※この作品はR-18です。

固有能力は【洗脳】 ~エロ目的に使うしかねえ!~   作:レイジー

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 ちなみに使わない設定として、この世界のこの時代はステイタスがある
 なんで使わないかといえば「ステイタスは個人情報。明かさせることは原則禁止」だから
 ギルド登録でもステイタス閲覧はないし、遠征開拓兵になってもステイタスを明かせと言われることは基本ない
 あるとすれば犯罪者とか

 ちなみにステイタスとは別の方式で相手の実力を数値化して見る固有能力はある

 多分気になってる人もいるであろうヒイラギたちはどうやって固有能力を自覚したのか、とかの答えがコレ
 ステイタスに載ってるから

 あ、ついでにいうとステイタスの数値が完全に同じ人間が戦った場合は筋肉の量で力の優劣がつくよ
 筋量に対してバフがかかるイメージがこの世界のステイタス
 肉体×ステイタス
 だからステイタスで負けてても体格で勝ってたら戦って勝つこともある


第一三話 索敵と経験値

「ぉはよ……」

「おう、おはよう」

 

 宿の一階。

 食事をしていると眠たげなヴィータが下りてきた。

 

「何食べる? 注文しておくから顔洗ってきなよ」

「ありがと。じゃあ肉少しと野菜スープとパン……」

「わかった」

 

 奥へと行っていて姿の見えない店主。

 戻ってきたタイミングで注文をし、ヴィータが戻ってくるのと同じくらいに料理が提供された。

 

「昨日の夜、話してて気になったんだけど。ヒイラギってちゃんと休んでるの?」

「ま、まあ? そこそこ?」

「聞いた日程から考えたらほとんど休んでないんじゃないの? こっちの世界に来てもう10日以上経ってるけど、休んだのって1日か2日でしょ?」

「まあ、全休はそうだな。でも働きづめってワケじゃないし、休めてはいるぞ?」

 

 ん~、実際の稼ぎよりも労力少ないんだよなぁ。

 何せゴブリン相手に【洗脳】して稼いでたから。

 でも説明はできんし……。

 

「休みは充分だ」

「……あんた、眼を離したら絶対過労で倒れるよぉ」

「魔術なりポーションなりで治すよ、そん時は」

 

 ……これってエナドリで無茶する限界社会人の思考?

 

「身体が資本なんだからちゃんと休むこと覚えるよーに」

「はぁい」

「まったく……ただでさえ異世界人で受け入れ先少ないってのに、それで身体壊したらどうしようもなくなるでしょうに……」

「心配? 優しいな」

「一応よ、一応」

 

 でもまあ、不調が出ないうちにちゃんと健康に気を遣うのは間違ってない。

 魔術だので治せるから、なんてのは。

 いざとなれば脂肪吸引で脂肪を消せるから運動せず怠惰に暮らして良い、といってるのと変わらない。

 別モノと考えていたから気にしていなかったけど、その怠惰は俺の嫌いな思考だ。修正しとこう。

 

「ま、適度に休むよ」

 

 どれくらいの時間が適正かはわからないけど。

 

「でも金そこまでないし多少は許して~」

「なら日銭程度に収めること。あとその時は確実に倒せる楽な相手でね」

「はぁい」

 

――――――――――

 

「ヒイラギ、その人誰~?」

「今パーティ組んでる人。ヴィータって名前。あ、これはメイソンな」

「初めましてぇ。よろしくね」

 

 なんだろう、これ。

 修羅場的な?

 ……なワケ。どっちも俺のこと好きじゃないし。

 

「昨日来ないと思ったらその人と一緒にいたの~?」

「ああ。それでどうしたんだ?」

「……私もパーティ入る」

「とか言ってるけど?」

「アタシは良いよぉ? ヒイラギも経験積むなら人数増やして深くまで潜る方が良いだろうしねぇ」

「それもそうだな。じゃ、大丈夫ってことで」

 

 俺としては元々断る理由はなかったが、加えて俺の成長の糧になるならむしろ賛同だ。

 ヴィータがどういう反応をするのか気になったがそれも問題なく。

 メイソンは受け入れられて安堵したのか少し笑っていた。

 

「言っとくけど行くのは下だからな? 進行は俺の能力基準だからつまんないとか言うなよ?」

「そんなこと言わないから。そんな自分勝手に見える?」

 

 ハハッ、俺なら言うね、確実に。

 言わない可能性もあるけど組むのはそれっきりだな、うん。

 

「ま、良いなら俺も良いよ。それじゃあ行こうか?」

「わかった」

「行こ~」

 

 ……さっきのメイソンはなんだったんだ?

 単に俺が騙されてるとでも思ったのか?

 それとも手ぇ出しておいてすぐ違う女と一緒にいることに腹立てた?

 ごっめ~ん、こういう性分だから許して~。

 

「ねえヴィータ。ヒイラギとはどういう関係なの?」

「どういう? パーティメンバーってだけだよぉ? ……嫉妬?」

「ちがっ、ただ単に……手が早いって思っただけ」

「おう、ヤキモチか?」

「だから違うってッ」

 

 束縛するつもりかぁ?

 俺をかぁ?

 断固ヤダってモンよ。

 

「違うのか」

「違うらしい」

「そっか~、好きじゃないってことは一夜の過ち、肉体だけの関係ってことか」

「およ? 2人もそういう関係なの?」

「そ。くんずほぐれつでして」

「ちょッ、2人も、って。アンタ……」

「手が早いで正解さ」

 

 俺がゲラゲラと笑いながらそういうとメイソンからよくわからない感情が飛ばされる。

 

 ……オー、嫉妬?

 

「アタシは引いた方が良いのかなぁ?」

「そんなー。気持ち良かったし継続で」

「って言ってるけど?」

「……好きにしたら?」

「……混ざる?」

「はぁッ?! 今日会ったばかりの女2人を並べて同時に相手にするつもり?」

 

 欲求不満なのだろうと考え、特に理由はないが誘ってみた。

 多少の理由付けをすれば複数人でヤるのに興味があったからだろう。

 

「ん~、流石のアタシもそれは躊躇っちゃうな~。やろうか!」

「手のひら返す速度がはえーぜ」

「ちょ……私は……」

「え~、やらないの?」

「流石に知らない人が一緒なのは……」

「ちぇ~、また今度だな~」

 

 そんな雑談をしている間に下へとたどり着き、闇へと身を投じた。

 

「メイソンは変わった武器を使ってるんだねぇ」

「槍槌連杖(そうついれんじょう)。特注で造ったの」

「そういや依頼中にマトモに見る機会なかったな、それ」

 

 メイソンの扱う武器は少々特殊だ。

 基本形状は槍、けれど石打の部分が普通よりも大きい。

 なぜかといえば、武器の名の通りこれは槍であり、槌でもある杖だから。

 部位は3節。

 分ければ長・中・近距離の槍、中・近距離の槌。

 左右で異なる武器を扱えるし、1つになれば純粋な槍として。

 

「ま、私はあまり参考にならないね。ごめんね」

「基本の立ち回りだけでも充分だ。というかそもそも頑張って培ったモノを見せてくれるだけでもかなりありがたいし」

「幸せ者だねぇ」

「まったくだあッ!」

 

 そんな話の中、唐突にメイソンが槍を後ろへ振りかぶり、勢いよく投げた。

 

「――さて、ヒイラギは今の槍はどのくらい先に行ったと思う?」

「……」

 

 少なくとも俺の探知範囲にないってことは50は超えてる。

 で、その範囲と角度速度から考えて――

 

「100くらい?」

「ざんね~ん。130だよ~」

「え」

 

 歩き。

 そしてその言葉通りおおよそ130メートルほど離れた位置にメイソンの槍があり、そしてそこには2つに砕けたムカデの外骨格が落ちていた。

 

 計算がズレたのはどうでもいい、多分魔術だ。

 それよりも……130離れた位置のムカデに正確に投げた?

 いや、投げたってことはそれ以上の範囲に脅威がいないとわかったから。

 だから武器を手放したんだ。

 

「――」

「じゃ、私がどうやったか。これが今日の出題って感じかな~」

「ふっ、優しいねメイソンはぁ」

 

 少しメタ的にはなるけど、俺相手への出題ってことは多分俺の独力で答えが導き出せるハズ。

 これが価値観の違いを修正し忘れていて、こっちの人間なら常識だけど異世界人は知らなかったらどうしようもないが。

 そういうどうしようもないのは一度無視して、俺の知識範疇で考えるべきだ。

 

 まず、敵を察知するってのはどういうことかを考えよう。

 既知の五感プラス1の計六感。

 視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚・魔覚。

 視覚は使えない、完全な闇。聴覚は可能性あり。

 嗅覚は……保留。触覚は多分ナシ、味覚もナシ、魔覚は可能性大。

 順に嗅覚・聴覚・魔覚ってトコか。

 

「どうせだ、ヒイラギに良いオモチャをあげようじゃなかぁ」

「ん?」

「といってもムカデの欠片だけどね。それを戦ってない間、魔力弾を当て続けて宙に浮かし続けるんだ」

「なるほど。なるほど?」

 

 つまりはリフティングか?

 魔力を術式による変化を与えずに魔力単体で捻出、圧縮して射出。

 まあできなくはないけどリフティング苦手なんだよなぁ。

 体育の授業だと10回くらいが限度だっけ?

 

「がんばれ~」

 

 もうね、やることが多くて辛いよ。

 探知しつつ問題も解いて、リフティングもして、って。

 とりあえずしばらくは低めでリフティングするか。

 ……可能性の低い嗅覚。身体強化で嗅覚を強化すれば可能ではあるけど、可能性は低い。

 次点の聴覚。これは同じく身体強化でできるし、索敵が360度できるから問題なし。

 魔覚。探知っていったら真っ先に考えるのはこれだけど、どうやって?

 正直存在を知るだけの、索敵だけでも130はキツい。

 方向を絞る? それでも80か90程度。まだ足りない。

 

 探知をする際、その範囲を決める要素は複数ある。

 魔力を行き渡らすための――基礎的な魔術範囲。

 そして広げ、魔力を掌握し続ける――支配力。

 加えて大気の魔との干渉に負けない――耐久力。

 得た情報の取捨選択などの――演算力。

 その他様々だが。

 この魔の濃い場所では通常以上に難しく、耐久力は一朝一夕で身につくモノではない。

 魔術範囲も支配力も演算力も日々の鍛錬で地道に身につくモノ。

 普段全体に向けているそれらを一方向に集中させることで裏技(カンニング)的に拡張はできる。

 が、それでも限度はあり、倍までもイかない。

 

 ん~。

 ――っとと、アブねェアブねえ。

 落とすところだったぜぃ。

 ……索敵範囲を一方向に絞りつつレーダーのPPIスコープみたいに回して。

 そこから拡張ってどうやれば良いんだ?

 8か9で限界が――。

 

 そう考えて、ふと1つの疑問が生まれた。

 限界とは、なんなのか。

 

 魔力がそれ以上広げられなくなって、そこが限界になる。

 ならなんで広げられなくなるんだ?

 魔力が負けるから?

 どうして負ける?

 圧力のようなモノ、遠のけば俺の力が及ばなくなって。

 ……イメージを変えよう。

 魔力を砂として、索敵範囲を見える地面の範囲、と。

 魔から受ける抵抗は横から吹く風。

 距離が遠のくほどに風の影響は大きくなって、視界から外れる。

 とすれば必要なのは――。

 

「ちッ……」

 

 思考が巡る中。

 不意にムカデが現れた。

 

 ああ……邪魔だな。

 

 恐怖は当然なく。

 普段ならあれほど湧き上がっていた闘争心も湧かず。

 虚無と疎ましさが表層心理を埋めていた。

 

「――――死ね」

 

 周囲に気を張りつつも一気に駆け出し、ずっと魔力弾で弾いていた欠片を全力で射出。

 今の俺では精度など出せるワケもないが、相手は巨体。当てるのは容易だった。

 そして出せる瞬間威力によって跳ね上げられた頭の下に潜り込み、腹板の隙間に手を突っ込んで中に炎を生み出し、即座に離脱、内部で爆発させる。

 

「うぜぇ……」

 

 宙舞う欠片を回収し、魔力弾で弾く作業に戻る。

 

「えぇ……そういう素質の引き出し方なのぉ?」

「無我、って感じでもなかったよね~。邪魔されたからって感じの平坦な怒りって感じ。……ゾクゾクする」

「意図的にできれば良いんだけどねぇ。普段は楽しもうとする悪癖があるから……」

 

 なに考えてたっけ?

 あ゙~、もうッ!!

 忘れた!!

 ムカデのクソのせいだッ!!

 思い出せるか?

 索敵のことを考えてて、砂のイメージが……なんで砂のこと考えてたんだっけ?

 ……ああ、索敵範囲の限界についてだったっけ?

 で、そこを魔力を砂だの範囲を見える地面だのって。

 

 戦ったせいで抜け落ちた思考。

 どうにか連想ゲームで記憶を辿る。

 

 風を受けるから砂が流れて見えなくなる。

 遠くを探すってことはより高い位置から砂を落とすってこと。

 それを解消するには。

 …………だ~ッ、クソッ! 思考の加速が途切れたせいで発想が出ん!

 これもムカデの――

 

 ムカデのせいだ、もう一回爆死しろ。そう思考しかけた時。

 いや、正確にはその光景は想像した。

 内部に詰めた炎が膨張し、内部から炸裂。

 背板と腹板の境界で裂けると同時に体節で千切れる。そんな想像をし。

 

 ――ムカデのお陰だ!

 

 弾いていた欠片が砕ける。

 

「お?」

「気づいたっぽいね~」

「……こう? 違う、こう? ……こうだな」

 

 魔力を圧縮し、広げる。

 索敵に用いる魔力を伸ばす、その勢いをつけるために魔力を炸裂させる。

 イメージは靴に仕込んだバネ。

 脚力に加えてバネの反発力を利用するように。

 従来の魔力拡散力に、魔力の圧縮からの開放力を加える。

 

「へっ、思いつけばすぐかよ」

 

 距離140。

 そこにいるのがわかった。

 

「2体。合ってるか?」

「うん、正解」

「じゃ、今度はちゃんと見学しててね~」

 

 歩きながら近づく。

 すると70のあたりでムカデに動きがあった。

 

 ……なるほどな。

 20メートル以上も索敵範囲に差があったのか。

 あ~、虫相手に負けてたってなんかムカつく。

 

「同時に行くから」

「ちゃんと見てるよ~に~!」

 

 その言葉を発し、すぐ2人が加速した。

 俺では追いつけないほどの速度で。

 一気に近づき、ムカデの直前で急減速。

 ムカデが2人に反応して瞬間的な硬直をし、メイソンは横へと移動し、ヴィータはムカデの顎肢(キバ)を両手で掴んだ。

 

「こいつらは背板(うえ)と腹板(した)の間部分、横が弱点の1つ! だからこうすれば――」

 

 横へと移動していたメイソンが槍のリーチを生かして側面を切り裂く。

 

「けどそれは槍の長さあってだろ、って~? そんなこと、ないよ!」

 

 槍を分解。

 リーチを捨てた短槍を構え、魔力が収束させる。

 探知が、感覚が強く反応する強い魔力集束。

 そして届かない距離にも関わらず槍を振るい、斬撃が飛んだ。

 

「基本技能だから覚えてね!」

「――って、ヴィータぁ……?」

 

 ヴィータの方へと目を向ける。

 バカのごとくムカデと力比べをしていたのだろう。

 そして打ち勝ったのだろう。

 顎肢(きば)がもがれたムカデがヴィータの足に押さえつけられていた。

 

「まったく……同時に行くって言ったのにこっちのこと見てないから待つはめになったじゃないかぁ」

「ご、ごめん?」

 

 足の押さえを解き、ムカデの頭を足で跳ね上げる。

 

「こいつらは硬いからね。まず切っても! ――切れない」

「いや、切ってますやん……」

「ならどこを狙うか」

「あっ、ハイ」

 

 振るった大剣が硬さを無視してムカデの身体を斜めに切った。

 けれどヴィータの中では切れていないと扱うらしい。

 

「答えはここだね。頭の付け根。背中は重なってるからやるとしたら斜めに突き刺すとかだ。けど背中と頭を繋ぐこの境界部分は垂直に振っても――切れる」

「……あい」

 

 そこ、近づくの地味に難しくない?!

 跳んで乗るとしたらまず背中よ?

 頭近くに乗るって……俺は近くの脚ぶった切って安全にしてから首刎ねりゃいいのか。

 

「まあ、そこに行けるなら素手で千切る方が楽だけどねぇ」

「待て待て待て、そんな力は俺にはないッ」

 

 多分普通のステーキ肉だってムリ……いや、それくらいならイケるか。

 ゴブリンの首を素手で千切るくらいならイケそう。

 ……どうだろ? やったことないからわかんねー。

 でも少なくとも跳躍力の方はギネス余裕で超えるくらいは出せるし。

 腕力の方も可能性はあるか。

 

「ま、千切るのは冗談だよ。それできる力があれば素手で砕けるし」

「おおう、マジで砕いたよこの人……」

「ヒイラギもすぐできるようになるんじゃない? 私だってできるしね~」

「できるのはいつになるやら……」

「頑張れ~」

「頑張れぇ」

「はいはい……」 




 読み分ける簡単なポイント
メイソン:一人称「私」・語尾が伸びるとき「~」を使いがち・なんとなくギャルっぽい言葉遣いをするときがある
ヴィータ:一人称「アタシ」・語尾が伸びる時「ぁ」とかの小母音?を使いがち・なんとなく大人びてる感じの言葉遣いをするときがある・フレンドリーな感じがする

 正直作者も区別はよくわかってない
 あくまでもその人間の成長過程で会得した個性としての言葉遣いだからね
 作者が判別するためにポイントまとめたともいう
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