※この作品はR-18です。

異能幸運レアドロップでイキ抜く♡学校最後の男子ピネスと眼帯プラチナ女校長の不気味なダンジョン冒険記   作:山下敬雄

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下された人差し指のサインは──前でわちゃわちゃ!

 

前衛の前衛役であるピネスはコカトリスと対峙する。しかし今度は見つけた草の種をついばむように鋭く打ち付ける鳥の嘴に加えて、にゅるりと…体を伸ばしつつ突飛もない方向から牙を向く蛇、鳥頭をアシストする仲良し狡猾な蛇がいる。

 

彼がひとり強いられるのは鳥と蛇のコンビとの闘い……ではなく。

〝しゃー〟と威嚇しながらピネスへと噛みつかん伸縮自在の白の蛇頭は──顎下から蹴り上げられた。

 

「【森迷弓(シャーウッド)】!」

 

地上から飛びゆく。

不意に懐の死角から天へとナナメに射られた右足の矢は、ピネスの存在感と圧に気を取られ左上からアタックを仕掛けた白蛇を強襲する。

 

「【蛇撃弓(アポロン)】!!」

 

さらに飛び上がりからの地を襲う追撃。

それは華麗に流れるようにではなく多少ぎこちなく強引に捩じ込んだ。

ダンジョンで上がった身体能力を活かし、拳剣道場での修業では今までできなかった技の繋ぎを彼女はみせた。

 

成長するのは異能だけではない。

ダンジョンという特異環境に合わせた闘い方を、倣い習いひとりの冒険者は見出す。

 

斜めに突き上げた右足を回転軸に変え、左足をぐわりとダイナミックに捻り一回転させた。

進行方向を力技で変えた左のドレスシューズは一気にそのまま地へと向かう。荒削りな姿勢制御をしながらふたたび白蛇を襲う天から放たれた左右の連続矢となる。

 

地技から天技──繋がったかのように見えた強烈な足技のコンビネーション。

しかし、白蛇にその黒い靴底はぶつかることはなくタガヤは逆に左足を絡め取られてしまった。

仰々しく効いていたフリをしていたのか、白蛇はまんまと気持ちよく誘ったタガヤの左足にトグロ巻き蛇舌をちろり舐めずり…嘲った。

 

嗤っていた蛇──とは関係なく、他のターゲットをつっついていたグレーの嘴は緋色に爆破された。

 

かちあった嘴と剣。

テンションを上げ魔力爆発する緋色の魔法は鬱陶しい鳥頭を仰け反りはじきとばした。

 

そして当然でかい的のおまけである蛇にもとばっちり。

トグロの拘束は緋色の衝撃に驚き緩み、逆に緩んだ一瞬をスタイリッシュなタキシード脚は蟹挟みにした──

 

細身を締め上げられた蛇はひとりでに水を垂れ流す夏場のホースのように暴れ、その足癖の悪い足をひっぺがした。

 

さらに怒り帯電した蛇はトツゼン雷撃のマジックを放った。剣を振り切った男と着地した女の2人に向けて放射拡散した蛇雷撃は命中するも──姿、健在。

痺れる攻撃を浴びるもダンジョンではその程度のダメージは日常茶飯、パーティーの前衛をつとめる冒険者2人のシールド値はまだまだ耐え闘うに余りある。

 

一心同体の異種蛇鶏コンビに対するは、

はじめましての同校男女コンビ。

 

巨大なモンスター相手にも、真っ黒なタキシードとツギハギブレザーの背は小さくは見えない。

たった人差し指から再度ゴングを鳴らしはじまった闘いはわちゃわちゃと、勇ましき剣風旋風を巻き起こし白羽をちらしヒートアップしていく。

 

 

 

加熱していく前衛たちの動き働きの間に、後ろから巨鳥を突っつく役に任命されたのは──

 

成長する不思議な武具、榎田椎名はお気に入りの椎茸ベレー帽に魔力を十分練り込んだ。後ろから突っ込んできた茶色シスター服の新手に、後ろの蛇目はギロリと振り向き反応。

 

ゆったりもたげた首から、真っ直ぐ高速で迫る獲物に喰らい付いた。

 

蛇は鳥よりも狡猾……ならばその狡猾さを活かす。生徒を活かし、相手取るモンスターすらも活かす、3-C上級生の榎田椎名に大役を任命した校長は喰らい付いた想定どおりの景色にニヤリとわらった。

 

構えたちいさな彼女の頭ほどのベレー帽は──ぶわりと一気に膨らんだ。水にもどした干しいたけのように、榎田椎名の魔力を吸い上げ膨張し成長する盾となる。

 

「のこのこっのこりやがりましたね♪はぁーぁい!」

 

しかしただのしいたけの盾ではない。

蛇が美味しそうと思って噛みついたわけでもない。

彼女に受け継がれたその少し大きかったベレー帽は、カラダが成長し…ちいさくなってきたと思ったら、まだまだ大きく帽自体が成長できるギミックを隠したものであった。

そしてきのこをいくつかストックし効果を吐き出すように発射できる、ダンジョンの環境にて特異な盾となり彼女のことを守った。

 

湿ってぬめっていたその特殊帽子盾は、〝粘着茸〟の成分をしいたけ切れ目の飾りから抽出し吐出し盾全体をコーティングする。

 

粘着質なシールドコーティングは、蛇が噛みつきぬめりに触れた瞬間に、衝撃を受けちょうど固まった。

 

つまり──白蛇の顎先は口をあんぐりと広げたまま、榎田椎名の構えた盾に引っ付いてしまった。

 

狡猾な蛇は奇策にハマった従順な蛇へと、従順な蛇はのたうち暴れまわる白い綱へと変貌していく。

どうにか巨大なしいたけをひっぺがそうとパワーを上げ頑張るコカトリスの尾に繋がる蛇であるが、既に次々と役者はシスターの後ろからそろっていく。

 

ロープをくくりつけた冷蔵庫に緒方はじぶんもそのロープを己の胴を巻きつけて重い一体となる。

さらにその状態で榎田椎名の胴に抱きつき白い綱引きの協力を開始する。

 

さらにのさらに、

木浪は彼女らの後ろで木の杖を構えた。待機していた間に存分に魔力を上げながら後ろで強力引力の異能を用いる。

しーなとむっすーと冷蔵くんをミエナイ異能でひっぱり支援。蛇のパワーで崩れそうだった浮き足を地へと粘りもたせて、引っ張り合いに釣り合いをもたせてゆく。

 

しかしこれ程の協力がんばりも相手は巨蛇鳥コカトリス、圧倒的に図体は上であり持ち堪えられるのも一時凌ぎのもの。

 

しかしそれですらパワーは不足しているが、かせいだ時間の方は十分であった。

 

一面に広がった白羽の全体攻撃の光景にわちゃわちゃとまぎれ……〝浮遊〟させ、仕込まれていた斧は今オトされた。

 

人間たちと引っ張りあってピンとはっていた白い綱の中途は、鋭くくだった巨斧にはんぶんに切断された。

 

「はっはっはーーーー、スペシャルな生徒たちを率いる私もまたっっスペシャルというのだよ!!! ふっふ、ふぅーーーー!!!」

 

⬜︎タコイカ学習帳

綿毛の黄金なGGC斧★★★★★★★★

物理威力 中

魔法威力 大減

魔力量 大減

通常時 重量小

魔力消費時 重量大

DP消費時 重量大

⬜︎

 

ブク高のアドリブ連携はコカトリスの狡猾な尾をぶった斬った。

嘴をおおきくひらき大翼はばたりばたり羽音騒がしく暴れる。……文字通り宙に浮き足になり鳴をあげるコカトリスが激痛に怒る。そしてすぐさま怒りまかせに発狂し、ボルテージを上げようとしたその瞬間。

 

──なんとなく勝負所を知っているのかもしれない。

 

ピネスはもがき飛び上がった大リアクションの巨鳥にすばやく仕掛けた。

勝負しにいく剣と、尾を切られ発狂する巨鳥──緋色の剣は鋭く舞い降りた鳥の脚爪とかち合い、再びの魔力爆発。

緋色のショートソードはサイズ感を活かしたするどいコカトリスのキックで後ろへと弾かれていく。

しかしこの男には二刀、そしてコカトリスにももう一つの得意とする武器が。

 

2体の間に起こった爆炎の景色の中を──貫き伸びた怪鳥のグレーの嘴は、地から飛翔した剣士から逆手から繰り出す翠の刃を咥えた。

 

「わちゃわちゃの意味知ってっか? あぁー…辞書でひいたら、こうだっっ!!!」

 

【ピネスサンダー】

 

雷剣はバチバチと昂り青雷のマジックを盛大に喰らわせた。じゃれる巨大な白鳥に勇み挑んだ剣士がその嘴に餌をやり、青く激しくちかちか灯る。

 

まさに〝わちゃわちゃ〟

 

痺れる餌をやり終え地へと弾き飛ばされたピネスへと、いっそう怒り狂ったコカトリスから白羽の矢の豪雨が集中し降り注ぐ。

 

さらに〝わちゃわちゃ〟

 

しかし、その白き暴力は不思議とそこだけ斥力をともなったかのようにさける。

豪雨の最中背から流れてくるソライロの音は、ずっと発動待機し今発動、かろやか爽やかに演奏された。

 

勝負所に二刀を失い、機を失したようにみえたが依然ツーアウト。チャンスは実はまだつづいている。

はるか後方──次のバッターボックスにはジンガの構えで待機するタキシードがいた。

 

カポエイラの基本ステップであるジンガ、ゆらゆらと踊り続けるのが基本であるそのポーズが静止するのは珍しい。

そして静止するということは地にしっかりと脚をつけている、地にしっかりと脚を溜める時間があれば、その大技を繰り出すことは可能であると彼女は知っていた。

 

(道場では成功率3%、それも不完全──でも、ダンジョンならっ今の私紫紫刀(むらさきタガヤ)自身ならッ)

 

右足を前に、両腕を防御を固めるように左に、ジンガのポーズで溜めた右足はそのまま──強く地を蹴り上げ飛び立った。

 

前方へと高く…ダイナミックに斜め軸に宙返りする。

 

「【拳剣流脚技-伯・地極斬(ブラジル)】」

 

伝説の巨鳥を砕くは道場に受け継がれし伝説の大技。

 

純白の王冠(トサカ)を打ち砕くのはその天からくだった右足。

 

 

「これがいま私のお届けできる最大威力です」

 

 

頭部炸裂、【伯・地極斬】。

 

嘴は地面に埋まり、巨大なモンスターはおでこどころではなく……威力めり込み土下座している。

 

180度以上に縦に裂くように開脚した両足をそのまま脚のチカラとしなやかなバネだけでゆっくりと元へともどしていく……。

 

カポエイラの基本ジンガのあまりにもながいルーティンから────最後は執事らしき右手の一礼にて終わる。

 

実用可能であると信じてやまなかったのは失敗を積み重ねたから。一体誰がかんがえたのか巨大なモンスターをも退治できる大技はいまここで披露され、ダンジョンという閉ざされたみどりの大舞台にて、またひとつ若き才能が大きく華をひらかせた。

 

伝説のモンスターコカトリスは紫紫刀の最大威力のイチゲキにて地に豪快に伏して倒れた。

カロリーの高い戦闘をつづけたブク高パーティー7人に漸く〝勝利〟という名の至上の悦びはお届けされた。

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