異能幸運レアドロップでイキ抜く♡学校最後の男子ピネスと眼帯プラチナ女校長の不気味なダンジョン冒険記 作:山下敬雄
▽トレーニングルームⅡ▽にて
白い部屋に立ち竦む……溜息を他人にきこえるぐらいに漏らして。
執事の
というのも自身が仕えている
それでも何か心配でいつものクセでタガヤが後をついていこうとするものならば、彼女は頬を膨らませて〝×印〟を爆発させる。振り向いて両手をクロスし、彼女に厄介払いの爆風をあびた執事は膝から崩れ落ちていく。
「お嬢様が回復され元気になられたことはこの上なく嬉しいことなのですが……ですが、もしかすると執事を首になるのでは……と……このままでは……。もう私の余計な世話焼きなど紫檀お嬢様には必要じゃないのかもしれません……」
いつもできていたことが思うようにできない…………打撃ポイントに数字シールの張られた案山子ゴーレムⅡを蹴る訓練にも身が入らず……。居合わせた彼にそんなことをうなだれた様子で呟き明かしていく。
緋と翠のショートソードは絶賛くろまねき商店にたのみ修理中である。
その間戦闘のプロたちに意見を求め彼が勧められたのは
『得物がないのは鈍るぞ。特に良質な闘いを経験したあとだ、お前ももっと試し斬りをしたいのだろう? 見たところ一級の拳法家や魔術師というわけでもないなら他の殺す手段を磨いた方がいい、一番簡単なのは新たな武器を見つけることだ。たしか武器の携帯ができない国や地域に行った経験がある、その場合は市場の骨肉や森の木々や自生するきのこや土の中、自分の眼で探し当てるんだ武器になりそうなものをなんでもな』
『あはは、戦闘のプロ2号さんに戦闘のプロおりじんさんも同意だね。だいたいアレやコレやききまわって楽をしすぎなのよエッチアイ君は、ホント年上のイケてるお姉さんだよりも困ったもんだねぇー。──というわけで先ずは得意の剣を100本、剣タコができるまで試してきなー。ま、他はあたしほど才能ないから、はっはっは、よっ』
もうひとつの剣(武器)を見つけること。
これが32本目……しっくりこないレア剣を床に刺して、ピネスは周りに剣山のハーレムを築き上げた。だがしかし試し斬りに熱中するあまり、タガヤの話を20%ほどしか聞いておらず……チラ見する彼女のしおらしい瞳に困り考えた末に。
「ぅーー(しまった…とにかくシタンに嫌われてヤバイってことか?)……あ、そういや?」
「──こ、これは……?」
剣山を飛び越え走りだしたピネスはトレーニングルームⅡの隅に置いていた荷物をタガヤに手渡した。
「さっきアッチでその話題のお人からタガヤにだって。実は俺も特訓だからって追い出されてさ。
はは、秘密の特訓なんだろうな。だからそこに悩んでる答えがあんじゃねーかな? あぁー、サプライズのプレゼントとか?」
「お嬢様からプレゼント…わたしに…」
さっきまで曇っていた彼女の表情が明るくなる。
今日は誕生日でもない何か特別な記念日とも思い当たらない……執事、紫紫刀は期待と興奮の息を飲み、震えた手先でプレゼントラッピングされた包みをほどいていく────。
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▽
▽トレーニングルームⅠ▽にて
笛の音と共に────カロリーを消費し閃光が宙にちりばめた小玉から照射される。
囲まれた計7の光線を次々悠々と避けるのは、自称戦闘のプロの用務員。その名に違わぬ、素人の射撃を10秒前には読んでいるかのような鮮やかかつ最小限の動きで完全回避。
更に避け際に小突いたビームを発する小玉は、3つほど破裂した。
これではまともな攻撃をできない。集合の笛を鳴らした紫紫檀はのこりの小玉を自分の腰の装備の元へと回収した。
白い静寂に呼吸する音はひとつ。
持て余した刺股を肩に担ぎながら、攻撃を展開するのもやめた今にも倒れそうな呼吸をする水色髪の小娘を戦闘のプロは睨んだ。
「笛が鳴るから避けられた? パターンを読まれたから? これ以上続けてもどうやっても当たらない? いや、ちがうね」
「ヤる気と殺意が足りないのよ。そんなガリガリで寝ぼけてちゃいつまで経っても才能ある執事ちゃんに追いつけやしないよ。あっれぇー? なぁーんか言ってたよねー、一緒にダンジョン行きたくないのーバテバテのお嬢様? それともこのままおばあちゃまになって死ぬまで無職の夢見るお嬢様やってるぅ?」
自分より若い未熟な相手を煽りつづける。対峙し向かい合うそこに遠慮などない。
疲れた病弱だった少女の体に響くのは、怒りか無力か失望か。
べらべらとマシンガンのように喋りつづける玄人のダメ出しする口に、
7の閃光が真っ直ぐに射られた。
「やらない! ハァハァ……太陽に向かい鳴く夢はもう眠くて飽きるほど見たの、……いっぱい借りたぶんだけこのカラダが重いからッ、タガヤとうらきと笑って走ってもっとイタズラしてッずっと冒険しまっす!!!」
速度を増したビームを刺股を回転させ、真正面から受け止めたプロが──後ろへとずり下がる。
灼けるような熱線に得物から白煙を上げながら、ニヤリ、目つきが変わったのは──どちらも。
「…オーケー。暴れる素人の全力を受け止めるのが戦闘のプロのお仕事よ。じゃあそんな生意気でムカつく若者はァッ、脂っこいそのカロリーが燃え尽きるまでき、なっ!!! いっそここでその夢、GAME OVERまでツんでやる! はははは!!!」
水色の魔力がプロのお株を真似たように紫カラーに妖しく変容する……ぐんぐんと高まり天までも届きその細身を覆う少女の魔力に、笛が鳴る。
冠されたコカトリスのティアラは白光し、漏れ出た魔力の質を吸い上げ上げて彼女に集める。
深い深い…シタンの深呼吸に、吐き出され風が通り抜ける、フィルターとなった
装備した激レア巾着袋の中の砂場から、あたためられそろそろと飛び立った小卵の群れは、目の前の構える敵を全力で目指して────────。
②につづく。