執筆していたら、かなり長くなって、ブラウザ容量がオーバーしそうになった為、2話に分割しました。
星「まったく、主は本当に胸がお好きですなぁ。」
風・香風「……むぅぅ〜……。」
稟「やれやれ、またですか。」
今、一刀は星を抱きしめ顔を胸に埋めていた。ぱふぱふを堪能されていて笑顔の星に対して、小柄で胸も貧相な風と香風は羨望で頬を膨らませていた。一方の中間の容姿の稟は、嫉妬こそあるものの、一刀に対してそれなりの呆れを見せていた。
星「そういえば、主はかなりの量の精液を出しますが、
最初こそ後処理が大変でしたが、最近は気付いたら元通りになっていますな。」
一刀「ん?気付いちゃった?
実は一物にも氣を込めれるようになってな。精液が体内に出されても吸収されるようにしているんだよ。」
ある種、衝撃的な話に全員ポカンとしてしまう。
香風「……口の中でも、出されたら?」
一刀「そうだな。胃の中で消化されて。」
稟「では、私達が一般の人には負けないくらい力がついたのは……?」
一刀「それは俺が手取り足取り教えたからだよ。性行為と精液吸収も後押ししているけどな。
後大事なのは、俺との愛、だな。それがなきゃ、シなかったし強くもなれなかった。
愛があるからこそ、皆強くなったんだ。」
風「くふふ、いやらしくも素敵なことを仰いますねぇ〜♥」
異端の能力で星の胸の中で言っている話だが、それさえもベタ惚れさせる要素になってしまっている。
星「主はとことん化け物、いや、神の領域に達しているのではないか……。
主。我が胸を味わっているところよろしいですか?流石に四人ではそろそろ飽きが来ている気もしますが。」
一刀「ん~?そりゃあ、星達以外の女性とも目合いたい気持ちはないと言ったら嘘になるよ。星以上におっぱいが大きい女に出会いたいとも思っている。
けど、陳留着いたらしばらくはお別れだからな、できるところまで味わいたいんだよ。」
星「主という人は……欲に忠実過ぎて節操無しですな……そんなスケベなところにも惚れたわけですが♡」
稟「すっかり毒されましたね、星も、私も……。」
風「英雄色を好む、ですねぇ〜。」
香風(コクコクッ)
もう一刀の性に染まりきって睦まじさを見せる。
こんなやりとりと光景もあるが、その旅も終わりが近づいていた。
遂に曹孟徳が治める陳留に辿り着いたのだ。
領内に入る前に検問があった。
兵士「よし、次だ。
……ん?揃いも揃って見かけない格好の奴らだな、特にそこの男。
何だその奇抜過ぎる白く輝かく服は?」
勿論、一刀のことである。どうやら、この兵士は例の噂に疎いようだ。
一刀「これか?まあ、俺の趣味ってとこだな。旅の者だが、道中で商人達を皆で協力して助けてな。そこで貰った布類を合わせたんだ。」
服のことは嘘だが、商人を助けたことは事実だ。
兵士「そういえば、近隣で盗賊の襲撃と同時に壊滅の報告があったな。それに、荷台の物品の幾つかは先日此処から出立した商人の商品もある。本当の話のようだな。
そんなに腕の立つ旅人が、どうしてここに?」
稟「我々は能力を発揮しきれる士官先を探していまして、曹操殿へお目通りの為に。」
一刀「俺は見聞を広める為に同伴しているだけだ。」
旅の目的を明かすと、兵士は驚いた顔をして、稟達と一刀を交互に見る。
兵士「嘘だろ……いくら実力を兼ね備えているといっても……(ブツブツ)」
一刀「そんなに曹操殿の軍門に入るのは厳しいのですか?」
兵士「ああ……まあ、な。曹操様は比類なき能力のある人材なら大歓迎なのだが……女性の方々はともかく、君は……ちょっと……その……。」
何か言い淀んでいる様子に一刀と香風は首を傾げるが、星達は何かに気付いて納得していた。
星「どうやら、曹操殿の噂は真実味を増したようですな。」
稟「曹操殿は、稀代の英雄との評価もあるのですが、それと同時に、女好きという話もあるんです。」
風「それも美少女が好みだそうですよ〜。夜な夜な部屋に配下の女性を寝床に連れ込んでいるとか〜。」
香風「……シャンみたいな?」
一刀「真実だとすれば、そうだろうな。
(なるほどな……女だらけの世界で曹孟徳はそうなるのか。堕とすのに骨が折れるかもしれないな。)
あの、俺は構わないので、彼女達だけでも謁見できませんか。」
兵士「えっ、そんなに士官したいのか……。
……実は、曹操様は重臣共に不在なんだ。もう昼時だから多分帰りは近いとは思うけど。」
星「それは最初に言うべきでは。」
兵士「すみません。待つ間は街を散策してください、通ってよし。」
無事に検問を通れたが、本来の目的達成は先送りになってしまった。
一刀「色々と厄介なことになったな、言われた通り街をぶらつくか。」
星「そうですな。その分、主と一緒に居られる時間もふえましたが」
一刀「それはいいことだな。さて……」
街を見回してみると、
人の往来は多く、並ぶ商店も繁盛しており、兵士も時々欠伸をする者もいるが、怠けることなく巡回している。
陳留という土地はこの時代の他と比較しても活気に満ちていた。
香風「……皆、笑顔。
洛陽はもっと酷かった。」
稟「あそこは、後漢の中枢故に腐敗が特に進んでおりますからね。」
風「他の土地にも浸潤している腐敗の影響に左右されずに自身の大志を貫き太守として発展させ人々に活気をもたらす、だからこそその覇道の力となりたいのですよ〜。」
星「しかし、名君とは敵も多いものです。乱世の奸臣、と呼ぶ者も。」
一刀「もう、そう呼ばれているのか。曹孟徳、天の国の知識以上のようだな。
(今の曹操の印象を考えると、俺の目通りもほぼ不可能か?何かの形で俺の能力を見せる機会があればいいんだがな……。)」
考え込む様子に星達はキョトンとする。香風は先に一刀の体を軽く叩き意識をこちらに戻す。
香風「……お兄ちゃん、何考えているか分からないけど、後回しにして。
……お腹減った。」
急に空腹を訴え出す香風に、思わず吹き出して笑ってしまう。
一刀「そうだね、まずは腹拵えをしてからだな。」
星「もうそんな時ですか。しかし、路銀も少々心許ない。何処に致しましょう?」
一刀「そうだな……ん?」
何かが目に留まる一刀、その店は間違いなく食堂なのだが、人が居ない、かと言って寂れている様子もない。
店主「ん?ああ、いらっしゃい。悪いけど、店は閉めててね。」
稟「何か事情が?店は綺麗ですし、外の人が避けている様子もありませんでした。」
店主「確かにうちは普通の飯屋だ。だが、頼まれても出せねえんだよ。食材を切らしていてな。」
風「ああ、なるほど〜。食材が無ければ料理も作れませんからね〜。
しかし、ここだけ切らすというのも、おかしな話ですね〜。」
店主「いくら曹操様が治めていると言っても、周囲の影響は大なり小なり受けているのさ。食材を運ぶ商隊が幾つか野盗の襲撃を受けてね、俺も丁度休みたい時だったもんで一旦、卸してもらうのを止めたわけだ。」
星「流石の名君でも、僅かな土地だけの安寧は完全な安寧にはならない、か。」
一刀達は事情を理解した。その一刀は、厨房のあるものに事情を聞きながら注目していた。
一刀「なあ、おっちゃん。この厨房、借りてもいいか?」
店主「えぇ?さっき言わなかったか、食材が無いって。」
一刀「荷台に山ほどある。持ち込みでも構わないか?」
店主「そうなのか?それなら別にいいけどよ……。」
星「おお、主が厨房で腕を振るいますか、これは楽しみですな!」
稟「手作りならお金はかかりませんので名案です。」
一刀「というか……試したいことがあるから、少し商売させてくれないか?売上は店の提供代で払う。」
店主「え!?」
ただのお昼の筈が、まさかの営業の要求。しかも、売上を渡すと言った。予想つかなかった要求に星達も驚きを隠せない。
香風「……お兄ちゃん、何を作るの?」
一刀「まあ見ててよ。」
そう言って、いつの日か物々交換した食材を取り出す。
華琳「今日も成果無しね。」
春蘭「申し訳ありません……私も秋蘭も必死に探しているのですが。」
桂花「ここまで空振りなんて……。」
門から戻ってきたのは、陳留太守・曹孟徳その人だった。『天の御遣い』の流星が兗州内に落下するのを目撃してから、重鎮の夏侯姉妹と筆頭軍師・荀彧と共に捜索していた。が、情報が少なくその御遣いとされる一刀達と完全にすれ違った為、今日まで捜索は空振りだった。
秋蘭「大規模な商隊を盗賊襲撃から救った情報を聞きつけた時は、もしやと思いましたけど、既に居なくなった後ですからね……。」
華琳「あの商人頭は我々も懇意にしていたけど、よりによって今は徐州だからね。聞きに行こうにも行けないわ。」
桂花「徐州刺史・陶謙とは、華琳様の母君と一悶着ありましたからね……下手に領内に入っては攻められます。」
春蘭「どんな敵が来ようとも、私が華琳様の敵を討ち払う!
…………華琳様、お許しください。勢いで言っただけです。そんな目で見ないでください。」
華琳「……はぁ。春蘭、強気でいるのはいいけど、それで余計な争いを生んで私の道の邪魔にならないようにしなさい。」
春蘭「はっ!申し訳ありません!」
桂花「はぁ~……この猪は考えなしなんだから……。今後、どう致しましょう?」
華琳「仕方ないわ、御遣い捜索は打ち切りよ。ひょっとしたら、別の領内まで行っちゃったかもしれないもの。」
秋蘭「そうですね……運良く我らの領内に入ってくれれば幸運なのですが。徐州にしても冀州にしても、厄介この上ないですね。」
桂花「徐州だったら狸、冀州ならあの馬鹿名族だからね。
はぁ~。」
春蘭「……私は頭が使えないから、良くわからないが、そんなにため息が出るということは、小腹が空いているのではないか?」
桂花「そのため息じゃないわよ!
……まあ、もう昼時だからそろそろご飯は食べたいけどね。」
華琳「そうね。今日は何を作りましょうか……あら?」
彼女達は何かの人集りに気付いた。店の前で大勢の人達は店を覗いたり入ったりしていた。
秋蘭「あの店は……たしか、食料不足で今日は閉店している筈ですが……?」
店主「ん?おお、曹操様!これはこれは、ようこそお越しくださいました。」
華琳「これはどういうことかしら、休業じゃなかったの?」
店主「そうだったんですが、旅の一団が来店して、綺羅びやかな格好した男の人が、昼飯ついでに商売したいってんで、食材も一式揃えてて。」
桂花「げっ、男……」
秋蘭「商売だと?ここまでの盛況ぶりで何を作っているんだ?」
店主「……実を言うと分かりません。美味そうな感じですが、見たことなくて。」
春蘭「飯屋なのに、何の料理か分からんことがあるのか?だが、何か美味そうな匂いだな……ジュルリ」
秋蘭「姉者、涎が……。」
華琳「ふうん……立ち寄ってみますか。」
華琳一行は店に入ることに決めた。が、かなりの客数の為、なかなか進めずにいる。
男客-1「随分、美味そうな匂いがするな〜。」
男客-2「けど、あれ何だ?見たことねえ料理だけど。」
男客-1「きっと凄え絶品なんだろ!
……しかし、何だか女の数が多いような気がしねえか?」
男客-2「言われてみれば、確かに……女向けの料理なのか?それとも……」
一番手前にいる男性客が雑談していると、厨房から前掛けと三角巾を纏って麺料理を乗せた皿を二皿持って歩く一刀が現れた。手際よく丁寧に、客の前に料理を置いた。
一刀「はい、お待ち。今日限りの特製麺だよ!」
女客-1「美味しそう!頂きます!
モグモグ……美味しい〜!」
一刀「お粗末様、その笑顔が料理人にとっては嬉しいよ。」
一刀も笑顔を返し、再び厨房に戻る。もう既に、女性客全員の心を掴んでしまっていた。
女客-2「あぁ~、素敵な殿方……!」
女客-3「カッコいいし、料理も絶品だし、それに……アソコが♡」
星「やれやれ、接客をするだけで全員が主の虜になっておりますな。」
稟「節操無しと言うべきか、英雄色を好むと言うべきか……。」
風「そんなお兄さんに一目惚れした我々も同類ですね〜。」
香風「……料理をするお兄ちゃんもカッコいい。」
一刀の予想外の格好と惚気る女性達を見て、外で待っている男性客達は絶句してしまった。
男客-1「……能力が高ければいいのか、容姿の問題なのか。」
男客-2「それとも、アソコが大きい男は魅力的なのか?俺もそこそこ」
男客-1「やめとけ。もしこんな会話を曹操様にでも聞かれたら……」
華琳「コホン」
男達「……………………!」
こんな会話をしている内に、華琳達は彼らのすぐ後ろに立っていたのだった。直ぐに振り返り土下座をした。
男客-1「そっ、曹操様!見苦しい会話をしてしまいました!」
男客-2「お、お許しを!御慈悲を!」
桂花「そんな会話をするから女性に避けられるんじゃないの?あぁ、忌々しい。」
男客-1「じゅ、荀彧様!いくら男嫌いといっても、その発言は」
華琳「口を慎みなさい。桂花は間違ったことは言ってないわ。
本当に捕らえられたくないのなら、譲りなさい。」
男達「うぅ……はい、失礼しました。」
諦めて道を空けたことで、ようやく華琳達は席に座ることができた。すると一刀が出てきて華琳の前にやってきた。
一刀「いらっしゃい。四名様ですか?」
華琳「そうよ。何が作れるの?」
一刀「生憎、一品だけしか無いですが、美味しいものをご用意しますよ。
さっき、お客さんが道を空けるのを見ると、もしかして貴方が曹孟徳殿ですか?」
華琳「!!」
いとも簡単に見抜いたことで、取り巻き達は極まりない殺気を出し、春蘭と秋蘭は席から立ち上がろうとした。
春蘭「貴様、朝廷か陶謙からの刺客か!」
この騒動に客達は驚き、星達も応戦しようと準備する。が、当の一刀は呆れていた。
一刀「そうだったらこんな目立たないでしょうが……。曹操の重臣が聞いて呆れるぞ。」
春蘭「なっ……貴様……!」
華琳「春蘭、怒りを鎮めなさい。あなたの推測は外れよ、私に汚名を着せる気かしら。」
春蘭「なっ、華琳様……。」
華琳「で、実際あなたはどうやって見抜いたのかしら?」
一刀「……正直に言います。
往復している時にお客さんがあなたに土下座しているところを見ましてね。あんなに大胆な謝罪はよほど大きな人物じゃなきゃ不可能だ。
この陳留でそんな大器を持つ人物は俺の知っている範囲では、曹孟徳しか居ないと思って、残りは直感です。」
見事な推察だ、と言わんばかりに華琳はゆっくりと拍手した。桂花は未だ殺気を向けていたが、当人は良い光景を見たような笑みを浮かべていた。
華琳「正解よ。常人でその観察眼は料理人で留めるのは惜しいわね。
じゃあ、私の取り巻きを当てることはできる?」
もっと期待に応えろ、と無理難題を突きつけた。一刀は臆することなく三人を観察した。
一刀「そちらの黒髪の方と水色髪の貴方は姉妹ですね。で、殺気と手の構え方から見て武人だ。
曹操殿と普段から行動を共にしているような様子から貴方に次いで偉いか長い付き合い、あるいは両方。
知識の範囲ですが、当てはまるのは夏侯元譲殿と夏侯妙才殿、ですね。」
春蘭「ぐっ……当たりだ。」
秋蘭「姉者、悔しがるところも可愛いが、別に勝負に負けた訳ではないぞ。」
一刀「そこの少女も殺気を出していたけど、二人より遥かに弱い、文官だ。でも曹操殿の取り巻きということは軍師、筆頭の。となると、荀文若、ですね。」
全問正解した、と華琳は再び拍手をした。最後に当てられた桂花は何かにイライラして歯ぎしりをしていた。
桂花「正解だけど、忌々しいモノ勃たせてをそんな舐め回すように見ないでよ、何人も妊娠しちゃうでしょ。」
突然の拒絶に周りの男達はマズいと困惑して女性達は呆れている。一刀は動じずに、
一刀「え?俺の子供を身籠ってくれるの?それは光栄だなぁ。こんな可愛い女の子だったら、きっといい子に育つよ。」
まさかの返しで全員が目を見開く。桂花自身も顔を真っ赤にしていた。
桂花「なっ……!何言ってんのよ!アンタみたいな万年発情男の子供なんか生む訳ないでしょ!」
一刀「見てるだけで妊娠しちゃうって言うことは、そういうことなんじゃない?」
桂花「そんな訳ないでしょう!アンタねぇ……!」
華琳「桂花、貴方の負けよ。大人しくしなさい。」
桂花「か、華琳様ぁ……。」
またしても窘められてシュンとしてしまう桂花。日頃の鬱憤を晴らすかのようにざまあみろというポーズをとっている春蘭と、その様子に失笑している秋蘭。
華琳は少しだけ怒りも混じっているのか、悪そうな笑みだった。
華琳「彼女の発言はごめんなさいね、桂花は私より遥かに男嫌いでね。
……けど、桂花も春蘭も秋蘭も配下であり、私のものよ。もし、手を出すなら容赦はしないから。」
桂花・春蘭「華琳様ぁ……!」
一刀「それは大丈夫だよ。俺も俺を嫌う人間にまで手を出すつもりはないから、彼女達が少しでも俺に気がある時は話は別だけどね。」
華琳「まだそんなことを言える度胸があるなんて、もう唯の強がりじゃない、大したものよ。
ここまで私達の正体を暴いたのだから、あなたも名乗りなさい。」
一刀「そういえばそうだな。それはすまなかった。
姓を北郷・名を一刀と申します。字はありません。」
桂花「姓名共に二文字で字は無し?
常時勃起男の上に胡散臭さが出てきたわね……華琳様、帰りましょうよ。」
華琳「桂花、折角大衆受けしている料理を頂いていないのにそれは失礼よ。
けど、確かに汚らわしいものを堂々と見せているのはどうかと思うわね。」
一刀「ああ、これは……生まれつきの体質なんですよ。女性に対しての無礼ですね、申し訳有りません。」
華琳「ふうん、体質ね……。まあ、それなら今回は特別に許してあげる。
そろそろ料理は欲しいわね……
一品のみなのにこの盛況ぶり。美食家でもあるこの曹孟徳の期待に応えられなかったら、解っているわね?」
一刀「勿論、俺も貴方も後悔させません。」
一刀は先程の商売精神の時よりも遥かに覚悟を決め、厨房に向かう。すると、華琳は立ち上がった。
華琳「次いでにどんな風に料理ができるか、見学させてもらうわ。」
一刀「どうぞ、調理行程に手出し口出ししなければ、ご自由に。」
厨房に入ると、まな板には何も無かった。一刀はしまったと頭に片手を置く。
一刀「あ~、丁度切らしていたか。また作り直さなきゃだな。」
袋から小麦粉を大量に出し、水を加えながらこねる。現代で言う重曹を加え生地にしたら、空気を抜いて伸ばし、板状にして細く切った。
桂花「うっ……全身精液男の手で……。」
華琳「料理人の手はよほどの三流四流でなければ不浄はないわよ、桂花。」
秋蘭「これは……麺?
麺料理が好評なのでしょうか?」
春蘭「秋蘭、流石に馬鹿じゃないか?鍋など無いじゃないか。」
桂花「うっ、春蘭に{馬鹿}って言われるなんて……でも、実際何を作るのかしら?」
華琳「そうね……え?」
(ジュウウ!)
完成した麺を熱した鉄板に乗せる。両手にヘラを持って全てに火が通るように混ぜ、ある程度焼けると刻んだ野菜も投入して炒めた。
春蘭「め、麺を焼いているだと!?」
華琳「なるほど、面白い料理になりそうね……。
ねえ、一刀とやら。作りながらで良いから答えなさい。
あなたはもしかして、『天の御遣い』かしら?」
一刀「……うーん。生憎、噂には疎いものでして。」
桂花「噂を知らないですって?」
華琳「乱世に光を照らす存在として出回っているの。白い流星で降り立つとか。」
一刀「あー、その場にいて仲良くなった旅仲間からの話が本当なら、
それは俺に当てはまりますね。」
華琳の話を聞いて、あっさりと認めた。それにより春蘭と桂花が警戒を強める。
春蘭「きっ貴様!何故黙っていた!」
一刀「確証がないものを認めるわけにはいかないでしょう。」
桂花「なっ私よりも舌が回って……!」
秋蘭「ではお前が、我らが探していた人物……。」
華琳「何だか数奇な運命ね。探し人が自分から私の領内に来るなんて。」
一刀「正確に言うと、拾ってくれた旅仲間の目的地が陳留だっただけですけどね。
さて、仕上げと。」
ある程度麺が焼けると、一刀は何かの容器を取り出して逆さにする。そこから、焦茶色の液体がドバドバと出てきて、麺にかかった。そして、再びひっくり返したりして麺全体にその液体が混ざるようにしていた。麺はその液体の色に染まった。
春蘭「麺が一瞬にして焦げたぁ!?というか、あの液体は何なんだ!?」
桂花「まさか、毒?薬物?
華琳様、即刻止めさせて……。」
華琳「絶対に駄目よ。とてもいい香りじゃない。」
春蘭「へ?そういえば、焦げ臭くなく、何だか香ばしいような……ジュルッ」
秋蘭「姉者、また涎が。」
華琳「もう完成間近かしら、席に戻りましょう。」
皿を出し始めるところまで見ると、華琳は困惑する家臣達を引っ張り席に戻った。まもなく、一刀は四つの皿に盛りつけた料理を持ち配った。
一刀「お待たせしました!
焼きそば四人前、一人特盛です!」
そう、完成した料理はまだこの時代には無い'ソース'を使った'焼きそば'だった。春蘭の分だけ、倍ほど多く盛ってあった。
桂花「これ……焦げているわけではないのよね……。」
秋蘭「怪しげなものを入れていたが、薬物ではないのだよな……。」
華琳「そんなに心配なら、私から頂こうかしら?」
春蘭「お待ちください!華琳様の一番槍と毒見役は、この春蘭・夏侯元譲が!
(ぱくっ!モグモグ…………)
………う、美味い。これは、止まらん……!」
一口食べただけで春蘭は病みつきになってしまい、どんどんと焼きそばを頬張って平らげる。
それに安心と困惑をしながらも秋蘭と桂花も一口食べた。
桂花「嘘でしょ……こんなに美味しいなんて、ただしょっぱいだけじゃないわ……。」
秋蘭「野菜にも謎の調味料が絡んでて旨味が増しているな、姉者が病みつきになるのも頷ける。」
華琳も一口、また一口を上品に食べている。一挙一動が美しく、一刀も見惚れそうになる。
華琳「この調味料……塩だけじゃないわね。何種類ものの野菜や果物を磨り潰して混ぜてあるわね。甘味と辛味もあるけど、まさか砂糖と香辛料?」
一刀「凄いな、全部当てるなんて……。
誰も食べないようなクズ野菜や果物を使っているんだ。香辛料は商人との物々交換でね。
塩は岩塩から採取、砂糖は原料を頂いて手作り精製したものを。」
ソースの材料を当てたことで、この時代では無い手法を次々と明らかにしていく一刀。
周囲は驚愕でどよめき、女性達は更に惚れ、星達は流石と感心していた。
そして、華琳達は完食したら、華琳は立ち上がる。
華琳「見たことない調味料に料理、砂糖の精製、それに桂花を言い負かす頭脳の持ち主……決めたわ。
天の御遣い・北郷一刀、私の臣下になりなさい!」
春蘭・桂花「華琳様!!??」
秋蘭「やはり、こうなったか……。」
稟「流石は一刀殿……こうも容易く曹操殿に認められるとは。」
風「おやおや〜、我々より先を越されてしまいましたね〜。」
星「主なら当然ですがね。」
香風「……お兄ちゃん、凄い。」
一刀は内心驚いていた。星達から聞いた話とは少し違い予想外だったから、男故に今は仲良くなるのは厳しいと踏んでいたからだ。
一刀「いいんですか?天の御遣いなんて胡散臭い男を勧誘するなんて。」
華琳「生憎だけど噂だけで人を判断しないくらいは人を見る目は持ち合わせているのよ。
料理の腕も私の舌を圧倒できる、あなたの知識でできた未知の料理ということを含めても、滅多にいないわ。それに、立ち振舞を見ても、かなりの武の腕もあるでしょう。
全てにおいて、貴方は得難い最高の人材よ。」
かの曹孟徳をここまで言わせることがあったのだろうか、民衆達はかなりざわついている。その中でもてなしてもらった女性達は歓喜の黄色い声援が送られていた。
一刀「あの、俺より彼女達を」
春蘭「お待ちください、華琳様!」
唐突ながらもかなり気合いの籠もった大声をあげ机を叩いた春蘭。華琳に強く愛してもらっているが納得がいかないのだろう。
春蘭「いくら私の胃と華琳様の舌を認めさせる料理を出しただけで彼奴を覇道を共に歩む配下にするのは納得がいきませぬ!」
華琳「私の言う事と目が間違っていると?」
春蘭「此度ばかりは、そう安々と承るわけには参りませぬ。
もし華琳様の覇道の力になるというなら、私ぐらいの武勇がなければ!」
桂花「珍しく最もな意見ね、春蘭。
華琳様、私もその破廉恥男を加入させることはなりません。」
秋蘭「しかし、華琳様のご意思であるぞ。」
一刀を欲する者とそれを拒む者、そして中立に立つ者がはっきりしたところで、一刀は口を開く。
一刀「あの、夏侯惇殿が言いたいのはあなたと決闘しろと?」
春蘭「そうだ!なかなか聞き分けがいいな。今ここで私と戦え!」
一刀「うーん、それはできません。」
春蘭「何っ!華琳様の御前で逃げるのか腰抜けが!やはり此奴を引き入れるのは」
一刀「いや、そうじゃなくて。
ここ食堂だぞ。こんなところで暴れられるわけないだろう。」
全員「………………」
春蘭「なんだそりゃっ(ずこっ)」
文面だけで見たら、確かにその通りである。桂花も言いくるめられている様子に苦虫を噛み潰したような顔をしていて、華琳と秋蘭はクスクスと笑っている。
華琳「春蘭、この一刀という男の言う通りよ。
皿を片付けなさい。そして、表へ。」
一刀「逃げるつもりはありませんよ。店主さん。売上まとめておいてくれ。
星、荷物持ってこよう。」
星「分かりました。これは同じ武人として楽しみですな。」
一刀は皿を戻しテキパキと洗う。そして、星達を連れて表の荷車を移動させた。
華琳「ふうん、あれが一刀の旅仲間?なかなか可愛らしい娘が揃っているじゃない。」
今年最後の滑り込み投稿です……。
次回も微エロあります。
ネタバレになりますが、この作品は一刀√です。
次回もお楽しみください。
よいお年を!