異能幸運レアドロップでイキ抜く♡学校最後の男子ピネスと眼帯プラチナ女校長の不気味なダンジョン冒険記 作:山下敬雄
手持つ左の石の皿へと白きキューブは載せられた。
運動後の体を涼もうと、校舎外を徘徊中に見かけた……小高い緑のエリアにおそるおそる入ったピネスは、石像の前で祈る厳かなる雰囲気に黙っていた。
「学校生活のほうはどうかね? 最近はダンジョンもお休みだからな、調査パーティーの編成がととのうまでなにかまた校内クエストが必要といったところか?」
目を瞑り祈りつつも、プラチナと黒の背中から声が聞こえる。
気配をお見通しでその背中で語る彼女の姿に、いつもとは違うとてもかっこいいスペシャル感があるともピネスは不本意ながら感じてしまった。
「えぇ? あぁー、別にフツウに色々あってクエストも別にアレっすけど……ってか、ソレって一体? その四角いのって……」
「やはりいい肉はさきにお上に奉納しないといけないだろ。緒方からキューブモンスターから肉がドロップしたとPINEで報告が来てな。ちょっくらブク校の女神への供物にしてみた次第だ、もっともたのしいたのしいホットなパーティーに私がお呼ばれされなかったのはちょっぴり寂しい減点ものだがまぁいいだろう、フッフ」
と思えば、いつものようにニヤリ顔。
ついていた膝を上げ振り返って現れたのは、いつもの見慣れた不黒文校長先生であった。
「アレはぁ…パーティーってわけじゃないと思うっすけど……そのキューブモンスターの肉ってドツジのことだよな…またぽろっとなでてるさいちゅうにドロップしたのか。えーっとそれとほーのー? あ供物! あぁー、それで皿にこうしてのっけて? え?ってことは女神様にぃ…肉を送金……??」
「肉を……送金? ……どうした?数学の小テストをやりすぎて脳を自習室で強化されすぎたか? ピネスくんしっかりしたまえ今はタライを何度もアタマに落とさないと会話が成立しないレベルだぞ。皿の二枚ついたこれは天秤だいつぞやの理科の実験でも分銅をピンセットでつまんだことだろう? 天秤の上にのっかっているのはキミのいう世話したドツジのお肉だ、そして肉は送金するものではない。(まぁしようとしていることはあながちそのようなことだが)」
「はい、ちょっとごっちゃになってて…すんません(まさるさんの供物と)」
「ふふふ、何とごっちゃになったかはしらんが数学の小テストは仮病ではまけてやらんぞ? しっかりすることだ」
「いいか? ちなみに女神ガイアは世の善悪のほとんどを取り仕切る、安直にもこのように天秤の女神というらしいが……ふむ、どうやらいつも祈っていたのは別人だったようだ。こちらはあまり私の目にはメラメラしていないからな」
「別人? 女神が? めらめら…?」
「女神も色々他人にはいえないヒミツ♡があるということだ。ん、──そうだキミもひとつそんなミステリアスなブク校と世の象徴に祈ってみてはどうかな」
「え!? あぁー…俺は別に今更というかなんというか……はは、とくに祈ることもないですし、はは…」
「ふっ、偶像に祈ることは恥ずかしいようか? そうだな……実はなここだけの話、この天秤は物を置くだけでは傾かない、深い愛と信仰心で傾くものだ。そして神を愛し信仰するとなんとこちらの魔力が上がるおまけつきだ」
「え、まじ?? 魔力が!?」
「あるゲームの信仰:をガイアにしてクラスチェンジした光の魔法剣士ではな、ふっふ」
「ゲームって……あ」
「ん、どうした?」
「あぁー、────────────────そうだっ! ……なんだっけ……痛てっ!?」
「キミは私を舐めているな? 校長だぞっ! さっきほどの虚無な時間はこの世にないというものだ。まったくそんなぼけーっとしている暇があるなら祈りのひとつでもささげろ、校内クエスト発令だ、ふっふ」
「校長ならゲンコツしないでくれたら………はいっ」
ぼーっとふざけた生徒へ天から下ったゲンコツ。
女神に代わり校長の仕置きでピネスを戒め、ついでに発令した校内クエストという体で、ピネスは校長と並び倣い天秤の女神ガイアへとかるく祈りをささげた。
(さいきょースペシャル不黒のふぅーちゃん校長せんせーの目論見どおりのキューブモンスターず計画の次は、円形校舎Dplus計画がちゃくちゃくとうまくいきますようにっ!!! ふっふーー!!! あとはスペシャル生徒の復活に運動会の種目に灼熱のSPモンスターレースをぶっこむ計画にブク校裏魔術生徒会の結成にふぅーちゃん本体の大幅アップグレ──)
(クリティカルが出るようにいちおう……ゲン担ぎっ! あとは、あの時のあの技を──)
ささげて祈りしだい集う愛と信仰心とねがいに、白きキューブをのせた天秤は────傾いた。
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ウッドキューブにきのこを共生させて、間引き手入れをする。
一度生えたきのこを間引くことで次により大きなきのこが生えることがあるのだ。
榎田椎名は近頃流行りのキューブモンスターたちと仲良くなりさっそく自分の活動における有効活用をしている。
愛をもって世話をするかわりにきのこの原木となってもらう、人とモンスターそしてきのこの素晴らしい共生関係である。
るんるんと鼻歌混じりに脚立にのぼり、どつき茸のシールのはられたレアな如雨露で宙に浮かぶ原木へと水をあげていく。
魔力と愛を込めて────光を反射しながら虹を描いていく。
虹のアーチをゴロゴロと────丸い岩が競うように転がり抜けてゆく。
「待つのでーす!! 校舎裏を転がってはいけないのー!! シュブンキンもランタンに戻るのです!!!」
疲れ知らず、白熱するアルマジロと金魚とピンク髪の人間のレースは────
「あん? アルマジロが生意気だとクリティカルする、よっ?」
丸々3つの岩は大の字にカラダを開いて止まった。
そしてゴロンと倒れてその腹をみせた。
思わず転がるレースの楽しさをわすれ降参してしまうほどに、モンスターイワマジロは水色の服赤色の瞳のクリティカルの脅威を遺伝子に刻まれ知っているようだ。
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PINEで簡潔にメッセージしたのは、見つけて思い出したからだ。
夜遊びは白箱からとりだした黒いジグソーパズルで。
「今回も、同じね」
「あぁー、だな…?」
「なんなんだろなこれ?」
「きっとなんの意味もないことね」
「そうだな、はは」
「次は浦木くんが箱を開けてくれたほうがよさそうね、前に言っていた古い戦いの模様のつづきが見られるかもしれないわ」
「俺が? いいのか? 次はちがうかもしれないぞ? あぁー…なんか、案外笑っていたり?」
「たとえ次に出る表情がちがっていて何かを意味していても、面白くなさそう、そんな気がするわ。でもこれが笑っている結末は、そうね? ────案外いいと思うわ、ふふ」
かっちりツギハギ繋げられたジグソーピース、四角く切り取られた茶髪の女性の不安気な表情は────ぼやけるように静寂の図書館に消えていった。
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深夜に校長室に訪れたのは、PINEに至急と書かれていたからだ。
何かと思い今日はあちこちと忙しいピネスが来てみれば、
『愛用していた不黒文魂の武器〝ふぅーちゃんSP改(刺股魔法杖)〟の装備が新加入メンバーを優先し外されてしまった今、次なる魂の武器が必要だ、だからピネスくんキミにも校長先生の武器の選定を手伝ってほしいのだよ』
ということであった。
だからの部分はイマイチ飲み込めずにいたピネスであったが、確かに愛用している武器がなくなった気持ちは理解できる部分であったので二つ返事で協力することにした。
剣、斧、ハルバードと基本的なものを構えて武器に魔力をながし試したが、
自身攻撃魔法と召喚術をあつかう魔法師でネクロマンサーであるという認識があるため、校長はいかにも前衛がするような装備にはあまりしっくりこないご様子だ。
試遊厳選しながら、女子の服選びに付き合うほどの時間が過ぎゆき……
不黒文校長の魂の武器、最終候補としてあがったのは、
【杖】武器に刻み込まれた魔法師らしい魔法の習得、魔法のコントロール、発動位置を指定したりの要素を補助しやすい。さらに近距離戦での鈍器としてもひじょうに使いやすい。木浪も使い込んでいるスタンダードタイプ。
【弓】味方を召喚して戦うスタイルには合っている。しかし身体的な技量と集中力に影響されやすいため、魔法と併用するのにはこなすべきタスクが多い。今までとはまったく違った練度が必要な武器である。不黒文の異能との噛み合わせは悪くない。使いこなせればますますスペシャルな女性になれることだろう。
【サイス(鎌)】漆黒の血が騒ぎ好きらしい。眼帯にも似合うからいいらしい。校長様のお通りである。
そして、もうひとつ。
『その傘をさしていてくれ』
そう言われて、ピネスはパッと天に咲かせたものの。
ここは室内、とくに雨など降らない。
この校長室をダンジョンの一室と見立てて頭の中でモンスターを配置しシミュレート……考えてみるも、ピネスにはどうにも使いこなせそうもない。
(そもそも傘は武器なのか? あぁーたしかに開いたら効果しだいで盾にはなるかんじか? ぅーーー……でもなぁ…)
「校長せんせー…あのぉー……そろそろいいでっ────」
傘をさし意味のない影に覆われていたピネスは、────ばたり。
その場にとつじょチカラなくたおれた。
「フッフ、なるほどそろそろ効いてきたといったところか。フッフッフ」
「なっにっ……を…────────」
靴音は無造作にころがる傘を手に取り、彼を覆う妖しげな影カタチがうごめき濃さを増す。
まっくろな傘をさす……疼く眼の眼帯をはずしたプラチナ髪が、舌をなめずり微笑う灰色の表情を最後に、────────2-D男子生徒浦木幸は校長室の絨毯にへばりついたように動けず、気絶した。