「ねーねーボス、乳首当てゲームしよ ? 」
「お前は何を言っとるんだ」
"市民安全課"
そう書かれた一室に一文字一とスワップンはいた。一は仕事で、スワップンはスマホをいじっていたが。
理由はスワップンが海道五月と身体を入れ替えてから数日後……。
*
「いやーおめでとう一文字 ! お前が課長とはな ! いよ、大将 ! 」
「一文字さん、おめでとうございます!一文字さんならできると信じています ! 」
昇進おめでとう、一文字課長 ! !
一が務めている会社では突然季節外れの人事異動が行われた。一が新しく設立された"市民安全課"へ課長として異動となったのだ。
だがあまりにも不自然な人事異動に首をかしげる社員も多かった。
そもそも一は課長になれる程能力が高いわけでもないし功績があるわけでもない。毎日東条麗衣に怒鳴られてばかりである。
ではなぜなのか ?
実は一と東条がプライベートでデキているという噂が流れた。これに腹を立てたのが、かつて東条といい仲になっていた上司である。
東条ともう少しでセックスできる筈だったのに、一に全部かっさらわれた。実際はポゼッシャーが東条麗衣の身体を奪い去ったのが原因だが、それを知る者は社内にはいない。
一に制裁を加えたいところだが、それは完全なる私怨であり、セクハラやパワハラが問題視されている昨今に表立って動くことは危険すぎる。
しかし、同じような事を考えている者は一人ではなく上層部にも何人かいた。その者達が手を組み、適当に作る予定だった新しい課である"市民安全課"に放り出して二人を引き離そうとしたのであった。
この時点ではまだ一は課長にする予定ではなかった。だが、正式に辞令が通った際に問題が起きた。
異動人数が二名、しかも一だけではなく何故か東条麗衣の名前もあったのである。
一は平社員だが市民安全課の長、東条は係長であるので部下の方が地位が上という歪みが生じる。
人員は変更できない……やむを得ず一を課長へ昇進させることになった。これが真相である。
さて、その市民安全課であるが業務内容はまだ決まっておらず、役所と連携して業務にあたれ、という何ともいい加減すぎる上からの指示だった。そもそもこの市民安全課自体、一を潰す為だけに作られたモデルケースの部署なので、失敗してもいいや程度にしか上層部は考えていなかったのだ。
さすがの東条も役所へ挨拶しに行ったりしてほとんど社内にはいない。一は彼にしかできない書類の整理を行い、スワップンは暇そうにしていた。
ちなみにスワップンは『学校の内申点が悪すぎるから校外活動で奉仕活動』という名目で市民安全課に入り浸っている……なお、海道家には一度も帰っていない。親は気にもしないし、スワップンも興味が無かったから……。
*
数日後、一は美しい茶髪をした女性の相談を受けていた……。
「交通事故ですか…… ? 」
「そうなんです……私達の自宅がある区間は昔から交通事故が多くて、実は私も昨年トラックにはねられて入院したんです」
「 ! ? よく無事でしたね……」
「それで……役所でも動いてくれるかわからなかったので、こちらの会社でできた部署へ相談しに来たんです」
一はどうしようかと悩む。要は交通事故が多いから何とかしてくれという事だ。
しかしカーブミラーや標識の設置なんて勝手にはできないだろう。
「……とりあえず一度この件は預からせていただけますか ? こちらでも役所に相談したり、少し考えてみます」
「よろしくお願いします、娘も怖がって……」
女性は頭を下げて帰っていった。女性を見送った後一文字は椅子に深々と座る。
「どうしようかなぁ ? とりあえず役所に相談して……でもそれだと時間がかかりすぎるし……」
一は知恵を絞るがいい案は浮かばない。
「ボス……乳首当てゲームに勝ったらいいアイディア教えてあげるよ」
「お前またそんな事を……仕方ない、だれもいないよな……そこか ? 」
一は周辺に人がいない事を確認し、五月の乳首を押す……こんな所を見られたら即警察行きだ。
「ブッブー違いまーす ! ボス真面目にやってよぅ……」
スワップンは甘えた口調で両手でバッテンを作る。思わず一は泣きたくなった……。
「真面目にやってるだろうが ! こんなの家だけにしてくれよ……ここだ ! どうだ五月 ! 」
スワップンは、んー、と間を溜めまくり……一にチョップをくらった。
「いたた……ボス痛いよー」
「早く言え ! 正解なのか ? どうなんだ ? 」
「……ピンポンピンポーン正解でーす ! ではご褒美として私のおっぱいを……や、やだなぁ、マジにならないでよ、ちゃんと話すから」
一の表情が大真面目なのを見てスワップンも態度を改める。
「町内会や近所の学校に言ってさ、交通事故注意のイラスト描いたポスターとか看板設置して時間稼ぎしてる間にカーブミラーを設置してもらったら ? 学校の美術部にも課外活動って事で地域とボスの交流にもつながるでしょ ? 」
「うーん……いいかも。他に案も無いし、ポゼッ……麗衣が戻ってきたら相談して、大丈夫だったら動いてみよう。ありがとう五月」
スワップンの頭を撫でる一。スワップンは照れくさそうに眼を細めるのだった。
今回のポスター作戦は結果的に言えば成功と言えた。
スワップンの言う通り学校に名前は売れたし地域住民の要望も叶えた。そして学校側にもスワップン……海道五月のアイディアである事を告げて内申点にも少しだけ影響を与えた。
「……そういう訳で市民安全課としての初仕事としては上々な滑り出しです。お手柄でしたねスワップン」
「そうだな……ところでスワップン、何か欲しいものはあるか ? お礼も兼ねて買える物なら買ってあげるぞ」
一文字家で一とポゼッシャーがスワップンを褒めたたえる。そしてご褒美に何がいいか聞いていたのだ。すると意外な答えが返ってきた。
「だったらさ、新しい怪人作ってよ。あたしもさ……弟とか妹欲しいし……本当はボスとポゼッシャーが子ども作ればいいと思うんだけど、そのガキンチョがでかくなったら、あたしオバサンじゃん ? だから手っ取り早く済ませる為にも怪人欲しいなって思いました。まる」
「……いいと思います。私も同胞は欲しいですし……(スワップンGJ)」
(ポゼッシャー、一つ貸しね☆)
ポゼッシャーとスワップンがハンドサインで会話しているとは知らず、一は考える。たけっちグループの方からも以前に怪人作れと言われていた。怪人エッセンスの数は数えてみたら残り二つ、この際だから一人作るのも手か、そう一はまとめた。
「よし、さっそく作るか ! ポゼッシャー、スワップン、鍋の用意だ ! 」
「了解しました、ご主人様」
「オッケー、ボス。えへへ、どんな怪人できるかなぁ ? 」
なんだかんだ言ってスワップンも本音だったのだろう。弟か妹か、彼女は準備の間、終始笑顔だった。
「普段は生意気ですが、ああして見ると微笑ましいですね」
「本当にな。普段はセクハラ行為満載なのにな」
いつもと同じく怪人錬成鍋をセット。水を張り火を点けほんのり湯気が昇る。怪人エッセンスを投入し、最後に何か物品を投入すれば完成。
「ボス、私が入れる。とりゃ ! 」
スワップンは一からの返事を待たずに冷蔵庫のゼリーを投入。鍋のお湯は激しく泡立ち、水分が全て無くなった後、鍋の底にはプルプルしたゼリー状の物体があった。
「ん ? いつもと違うな。今までは影だったのに今回は……ゼリー ? 」
一が不思議に思っていると、ゼリーがプルプルと動き出す。
「うおっ、なんだ ! ? 」
初めての展開に驚く一だったが、同じ怪人である二人にはゼリー怪人の訴えがすぐにわかった。
「ご主人様 ! すぐに水を ! 」
「あわわ、コップ、いや洗面器 ! 」
『説明しよう……今回誕生したゼリー怪人は他の怪人と違い、水分を多く消費する。その為放っておくとあっという間に力尽きてしまうひ弱な怪人なのである』
大騒ぎとなった一文字家の居間では、元気になったゼリー怪人が洗面器の中でプルプル動き回っていた。
「あーびっくりした。元気になってよかったけど、何言ってるのかわからないな……」
「私とスワップンは怪人ですからわかりますが……ちなみに、『助けてくれてありがとう首領』と言っています」
「そうか……今度は首領か。俺の呼び方はみんな違うんだな」
「なになに……ボス『首領、二人と同じく僕にも名前を付けてほしい』って言ってるよ」
一はついに来たかと思う。スワップンの時は失敗したから何かいい名前を、と考えるが何も浮かばない。否、一応一つだけ思い浮かぶが自信がないのだ。
「うーん……思いついたけど、スワップンの時は気に入らなかったみたいだし……」
「え ! ? 違うよ、嬉しかったけどあの時は性格が不確定だったからあんな感じだったのであって、すごく嬉しかったんだよ ! 今なら、ボスに感謝してるって伝えられるよ ! 」
「え……そ、そうなの ? 」
「そうだよ ! (ポゼッシャー、へるぷ ! )」
「その通りですご主人様。ポゼッシャー、スワップン、どれも素晴らしい名前ですわ。自信を持ってこの怪人にも名前を付けてあげてください(これで貸し無しですよ)」
(せんきゅう ! ポゼッシャー)
二人におだてられてすっかりいい気になる一。そして思いついた名前を発表する。
「いいか ? お前の名前はスライミーだ。スライムに見えたし、音いんがポゼッシャーとスワップンに被らないように考えたらスライミーとなった。ど、どうでしょう ? 」
調子に乗るけど基本的にチキンな一文字一、恐る恐る感想を聞いてみる。ゼリー怪人はプルプルと動いている。何を言っているか全然わからない。
「ご主人様、この子……いえ、スライミーは大変喜んでいますよ」
「そうだよボス。『ありがとう首領 ! このスライミー、一生懸命頑張ります ! 』って言ってる。めっちゃ気合入ってるよ」
「そうか……喜んでくれてよかった」
洗面器の中ではしゃぐスライミーを見て、一はそう呟くのだった。
だが一は忘れていた……こいつだって怪人なのだということに。
*
翌日会社で仕事をしていた一の元に一人の女子が訪れた。
「あの、少々お伺いしたいことがあるのですが……私は"小原つかさ"といいます。こちらに海道五月さんはいますか ? 学校のプリントを持ってきました」
「海道さんの ? ああ、それなら今トイレに行ってるからもう戻ってくると思うよ。中で待つかい ? 」
「あ、いえ、プリント渡したらすぐ帰りますので」
二人が話しているうちに、部屋の奥から五月が帰ってくる。
「ボスーっ、スライミーがもっと水欲しいってー ! げっ ! ? 」
「海道さん ? ボス……スライミー ? 」
五月がつかさの顔を見た途端ぎょっとする。
「まぁいいわ。海道さん、ほらプリント。大変だったんだから、ここ探すの。家を訪ねてもいないし、先生に居場所聞いてきたんだから。宿泊研修のお知らせが書いているから、ちゃんと読んでね」
「は、はーい。読んでおきまーす」
「まあまあ、小原さんだっけ ? せっかく来てもらったんだから中で休んでいくといい。お茶とお菓子を用意してくるから」
「は、はあ……ではお言葉に甘えて……」
客室で一はつかさについて話しを聞く。つかさは五月が通っているクラスの委員長であると同時に、後日に開催される宿泊研修の班長でもある。
本来四名程で班が割り振られるのだがクラスの人数の都合により二名余ってしまった。そして五月が居眠りしていて案の定余ってしまい、仕方なくつかさが組む事になったのだ。
「とにかく、ちゃんと読んで参加してよね。それじゃあね。一文字さん、お菓子とお茶ごちそうさまでした。失礼します」
つかさは丁寧にお礼を言って帰宅していった。
「礼儀正しい子だったな。ところで宿泊研修の参加費って親出してくれるのか ? 」
「出すわけないじゃん。あの親だよ ? あたし全然帰ってないしね。欠席するよ」
一は悩む。怪人とはいえ楽しい思い出はあった方がいいと思ったのだ。
「なら費用は俺が出そう。せっかくだから行っておいで」
「……いいの ? 」
もちろんだ、と返す一。
こうして約一か月後、五月は宿泊研修に出発した。
一の誤算は一つ。スライミーが五月に着いていったことである。
小原つかさ……彼女の運命はここでねじ曲がった。それが吉か凶か、それはまだだれにもわからない。
*
五月が通う学校の宿泊研修は二泊三日の予定で行われる。
修学旅行とは違い遠方へは行かず県内での移動となる。当日は宿泊施設へ到着してからオリエンテーションを行い就寝となるのだが……。
「海道さん、何か探し物 ? 」
割り振られた部屋でつかさがバッグをゴソゴソと探っている。
「えッ ! ? うんまあそんなところかな ? 大丈夫だよすぐ見つかると思うから」
五月は慌てて早口で返答する。慌てる理由はただ一つ、スライミーがどこかへ行ってしまったのである。
「そう ? じゃあ私温泉行ってくるわね ! 」
小原つかさ、彼女は大の温泉好きである。さっそく着替えを持ち上機嫌で部屋を出て行った。
「は、はは、いってら~……はぁ、スライミーどこに行ったんだよ。まさかあたしに着いて来るなんて。まさか……気に入った身体でも見つけたんじゃ…… ? 」
スライミーの能力をスワップンは知っている。私生活で最も長くスライミーと過ごしている彼女だから知れたことだ。
スライミーの能力は『分裂と粘着』自身の身体を小さく分けて対象に取りつく。世間一般のスライムの認識とは違い、人格排泄や意識の乗っ取り等はできない。おまけに水分が無いとすぐ干からびて消えてしまう。
……現段階では。
しかし、スライミーの弱点を克服する手段が無いわけではない。スライミーと相性が良い肉体に取りつく。相手が生物である以上汗が出る。上手く絶好の相手を見つけ出し取り付ければ……
都合の良い相手が見つかる可能性など『砂漠の中の米粒を探すくらい』低いだろう。
スライミーにとって幸運だったのは、『砂漠の中の米粒を探すくらい』低い可能性を引き当てた事だ。
小原つかさは他の女子と一緒に広々とした大浴場で温泉を楽しんでいた。当然ながら下着など身に着けて入浴などしない。
スライミーは水分を求めて施設内を彷徨っていた。一番水分が多い入浴場にたどり着いても不思議な事ではない。やっと水分が確保できる。そう考えていた矢先に生徒たちが入浴場へぞろぞろと入ってきてしまう。
名残惜しそうにスライミーは一旦退散する。脱衣場に潜伏していると、とてもいい匂いがする。
それはある女子の汗だった。当然ながら人間は汗をかく。下着にも汗は付着しており水分に敏感なスライミーは我慢できずブラジャーとパンツに潜り込む。染みついた汗に取りつき水分を確保する。
美味。スライミーが感じた感想はそれだけだった。グジュリグジュリと汗を吸収する。
スライミーはこの下着の持ち主に取りつこうと決めた。スライミーにとってこれは生存本能である。人間が生きるために水や食料を必要とするのと同じく、スライミーは水が必要だった。その味が美味であればあるほど欲しくなる。つまり、人間の欲求と同じなのだ。
スライミーは考える。この下着を身に着ける事はしばらくしないだろうと。一文字家では全員下費を変えていた。ならば、次にすべきなのは『新しい下着に取りつく』これである。
だがさらに考える。ただ取りついてもすぐにばれてしまう。何故か ? 今の自分が大きいからである。ならば小さくなればいい。自信の身体を三つに分裂させ、ブラジャーの両側と下着の内側に付着、目標の到着を待つ。
「ああ、いいお湯だった」
下着が引き上げられ、スライミーがへばりついた下着が持ち主の……小原つかさの身体に装着される。
「…… ? なんかいつもより冷たいような……気のせいかな ? 」
ばれたか ! ? そう思ったが衣類を身に着けた為事なきを得る。
下着から肌にへばりついたスライミーは動こうとして待ちを選ぶ。ここで動いてしまったら台無しである。
勝負はこの人間が寝た後、そう決めた。
入浴を終えたつかさは部屋に戻ると、荷物をひっくり返している五月がいた。
「ただいま。あれ、まだ探し物 ? 」
「うん、まだ見つからな…… ! ? 」
一瞬五月が驚くがすぐに冷静さを取り戻す。スライミーの能力を知っている五月はすぐにスライミーの居場所と狙いに気が付いた。
「あ、あった ! これこれこのキーホルダー。いやあ探してたんだよねこれ。ボ……おじさんに買ってもらったんだ」
「この前会った一文字さんに ? でも見つかってよかったね。五月さん」
とっさにごまかした五月は探し物の話を無理矢理打ち切り、布団に入った。
つかさも五月の挙動不審さに疑問を覚えながらも布団に入る。
その日の夜、スライミーは分裂を開始。つかさの乳首と陰部に取りついた。
人間は寝ている間にも汗をかく。スライミーは、ただ黙っていればよかったのだ。
一方のつかさは程よい冷たさに心地よさを感じていた。布団の中の温かさに乳首と陰部だけが生暖かい。
スライミーはつかさの弱点はここだと確信した。そしてへばりついた箇所に自身の身体を固定化させる。
今まではプルプルしていたスライミーの身体は次第に固まっていき、ついにシール程の硬さとなる。
形は三か所ともハート型になっており、純真な彼女の身体にハートシールは非常に煽情的だった。
「ん、んん……あぁ……」
思わずつかさは陰部へ手を伸ばす。しかし前張りの役割を果たすスライミーは剝がれない。
ここでスライミーに取りつかれたことによる副次作用が働く。こればかりは誰も知らなかったが、スライミーの体質は人体に+として働く。要するに、お肌にとても良いのだ。
「ああ……ん ! ふぅ……」
つかさはあまりの気持ちよさにパジャマを脱ぎ捨て下着姿になる。右手は胸を、左手はマンコに伸びる。
さつきの身体は無意識に苛立ちを感じる……触れない……乳首にふれたい ! 引っ張りたい ! 弄りまわしたい ! だが全部スライミーによって阻まれているためどうすることもできない。
「ぐ、う、ふん ! んあぁ……」
部屋の中にはつかさの力む声、せつなそうな声が響いていた。
「あらら、すっかりお楽しみだね委員長」
暗がりの中、五月が声をかける。
「スライミーにこんな効果があったとはね、分裂と粘着しか知らなかったよ。でもいいね、スライミーの成長に一役買ってもらうよ、委員長」
五月はつかさの下着を全て脱がせ一糸纏わぬ姿へ変えた。つかさが身に着けているのは両乳首のニップレスと陰毛の上から前張りの役割を果たしているスライミーだけ。
「ふふ……朝が楽しみだね、ド変態の委員長☆」
暗い部屋の中で五月が笑う。つかさも胸と股下を弄りながら笑っていた……。