異能幸運レアドロップでイキ抜く♡学校最後の男子ピネスと眼帯プラチナ女校長の不気味なダンジョン冒険記 作:山下敬雄
次々と挑戦者を無力化し尺八一本で制圧していく水色の武。
突如乱入したソレはまた見つけた次のターゲットへと駆け出した。
1番後ろで控えていたお偉いみどりきのこのモンスターは真っ直ぐ突っ込んできた輩に対して、練り上げた魔力を無茶苦茶に解き放った。
不思議にも数多のきのこが盛り盛りと育ち地から湧き上がってゆく、大きなきのこの森が形成され迷い込んだ水色作業着を呑み込んだ。
そして柄部を齧り茸の森へと投げ込んだ起爆茸は、爆発。
多大なる誘爆を引き起こし、様々な効果を持つ茸が色鮮やかに奏でるきのこ大爆発の大魔法が発動された。
そんな最中、蜥蜴足の足元に投げた尺八は最後の抵抗か、届いていない。
勝ち誇ったキノコグリーンは勝利の茸を一株、優雅にいただこうとあんぐり口を開け────。後ろからエルボー。
突如痛打されたキノコグリーン、さらに打ち付け打ち鳴らす尺八鈍器の痛打。
インファイトに取り付いた水色作業着はここぞと連打を叩き込む。
奇妙な武器で殴られながらもキノコグリーンは自由の効いた尻尾を振り回し抵抗するが当たらない。逆に尻尾を掴まれ、すってんころりん、多彩な投げ技へと移行される始末。
「よっ!」
そのまま猛攻の勢いを落とさずダウンした緑珍獣へと叩きつけた尺八鈍器。
完全にきのこっ腹へと叩きつけたが、ナニか打撃音がおかしい。
武器にしていた尺八はいつの間にか菌糸が育ちきのこが生えていて、いいように音色を出さなかった。
「ほっ? 尺八しゃっくりそんなきのこ!?」
楽器としても武器としても使われた尺八がキノコになるのは前代未聞。
驚いたところに下から強襲。キノコグリーンは尻尾を操り、鋭い突きを顎下に繰り出した。
〝剣茸〟急に尻尾の茸から育ち伸びた危ない刃のギミックを寸前のところで反応。
しかし、相手の武器を茸に変え茸を武器にしたキノコグリーンは勢いを取り戻し反撃の猛追を仕掛けた。
ビュンビュンと振り回す尻尾のソードと、地に自生していたカラフル茸を食し放った毒のブレス。
彼女が攻め込んだものの逆に反撃を貰いつづけていたところに、突然。空から銀色は降り注ぎ、やがて地に刺さった。
後ろへと退がった彼女は、バク転をつづけながら両脚で挟み込み銀色をスムーズに拾い上げた。
そしてさっそく迷う事なく銀色の刺股を前方に回転させ、凄まじい旋風音は迫る毒霧を寄せ付けない。
「わたしの銀狼こんな姿にされちゃってぇー! 【
愛武器銀狼はその顎を大きく開き、真っ直ぐに突っ込んだ。
毒霧を駆け抜けたあまりのスピードに、対応の遅れたキノコグリーンはその茸首ごと、強靭な銀色の顎に挟まれ運ばれ────壁際まで刺さった。
そして相手を壁際に拘束し連打する蹴りが炸裂する。
【深緑弓嵐】のアレンジバージョン【疾風弓嵐】は決まっていく。
刺股の拘束力と脚技を合わせた、相手を壁際へと運ぶ派手な技。もはや壁際設置された緑茸は彼女のサンドバッグ状態である。
なんとかこの状態から抜け出そうとキノコグリーンはまたよく分からない尻尾の茸を生成し使おうとした。しかしそうはさせない壁際の危険エリア、スーパースニーカーの放つ金色底の鋭い一閃が蜥蜴の緑尻尾先をちょん切った。
「まだ私の攻めなんだけ──なるほど、ねっ!」
ちょん切られた尻尾のワープ茸はその効果を発動。拘束状態にあったキノコグリーン本体はちょん切られた尻尾先の茸のある場へと脱出のマジックを披露することに成功した。
切られた尻尾をふーふーと息で冷ましながら、キノコグリーンは辛くも危険なエリアから逃げおおせた。
だが、
「あたしは戦闘術デザインアドバイザー」
銀の刺股は一度捉えた獲物を逃さない。
緑光るエネルギーの糸は、さっき挟んでいた茸首と連なり糸を手繰り寄せながらポニーテールは踊り、またインファイトを持ちかけた。
半笑いの赤い瞳がギロリと獲物を睨む。逃げようとしたキノコの珍獣を逃しはしない。
「じゃそろそろ撮れ高はなしっ、今日はこいつでシメのほうやりますかっっ【
斜め射る弓脚、更に2度射る弓両足、つづけて射る射る三連弓。
流れるような6連撃で天へと運ばれたキノコグリーンは、くいと…繋がるエネルギー糸にまた引き寄せられた。
「【
そしてここから巧みに繰り出す、エメラルドではない銀色刺股の空中棒術の連打が止まらない。
全てがそうであったかのように繋がり、相手には何があったのか分からない。
刺股は魔力の糸を切らさぬまま、銀の旋風を頭上に起こし、捕らえたモンスターを目眩のするほどの回転へと巻き込んだ。
「よしよしよーし、いただきぃ、【
そして天から地へと叩きつける。
流れるようなコンボのシメは大胆な刺股を用いた投げ技で。
【楽隕】、緑隕石の落っこちたような激しい衝撃が中部屋を伝った。
「ご馳走様とは言わな──おっ?」
落っこちたのは隕石でも緑茸でもなく──
メタル化した茸であった。
「ありゃ、それはダンジョン? ないない、よっ、よよよぉ? やっちまってんなー?」
地に打ち付けられる前にモンスターが再生した尻尾にランダム生成した茸。
モンスター、キノコグリーンは実は尻尾を切られて生えた最初の茸は必ずメタル茸になる隠れ特性をもつ。
結果、メタル茸を使用したモンスターはギリギリのところで、衝撃を大幅緩和することに成功したのだ。
運も味方したメタルモンスターは見上げた浮かぶ水色作業着へとご丁寧に手を振り、さようなら。
なんと一目散に逃げ出した。
そして全力疾走で辿り着いたマッシュルームルーム。モンスターを召喚していたきのこ型の家へと、コンコンコン、扉をコミカル優雅にノックした。
コン…コン…
かえってきた返事に上機嫌に頷いたメタルキノコはドアノブのちいさなキノコ笠を手に取り、扉を開いた。
そこで見た光景は、散らかる……モンスターたちのへばった姿と、
バチバチと怒る翠の剣を構え、笑うにんげん。
「ハァハァ……お邪魔しましたダンジョンクエストぉ……たっぷり充電できたゼェゼェ……そんでここは、俺ん家ぃぃ【ピネスサンダー】!!! !?──【サクイチゲキィィ】!!!」
オシャレなドアは吹き飛んだ。
鉄色の茸を貫いた突進の雷剣は、チャージした全ての魔力を込め剣と茸に繋がる全ての魔力を利用した。
やがて切り払った刃は鉄茸をも縦真っ二つに切り裂いた緑の雷刃。
カウンターで使おうとした尻尾の石茸も意味を成さずに膨張し砕けた。スベテを裂くような雷は二度目の正直で珍モンスター〝きのこぐりーん〟をやっつけた。
「思い出したそういえば2人──感じ取れた生意気なヤツがいたんだわ。…ふーん、これが噂のクリティカルボーイ、わたしのお株を鉄に咲かせるなんて夢幻流……ムカつくじゃん? ははっ」
ダンジョン78階、カオスと不測の渦巻いた中部屋は……。
助っ人でお越しになった寝起きの用務員の活躍をも掻っ攫う、浦木幸のクリティカルで放った魂の雷撃で終わりを迎えた。