※この作品はR-18です。

異能幸運レアドロップでイキ抜く♡学校最後の男子ピネスと眼帯プラチナ女校長の不気味なダンジョン冒険記   作:山下敬雄

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騎士と用務員が熱い闘いに決着をつけた一方で────こちらもそろそろ、あまいあまい危険な香りが充満しつつあった。

 

もはや避けるというよりは溶ける、カラダが溶けて消えてまたべつの板チョコブロックからおかしく現れる。

もはや相手は人間じゃなくてチョコ人間、今までダンジョンで日々たたかってきた彼女らの常識が通じない、お菓子に人間の説法が通じないように。

狙い澄ました矢はいい手応えで当たらず、蹴りはまともに当たらず気合を入れた戦闘服のタキシードがチョコ色に染まるだけ、馬鹿げているがいずれ固まったチャンスが来るのだろうとブク校パーティーは力を合わせて闘いつづけた。

 

「チョコぐぅレート、期待以上の伸びです! ですがですがーーかかっとハイ、このあたりでそろそろ最終調整といきましょーー」

 

倒されないが倒すことができない、そんなお互いの決定打にかける膠着状態を打ち破るのは、若さにあてられた火照ったチョコ色の汗をかきご満悦のトレーナーによる最終調整。

 

 

「それでは【チョコっとダイダル(ぜんしんをほぐす波の調整)】」

 

 

敷いたカーペットを巻き剥がしていくように、このステージの床である板チョコを大胆広々にもちあげていく。そして高々と固めたダイナミックなチョコ景色は、やがて一気に溶けだして動き出す。

 

この攻撃の規模は今までのようなウォーミングアップのチョコっとどころではない。

サーフィンボード代わりのバニラクリームをサンドしたココアクッキーにトレーナーはバランス姿勢よく片足で立ち乗りながら。

この有利フィールドを存分に使った一面チョコ色の大規模攻撃が、海鳴りのような壮大な音をたて……ブク校小パーティーの3人に────────

 

 

▼

▽

 

 

チョコ色の大波は全てを呑み込みチョコ色にコーティングし染めきった。

そう、見下ろす景色の全てを、甘くおかしく調整完了。

 

に思われたが────チョコっトレーナーかかおらが最初に目についたのは、〝卵〟。

 

かかおらはそれを知っているがどうしてあるのかを知らない。脈絡がないおおきな卵が中央にぽつんとあるのは、おかしい。

イチゴチョコ色のクエスチョンマークを頭上に浮かべながら……

 

「おや? チョコの……たまご?? はてはてそんななつかしのおまけなどわッ──!?」

 

不意に砕かれた景色は、生まれた景色。

ナカから殻を破り飛ばし、未知のチョコたまご菓子の破片乱れる空間に、登場まもなく射られた矢は敵がのりこなす宙のココアクッキーを砕いた。

 

奇抜な登場シーンからの美しい奇襲劇、なつかしのチョコたまごに見とれていたギラチョコさんを撃ち落としていく。

頼りにしていたココア味の足場は崩れ、ビッグウェーブを乗りこなした曲者のチョコといえど全ての物体に影響を及ぼす重力の流れには抗えない。

 

「かかっ!? 生まれ変わった?? ナンノ調整!???」

 

ナンノ調整かと問われればそれは女子高生たちが使っている油が今度は違う。

冷蔵庫に秘めてストックされていたVenusの異能をさらに応用したコピー作戦は、闘いのナカでじっくりと冷やされ、調合され、決行された。

 

□合成

【クリティカルPオイル】

×

【冷蔵庫Pオイル】

=

【クリティカル冷蔵庫Pオイル】

□

 

出来上がった油を塗るのは飛ばす弓手の矢じりだけではない、走る黒靴にオイルを塗り執事としてさいごのツヤ仕上げをおこなう。

そして急ぎ落下点に靴音を立てつつ向かいやるのは……タガヤの愛するバトラーバトラーの推しキャラであるシャイニーを見習った、とっておきのくだけた技を。

 

「かっかかかっかっっ!?? ナントぉ踊り足りないとっっおっしゃるのべっべべべべべ────────!!!??」

 

落っこちたその穴は、落下する空中で体を柔軟にひねろうが吸い寄せられる避けられない踊り。

ブレイクダンスのように激しくくだけて、相手を回転する足技の渦に誘い込み、砕くとにかく派手でダイナミックな技。

冷気を帯びたとまらない靴の連撃に、溶けて必死に逃れようとする異能チョコレートも通じやしない。

コピー×コピー……選択され冷やされた特別なピーナッツオイルの効能は、対チョコレート女特化のオイル。

蹴るたびにそこから急速に固められて料理されていく、寒い寒いボウルに入ってしまったチョコは激しくかき混ぜられ決して逃れられない。

 

「【シャイニー……ブレイキンブレイクホール】!!! ────────たぁっっ!!!」

 

最後はしっかりシックスパックに固め調整したチョコ色の腹筋を蹴り上げて、

 

────高々と上空。

 

ホワイトチョコの白目をむいても、ちゃんと諦めずに最後までトレーニングをしよう。

これは要冷蔵のお菓子の宿命──刮目して受け取らなければならない、またチョコがまずく溶けてしまわないように……

 

 

「「【フリーズ】!!!」」

 

 

ビタりフリーズするのは、逆さにポーズを決める執事の長く美しい脚。

ドンピシャにフリーズするのは、その放った弓の残心、美しいブク校のマドンナの微笑み。

そして蹴り上げ射抜かれ……カチコチにクリティカルフリーズするのは────

 

「人は勝手に成長するものだから一番肌に合ったものをえらぶの。よく見てマネしてセンスよく調整すれば磨き上げるそのひとりの美しさに限りはないわ、ふふふ、今回は総計……ピーナッツ25個分といったところかしら?」

 

「ハァハァ…………ッ勝ちましたーーーー!!!」

 

『かかっ……かっちーーん……と……チョ』

 

ハードなトレーニングの末に、生まれてきたのはチョコ色にコーティングされた殻をやぶって成長した生徒たち。

異能【たまご?】の紫紫刀、

異能【コピーナッツ】のVenus、

異能【冷蔵庫】の緒方結美の冷蔵庫、

ブク校小パーティーはそれぞれの異能チカラをうまく掛け算し、チョコっと厄介な異能【チョコレート】の持ち主チョコっトレーナーかかおらを容赦のない氷漬けにし勝利をつかんだ。

 

 

『かかっ……かぜ……ひきそ……へっ…へっ…へくちょこん……』

 

「脱ぎ捨てられたこの銀紙のお衣装はかぶせるべきでしょーか……それともカチコチのチョコなのでこのまま湯煎が最優先でしょーか? チョコの看病はなにぶんはじめてなもので……」

 

「そうね? 分からないけどあついお茶でもアタマにかけたらきっと抹茶チョコじゃない、ふふふふ、────お茶にしましょ」

 

問う執事は気品あふれるマドンナの出した余裕のある答えに『ハイっ!!』と返事し、とりあえずサーガが冷蔵庫にいれてくれた冷えたお茶を少し申し訳なく思いながらも沸かし返すことにした。

 

『おいしく……ちょー…せい……を…』

 

くろまねき商店オリジナル商品:キャンプ用のコンパクトガスコンロを引っ張り出し、茶を入れたやかんに火をかけてゆく。

冷やしすぎたチョコを今度はほどよく溶かすまで……戦闘を終えた2人と1台と1個はお菓子なエリアで小休憩をとった。

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