祝!お気に入り数1000超え!皆さんのお陰です!
今回でローズとシェリーの立ち位置を確定出来たならなーと思っています。
それはそうと映画のPVのシャドウ格好良かったですねw
クロウside
「……で、クソ野郎はアレクシア様を助けた、と」
「クソじゃないよ。ウンコだよ」
「どっちでも一緒だ」
ミツゴシ商会に行った次の日、学園では2つの噂で持ちきりだった。
1つ、シドがウンコを垂れ流しながら寮に走って帰ったとの事。
これは本人に確認した所、帰りの道中に怪しい魔力反応を見つけジャガとヒョロから離れるための口実にシドが「急にウンコがしたくなった。漏れそう」と言い、ジャガとヒョロが面白可笑しく拡張させたから。
2つ、アレクシア様が夜襲を受け怪我をした。
コチラは1つ目の噂に関連し、アレクシア様が黒ずくめで仮面を被った男達から夜襲をくらい怪我をし自宅療養している。黒ずくめの男達は自分達はシャドウガーデンだと名乗り、アイリス様の結成した『紅の騎士団』が捜査解決に当たる。この時にアレクシア様を襲った奴らの相手をしたのがウンコをすると言っていたシドな訳で、シドによると男の事は後からやって来たニューへ任せたらしい。
「それでニューからは何て?」
「さあ? まだ何も聞いてないよ」
「そうか」
シャドウガーデンの名を騙るのならば理由としては汚名を着せるのが定石か。それとも別の意図があるのか。どちらにせよニューの報告待ちだな。
「よお、待たせたな!」
「これさえあれば僕達も念願の彼女ゲット! 悲願の童貞卒業ですね!」
進展はあるか? と考えているとヒョロとジャガが意気揚々とやって来て、その手には昨日シドがガンマから貰ったチョコが収まっていた。
今は昼休み、これから俺達……いやヒョロとジャガのプレゼント作戦する行われようとしている。二人はチョコの存在で自身満々、これから先の成功したであろう未来を妄想し鼻の下をこれでもかと伸ばしていた。
「まあ、まずはヒョロからだね」
「ヒョロ君、頑張って下さい!」
「言葉は選べよ」
「おう! 先に勝利をもぎ取ってくるぜ!」
シド、ジャガ、俺の順にエール? を送り、それに応えるヒョロ。その先には呼び出したであろう上級生の女子がおり、ヒョロは…………。
『おう、俺の婚約者にナニやってるんだ?』
『ひぃぃっ!?』
チョコを渡した瞬間にガタイの良い婚約者の男に肩を掴まれ何処に連れて行かれた。
「ヒョロ君──!」
「ヒョロ、君の勇姿は忘れないよ」
「お前すぐ忘れるだろ?」
「うん」
ヒョロ、相手に婚約者がいるとは知らず玉砕。ジャガが涙を流す隣で俺とシドは昼飯のパンを食べる。
「……よし、次は僕の番ですね! 僕はヒョロ君と違い情報収集はバッチリですよ!」
「「おおー」」
お次はジャガ。既に涙は無く、廊下の先を歩く女子に狙いを付ける。確かに情報は大事で、貴族ならば婚約者のいる相手に手を出すのは拙い。そう言う意味でジャガはしっかりしている。
「ふふん! 相手の生年月日から私生活、果てはスリーサイズまで完璧。そして彼女は…………」
「「…………」」
訂正、しっかりとかじゃなくジャガはただのストーカーだった。
『キャー! ストーカー!』
『うえぇ!? ち、違いますよ! 僕はただ貴女の事を影から観察…………』
ジャガ、相手の女子生徒からストーカー被害を訴えられ教員に連行されて失敗。
「…………それで? お前はアレクシア様にでも渡すか?」
「うーん。僕は嫌われてるようだしパスで。クロは?」
「どうすっかな? 適当の家にいる使用人にでも、ん、いや」
二人がいなくなり適当に駄弁りながら中庭を歩く俺達。買ったのがミツゴシ商会、つまりガンマの店だから渡す相手が浮かばない。そもそもがシャドウガーデンのメンバーで構成されているし。
自惚れではないが誰に渡しても喜んでくれそうで、変な意味で悩む。
「チョコあげる」
「え、え?」
そうして悩んでいたらシドは通りすがった際の女子にさり気なくチョコを渡し、相手が困惑する中そのまま歩いている。
「おい、お前今の」
「ん? 渡す相手を考えるの面倒だったし、適当に歩いてた子にあげた」
「……はぁ」
シドは何の気も無しにあっけらかんに言ったが、渡した相手はモブを心がけるシドにとっては非常に拙かった。
(あれがシェリー・バーネットか)
『シェリー・バーネット』
アーティファクト(古代の遺物)の分野にて国内でも随一の頭脳を持つと言われている少女。ピンクのショートにあどけない表情が印象だが、その頭脳は天才と呼ばれていた。
そしてシェリーはこの学園の副学園長であるルスラン・バーネットを義父に持つ。つまりシドはかなりパイプの太い人間とまたしても接点を作ってしまった、と言う訳だ。
(これは向こう次第だな)
単純に贈り物をただ貰っただけ、ならばいい。しかしシドが渡したのは買うのに手間がかかる高級品であるチョコ。わざわざ渡したという事で向こうがどんな解釈をするか。
「お前はある意味凄いな」
「え、なにが?」
◇◆◇◆
「そこの2人、少しいいかしら?」
その日の放課後。俺とシドが帰ろうと校舎を出ようとすると一人の女子生徒に呼び止められた。
女子はダークブラウンの長髪を後ろで団子にし眼鏡をかけている。見た目としては知的な上級生と言った感じで、その正体は昨日紹介されたナンバーズのニューである。
「ん? 何か用事があるならそこで聞くよ?」
「そうだな」
シドもまたニューの正体は把握済みのようで近くにあるベンチを指差し俺もそれに乗っかる。
そしてベンチに端から俺→シド→ニューの順に座ると、ニューは昨晩の事についての報告を話し出す。
「黒ずくめの男を尋問いたしましたが、情報は引き出せませんでした。強い洗脳によって既に精神が壊れていました。その他の特徴からも、黒ずくめの男はディアボロス教団のチルドレン3rdであると思われます」
「ふむ」
「まあ、同じ事を繰り返すだけだったら当然か」
ディアボロスチルドレンと呼ばれる者達。それは簡単にまとめると教団のための駒。孤児や貧しい者の中から魔力適切のある奴を育て、実験やら投薬で選別する。それに見事適合すれば晴れて教団の仲間入り、1stに2ndとランクがありニューが言った3rdは使い捨て要員。精神崩壊してるから情報は漏れず投薬により並の騎士では歯が立たないから便利だ。
ちなみにカイも元1stでこれらの情報は彼女から得られた。
「一連の事件の裏に教団の影があるのは明らかです。そしてその目的は我らを誘い出すことであると想像できます」
「ふむ?」
「シャドウガーデンを名乗り汚名を着せ、それに俺達が反応したら、か」
「はい。おっしゃる通りかと」
「ふむ?」
手口としては単純、しかし単純故に効果は有り。コチラが無視し続ければ被害は増えシャドウガーデンは悪名高き殺人集団と扱われる。そうなれば事なかれ主義の国王も何かしらの処置はしてきそうだ。今はまだ王国と揉めるのも面倒だし。
「判明している敵の戦力は?」
「はっ! 先日、王都でネームドのチルドレン1stが確認されました。確認されたのはチルドレン1st『叛逆遊戯』のレックスです。彼らは何らかの目的をもって集結していると思われますが、レックスを見失い現在調査中です」
「……そうか」
「ふむ?」
二つ名持つが1人。ナンバーズの面々なら遅れは取らないが、それ以下の子なら危ないな。
……それはそうとシド、意味深に頷いてるけど一切理解してないだろ? ニューは話すまでもない事だと思っているから必要以上に喋らないし。
「…………報告は以上です」
「わかった。必要以上の深追いはするなと伝えてくれ。コチラの情報が漏れると拙いからな」
「了解しました」
報告する終えたニューは立ち上がると俺とシドに視線を配る。その意味を理解した俺はシドに視線を向け、ソチラにしろと促す。
するとニューはシドの腕に自身の腕を絡ませると歩き出す。
「きな臭くなってきたなー」
教団にせよシャドウガーデンにせよ探り合いの状況、ベンチに座ったまま空を眺め呟く。
……そして数日後、武神祭の学園枠を決める選別トーナメントが始まる。
◇◆◇◆
“モブ”、それは物語に登場する脇役。基本的に名前はなくテロップとかでもモブAとかで表される。己の実力を過信したり強い敵にナメて挑んではアッサリ倒される噛ませ犬、観客やその他の仲間で「なにぃー!」と大袈裟なリアクションをとったりする。
モブ達は数分で退場するが時にインパクトを残して有名になったりする(世紀末のモヒカンやサイコ◯ステーキ先輩とか)。
シドもまた陰の実力者を目指す最中に立地なモブを志し、普段からモブの振る舞いをしようと奮闘? している。
さて、そんなモブを演じるのを嗜好とするシドは現在…………。
「はあ!」
「へぶらちょ!!」
相手の攻撃(通算7回目)を受け、変な声で激しい錐揉み回転をしながら吹っ飛ばされていた。
選抜トーナメントの一回戦。いやいやながらも参加したシドは折角参加するならと『モブ式奥義』と呼ばれるやられっぷりを披露する事に。
(ちなみに俺は既に一回戦突破済み、相手はヤラ・レマシェーンとか言う巫山戯た名前の男子だった)
ヒョロは婚約者がいた男にボコボコに、ジャガはストーカーの一件で出場取り消し。後の一回戦はシドのみ、なのだが。
(いや、相手と回数は選べよな)
シドの対戦相手は『ローズ・オリアナ』。長い金髪と物腰柔らかそうな美女で、芸術の国と言われるオリアナ王国から留学で来た王女である。
ローズ様は学園の現生徒会長であり最強の魔剣士、その美貌と剣技で人気と人望を併せ持つ。
「く、僕は……まだやれる!」
そんなローズ様の攻撃を何度も受けボロボロなりながらも立ち上がるシド。普段からモブとは一体何かと熱弁するほどのシドはまるで逆境に立ち向かう主人公に見える。
「ああ! シド、あんなになってまで!」
現に俺の隣で感極まり涙を流すブラコンのクレアや他の観客である生徒もシドの頑張る姿に胸を打たれ応援したりしていた。
『そ、そこまで! 勝者、ローズ・オリアナ!』
しかしそんなシドの努力? は審判である教員により強制終了。そりゃ学園最強の剣技を何度も受けては無謀にも立ち上がるシドは端からみたら危険だよな。
「……アイツの所に行ってやれば?」
「っ、え、ええ!」
担架で運ばれていくシド(暴れてめちゃくちゃ元気)の元へクレアを促す俺。きっとシドにとってはローズ様以上の攻撃なるだろう。
(次の対戦相手、俺なんだよなー)
シドが無駄に場を盛り上げたせいか次に戦う俺への負担が上がってしまった。適当に負けるつもりだが、何だか嫌な予感がヒシヒシと伝わってきていた。
◇◆◇◆
『ローズ・オリアナ対クロウ・ガオーン! 試合開始!』
「…………」「…………」
少し時間が経ち、いよいよきた俺とローズ様の試合。少し打ち合って降参するつもりだったが、なんかローズ様の様子が可笑しい。
構えこそ隙は無く、ジリジリと歩み寄って来る。しかし何だか違和感と言うか浮ついた感じがする。
「っ!」
「おわ!?」
そこから繰り出される剣撃。鋭く速くコチラを倒そうと何度か撃ち込んできた。普通の生徒なら充分な実力、今はまだ小手調べなのか本気ではなさそうで、何か探ろうとする意図が伺えた。
「ふっ!」
「ぐう!」
取り敢えず剣撃を捌きながら他の生徒に注目されない程度力でローズ様の相手をし、何度かの攻防の後に一旦距離を取る。
「…………」
(何だかなー)
ずっとコチラを無言で見てくるローズ様。これまで接点もなく初対面の筈、と言うより一国の王女と接点を持つのも学生としては難しいだろう。
(…………そろそろ潮時か)
時間は少し経ち実力もそこそこ示せた。相手が学園最強となれば充分な戦績、次で撃ち合い剣を吹き飛ばされたら良いと思う。
「……うおお!!」
そうと決まれば速攻あるのみ。力をセーブしローズ様に勢い良く上段から斬りかかる。するとローズ様がとる行動は下段からのカウンター、そのまま剣同士がぶつかり俺は負ける…………と確信した瞬間に。
「……スタイリッシュ盗賊スレイヤー」
「……………………は?」
俺との対戦で始めて口にしたローズ様の言葉。思いがけない単語を聞き俺はつい“力んで”しまい魔力を増加、魔力に耐え切れなくなった一般の剣は壊れてしまう。幸いなのは剣が壊れる瞬間がローズ様の剣とぶつかる時で、周囲からしたら俺の剣をローズ様が砕いたように見えた事だ。
『勝者! ローズ・オリアナ!』
「…………」「…………」
審判の高らかな宣言に沸き立つ生徒達。それとは裏腹に無言の俺達はササッと握手を交わす。
「……後で少しお時間を頂けますか?」
「…………ええ」
仮にも王女相手にする態度ではないが、向こうの事情次第では荒事になるかもしれない。
◇◆◇◆
「……失礼します」
「ああ、好きなとこに掛けて下さい」
選別トーナメントがあった放課後。俺の家の応接間にやって来たローズ様。その表情はこれから話す事への期待と不安により普段凛々しい雰囲気は感じとれなかった。
ちなみにシャドウガーデンの構成員でもある使用人達は廊下で待機、相手が王女なので万が一に備えてもらっている。
「何か飲みます?」
「いえ……それより敬語は結構です。王女ですが普段通りの姿勢をしてもらえるとありがたいので」
「わかりま……わかった。それよりもさっき言ってた言葉は?」
「は、はい」
取り敢えず敵意はなさそうなローズ様、いやローズ。しばらくすると意を決したのか静かに話し出す。
「その、貴方はスタイリッシュ盗賊スレイヤーさんと一緒にいた獣人の方、ですよね」
「…………」
『スタイリッシュ盗賊スレイヤー』
それは俺とシドが出会いアルファを拾う前にシドが使っていたコードネームモドキ。頭に袋を被り盗賊を問答無用に狩っていた所から付けたらしい。俺はその時はまだ変装もしておらず、普通に討伐目的で行動していたし。
(しかしその事はアルファ達も知らない、知っているのは俺と当時に助けた白髪の獣人の少女と金髪で貴族の少女……金髪で貴族の少女?)
「もしかしてあの時の?」
「…………はい」
俺の呟きが届いたのかゆっくりと頷く。これでようやく合点がいった。ローズは昔に俺とシドが盗賊から助けた貴族の少女、シドはスタイリッシュ盗賊スレイヤーで顔も隠していたし、俺は俺で誘拐され怖がっていた少女を慰めたり保護者の元へと案内したりしたからな。
「あの、当時は助けて頂きありがとうございます」
「い、いや。助けたのは偶然だから気にしなくていい」
「ですが!」
いつの間にかグイっと急接近していたローズ、目と鼻の距離にローズの顔がありフワリと良い匂いがした。
「あ、あー。それより話しって言うのはお礼の事か? シ、スタイリッシュ盗賊スレイヤーの居場所はわからないぞ?」
「っ、そう、ですか。あの方にも是非お礼が言いたかったのですが」
思った以上にアグレッシブなローズ。顔を近づかせた事に気づいたのか慌てて離れ、ソっと髪を撫でては落ち着こうとしている。それにしても案外大した事でなくて良かった。もしも何処で情報が漏れ正体にバレてしまったかと思った。
今のところローズは恩人へお礼を言いにきただけ、そこに深い意味はきっと無いだろう。
「あ、そうだ。折角の再会なんだ。良かったらコレどうぞ」
「えっ、あの」
結局誰にも渡せずにいたチョコ。どうせならと思いローズに渡す。再会の品で相手は王女、これは丁度良いと思う。
「あ、ありがとうございます!」
俺からチョコを受け取り満面の笑みを浮かべお礼を言うローズ。それはまるで好意を寄せいるようで…………え?
(いな、流石に昔助けられた相手に再会してプレゼントを貰う。だけで惚れるか? 王女だから婚約者はいるだろうし、第一シドも当て嵌まる訳で、いや、でも、なあ?)
しっかり惚れられたのか、状況とか考えずにローズがチョロいのか? どちらにせよ同じ学園に通っている以上は接点が出来てしまった。
その後、ローズは改めてお礼をすると言い上機嫌で帰っていき、俺は使用人達にローズは特に問題は無いと言うのだった。
ちなみにローズは現状クロウ6のシド4くらいで意識しています。それでもクロウ寄りで進めるつもりです。
・クロウ
思いがけない所で思いがけない接点を持った。ちなみに昔助けた白髪の獣人とも実は接点があり?
・シド
モブ式奥義を披露出来て嬉しい。でも全部出来なくて不完全燃焼だった。
・ニュー
変装して学園に潜入して報告。腕を絡ませるのをどちらにするか迷ったがクロウによりシドにした。
・ローズ
昔助けられた恩人と再会出来た上にプレゼントも貰えて有頂天、けれど懸命に戦ったシドにも思う事がある訳で?
次回は学園襲撃あたり。どこまでするか、どんな展開にするか悩んでいるので少し遅れるかもしれません。
(もしかしたら閑話を挟むかも?)
クティノスの童貞卒業回は?(過去編)
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