※この作品はR-18です。

異能幸運レアドロップでイキ抜く♡学校最後の男子ピネスと眼帯プラチナ女校長の不気味なダンジョン冒険記   作:山下敬雄

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上からなにかゴロゴロと音がする────────

腹の虫が天のおへそから鳴るほどの期待感に、笑いながら4人と一匹のパーティーは廊下を進んだ。

 

調理室までたどり着いたお嬢様の足取りはかるかった。

そして白いキューブ状のものを三角頭巾の食事班へと預けた。

 

未知の食材はやはり、未知のきのこと同じく────お焼き。

 

塩胡椒で下味をつけた薄切り肉をフライパンでしっかりと焼き、さっそく試食した。

一切れいただき……もう一切れ…………舌の上と胃の底で考えた末に、ただサムズアップする男がいる。

そんな男子につづいてか、毒見しようとした執事よりはやくシタンお嬢様もつづく。一切れいただき…もう一切れ……もう一切れの一切れ………ピネスと同じくサムズアップするのは決まりであるのか、親指を立て合いもぐもぐうんうんと咀嚼しながら頷き合っている。

 

 

〝淡泊でやらかく、脂ののったコクもある、それでいて甘くていい香草のかおりがする。〟

食に関して信頼のおける緒方とタガヤ2人の肉質分析に、親指のサムズアップでこたえたピネス、シタン、登別。

持つ舌はそれぞれ、うまく言語化できなくても、とにかくだまって親指を立てるほどに食べたことのない良いお肉だということがわかった。

 

臭みを消す必要もなく肉はかなり上質で焼肉にするだけでも十分なご馳走である、後は火の通り方と調味料しだいだと、あらためた緒方の意見にタガヤは頷いた。

 

 

 

栄養バランスとカロリーをかんがえハーブとほうれん草とドライフルーツの餌、それとミルクを注いだ深皿を別々にドツジに与えながら、そのニンゲンたちの試食会ははじまっていた。

 

どんな焼き加減、何の調味料が一番このお肉に合うのか、何かまずい食い合わせがあるのか。広くブク校の皆に提供する前にぜひとも確かめなければならない。そのためにも5人でアンケートを取りながらこのまま残りの1ブロックごと試食するという独占欲と罪悪感を感じさせない登別の提案に、4人がぜがひでもとうなずき始まったスペシャルな試食会。

 

その各々の舌に責任感をもち、いい焼け音に涎をぐっとのみこみながら。

焼き加減はまずはミディアム。囲うホットプレート上の幻ではないお肉をつまみ、今、第1のタレをからめた。

 

 

 

▼

▽

 

 

 

□限定チャット

jackとパめの木@金の小鬼:いい梨がとれたので、また送ります、よー。ブク校のみなさんにもぜひぜひたべてもらっちゃってー

鬼叉ちゃんねる:おっ、いいねぇー。ありがたいねぇー

鬼叉ちゃんねる:帰ってきたらさっくり冷やしていただきたいねぇー、今いらないからあとでたんまりくれぃ

jackとパめの木@金の小鬼:あはははは、はやく帰ってこれるといいですねぇー。りょーかいしました。わたしの腹にまるまるおさめておきまーす(にっこり)

鬼叉ちゃんねる:おいしく食べてあげてねぇー(じゅるり)

□

 

 

誰にでも好奇心をみせすりよるドツジを調理室へと置いていき、訪れたのは撮影室③。

前の鬼叉ちゃんねるで撮影したデカパフェの第二弾の打ち合わせで呼ばれた男手のピネスであったが、何やらノートパソコンの前で取り込み中であった池原の画面を後ろからひょっこり覗くとよく分からない会話ログがそこに表示されていた。

 

 

「それってなんすか?」

 

「おぉ? 乙女の会話ログをのぞくとは野暮だねぇダメだねぇー、まだまだだねぇー」

 

「いやなんか…すんません…」

 

「はははちょいと冗談。これはねぇ、限チャだよ限チャ」

 

「げんちゃ…??」

 

「限定機能の限定チャット、ちゃんねるへの金払いしだいで解放されるビュアーがviewtuberとお話できる限定機能、だからこれって金づるってこと。そんなこともしらないのばかぬけ、原始人」

 

同じくお呼ばれしていた木浪がうといピネスへとさらっと限チャについて説明をした。

 

「へ?? ってまだわからないんだが……かねづる…? あと俺はげんしっ」

 

「あはは、やだなー! 金づるなんて悪い言い方しちゃってんねぇー。他のviewtuberとちがってあたしゃ小鬼ちゃんたちとめちゃくちゃ仲いいからねぇー、もうなんか地元の仲間親戚よりも親戚ってかんじ、まじ全然フレンドリーなゆるーいサークルみたいな感じだしたまにくるどんな人生相談にものるよっ! 限定機能とスタンプ解放の小鬼デビュー価格もお気持ちしだいのワンコインのリーズナブルよ、もっちろ~んPINEスタンプ以外のオリジナル道着などの限定お礼品もあり。それにたまに仕事の手伝いもしてんだからねぇー、ほらこれさっきの人と梨園収穫の手伝いしたときの写真、こっちは公園でこどもたちにゲリラ逆上がり教室の依頼、あとあとこれは教育テレビの色んな学校でダンスするやつ…のバックダンサー、よっ!」

 

やけに長々とviewtuberの池原が余計にピネスにとって分からないことを言っている。おもに木浪に向けて自分はクリーンで愉快なviewtuberであるとアピールをしているようだ。

 

「ふぅーん。ま、涙ぐましいじゃん。農家の道もあり?」

 

「老後と引退にそなえてって、やかましいねぇー! はははまぁ実際、助かんのよね武闘家ってのはこのカラダが売りだからね、甘いフルーツは助かん、よっ」

 

「武闘家?」

「ブとうか? そのジト目」

 

しばらく2人のやり取りを聞きながらフリーズしていたピネスは、もはやじぶんとは違う惑星の話であると、落ち着いたひとつの言葉をしみじみと導き出した。

 

 

「なんか……viewtuberって大変なんだな…(おもったより)」

 

 

「「──は?」」

 

「なんでだよっ…!」

 

 

池原と木浪に同時に振り返りながらピネスは威圧をされた。

たった一音でもこの威力……やはり迂闊に立ち寄るべきエリアではないと、彼は感じざるをえなかった。

 

 

そうこうしている間にも次の限チャがちゃんねる宛てに届いたポップ音が池原のパソコンから鳴った。

 

「あー月一のまさるさんからだねぇ」

「この人も武道とちゃんねるをつづけてほしいってね、どんな形でもいいからとちゃんねる始めてぇーいつだったかな? ま、初期の方から熱心にささえてくれた人でね。だからそんな小鬼ちゃんたちのためにも鬼叉ちゃんねるはたとえ炎上しても無風の道端で転んで死んでも死ねないのよー!」

 

「ふーん、それで色々とびゅーびゅーふかしてしぶとかったんだ。viewtuberにとって100万のビュアーより熱心なイチビュアーってあながちマジなやつじゃん」

 

「あぁー、まじで良い人なんすね。インディーズバンドをずっと応援してるみたいな感じか?」

 

「はーぬけにしてはマシな例えじゃない? ま、まだまだメジャーでもないけどデビューはいつでもご勝手にがviewtuberだし」

 

「そーなのよ、そーなのよ。最初期のアングラでの手探り感はまぁ面白いんだけどガツった動画が出ないと徐々に常人は不安ってのになるのよねー。そんなときに梨とか林檎とか色々みずみずしいミネラルもらえると助けられるのよまたこれがね。だからねだからね、ほんと熱心でそれでいてずっと応援してくれる地元の仲間ってかんじの──」

 

⬜︎限定チャット

まさる@銀の小鬼:銀に甘んじていてすまない!!! 私としたことが今月は各地を転々と忙しくて供物をとどけられなかった……。だがしかし安心してくれっ! 今日知り合いの紹介で単発のいい仕事がみつかった! そのぶん来月はしっかり納めさせてもらうっ期待しててくれ!

 

それと最近熱心なブク高ちゃんねるだったか?

あの武器はどこで手に入れた? アレは模造刀か? それにしては構えていると重量感と迫力があるように見えたが?

そんな企画があるならば私に言えばいいものの?

せめてコレクターの知り合いから色々とかき集めて貸せれば良かったのだがな?

欲しい武器があれば遠慮なく言ってくれ、そいつも埃をかぶらせもて余しているから心配はない。

 

じゃあまた来月に連絡をするぞ鬼叉ちゃんねる。

□

 

先程の梨の話とは毛色がまったくちがう。

そんなゆるくないご様子のチャット画面の長文が目に入り、時が止まっていた三人一同は────

 

「ちょっと危うくないこの人」

「…供物…ってなんだ?」

「お金でしょ」

「あぁー…えぇ??」

「viewtubeに1割取られるけど推しのviewtuberに駄菓子感覚で送金できるヤツ。だからいい仕事が入ったってまさるが言ってんじゃん。んで限定機能にある称号制度。今、まさるについてる@銀の小鬼って称号がもう少し供物を頑張れば@金の小鬼になるの。だからまさるは好きなviewtuberに勝ち確の良い報告を自慢げにしにきたんじゃなーい?」

「ぅーーー……まっまじか…まさる……ってことはぁ…銀を金にするためだけに…!?」

「は? 銀じゃダメな生物だからまさるは、はーぬけ、なめてんの?」

「わっ…わかんねぇ…なんでだ…なんでだまさる……これも…ゲン担ぎなのか…???」

「あははは、そんなおおげさに心配しなくてもまじで仲いいからあははは。たんたたたんと『いつもどおり無理しないで、ねっ』とはい返信完了。いや、マジで地元の仲間ってかんじの……なははははなぁんかきゅーに肩がこってきたなぁー?よーーし、ハイナミちゃんもエッチアイくんもトレーニングルームへGO! こらこらこら小鬼で仲間のあたしのまさるをこれ以上憐れむのは鬼叉ちゃんねるが許さないよっ。いこー、よっ! よっ! よーーーっ!!! ご丁寧に送金チュートリアルしてないで行くんだよーーーー!!!」

 

銀の称号で妥協しないまさるの熱い心情を解説するも、

ためしにハイナミTVに彼のスマホで送金をさせようとするも、

まだまだピネスには未知のテクノロジー未知との遭遇であり……頭の中で理解するには時間がかかることであった。

 

なおviewtuber鬼叉ちゃんねるのなぜかすこし湿る両脇に、初心者に余計なことを吹き込もうとする木浪と共に首をしめられながら……

真っ白な例のトレーニングルームに強制連行されたピネスはこの後────やけに当たりの強いするどくクリティカルをかまそうと襲う刺股をさばきながら、とてもとてもハードな汗を流した。

 

ブク校の昼は満たした腹と勃発したバトルにうやむやに過ぎ行き、あやしげな匂いのする夕・夜の部へとつづいてゆく。

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