※この作品はR-18です。

異能幸運レアドロップでイキ抜く♡学校最後の男子ピネスと眼帯プラチナ女校長の不気味なダンジョン冒険記   作:山下敬雄

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55.5

「────と・に・か・く!!! そういうわけでエッチなのは禁止なのっ!午後8時以降の校内の徘徊ほっつきも控えてなのッ!校長先生からも張り紙とビラをすって協力してくださいなの!くぬぬぬ異世界でもダンジョンでも風紀は不滅!心の乱れは風紀の乱れ!不黒高校みんなの風紀の取り締まりを強化月間!なのですっ!」

 

机をたたきピンク髪から探偵帽がとぶ。いさましく叩きつけた清く白いビラの束が校長の前へと提出された。

 

「あー、わかったわかった。風紀委員部のいう練り上げたありがたい施策についてはこちらでおおいに検討しよー」

 

「ぜったいなのですよっっ!」

『あっそこ! 廊下を早歩きしてはいけないのっっ!前髪が揺れな────』

 

風紀委員部部長、光角灯は校長室を後にした。

 

ドアはきちんとしまり、ちいさなピンクの甲高くかわいい声ももう聞こえない。

 

かたっくるしさから解放されたようにプラチナ毛の猫は伸びをする。

 

「あーーーーー、風紀などやってられるかァァ!!! ここはブク高だぞ私のさいきょーモテヤバ無双伝説不黒のふぅーちゃんのさいきょーの城ぞおおおおはっはっはー!!!」

 

「お館様、お呼びでしょうか?」

 

青い茶人帽をのっけた金髪は、天を仰ぎ叫ぶ校長の元へとやってきた。丁寧なノックの音も聞こえないほどに独りテンションを上げていたお方のことを、悠然と突っ立ちながら、水野サーガは見つめて待機している。

 

高そうな椅子に深々と沈んでいたお館様(校長)は咳払いをし取り繕いながら、彼女の異国色の顔立ちをニヤリ──見つめ返した。

 

「ごほんえほん…おっと来たか…! というわけで、えぼんっ……──『風紀など みだしてみせよう ホトトギス』。もはやトモリーのホトトギスあらため〝ひよこ〟に対する過保護っぷりは看過できん! なにやらこそこそひよこを監禁して鶏ちゃん1号2号ばりに飼育(ビルド)しているようだが…これ以上風紀委員部なるものが必要以上に幅を利かせ増長しては私のスペシャルな威厳も傷物になるというものだ。サーガ、作戦開始だ。この学校に元来ふきぬける自由青春の風を穿ち取り戻せ!!!」

 

どこからか取り出した黒い軍配を右に勇ましく切る。そんなさらにテンションを高めたお館様にサーガ生徒はかしこまり頭をかるくさげた。

 

「至極、ラーゴム…! しかしいかにして? やはり桜茶の方をご用意しますか?」

 

「ふむ、それを頼むつもりであった。そしてこの学校は私の城だぞ? そこにDPがあれば教室のひとつやふたつのトラップ&トリップ…これ自体がダンジョンのようなものだ不可能はない! 先ずは────」

 

このところピンクの探偵帽に睨まれていた校長は一種のストレスを溜めていた。PINEでいかがわしい自撮り画像を男子生徒へと送りつけたりするも満たされず。

そしてうずうずと…ここに来て無事フラストレーションは爆発。

茶人という権力者にちかき協力者を得て、ひそかに練られた計画の先駆けは皆が寝ついたころの暗がりにまみれ……遂行されてゆく。

 

 

 

 

 

▼▼▼

▽▽▽

 

 

 

 

 

午前5時55分。

 

長年にわたり染み付けてきた執事の体内時計に狂いはなく。

目覚めたときにはそこはなぜか知らない白い箱のナカであった。

状況をかくにんする──。

目覚めた黒のパジャマ姿は仕方なくハンガーラックにかけられていたメイド服へと着替えた。

 

紫まじりのアッシュカラーをしたショート髪をすっきりと整え……最後にホワイトブリムをその頭に装備するかを手鏡越しに己をみつめ悩んだ。

 

 

▼

▽

 

 

簡素な白い空間に置かれていたベッドに寝ていた彼が目覚めた。

ぼんやりと鮮明になっていく目覚めの景色に、上から彼の目覚めを見守るメイド姿がいる。

 

 

▼

▽

 

 

目覚めた寝ぼけ顔、飛び跳ねた鳥の巣のような黒髪はメイドの手腕で慣れたように直されてゆく。

ベッドに腰掛けながら、手際のいいメイドに身支度をされていく──。そしてとてもキリっとした着慣れない黒いタキシードを纏わされた彼はひとことつぶやいた。

 

「あぁー、なんでメイド服?」

 

「やはり、似合わないでしょうか?」

 

「いや、そうじゃなくフツウに似合ってっけど。で、俺はなんでこの──…に? そんでここは…寝てる間に一体何があったんだ?ろう?」

 

「しっ、知りませんが…私も朝目覚めたときにはそのように指示され用意されていたので。それに(執事姿のタキシード、やはりますますこれは…)」

 

⬜︎PINE

謎のモテヤバ伝説X:メイド服に着替えよ

 

ここはどこで?あなたは誰なのですか??:タガヤ

 

謎のモテヤバ伝説X:こらっドアをつよく蹴るのをやめたまえ、わたしは謎のモテヤバ伝説X。わたしの出すモテヤバクエストを全てこなさないかぎりここから出ることはできん。メイドらしからぬ振る舞いのペナルティとしてドアはさっきの8倍硬くしておいた。無駄だぞ?蹴るなよ?

 

謎のモテヤバ伝説X:男はタキシード服に着替えよ

 

謎のモテヤバ伝説X:ミッションクリア次のクエストを待て

⬜︎

 

タガヤのみせた通信通話アプリPINEのメッセージログには謎の人物との穏やかではないやり取りが記載されていた。

 

「あぁー…これか……なんか指示をきかないとヤバくなりそうだな。…………あっ、いっそドアを吹き飛ばすか? ってアイツ…今ないんだったわ?」

 

スマホ画面を訝しんだピネスは内容の5割ほどを理解し、腰のホルダーから剣を抜こうとしたが。

ソレがないことに今気づいた。

無意味になったモーションをやめて、両手をなすすべなくひらいた。

 

「ハイっこのように──もう何度かソレは試みましたが、不思議と修復されてしまうようでして。それも蹴るたびにどんどんと硬く……私もいつもの靴がないと…本気でやればまだいけそうな気もしますが」

 

「たしかにドアにえらく攻撃したあとがあるな……いったいどうなってんだこれ…?」

 

 

 

▼

▽

 

 

 

指示される様々なモテヤバクエストをこなし、喉も乾いたところにクエスト報酬として獲得したティータイムセット。

とりあえずポットからそそぐ茶を一杯。メイドは薄いピンク色のハーブティーをカップへとふたつ注ぎ、男女2人はベッドに腰掛けながらありついた飲み物で一服をした。

 

もうどこか慣れてきたようにこの状況に2人はあまり焦らず順応し、そしてまた次のクエストを待つ間に雑談にいそしんだ。

 

彼女の通っていた道場のことや、技のこと、ぱーぷるまーくぐるーぷのこと。

気になっていた話題の方は尽きない。

 

 

「えバーミンも? ジョナジョナも? ベストも?」

 

「はい。庵(いおり)-Dream-も、ステーキベストも、かつとんYYYも、すべてぱーぷるまーくぐるーぷの運営する傘下チェーン店です!」

 

「すっ、すげぇ…むかしに一度は行ったことあるとこばっかだ…」

 

「あっ、そうでした! これパープル優待割引券です。1年間ぱーぷるまーくぐるーぷに属するどの店舗も全商品が30%OFFになる特別クーポンです(何度でも使用可能なクーポン券です、使用日から1年間、ハイ)」

 

メイドのスカートポッケから取り出した紫のクーポン券。和紙のような上質な肌触りのソレをピネスはなんとなし反射的に受け取ってしまった。

使用日から1年間全商品30%OFFそんな嘘か真か、マコトにちがいない夢のクーポン券をピネスは今手にしているのだという。

 

「え、いいの!?」

 

金持ちの誰かに一万円札をぽっと手渡されるより、衝撃的であった。

 

「はい、実はお嬢様からもあなたへぜひと! お渡ししようと思っていたところです! 過去にもお世話になった知人にお渡ししたことのある券なのでどうか構わず受け取っていただければ…」

 

「おおお! すげええこんないいのはじめてもらった!!」

 

ピネスは紫の券をふるえる両手でしっかりと天にかかげて歓喜している。この男が感情を爆発させるのは珍しい。それほどまでにいい激レアアイテムをGETできたのだろう。

 

「ふふっはい。──あっでも…ここには…………肝心のお店がありませんでした…もっ申し訳ありません!」

 

「あぁー、そうだな」

 

 

「「……」」

 

 

冷静に立ち返る……ここにはジョナジョナもバーミンもベストもない。知らないセカイの片隅、学校の外側にあるのは赤とみどりのダンジョンだけであった。

 

沈黙がしんみりとつづいてしばらく────ピネスは自然とその口をひらいた。

 

 

「でも、よかったのかもな」

 

「え」

 

「あぁー…そのお嬢様のそのぉー、アレが、良くなって? ファミレスより、ダンジョンで?」

 

「ファミレスよりダンジョン……で…………はい! それは…きっとそうですね!!僥倖いえ本当に願ってもみない幸運に巡り会えたといえます!!! ──こうはしてはいれませんお嬢様のお目覚めの時間にはまだ間に合いますっっ私もう一度アレに挑んできます!!! あっ、そこで休んでいてください! いくらお強いとはいえっ、得物がないとあぶないですのでーー!」

 

「おっおぅ…無茶、すんなよおーー? はは──にしてもここのドア厚すぎだろ。おっ──? よしぃ──!」

 

 

雑談をしていたメイドのタガヤはテンションをあげドアの方へと駆け出した。いかめしい警備をかいくぐりつつ白を破砕する軽妙な打撃音が聞こえてくる。

 

そんな格闘メイドの楽しげな戦闘シーンを眺めながら、ピネスはハイキックに舞いやがて床へと突き刺さった石の剣に目をかがやかせた。

 

 

⬜︎PINE

謎のモテヤバ伝説X:だからボコスカ蹴るなと言ったろおおお!!!

 

謎のモテヤバ伝説X:ドア前にガードのゴーレムを召喚をした。いいか分からず屋にはこの先これよりもドぎついペナルティが待っていると知りたまえ!

 

謎のモテヤバ伝説X:ドアを3重にした。無駄だぞ。既にこちらは大量のDPを使っている。これ以上蹴ることに意味などない。わたしの愛用する足ツボマッサージ機をそちらへ置いた、どーぞ使いたまえ

 

謎のモテヤバ伝説X:ホワイトゴーレムを3体増やした。今度は後ろからも攻撃する、気をつけろ、蹴るな、いいなっっ!!! 次のクエストを大人しく待てっっ!!!

 

謎のモテヤバ伝説X:わたしのことをナメているのか??? わたしは裏のセカイではキミたちの想像にも及ばない悪魔じみたチカラを持つ相当な権力者だぞ、キミたちのことなどその気になればいつでも──PON! っできるのだぞ?

 

謎のモテヤバ伝説X:こらっゴーレムの武器を奪うなっっ!!! 勝手にひとのもの盗んだら犯罪いいい!!! ゴーレムアーチャーを7体、ゴーレムレクイエムを1体新たに召喚した、クエストを無視した抵抗は無駄と思いたまえ!!! さいきょー無敵の権力者によるさいごのさいごの忠告だっっ!!!

⬜︎







55.6へとつづく♡
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