固有能力は【洗脳】 ~エロ目的に使うしかねえ!~ 作:レイジー
……何故に?
まあ、嗜好が広いのは良いことよね
「せやァッッ!!」
武装強化によって拡張された攻撃範囲によってヨーウィーの首を刎ねる。
個体によっては1メートルほどある体高。姿形はおおよそトカゲのようだが魚のようなウロコが生えていて尾は蛇のようでありつつもムカデやカブトムシのような節を持った3対の脚。
トップスピードの比較であれば俺の負けだったが、どうにか勝ちをもぎ取った。
「第二層も平気そうだね~」
「まあ、な」
「ヒイラギって一気に決めたがるね。戦闘狂のくせに」
「首刎ねたり魔石砕いたりは普通じゃないのか?」
単純な速力だけなら俺が劣るが、動きの練度が勝敗を分けた。
先読み、誘導、簡単な話だ。
正直小学生のころ、体育の授業でやった鬼ごっこを思い出せばそれで事足りる。
知能がそこらと大して変わらない。多少の考える力はありそうだったが、唐突なことに思考が回らないから魔力弾を飛ばして驚かせれば思考を刈り取れる。
あとは、軽い先読みなんかで終わりだ。
「それにしても、ヒイラギくんって意外と動けるんだねえ」
「怒ればいいのか喜べばいいのか……。ま、単純に貰った助言をちゃんと使ってるって話だよ。あとは寝る前に瞑想したり」
瞑想。
以前は意味がなさそうだとバカにしていたが、思いのほか有効だった。
その日の戦いを振り返るだけでも記憶の定着には有効だし、思い出しつつ敵の動きを分解して収集することで次以降の戦いにも役立ち、イメージトレーニングもできる。
それに、イメージトレーニングによって鍛えられた想像力は魔術を発動する時にも使える。
「お? 鱗がいっぱーい、脚部も二本残ってるけど……細いし使えなさそう」
「錬金術には使えるから換金できるぞ」
「ほへー、そうなのか。最近モンスターの換金系の勉強はおろそかになってたから知らんかった」
回収回収ぅ、っと。
……中に地味に肉詰まってるな、ほじくるのもメンドイしこのままで良いや。
「そういえばさ、ここのモンスターって食えるの? 地上で見ないけど」
「……食べれるには食べれるけど、食べたいのぉ?」
「や、単純な疑問として。まあ機会があれば試すくらいならしようとは思ってるけど」
そーいや、ゲテモノではないけど昔修学旅行で食ったワニ肉美味かったな~、小学校の頃だっけ?
金持たせられないと思ってたけど外聞気にする親だったから普通に買い食いできて良かったわ。
「基本的にここのモンスターって毒はないし、あっても加熱するとかその部位を避けたら食べれるとは聞くわね~」
「ほぅ……」
今度1人で潜りに来ようかな?
ぶっちゃけ、パーティってメンドクセェんだよなぁ。
経験効率は良いけど、団体行動って向かんわ~。
ちゃっちゃと進みたい。
話して気がまぎれるのは良いけど。
「……っと、なんか多いな」
「迂回――」
「冗談。戦うだろ。逃げたきゃドーゾ」
敵がいるってわかってるのに逃げるかよ!
「ヒャッハー!!」
身体強化。速力を高め、一気に距離を詰める。
「どうするぅ?」
「ま、できるんじゃないの?」
「体力配分の練習ですねえ」
――右行って切ってそのまま左ッ!
起こす思考加速。
敵の数を、位置を、動きを把握し、行動に移す。
速度を右脚で一気に殺し、膝を沈めることで吸収し、全身の筋肉を稼働させてムカデの首を刎ねつつその首が落ちるよりも早く吸収した速度をバネのようにして再加速。
生み出した短剣を魔石の位置へと突き立て続けた。
うん。結構イケんね。
この
新装備の
正式な名前は『
魔力が続く限り残弾の尽きない攻撃手段だ。
「ラァァァ、ストッ!!」
最後。
殴りつけで頭をかち上げ、降りてきた頭に回し蹴りを入れて首を吹き飛ばして終わった。
「ふぅっ。中途半端に知能があるのがいるからいくらか逃げられたな……」
「60点」
「78点」
「66点」
「いきなり何さ……」
「減点方式で動きの荒い部分を数えた」
「うっす……」
まあ、そりゃそうよなぁ。
勝てたからって完璧ってワケもなし。
けど、前ヴィータが言ってた30点に比べたら48点の上がり幅だし、なかなかの成長なのでは?!
たしかあれは……4日前だから、うん、中々では?
……いやいや、油断はイケませんわな。
「じゃ、次――」
「待って。今日はもう終わり」
「え~っ!?」
「もう持ちきれないからねぇ」
「……仕方がない」
よぅし、今度一人で数日潜りに来よ~っと。
――――――――――
「てれってってってて~れ、てれってってってて~れ――」
鼻歌交じりの街散策。
目的はしいていえば3人へのプレゼントだろうか。
メイソンには既に渡したが、新たに2人加わったということでちょうどいいだろう。
金も最近はそこそこ余裕が出つつある。
なんだかんだいって俺を好いてくれているのだ、それなりの感謝は示しておこうと思った。
「ウマウマ」
適当な店で買ったトルティーヤ的な軽食を食べながら街を歩く。
こうも店が多いと目移りをしてしまいそう――
「っとと、ごめん、よそ見してた……」
「いや、俺も悪かった。ケガはないか?」
不意に誰かとぶつかり、その人物の姿を見て、眼が惹かれた。
別に見惚れたということはなく、そもそも相手は男だし、俺は男色の趣味は持っていない。
ただ、単純に彼が珍しく感じた。
鮮やかな紫の長髪、青白い肌、童話の魔女のような鷲鼻がちな鼻、歪に斜め上へ尖った耳に、滑らかな大角。そして声がとても渋かった。
イケボ!?
男の俺でも聞いてて『良い』と思える声だわぁ。
「……どうした? 大丈夫か?」
「あ、ああ。いや、中々良い声してたからさ。うん、大丈夫、平気平気」
「ははっ、良い声だなんて変なヤツだな。でも無事なら良いんだ、それじゃあな。お互い気をつけよう」
「ああ。お互いな」
ん? 落とし物?
中は……なんだこれ、緑の布? と木片?
なんか御守りか?
……ヤッベ、御守りって中身見ると効力なくなるとかいうよな?!
魔術が実在する世界でこれはちょっとやらかしたかも……。
せめて綺麗に戻して――。
「やっぱり落としてたか」
「!? ああ、これお前の?」
「ははっ、いきなり話しかけてすまないな。……中、見たか?」
「い、いや。見てない見てない。うん」
……はい、流石に嘘ってバレますよねぇ。
「ごめん、何かと思って開けちゃった。まさか御守りとは……」
「――ああ、まあ気にしなくて良いよ。効果があるとは思ってないからな。ただの思い出さ」
「そっか」
「じゃ、今度こそ」
「おう。今度は落とすなよ」
そうか、御守り。
なんかそういうガッツリ探索装備って感じの魔道具じゃなくて、御守りっていう手もあるな。
そっちのが『俺はお前の幸せを想ってるんだぜ』みたいな雰囲気を出せて好感度上げれるんじゃねえの?
良い考えなんじゃねえの?!
善は急げならびに思い立ったが吉日。
俺はただのぶらり散歩から目的を得たことでそういう店に焦点を向けることにした。
ついでにこの国の文化的な部分も知れるいい機会だ。
「これ、どういう御守りなの? 普通に削った魔石のアクセサリにしか見えないけど」
「? ああ、アンタ異界の民かい。この国じゃ黒ってのは縁起が良いとされてるんだよ。だからこうして真っ黒な魔石を綺麗に整えて身につけられるようにしてる、ってワケさ」
「ほ~。なるほどね」
黒水晶みたいでありつつ中に白いキラキラが入ってるから宇宙か何かかと思ったけど、単純に色ね。
黒が理由ね。
……魔道具と見た目そこまで変わらんやないかい。
「だからやけに黒の商品が多いのか。黒好きだから良いけど」
黒、良い。
なんせファッション的に汎用性が高い。
基本どんな色と合わせても合う。
よし、黒系のアクセサリでも買うか。
「星、星か……」
これ、結構良いんじゃないのか?
龍を撃退したっていう星の伝承から考えて神星教以外でも星は良いモチーフなんじゃない?
「……葉っぱ、しかも柊だ」
いや、正確には柊じゃないのかもしれないけど、同じような形の葉っぱか。
なんか縁を感じるというか、コレも良いかも。
「これとこれ、全部くれ」
「全部? 随分と気に入ったんだねぇ」
「はい、金」
「はいよ、うん、足りてるね」
……そーいや、結局俺の柊って名前はどういう名付け理由なんだろうな。
自分の名前の由来を調べる宿題あったけど聞けなかったんだよねぇ。
適当に先見の明だとかの花言葉で乗り切ったけど、ぶっちゃけなんで柊っては未だに思うんだよなぁ。
俺の誕生日の7月11日と一切関係ないって、誕生花としても11月8日12月7日12月25日。
……うん! 未だにわかんねーや!
「他、なんか買うモンあるかな~?」
自分のことはさておき、興味の向くまま街を歩く。
が、今いる場所で考えるとそこまで欲しいモノは見つからないだろう。
「本でも持ってくればよかったなぁ……」
気づけば商業区から外れ、見知らぬ場所に来ていた。
とはいえ進めば良い方向自体はわかっているから迷子ではない。
来た道も憶えている。
空気が乾いてると結構過ごしやすいんだなぁ。
ホント、太陽も風もちょうど良くて、外で本読むには絶好のタイミングだわぁ。
「――疲れた」
眠い……。
――――――――――
「――い。お~――ぇ~」
「んぅ……何?」
「あ、起きた」
人がせっかく気持ちよくオネンネしてたってのに……。
「こんなところで寝てたら何か盗まれちゃいますよ~」
「……大丈夫、盗まれてない」
「えぇ……わ、私が盗んじゃいますよ~?」
「見つけ出して犯しちゃいますよ~? 眠いからほら、どっかいった……ぐぅ」
「こ、この人変ッ!?」
二度寝させて……。
てか今、人と話したくない。
最近人と交流してばかりで疲れてるのよ。
今までの人生でほぼ交流してこなかった人間ぞ?
「……」
「……」
「どっか行けオラ」
「ね、寝ないのかな~、って」
「寝たいから――だぁッ! お前のせいで眠気吹き飛んだわ!」
「良かったですね! 明るいうちに寝ちゃうと夜に寝れませんもんね!」
「――」
こ、コイツは正気なのか?
何かヤベー女なんじゃないのか?
会話が……成り立たん気がする!
「?」
「……はぁ。で? なんの用さ」
「??」
「用事は? 何か理由があって声を掛けたんだろ?!」
「ああ! えっと……丸刈りにして良いですか?」
「――はぁ?」
う~ん、このイカれ具合。
どう対処すれば良いんだろうな!?
ホント!
困っちゃうな!?
「お兄さんは異邦人、ですよね?」
「まあ、うん。異世界から来たよ? 2週間とちょっと前に」
「変異途中――まあ、もうほとんど変異しちゃってますけど。異なる世界の素材が欲しくて……」
「やだよ。なんでハゲにゃならんのさ」
「? 禿げませんよ?」
「慣用表現が通じねえ……」
なるほど。
単なる非常識なんだな!!
坊主をハゲと呼ぶ慣用が通じず、頭を抱える俺。
といっても坊主自体が丸刈りの慣用なのだが。
「丸刈りはイヤです、それをして俺に利点がありません、俺にとってお前は不審者です、用途もわかりません。その他もろもろの理由によってお断りだ。以上!」
「なるほどなるほど。ではそれらが解消できれば良いということですね!」
「え」
「では髪は少量で構いません! 代わりに尿や血液、唾液、精液などをいただきたいです! 可能な範囲で対価はお支払いいたします! 私はグラムテカから来たサロメって言います! 学生証はこれです! 用途は研究です! 異次元・異空間・異世界などの研究です! どうでしょうか!?」
「……学生証見せて」
「どうぞ!」
本物知らねー。
まあいいや、一応写真撮っておくか。
え~、っと……何処入れたっけ、
……あった。
「パシャっとな」
「わぁッ! なんですか今の!?」
「写真だよ。光をなんやかんやしてその瞬間の光景を保存する」
「なるほど? なるほど!? つまりは――簡単に作れそうですね! でもその大きさで実現しているのは凄いです!!」
「……興味が湧いたなぁ」
カメラが、簡単。ねぇ?
俺も銀塩のヤツとかの一部しか覚えてないけど、それを今の話だけで。
ただ一言『実現可能』ってだけで理論を組み立てたのはスゲーな。
化学寄りなのか、魔術寄りなのかは知らんが。
「少しくらいなら良いぜ?」
「本当ですか!? ヤッター!」
「ただし、条件がある」
「お、お金はあまり持ってませんよ?」
「いらん、自分で稼ぐ。……そのうちグラムテカに行く、その時研究結果を教えろ、あと何か面白い魔道具作ったら買わせろ」
「え? それで良いんですか?」
「あ、当然だが魔道具は値引けよ」
「基本ガラクタなんで値がつくだけでも嬉しいです!」
「ガラクタかよ」
「はい! タダが良いですか!? それでも良いですよ!!」
「いや、欲しいと価値を認めたら買う。んでもっと良いの作れ」
「は~い!」
グラムテカは1つ北に進んだ先の街。
そこから研究材料を探し求めて、俺を見つけたというある種必然なのだろう。
何せ恐らく現状で王都から出ているのは俺以外いないだろうから。
「いや~! てっきり身体を求められるかと思いましたよ~!」
「ついでにそれも要求してやろうか?」
「研究資金をくれるなら良いですけどそうじゃないならイヤで~す! お金がないならせめて学術的なお話が出来れば考えますけどね!」
「お、おう……」
清々しいね!
むしろ好きよ?
「では! 私の家に行きましょうか! そこで採取させてもらいますね!」
「はいはい」
父:直木
母:冬美
木です、冬です。合体! 柊です!
意外と簡単な部分に気づかないことってあるよね、盲点だね
まあ、ヒイラギくん、両親の名前一切憶えてないんだけど!
あと、関係はないけど孕んだのは11月頃
ヒイラギはちょっと早めに生まれたボーイ