異能幸運レアドロップでイキ抜く♡学校最後の男子ピネスと眼帯プラチナ女校長の不気味なダンジョン冒険記 作:山下敬雄
「結論としてはイエローカード。そこまで悪意をはらんだ悪質プレイってわけでも、じゃない?」
胸元のポッケから出てきたサッカーの審判がつかうようなイエローカード。
「ええーっ登別さん!? でもでもーこのひとエッチアイなんですよー! 悪、アク、そっそれにぃ!」
相変わらず机をばんばんするのがクセになっている光角灯。ピネスはイエローカードをもらったがレッドではない…クールな佇まいの女子は味方とはいえないが公正な目で見てくれていたようだ、幾分か疑いが晴れほっとした。
依然指定された椅子にかけるピネスに対するピンクのお方からの厳しい目と威嚇行為は変わらないが────
「なら、ここの3人で今から小一時間いっしょに遊んでみるのはどう?」
「遊び?」
「アソぶ!? エッチアイと!?」
突飛もないことだ。
まさか遊んでみるという言葉がミントグリーンの淡い美人から出るとは、ピネスもトモルも思わず。
登別海は驚くふたりにうなずく。
「それで女子生徒の胸元ばかりをみているようなら、なにげないふれあい学校生活の中に潜む風紀の乱れのひとつとしてその彼のもつ〝エッチアイ〟厳重注意できるんじゃない? 問い詰めるばかりのシチュエーションよりより自然体な判断基準としていいとおもうのだけど? まぁいえば遊び兼実験、ね?」
「「な・る・ほ・ど…」」
ピンクと男子は隣同士一瞬見つめ合い、灯はエッチアイにさり気なくみられた胸をガードする。
散々攻撃して今更ガード姿勢は遅いのではないか?
ピネスは恥じらうというよりは彼女の戦う姿勢にそう思うも──
「決まりね。先ずはそうね。簡単な言葉遊び…これからはじめましょうか」
⬜︎タコイカ学習帳
登別海:しりとり
ピネス:りんご
登別海:ごますり
ピネス:りす
登別海:すり
ピネス:りか
登別海:かり
ピネス:りんぐ
登別海:グリズリー
ピネス:りせい!
登別海:いかり
ピネス:り…り…ぅーー…ちょとまてなんで〝り〟ばかり……あっ、リカバリー!(きたぜ!)
登別海:リハビリ
ピネス:んだと!? …旅行
登別海:瓜
ピネス:理想!
登別海:嘘
ピネス:ソーリー!
登別海:旅行帰り
ピネス:り……り…理不尽! ゼェハァ……ま、待ってくれぇいくらなんでもそれって脳が壊れるクソゲー……俺はもうり、り、〝り〟を言いたくない……。
登別海:そうね。なら今度はしりとりに〝り〟を言ってはいけないルールを追加するのはどうかしら。
ピネス:ルールを追加……な、なるほど? それってぇ…あぁーなんとなく感覚でわかるな、そういうの…おもしろそうだな?
登別海:決定ね。そうねこれはなかなかさっきよりおもしろくなるとおもうわ。じゃぁまた私から、〝ルール〟
ピネス:る、る、るるる、ルーツ
登別海:ツール
ピネス:またるかぁ、る、ルアー
登別海:アール
ピネス:る、るる、ちかる…じゃなくて瑠璃色!
トモル:ちょっとちょっとちょっと!!!
ピネス:あ?
登別海:あ、そう。瑠璃色は綺麗なことば予想外。よく出たけど、るりいろのりはさっきの追加ルールで使えないわ
ピネス:あ、そっかぁ…うわ、おもしれぇなこれ!
登別海:うん。おもしろいと思うわ。今度は〝る〟も
トモル:ちがうちがうちがう! なんで普通にしりとりしてるの! 登別さん! エッチアイ!
ピネス:あ、あぁー……いや普通じゃないぞ? これ結構おもしろくなりそうな予感が!
登別海:そうね、ここは一気に〝ら〟行を言ってはいけないルールを追加
トモル:じゃなくて目的いいいいいい!!!
ピネス:きくらげ
登別海:げっこう
ピネス:あぁ!!
登別海:そう、きくらげは使えないわ
トモル:きくらげじゃないのおおおお!!!
ピネス:おもしれぇ…んだこれ。なんか遊びながら脳が活性化? っていうのか? 勉強になるぜ
登別海:私もちょーどいい運動
10分後…
▽次の遊び▼
《グリンピース》
「「グリンピース」」
ピネス:ドン!
「「グリンピースぅ…!」」
ピネス:パリンパリンチョリン
ピネス:チョリンチョリンパリン
ピネス:チョリンチョリングリン
ピネス:あ、ドン!
トモル:ばどっ!?
トモル:なああぁぁまた負けたー! くやしいい! なんでですか! エッチアイまさか…卑怯な手を!!
エッチアイ:卑怯は特にしてねぇが、そりゃ…反射神経とその他もろもろ運、じゃね? これって? ただの?
トモル:ぐぬぬぬぬ!
登別海:なるほどグリンピースのルールはだいたい分かったわ、グーがグリン、チョキがチョリン、パーがパリン。先ずグリンピースの掛け声で好きな手を出すその時点でアイコならばドン!と先に言った方の勝ち。アイコ以外ならば勝った方が親になり声を出しながら勝った手から継続して2手、例えばチョキの手で勝ったのならばチョリンチョリンとリズム良くつづける、そしてまた好きなグーチョキパーのいずれかを3手目でリズムよく出す。(子も同じように2手目まで負けた手を出し3手目で好きな手を出す)つまり1セット1手目2手目はリズムだけで意味はなく3手目でお互いアイコの手が出たときにドン!と先に言った方の勝ちなのね。
ピネス:ぅーー…………そうみたいだな! そういや俺もむかしなんどか遊んだことある気がするぐらい? そのアドバンテージもあった…かな?
トモル:やっぱりズルじゃないですかー!!
ピネス:いやいやズルじゃなくこれはええとなんだ? あ、経験? はは
トモル:くぬぬくぬぬくぬぬぅ! エッチ!!
ピネス:なんでだよっ!(なにがだよ)
登別海:うん。アイコで決着は珍しい勝ち運だけじゃない平等みたいでおもしろいわね。んー、でももっと反射神経と運と駆け引きの平等性を高めるためにすこしこの現存ルールのグリンピースにスパイスを加えてもいい?
ピネス:げ、げんぞ? グリンピースにスパイス? あぁー、──いいけど?
《追加ルール》
①アイコの手が出た場合に基本は先にドン!などのトリガーワードを言った方の勝ち。
②ただしトリガーワードは出題されたお題にそったものを考え言わなければならない。(お題にそわないワードを先に言った時点で負け)
③お題は毎回書き溜めたものの中からフリップ用紙で第三者である審判が伝える。
④伝達するタイミングは3、2、1のカウントでフリップにお題が出る。すぐさまお題を確認したプレイヤーの2人は特殊じゃんけんの動作へと移行する。さいしょと仕切り直しの掛け声は定番のグリンピースではなく〝カレー〟で固定。お題にそった言葉を考えながらアイコのタイミングでじゃんけん中に考えたそのトリガーワードを発する準備をする。
⑤ここが重要※先にトリガーワードを言われた場合でも、後手ですぐさま相手のトリガーワードよりも長い言葉を言うことに成功すればその勝負は引き分けとする。長さが同じ場合は先手の勝ち。
⑥なお8文字以上のトリガーワードを作れた場合は先に8文字以上のトリガーワードを言えた方の勝ち。★速攻で攻めるもよし、熟考で攻めるもよし
⑦ただし!アイコの手の時あまりにも後手に回った者のトリガーワードを言うのが遅い場合(だいたい先手が言い終えてから2秒以内に言い始めない場合)は長いトリガーワードで返せたとしても無効になり先手の勝利となる。
★先手を取れた場合でもできるだけ長い言葉を、思考時間を伸ばすためにわざと後手に回るのもあり。後手に回った場合先手より長い言葉を捻り出し引き分けに持ち込むことを心掛ける。両者8文字以上のトリガーワードの作成を目指すのが勝敗のポイントね。じゃんけんが長引けば長引くほど考えるじかんは増えるといえるわ、頭でこれ!と一度決めたワードももう一度じゃんけん中により良いモノに練り直すようにした方がいいと思うわ。
追加ルールは以上
グリンピースあらため登別海考案特殊じゃんけんあそび〝カレー〟
17分後…
(お題:パン)
「「カレーぇ」」
ピネス:グリングリンパリン
ピネス:フライパン!
登別海:パンタグラフ
(お題:チョコ)
「「カレーぇぇ」」
ピネス:パリンパリンチョリン
ピネス:おチョコ!
登別海:猪口才
(お題:あたたかいもの)
チョリンチョリンチョリン
ピネス:そりゃおかゆ!
登別海:スーパーノヴァ
(お題:雨の日に…)
ピネス:レインコート!(きたろ!)
登別海:てるてる坊主
(お題:かみなり)
「「かれーーーー!」」
ピネス:ゴブリン…じゃなくてサンダー!
登別海:
ピネス:さきいかづ…のかみ? んだそれ…あぁーなんか負けちゃったけど、楽しいかもしれねぇこのグリンピースあらためカレー
登別海:そうね。析雷神、雷の神様、陰に宿った八雷神のひとつね。うん。即興の追加ルールにしては思ったよりたのしめたわ、(神様を引っ張り出すのは熱くなっちゃったかも?)カレー
ピネス:へぇー、なるほど雷の神様か…神様つれてこられちゃ負けてもしょうがないか。カレー…深いぜ
審判:カレー…むぬぬ、グリンピースはどこに
登別海:私はたべない
ピネス:俺もかなぁ、あぁーなんかむかし給食のカレーに入ってたよな。
審判:同じくアレは絶対いらないです…! じゃなくてっ!
20分後…
▽次の遊び▼
《手押し相撲》
①床に引いた2本の白線テープの前に各々立つ
②軽く相手に見えるように構えた手のひらで相手を押し足が浮くなど体勢をおおきく崩した方の勝ち
③押していい部位は相手の手のひらのみ。それ以外の部位を押したら反則負け
ピネス:てか弱くね(8連勝とは、そんなに勝てるものなのかこれ)
トモル:んむむー! そんなことないです! え、エッチアイが気になってぇ! あっ! なら今度は尻相撲で勝負です!
ピネス:尻ぃ…?? ま、いいが…
急遽…!
《尻相撲》
1分後…
ピネス:わりぃさいきん尻の朝練してっから
トモル:どひゃぁあ!? なっ、なんでぇ! いたたた…(尻の朝練…な、な、エッチ!?)
登別海:次は私と。部長のカタキをとるわ。
ばちっばちっ…!!!
すぃっすぃっ…
ばちっ
すいっ
熱くなったピネスは登別海のフェイントにひっかかり体勢を前におおきく崩した。
崩した体勢は浮き足にとまらず……ぼふんっ。
彼の慌て顔は登別海の胸元のやわらかなクッションへと────
登別海:自分と相手の腕の長さに対する最適なポジショニングは最初に引いた白線で調整。積極とフェイクのバランス。立ち方はやや内股のハの字。正面からは打ち合わずやや下から上へと突き上げるように手のひらを当ててチカラを分散。それにタイミングがばっちり合えばこうして男子生徒あいてにもごぶで勝てるみたい。──だいじょうぶ?
ピネス:だっどいひょぶ……(でっでっやっ…でや…)
トモル:どさくさにいいい!!! 登別さん、あっ危ない離れてえ、え、エッチアイされてる!!! おっぱい!!!
登別海:eyeどころじゃないとおもうけど…? あ、──尻相撲はどうする? 浦木くん?
ピネス:へ、へ、へんりょひほふ…(登別さんとの尻相撲はさすがに想像できやしない…でっ…でかやわ……)
⬜︎
約小一時間。
風紀委員部の部室にて、学生たち三人はカラダやジェスチャー言葉だけでプレイできるレトロな遊びを真剣に共にした。
そして全ての遊びを終えて……結果────
再び元の椅子に座らされた男子生徒は、
じりじりと灯る黒目と、
せせらぐ淡藤色の瞳に、
見つめられながら……
〝2-D浦木幸、逮捕〟
「なんでだよっ!」
「トウゼンですっ!!!」
「当然ね。」
そそくさと裏へと回った探偵帽のピンク髪にピネスは後ろ手に手錠をかけられた。
赤いタコイカ学習帳を手に読みながら登別海はぼそりと一言、ピネスの淡く期待していた彼女の助け舟は出ず。
風紀を邪な目で乱すヤカラは逮捕。異能エッチアイを持つ男子生徒は光角灯の手によってこれにて念願のお縄についた。