異能幸運レアドロップでイキ抜く♡学校最後の男子ピネスと眼帯プラチナ女校長の不気味なダンジョン冒険記 作:山下敬雄
この日も校内を徘徊していたピネスは風紀委員部部長の光角灯に捕まり、一緒に校内のチェック及び巡回をすることになった。日々新しく部屋や構造がダンジョンのように拡張していく学校はブク高生であっても迷う程なので、迷子のチェックや、無許可で増えていく部室のチェックなど校則を脱法しているモノがないか確認することに事欠かない。
途中朱文金とイワマジロを追いかけっこをしながらも、1番チェック項目が多いであろうまだまだブク高でもクセモノが多く蔓延る未開の地である地下校舎へと2人はやって来ていた。
校長から拝借した地下への銀の鍵を使い閉ざされた扉をひらき降りていく────
▽くろまねき商店▽にて
地下校舎で堂々と営業する店がある。
最近は店主自ら地上へと進出し、その存在感を堂々と宣伝し出してきたくろまねき商店だ。
さっそく学校の教室をモチーフにした、机にアイテムの置かれているお洒落なお店ダンジョンへと入っていく。何か変わったことがないか……すぐにピネスとトモル2人には分かった。
首輪をつけられたとても大きなひよこがいる。
じっとその大型ひよこを2人が見守っていると……。
ひよこが店の商品であるお菓子に触れようとすると──首輪から電撃が流れた。
この光景は一体なんなのか……2人が唖然としていると、いつものちんまい店主がピネスの隙だらけの背後から現れた。
「ちょーばつや……盗人もひよこも罪つぐのぉてきっちり利益に還元させてもらうでぇー(ちなみにこいつらひよこやなくてぴよこ言うらしいからこんぐらいの電気ショックじゃぴーぴー鳴くだけやで)」
ぼーっとしていたピネスの背に飛び乗って横から顔を出したちひろちゃん店主は、悪そうな声でそうささやく。
「ちょーばつ……穏やかではねぇな……」
「悪いことしたら罰は必要なのですよ!」
「……ちげぇ…ねぇのか?」
トモルはちひろに同調するようにそう言った。
そしてピネスは何故かそのトモルに上目遣いでよく見られて彼女の視線がなかなか顔から外れない。
「それより自分うすのろか? 何もちょーばつだけやないで、きっちり利益に還元する言うたろ。そっちが本題や。そんな引かんでええ。ってことで、この憎たらしくもかわいいぴよこちゃんをもふるのが10秒200DPや、そんで今ならお試し価格の10秒20DPでどうや?」
「ぅー…どうやっていわれても……な?」
「…です?」
「あほか! 目の前いるんはこんな電撃ながれるおもちゃの首輪に繋がれた盗人ぴよこやで! せやからさっきじぶんに提案したんは、ちょーばつ楽する軽くするためにあんねんで、なにもガメてんちゃうで? いったら商売やないねんこんなんで儲かるかいな、いわば罪人ぴよこへのちょっとしたお仕事で救済措置や! ここでこのこのこのってェ────────はぁはぁ…もふらんでどうすんねん! ホラ、めっちゃかわええやろ? けっこー人気なんやで?(こいつん名前はまんじゅーや、ええやろ? つっつかんで?)」
店主自らする実演の黄色い生物のもふり行為に…………お客のふたりは顔を見合わせた。
▼
▽
お支払いは首輪に刻まれたバーコードに黒い指輪を近づけるDP払いで────
黄色い綿毛に包まれながら、ダメになっていた男はおでこを小突かれて起き上がる。
どうやらお試しでぴよこをもふっている内に眠っていたらしいと、しー…と人差し指を口元にあてジェスチャーする店主に小声で伝えられた。
ピンク髪の彼女が探偵帽をふところに抱え、黄色いベッドにもたれながらぴよこと一緒に寝ている。すーすーぅと静かな寝息を立てながら、完全に休んでいる。
後ろ背に親指をくいくいとジェスチャーする店主に従い、ピネスは少女とぴよこが眠りふける教室から抜けていった────。
▼
▽
用を済ませたピネスが戻って来たころには────一ヵ所に集った黄色にうずもれていた。
ぴよこたちはひよこのように身を寄せ合い眠っている。
探偵帽子が黄色いまんじゅーの上に乗っているだけで、ピンクさんの姿がそこにない。
2分後────
ピネスはおしくらまんじゅうされていたピンク髪を引っ張り出し、ねむりから起こした。
そんなぼさぼさ髪の眠気がのこる表情をした彼女に、ピネスは白い包み紙を手渡した。
「これは………なんなの…ですっ??」
「あぁー、この前全部さ食べてたろ? ちょーどあぁーはは、時間あったからまた焼いてきたぜ」
そう言う彼の目線に促されてトモルは、寝ぼけ眼をこすり、白い包みを開く。
そこには星がいっぱい積まれてあり、甘い匂いが封を開けたナカから漂ってきた。
「これは……ほし…」
「たい焼き、はは(ヒトデだけどな)」
「ってこんなにいっぱい星ばっかり焼いて何やってるのです! これはたい焼きじゃありませんよ!(前も勝手にエッチアイが作ってたヤツなのです!)」
「あーーごめんごめん、その下に隠れてる、──ははは」
「ナッ!? そっ、それにしても焼きすぎなのですっ! いったい誰がこんなにぃ食べるというのですっ!」
「ええ?? ええっとそれはぁー、────あぁ来たみたいだ」
2人の声に、さっきまで寝ていたぴよこたちが起きて寄ってきていた。
包みからただよう甘い焼きたての匂いへと、ぞくぞくとぴよぴよ鳴きながら餌をせがんでいる。
また始まったおしくらまんじゅう、なんとか2人で袋をパスし合いながら抜けだして──パワフルなぴよこたちのじゃれつき行為に、たまらず机の上にあがったピネスはトモルに即風紀違反だと注意された。
電磁ハリセンをかかえて出てきた店主に助けられ、その後はクラシックたい焼きとカスタードクリーム味の星のたい焼き、どちらも美味しく皆で食していった。
「星をあげよう!!!」
「なっ、なんです……?」
「いや、なんでもない。あぁー、なんか最近ダンジョンでよくわかんねぇ星をもらっちまった」
「ダンジョンで星?? また変なこと言ってからかっているのですかぁ! ……くぬぬぅ……はむっ」
「ははは、いやほんとなんだけどなー。あ、そういやたい焼きのカスタードって風紀違反?」
「ふんっ、ばからしくてなにもいえないのですっ! はむっ」
「あっ、あきれられてる……もしかして…?」