※この作品はR-18です。

異能幸運レアドロップでイキ抜く♡学校最後の男子ピネスと眼帯プラチナ女校長の不気味なダンジョン冒険記   作:山下敬雄

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「というわけで3日ほど休んでもらったわけだ・がっ」

 

「キミたちがじっくり課外授業を休んで貰っていた間に不黒ダンジョンのことを調査していてね。んーー、その結果────やはり……まだこの先は早いな? と私のスペシャルなオセンスは視界の明をおとし告げるのだよ、まだはやい、となふふふ」

 

ひとりお呼ばれした校長室。

おしゃれなのかいつもと違う緑色の眼帯をしたプラチナ髪、そのようなやはり変わった容姿であるスペシャルな校長は椅子にかけている。

ながい黒ストッキングの脚を組みかえながら妖しく含み微笑いをし……彼へとダンジョンの調査結果を漠然と告げている。

 

ひとり部屋の中央ラインに立たされた男子生徒は告げられた情報をよく反芻しながらあやふやな様子で答えた。

 

「あのーー? ぅーーーー……あれ? 調査?? たしか…なんか絶対行かないようにって言っていたのに校長…行ったんすか? え、ダンジョン?」

 

「ふっふピネスくん何を馬鹿なことを言っている。わたしはここのスペシャルな校長だぞ? 舐めてもらっては困る」

 

両肘を味わい深い色合いの机上に置きながら両手を組む。組んださんかくのテッペンに美しい形の顎を置く。そしてニヤリ…渋い顔をしながらいっそう微笑う校長がいる。

 

「おっおぅ…? あれ? ほんとに、校長なのかな?」

 

自慢げな渋いポーズをしていたお顔はコテっと────右肘から崩れながら机の上にコミカルな調子で転んだ。

真剣そうな目で首をかしげ見る男子生徒くんの予想になかった反応に、校長のかっこつけていたポーズは崩壊。

 

「きっ、キミは私をなんだと思っている……。えほんっっごほんっっ!! ──キミとワタシはいわばダブル主人公、光と影、太陽と月、部下と上司、ひよことコカトリス! キミが動けない間はワタシがキミのた・め・ニッ!動くものだろう?」

 

かっこつかないやられポーズから立ち直ってまたニヤリ。

なにやらいわばのマシンガンを放ち、校長はまた微笑っているのだ。よほどその手腕のピラミッドに顎を乗せるポーズが気に入っているようだ。

 

あげられた例えはしっくりくるのかこないのか、ピネスは多少混乱しながらも珍しく献身的な校長の働きを認めた。

 

「おっ…おぅう!? え、なんかあのそのぉー…すごく素直に見直しました(コカと…リス?)」

 

「どこのドイツの欧州のどこに見直す点があるというのだシュトーレン! そんなにそのキミのお目目にはこのスペシャルさんが曇ってみえていたか? ふふまったくこのた・わ・け♡ふっふっふー、ふふ」

 

もはや何を言っているのかはわからないが、プラチナ髪さんがいつも以上にすこぶる元気であるということはピネスには伝わりわかった。

 

「ごほんのえほん…──本題だ。しかし、ここだと周りに被害が出るかもしれん場所を変えるぞっついてこい!!!」

 

「え、はい?」

 

臙脂色をしたミノタウルスの覇者マントを翻し、校長は冒険者不黒文へと変身する。

 

分からぬことはいつものこと、ピネスは勇ましく立ち上がった校長の尻についていった。

 

 

 

 

▼▼

▽▽

 

 

 

 

校長室から辿り着いたのはいつもの正門前ではなく、今はもう役割をあまり果たしていない東門前へと。

学生たちのチャリ置き場であり、この異境に学校ごとトばされたのは夏休み中のアクシデントだったため自転車の数は少ない。

 

箱型のサイクルポート、みずいろの屋根の下、ぽつりぽつりとある生徒たちのモノ……。

 

どこかしんみりとした雰囲気も味わいつつ、通り過ぎてゆく────。

 

 

東門前、【徐行】とかかれた注意看板もなつかしいもの。閉ざされていた門はガラガラと音をひき開き、緑に渦巻くどこかデジャヴする色違いの光景がその向こうにはあった。

 

2人ゆっくりと立ち並び、校長は腰に両手をあて声を張り上げた。

 

 

「名付けてみどりのダンジョン!!!」

 

「なっ…名付けてと言われて…も???」

 

「稼ぎ稼いだ今までのDPでここ東門にあらたなゲートを解放したというわけっだぁーーーーーーい」

 

「え!? そうなんすか! このすこしうるさく渦巻いてるのって…まさにあっちにもあったダンジョンの入り口ってことっすよね……? でも、なんでわざわざ…敵を増やしてぇ? え、どゆこと…」

 

「だから言ったろ早いのだと。まぁ簡単にいえばな、この世界にはダンジョンが複数あるとわかった。わかった以上、その時その時で適した濃度(レベル)のダンジョンを選ぶ、そうする方が良いと私は考えたというわけだピネスくん。だから早い、のだと!」

 

「ぅーーー……なっ、なるほど?」

 

「ふふふ、とにかくだ! 明日からはこのみどりのダンジョンでがんばってもらうぞ? ピネスくん」

 

勇ましく指をさし、指名する。ニヤリ微笑みながら彼にアップデートしたあらたな使命を言い伝えて。

 

ここまでの状況を5割ほど理解できたピネスは、校長の顔──みどりに渦巻くゲート──校長の顔をもう一度見て……しずかに横に傾げそうになった首を縦に頷いた。

 

「あぁー…っと、校長は?」

 

「ん? なんだ寂しいのか? キミはこのところ女子生徒たちの引率リーダーの役目にセワセワせわしかったからなぁーー、このふぅー」

 

「いや、ぜんぜん。そうではないすけど」

 

「ちゃ、んなにぃ!?」

 

 

ダンジョンを攻略していたとおもえば、現れた新たなダンジョン。

 

赤いゲートは既に不黒ダンジョンと名付けられており、名付け親のスペシャルな校長も森羅万象スベテは読めてはなかったのか。

しかし、色違いである緑色のゲートはまた心機一転あらたに、差別化するようごくシンプルに名付けられた。

 

もうけられた数日の休日はダンジョン冒険者たちの元気英気を存分に養い、また渦巻く新たな冒険のニオイと期待感へと誘う。

 

こうしてブク高の彼らは東門にある〝みどりのダンジョン〟をしばらく人材とリソースを集中して冒険することになった。

 

 

 

 

 

 

▼▼▼

▽▽▽

 

 

 

 

 

 

⬜︎スマートタコイカ学習帳アプリ

ヤンチャゴブリン:

日焼けしたような土色の肌はいつも見慣れたグリーン肌ではなく新鮮である。

棍棒や木のパチンコ、木斧、目につくモノはなんでも使い襲ってくるのはやはりダンジョンに適応するゴブリンの遺伝子。

 

《みどりのダンジョン6階★モンスターハウス》

⬜︎

 

 

 

草地を駆ける──緋色の刃は暴れ回り、ご当地ゴブリンを縦、横、縦、ななめ、殺気を放つモノ全てを躍動し叩き切っていく。

 

何故かスマホをもう片手に、剣でゴブリンをぶっ殺しながらチカリチカリ…フラッシュをたき写真を撮っている珍行動をしている剣士がいる。

 

「あぁーしまった、全部斬ってから撮っちまってる」

 

「馬鹿じゃないのハーぬけ」

 

「あの木浪さん…俺ってぇゴブリンじゃないから…図鑑にはいらないかと?」

 

オレンジ髪の木浪生徒は振り返ったピネスを淡々とスマホのカメラに収めていく。

 

「は? そうなの? うしろ」

 

「いやわかるだ、ろっっ!!! と!」

 

さり気なく彼女が注意をうながす後ろを振り返り、緋色の剣は飛びかかってきた土色肌の輩をナナメに力強くぶった斬った。

 

「撮ってあげるからちゃんと戦ったら? 全部真っ二つにしたところ」

 

「はは、それもそうだな! 初心にかえるか…ゴブリンは油断しちゃいけねぇってなソエジマ!」

 

またツギハギブレザーのナイトは緋色の剣を片手に駆けて行く。

木浪は悠然とスマホのカメラを回してゆく──元気な彼に群がる土色の小鬼は真っ二つに散る、爆散する、はじけとぶバケモノの奇声断末魔はもはや日常、心地よくも思えるもの。

 

幼馴染のあらたな勇姿は動画メモリーの中へとリアルタイムで記録されてゆく。

 

 

みどり豊かな広々なステージ、つかまったモンスターハウスの中での戦いは続いている。

 

掌握した敵影に召喚した黒いゴブリンは土色の背から居合斬りを放った、レアな刀を装備させたシャドーゴブリン出席番号❹は攻撃暗殺特化ビルド。

 

ボロい杖に祈祷しながら魔力を練り上げていた敵ヤンチャゴブリンシャーマンは後ろからいきなり斬!──どさりと地に前から倒れ、息絶えた。

 

「私の影召喚魔法ビルドは最強なりいいいいい!!! よくやった出席番号❹ふっふーーー!!!」

 

シャドーゴブリン出席番号❷はスマホでカメラ目線に元気にピースする主人であり校長先生をパチリ…写真に撮った。

 

 

「なんでみんなスマホで写真撮ってるの……あ、これ、どうぞ」

 

シャドーゴブリン出席番号❺❻❼は緒方の異能冷蔵庫の元へと集い、冷えた剣を、冷えたナイフを、冷えた弓を頭巾の少女から受け取り装備した。

召喚された❺❻❼はすぐさま草地を走り、主人校長の指示で戦線へと向かってゆく。

 

「ありましたきのこ! 写真を、頭巾さんきのこセラー、のこのこしてないで救済のじかんです! ここにもっ! 見たこともないきのこさんですよー」

 

シスター服は壁際にしゃがみしめじ色のスマホで撮影する。どつき茸のマスコットキャラクターのキーホルダーをぶら下げたスマホは現役女子高生3-C榎田椎名の特別カスタム、彼女のきのこ愛をスマホの外観にまでふんだんに取り入れている。

 

そして壁際にたくさん自生している新ダンジョンのきのこに興味津々。

異能きのこレーダーはびんびんと反応しっぱなしである。

一刻も早くきのこさんたちを救済するためにいつもの頭巾姿の緒方と白い冷蔵庫のコンビをテンション高い声で手招いている。

 

 

 

「ふふふ、珍しい青春、忘れるまもなくはじまっちゃった────【ツバサ】」

 

たおやかな指遣いは小型のハープで【ツバサ】の音を奏でる。

奏でられた青いソラの期待感に、魔力と音を帯びた白羽が真っ直ぐに飛んでゆく────。

 

深くかぶった純白の羽帽子、はみ出した金色のショートカット、のぞく飴色の目。

 

演じ演奏する生徒はモンスターと戯れる彼らを瞳のカメラにおさめて、口角をあげた。

 

 

「いいぞいいぞスベテ殲滅しろブク高おおおおおおはっはっはーーー!!!」

 

「ナニあほっぽく叫んでんのハーぬけ」

 

「たぶん俺じゃねぇ! うおおおお!!!」

 

伝令雑用役のシャドーゴブリン出席番号❷は装備したスマホのアプリを起動し、その光る画面に文字書かれた戦況を確認する。

 

⬜︎スマートタコイカ

戦闘の熱にのめり込むピネスはクリティカルを乱発しヤンチャゴブリンを次々と二つにしていく。

 

校長は召喚した7体の影の部隊を操り戦場を支配、高笑いを上げながら魔法の刺股から色鮮やかなガトリング弾を垂れ流していく。

 

緒方はきのこの人のきのこ採取に協力し異能冷蔵庫へと旬のダンジョン食材を詰め込んでゆく。

 

木浪は動画撮影を継続、戦況を見極めてサボる。スマホに持ちやすい付属パーツを取り付けて手ブレを極小に抑えてガチる。カメラの扱いには慣れたもの。

 

ツバサのハープの音はダンジョンへとみんなの耳へと届けられる。

 

★冒険者パーティー

浦木幸 2-D

不黒文 校長

緒方結美 2-A

榎田椎名 3-C

木浪智火瑠 2-B

ツバサ

 

現在モンスターハウス殲滅度67%

 

新ダンジョン、初冒険、士気高々、意気揚々

テンションを上げ続けるブク高の6人パーティーは新たなモンスターたちを斬り裂き立ち塞がる障害をものともしない。

 

【ダンジョンクエスト】目指すは10F。みどりのダンジョンの攻略ははじまっている。

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