※この作品はR-18です。

異能幸運レアドロップでイキ抜く♡学校最後の男子ピネスと眼帯プラチナ女校長の不気味なダンジョン冒険記   作:山下敬雄

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「発現したサンチュ木浪水野の異能はそれぞれ後日、たんと見させてもらうとしてぇ。よていがいの小悪魔とスケルトン……ガシャドクロBBSE……うむ。────今回もご苦労だった、なにはともあれな」

 

いつもの校長室、お疲れのダンジョン帰りでも引率リーダーの男子生徒には不黒高校にすむ真のリーダーに報告する義務がある。

 

男子生徒は此度もしっかりとノートの提出を終え、記載された今回の冒険の記録を校長が机上で熟読する様子を突っ立ち眺めているだけでいい。

 

「やはりキミはぁ…」

 

「幸運?」

 

「ふっふ、だな。それともろもろの準備も少しは役に立ったか? もっとも居合術が下駄飛ばしで発動するとは思わなかったが、激レアフレイルにも協力的サブ的な使い方があるとは面白い。榎田椎名のアイテムもふっふ…〝キミたち〟は素晴らしいな! ダンジョン初挑戦の成果としては期待以上の上々だ。大いに今後にも活かされるべき得難き経験(モノ)だな、ふふ」

 

「え? あぁー、なんかサンチュも木浪もサーガもみんな校長がビルドしてつよいみたいで、少なくとも俺がこいちじかん寝ていても…結果モーマンタイでした!」

 

「ふっふ、ブク高の女子たちは優秀なだけでなく強い意志を秘め持っている者が多いからな。案外信頼に足るすごいものだろう? キミも引率、同伴してみて勉強になっただろう?」

 

「勉強というか? はい……色々と、ですね」

 

「ふふ、それでここからは本題だ。ダンジョンクエストも達成、不測のトラップにかかるも逆に皆で返り討ちにし無事生還。さてさてそんなこんなの苦難を乗り越えた今回の褒美のほうが……まだだったな?」

 

机上で両肘を偉そうにつき両手を組み合わせた。プラチナ髪の美女はにこやかに彼へと微笑む。

 

「あぁー…あぁー…褒美ですか? あぁーはは…なんというか、あぁーははは……」

 

その妖しい笑みにターゲットされながら、黒髪を意味もなくかきつづけ苦笑いで少しずつさがっていく。

 

退路ドアノブに手をつけようとしたその時よりも一瞬早く──

 

「どこに行く気だね、ピネスくぅん?♡」

 

「!? (瞬間移動!?)」

 

ナゾの杖を持つ校長が背後から彼を拘束した。

前方の両手の杖と後方のボリューミーなおっぱいにサンドされてしまい、浦木幸は今日も後ろでエッチにささやくいらぬ身勝手な褒美から逃れられない。

 

 

 

 

 

 

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安い酒場だ。

だが肉はうまい。

金を払いやっと出てきた料理に、この身になってからはそれほど空かない腹を空かせ。悪魔のルーキーはナイフと箸をその手に取った。

 

「おい最近スカしてる悪魔もどきのガキってのはオマエかァ?」

 

げらげらとうるさく騒ぐ向こう側から、飛んできたナイフは食そうとしていた皿の上の焼いた肉に突き刺さった。

 

「角もない混血のガキが調子のってて偉いねぇ、ロバの血飲むか? ははははは」

 

緑肌の手に持つ杯から逆さに注がれた赤は座る黒髪を濡らしていく。

 

「さてさてぇースカしていたさっきより断然いい男になったところでぇー悪魔のお兄さんたちが真の悪魔道をレクチャーしてヤ・ル•よ★」

 

3匹の角つきのチンピラ悪魔は場違いな黒ブレザー黒シャツの男に群がった。

 

▼

▽

 

「どこにも馬鹿はいるものだ」

 

黒い刃はみっつの首を落とした。

赤、青、黄の舐め腐っていた鬼の面は綺麗に丸椅子の上にそれぞれ並んでいる。

 

そんな愉快な首だけの悪魔もどきどもと椅子を囲んだラウンドテーブルで、酒場の店長から新しく提供された品質のいい牛の肉を食していく。

 

「臭いニオイは取れねえが。ゴミをこの手で直接掃除する気分はそう悪くはないな。ははは」

 

ゲラゲラと笑っている酒場の悪魔どものBGMさえ、今はこの男にとってくだらなくてちょうど心地いい。

 

安い酒場だ。

だが肉はうまい。

馬鹿どももあちらから勝手にやってくる。

 

減らない腹を満たした男は席を立った。

 

 

 

▼

▽

 

 

 

雷鳴がグレーの空にどもり響く。

招かれた特別なエリアにひとりうるさい雨にうたれながら────聳える黒い建造物の中へと入っていく。

 

 

────不思議で仰々しい大鏡の中へと入っていく。

 

水面のように揺らぐ鏡のドアを摩訶不思議に抜けて。

誘われた暗がりの場は灯り、緑の灯篭が赤き長いカーペットの道を妖しく照らしている。

 

赤い中途に立ち止まった男はいきなり現れ差し出された椅子に、ただでは座らない。

 

「魔界で最近取るに足りない小悪魔を狩り名を上げているスカした悪魔もどきがいると、──キミは不良気質なのかな」

 

悪魔にしては澄んだ声だ。その声はとても青く透明で悪魔らしくない。

部屋へと招かれた男は淡々とその青いクリスタルの王座に足組む女悪魔に答える。

 

「俺は俺のためにゴミ掃除しているだけだ。不良なんかじゃない悪魔だ」

 

「ふぅーん。掃除ね、ふふふ、そんな掃除の悪魔のキミに今ぜっさん足りていないものはなぁんだ?」

 

「足りない…だと?」

 

「悪だよ後輩」

 

「何を言うかと思えば馬鹿か? 俺は悪だ、俺によりかかる舐め腐った悪は全て祓う。悪を狩る悪もまた悪、そこに愉悦さえ覚える俺を悪と言わずして何を悪と定義するんだ? ただ取るに足らないアイツらは俺より弱かったその程度それだけだ、どんな道端のクソったれだったか考えるまでもない」

 

「ふふふ、強い弱い、そういう純情なところでやり繰りしているのが好き。だからこうしてキミがここにいるのかも──ね、でもね」

 

「キミの解いてきたいくつかの魔法のジグソーパズルは実は足りてないの。キミの大切なもの、さいごのいちピース。差し出してないよねサンフン?」

 

「それを殺しでもすればいいのか」

 

「ふふ、ちがう。ピースとピースは繋ぐものでしょ。ただ殺すそんなのただ悪いだけ。それよりももっとヘコませたり増やしたりふふ、例えばそのときは神にかわってささやき問いかけ授ければいいの。ワタシみたいに、とても愛しくて従順な者に────それがワタシの定義するア・ク・マ」

 

この一帯を支配する大悪魔クリアクレアは微笑う。とても見目清楚で美しく、曇りかがやく灰色の瞳をした者は……。

 

 

グレーの空からいつまでも降りしきる雨に悪の根城は打たれる。

 

黒い時計台の大時計はゆっくりと逆さに回りゆく。

 

黒い校舎には絶世の大悪魔に誘惑された半端な悪魔たちが集い、──今日も悪を育みたくらむ。

 

 

 

人智の及ばない不可思議な領域がある。普通に生きる人々にとって、悪魔のイタズラも天使の慈愛もその恩恵に目に見えて預かることはない。

それでも預かりゆくのはよほど不運か幸運か、はたまた元より超越したチカラと妖気を持つ類稀なる存在か……。

 

人が住む現世というひとつの風呂敷の中、その風呂敷の外にある世界は構成区分される。

魔界と天界そしてそのはざまにある無限に生まれ広がり続ける異界混在の魔境。

 

暗色の魔界には人々を誘惑するいたずらな悪魔が棲み、

晴れ晴れしき慈愛の天界は天神たちが統治している。

 

そして魔境とはそのどちらにも未だはっきりと属さない未開の果ても定かでない地。

 

奪い合い競い合いを繰り返した果てに、遥か古代傑物の神々と悪魔たちのとりきめたイニシエのルールに則り。

高く深くいくつもの歓楽の塔が無秩序に聳え立つ。

 

そう、矮小なる彼らが挑みつづける不気味なダンジョンはそこにある。

彼らにとって全くの未知とも思えるそれは、数あるほんの危険な1ピースにすぎない────

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