の先──、まるく拡げられた布の上に器が並んでいるのが見えた。
漬け物に塩肉、茶と焼酎。鉄盆のような宴卓を囲んで、あぐらをかいて座っている男の姿──。
そして、その傍らに座るのは、五行山の盗賊団の幹部たち──。
なんだ……?
ようやく頭が動き出す。
朦朧とした意識に断片が連なってくる。
宝玄仙……。そう、あの変態巫女を襲おうとして……失敗して……。
そして、逃亡して……。
その直後に眼看喜たちと遭遇した。だが──あの女みたいな男……。黒いフードの……法術使い……。名前は確か……
そいつに不覚をとり、最後には、なにか首に針のようなものを打たれて──。
多分、あれは、強力な薬物……。
でも、その先が思い出せない……。
だが、ここがどこかは、すぐにわかった。
……五行山の盗賊団の砦……。幹部会の集会堂……。ここは、砦の、奥の──。
次第に目が覚めてきた。いや、目だけではない。肌が、背が、空気を感じている。
肌寒い……。布がない。なにも、着ていない──。
あっ、そうだ。薬物を打たれて意識を失ったとき裸で……。
「……ええっ」
裸身を手で隠そうとした──。だが、動かない。
いや、動かないのではない。
──腕がないのだ。
肩から先がなにもない。
両腕が肩で切断されている──。
「……あ、あああああっ──」
孫空女は悲鳴をあげた。
首を動かす。
視界の端に、腕部分の断面が見えた。皮膚ではない、なにか不自然な丸い金属板が嵌め込まれている。
手が……本当に腕が──ない。
首を動かす。鎖が軋む音を立てて、天井から引かれる。
首に鉄輪──。その首輪の後ろが天井から伸びる鎖で繋がれている……?
首輪か……。これは……
宝玄仙の女護衛の……あの沙那という女が言っていた。反逆も脱走も封じる呪いの首輪とは語っていたっけ……。
「なんだよ、これっ──」
孫空女は叫びながら身体を揺らす。だが、どうしようもない。腕がないのだ。
──その瞬間、熱が下腹を走った。
焼けた金属を押し付けられたような、性の疼き。ぐらりと意識が歪む。
「くっ……。こ、これもかよ……」
これ……っ、淫紋か……?
宝玄仙が刻んだと脅した、淫の呪い。
下腹に意識を向けた。首は下がらない。だが、視線を落とす。
見えた──。
「……やっ……やだああ──。うわあああ──」
両脚もない。
太腿の途中で断たれていた。
そこにも金属環が嵌められ、石柱の台にがっちりと太腿を開いた状態で嵌め込まれていた。
つまりは、孫空女はいま、石の台に直立したように固定されているのだ。
四肢もなく、天井から首輪を鎖で吊るされ、股を開かされたままの姿で──。
まるで、置物のように……。
「な、なんだよ、これ……っ、これっ……なんだよぉぉぉぉ──」
孫空女の叫びに、周囲の男たちがどっと笑い声をあげた。
「はははっ、ようやく実感が湧いてきたかよ」
眼看喜が酒を煽って口を拭った。
「頭領が強ええのは、よく知ってるからな。だからよ。こうしちまえば二度と暴れられねえだろ。なにせ、もう剣も握れねえし、馬も乗れねえ、走ることも、蹴ることもできねえ。できるのは、男のちんぽを突っ込まれることだけということだ」
眼看喜はげらげらと笑いながら、立ち上がった。
酔った顔で、満足そうに孫空女の裸身を眺めてきた。
「さしずめ、石柱に封じられた“石女”……いや、“石猿”だな。御影様がお前のことを山猿と呼んでいたから、今日からは、おれたちの飼う“石猿”ってことだ」
もう一度、どっと笑いが起きた。
自分の部下だった男たちの、手拍子混じりの笑い。
頭がついていかない。
なんの悪夢だ、これは──。
自分が──この、五行山の女頭領が──。
「や、やめろっ……お前らああ……っ、殺す、殺してやるぅっ」
叫んだ。
だが──なにも動かない。
手もない、脚もない、
胴体と頭だけの身体は、ただ石台に固定されて、晒されるだけ……。
「ひゃはははっ、見たかよ、あの顔っ」
「頭領様が猿みてぇに、真っ赤になって喚いてやがるぜ」
「その猿は雌だぞ? 淫紋つきだ。そろそろ、発情してんじゃねえのか?」
「してるな。股ぐらが涎を垂らしてやがらあ。ねえ、眼看喜様、そろそろ、犯しましょうや」
笑いとともに、下卑た部下たちの声が飛び交う。
孫空女の身体が、ぶるぶると怒りと屈辱で震えた。
羞恥と怒りと恐怖と──。
なにより、疼き。とまらぬ淫紋の熱が、股間から腹を灼いていく。
「お前ら──。──やめろおお。やめろ、やめろ、やめろ──。どいつも、こいつも、ぶち殺してやるからな──」
孫空女は喚きたてた。
「ははは、その身体でどうやって、俺たちを殴るんだ? じゃあ、殴ってもらおうじゃねえか。遠慮はいらねえぜ」
眼看喜が孫空女の目の前に顔を持ってくる。
固定されている石柱の高さは、孫空女の顔の部分が、眼看喜たちの胸の高さくらいである。眼看喜は孫空女に顔を合わせるために軽く屈んだ感じだ。
「くっそう──」
孫空女は思いきり頭突きを噛ませようとした。
だが、首輪に繋がっている鎖がそれを阻止する。
「えぐっ」
しかも、思い切り首が絞まり、おかしな声が出てしまった。
「ははは、もう諦めな、頭領。そうなってしまったら、もうここで、俺たち共有の性欲処理の石猿として生きるしかねえ。言っておくけど、その切断したところに嵌まっている輪っかも法術具らしいぜ。飲み食いしなくても、精液をこまめに与えておけば死なねえし、自死も防ぐらしい。御影様からお借りしたものだ」
眼看喜が得意気に語る。
孫空女は歯噛みした。
「こ、この四肢も、あの男女の御影の糞ったれの仕業かい──」
「まあ、そうだな。四肢をあっという間に切断してくれて、頭領を置物のようにする道具まで貸してくれた。ちなみに、ここで俺たちが喰っているのは頭領の手足の肉だ。結構な味だぜ。頭領の手足はな」
眼看喜の言葉にほかの男たちもどっと笑う。
確かに、全員の卓の上には、肉料理のようなものも並べてある。
こいつら……。
あまりの口惜しさに、じわりと視界が霞んだ。
「ほう、泣いたのかい、頭領。だが、泣くのは早ええぜ。これからもっと、頭領には余興代わりに恥をかいてもらわねえとならないからな」
眼看喜が孫空女の股間に手を伸ばした。
はっとしたが、それを防ぐ手段は孫空女には存在しない。
孫空女の赤毛の陰毛を指先ですき、肉の合わせ目に指を触れると、ぐいとばかりに孫空女の羞恥の場所を抉った。
「ひああっ、あああっ」
貫いた衝撃に、孫空女は思わず悲鳴を噴きこぼしてしまった。
想像を絶した快楽の刃が全身を貫いたのだ。
こんなにも感じるなど、あり得ることではない。
これもまた、下腹部に刻まれている淫紋のせいだと悟る。
「どうした、頭領。女の分際で、いままで偉そうにしやがって。ここで全身で
眼看喜が周りの男たちに指示した。
すると、からからと車輪のついた台が横に運ばれ、孫空女の背後に置かれる。なにが載っているのかまではわからないが、台車を運んできた手下が、背後から孫空女の前に立つ眼看喜に、台の上から小壺のようなものをに手渡したのはわかった。
「こいつは、頭領を女に戻す薬剤だ。いつか使ってやろうと、ずっと持っていたものだ。結構な値が張る媚薬だが、これを塗られると、死にかけの婆でも男のちんぽが欲しがるという《
眼看喜は小壺から油剤をたっぷりと指先にすくうと、そのまま孫空女の股間に指を挿し入れて油剤を奥まで押し込んだ。
「ひあああっ、やめろお」
孫空女は衝撃にがくがくと手足のない身体を激しく震わせた。
頭が一瞬で白くなるほどの強い快美感が迸ったからだ。しかも、指を入れられただけで、絶頂しそうになるほどの強い衝撃だった。
下腹部に力を入れて、なんとか醜態は阻んだが、指を抜かれるときには、すでに孫空女はかなり息を乱し、肌にねっとりと汗を噴きこぼした状態になってしまっていた。
だめだ──。
この淫紋……。
やばい……。
孫空女は、歯を喰いしばる。
「すぐに薬剤が溶けて、股ぐら全体が灼けてくる。じゃあ、頭領の腰振り踊りが始まるまで、酒宴の続きといくか。頭領の手足を喰いながらな」
眼看喜が離れていく。
孫空女は再び、眼看喜たちの酒宴の真ん中に置物のように晒された状態に戻った。
そして、孫空女の苦悶は、すぐに襲ってきた。
な、なんだ、これ……。熱い……。
石柱の上に固定されている裸身を強張らせて、孫空女は顔を左右に振る。
淫紋による悶々とした熱とは別に、股間が内側から熾火で炙られているようなかっとなる熱さが突如として発生したのだ。もしかして、これがさっきの《媚火膏》という薬剤の効果なのだろうか……。
局部だけじゃない。
耳たぶから、額……うなじ……腕のない脇から乳房……。全体に無数の汗粒が浮いてきた。
息苦しさが拡大し、孫空女は唇を閉じ合わせていることができずに、はあはあと喘ぐように息を吐かずに入られなくなる。
そして、それは前兆にすぎなかった。
じんと痛むような疼きがまずは乳首に襲った。
もともと淫紋の影響で固くなっていた乳首がさらに尖り、がちがちに固く勃起したのがわかった。
狼狽えた孫空女に、さらに淫らな変化が襲った。
じんという疼きが一気に増大して、女の芯──陰核が同じように固く勃起したのだ。見ることができなかったが、肉芽は包皮を押しのけて大きく膨れあがり、淫らに勃起しているのがはっきりとわかった。
「ああっ、な、なんだよ……。なんだよ、これ……」
乳首と陰核が孫空女の意思と離れてじんじんと刺激を求めて疼いている。
「どうしたよ、頭領。随分とお汗をおかきになってますが?」
眼看喜が揶揄うような声をかけた。
男たちがまたもや、どっと笑う。
しかし、孫空女はそれどころじゃない。
さらに、身体の異常な火照りが変化したのだ。
局部全体が燃えるように熱い──。
その熱の底からぞわぞわと無数の虫がうごめくような異様な感覚が沸き起こったかと思うと、それが強烈な痒みになっていた。
もしも、手があれば恥も外聞もなく、この場で自ら指で股間を掻きむしらないではいられないような激しい痒みだ。
それが、這い拡がる──。
肉芽──。女陰──。その奥も──。お尻の中まで痒い──。
乳首も──。全身の性感帯という性感帯が狂ったように痒くなった。
「あああっ、痒い──。お、お前──なにを塗ったんだ──。なにを股間に入れたんだよ、眼看喜──」
孫空女は喚きたてた。
「眼看喜様だ──。呼び捨てにするんじゃねえよ、頭領。お願いだから、掻いてください。お願いでございます──。そう言いな。そうしたら、掻いてやろう」
眼看喜が大笑いし、周りの男たちもまた同調する。
「ふ、ふざけるな、眼看喜──。殺されたいかい──」
孫空女は脂汗をまき散らしながら裸身をくねらせ、顔を左右に振る。
気が狂うような痒みと、身体の熱さだ。
だが、いまの孫空女には腕すらない。
眼看喜たちに頼らねば、この痒みから逃げられない。
それはわかっているが……。
「じゃあ、気が済むまで裸踊りを続けてくれ。時間はいつまでもあるぜ」
眼看喜だ。
孫空女は血の気が引くほどに、歯を喰いしばり、下腹部に力を入れる。
いきむように呼吸を制御する。
なんとか、この女体をむじばむ淫らな苦悶を押さえ込めないかともがく。
だが、この淫らな地獄から抜け出すことは不可能だった。
どんなに必死に痒みを抑え込むとしてもできない。
それどころか、どんどんと痒みは強くなっていく。
こんなのは耐えられない。
「ああああ、痒いいいい──。なんとかしてくれ──。掻いて──、掻いてよおお──」
ついに孫空女は泣き叫んだ。
「やっと、泣きが入ったかい、頭領。意外に呆気なかったな。もうちょっと頑張るかと思ったけどなあ」
眼看喜の言葉に、酒盛りをしている部下たちがどっと笑う。
「わ、わかった──。犯して──。頼む。犯してくれ、眼看喜──。痒いいい──」
孫空女は身悶えしながら、眼看喜を見る。
汗だが、涙だかわからないが、その視界は歪んでいた。
すると、眼看喜が立ちあがって孫空女の前に再び寄ってきた。
ほかの男たちも寄ってくる。
孫空女は男たちに完全に密着するように囲まれるかたちになった。
だが、誰も手を伸ばさない。
孫空女はその中心で狂ったように、手足のない裸身を振り乱している。
「ああ、助けて──。わかった──。もう、降参だよ──。痒いいい──。お願いだ──。掻いておくれよ──。もう気が狂ってしまう──」
「ははは、頭領、いい顔になったじゃねえか。女……いや、雌の顔だ」
眼看喜が孫空女の顎を掴む。
そして、もう一方の手で、孫空女の秘所に触れ、すっと一度だけ指で擦った。
「ひああああっ、あああああっ」
脳天まで貫くような快感が孫空女を襲った。
だが、一度だけ──。
たったの一回擦っただけで、眼看喜が手を孫空女から離してしまった。
「頭領、これが雌の匂いだ。しっかりと自分でも嗅いでみな」
眼看喜が孫空女の股間を擦ってついた愛液を孫空女の鼻の穴にべっとりと塗りつけた。
甘くて淫らな匂いが鼻孔に拡がる。
「どうだ、頭領、いたぶって欲しいか? だっから、そう言いな。さっきも言ったが、眼看喜様だ。そう呼べ」
「くっ」
孫空女は歯噛みする。
屈辱で腹が煮えかえる。
憤怒で死ねると思うほどだ。
でも、それも一瞬だけだ。
あまりもの痒みの苦しさが孫空女から矜恃を奪う。
「言わねえのかい? だったら、それでもいい。せっかく集まってやったが、頭領はまだ尻振り踊りをしてえようだ。おい、さがるぞ」
眼看喜が声をかけて、部下たちをさがらせる。
いや、その素振りをした。
でも、孫空女にできる我慢がそこまでだった。
放置されそうだという恐怖がさらに疼きと掻痒感を爆発させたのだ。
「ま、待ってくれ、眼看喜──。いや、眼看喜様……。お願いだ……。お願いだよ……。あたしをなぶっておくれ……」
孫空女は頭領としての誇りも矜恃も捨て、ついに哀願してしまった。
「ふふふ、ようやく身の程をわきまえたかい。じゃあ、約束通りに、なぶってやる。死ぬほどにな……。おい、寄越せ」
眼看喜が孫空女の背後にある台に手を伸ばした。
何かを受け取る気配。すぐに、軽く金属の擦れる音がした。
そして──眼看喜の手に掲げられたのは、一振りの耳掻きだった。
孫空女は思わず目を凝らす。
それは、まるで細工職人の玩具のように精緻な品だった。全体が銀色に輝き、柄の部分には細い螺旋模様の彫金が施されている。柄の端には、小さく鈴がひとつ下がり、動かすたびにちり……と音を鳴らす。
一方の先端は、ごく細い竹籠のようなかたちの綿箒で、絹糸を束ねたふわりとした毛房が巻かれていた。見た目は柔らかそうだが、密度は高く、きっと微細な刺激を伝えるように作られているのだろう。
そして、もう一方の先端──。
それは、ごく小さな匙。まるで薬をすくう銀の匙のような形状で、やや湾曲しており、縁にはかすかに滑り止めのような刻みがあった。
見るだけで、これは耳を掻くための道具ではないとわかる。
もっと、別の“穴”を探るための、いやらしい細工道具──。
眼看喜は、それを器用に指の上でくるりと一回転させて見せた。
「じゃあ、頭領。約束通りになぶってやろうか。ところで──どこを刺激して欲しいんだ?」
「な、なんだよ、それ──」
孫空女は首を左右に振った。だが、動けない。
眼看喜はにやりと笑った。
「とりあえず、この尖りきった乳首か? それとも、さっきから汁を垂らしてる淫紋の奥か?」
鈴が鳴った。
そして、綿毛が乳首に触れた。
「ひあっ……ああああっ」
悲鳴と喘ぎが混ざったような声が、喉から噴き出た。
感じた。
それは、認めたくないほどの快感だった。
痛いほどに腫れあがった乳首に、細い羽のような綿毛がふわりと這ったのだ。
強すぎる刺激ではない。むしろ、弱すぎる──だからこそ、狂う。
耐えきれず、孫空女の身体が震えた。
痙攣のように、びくん、と全身が仰け反る。
その反応に、眼看喜が笑った。
「おい、まだ何本かあるだろう。頭領にたっぷりご奉仕してやれ。綿毛でな」
どっと男たちの歓声が上がる。
そして──次の瞬間、孫空女の全身に、十数本の耳掻きが這い寄り始めた。
ちろりん、ちろりん……。鈴の音が重なる。
乳首。わきの下。首筋。お腹。
そして、太腿の付け根、切断された太腿の内側──そして、股間の淫紋の刻まれた肉の合わせ目まで。
「いやあああ、ああ、ああああっ、ひゃあああ──」
逃げられない。
四肢を失った身体に、ただ綿毛の感触だけが、幾重にも押し寄せる。
「ひ……ああっ……あああああっ……やめてええっ──」
絶叫が空気を裂いた。
もはや、悲鳴とも喘ぎともつかぬ声。
孫空女は悶え狂った。
ただの羽のような綿毛が、こんなにも狂わせるのか──。
涙がこぼれた。
快感で──悔しさで──。
もう、わからない。ただ、悔しくて、恥ずかしくて、たまらなかった。
孫空女は哀願し、悶え暴れ、刺激を強くして──。もう犯してくれと喚き散らした。
しかし、眼看喜は執拗だった。
耳掻き責めをやめさせない。
おそらく、半刻は続いただろう。
耳掻きは、小筆に変わったが、くすぐり責めは終わらない。
「もう許しててええ──」
そして、ついに孫空女は泣き出してしまった。