異能幸運レアドロップでイキ抜く♡学校最後の男子ピネスと眼帯プラチナ女校長の不気味なダンジョン冒険記 作:山下敬雄
トップ同士、不黒文と茶室での秘密の会談と交渉を終えたガイアはみどりのブックと土産菓子を手にし、天界の石羽にあるカブト石山の館へと帰った。
天界を属性わけるように区切る仏区には他にも上位神たちのすむ
天界は多様な環境に様々な神々がそれぞれのポリシーを持ち住む……数えきれないほどのページで構成されているのである。
白く霞む景色と一本の長い橋を見下ろせる石色の頂、神秘厳かなるカブト石山に立派に構える和の館へと────
黒い羽衣を被った貴き存在が今、舞いもどった。
「遅いお帰りでしたね武天様。ちなみに再度釘を刺しておきますが下界でそのチカラと魔力を好き勝手に行使することは許されていませんよ。何を考えているのですか、頭が割れそうです(その恰好はなんですか?)」
降り立った美しき黒を迎えたのは、黒唇のピンク。ピンク髪を威厳ある
歴代の天戴武天ガイアの教育係でもある古参のかのじょ黒天女は厳しい面持ちで、館の門前でガイアのことを待ち構えていた。
「少しトラブルがあっただけよ、それも既に受け取り解決したわ。この焼け焦げた輪をまたつくれば天脳システムは勝手に許してくれると思うわ、頭を割る必要はなかったわね。(これはじぇーけー戦闘着よ)」
持ち帰られたたくさんの土産の品は動く石犬の式神に元気に咥えられ好きに持ち運ばれていく。
その中のひとつ、焼け焦げた輪を咥えた石犬から回収した黒天女は眉間にえらく皺を寄せながら聞こえるような溜息をついた。
「じぇーけ? なんですかそれは…………はぁ…だから贖罪中の問題の罪人の元には私がいくといったのです! 輪が焦げるぅ!?何があったというのですか!? 普通の神々はどれだけチカラを振り絞ってもそうはなりません! 訳を詳しく聞かせてもらいますからねっ、これはひょっとすれば天峰会議ものですよ! それに輪の報告をそう何度も下界への降臨時のエラー報告という体で偽ることはさすがにおかしいことに気付く者もでてきます! この腕の〝天の輪〟は天能システムに正しく管理されているのです、神聖なる歴代神々の意志の結集である天能システムに不適格と判断されれば天戴武天ガイアの名と手にした神力を今すぐにでも取り上げられてしまいますよ! これは由々しき…」
「炎神はもっと自由だったわ、天界の誰も彼からはなにも取り上げることはできなかった」
「天の輪を幾度も焼き尽くし『俺を制御したいならもっといい首輪を持ってこい』などとのたまい……あまつさえ天能システムを野蛮にも燃やし壊し一時機能停止にするまで……そして天戴武天ガイアの名を暴にまかせた腕試しで天界中に賭けるような真似をする自由奔放な例外を出すのはやめてください! 前任が問題外のアレで前前任が色ぼけたお花畑の女神だったからこそ炎神様の後を継いだガイア様は腕っぷしだけではない知恵と慈愛ある歴代でもバランスのとれた人格者と評価されて元の天界の秩序をとりもどしつつあり皆にこうして愛されているのですよ! あなたの心根は勝手気ままに姿をくらました奔放な炎神様などとはまったく違います、くれぐれもそのはばたく偉大なる聖なる道の先を見誤らないでいただきたいのです! まったく幾度思い返しても黒歴史です…姿をくらます前に後継探しをちゃんとした分には評価しますがね…噂ではまた火の立つところにずけずけとあらわ」
「────よくわかったわ、準備をしなさい黒天女」
「はい? このためた訴状や書類の束のことですか! それよりも先にあたらしい最高グレードの天の輪を用意する必要が? 天の輪の認証なしでは危うく天峰には入れませんがそこはまた私がなんとかし」
「私が何者であったかを思い出したわ。いくら座学にふけり書物を漁ろうとも、
「な、なにを…? 武天様は確実に立派になら」
「準備をしなさい黒天女、第四回天戴武闘市の!!! 天能システムも再び燃えろとこのヌイに味方し言っているわ」
風に散る白い紙を通り過ぎる黒は燃やし尽くした。
主神の豹変に、呆気にとられた黒天女は門を過ぎゆくその堂々たる背と熱く天にまで迸る赤き神力の威厳に────何も言えず。
〝第四回天戴武闘市〟
天戴武天女神ガイアの新たな野望は、メラメラとくすぶりつづけていた迷いを今燃やし、その勇ましき瞳にいきおいよく灯り宿った。
▽
▽
▽本校舎屋上ハーブ園▽にて
いつもよりソファーに座り待つその姿はお疲れのようだ。
さまざまなレアな生地をツギハギに────またも男子生徒のブレザーはステンドグラスのようにおしゃれに縫い上げられた。
いつものように出来立てのブレザーをその背にかける。はじめて出会った時よりすこし逞しくなってきたそんな背はなんだかおかしい──。
そしてぼーっと赤空の果てをながめていた彼はいつものようにじぶんに礼を言う。
「あっさんきゅー、えっと……そだ、コスモスさん!」
「そうだね、礼は必要かも、ふふ」
それからはいつものように彼を偽ったり、本音を告げてみたり、その度に彼は同じようなリアクションをみせる。
「絶対忘れてしまうか……ぅーーー……あ。ならこのスマホでさぁ、『あーあー、俺浦木幸、屋上でえーと…コスモスさん、金髪ショートの学年不明女子にぼろぼろのブレザーをいい感じに直してもらったぜ! ────雑談①終わり!』────あぁー、録音するのってどうかな? あとは……そーだな、あ。歌にするとか! それならずっと覚えてるかもしれないし、はは! 俺ってなんかどうやら馬鹿らしいんだけど歌の歌詞をおぼえるのってたぶん数学よりできるぜ! どう? 正解っ??」
なにを録音しても明日にはまた不思議とまっしろに消えているのかもしれない。
「ふふ────じゃ、歌って?」
驚かされたわたしの方はもうなんども慣れっこだけど、いつものハープをかかえてきてまた同じように言う。
おぼえている、彼が好きだというめぐるトキの歌をいっしょに
この世には悪魔がいる色んな悪魔がひそんでいる。悪魔たちの考えることなどわからない。
忘却の悪魔が何故屋上の彼女に干渉し目をつけたのか、そんなことは誰にも知る由もない。
だがしかしたったふたりの人間たちの考えることもまた悪魔にはわからない。
「この曲ずっとサビみたいで、なんかいいよな?」
「ふふ、それ、もう何度もきいたよ」
「ええ!? あぁー、おれも……何度かきいた! はは」