※この作品はR-18です。

固有能力は【洗脳】 ~エロ目的に使うしかねえ!~   作:レイジー

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主人公のちょびっと
 ヒイラギは料理が得意
 以前家で料理を作っていたのは以前作中で示した通り
 そしてヒイラギは幼少期から家を出ることを決意していたからその時へ準備
 料理の腕滅茶苦茶上げて舌肥えさせて、家出た後の人生で食事を退屈に
 を心掛けて料理は頑張ってた。人生で必須な食事を退屈にする系拷問
 なお本人はバカ舌だからなんでも美味しく感じられる模様
(美味しいの優劣はある程度できる)


第四話 前触れないぜマイライフ

 今日もお仕事頑張るゾイ~。

 

「――ら、――ってるば――って!」

「んぉ? 面倒のよっかーん」

 

 翌朝、徘徊を終えてギルドへ向かうと聞きたくない声が聞こえた。

 声、というよりは言葉。言葉、というよりは言語。

 こちらの言語ではない、言い換えれば日本語。

 つまりは同郷者がそこにはいた。

 

「俺らだって生き物殺したくねーのは同じなの! けど俺らが生きるためにはそうしねーとやっていけねえんだって! 散々話し合ったのになんで今更っ!」

「……おおう、色々言いたいことはあるけど、ここでするなよ」

 

 ツッコミどころが多すぎるぜぇ。

 ……てか入りづれぇ!

 

「ねえ」

「ぅぃッ!?」

「邪魔」

「あ、ごめんなさい」

 

 背後の少女。

 フードを被っていてほとんど顔は見えなかったが、隙間から覗いた髪色は緑、瞳は赤。

 そんな彼女は入り口の俺に面倒臭そうな声を向けていた。

 

 いきなり後ろから声かけられてビックリしちゃったじゃんよぉ。

 でもま、そりゃ邪魔だわな。

 入り口で立ち尽くすって、中々妨害行為だし。

 

「……俺も普通にやってよっと」

 

 ギャーギャーとうるさい同郷組を無視して受付へと向かった。

 今日は休みなのかフェーニャンの姿はなく、代わりに彼女と親しくしていた記憶のある人が彼女のいた受付に座っている。

 

「良い感じの仕事ない?」

「おや、確か……ヒイラギさん。曖昧な要望ですねぇ、貴方が望みそうなものはありませんよ。王都近郊は比較的平和ですから」

「そっかぁ。じゃ、今日もゴブリン殺しになりますかねぇ」

 

 名前の知らない男の受付。

 けれど相手は俺のことを知っていた。

 仕事だからだろう。

 

「なあ」

「…………なんぞや」

「長井だよな?」

「あ~、はいはい。ナガイヒイラギクンデース」

 

 誰だっけ、こいつ。

 見覚えはあるけど記憶にゃねーや。

 

「俺たちと――」

「おっこと~わり~。ムダなことに時間費やして昨日一昨日と何もしてない素人童貞クンと遊ぶ気はないのダヨ。んじゃ~な~」

 

 今日1日、ちゃんと戦ったら考えてやんよ。

 ま、ゴブリン殺すのに躊躇してる奴なんて足手まとい確定だろうけど。

 

「ちょっと待って」

「……なにさ」

「助けてとは言わない。代わりに教えて」

「えぇ……」

 

 代わりに、って……それ俺にメリットぉ……。

 ドアインザフェイスですかぁ?

 どっちにしろ相手したくねー、けどしなきゃメンドクセー。

 

「アンタが魔石ってのを換金してるのを見た」

「金はやらん!」

「違う……。アンタ、モンスターを殺す時何考えてる?」

「特に何も?」

 

 変なコト聞くね。

 

「何も、って……そんなわけないでしょ」

「あのさぁ。血ぃ吸う蚊を潰すだろ? 鬱陶しい羽虫を潰すだろ? そういうことだよ」

「そういうこと、って……何も思わないワケ?!」

「だからそう言ってんじゃん。てかさぁ、ハンバーグ食う時に死んだ生き物のこと考えるか? てかよぉ、生き物を殺すのがダメっていうなら、殺すために生かして育ててる豚だの牛だのの方がよっぽど残酷だろ? でも一切考えずに生きてるワケじゃん。それに道歩くときにアスファルトの素になった原油――太古の生物に想い馳せるか?」

 

 そもそも人間なんて意味もなく。快楽目的で他の命を奪うだろ。

 小学生見てみろよ、アリの巣に水流し込むぞ?

 昭和なんてカエル爆竹とかやってたんだぞ? んでその時代の人間にお前ら育てられてんだぞ?

 カエルの子はカエル、ってな!

 

「抱えた行動原理の矛盾は重要な局面で足枷になるだけだぞ~、っと」

 

 もうこれ以上付き合ってやる義理はない。

 多少相手はしてやったが、それも俺のため。

 俺が向こうをどう認知しようと、この国からすれば俺もアイツらも同じ『異世界人』。

 アイツらの引き起こした不都合は俺にも同じ目を向けられる可能性が高い。

 俺が一角(ひとかど)の人間として活躍すれば別枠として見られる可能性はあるが、それでも俺がそうなるまでの期間はどう足掻いてもそのレッテルからは逃れられないだろう。

 そしてアイツらの引き起こす問題・面倒というのは適応するまでの初動時期に集約される。

 だったら面倒を減らすために多少の労は割くというモノだ。

 多少の意義はある。

 

「おーっす、オッサン今日は頼むぜ~」

「おう、坊主か。昼の鐘で休憩だからそんくらいに来いよ~」

「ういうい」

 

 今日はゴブリンついでにもう少し奥まで行ってみっか。

 

 森を進む。

 森の中には細かな川がいくつかあり、その多くが海へ直接は繋がってはいないらしい。

 なんでも、かつて存在していた龍が掘ったという地下の大割(おおさ)けに流れ込んでいるという。

 その大割けは複雑な構造らしく、一部は海へと。そして一部は逆流するように北上している。

 北上した水はルートヴィヒ国内の、ちょうど中央付近を東西に位置した地龍の通り道(アヴァムギーヴ)なる渓谷? 峡谷? に流れ着き、そこを流れて行くのだとかなんとか。

 

「オラァッ!! ぶっ潰れろ!!」

 

 膝まで程度の体躯でちょこまかと動くゴブリン。

 1体の頭を蹴り潰し、1体を蹴り飛ばす。

 小さいといっても肉塊(せいぶつ)。相応の重量があり、普通ならばそれは不可能か、あるいはリミッターを外した自滅と引き換え。

 だができた。

 理由はこの世界に存在する魔力(マナ)という存在。

 魔力を身に纏い、操作することで身体強化を行う。

 強化された肉体と、小柄ゆえの元々の頭蓋骨の薄さ。

 ゴブリン程度なら容易に殺せた。

 

「そもそも、根底に人間に対する殺意を持ってる存在相手に躊躇する理由ってなんだよ」

 

 モンスターは総じて人間を殺す。

 例外はなく、会った瞬間殺意を向けられる。

 強いモンスターはある程度それを制御し、理性的に行動できるらしいが行動原理が殺人であることに変わりはない。

 なぜそうかは俺にはわからない。

 この世界でそれが突き止められているのか、そうじゃないのか。

 正直それは俺には関係ないし興味もない。

 敵として存在する。俺にとってはただそれだけで血を吸うから、鬱陶しいからと殺す虫と変わらない。

 

「奥行けば――ん?」

 

 歩いていると不意に気配を感じた。

 魔力制御の訓練として周囲に掌握できるギリギリ限界まで薄めた魔力を広げていたらそこに他の魔力の感触があった。

 気になってその方向を見る。

 けれど何もいない。

 

「気のせい? ……いや、何かいたのか」

 

 何か。

 誰か。

 足元を見ると夜雨で濡れた落ち葉が広がっていた。

 

 なんだ、この違和感。

 ……何か、変だ。

 ……落ち葉? 落ち葉があるのは普通だ。

 そう、落ち葉。

 

 違和感の正体がわかった。

 広がった落ち葉、その一部が不自然に乾いていた。

 より正しくは『濡れていなかった』のだ。

 表の面が濡れ、裏は濡れていない。

 そうなるのが自然で、けれどこの一部だけが不自然だった。

 

「獣が通った、違うな。それじゃこうはならない。――」

 

 落ち葉に更なる何かが。

 そう考えて、落ち葉に手を伸ばし、陰を見る。

 

「ヒヒッ、気づかなけりゃ死なずに済んだのになぁ」

「――」

 

 首筋に、冷たい感触。

 視線だけをゆっくりと向けると、そこにはひどく刃こぼれをした白刃が伸びていた。

 

「誰、って聞いていいかな?」

「ああ? わかるだろ、お前を殺す盗賊だ!!」

 

 動きを感じた。

 咄嗟に前に転がり、首筋の切り傷だけに留めた。

 

「あぁ……面倒だ。俺の悪い癖だ……殺されると気づいた奴の恐怖に歪んだ顔が見たくて姿を見せちまう。そして悲しいよ。お前は俺に恐怖(かお)を見せてくれないんだな……」

「そうだな。悪癖だ。お前はそのせいで失敗するんだから」

 

 退屈を示す眼差し、加虐に歪んだ口元。

 狂気が涙として流れていた。

 

「は、ははは! 死――」

「『動くな』」

「ね……」

 

 ホント、バカだろ、お前。

 素直に殺してりゃ俺は気づかず死んだってのに。

 

「あと、俺が剣を突きつけられた程度で怯えるかっての」

 

 で、どうすっか。

 

「『質問に答えろ』……何者?」

「盗賊」

「……そーいうね。あ~、ん~、あ~……仲間はいるか?」

「塒(ねぐら)にいる」

「数は?」

「10人」

「旅商人から金品を奪っているのか?」

 

 正直考えにくい。

 この世界――この国は前の感覚ほどそういった行為が簡単ではないからだ。

 まず第1に強奪行為の難しさ。

 モンスターがいるこの世界ではどこを歩くにも基本は危険が付きまとう。前の世界の中世、オオカミに襲われるなど目ではないレベルで。

 だから一般人はあまり街から出ないし、出るのはそこそこ以上の商人や商会。

 そしてそうなると開拓兵に目的地までや経由地までの護衛を頼んだり、独自の衛兵を組織していたりする。

 盗賊は本来それを本職とする生き方ではなく、本業の稼ぎが少なかったりするからそれに堕ちる。

 つまり二足の草鞋であり、戦いを本業とする開拓兵や衛兵に叶うワケもない。

 まして魔術を学んだ開拓兵や衛兵と、魔術をあまり学べない一般人もどき。

 俺のような見習いならともかく、それ以外では強さの格が違う。

 

「街で屋敷に盗みに入ったり、人を攫って他の街に送っている」

「人攫い? 奴隷じゃないのか?」

「俺たちは知らない」

 

 人の繫がりが強固なこの国にも『奴隷』というモノはある。

 表立っては1種類。

 けれど実態は2種類。

 表の1種はそこそこ大きな犯罪を犯し、村八分ならぬ国八分となった奴隷。

 そして裏の1種は犯罪者によって不当にさせられてしまった奴隷。

 違法な奴隷は表でも売られることがあり、1度そうなると国側としては犯罪歴のある奴隷か違法奴隷かがわからない。

 奴隷にさせられたときにそういう『加工』が施されるのもそうだし、国としては前の世界のような情報網が発達していないから事実上調べることができない。犯罪をまとめた書類はあっても容易に確認が取れない。

 

「ま、犯罪者ってんなら殺しても良いんだけど。報奨金とかもらえそうだし生かして金搾るか」

 

 自分のことは棚に上げちゃおうね~。

 ま、罪ってのは咎められてこそ、だ。表沙汰にならなきゃ俺は善良な市民ってなモンだ。

 

「ザルな自分を悔いな。じゃ、『キミらのアジトまで案内よろ』!」

 

 そう命じて俺はその男に担がれる。

 気絶しているフリをして。

 塒(アジト)へと潜り込む。

 

「白い鉄砂」

「青い血」

「天立つ男の聖遺物」

「地に立つ女の持つ戦斧」

「広がる赤」

「空舞う龍は」

「虚空へ吼える」

 

 川を吐く岩壁。

 そこへ突然話しかけた男と。それに応じて現れた謎の声。

 やりとりののち、岩壁が崩れて消え、俺を担いだ男が中へと入ると再び岩壁が陽光を阻んだ。

 

「おい、それなんだ?」

「ああ、なんでも昨日からここらの違和感に気づいてたらしくてよ。どこに情報吐いたかわかんねーから吐かせようと思ってな」

「マジか……。最悪ここ捨てなきゃかよ。ったく、誰だそんなヘマしやがったのは」

 

 道中で男の記憶は少し操作しておいた。

 俺は異変に気づいて意図的に盗賊たちの正体は知らないまま盗賊たちのことを調べに来た開拓兵、という設定で。男はそれを知って俺を拷問にかけようと思っている、という設定。

 

「なあトム、奥空いてたっけ?」

「あ~、空いてはねえな。街からガキ攫って来たからバカどもが楽しもうとしてんだ。ったく、何に使われてんのか知らねえから価値下げる真似はすんなって止められてんのによ」

「クハッ、なら俺はそのガキの前でコイツをいたぶってそれに怯える顔でも見るかねぇ!」

「相変わらずヤロの趣味ワリーなぁ……」

「ついでだ、そいつらにも注意してきてやるよ」

 

 門番的立ち位置の男は光源を持って俺の顔を照らす。

 ジロジロとみて、光源を目の前で揺らし、光源を首筋へと当ててきた。

 

「ッ……」

 

 首筋が焼ける。

 表情が歪む、声も呻く、けれど起きていることが悟られないように演技を続けた。

 

「いいね、こういう不健康そうなガキはそそるぜ」

「俺としちゃお前の趣味の方が理解できねぇよ」

「あとで愉しみたいし顔は潰すなよ~」

「へいへい」

 

 ゾッとしたぁっ!?

 す、スゲーぜ俺。よく身震いするの耐えた俺ぇッ!

 

 通りすぎる時に半目で見たそいつの姿はなんとも汚らしい痩せぎすの男だった。

 形容するなら縦に伸ばしたゴブリンだろうか。

 今担がれている男も少し不潔で臭いが、今のホモ男はそれ以上に汚い。

 せっかく川が洞窟を流れているのだから身を清めれば良いのにと思うが、そもそも清潔にするという概念がこの男たちにはないのかもしれない。

 

「よっ、っと」

「ぐァッ!!」

 

 話していた『奥』に着き、投げ込まれる。

 尖った地面に叩きつけられるように落とされ、声が出た。

 

「なんだソイツ」

「俺らのこと嗅ぎまわってた開拓兵だ。調査書持ってたし見習いだろうな」

「なるほどな。ったく、どこの間抜けが痕跡残したんだか」

 

 答え:君たちのお隣さんで~す!

 

「じゃ、痛めて吐かせっからよぉ、そいつに見せつけようぜ。どうせそのガキじゃ愉しめねえんだから」

「良いぜぇ。オラッ、起きろ女ァッ!」

「ぅぎゅッ!?」

 

 横たわっていた少女が蹴り起こされ、少女からは可哀想な声が出る。

 悪臭から察してはいたが、男たちがはけて姿を現した少女は白濁の粘液を浴びていた。

 価値を下げる、という話をされていたのを考えるに中までは手は出されていないのがせめてもの救いか。

 

「逃げよう、なんて思うなよ? ンなことしたら、このニーチャンみたいになっちまうって、同じ目に遭うって、今から見せてやるから、な?」

 

 にこやかに、白髪の少女は髪を荒く掴まれ俺の姿を見せられていた。

 そんな少女の目の前にいる俺は、少女を見ていた間に腹へ一発攻撃を受けてしまう。

 

 ッッ――!

 咄嗟に腹に力入れたとはいえイッテぇ……中身、出そう……。

 

「オイオイ、腹に力込めんなよ~? ンなコトしたらつまんなくて――こうしちまうからよォッ!」

「ゥッ、ア゙ァ゙ッッ!!?」

 

 動けないように掴まれた両手。

 開かされた指が1本、蹴り踏み折られる。

 足で折られ、岩壁で割けた。

 そうして、もう1本。

 

「オイオイ、ちゃんと喚いてくれねぇとあのガキちゃんに恐怖を叩き込めねェだろォ? ちゃぁんと、叫んでくれよォ。お口、ついてるぅ? キミのお口はヤロのチンポしゃぶるためのモノですかぁ?」

「ギャハハッ! そいつは面白れぇな! アイツのしゃぶるのと死ぬの、どっちが嫌だろうな!?」

「俺なら死ぬ方がマシだ!」

「ちげぇねえ!」

 

 下卑た笑い。

 だが俺の眼にジッと見つめられていることに気づいたらしく、笑いが一気に止まる。

 

「おい、余裕ぶってんじゃねえぞ。お前は――」

「『動くな』。――ッア~、イテェわぁ……」

 

 指示通り止まった男たち。

 俺は拘束から抜け出し、指についた靴と岩の汚れを水魔術で洗い流して、魔力で指を圧し固めて形状だけは元に戻した。中身は知らない。

 

「あ~、『今からお前たちはそことそこの岩壁を俺とその子だと認識して、今いる2人の姿は認識できなくなる。それぞれの岩壁に触れればそれぞれの感触と認識し、蹴れば人間を蹴っているという幻覚を覚える。認識した状況はそれぞれ共有のモノである』――はい、『動いて良いよ』」

 

 男たちが動き出し、男の1人が俺のいない俺であろう岩壁を蹴る。

 

 勝手にやってろ。

 

「は~い、洗い流すから目、閉じてね~」

 

 片方で水を、片方で火を生み出し、合わせて調温をする。

 軽く温かくなったら少女にかけ、汚れを落とす。

 攫われて数日が経っているのか酷く汚れていて、何度か繰り返してお湯の黒ずみはなくなった。

 

「その服ばっちいし、脱いでこれ着な」

 

 美少女のぶっかけ。

 ……それだけならちょっと興奮したんだろうけど、生産者表示は萎えるわぁ。

 

「あ、ありが、とう、ございます……

「あ~、うん」

 

 ごめんねー、基本思考がエロによるタイプなの、俺。

 

「ところでさ、そこに――5人。入り口に1人。あと4人どこいるかわかる?」

「え、っと……多分、奥だと思います」

 

 ……ダメだ、集中できない。

 

「水、出すね? うん。あの、通路出て耳塞いでおくから、吐きたいなら吐いていいよ」

「…………はい」

 

 いかにも唾液飲み込みたくありませんって感じで口に溜めこまれると話すに話せん……。

 

「じゃ、水いっぱいおいとくから」

 

 そういって土を操作して作った薄めのコップに水を入れたモノを複数用意し、外へ出る。

 そして、中から少女の吐き声がこだました。

 

 スマンな! 名も知らぬ女の子!

 流石に敵のアジトで耳塞ぎはできんわ。

 ……吐き声、ちょっとエッチかも。

 

「おーい、そろそろ俺も――テメ――」

「『黙れ、動くな』。あ~もう、萎えチン。萎え萎え」

 

 勃ってないけど。

 

「あり、がとう、ございました」

「……ついて来る?」

「……はい」

 

 ま、流石にあんな野郎どものいる場所で待つのはイヤだわなぁ。

 

「……『キミは俺によって生じる違和感を都合よく解釈する』」

 

 知られるのも面倒だ、これがいい。

 多分長持ちするタイプじゃないけど、ここ出るまで持続すりゃ良いや。

 

 少女に【洗脳】をかけ、奥へと進む。

 

「……5人、かぁ」

 

 うん。そうだね。

 聞き方的にそれが正解だわ。

 仲間数聞いて、10。だもんね。

 自分含めて10人じゃなくて、そりゃアジトにいる数答えるわな。

 

「……殺せ!!」

「おっ、判断イイネ」

 

 見慣れない仲間以外の人間。

 そう判断した瞬間に前触れなく殺しに掛かってくる。

 その指示を出せる。

 実に優秀だ。

 けれどそんな正解は容易く捻じ伏せられる。

 

「『待て』――ヤベッ」

 

 待機していた魔術に後続して【洗脳】。

 風で矢を封殺したつもりだったが、出されたのは投石。

 質量物相手には風力が足りず、投石は風を突き抜けて襲い掛かってきた。

 

「――ッぅ」

 

 少女に当たるコース。

 咄嗟にキャッチしようとして、風で乱れた軌道で受け止めきれずに手に当たって後ろに弾くことになった。

 

「だっ、大丈夫ですか?」

「あ~、うん。ヘーキヘーキ」

 

 くっそ、軌道的に仕方なかったとはいえ裂けた指に直撃ツレェ……。

 回復薬(ポーション)飲もうにも骨折れてるから低級じゃミスの可能性高いし……クッソ、これならサイカからもうちょい高いの買っとけば……。

 

「『答えろ』。向こうに6人、ここに5人。これで全部か?」

「ああ、そうだ」

「よし。んじゃ、他に攫ってきた奴は?」

「最近攫って来たのはそのガキだけだ」

 

 最近。

 てこたぁ、もうどっかに引き渡された後か。

 

「……あ、そうだ。犯罪行為で入手したモノ、今手元にあるか?」

「後ろの部屋に、ある」

「ほぉ、んじゃお宝拝見すっか」

 

 指さされた部屋。

 そこには高価そうなモノが置かれていた。

 あるのは剣、防具、アクセサリ。

 多少の金銭もあるが、ほとんどはその3つ。

 この国は今はモンスター、かつては龍と戦い続けている国だ。

 美術品に対する価値観が強さや実利に寄っている。

 アクセサリは魔道具と呼ばれる強化パーツのようなモノだ。

 加えていえば、この世界には以前の世界のような物質――金や銀などの元素以外にも、アダマンタイトなどの特殊な鉱物や元素が実在している。

 それらにも希少性はあり、つまりこちらの世界特有の物質は希少性プラス実利性があり、そういったモノを素材に造られた強力な武具の方がより高い。

 

 金があまり価値ないっていうねぇ。

 まあそもそも前の世界でだって工業的用途以外だと、ただ珍しくてキレイって理由で高いだけだったし。そりゃ実利も希少性も美しさも負けたら価値下がるわなぁ。

 こっちの国の技術が向上したらそっち方向で価値は上がりそうだけど。

 

「すごい、ですね……」

「そだねー」

「量結構あるし、運ぶのメンドクセー」

 

 ま、人手なら11もあるし。イケるイケる。

 

「じゃ、あいつら使って移動させるか。木箱は――あるな、よしあいつら連れて来よ」

 

 道を引き返し、オッサン共のところへ行く。

 すると、そこには立ち尽くしたホモと、岩壁を蹴り続ける4人と、岩壁にぶっかける1人がいた。

 

 地獄絵図かな?

 

「はーい、働け奴隷(やろう)ども!」

 

――――――――――

 

「おーい! ギースのオッサーン! ちょっとこの犯罪者ども頼むわ!」

「犯罪者ども? ……露出罪か?」

「盗賊! 金品の盗難! あと誘拐!」

「!? ちょっと待て。――おい! 応援呼んでこい!」

「は、はい!」

「すまねぇな。詳しい話は中で聞かせてくれ。……嬢ちゃんも怖い目あったのに悪いんだけど話、聞かせて欲しい」

「はい……」

 

 魔石の換金のような手軽さはなく。

 俺たちは取り調べを受けることになった。




 人生綱渡りってもんよ!

 正直伏線の張りようがなかった
 そしてこの盗賊たちと相対させるにはこのタイミングしかなかった
 設定上、ここには絶対このタイミングでこの盗賊たちがいるという
 以前書いていた全年齢版だとかなりナーフしていた
 無理矢理感は当時も、今回も感じた。悲しみ
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