異能幸運レアドロップでイキ抜く♡学校最後の男子ピネスと眼帯プラチナ女校長の不気味なダンジョン冒険記 作:山下敬雄
⬜︎校舎裏きのこ園での決闘
榎田椎名:
メイン武器 斧
異能【きのこ】
技・魔法
【笠割】
【胞子変換】
【風のマナ胞子】
【受け継いだきのこベレー帽】
【きのこアイテム各種】
【きのこレーダー】
髪型
ホワイトマッシュボブ、ゆるふわで
謎の女子ボクサー:
メイン武器 拳
異能【地蔵菩薩の呪い】
技・魔法
【石拳】
【石鎧】
【お辞儀ボディー】
【悪霊祓い】
【オン・カカカビサンマエイ・ソワカ】
髪型
ブラウン刈り上げマッシュ、前髪は長めで
⬜︎
道端の地蔵をも壊すほどの硬く呪われた石拳をもつ女子ボクサーに、ダンジョン冒険者としての素養はあれといえどシスター服を着たきのこ好きの女子高生が勝てるのか。答えは否────────
防御行動をとった斧のウエポンは高速ジャブと織り交ぜる石拳ストレートにもたず……砕けた。
ペースを乱された榎田椎名の戦い方はその後まったく様変わりするも、相手はボクサーそのステップワークを素人が捉えて崩すことは難しい。
「斧があたらないからって爆弾があたるかよ! そんなの当たるの地蔵だけじゃ!」
起爆茸の柄をかじって投げつけるもブラウンマッシュヘアーの素早さにはそのふざけた手榴弾は当たらず。あっという間に緑のフェンスのコーナーに追い詰められていったのは片刃が壊れたレア斧をもつ榎田椎名。
もはやノックダウンは必至、斧を高々と放り投げてズレ落ちたきのこベレー帽に榎田は覚悟を決める。
捉えた硬い石拳のストレートは、同じ石のきのこ盾へと────
「!? 石のサンドバッグだと。チっひびわれた縁起のわりぃ!」
パッと咲いたのは、榎田の前方を覆う石色のきのこの盾。
ぴきっとひび割れていく縁起の悪い音に、次の拳を一瞬ためらったその瞬間。
手放していた斧が降り注ぎ背後の土壌に刺さる。
そのとき、ひび割れたきのこ盾から密かに散布していた周囲の風のマナが爆発し、不思議なかまいたち現象がおきた。
振り返ったとても危ない切れ味のマジックに、
「──野郎!??」
風圧と風の刃にフェンスに押し付けられたボクサーは、石のようにガードを咄嗟に固めた。
石のようにというよりは石、身体の前面を石にし、風の切れ味に身を削られながらも耐えた。
そして吹き止んだそよ風に転じて反撃しようと、憎き白きのこを探すがいない。
そしてびくともしない接地する両脚の底と、ねばつき離れようとしないコーナーのフェンスにボクサーは悟る。
素速いフットワークを崩すためには────フェンスと靴底に接着材。
足を止めればいい。
榎田椎名は接着茸の透明粘液をかまいたちに乗じて仕掛けて消えていた。
どこへ消えたかというと、必死に接着剤を引き剥がそうとしながらボクサーが見上げたのは天。
浮かぶウッドキューブは、プロレスラーがトドメをさすためにコーナーポストを登る天への道を作るように。
「ちっ、野郎! トドメのつもりか、がめやがって!!!」
「【オン・カカカビサンマエイ・ソワカ】【オン・カカカビサンマエイ・ソワカ】【オン・カカカビサンマエイ・ソワカ】……来やがれ!!! 悪霊でも道端の不良でもきのこでもなんでも滅し返しちゃる!!!」
一度リングに上がったボクサーがその靴を脱ぐことはない。
背に引っ付く邪魔なフェンスを裏拳で吹き飛ばし、お洒落で邪魔なトレーナーをひきちぎり脱いだ。
赤いスポーティーなノースリーブをきた女は、地蔵のように全身石色になり天を睨み待った。
「武力、女子力、【メテオ茸】!」
異能【きのこ】で操作した足場のモンスターウッドキューブから採れたてのきのこを回収しつつ。
特殊なきのこ属性のベレー帽を芳しく成長させ放ったのは、特大きのこ魔法、【メテオ茸】。
落ちてくる巨大なきのこ笠に、一時のプライドと菩薩の心でで逃げずに固まった地蔵は本当は後悔していたのかもしれない。
「お焼きぃぃぃい!!!」
ぶつかった魔力と胞子に赤熱する隕石は、地にたたずむ地蔵へとバチ当たり────────
「じょしりょく…おそろです…」
「オシャレじゃぼけぇ…」
その身が重なり合うように結末は……ダブルノックアウト。
乱れたマッシュヘアーは痛々しくおそろい。
落石でできたクレーター、その中で寝っ転がるふたりの周りには、急発生した色鮮やかなきのこの群れが供えられた。
▼
▽
「どらぁこらぁーーー!!!」
大きなひよこのモンスターは、オレンジの鳥脚をバタつかせあせあせと逃げてゆく。
風呂敷から商品をまきちらしながら、鬼のような形相の電磁ハリセンを持ったちんまい店主に追われるも廊下をどうにか走り逃げおおせ。
くろまねき商店のちひろちゃんは息をゼェハァと切らしながら、いったん諦めて立ち止まった。
やはりここも狙われてしまった。店の防犯対策を強化したものの、来店した愛らしい大きなひよこがまさか商品を盗みだすとは思わず対応が遅れてしまった。
ちょうどそんな黄色い犯人の逃亡シーンを目撃した絶賛パトロール中であった登別は店主に落ちていたレモンスカッシュを手渡して尋ねた。
「さっきのはひよこ? 他の侵入者はどこかしら、心当たりはある?」
「ぷはぁーーーーーーっ……それならわかんで! 待ってな! えーーと……ぴよぴよ走ってんのがそこらにいっぱいおるわ。たぶん盗人ひよこの一味やろ! ちひろちゃんの〝絶対的金銭感覚〟からはひよこもあほぅもコケコッコーも逃れられへんで! あーーーむかつく!! もふもふしててかわいいからって盗みは許さんで!!!」
〝絶対的金銭感覚〟くろまねき商店の店主ちひろちゃんの異能である。
価値のあるすべてのモノは彼女の有するこの第6感から逃れることはできない。
「あと……なんやこれ」
「どうしたの?」
「どうしたもなんもアッチの上におんのはすんごい価値やで。なんの卵やわからんけど、ぜったいヤバイわ?」
ちひろちゃんは自分のスマホを見せながら、そのビリビリする感覚を、校舎フロアマップに自動マークし登別に見せた。
3Dマップにはぴよぴよ慌ただしく走る黄色い複数のマークと、動かずに上でじっとしている赤いマークがひとつある。
「そう。わかったわ、とりあえずそこね」
「っておーい! ほんまにいくんかー!! きっとあぶないでぇ!!」
ちひろちゃんの呼びかけに、既に動き出していた登別はパっと振り返った。
「えぇ、ひよこの泥棒はどうでもいいわ。盗みですむのなら安いわ」
「そりゃぁ……せやな? っておい! どうでもいいことあらへん! うちのしょーーひーーーん!!! あとうちのスマホーーーーーー」
状況を把握した登別海は上に向かい走り出した。
ハリセンで廊下にツッコむが届かない……ちひろ店主はしかたなくサブのスマホをつかい連絡し皆のスマホにひよこ泥棒のリアルタイムのマップ位置を共有した。