その構成し直しの回です。
本当は各勢力ごとに1話ずつ話の前半に書くつもりでしたが、とある回までにオーバーすると気付いて、ここでまとめました。
ちなみに作者は三國志の知識もそうですが、政治学もにわかのにわかです。
それでも自分なりに上手く妄想を描けたと思っているので、
楽しく読んで頂いければと思います。
一刀が流星となって落ちる少し前……
__陳留__
玉座には、金髪ツインロールの少女、曹操が座っており、その隣に黒髪の長髪である女性、夏侯惇と水色髪で片目が髪で隠れている女性、夏侯淵の姉妹がいた。
秋蘭(夏侯淵)「華琳様」
華琳(曹操)「秋蘭、どうしたの?」
秋蘭「物見より入った情報なのですが、陳留から少し離れた荒野で白い流星が落下したと。」
春蘭(夏侯惇)「それは、管輅の予言の『天の御遣い』ではないか?」
秋蘭「あ、姉者? 頭でも打ったのか?」
春蘭「秋蘭……奴に華琳様が『乱世の奸雄』などと言われたのだぞ……嫌でも忘れないわ。」
秋蘭「……確かに、忘れない方が普通か。」
桂花(荀イク)「ふん! 占いや噂がどうであれ、華琳様がそんな奴らに敵うはずがないわ!」
華琳「あら? 私が負けると思ってるのかしら?」
桂花「いいえ! そのような事は……。」
華琳「ふふ、今夜は楽しみにしててね。
せっかくだし、少し探しに行ってみましょう。」
春蘭・桂花「華琳様!?」
華琳「噂もそうだけど、どんな人物なのか、興味が湧いてきたわ。
出立の準備を。」
秋蘭「はっ。
姉者と桂花はいつまで固まっている? こうなった華琳様は気が済むまで止まらないぞ。」
春蘭・桂花「うぅ……仕方ない。」
そう言って、出かける準備をすると、華琳と近しい容姿の女性3人、華琳の従妹の曹仁(華侖)と曹純(柳琳)、そして曹洪(栄華)が様子を伺いに来た。
華侖「華琳従姉さん、どこか行くっすか?」
華琳「少し出かけるわ。留守をよろしくね。」
柳琳「気をつけ手くださいね。春蘭達がいるから安心できるけど、奇妙な噂だけじゃなくて、つい最近、妙な占い師に色々言われたのですから。」
栄華「全くですわ。その占いでは、『天の御遣いがこの世界にやって来る。その者が乱世を収束させ天下を統一する。』なんて言うのですし、お伽噺じゃないですか。乱世を収めるのは、華琳従姉様ですというのに。」
華琳「ふふ、確かにそうかもしれないわね。でも、ひょっとしたら私の手助けをしてくれるかもよ。」
栄華「それだといいんですが……ああ、女の子であれば楽しみですわ!」
華侖・柳琳「…………(汗)」
華琳「相変わらず、可愛いもの好きね。
じゃあ、出発するわよ!」
春蘭・秋蘭・桂花「はっ!」
柳琳「従姉さん、お気をつけて。」
陳留から出発した4人、だが、幸か不幸か、一刀達とは入れ違いとなってしまい、数日は発見することができなかった……。
__幽州近郊__
丘に穏やかな空を眺めている3人の少女がいる。
一番小柄で赤色のショートヘアに虎の髪飾り、へそ出しで手元には、背丈の2,3倍もの長さの蛇矛を扱う張飛翼徳、真名を鈴々。
美しい黒髪をなびかせ鋭い眼差し、着衣越しでも判る巨乳でその谷間に短いネクタイ、得物が偃月刀の関羽雲長、真名を愛紗。
そして、、胸の大きさはその愛紗と同じかそれ以上の持ち主、愛紗とよく似ている服装を着ていて明らかな違いは服の襟にリボンが結ばれておりそのリボンのたれがおそらく彼女の乳首に被さっている、物腰柔らかそうで万人を惹きつける魅力を持ち合わせた劉備玄徳、真名を桃香。
義姉妹の誓いを交わした彼女達は流浪の旅の休息で流れる雲を眺めていた。
すると、空から白い流れ星が。
鈴々「あ、お姉ちゃん!流れ星なのだ!」
桃香「本当だ。白くて綺麗だね。」
愛紗「確かに綺麗ですが、日中の流れ星とは吉兆とは限りませんね。」
鈴々「えー、そう?きっとおめでたいことが起きるのだ!」
桃香「ふふ♪私もそう思うよ。愛紗ちゃん。」
愛紗「そうでしょうか……。
そういえば、白い流星といえば、巷で噂になっている、『天の御遣い』の話とよく似ていませんか?」
桃香「あ、言われてみれば確かに……。
噂の内容が本物だったら、私達の理想を叶える手助けになるかも……。探しに行かない?」
愛紗「なるほど、それは名案かもしれませんね。
我が義姉の理想を叶える為なら、御使いの力は大きいかもしれません」
鈴々「でも、何処を探すのだ? 流星が鈴々達のところには落ちていないのだ。」
桃香「あ……。」
そう、会話をしている間に流星は見えなくなっていた、というより、既にどこかに落ちていたのだ。
愛紗「落ちたのは……兗州の南部辺りでしょうか。」
桃香「うーん……思い切って行ってみる?」
愛紗「北上している今、南下するのですか……承知しました。但し、我らの路銀が心許なくなっていることも、お忘れなきよう。」
鈴々「それまでに天の御遣いに会えればいいのだ!」
桃香「そうだね。よーし、出発!」
愛紗、鈴々、桃香の3人は流星が落ちたであろう、兗州に向けて出発した。
その後、彼女らが思いもよらぬ形で邂逅することになるのはもう少し先の話。
__揚州・呉郡__
太陽がよく見える草原で桃色の長髪で紅の露出した服、上乳が隠せていない巨乳の褐色肌の女性・孫策、真名を雪蓮と呼ぶ彼女は一人で酒を飲んでいた。
江東の虎の異名を持つ母親・孫堅、真名を炎蓮の下で、母に劣らない武力を持つ彼女は小覇王と呼ばれており、幼馴染みの美周嬢の異名の周瑜、真名を冥琳の智謀と併せて孫呉の将として戦に臨んでいた。
それを一度忘れているかのように酒を啜っている彼女の側に一人の女性が近付いていた。
祭「ここにおられましたか、雪蓮殿。」
雪蓮「あら、祭。一緒に飲みに来たの?」
彼女は孫呉の宿将の一人、名を黄蓋、真名を祭と呼ぶ。弓の名手の武人でありながら、料理の腕は絶品と女性らしさを強く出せる様を併せ持つ、孫堅の右腕だ。彼女もまた、紫の服は左右の横乳を隠さず胸元が開いている。
祭「そうしたい気持ちもありますが、後ろをご覧くだされ。」
言われて前のめりに覗き込むと、彼女の見知った顔が。
眼鏡に黒の長髪、服装ももはや服とは言えない程の露出をしている、孫呉の軍師で雪蓮の幼馴染み・周瑜、真名を冥琳がそこにいた。
彼女にお酒がバレたのがマズいのか、雪蓮は苦笑いする。
雪蓮「げっ、冥琳……」
冥琳「まったく、どこに行ったと思えばまた酒か……私達がどれだけ心配したと思っている?炎蓮様も探していたぞ。」
雪蓮「母様まで?うわ、また説教?
あ〜、やだやだ。今の世の中ぐらいやだ。」
冥琳「そんな駄々を……まあ、情勢はその通りだがな。」
雪蓮「でしょー!
何もしない形ばかりの外戚と、宦官に牛耳られた朝廷の腐敗で各地で盗賊崩れの農民による反乱が多発。なのに宮中は権力争いに明け暮れて、今や大陸をまたぐ大乱。」
冥琳「戦続きで民衆は疲弊して負の連鎖……それを断ち切らねばな。」
蓮華「あ!姉様、こんなところにいた!」
雪蓮が情勢の話に上手く反れたと思っていたところへまた来訪者。
雪蓮程ではないがそれなりの露出に巨乳、そして煌びやかなピンク髪で、天下一品の美尻の彼女は次女・孫権、真名を蓮華。母の炎蓮と姉の雪蓮と武力を比べたら劣るが、彼女達以上の大器を秘めているとの好評がある。
蓮華「何をしているんですか?母様と冥琳が探していて……またお酒ですか?」
雪蓮「ギクッ……ち、違うわよ〜。
洛陽の情勢で起きた乱世で、鎮めるのは誰かって話を祭と冥琳で……」
冥琳「……やはり、その話で反らす魂胆だったか。
そういえば、乱世を鎮めるといえば、そんな噂もあったな……。」
祭「ひょっとして、『天の御遣い』の噂か?
天の御遣いは、流星と共に現れ、乱世に苦しむ民を救うべく立ち上がる。その『天の御遣い』は様々な能力を持ち、乱世は鎮まるやも知れぬ。」
雪蓮「あ〜……なんか聞いた事あるわ〜それ。噂に少し尾ひれが付いている気もするけど。」
冥琳「占い師の流言とはいえ、民の殆どは信じている、それに縋っている程、世は混迷しているということだな。」
雪蓮の逸らしとはいえ、この噂は実際に周知されていることだ。蓮華はため息をつきながらも追及を諦めることにした。
蓮華「……世のことを考えていたということにしておきますよ。
しかし、その噂は私も聞いたことはありますが、現実味が無さすぎませんか?
流れ星なんて滅多に流れるものでもありませんし、そこに人がいるなんてお伽噺じゃないですか。」
冥琳「それは確かにその通りだ。明白な空想を希望と信じさせてしまうのが狙いにも思えるな。」
蓮華と冥琳の正論に、祭は理解しきれていないのか首を傾げて、雪蓮は夢のない話だと嫌そうな顔をする。
雪蓮「最もだけど、夢のないことを言わないでよ〜。
……あたしの勘だけど、その噂は本当に現実になると思っているの。」
突然の打ち明けに三人は驚き雪蓮の顔に視線を集めた。
蓮華「姉様……本気で思っているのですか?」
雪蓮「本気じゃなかったらここでそんなこと言わないわよ。
だから、それを期待して青空を肴にこうして昼酒を……………あ!?」
せっかく誤魔化したというのに、その手段で結局ボロをだしてしまった雪蓮に蓮華と冥琳はギロリと睨む。
蓮華「姉様……せっかく目を瞑ろうとしたのに、お伽を理由に酒ですか……。」
冥琳「墓穴を掘るにしてはあんまりだぞ……。これは説教が必要だな。」
祭「雪蓮殿……儂でも庇いきれませんぞ。」
雪蓮「うぐっ……で、でもっ今になって流星がくれば……………
嘘?」
雪蓮が慌てて上を見上げると、目を丸くする様子に気になって全員が空を見上げる。
蓮華、冥琳、祭も驚きを隠せなかった。
空には、この日中に相応しくない白い流星が流れていたのだ。
嘘から出た真のことに雪蓮は固まり、蓮華と祭は流星を指指しながら慌てて
冥琳は冷静に分析する。
冥琳(まさか本当に流星……これは吉兆か凶兆か……)
?「テメェら、揃いも揃って何ボケっとしてやがる!」
祭「はっ!?い、炎蓮様……!」
蓮華「母様……いつの間に……。」
空を見上げていた彼女達の後ろに立っていたのは、雪蓮や蓮華によく似た背の高い女性。
彼女こそ、雪蓮と蓮華の母親であり江東の虎の異名を持つ孫堅、真名・炎蓮だ。他の孫呉達と同様に面積の小さい衣を纏うが、大陸一と言っても過言じゃない超乳を揺らしながらも雪蓮達の体を震わせる程の威勢を放つ。
雪蓮「やばっ、母様……!」
炎蓮「雪蓮、真っ昼間にサボって酒とはいい度胸だな……。」
雪蓮「いや、これは、その……
ってそんなことより!母様もあの流星を見た!?」
炎蓮「露骨な逸らしだな。
当然見たとも。で、テメェらはどう考える?」
炎蓮が鋭い目で雪蓮達を見つめる。
逸らしに気付いているとはいえ、その言葉と目に彼女達は戸惑うが、雪蓮が口を開いた。
雪蓮「無理に捜索しない方がいいと思う。いずれこっちに来るかもしれないから。」
真っ先に喋った雪蓮に驚く蓮華達。炎蓮はその言葉にニヤリとしている。
炎蓮「ほう……どうしてだ?」
冥琳「確かに、無理に探しに行かないことは賛成だな。
流星の落下地点はおそらく兗州。対立している劉表や袁術の領地を通過しなければならない。
……だが、いずれ来るとはどういうことだ?」
驚きながらも冷静な冥琳に蓮華と祭は納得していたがやはり疑問点は一番最後のところだ。
雪蓮は軽くニヤリとしながら話を答える。
雪蓮「はっきり言って、ただの勘よ。
天の御遣いはきっと、私達の前に現れる、そう思っただけ。」
……適当としか思えない返答に冥琳を始め一同呆然とする。
その一方で母親の炎蓮は……
炎蓮「……クックッ、ハーハッハッハッ!
なるほど、勘か。冥琳みたいな明確な根拠は無しか!
流石は俺の娘だな、俺の勘もそう思ったところだ。」
豪快に笑い倒す彼女を見て、冥琳達は目線をそちらに向けて驚いており、
雪蓮は様々な意味での喜びで拳を握っていた。
炎蓮「よ〜し。なら、その御使いがいつ来ても良いように、こんなところでダラダラしているわけにはいかねえよな?」
喜びも束の間、というか、誘導しているようで誘導されていたことに、母親の威圧と口調の重さに気付く。
雪蓮「あっ……あー……じゃあ、劉表との戦に備えて鍛錬を!」
冷や汗を流しながら、立ち去ろうとする雪蓮だったが、その肩を炎蓮にがっしり掴まれる。
炎蓮「ほぉ、熱心じゃねぇか。なら俺が直々に稽古に付き合ってやるよ。」
恐ろしい笑みで雪蓮を見る様子に顔が青くなり始めた。死の予感すら感じるほどの恐怖だ。
雪蓮「あ、そ、そういえば政務が残っていたような〜、それを片付けてから」
冥琳「残念ながら残っていた、ではなく溜まっているだな。酒に時間が奪われているせいでな。私がしっかり見張れば簡単に終わるぞ。」
この茶番に便乗した冥琳も日頃の問題の解決を目論む。
顔が完全に真っ青になり、冷や汗が凄いことになっている雪蓮は、妹の蓮華と宿老の祭に視線を当て助けを求めた。
蓮華「母様、いっそのこと両方を同時に行わせるのはどうでしょう。」
雪蓮「れ、蓮華!?」
炎蓮「ほぉ、大胆ながらも折衷案とは、俺の娘にしては冷静沈着で良い考えだ。」
蓮華「ありがとうございます、母様。」
雪蓮「ちょ、ちょっと蓮華、それじゃ私」
冥琳「なるほど……確かに一理あるな。それで行こう。」
雪蓮「これ以上乗って重くしないで!
祭、助けて!」
祭「雪蓮殿……儂は一介の老将に過ぎませぬ。ましてや、大殿・孫堅様に逆らうなどとても……。
さて、儂は命令された通り、長江と襄陽の偵察の報告を受け取るとしますか……。」
足早に去る祭、もう救いの手は無いと察した瞬間に、冥琳と蓮華に両脇を取り押さえられ連れていかれた、後ろには炎蓮が強い眼差しでみはられながら見張られながら
雪蓮「い〜〜や〜〜あ〜〜!!!」
この時の彼女の悲鳴は、後の孫家の地・荊州・長沙にまで響いたと後の孫呉の将達は遅からず知ることになる……。
____冀州・鄴____
この地を治めるのは四世三公と名高い名家の血筋・袁家の当主・袁本初、真名を麗羽と言う。
華琳と似通った髪型をしながらも、彼女とは相反して、高身長に爆乳と華琳とは違う意味での美女。
治世も彼女に負けない……ということはなく
麗羽「おーほっほっほー!
この袁本初が治める地は私のお陰で安泰ですわー!」
目の前には豪華な服や金品等の貢ぎ物が。これは、名家の後ろ盾を得たい為に役人が租税から着服した物だ。洛陽程ではないにしても民達はそれなりに苦しむのが実情だ。
まあ、当の麗羽は貢げるくらい豊かだと勘違いしているし、貢ぐ人間達も後ろ盾を得るというより、それをせずに信用を失って領地・官職剥奪を恐れているのもある。
献上品で浮かれているところに、女性が三人入ってくる。
先頭にいる、黄色の振り袖に髪には左右のシニヨンキャップに眼鏡、麗羽には劣るものの巨乳の持ち主の彼女は田元皓、真名を真直(まぁち)という、袁紹の筆頭軍師だ。
その後ろにいる二人は主力の武将。
左にいる、翠色のボブショートで髪にハチマキのようなものを巻きこの中では胸が小さい方の彼女は文醜、真名を猪々子(いいしぇ)という。
右の、同じボブショートで黒髪の一番清楚に見える彼女は顔良、真名を斗詩という。
斗詩と真直は慌てているが、猪々子はそれ程と思っていないのか、気楽そうだ。
麗羽「皆さん何ですの、騒々しい。」
真直「騒々しいではありませんよ!
流星が、白い流れ星が落ちたんです!」
麗羽「何を仰ってますの?この真っ昼間に流れ星など、頭がおかしいのですの?」
……信じる信じないかはともかく、頭がおかしいという物言いが麗羽にあまりにも似合わないため、斗詩と真直は思い切り口が引きつっている。
猪々子「姫様、アタイも信じられないけど、本当なんだ。」
麗羽「猪々子さんまでそう言うなんて。
でも、本当だとしても、それが何ですの?」
斗詩「それ自体も大変なのですが、管輅の予言『天の御遣い』に酷似していると……。」
麗羽「天のみつかい?帝がいるのに天を名乗るとは、何様のつもりなのですか?」
どうも拾えたのは{天}という部分だけで、真直はため息をつき鳩尾を押さえていた。
真直「巷の一番有名な噂まで知らないなんて……
話によると、その流星と共に現れる『天の御遣い』が乱世を鎮め天下を統一すると言われ」
麗羽「なぁんですって!?
天下を統べるのは、この私・袁本初ですわ!
その御遣いとやら、この袁本初にこそ相応しいですわ!」
真直「ですから、その天の御遣いが」
麗羽「私が天下を統べる、と仰ってますの!」
真直「ですから!その天の御遣いが!
落下したと思われるところは、兗州南部と思われるので……。」
一瞬ポカンとしたが、顔を赤く強張らせる。
麗羽「な……なんですって〜!
また華琳さんに先を越されてしまうではないですの!
この上は、華琳さんを圧倒できる程に軍備を整えなさい!」
斗詩「え……その、麗羽様。
その流星を目撃した兵士達が浮足立って鍛錬どころでなくなってしまい……。」
麗羽「そのようなこと、
勇ましく、華麗に!足並みを揃えるよう号令なさい!
おーほっほっほっほ!」
斗詩「うーん……分かりました。」
頭を抱える彼女を気遣っているのか、何も判っていないが苦悩の彼女を励ますのか、猪々子が肩をポンポンと叩く。
猪々子「斗詩、そんな深く考えるなって。いつものように、アタイ達の武力を磨けばいいだけだって。
アタイと斗詩の愛なら敵なしだ!」
斗詩「文ちゃ〜ん、もうちょっと真面目に考えて……いや、そうだね……色々考え込む前にまずは目先の鍛錬をした方が良いかもしれないね。」
猪々子「だろ?じゃあ、行くぞ!」
少しだけ元気を取り戻した斗詩と相変わらず元気、いや、斗詩の顔が少し明るくなったことで元気いっぱいになった。
一方、取り残された文官の真直は高笑いしている当主を置き、部屋からトボトボと離れる。
真直(はぁ……どんな情勢になっても麗羽様は変わらない……面倒見がいいのと曹操殿に負けない大衆を惹きつける魅力は強みだけど……それを帳消しにするくらいの目立ちたがりと暴走ぶりと……ああ、挙げ出したらきりがない……。
もし、その天の御遣いが男性だったらな……曹操殿の所は可愛いもの好きで有名だから。それで流れてこっちに士官してくれたらこの冀州を変えてもらえるかもしれない……でも、麗羽様の心を変えるなんて、押し倒したりするくらい強引じゃないと厳しいかな……。)
__荊州・南陽__
ここを治めるのは袁家の血筋で麗羽の従妹・袁公路、真名を美羽と呼ぶ。
この地も麗羽の場合と同様、民達の暮らしは豊かではなく、彼女もまたそれなりの贅沢をしている。
だが、麗羽との明確な違いは、全ての意味でまだ幼いということだろう。
容姿は血筋の影響か金髪にそれなりの渦巻を巻いた髪型。後ろに大きなリボンを留めている。服も肩出しの振り袖で色は彼女の好物と同じ蜂蜜色と言うべきか。麗羽とは、形が異なる美少女だ。
そんな彼女の立場は名ばかりで胡座をかいている。実質的な統治は彼女の配下達だ。
?「美羽様〜、ご報告がありまーす。」
美羽「ほむ?七乃か。丁度よい。蜂蜜水が欲しくなってきたのじゃ。」
我儘領主・美羽の前に現れた、どこか麗羽の配下・斗詩と近しい顔立ちと髪で、現代西方の地域の白い軍服のような服装と制帽にスカート、薄手の手袋を身に着けている彼女の名は張勲、真名を七乃と言う。
美羽の側近の筆頭で彼女を特に溺愛・崇拝している。
政務軍務を全てこなせる万能だが、美羽の為にしか使わないので、彼女の無茶振りを快く聞き入れる。美羽のわがままとこの地の問題はほぼ七乃のせいとも言えるだろう。
七乃「美羽様、本日も流石の我儘ぶりですね♪
直ぐに用意したいところですが、急用の報告です。
たった今、白い流星が兗州南部に落下したとの目撃が。」
いつもの調子の七乃から摩訶不思議な話の内容に、美羽は目を丸くしてキョトンとする。
美羽「何を言っておるのじゃ?
七乃、今は昼時ぞえ。」
七乃「そうなのですが、これは昨今噂となっている『天の御遣い』とそっくりかとー。」
従姉と同様の単語で固まる美羽、そして、同じ流れで声を荒げた。
美羽「て、『天』じゃと!?
わ、妾こそ天を名乗るのに相応しい者じゃ!」
七乃「おお、流石は美羽様!話はそっちのけでの強がり、流石です〜!」
美羽「ふふん、当然じゃ。
その者の好きにさせぬよう、今日も励むとよい。あと、そろそろ蜂蜜水が欲しいのじゃ。」
七乃「はいはい分かりました〜、お持ちしますね。」
無知で尊大な美羽に一礼した後、七乃はその場を離れ、厨房に向かう。その間、七乃は思考を巡らせていた。
七乃(どんな時でもブレない美羽様は今日も可愛いです♪
天の御遣いは美羽様の言う通り、我々の障害にしかならない……いえ、そうならないかもしれませんね……。
近頃の民達から不満と乏しい税収の問題が、『天の御遣い』の名で解消できる上に、他の地域からの寄付と献上が付くかもしれません。
でも、もし天の御遣いが男なら……お嬢様を襲う危険もありますので、慎重に探るとしましょうか。)
と、このように両者袁家の陣営では、知者が『天の御遣い』に思惑を巡らせているのをさておき、当主達は言うなれば平常運転だった。
しかし、この時は誰も知らない、彼女達の高笑いが享楽に歪むことを……。
__涼州・隴西___
辺境のこの地を治めるのは太守・董仲穎、真名を月(ゆえ)という。
董卓、といえば本来の史実では悪逆非道の暴君、だが、恋姫の世界は容姿も思想もまるで真逆。
容姿は、波がかった髪型とベールを被り綿の付いた袴を羽織る、人形のような可愛らしさを持っている。
そして、泰平の為民の為、身を粉にして政務に勤しみ、自らの地を守る聖人君子と言っても過言ではない少女だ。
机の上の大量の竹簡に目を通していると、部屋の扉が開き、三つ編みで眼鏡をかけた女性が入る。
彼女は賈文和、真名を詠と呼ぶ。月の側近で軍師、そして、幼馴染だ。
詠「新しい報告届いたわよ。
……ねえ、月。最近、少し無理し過ぎじゃない?」
月「うん……自覚はしているけど、貧困に苦しんでいる民を放ってはおけない。」
詠「まあ、月らしいといえばらしいんだけど……。
この地だけじゃ手に余るわ。中央の洛陽も宦官の腐敗で民は貧困に晒されてこちらに流れてきて保護はしているけど。
私としては、月が漢の政権を握って世を泰平に導くべきだと思う。
月に天下を獲る器も実力も兼ね備えていることは、私が一番よく知っている。」
月「詠ちゃん……買いかぶりすぎだよ。私はそこまでの能力は無いし……それに、仮に私が洛陽を制圧しようとしても、反逆者扱いで潰されるだけ。何か、大義名分があれば別だけど……。」
段々落ち込んでくる月と詠。すると、再び扉が開き、月達より背が高く、お腹や脇などの肌を見せた服装をしている女性が現れる。
彼女は華雄。董卓軍の筆頭武将で兵士達に慕われているが、プライドの高さである程度、実力に劣りが出ている武将だ。
華雄「董卓様、よろしいですか?」
詠「華雄?武官の貴方がこの部屋に来るなんて珍しいわね。何かあったの?」
華雄「信じがたい話ですが、この日中に、空から白き流星が兗州に落下したようで……。」
華雄の摩訶不思議な報告に二人は目を見開き互いを見る。
月「詠ちゃん、これって……。」
詠「ええ、噂の『天の御遣い』かもしれないわ。」
華雄「天の御遣い?それは占い師の噂に過ぎないのでは……。」
詠「いえ、実際に流星が見えたのなら予言は当たったということよ。
それを利用すれば中央の掌握も叶わないわけじゃなくなるけど、兗州……司隸を通過しないと調査隊を派遣できないわね……!」
悔しそうにしている詠を落ち着かせようと、月は彼女の肩をとんとん、とあやす。
月「大丈夫だよ、詠ちゃん。
無理してまで求めなくてもいいと思う。今は、目の前の政務に集中しよう。」
詠「でも、月……。」
月「それに、もしその御使い様が天下を泰平に導いてくれるのなら、きっとここに来てくれるはずでしょ。」
少々現実的ではない説得だが、彼女達を納得させるには充分だった。
詠「……分かった、一旦諦めておく。でも、必ず大業は成す、約束してね。」
月「うん、もちろん。
華雄さんも、その時を迎える為に、兵士さん達の調練をよろしくお願いします。」
華雄「承知した。董卓様の為、ますます励みます。」
月と詠は政務に戻り、華雄も訓練場に向かい、部屋は再び静寂に包まれる。
月と詠の予想は当たるのだが、その『天の御遣い』に大きな騒動と関係に巻き込まれることになる……。
__司隸 洛陽__
後漢の中で最も荒れ果てた首都。
民は飢餓に苦しみ明日すら見えず、
暴行強盗は当たり前のように横行しており、兵士達もそれに見て見ぬふりをするか賄賂を受け取り犯罪者の味方になったりと治安が悪いどころでは済まない無法地帯だ。
漢の頂点・帝がいる宮殿は、この荒れた土地には相応しくないほど豪華。
そこに住むのは、
霊帝・劉宏、真名を空丹と言う。綺麗なウェーブで長い白髪に背丈には不釣り合いな胸をよそに、祭り上げられ堕落していることを表しているかのように着物がはだけているような着こなしをしている。
その隣のもう一つの玉座に座るのは妹の献帝・劉協、真名を白湯(ぱいたん)と呼ぶ。
姉とよく似た容姿だが、幼さが大きく目立ち伸び盛りを表しているだろう。
二人の傍で腕を組み、
栗色の結った長髪に右目の下に小さな黒子、空丹以上の巨乳を彼女とは別の形での露出のさせかたをしている着こなしで肌は色黒に近い、少々威圧的な彼女は大将軍・何進、真名を傾と言う。
その傾の隣にいるおさげの緑髪に左右が突起状のカチューシャ、傾ほどではないが張りのある胸と露出をしていて傾とは対の位置に黒子、傾とは別の意味でオーラを感じる彼女は皇后・何太后、真名を瑞姫(れいちぇん)と言う。
この何姉妹は、元は市井の肉屋という皇室とは縁遠い身分であったが、とある宴席で傾達が料理を振る舞う機会をいただき、その時に空丹に瑞姫が見初められ皇后(義母のような立ち位置だろう)そして傾も外戚として大将軍の地位に就いた。
更に、玉座の大将軍とは反対の位置に立っている、青髪でどこか七乃と似た雰囲気の彼女は宦官・十常侍の二番手・趙忠、真名を黄(ふぁん)と呼ぶ。
漢の実権を握る宦官唯一の女性で霊帝に取り入り好き放題……というより、空丹達帝姉妹を愛でたくてあえて情報が行かないようにして世間知らずを作り甘やかす、どう考えても七乃と同じタイプの女性で腹黒さも彼女以上だ。
とまあ、上座の女性達の紹介はこれで全員だ。
下座には宦官・十常侍の最高筆頭・張譲を先頭に計九人の宦官が平伏している。
張譲「陛下、兵よりあまりよろしくない知らせが舞い込みました……
この昼間に白い流星が降りました。これは、あの存在するかも定かではない占い師・管輅の忌々しき予言『天の御遣い』と酷似しております。」
そう不機嫌そうに語るのが、漢の権力者・張譲。暴食をしているかの如き肥えた体躯の者や、何か怪しい薬を常用して極端にやせ細る、宦官達の中では、黒光りする派手な衣類を除けば、どこにでもいるような青年の容姿をしている。
空丹「それはなんなの?別に大騒ぎする程のことじゃ」
宦官その一「大有りですとも!
陛下という方がおりながら天を語る不届き者がこの地に降り立ったということですぞ!」
宦官その二「これは陛下への侮辱と同時に、存在そのものが裏切りに他なりません!即刻に其奴を捜し出し排除するべきです!」
まるで自分の為は天下の為と言わんばかりに熱くなっている宦官達。
大将軍にも関わらず口出しできない傾は苦虫を噛み潰したような不機嫌さを見せる。
一方、宦官で唯一の女性の黄は、流石に空丹達も不機嫌になるかもしれないと止めようとすると、
白湯「その御使い様に会ってみたいなぁ……。」
帝の妹でありながら、立場を脅かしかねないということを訴えているというのに、純粋な好奇心の一言で、宦官達は一瞬にして静まり驚く。
宦官その三「な、何をおっしゃいますか、殿下!もし万が一があれば……」
白湯「万が一って何ですか?天の御遣い様が来るなんて、それこそ天のお導きなんじゃないですかぁ?」
宦官その一「いや、そのえーっと……
も、もし、其奴が男だとしたら、襲われます!」
閉塞的な生活を過ごして無知な姉妹にはどういうことか解らないようで首を傾げているが、この宦官の発言は全員、特に張譲と黄から冷たい視線を浴びることになる。
白湯「襲われるって、皆がいる中でどのように?」
宦官その一「え、いやー……それは……」
張譲「趙忠、何太后様。追々、陛下達の教育を。
とにかく、忌々しき『天の御遣い』に会うなど碌なことになりません。」
白湯「そうかな……天の知識とか、面白い話を聞かせてくれるかもしれないのに。
ですよね、姉様。」
空丹「……あ、ということは、朕達も知らない美味しいお菓子の話とかもありそう!
黄、直ぐに『天の御遣い』を探し出してきて!」
悪者に仕立てようとしたが、結局は幼い純粋さには通じず、むしろ迎え入れろと言われる始末。
宦官達は目論見が失敗してがっかりしてしまうが、筆頭の張譲は冷静なのかペコリと軽いお辞儀をすると足早に他の十常侍達を連れて玉座の間を去るのだった。しかし、見られはしなかったが彼の顔は顰め面だ。
空丹「というわけで黄、お願いできるかしら?」
白湯「私からも、お願い。」
黄「……はぁ。陛下の御心のままに。
しかし、十常侍らの言う通り、しっかりと調査した上で、陛下の害となる可能性が発覚した場合は……」
空丹「多分、大丈夫だと思うよ。」
黄「警戒心が無さすぎですよ、まあそれも空丹様の魅力ですが。」
微妙にほのぼのとしたやり取りだが、それを見飽きた傾は呆れながら上座から降りて部屋を出る。瑞姫もついていき、黄に聞こえないところまで来ると、瑞姫は傾を引き止めた。
瑞姫「姉様、ひょっとして例の『天の御遣い』を気にしているの?」
傾「……気にしていないといえば嘘になる。というか、瑞姫、貴様もだろう。」
瑞姫「まあね。
あたしはどんな子なのかなってだけ。姉様は違うんじゃない?」
傾「どうだか……
簡単な理由だ。もし真に世を統べる能力があるのなら、十常侍共をなんとかでき、ようやく贅沢できると思っただけよ。
妹が皇后となり余は外戚で大将軍。権力を手に入れて贅沢できると思ったが、実際は宦官共が邪魔して厄介事を押し付ける。」
瑞姫「あの手の連中って、自分の欲を満たそうとする為なら他人を蹴落としても構わない連中だからね。しかも、兵も手も足も出ないどころか、奴らのおこぼれに預かる者や、諦めて堕落する奴しかいないもの。」
傾「だから余計に仕事が増えるだけよ……それを変えるきっかけこそ、天の御遣いと思ってな。」
瑞姫「姉様にしてはそれなりに名案だけど、そう上手くいくかしら?
男にしても女にしても、あの十常侍を相手にできると思う?」
傾「……確かにな。
男なら、特に黄が陛下に近づけさせまいと排除する気もするな。」
瑞姫「まあ、もし男なら、贅沢する前に姉様が贅沢されちゃうかもね〜。」
傾「それはどういう意味なのだ!」
あらゆる思惑を抱える漢王朝。
彼ら、彼女らの運命をその『天の御遣い』が大きく変えることになる。
この回、いかがでしたでしょうか?
袁家を入れたのは自分の趣味で、董卓陣営を入れたのは白月の影響、洛陽は物語の展開の為です。
先に処女作を投稿して、物語の続編を挿入投稿しているので、お気に入り登録されている方、最新話表示されていないかも知れません、申し訳ありません。もし、この作品の続きが気になっている、または、お気に入り登録されている方、検索で[原作:恋姫†無双]で定期的にチェックしてください。
続きも気長にお待ちください。