他のもエタらせるつもりは無い、無いんだ……
「行ってきます」
少年の声が扉の音とともに響く。その門扉の表札には「白峰」の文字。
ここは白峰家。声の主はその一家の長男である白峰大輝。
見た目は整っており、その背にはテニスラケットを収めたバッグを背負っている。彼は北上高校という地域の公立校の二年生であり、そのテニス部を背負うエース。容姿と才覚に恵まれ、そして今から学校唯一の選抜メンバーとして1週間の合宿へと赴くところだった。
「行ってらっしゃい」
「頑張ってね、弟くん」
「しっかりやんなさいよ」
「体に気をつけてね、兄さん」
そして彼を送り出すのは、これまた容姿の整った四人の美女・美少女たちだった。
第一に送り出したのは母である白峰葵。艶のある黒のロングヘアを無造作に腰まで垂らし、身にまとうエプロンではとても隠しきれないメリハリのある肢体。特に乳と尻の膨らみはけしからんばかり。年齢を感じさせないキメの細かい化粧っ気の殆ど無い頬は血色もよく、男が見れば例外なく振り返るであろう女性的な魅力を溢れさせていた。
続いて激励を送るは長女であり彼の一つ上の姉である白峰音羽。母親譲りの黒の髪を肩口で切りそろえ、片側に羽を模した髪飾りで抑えた三つ編みを垂らしている。その美貌もまた負けず劣らずであり、特に胸は形の良さと大きさが制服のブレザー越しでも分かるほどだった。
気の強さが現れている言葉を送ったのは、大輝の双子の妹である小鈴。母や姉ほど身体に凹凸は無いが、スレンダーで均整の取れたスタイルであることは一目瞭然であり、ショートボブの似合う快活な表情に相まって、身にまとうセーラー服はその魅力を押し上げる装飾品のようでさえあった。
最後にオズオズと、それでもしっかり届く声で兄を気遣ったのは、大輝と小鈴の三つ年下の妹である未緒。同年代と比べても小柄な少女であり、一見すると根暗そうではあるが、長い前髪からほんの少し除く目線は真っ直ぐであり、儚げながら芯の強さを感じさせるその瞳は他の誰にも負けぬ魅力を備えていた。
「うん、一週間、家は大変だろうけど、しっかりやってくるよ」
「大ちゃん、家のことは気にしなくていいから、楽しんでね」
これが、町でも美男美女の一家として有名な白峰家である。一家揃って非の打ち所のない恵まれた家庭。唯一欠けているのは、
「お父さんの分も、弟くんの分も、私がお母さんを支えるから大丈夫だよ、心配しないで」
「むしろ大輝の方こそ、あたしたちと離れるからってホームシックになんかなんじゃないわよ?」
「ボクは兄さんがいないの寂しいけど、四人で頑張るから、兄さんも頑張ってね」
そう、父親だった。一家の父親は、母とは年の差婚であった。未緒が生まれて間もなくなくなってしまったが、資産家だったこともあり遺された財産は多く、父のいない家庭でも順風満帆に暮らしていた。
お互いがお互いを思い合う素敵な家族とは、自他ともに認める白峰家の美徳であり、大輝もまた、それを心から信じていた。
少なくとも、この朝までは。
「分かったよ、頑張ってくる。じゃあ、みんなも身体に気を付けてな」
朝日に照らされて、更なる飛躍のために合宿へと向かう大輝とその家族を、朝の日差しが照らす。
その陽光が落とす長い影が、家族を蝕むものであることは、このときの大輝には知る由もなかった。
「……へえ、あれがアイツの家族かよ。ははっ、予定変更だなこりゃ」
見送る家族に背を向けていた彼は、その反対側に潜みながらつぶやかれたその声に気づくことも無かった。
一応プロットはできてるんすよ、この作品。
なのでボチボチ書いていきます。