異能幸運レアドロップでイキ抜く♡学校最後の男子ピネスと眼帯プラチナ女校長の不気味なダンジョン冒険記 作:山下敬雄
主である緒方と連動する異能冷蔵庫の内在魔力に冷やされ、冷蔵庫内で早くも孵化した白いもふもふの小型モンスター。さらに香る栄養の宝庫をのこっと残さず啄みつくし、愛らしくたくましく2体の【コカトリス】はみるみる異常速度の成長を果たした。
不黒高等学校に新しく仲間になったダンジョン産冷蔵庫生まれの鶏ちゃんの元気な様を、グラウンドの片隅から眺めていた3人の女子は突如────
はじまった場違いのビーチフラッグ競争のごとく、グラウンドにぽとっとおちた白を追いかけた。
「おっ、おにぎりいいい!(醤油漬け!)」
「育成ビルドおおお!(さいきょーのふぅーちゃん魔獣軍団の足がかりいいい!)」
「カロリーーー!(たまごカツサンド!)」
ナニかを熱心にされど慎重に取り合っている3人女子がいる。完全に我を忘れている女子たちは本能だけでその白を追いかけ、手にし、何かを同時にのたまっていた。
やがて不細工に取り合う手をやめ、少し冷静になった3人が、何事かと…近づいてきた男子の方を一斉にひとつの群れのどうぶつのように見た。
「あぁー…………俺も、食べるかな? ……ひとつは?」
そう苦笑いでためて言い、ピネスはそっと指を指した。
彼に指をさされたのは女子たちの背のさらに向こう側。
女子たちはまた同時に振り返る。
争奪戦になっていた同じような白い卵が────交差しながら遊び走る鶏ちゃん1号2号の後にぽつりと、もうひとつドロップしていた。
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▽▽▽
本館1F▽スペシャル仮眠室▽にて
この部屋は現在貸切である。
ベッドに寝ながらにリモートで授業を受けられる壁面投影高性能プロジェクターもあり、体調が悪いが学校へいく意欲のある生徒への配慮もスペシャルな校長率いるスペシャルな学校には完全完備されている。
今日はそんな特別な部屋のベッドで休みがちである、水色髪の華奢な生徒の元へと、いつもの執事に加えて2人。
ベッドに座る生徒もよく知っているスペシャルなお方と、一度だけ顔を合わせたことのある男子生徒がやって来ていた。
そのみどりの眼帯を解放し、灰色眼で再度、女子生徒の細身全身を見つめた。
不黒文校長は
「ふむこれでおそらくマシになったことだろう? ふっふよく似合ってるぞシタンちゃんせいと」
⬜︎タコイカ学習帳
白蛇の純白翼のコカトリスティアラ★★★★★★★★★★★★★★★
魔力ダメージを受ける度に魔力量回復 小
ドレイン耐性 大
ドレイン耐性 中
毒麻痺耐性 中
闇耐性 中
感覚+8
雷+4
鳥の眼+2
蛇の眼+2
浮遊+1
⬜︎
「お嬢様…いかがですか??」
「うん、だいじょーぶタガヤ。いいかんじ、いつもより腹の虫はおとなしいよ」
「そっそうなのですか! お嬢様!」
「うん、そうだとおもうよありがとうタガヤ、校長先生、それと?」
美しいティアラを冠した紫檀はベッドから執事、校長、男子生徒へと順々に顔を合わせてわらっている。
「あぁー俺は浦木幸だけど……あのー、なんか盛り上がっててうらやましいかぎりだけど…ほんのいまいちぃ…ぅーーその話ってやつが読めないんだけど、俺?」
▼
▽
すやすやと眠る艶やかな水色髪のお嬢様に布団はかけられ──
ほぼ何も知らないピネスへと執事によるお嬢様の特殊体質に関しての説明はできるだけわかりやすくされた。
「あぁー…? そういや茶室で倒れてたっけ。たしか正座してお互い挨拶の途中でそれっきり?」
「はい、お嬢様は人より活動にともなうカロリー消費量が何10倍もはげしく。少々おおめの食事と安静にしていることが必要なおからだでして…」
『たまご、醤油漬けおにぎり……んにゅー…かつさんど…』
ティアラをそうびしたお嬢様はいい笑顔で寝ている。
さっき食べた緒方のにぎった栄養まんてんのたまご醤油漬けおにぎりが美味しかったようだ。執事のタガヤはそっとハンケチで彼女のよだれを拭った。
「そして恐らくは魔力の漏出。常時魔力を漏出するなんらかの不可解なデバフがパンピーよりカロリーを異常に消費させていたというところだろうな。うむ、このスペシャルな目で診断したからには間違いはない。(以前から疑ってはいたが、私も異能とこの目が成長したことで確信をもてるほどだ。どこか隠蔽された魔力の流れをうっすらと見ることがかなった。そして今は──うむ)」
眼帯をしている右目をみどりの布地の上から撫で上げてアピールする。不黒文校長がカケラもふざけてはいないことはタガヤとピネスにはわかるところであった。
「校長がいうなら…そうなんすね? で、このコカトリスから手に入れた宝箱のティアラがそのデバフによく効いたってこと? なので?」
「ふっふ、そうだ。だからこれはキミのおかげでもあるなピネスくん」
「はい、あっあなたにも此度は大変お世話になりっっ大変助かりました! ありがとうございます!」
執事は改まり校長の言葉につづき彼に深々と頭をさげて礼の言葉をはなった。
「いや、俺はなにもだが…まぁ俺の異能のドロップでこのおねむなお嬢様がよくなったんならよかったぜ?」
「はっは、ならばこの調子でどんどんユニークで激レアな装備を集めることだピネスくん!タガヤくん!」
「はーいっ、え? どんどん?」
「何言ってるまだまだ完全にシタンちゃんの呪われた永続らしきデバフが治ったわけではない。いくらぱーぷるまーくぐるーぷのスペシャルなお嬢様シタンちゃんとはいえずっと鶏ちゃん0号のティアラをつけたままというのも飽きてしまうだろう! 女子は毎日違ったオシャレをしたいというものだーーー! ピネスくん駄目だぞそんなことではーーーはっは」
「でっ! できればご協力を! 今回のことで、特にあのコカトリス戦常に同じ前衛役をやらせてもらったうえで己のチカラ不足を痛感しました! 以前の茶室でのご無礼は謝ります! さいど謝らせてください! そしてやはりあなたは…いえ師範級! いえゴールドグローブクラス! その実力をたのんで! どうか! お嬢様に、いえこのわっわた」
「ごっゴールデングローバルクロス?? なっなんだそれ……あぁ、まいいけど。つってもこればっかりは運だからなぁー。俺にできることは目の前にやって来たモンスターを倒すぐらいなら…いいぜ? てかこっちも前でやってくれる人が増えると余裕というか安心感? こっちからもよろしく頼むって感じで?」
「ふっふ、大丈夫だピネスくんキミはド幸運のパッシブスキル持ちだからな。これからもダンジョンで彼女とともどもほどほどにがんばりたまえ〜!」
「先生、ほどほどってぇ…もはやどれくらいだったか俺わかりませんよ? はは──じゃっ、えっとこうか?」
「ほっ、本当ですかッッ──ありがとうございます!!! えっと、はっハイっっ!」
2人の生徒は校長の微笑みに促されて握手を組み交わす。
こうしてダンジョンおなじく前衛役の浦木幸と紫紫刀、腹一杯に眠る紫紫檀お嬢様の校内サブクエストは硬く結ばれて──はじまった。
執事とハラヘリお嬢様のお話サブクエストは今後もちょくちょく よてい