固有能力は【洗脳】 ~エロ目的に使うしかねえ!~ 作:レイジー
それを赤くしてくれると作者がとっても喜ぶんじゃ
「やあ、こんにちは」
「こんにちは」
「君が盗賊を倒したというヒイラギくん、だね?」
「はい」
衛兵による取り調べを終え、今度は雰囲気の異なる女性がやってきた。
造りのしっかりした全身鎧に長く幅広の剣。
そして魔力に一切の澱みのない静謐さ。
魔力が少なく感じ、一般人のように思えるがそうではない。
握手をした手から伝わるそれらの平坦さと、強固さが遥かな高みにいる存在であるというふうに淡々と告げて背に汗をまとわせた。
「まずは盗賊の討伐成功おめでとう」
「あ、はい。ありがとうございます」
「そして残念だけども君の活躍を表立たせるワケにはいかなくなった」
「まあ、褒められたくてやったワケじゃないですし、ただの偶然なんでそれは良いですけど」
なるべくしてなったワケではないあぶく銭のような活躍。
計画にはなかったのだからどうだっていい。
それに、こういう実力者にはちゃんと成果が認知されているのだ、万一の人格保証の足しにはなるだろう。
「おや、意外にもあっさりしているね。少しくらいは理由を聞かれると思っていたんだけど」
「表立たせることのできない内容を一般人の、それも人格保証皆無の異世界人が聞いて知れるとは思いませんよ。知れるなら、程度の興味ですね」
「そうか、思いのほかしっかりしている。君なら言わずとも答えにはたどり着くだろうね、君に足りないのはこの国の知識だろうから」
「?」
「私の正体さ。私はアデル、『アデル・オーガスト』だ。オーガスト家の者、
「貴族がらみですか。……床に伏した方が良いですか?」
「ははは。まさか。敬意とは相手を尊んだときに生まれる感情さ。強要されたそれに意味はない。侮蔑さえなければ貴族とて対等に接することを良しとするさ。君が私に敬意を払いたいというなら止めはしないが」
へぇ。
……そういうスタンスが一般的なのかな?
ちょっと敬意は生まれたかも。
「ああ、そうか。奴らの盗みに入ったっていう屋敷。それが貴女のところ、あるいは関係者のところだったんですね? 恐らくは前者。『国衛の一族』という立場にもかかわらず、侵入を許した挙句盗みすらされた。威信が損なわれる、と」
「驚いたな。おおよそその通りだよ。ただ少し違って、私のところだし関係者のところともいえる。まあ答えをいえば『分家』だね。オーガスト家の分家が被害に遭っていたんだ」
「なるほど。で、その口止めに来た、と」
「その通り、話が早いね。キライじゃない」
ニヤリと掻き上げた亜麻色の髪が光の加減で金や銀に見紛って、少し見惚れてしまった。
「別に言う気なかったですし良いですよ。他に敵がいるのに俺のせいで内側から崩壊させるのもバカバカしいですし」
……言ってて思ったけど、ブーメランじゃね?!
人間相手に【洗脳】使ってるヤベー奴がどの口、って感じじゃん。
……やんなっちゃうね!
「そう? 不安になるくらい話が早いね」
「ま、それだけ俺が優秀ってことですな」
「自分で言っちゃうのかい?」
ジョークよ、ジョーク。
流石にアンタ目の前に自分のこと優秀とは本気では言えん。
「まあ、用事はおおよそ終わりだね。で、残りの用事なんだけど。表に出せない以上は大々的な褒章は出せないんだけど、あくまでも個人としてで良ければお礼をさせて欲しいんだ」
「……じゃあ、骨折治せる程度で良いんで
「よく平気な顔でいられるね?! 君、一般人だろう?」
「まあ、痛くはありますけどね。肉体的苦痛は昔からある程度無視できる
「ある程度、なのかなぁ? ……ま、その程度は治してあげるよ」
治してあげる。
用意するではなく、治す。
そういったアデルは俺の手を取り、折れた指にそっと手を振れた。
ッッ――!?
魔力が
握手の比じゃねえッ――触れ合っただけとは桁が……違いすぎるッ。
脳裏をよぎったのは『完璧』という言葉。
現代で気軽に使われるような、そんな安い完璧ではない。
十全十美。
完全無欠。
「……本当に君は優秀だね」
「人間って……そこまで上がれるものなんですね……」
「私なんかまだまだだよ。守りたいモノを守れないからね」
冗談めかしく笑うアデルの中に僅かな渇きを見た。
存在の格が計り知れない彼女の、刹那的に全知全能とすら思ってしまうほどの彼女も、人。
であるならば――。
独り、なんだろうな……。
「それで、君の望みはなんだい? 流石にこの程度は礼にすらならないよ」
……この程度、って。
そりゃ治せる人からすりゃそうかもしれんが、これ受けようと思ったらかなりの金がかかるんだけどなぁ。
「……俺が異世界人だってことは知っての通り。一緒に来た奴らがいるのも、まあ、知ってるでしょう」
「ああ、聞いている」
「なので。もしそいつらが何かをやらかして、そしてアデルさんが俺と話したうえで俺がそのことに関係ないと思ったら、俺のこと庇ってくれませんか? オーガスト家としてではなく、1人の友人として」
「――はははっ。なるほどね、君にとっては確かに大事なことだ。……いいよ、その時は友として君を助けるため尽力しよう」
っしゃ!
命綱1本確保ォッ!
「ありがとうございます」
「それと。私の友だというのならもっと気軽に接してほしい」
「――わかった。ありがとうな、アデル」
「ああ」
……は~、こうしてみると、ホント美人さん。
けど、存在としての格が違いすぎておちんちんセンサーが反応しないよぅ。
衛生兵! 衛生兵! 至急治療求!
「それじゃ、用事も済んだし終わろうか」
「ういうい」
あ~、でも……。
結構好きかもしんねーなぁ。
話してて楽、っていうか――もしかして俺って年上趣味!?
サイカといい、アデルといい。
サイカが25だっけ? アデルも……20代前半か中盤?
17年生きて初めて自覚したぁ……。
「それじゃあまたね。機会があったらまた会おう」
「おう。――すぐそこまでたどり着くからそれまで全力で走っててくれ。――じゃあな」
開拓兵の本業。
未開拓領域への遠征。
そこでまた相まみえることを想って、俺はその場を後にした。
(盗賊たちが彼には無抵抗だった。取り調べによると彼は盗賊たちを負かせたあと、首に母国語を刻み、それを独自の術式と偽ることで脅迫をしたと言っていた。それだけなら問題はないが、その前提となる盗賊たちに戦って勝ったという部分。分家といえどオーガスト家の守りを破って盗みを働く者たちを相手に、その偽装を掻い潜った上で被害者を庇いながら1対11で勝てるか? 実力差はあまり感じなかった。彼から感じた魔力の質は一般人のそれと変わらなかった。成長性はあるだろうが、今はまだ只人。盗賊と実力はそう大差ない。何かを隠している? 少なくとも首への脅迫は嘘ではなかったという。取り調べに対して『首の文字は誤解をさせるため』と言って、虚偽の看破能力を用いてもそれは事実だったと資料に書いてあった。もし――)
「――いや、考えるのはよそう」
アデルはふっ、と笑い、思考を打ち切った。
「友よ。私は君が善良であることを願うよ」
――――――――――
「……昼飯くいっぱぐれたなぁ」
てかギースのオッサンには悪いことしたなぁ。
仕事持ち込んだせいで昼休憩潰れただろうし……メンゴ。
「換金頼んまーす」
朝と同じ男の受付。
自分が狩った8割、ゴブリンに集めさせた2割を換金して硬貨袋に詰め込む。
「おや、実績点が貯まったので昇格試験が受けれるようになりましたね」
「お、マジか。それってどこで受けれる?」
「一般への昇格試験は登録した街以外の主要都市であればどこでも受けられますよ。南であればゼーフルス、北はグラーベンシュタットですかね。東だとノースミナス、西だとトリゴかブルックリンですかね、遠いうえに交通の便が不便ですが」
ゼーフルスは港湾都市だっけか。
グラーベンシュタットは
ノースミナスは鉱山都市。
トリゴが農業都市? 田園都市? で。
ブルックリンは……なんだっけ、沼地の街だっけ。
「むぅ……。どこがオススメ?」
「おススメ。そうですね、今であればグラーベンシュタットでしょうか。一般開拓兵向けの依頼としてそこまでの護衛依頼が出ていまして、見ての通り単独での受注はできませんが一時的に他の開拓兵さんに同行するというやり方であれば移動費が抑えられますし」
「じゃ、グラーベンシュタットにするか」
「依頼を受ける方がいればお教えしますね」
「助かる~。でもまあ、自分でもちゃんと探してみるよ」
パーティを組む、ってヤツか。
足手まといになること間違いなしってモンよ。
「よ~っすオッサンたちぃ。期待の新人ヒイラギくんだぞ~、調子はどう?」
「はっ、誰も期待してねぇよ。生きてるみたいだな、ヒイラギ。俺らはそこそこ、って感じだ」
先輩開拓兵たちの集まり。
王都近郊はモンスターが弱く、稼ぎは少ないが一番の都市ということで情報の集まりなどが良く、また特殊兵装の取り扱いに必要な資格に関する細かな試験などを受けるために実力者がいたりする。
単純にやる気を失っている期間で日銭稼ぎ、という者もいるが。
「どうしたよ?」
「や~。昇格試験受けようと思ってな? んでグラーベンシュタットに行くついでに護衛依頼受けようってなったんだけど見習い1人じゃ受けられませーんってことで、誰か一緒に行かねえか? って」
「グラーベンシュタットかぁ……俺はしばらく勉強するから無理だなぁ。お前らは?」
「試験受けたらブルックリンに戻るつもりだからムリ」
「俺はアルブスに行くから」
「そっかぁ……。あ、お姉さん、適当に甘めの果実酒。お前らは? 聞いてくれたし1杯奢るぞ」
「じゃ、俺は火蜂の
「やりぃ、俺は摘果の
「ビール」
何その注文の仕方、カッコいいじゃん。
材料指定、産地指定って……酒のこと色々わかってきたらやってみよーっと。
未成年飲酒?
この国では俺は成人だ。
日本で17歳の未成年だろうと、俺はここでは責任を自分で負う大人だ。
つまり、飲んで問題ない!
「ッハー! まだ酒にゃなれんが果実酒は好き!」
「おー、一気にいったなぁ」
「若いなぁ」
「俺は魔術で回復させねえとアレはもう無理だなぁ」
「俺もだ」
ちなみにだが。
魔術で治療ができるため急性アルコール中毒による死亡というものがない。
加えていえば、死亡からの経過時間や損傷具合にもよるが、ある程度までなら蘇る。
多分、他の日本メンバーは倫理観がどうこう言うんだろうなぁ。死者を蘇らせる云々とか。
普通に価値観、というか基準値の違いだろうけど。
この国と、日本では前提が違うのだから死の定義もズレるのは当然だ。
ここでは仮死状態の基準が幅広いだけ。
真の意味で手の施しようがなくなってから、そこでようやく『死』と定義される。
それまでは魔術なんかでどうとでもなるし、だからそこはあくまでも『臨死』でしかない。
かつては心停止が死だったが、現代日本では電気ショックで蘇る。
それと同じなのだ。
脳が吹き飛ぼうが、心臓が消し飛ばされようが。元に戻ればそれは完全死には至ってない。
「じゃ、俺ぁ同行者探して女でも口説いて来るわぁ~」
「ガハハッ、正直だな!」
「若いなぁ」
「稼ぎ少ないのによぉやるわ」
「それな!」
うっせー、今に見てろ。
稼ぎまくってやんよやんよ。
「……どうしよ。他誰かアテあるかぁ? 同郷は確実に見習いだし、他の開拓兵……ベアトリクスって女開拓兵は新人育成してるって話だし、他の知り合いは他の街行ったりだし。どうすっか、もう普通に旅すっか?」
ぽくぽくぽくちーん。
!
!? 脳内でふざけたけど本当に閃くとは思わんかった……。
そうだ、今朝の子に話しかけよう!
「……居場所しらねー。図書室行きゃいるかな?」
今朝俺が道を阻んでしまった緑の髪の女子。
思い浮かんだ彼女を探し、ギルドの中で一番いそうな所へと向かい。
すぐ見つけた。
正面よっこいしょ。
「……」
「……」
「……何? 何か用?」
「グラーベンシュタットに行く護衛依頼受けたいんだけど見習いだから1人じゃ無理なのよ。一緒に行かない? 報酬8割そっちで良いからさ~」
「グラーベンシュタット……いつ?」
「2日後の早朝出発」
「……わかった。良いよ」
「マジか助かるぅ。俺ヒイラギな。君は?」
「……イヴォンヌ。期待してないから気負わなくて良い」
「先輩の足引っ張らないように頑張るっス」
差し伸べられた手を掴む。
白く細い指。
けれどその指先は実力を保証するように硬かった。
色々登場キャラの画像を生成してるけど、イマイチイメージにドンピシャなのが出ない
というかカラフルな髪が実在する世界だけどそのカラーバリエーションが上手くできない……
キャラメイクゲーで指定した場所だけメッシュ入れるとか、髪の毛一束だけ色変えてツートンカラーにするとか、髪型自由度高いとか、身長体重体格とか細かく設定できるの、ないかなぁ……