本編を考える間の日常回。2話構成で、どちらも学園に入学する前の話です。
まだ自分は詳しくありませんが、こう言う時にイータのような存在がいるのは便利だな〜と思っています。
※エロ無しで短めです。
『エピソード1∶子供になっちゃった?』
ベータside
ガンマの緊急招集によりアレクサンドリアに救急集まった私達七陰。案内された一室には異様な光景が広がっていた。
「おにくー! おにくがたべたいのですー!」
「わかった! わかったから耳を噛むな!」
そこには小さな子供の獣人が二人、それもどちらも面影のある容姿をしていた。
……はい。どう見てもクティノス様とデルタです。お肉お肉と叫ぶデルタは2〜3歳頃、それを優しく相手にするクティノス様は……5歳くらいでしょうか?
じゃれ合う二人は兄妹のようで微笑ましいですが、何故こうなったのか?
「…………イータ、説明しなさい」
アルファ様は頭を押さえ呆れながらも二人の側で正座するイータに問いかける。ちなみにイータの首には『私はクティノスとデルタを実験体にしました』と書かれたプラカードがかけられていた。
「魔力を回復させる薬、完成すれば永続的な戦闘が可能、その実験に、二人に飲ませた」
「…………はあ……なら、どうして二人なの? 他の子でも良かったでしょう?」
「身体の丈夫な獣人で魔力の高い二人、だからデルタに渡してクティノスにも無理矢理飲ませた」
「…………」
やらかした事はともかく思った以上にまともで理由があるせいで叱るに叱れないアルファ様。確かに実験の内容的にクティノス様とデルタが適任、ゼータはこの手の薬は絶対に飲まないのだから。
「それで二人は元に戻るのよね?」
「大丈夫、数日もしたら効果が切れて元通り」
「……そう」
「「「「ほっ……」」」」
取り敢えず最悪の事態にならず安心する私達。これでもし二人が元に戻らなかったら…………いけない、最悪シャドウガーデンの崩壊に繋がりそう。
「うがー! でるたはおなかがへったのです!」
「あー、もう。ほら、ハムあるから食ってろ」
「わーいです♪」
そんな私達の前で戯れる二人。デルタはとにかく落ち着きがなく暴れようとし、クティノス様はデルタの相手をしてくれています。その手慣れた姿は流石は大家族であるガオーン家の子だと伺えます。
(……あれ、デルタ?)
クティノス様からハムを貰ったデルタの姿。可愛いらしさと無邪気なのは昔から変わらず、と言うより今と対して…………と七陰が顔を合わせ同じ考えに至り、それは……と思っていると。
「ワンちゃんは身体と魔力しか成長してないんじゃない?」
(ゼータ──ー!)
他の皆が言わないでいた事実をハッキリ言ったゼータ。十数年経っても一向に賢くならないと知った私達の気持ちも考慮してよ!
アルファ様はおろかイータまで気まずくなって!
(ほら見てよゼータ! あまりの残酷な事実にクティノス様が凄い苦笑いしてるのよ!?)
「あー、デルタ? お前は強いんだから、な?」
「う? そうです! でるたはつよいのです!」
ハムを食べ続けるデルタの頭を撫でながら慈愛の籠もった視線を送るクティノス様。肝心なデルタは話の意味がわからないのか、とにかくクティノス様に褒められた? と思い喜んでいる。
「……で、これからどうする?」
食べ終えたデルタを尻尾をユラユラと揺らし遊ばせているクティノス様の言葉。確かに時間が経てば一応は解決、このまま七陰がいるのも時間の無駄な訳で解散…………とはならなかった。
「…………ねぇ、クティ?」
「ん? どうした?」
「私の事、“おねーちゃん”って呼んでくれない?」
「……はあ?」
「「っ!」」
「全く、ゼータたら」
ゼータの爆弾発言、困惑するクティノス様、雷に打たれたような衝撃を受けるガンマとイプシロン、呆れた様子のアルファ様、揺れる尻尾を懸命に掴もうとするデルタ、正座しているイータ。
(シャドウ様ぁ)
とんでもない状況に思わず敬愛する主の名を呟いた私は悪くない。
「何言いだすんだよ? ……って、おい抱っこするな! 頬ずりヤメロ!」
「う〜ん。スベスベでモチモチ、これは良いね」
抱っこしてクティノス様の幼い身体を堪能するゼータ。クティノス様も何とか離れようと身体をジタバタさせるも、やはり小さくなった影響なのか抵抗は虚しくゼータにされるがまま。何と言うかホントの親子か姉弟に見え、ついほっこりしてしまう私。
「ほら、言ってみてよ? お・ね・え・ち・ゃ・ん?」
「うぐぐ……ゼ、ゼータ、お、おねえちゃ、ん」
「…………」
「「…………」」
(可愛いですね〜)
急かすゼータの態度に降参したのか、プルプルと身体を震わせ顔を真っ赤にしながらゼータに面と向かってお姉ちゃん呼びしたクティノス様。
これはなかなかの破壊力、普段の飄々としクティノス様からは想像も出来ないギャップ。ゼータがお姉ちゃん呼びを強要したのも頷ける。
さて、それを真正面から受けたゼータはと言うと…………。
「……かはっ!」
まさかの吐血、理由はわかるが何故そうなるか? 戦闘能力が高いゼータはクティノス様の一言で敗れ去り、幸せそうに倒れた。
「ゼータ、しっかりしな…………ダメね」
クティノス様を抱きかかえ、仰向けなったゼータの下に駆け寄り心配するアルファ様。しかしあまりの破壊力に気絶したゼータを前に力無く首を振る姿は哀愁が込められていた。
「うん、しょ。よし、解放「「クティノス様!」」されねー」
気絶したゼータの拘束から解放され一息つこうとしたクティノス様。けれどそんなクティノス様の前に立ちはだかるガンマとイプシロン。
二人共に鼻息を荒くしクティノス様にジリジリと躙り寄る光景、イプシロンに至っては「ハァハァ♡」と呼吸も荒い。端から見たら幼児に迫る痴女、絵面としては完全に犯罪である。
「ク、クティノス様? 小さくなっては色々と不便でしょうし、是非このガンマがお世話を!」
「いや、このまま待ってればいいから」
「ならせめて! せめてご一緒にお風呂へ!」
「何がせめてだよ」
「そうよガンマ! それよりも記録が優先よ!」
「イプシロンもナニ言ってんだ」
グイグイと強引に迫る二人に呆れながらもツッコミを入れるクティノス様。このままだと拙いと考えたのか、キョロキョロと辺りを見回し何とかしようとする。アルファ様は静観、イータはこうした問題は論外。
「…………ジー……」
となると残された私がロックオンされる訳で、クティノス様は縋るような眼差しでコチラをジーと見つめてきます。
(止めてください。私にはとても荷が重いです!)
愛らしい姿で頼られ、出来れば手を差し伸べあげたい。普段からお世話や相談に乗ってもらえている私からしたら。
けれど二人の仲裁に入れば、その二人の矛先が私に向けられる…………私は無力さを痛感しながら、そっとクティノス様から顔を逸らします。
「ううー! ひまなのですー!」
そんな中で突如現れた救世主はなんとデルタ。手持ち無沙汰になったのか私達の周りで暴れ始め、いきなり暴れ出したデルタにより場の空気は一変。ガンマとイプシロンも虚を突かれたと言った具合に。
そしてデルタの登場と場の空気の変化にクティノス様が見逃す筈もなく。
「よし! デルタ、追いかけっこだ! 付いて来い!」
「わかったのですー♪」
「「クティノス様ぁ!?」」
デルタを連れバタバタと部屋から出て行くクティノス様と慌てて追いかけるガンマとイプシロン。残ったのは私、アルファ様、イータ、そして気絶したゼータ。
「イータ、この薬は残っている?」
「アルファ様!?」
「ん。たっぷり」
「イータ!?」
ああ、もう私しかまともな者は残っていないのかもしれない。
※しばらくしたら肌がツヤツヤで上機嫌なイプシロンは抱かれグッタリしたクティノス様。眠ったデルタをおんぶし、髪や服をボロボロにし疲れきったガンマの姿が。
「……イータ、しばらく研究資金カットな」
「!?!?」
その後は元の身体に戻ったクティノス様からの一言にイータは涙目になりました。
「むふ〜ハムおいしいです!」
そしてデルタはやっぱり今も昔も変わりなさそうでした。
◆◇◆◇
『エピソード2∶格好良い技?』
クロウside
「ふ……この程度か?」
「こん、にゃろ!」
ガキン! とスライムソードとスライムネイル(獣の爪を真似た鉤爪)が重なり火花を散らす。力は拮抗、鍔迫り合いをし離れる。
場所はカゲノー領の隅に位置する山奥。俺はシド、いやシャドウを相手に組手をしていた。
ルールなんて無い何でも有りの組手。お互いに傷はあるが俺の方が圧倒的に多い。しかも俺が有利な状況なのに、だ。
(クソ! 相変わらず強いな!)
俺はスライムネイルを始め、脚や尻尾を混ぜての近接格闘。それに対してシャドウはスライムソードの一本のみ。手数や力は俺のが高いがフィジカルはシャドウが上、連撃やフェイントで責めるもシャドウは極僅かなステップや剣捌きで華麗に対応している。
獣人は人間と比べ、身体能力が圧倒的に高い。
それはシャドウとて認めざるを得ない事実で、実際に俺とデルタほ純粋な力比べならシャドウに勝てる。
しかし力=強いとは当然ならず、現在進行形で俺はシャドウに勝てないでいた。
「……これで終幕だ」
「のわ!?」
トドメはスタイリッシュに。シャドウお決まりの一撃、下から掬い上げるようにスライムソードを走らせ俺の喉元へ。
「さあ、どうする? 足掻くか、それとも敗北を認めるか」
「…………降参」
ムカつく喋り方で聞いてくるシャドウ。しかし負けたのは事実、スライムスーツを解除し両手を挙げて降参の合図をする。
「……よし、僕の勝ち! だから今度高額賞金首の情報を掴んだら真っ先に教えてね!」
「わかってるって」
口調を元に戻しスライムスーツを解除するシド。今回の組手は賭け有り、シドが勝てば俺の持つ情報網(七陰)から高額賞金首(教団絡み)を見つけ教える事。逆に俺が勝てばシドは1日ベータの買い物に付き合う事になっていた。
(すまんベータ。今回も勝てなかった)
是が非でも勝ってベータに喜んで欲しかったが、俺の実力不足のせいで無理だった。
「いや〜、それにしてもクロはどんどん強くなるね」
「涼しい顔して戦ってた癖によく言うよ」
「いやいや。ホントに、嘘じゃないって。陰の実力者として常に冷静、スタイリッシュにいるのは当然だからさ。今回だって僕はギリギリだったんだよ?」
「へ〜」
一応は信じよう。こと勝負事や鍛錬については真摯なシドだから嘘は言ってないだろう。
「それよりもさ。クロは技とか考えないの? 僕の『アイ・アム・アトミック』』みたいなの」
「ああ? わざぁ?」
無駄に技の部分だけ格好良く発音しながら聞いてくるシド。突然でありながらも戦いの中で気になったのか?
「……いるか? 魔法なんて無いし、スライム飛ばして何かしても地味だろうに。格闘の型でも作るか?」
「うーん、型って言っても微妙だなぁ。スライムで色々な動物の部位を再現して攻撃するのは?」
「それ、見た目は派手かもだけど結局は物理攻撃と一緒だろ? コスパも悪いし」
「それもそっか」
出来るかどうかはともかく魔力の存在により色々と考えてしまうのは男の性、スラスラと会話は進むし楽しいのもあり俺もシャドウも夢中になっていた。
「いつも使うスライムの触手に名前でも付ける?」
「でもそれって技かと言われたら違うし、何より誰でも出来そうだぞ?」
「「う〜ん??」」
仮にも組織(になりつつある)のトップ二人がするレベルじゃない事。七陰の皆には絶対に見せたくないが、これはこれで必要な時間である。
「一時的なパワーアップはどうだ? 魔力操作を上手く使えば……いやダメか」
「そうだね。こないだの姉さんを誘拐した犯人に似た事をしたし。敵の技、それも敗けた人のを使うのはダサいよ」
「あ、スライムスーツの延長で巨獣形態っつーのは? 獣人だから四足でも普通に動けるぞ?」
「お、ナイスアイデア! それなら応用も効くし面白そう! それに僕が乗って一緒に戦ったら…………いいね!」
「よし。そうと決まれば早速練習だな!」
「うん! 僕もビジュアルや魔力操作の方でアドバイスするよ!」
こうした俺とシドは“更地”になった山奥であーでもないこーでもないと巨獣形態の模索を始めた。
勿論、それは容易ではなく時に迷い、時に殴り合い、はたまた偶然会いに来たイータに協力を仰ぎ(本人もめちゃくちゃ乗り気)何度も何度も試行錯誤の末に……遂に。
「出来た。これが俺の…………だ!」
ショタ&シャドウとの日常回でした。こう言う何の捻りもなくダラダラしたやり取りを書くのも面白いなーと思いました!
・クロウ
ショタになったり必殺技を考えたりした。気さくな性格だがやっぱり男の子だった。
・シド
親友と熱く語り合えて大満足。それはそうとクロウが自分に確実に近づいているのに期待している。
・七陰(ショタ時でどう思ったのか)
アルファ→ほっこり。また子供にして甘やかしたい。
ベータ→可愛いと思った。でも疲れた。
ガンマ→何故に記録を残さなかったのか!
でるた→はむおいしい、かけっこたのしい!
イプシロン→モチモチで最高、皮が被っていた。
ゼータ→萌え死ぬかと思った。食べたいと思ったが穢すのも迷う。
イータ→失敗作の薬、捨てたいが七陰達が大金で買ってくれた。でも研究資金をカットされて悲しい。
ちなみにクロウの巨獣形態の登場は未定です。機会があれば的な感じで。
次回は本編に戻り、多分ですがエロは無いです。
クティノスの童貞卒業回は?(過去編)
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