異能幸運レアドロップでイキ抜く♡学校最後の男子ピネスと眼帯プラチナ女校長の不気味なダンジョン冒険記 作:山下敬雄
「せんぱぁぁぁぁあああああ!!!」
「至極気力、喝采感嘆! 茶道は…!」
謎の病から復活を果たした彼の元へと前から後ろから女子たちが集まる。
しかし久々お目覚めの美少女たちとの再会も、ダンジョンはめでたく待ってはくれない。
ピネスは近寄って来た仲間たちの顔をざっと確認し、迫りくる波へと手持つ翠のショートソードを構えなおした。
「あぁー、んじゃそろったとこでぇ…仕切り直しといこうか」
「はーいっ♡!!」
「至極御意!」
「は? なにが仕切り直し?」
「え?? ──あぁー、じゃなくてぇとにかくえと…ぅーー……ブク高ぶっ殺せええ!!!」
「ええっー!? なっなな急に賊みたいですよっ先輩!?」
「おぉ至極……風情が…」
「ここで三下ダサ台詞はいてどうすんのよ…ぷ」
もうこれでいくしかない……。
ピネスは悪役のようなダサ台詞を訂正せず、苦笑いをやがて笑わせていつものように先陣を切った。
走り出して黒骨の障害をその怖気のない剣で散らした──なつかしいツギハギブレザーの背を追う光景に、女子たちもやがて呼応する。
サンチュ、木浪、サーガは彼の後へとつづいた。
パーティーに唯一抜けていた前衛のラッキー色のピースがふたたび輝きハマり、一気に攻守が切り替わった。
中部屋に押し寄せるモンスターたちをブク高の4人は士気を一層上げ押し返していく。
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▽
⬜︎タコイカ学習帳
サンチュ:せんぱーい♡見てください──目潰し!
ピネス:ハッ???
サンチュ:どうですかぁー♡先輩に教えてもらったヤツですっ!
ピネス:いやいや俺そんなの1ミリも教えてねーぞ(目潰しどころか跡形もねーじゃんっすごいな)サンチュおまえっ…てぇ……アッ!! おまえエクソシストなのか!?
サンチュ:えっえくそしす!? なんですッ!?なんでですかーソレーッ!? しりませんよーーっせんぱーい!?
ピネス:お坊さん!
サンチュ:急にっ!? なんでぼんさんなんですかぁーゼンゼン普通に光ってるだけですよーー! もーぅ!
ピネス:ところで俺は何にかかっていたんだろう
サーガ:至極色々、熱、毒、麻痺、脱力、脱水、恐怖、石化などここに記されるかぎり
ピネス:熱ぅドクぅマヒぃ……石化? え、まてまて他は常識の範囲で一旦のみこむが俺ってぇ石化ってぇ石になってたの? ヤバくないかそれ? すんごく?
サーガ:はい靴下を拝借脱がし確認した爪先からゴツゴツじわじわと…ですが至極ご安心、もう一度罹ってもサーガの薬草茶術が完璧にお治し
ピネス:それはすごいな…ありがたいけど、今日はもう満腹だぜ。けっこうなお点前! あっそーだ、あぁー看病回復まで…さんきゅーなサーガ?
サーガ:しっ…至極当然っ!
ピネス:気をつけろレア武器持ったゴブリンがいるぞ!
ちかる:は? あんたのせいじゃん
ピネス:俺のせい…なのか?(たしかにもとは俺の異能だ)
ちかる:まっ、ちょっとぐらいなら協力してやってもいいけど? あんた微妙に頼りないしね。──やっぱハぬけだからかな……ちょっとギガントハピネスに改名してみたらどぅ? あとそのブレザーなんなの? 貧乏?
ピネス:うーー…まてまて悪口は一個ずつ! ──貧乏ではなぁい! ってギガントハピネスってなんだらほい!
その後前衛になんとなく男のピネス、それに回復役から侍へと成ったサーガもその後ろにサポートし加わったことで、ブク高パーティーの火力と勢いは増大。
寝込んでいたことをけろっと忘れたかのように、恐れを知らない武勇でモンスターどもを少々なまっていた翠のショートソードの餌とする。
もはやモンスターがただのクリティカルを出すためだけの的なのかと思えるほどの、いつも以上のラッキーな剣の調子を取り戻していく。
ピネス:そういや俺の緋色の、さんがないが……まいっか!
⬜︎
「で、コイツはなにハーぬけ」
「はは、しらねぇ…お呼びでねぇ」
押せ押せムードだったブク高のメンツは──退がる。
突然現れた大きな黒骨の産物──その怪物に。
それが何故現れたのか、倒しすぎ積もり積もった骨たちの恨みなのか。
これまでとは倍いや3倍…サイズ違いの六腕のブラックスケルトン。
〝ビッグブラックスケルトンエリート〟
その骨太な見たことのない生物のら骨格構造、黒くメタリックな光沢にてらっている風格は、4人でガンガンいくというコマンドを躊躇わせるほどの……聳え立つ怪物。
そんな突如現れた真っ黒なボスの厳つい全身全貌を見上げた女子たちは、彼の背におそるおそる期待して問う。
「で、ヤレんの? 引率リーダー?」
「ヤレるんですか!? せ、せんぱい!?」
「至極お手伝い…? なんとも妖怪あやかしガシャドクロのたぐい…下駄を飛ばすべきでしょうか?」
「わかんねぇけど……あっちも目覚めちまったからには寝てる場合じゃないんだろうな。──あぁ、ちょっとヤラせてくれ」
「あとわりいけど俺びみょーに頼りないらしいか らっ! 他のかわいいのをたのむ。いかついアイツは俺がまぁ、近付いたらなんとかなってるだろうー! じゃっブク校よろしくっ!」
「あはは…むしろおきてから頼りにしかならなくない? ですかぁ?」
「至極謙遜、しかしそんな亭主には行雲流水、ラーゴム」
「まぁハぬけだしね、ふっ。しかたない、寝ぼけた馬鹿を援護するか、こっちはこっちでちょっと強くなったしね!」
真っ直ぐに駆け出したその背は恐れを知らない戦士。ダンジョンに足をつけダンジョンで剣を握り、持ち前のなんとなく道の精神を拡大延長し身を任せてゆく。
真っ向からむかってくるモノは腕の数だけ殺気を放つ敵────落ちていた得物を手に取った目覚めたてのガシャドクロの怪物はその剣と骨太な長腕を振り下ろした。
黒骨の行く末を見極め避けて──ピネスの雷剣は昂り、切先から青雷のマジナイを撃ち放つ。
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▽
銀の槍が投げ飛んでくる。
金の斧が大地を引き裂く。
剣と剣は一瞬絡み合い、しかし骨太な大骨格から出す膂力に細身の青年は弾かれる。
さらに追い討ち、魔力を補充したルビーのロッドから魔法の火炎を体勢を崩した敵へと放射する。
陽気の魔力高まる翠の刃で構えて陰気な火炎マジックを弾くも、その身に受ける熱い魔法ダメージは免れず。
「あっつぅぅ…!! ──まったく1人何役の骨役だよ、って…なんかまたこっちが売りつけた武器を使ってないか? 敵さん?」
「至極当然っ…六つ腕の妖怪…」
「人間ってのはなんで二本腕なのかってダーウィンさんに問いたい けどッ…!」
凍らせたチェーンフレイルを剣柄にぐるりと巻き、ピネスは魔法熱の余波を凌いでいた。
そして、なんとなくアイテムを手に取り思いついた戦い方をそろそろだと実行に移そうと、ジャラリ……にぎる鎖を伸ばしながら────
普通のスニーカーは焦げた地を蹴り前へと駆け出した。
(俺より頼れる?緋色の剣は落としちまったし、さっき試した遠くからの雷マジックはあんま効かねぇご様子だ。てことは? うーー…やっぱコイツをどうにかブッ刺す特大クリティカルしかねぇ! 待っていても杖にぐんぐん魔力が溜まってくかんなぁ! って校長が練り上げた魔力をよく見ろって!)
※通常魔力を練り上げる際、その杖や剣の武器入れ物を色付きの水が伝い底から満たすような様がある。魔力のある者ならばよぉく目を凝らせばソレを可視化することができる。つまり相手の魔力残量に注視することはダンジョンの先頭においてなかなか重要な事なのである。
ガシャドクロはしれっと六つ腕のうちレアな杖を2本に換装し、杖の中を質の良い魔力を練り上げながら器用に満たしていく。杖に仕込まれた魔法の発動条件を満たすためのいわばエネルギーを充填していく。
ピネスがなんとなく突っ込んだのは迷っている時間をかけるほど、手痛い魔法がまた飛んでくるから。裏を返せば魔法を練り上げているときはその二つの腕はお飾り、残る四つ腕との勝負だ。
そしてここが勝負時というものを独自のセンスともらった熱をアイシングしたその手で判断した。
景気の良い投げ槍と投げ斧を潜り抜け、刻々と迫った迎えた勝負時。
ガシャドクロは左右から同時に剣を地に水平に滑らせ、ギロチンに処すように挟み込む。
えげつない幸運ドロップの双剣が、その幸運の持ち主を真っ二つにせんとする瞬間、鋭く危うい光景を──
「よっとォォ!! 盗みは手錠だぜ(ひとのもの盗ったらハンザイだろぅ?)」
双剣の挟むギロチンを鋭くスライディング──スレスレを擦れ、滑り避けてクロスした骨腕に氷の手錠をとても器用にかけた。
幸運か無謀か嘲笑うような運動を成功させ、まだまだこの男のテンション勢いはトマラナイ。
骨に繋いだ氷のチェーンのブランコで股下を通り抜けてそのままぐわり──そびえる背骨のコースに添い上昇。
それはあまりにも一瞬の駆け引き、あまりにも一瞬の駆け引きを可能にするスピードバフ。
パチパチと器用に合わさる骨手に潰されようとしても、もはや自分への拍手応援にしか聞こえない。
全ての手を潜り抜けて一角のテッペンへと──
⬜︎不記載
スライディングスピード125%
空中破壊力251%
空中クリティカル破壊力527%
※しあわせ茶 レベルアップ状態+1
⬜︎
舞い降りた逆さの剣は、ツノ付きされこうべへと垂直落下──。
理屈ではない魂をありったけ込めてその極限以上に昂る雷刃をブッ刺した。
「【ピネスサンダーーーーーぁ】!!!」
極限までクリティカルストックされた質のいい雷はブッ刺された今が本当の使いどき。
伝う雷は巨大骨格を青く染め上げ満たし、満たすだけでは飽き足らず。
できたてホヤホヤの大骨の青電柱は、骨ボスの率いる眷属とピネスの敵をターゲットし、青雷を蜘蛛糸のように広げ繋がり感電させる。
「さすがにいつまでもゴブリンさんちのシチューやサンダーってのも なっ」
大物を青い電柱と化し、地を這う小物もろとも剛雷爽快一掃────
激しく炸裂したのはクリティカル陽術……【ゴブリンサンダー】あらため【ピネスサンダー】。
舞い上がった浦木幸は舞い降りる。
この日最大のクリティカルは悪魔もゴブリンも小骨も大骨も、部屋中の敵をスベテ滅する勇ましき雷剣。
おりてきた彼に向けささるあの頃のような瑠璃色の眼差し。
そのとどろきに吹き飛んだ藁の笠からこぼれる異国の金色の髪のかがやき。
ぴょんぴょんと大いに喜び飛び跳ねる万雷の拍手が流れる。
ブク高の4人を襲った長々しい戦いはたった一振りの幸運と実力の剣で捩じ伏せられ、刺激的な終わりを迎えた。
討伐のあかしである黒い一本角は、やがてからりと地に刺さり落ちた。
⬜︎タコイカ学習帳
発動極大雷魔法。
巨敵ガシャドクロBBSEのされこうべにブッ刺した魂のイチゲキは彼に仇なす全てを葬った。
浦木幸、サンチュ、木浪智火瑠、水野サーガは戦闘に勝利した。
×ビッグブラックスケルトンエリート
あらため
○ガシャドクロBBSE
《不黒ダンジョン18F中部屋》
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