※この作品はR-18です。

異能幸運レアドロップでイキ抜く♡学校最後の男子ピネスと眼帯プラチナ女校長の不気味なダンジョン冒険記   作:山下敬雄

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隆起した石のグー拳は曲刀の奏でる奇妙な音にあてられただけで練り上げた魔力が乱れ崩壊する。

 

鋭い雷撃のマジックを中距離から放つも、三日月のひとつに相殺される。

飛び道具には飛び道具、宙をなめらかに泳がせた曲刀から放たれた数多の小三日月はピネスの身をその鋭利さで切り刻まんと集束。

 

いつの間にか取り囲まれたピネスは赤い刃を地に突き立てて、迷わず魔力爆破。

咄嗟に自分の技で自爆することを選び全ての三日月を赤く染め上げ砕いた。

 

どさくさに乗じて朱文金は仕掛ける、口から炎を吹き黒い鎧兜を熱く染め上げるも天からトツジョ下った三日月のトラップに首から真っ二つにきりすてられた。

 

「わっわっ朱文金!? わっ!?」

 

慌てるトモルのランタンからまた魔力を補充し、死んだはずの朱文金は元気よく現れた。

 

 

精一杯の攻防は相手の実力を引き出せたのかも分からない。

ブク高の3人と1匹の連携攻撃も、結果はまたまた黒騎士の侍らせる三日月に阻まれてしまった。

 

 

トモルは肩で息をするピネスの背を見つめる、そうすると後ろにいた自分の体は前へと動き出さざるをえない。

 

「エッチアイ大丈夫ですっ!?」

 

「待って部長、あまり近寄らない方がいいわ。幸い間合いに近付かないかぎりなんでか積極的に狙ってはこないみたい。ここで動いたら気が変わるかもしれないわ。私もこれ以上の接近戦は練度が足りないみたい、じっくりとサポートの技に徹して浦木くんに任せるしかないわ。どこかで彼がスイッチを入れたときに全力でサポートできるように」

 

「くぬぬぬぬぬぅ…」

 

前へと動き出そうとしたトモル部長のうずく肩に手を添えて止めた。登別海は冷静に敵のことを分析した。黒騎士の最優先の狙いはあくまで浦木幸ただひとり。こちらの茶茶入れすら気に留めないほどに浦木幸との戦いに正々堂々とはちがうが拘っているように見えた。黒騎士の間合いにはあまり近付かず遠くから彼のサポートに徹する、スイッチを入れたときに全力の異能手札のこりの魔力をさらす、やはりそれに注力すべきだと判断した。

 

 

緋色のショートソードを地から引っこ抜いた。ピネスは相変わらず不気味な程静かで妙な音のうねりを奏でる黒騎士と三日月を凝視する。

 

(はぁはぁ…困った…どう考えてもいつものコイツをブッ刺して当てれる気がしねぇ…)

 

(さっきのドラゴンデカ蛙のときのアレ…アレなら、アレってどうやったんだ俺? ぅーーー……剣よりも速い、勝手につたって裂けるかんじの雷(かみなり)……えっとつまり裂けるイカヅ…あ、)

 

 

ピネスは仰々しく翠の剣を天へと掲げた。

 

バチバチと唸り青く、白く、点滅する雷光。

地には赤く灯る刃を。

 

それを見た、2人の女子は頷いた。

 

物を言わない黒騎士は三日月の切先をゆっくりとすべらせて────

 

スイッチを入れる。

 

真剣勝負の勝負どころなど一介の学生である彼は知らない。ただその天と地の二刀にまだあると思われる期待感をふたつ灯らせて、なんとなく走り出した。

 

 

向かい来る二刀の剣士を悠然と構え待つ黒騎士も彼の醸し出すその期待感にのまれていたのかもしれない。

 

その気迫、昂る期待感、当然あの若さに任せた疾風迅雷の13の剣線。その黒騎士を脅かした勢いとキレ味で勝負に来ると思われた熱量を上げる二刃は──

 

スベテ、何もかも裏切るように投げ捨てられた。

 

ピネスが選んだのは、愚策。

手練の剣士を相手にそう何度も剣を投げ捨てる奇策など、もはや奇策ではない。

 

黒騎士を目掛けて飛んできた緋色と翠。

意表を突くものでもない、握る手のないそこから放たれるマジックの威力などしれている。

 

もはや黒騎士はそれを避ける必要もなかった。

 

予想通りに赤く魔力爆発する。

 

鎧の内側へと響かないそのひとりよがりの爆発ダメージはそんなものだ。黒騎士は曲刀を振動させて鎧兜に纏わせたオーラを震えさせて強固なシールドとした、それはただのシールドではない震える防御膜はピネスの放ち喰らった【バーンファイア】の魔法威力を加速度的に減衰させてゆく。

 

受けた爆発の衝撃すら吸い取り、技を構成する炎の魔力を乱していく────そろそろ終わりを迎える緋色の景色は、赤く轟いた。

 

緋色爆炎の中を泳ぐのは翠の刃。高速回転しながら突っ立つ黒い鎧の的へと幾度も飛来し赤雷をぶつけていく。

 

一体何が起こったのか──一歩も動かず受けに徹していたはずの黒騎士は赤雷纏う円盤を三日月で弾き返しその場から脱出した。

 

ピネスは勝負を捨てたのではない。

石蛙戦で起こったことを返す返す思い返して、たらふくの残り魔力をそそいだ自らの二刀で再現しただけであった。

 

そしてたまらずその場を逃れた黒騎士に確かな隙が出来た。

 

登別海の背に留められていたバッテンに交差する骨飾りは射出され、独立浮遊。炎から出てきた黒騎士の正面へと──

 

⬜︎【パー】×【チョキ】の六芒籠目(ろくぼうかごめ)

それは古来から日常にある強力な魔除け。

編まれた籠は数多の六芒星の紋を規則正しく作り出す。

数多の網目、目を持つ六芒籠目は普通の【パー】よりも強力であり、これに包まれたモノは【チョキ】の能力カット効果も一時的に受けてしまい、この籠の強度はいかなる魔性の存在の爪牙でも容易く破られはしないだろう。

★合体じゃんけん魔法は通常より多量の魔力を使うため、使い所をよく考えて使う必要がある。

⬜︎

 

 

骨飾りから華開くように展開されたビーム性質の六芒籠目。

だが、それすら──即座に三日月の飛び道具を四方八方にばら撒き黒騎士は対応した。

裂かれてボロボロになりつつも強力な合体じゃんけんは意地を見せ、ボロボロのまま敵を瞬く間に包み込んだ。

 

【パー】の効果は包んだモノの強制転移。

既にこの部屋の天井に刺さっていた【パー】カードの元へと黒騎士は何も知らず運ばれていく。

 

 

既に六芒星の描かれ準備された地を普通のグレースニーカーは蹴り上げて──

炎を纏う金魚はツギハギブレザーの背を遊ぶように元気に追いかける。

そして属性変化イニシエランタンの灯はナカに挿された【雷カード】を燃やしつくし──燃えるおさかなは雷龍となり彼と共に昇ってゆく。

 

(いつもの【バーンファイア】じゃとどかねぇ! よくて自爆! ならっ、さっきカエルを裂いたこいつに賭けるしかないっ! ──なっ?)

 

猛る彼を鼓舞するスベテのバフは回収された。

見上げて目指した天に待つ黒と蒼の三日月のターゲットへと────

 

 

⬜︎浦木幸&朱文金

貫通力156%

空中破壊力309%

雷破壊力278%

クリティカル破壊力444%

斬撃性+75

ちかる+1

レベルアップ状態+1(しあわせ茶)

力+8(力のおにぎり)

属性威力1.1倍(ふしぎなおにぎり)

雷+37(雷カード)

析雷神+1

⬜︎

 

 

(戦いはそう──天、空中のイーブン。わたしもそうだと思う、これに全てを出し切って浦木くん)

 

(エッチアイ……!!!)

 

 

舞台空中、彼が手元に引き寄せた翠剣は赤き雷剣。

錐揉み状に昇っていき、勢いを上げていく赤き刃は──蒼き三日月と交わった。

 

ぶつかり合い、そのイチゲキ同士は激しく魔力を散らしフラッシュする。

唸り散らす荒々しき赤き雷と、蒼白き魔力を圧縮した美しさを崩さない熱き三日月は、──譲らない。

 

天地、上下、重なり合う二つの刃の行く末は──

 

斬り裂くような雷

 

 

「【サクイカヅチのぉぉ…】」

 

「【イチゲキぃぃいい!!!】」

 

 

積み重ねた赤きツキと迎えうかんだ蒼き月──競り合いの果て、それは果てへの一閃。

 

剣よりも速く、轟く彼方へと──裂ける雷は宙を一瞬に伝いその漆黒の胸内へと響いた。

 

 

「きっとルールや理屈じゃない。──ツキ、そんな人だから」

 

「とどいたですっっ!!!」

 

 

⬜︎【サクイカヅチのイチゲキ】

その赤き雷は天地を裂くように威力轟く。

ただの垂れ流しではない、まるで析雷。

 

とてつもない雷属性の陽気と魔力を孕むイチゲキであり、よほどの幸運と良い状態が重ならないと再現することは難しい。

 

浦木幸史上最高威力のイチゲキ

 

《40Fなぞの黒騎士の大部屋》

⬜︎

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