「げはははは ! ! 女どうした ? さっきまでの勢いは ? 」
「くっ……」
ポゼッシャーはハトムネを攻撃したが拳では筋肉の壁を砕けなかった。ハトムネの筋肉は鋼の強度を上回っており、おまけに巨漢で全身がはち切れんばかりの筋肉で包まれていた。
さすがにスピードはポゼッシャーが上回っていたがハトムネにダメージが与えられない以上攻撃をよけるしかないのだ。
攻撃してもガン、ガンと肉を叩いたとは思えない音がフロアに響き渡る。
(魂盗でもダメージを与えなければ効き目が無い……これはキツイな)
なんとか勝機をつかみ取りたいポゼッシャーだが現状では詰みである。
「女よ諦めるがいい、貴様はよくやった……わしはマッチョ様のように相手を小人にするような趣味は無い。わしに身も心も捧げれば……」
ポゼッシャーはハトムネが話し終わる前に、顔面へジャンプキックを叩き込む。それでもダメージが通らない。
「くそ……ならば」
ポゼッシャーは先ほどから狙っていた膝関節や腕の関節を攻撃していく。たとえ筋肉の鎧を身に纏っていても柔らかい関節部分までは強化できない筈……。
「無駄よ ! 」
ハトムネはポゼッシャーを肉体の圧だけで吹き飛ばす。
「うああ ! ? 」
ポゼッシャーは転がり、ついに背中が地に着いた。
「とうっ……とああぁぁッ ! ! 」
「 ! ? 」
ハトムネは跳ね上がり、そのまま膝を下にしてニープレスで攻撃してきた。
間一髪のところでポゼッシャーも回避に成功するが、全く突破方法が見えなかった。
「……貴様、本当に人間か ? 既に人間の身体では動けない程に疲弊しているはず……貴様何者だ ? 」
「……」
「相変わらず無視か……ならばそろそろ決着をつけよう ! むん ! マッソー ! 」
「なにっ ! ? 」
ハトムネがポーズを取ると、ポゼッシャーは嫌な予感を感じてその場を離れる。すると直後に地面が爆発した。
「……これは魔法か ! ? フレーチェが言っていた……」
「貴様、フレーチェを知っているのか ? ならば貴様を生け捕りにする必要があるな。貴様にはフレーチェの隠れ先を話してもらう。マッソー ! 」
ノータイムで発動した爆発魔法で吹き飛ばされるポゼッシャー。
ハトムネは勝利を確信していた。相手には有効な攻撃手段が無い、ならば自分が確実に勝つ、普通に考えればそうだ。
ハトムネの敗因は一つ、もう一人の怪人の存在と特殊能力を知らなかったことである。
「うおっ ! なにが起こったんだ ! ? 」
上の階から組員達が下りてきた。しかも次から次へとぞろぞろやってきたのだ。
「ぬ ! 貴様ら何をしにきた ! ? 」
「え ?『姐御が見張りはいいから救援に行け』って……」
「嘘つくんじゃねえ ! てめえ ! 姐御が『てめえにブラジャー盗まれたから取り返してこい』って言ってたぞ ! 」
「はあ ! ? あれは姐御が『仕事頑張ってるご褒美よ』って言ってくれたんだよ ! ? 」
階段近くで組員達が食い違う指示を言い合って大騒ぎしている。
「ええい、何を言っているのだあいつらは ! ? 」
そしてハトムネはいらない援軍に対し苛立っていた。
(スワップンか……好機 ! )
ポゼッシャーは魂盗を握りしめ階段近くにいる組員へ次々と斬りかかる。
「な、なんだお前 ! ぐぎゃあッ ! ? 」
「やめろ ! こっちに来るなぁッ ! 」
「助けて ! 助けてくれぇッ ! ? 」
ポゼッシャーの魂盗を使った攻撃にて再度乱戦に突入しかけるが意外にも早く終わる。ハトムネが邪魔をしなかったのはポゼッシャーが何を考えているのかわからなかっただけではなく、猛スピードで攻撃し組員の命を刈り取る素早さに対応できなかった為でもある。
「女、上の階へ行くつもりか ? わしがこの体格だから階段を通れない、上へ逃げるつもりか ? だとしたら無駄だと言っておこう。貴様はこのわしがどこまででも追い詰めるぞ……マッソー ! 」
ポゼッシャーが立っている床が爆発する。タイルが飛び散り原型を留めない。爆発による煙によりハトムネの視界は遮られた……だが。
「ぐっ ! ? お……おお……ッ」
煙の中からポゼッシャーが飛び出し建物の外にいたハトムネの腹に一撃を叩き込む。
先ほどまでは攻撃を全てはじき返していたハトムネであるが今回は違った。腹部にポゼッシャーの拳が深くねじれこみ、ハトムネは思わず腹を抱えて後退した。
「き、貴様、何をした……こ、攻撃力が違いすぎる……」
ポゼッシャーは質問に答えず次々と攻撃を加える。顔面へのパンチ、胴体へのキック、ハトムネはどんどんフロアの奥へと追い込まれ……。
「……ふんっ ! 」
「ぐあぁッ ! ? 」
鎖骨部分への回し蹴りにより、ついにハトムネはフロアの角に追いやられる。
立ち上がるハトムネではあったが強烈な一撃の連打により立っているのがやっとの状態である。
ポゼッシャーが一歩前に踏み出し、コツッ……とフロアに靴音が響く。
「ヒッ…… ! ? 」
ハトムネは一歩後ろへ下がる……だが後ろは既に壁、逃げ場はない。
ハトムネが有利だったのはポゼッシャーの攻撃を耐えられるだけの防御力があったから……。
しかし今はポゼッシャーの攻撃力が上回っている。魂盗を使えばポゼッシャーの能力は上がる。
先ほど一階に下りてきた組員を全員斬り倒し能力を底上げしたのだ。
その時点でハトムネの絶対優位性は崩れたのである。
そしてハトムネの腹には大きな破損箇所が一ヶ所……。
「ま、待て、早まるな……そうだ、この世界では殺人はご法度なのだろう ? 貴様が人間であるなら、わしを殺せば貴様はこの世でお尋ね者に……」
「気にする事はない……」
ポゼッシャーは魂盗を構える……。
「や、やめ……」
懇願を聞き入れる事は無く、ポゼッシャーは魂盗をハトムネの破損している腹部に突き刺した。
「そんな……こんな場所で……こんな世界で……マッチョ様ぁ ! ! 」
魂盗によってハトムネはこの世から消え、フロアに残ったのはポゼッシャーだけとなった。
「私は怪人だ……貴様のような奴とはわけが違う」
ハトムネはポゼッシャーに何故負けたのかを知ることなく消え去った。
ポゼッシャーは階段を上り二階へと上がっていく……それは誘拐犯達の、この世から去るまでのカウントダウンのようでもあったのである。
*
ポゼッシャーが組員達をボコボコにしていた頃、二階へ上がったスワップンとスライミーは応援に向かう組員を部屋や物陰に隠れて回避しながら上の階へ向かう。
セキュリティを掌握している今、監視カメラの類は機能していないのでスワップンは文字通り、他者の目を気にする事無く移動できていた。
スライミーの分裂体がつぶれてしまった今、つかさ達の居場所を特定する手段は無い筈……。
しかしスワップンの行動に迷いが無さすぎる為、心配になったスライミーがプルプルと身体を震わせる。
「ん ? 『この階を調べなくてもいいのか ? 』この階を調べてたら敵と遭遇しちゃうからね、無視無視。それに多分だけど、つかさとフレーチェは上にいるよ。これが教えてくれるからね」
スワップンは懐からある物を取り出す。それは、脅迫状と一緒に送られてきた『フレーチェの服』だった。
「これは例の『ソーイングセット』で作られた服。糸はソーイングセット本体に戻す事ができるって福袋の説明書に書いてあったし、この糸を使えばつかさ達の元へたどり着けるよ。まぁ……ソーイングセットが取られていなければの話しだけどね」
スワップンもこの服による探知で決定的だとは確信していない。しかし他に手掛かりが無い以上、ソーイングセットに探知を託すしかないのが現状である。
しかしながら四階付近になると探索がはかどらない。下の階とは違いまだ見張りがいるからである。
「あいつらどうにかしないと進めそうにないなぁ……仕方ない、近くの部屋に入って様子を見ようか」
スワップンはやむをえず三回に戻り近くの部屋に入るが……アンラッキーだった。
「……あんた誰よ ? 」
スワップンが入った部屋はシャワールームで、中には女が一人。ちょうどシャワーを浴びて服を着た後だったのか女の髪は濡れており、肌はほんのりと紅くなっていた。
「あ、あはは、お邪魔しましたー」
部屋を出ようとしたスワップンだったが後ろからのジャキッという音に立ち止まる。
「動いたら撃つわよ」
「は、はーい……」
だが動くなと言っているのに、スワップンはその場で回れ右をして女と対面した。
「……脅しだと思っているのかしら ? お嬢ちゃん、あんまり大人を舐めないほうがいいわよ ? 」
「いやー、どんなお顔をしていらっしゃるのかと思いまして……」
スワップンは女の全身をくまなく観察する。シャワーを浴びたばかりでメイクが落ちてはいるが美しい顔立ち、鼻は高く唇はプリッとしている。目元は吊り上がっておりキツめの印象を受ける。髪はブルーのショートヘア、バストサイズはE、紅いチャイナドレスに同じ色のチャイナシューズ、背丈も女性にしては高い方だ。
プルプルとスライミーが反応する。分裂体からの情報でスライミーにはわかっていたが、この女は他の組員から姐御と呼ばれ、誘拐の主犯である組長お気に入りの愛人、つかさの腹を蹴り上げた女である事が判明した。
(ふーん……スライミーでかした)
スワップンはここで演技をやめ、またしても勝手に両手を頭の後ろに当て腰を低く下ろす……ようするにがに股である。
当然女の銃口はスワップンから離れない。
「お姉さん、今の私をどう思う ? 」
「はあ ? いつ殺されてもおかしくないのにおかしなポーズを取る、頭の悪い女にしか見えないわね」
「そうか……お前はそんなダサい女になるという事だな」
「ふん、なに言って…… ! ? 」
女が言い終わる前にスワップンから人型の光線が発射され女に命中した。
「な……なんだ ! 身体が……! ? 」
女は光線に命中すると身体の自由が利かず、猛烈な窮屈さを感じる。
「くそっ、身体が勝手に……」
女は無意識に楽な姿勢を取る……かつてスワップンが海道五月の身体と入れ替えた時とほとんど同じだが、唯一違うのは手の位置、以前は両手を真横に伸ばしていたが今回は最初から頭に置いている。
さて、当然ながら女はスワップンと同じポーズを取らされている。両足は大きく開いてがに股状態、両手を後頭部に置いており手が動く際に思わず拳銃を床に落としてしまった。
マヌケなポーズを取っているがそれでも絵になっていたのは、この美女がスタイル抜群だからだろう。
「女……その身体はこの私、交換怪人スワップンがもらい受ける ! ! 」
「こ、交換怪人…… ? きゃあッ ! ? 」
スワップンがスクワットのように上下運動を始め、女もそれに続く。運動しながらスワップンは例の言葉を口にする……もちろん女も同時に……。
「「ス」」
女の大きな胸がブルンブルンと揺れる。大きく揺れる !
「「ワ」」
スワップンと女は立ったままの状態になり……。
「「パー ! ! 」」
二人は同時にしゃがみ再度大股を開く。スワップンの身体から発射された光線は再び女に命中。二人の全身は激しく輝き、半透明になった互いの精神が相手の肉体に吸い寄せられ身体に入り込んだ。
*
『海道五月』は激しく上下運動をしていた為に、思わず前のめりに倒れてしまう。
「はあ……はあ……な、何でこんなに疲れてるの……え ? 私の肌、なんで日焼けして…… ! ? 」
五月は自らの身体を触り驚く。背が低い ! 白い肌が褐色肌になっている ! ! 胸が小さい ! ! !
そして目の前には何故か自分がいる……。
「ま、まさか……これって……」
「……にゅふふ……この身体は『
女こと絵梨はその場で股間を指で擦ると、バカみたいな口調で笑う……わざと先ほどとは全く違う口調で……。
「新生、交換怪人スワップン……龍宮絵梨 ! 爆☆誕 ! ! 」
ドレスを着た美女が左手を腰に手を当て、右手の人差し指を天に向ける。右足を軽く曲げ、左足をピンと伸ばす。
「そ、そんなバカな……私が、あんな無様な……」
「ほっ ! おお ! 身体柔らかいねぇ、以前の身体とは違ってI字バランスもできる。ちょい残念なのはこわい顔ってところかなあ ? にっこりピースピース」
I字バランスを取ったまま笑ってピースを繰り返す絵梨に対し呆然とする五月。
「この……私の身体を返せ ! ! 」
「おっと、アブナイアブナイ。イケナイ娘ねぇ……」
五月は絵梨に掴みかかるがI字バランスで上げていた足を振り下ろして三角締めの要領であっという間に五月を拘束した。
「くそ、放せ ! 」
「あまり大声を出さない方がいいわよぅ ? 今のあなたは侵入者、あたしはみんなのアイドル龍宮絵梨、私が一声かけるだけでこわ~いお兄さん達にひどい目にあわされちゃうわよ ? 」
「く……くそぉ……」
三角締めをかけられた五月は悪態をついた。それは自分の身体を好き放題に使われている悔しさ、自分よりも下の存在に負けた悔しさが入り混じっている。
「お前……だったらこの身体がどうなってもいいの ! ? お前が私の身体を好きに使うなら……」
「あらあら、何か物騒な事考えてるわね。そんな娘にはオシオキしなくちゃ……ねぇ ? 」
その時まだ五月の身体にくっついていたスライミーが五月の身体を塞ぎ、体内に忍び込んだ。
「……むぐ ! ? むぐぅ ! ! 」
「さ、時間が無いけどちょうどいいわ。
口を塞がれたままの五月は必死に抵抗するが、何故か力が出せずシャワールームに引きずり込まれる。
即座に服を脱がされると、同じく全裸になった絵梨によってシャワーをかけられる。
「む ! むぅう ! ? 」
「そう、大人のお姉様と一緒にシャワーを浴びれてそんなに嬉しいの……だったら絵梨ちゃん大サービスしちゃおっかな……」
絵梨は五月の身体に密着しボディソープをつける。二人の全身は泡だらけになり、五月は絵梨に自分の胸を押し付ける。
ほんの十分程前には自分のだった自慢の胸を、肉体を擦りつけられる彼女の心のうちはいかほどか ?
否、そんな事はどうでもよい事だったな。
「アソコも綺麗にしないとね。ほぅら、ゴーシゴーシ……」
五月は秘部を優しく洗われた途端得も言われぬ感覚に足の力が抜けかかり、全身を絵梨に預けてしまう。
「緊張してるのね ? 大丈夫よ、お姉様に任せなさい……大事な身体だもの、隅々まで綺麗にしないとね」
タイルへ横にさせられた五月は脱力感から身動きが取れなくなり、文字通り全身を隅から隅まで絵梨に洗われた。洗われる度に五月は全身が敏感になるが当然だろう。絵梨は五月の肉体を知っている。どこを責められたら弱いか熟知している。
「さあそろそろ終わりよ……
「むぅ ! むguuuッ ! ? 」
五月はタイルで寝そべったまま人間の言葉とは思えない音を発して果てた……しかし彼女のマンコから出てきたのは汁では無くゼリー状の物体だった……。
「いよっし ! やっぱりできたね
自画自賛する絵梨に対し、むくりと起き上がる『五月』は激昂するわけでもなく、ただ眠たそうにしている。
「おっは~『スライミー』どう ? 生身の肉体を手に入れた感想は ? 」
「……なんか微妙……足を動かさないといけないから……やっぱり僕、元のスライムがいいなぁ……」
「あらら、お気に召さないみたいね……今回はもう少し我慢して。その身体を置きっぱなしにはできないし、先へ進むにはどうしてもこの女の身体が必要なの」
手を合わせる絵梨に対し、しょうがないなぁと五月は困り顔で納得した。
「ありがとうスライミー ! さあ、そうと決まれば早速行くわよ。あまりサボってたらポゼッシャーに怒鳴られちゃう」
「……スワップン『これ』どうする ? 」
五月はオナホゼリーとなった元『龍宮絵梨』をわし掴みにして尋ねる。
「……ああ『それ』? そうね……一応持っていきましょうか。何かに使えるかもしれないし」
「わかった……でもこんな苦しそうな表情いやだなぁ……こうして……よし、笑ってる顔のほうがいいね」
五月はオナホゼリーの顔の部分を、まるで粘土細工のように作り変えポケットにねじ込んだ。
(返せ……返してくれ……私の身体を……私を人間に戻してくれ……助けて旦那……)
「スワップン、その身体を選んだ本当の理由、ナイスバディなら首領が喜ぶから ? 」
「へぁッ ! ? や、やだなぁ、そんなわけないでござるわよ ! ? 」
「顔真っ赤だよ」
「はうぅ……」
先ほどまでは敵だった二人。しかし今は仲間、仲良くじゃれつきながら部屋を出る美女と美少女。そして声にならない声で嘆く道具……その嘆きは誰にも届かない……。