無人島に遭難した当初こそ、危機感は大きくあった。
命の危機があった。
流れ着いてからもう何日経ったのか、しっかり覚えていない。
けれど。
「どうかしたのかしら?」
「いや、なんでもないよ、アルファ」
一緒に漂流したのが、完璧超人であるアルファという事もあり、その危機感はほとんど無かった。
漂流した当初、焦っていた寝床は、近くにあったヤシの木で作り上げたログハウスによって、安心。
食糧問題に関しても、アルファ自身が狩っている為に特に問題ない。
「なんというか、本当に漂流しているのかなぁ」
「突然、どうかしたの?」
「いえ、なんでもないです」
アルファに心配をさせないように、俺は返答する。
まぁ、俺自身が、アルファにほとんど世話になっている状況で特に文句を言うつもりはない。
だけど、当初の危機感の代わりに別の危機感があった。
「そのさ、アルファ」
「どうかしたの?」
アルファは、既に晩の食事の準備をしていた。
この無人島では火がかなり貴重であるという事もあり、日が昇っている間に食事をする事になっている。
だが、俺はその食事を見て、思わず聞きたくなった。
「アルファ、これは」
「牡蠣のにんにく炒めよ。丁度、海岸で見つけたから、新鮮なうちにね」
「そうか、それじゃ、これは」
「ウナギの蒲焼よ。本当だったら、白いお米もあったら良かったけど、さすがに見つけられなかったわ」
それ以外にも、長芋やゆで卵。さらにはマムシ。
「明日は、もしかしたら大雨が来るかもしれないから、拠点でずっと過ごす事になるわね。脱出の手段も、あと少しで完成すると思うしね」
「そっそうだねぇ」
アルファは、そう何事もないように俺の方に勧めてくる。
けど、これまで、長年、この異世界で活動してきた俺には分かる。
今夜、俺はアルファに喰われる。
性的な意味で。
最初は、偶然だと思っていた。
命がけで、生き残る為に必死だ。
だからこそ、俺はそっちの方を優先にしていた。
けど、今、振り返ると、確実にやばいと理解できる。
初日から、変わった食料しかなかった事。
僅かなボディタッチ程度。
それが、徐々に、大胆になっていく。
それでも、行為をしないようにしていた。
その度に、俺が言ったのは。
「とりあえず、今は生き残る事が最優先だから、そのごめん」
その度にアルファは、理解を示すように頷いた。
けど。
「そうね、まずはしっかりと整えないとね」
そう、返事をしてくれた。
けど。
「ここの生活も慣れたわね」
「あっあぁ、そうだなぁ」
「もうすぐ、終わるかもしれないと思うと、少し、寂しく思うわ」
「まっまぁね」
料理を一通り、食べ終わる。
「だからね、その前に少し我儘を言っても良いかしら?」
「それは」
そう、俺が困惑している間に。
「抱かせて」
それは既に止められない事を察するには十分すぎた。