異能幸運レアドロップでイキ抜く♡学校最後の男子ピネスと眼帯プラチナ女校長の不気味なダンジョン冒険記 作:山下敬雄
円形校舎ダンジョン20F暗黒巌流島に、黒と白に点滅する大箱が構えている。
島を覆い尽くす逃げ場のない決闘模様は遅れてきた者たちを威圧し歓迎しない。
2人の雄がただただ命を削り合い、かつ魔力を繋ぎ合いひとつの箱を作りあげていく奇妙な有様。
技と技がぶつかり合い、己の陣地を緊迫の剣音鳴らすリアルタイムに喧嘩をしながら広げていく。
かみ合わせたピースを白黒激しく奪い合うように────────
「黒が勢いをッ……シャイニーにっいえ、浦木幸さんに今加勢するべきなのでは!」
「あーあー待ちなよ拳剣流の執事ちゃん、さすがにあの中にデデーンと穴あけて飛び込むのはねぇ。異能というより異界、中でバチバチパワー上げて得体が知れないことやってるよ、せめて戦闘のプロに魔力があと100ccでもあればねー(この規模のえげつねぇ魔力箱、戦闘のプロにはちょっとまだ無理だけどぉ? ピンチはピネスのエッチアイ、もしかするともしかするんじゃないの──お弟子さん? にゃはは、あのときのようにねー)」
船から前のめりで魔力滾る箱を見つめる執事のタガヤを、魔力すっからかんの戦闘のプロは落ち着いた様子でたしなめる。くるくると指にあそばせて被り直した水色帽子、池原叉鬼はその表情に期待と不安の一筋の汗とニヤついた笑みを添えて。
「あの箱に編まれているのは桁違いの魔力の質だ。アレがここでの戦いにおいての更なる戦士たちの本領だというのならば────目を凝らし学ぶ他ない。情報のそろわない危うきには迂闊に立ち入らないことだ。それにこれはヤツの任務だ、目の前の戦いにのめり込んでいるのだろう、動きは少し危ういが反応と威力は追いついている。それにしても戦いを透視するこれは何という魔道具だ? 随分と美麗にうつるものだ」
「そうね激しく美しく噛み合っているわ、これ以上のピースはこのゲームにはいらなくて。最新機種のパイポン18でしてよ」
Venusが持つ最新機のスマホの画面を覗き込み、パジャマ姿の淡青髪の女は冷静にそこに映る戦いの模様を解説する。
「どれどれぇ…………へぇー、アタシがコケにされたあのおすかしイケメンに食い下がるなんてやるわねぇー? ま、もうゼェハァ言ってて今にも負けそうだけど」
「は? 負け犬が何勝手にしゃべってんの? (はーすけなんとかヤるんでしょ)」
「えは!? っていいからこの縄ときなさいよハイナ…ぃ! なっなんでアタシだけッこの扱いッ……他のやつらの方がヤバイでしょーに! チョコとか星とかミイラとか!!!」
ロープにグルグル巻きに拘束されたメイクの滲んだゴシック服のviewtuberは木浪に睨みつけられた。
「ピースがある限りどちらに転んだとしてもおかしくはない……フッフ。せっかくの花盛りの伸び盛りだ、吉と出るよううちの生徒を応援するしかあるまい」
船尾にいるミイラ男は冷蔵庫から取り出した特製の餌だんごを乗り合わせた仲間モンスターたちに与え、モンスターハーレムを築きうれしそうに囲まれている。
船首で傘をさす校長はじぶんに集めた雨飛沫に打たれながら、いらない眼帯を海に投げ捨てた。
「んっんーー。おっ? おおおお!!! そうだ星だ、星になれえええええええ!!! バランスヲッ星をッこのワタシと救うのだあああああ!!!」
「うっさ! なんなのこの人…!」
突如ひびの入ったサングラスを地に投げ捨て、天へと雄たけびを上げる。
星の男はありかに気付きひどく興奮している。
「チョコっとまた荒れそうです、戦場、いえ船上の体幹調整、はいみなさんアオアシカツオドリのポーズだんしんぐ!」
チョコとビスケットの長方形船、ビスケットをしめらせ浮かぶパルフォルト号に乗り合わせた敵と味方の大所帯は、スマホに届いた映像から箱の中を観戦する。
黒い悪魔の猛攻を迎え撃つ臨場感とスピードのある映像に、少年の荒い息遣いが生々しく聞こえる。
賑やかに浮かぶ帆船、熱気に溶けていくチョコとプレッツェルの帆、ふたたび大波を描き荒れていく海。
巨大な箱が黒く点滅し染まっていく────
「なんだお前は! 性懲りもなく寄生するか! 運だけの野郎が! これでもまだ俺に噛みつくかああああ! 弱いヤツが調子に乗って俺の猿真似をするナァ!」
「はぁはぁ……あんたが強さが正義なら…あぁ、俺はここまでもってきた運が正義だ! ゲン担ぎって知ってるか! ジグソーパズルはあいにく俺も得意! そんな遊びやすくして誘って真似される方が悪いんだぜ!」
「持ってきたのが運だと? 運が正義だと? なら相当にクソったれたお前のスベテを狂った強さで塗りつぶす!!! 悪魔による特別な死をもってな!!!」
「まだ
ピネスは突如溜めて放たれた居合斬りを避けた。どこまでも伸びる黒い剣は水平に薙ぎ、剣というよりはビーム、真っ二つにせんとしたが、すでに跳躍し獲物はそこにはいない。
逆に長剣を振り抜いた相手に対して大きなチャンスを得たピネスは、呼び寄せ集めた白いピースに宙で脚を接地させ逆さに掴まり、何かをしようと赤い切っ先を素早く向けたが────
白い浮地が砕け散りピネスは迫る黒い壁にぶち当たり地に弾き飛ばされた。
左に薙ぎ斬った長剣の後に、燕が舞うようにすぐ右に切り返して舞ったのは──黒い翼。
右に捻った体から伸び打ち下ろした片翼。
さらに翼に黒いピースは集い大きくなる、呼応するようにピネスが踏ん張り描いていた白い陣地が塗りつぶされていく。
「地球に蔓延るその他屑どものようにのうのうと実力の伴わない正義を騙るか? しかもたどりついたのが──運、だと? 空っぽの白い焦燥の中でいい
白をまた魔力の質をあげ押しのけていく、辺り一面のピースは黒。
茶番と反抗はあれど逆転はなく順調に染まる黒、そして集めて作った左の片翼には数字が描かれて全てのピース集合体が4を表し、10から数えていたカウントダウンを止めた。
カウントダウンを止めたその4のピースマインでできた片翼はただかき集めた翼ではない、超硬度の異能でつくりあげた異物と化す。
全てが連結し連動し黒雷を纏い……揺らし、死の魔力のそよ風を吹かせ唸らせる。
「悪と名付けてやる、お前のしつこい運すらも今から俺のモノだ。そして粉々になった悪運の尽きがお前の死だ【悪魔的100%:
とんでもなく粘り強い悪運すら、ひどく底知れなく強い悪魔サンフンにはもはや敵わない。
最後のピースを精密にはめて悪しき雷のエンジンで始動した悪魔の4ノ翼は、大きく前にはためかせて敵を打った。
黒雷纏う4ノ翼がぶつかり、黒い雷柱を天へと迸らせる。
轟音を上げる轟雷の手応えに、悪魔の浮かべた笑みは────
緋色に燃ゆる景色に爆ぜて崩れた。
とてつもない死の風を浴びても、突然の不条理な黒雷に打たれても────ここぞの期待感は握り続けたその剣、緊迫する恐怖脅威に凝らし続けてふと余所見をした…その瞳に昂りつづけている。
黒くひび割れた100ピースを編み込んだ翼に悪魔は狼狽える。そんな翼の生えた悪魔に一人のラッキーボーイが赤い剣をさし教えてやるのは、天へと繋がり迸った黒雷をも吞み込んだ〝星のありか〟。
真っ黒な巨大なジグソーパズルのえがく星が天にひとつある。そこから色が反転し広がっていく白い景色、染まり始めた反逆の奇跡に、唖然とする悪魔は理解からない。
「【バスターファイア…」
「バスター…ファイア!!??? ナニがだ!!! コイツの鬱陶しい魔力は!! もう一遍シ」
下ろした緋色のショートソードは真っ直ぐに、その熱い切っ先で悪魔を指差し。
真っ直ぐな刃にゆっくりと添えた翠のショートソードは二つの極限まで高まった期待感を────後ろに引き弓を引くように力強く擦り合わせる。
天にあり彼らを見下ろす黒い特大の運星がバチバチと……七色の後光をやがて箱庭の戦場にひろく光りはなった。
「バーーーーーーーン】!!!」
雷撃を帯び真っ直ぐに疾る緋色の炎────────
刹那の瞬間にもがき重ねたのは黒き悪魔の両翼。
その超硬度を誇る4ノピースの壁さえカウント7にし出鱈目ラッキーに貫き、
射線上に捉えたその悪しき身、敵対する2人が戦い作り上げたジグソーの箱の果てまでも────────…
出会ったしらない星のパワーを得て、ダンジョンへと覚悟し持ち込んだ己の運を全て試し──発揮する。
浦木幸魂のクリティカルショット、異能魔力幸運かけあわせた破壊力2000%【バスターファイアバーン】炸裂!