※この作品はR-18です。

恋姫†夢想 一刀無双伝 超ハーレム√   作:新米気質の3月

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今回も久しぶりです。なかなかモチベーションが上がらない……。
今回ちょっとエロ無しですが、エロの方向性を増やせるようにこの回を書きました。
ちなみに作者が18歳になった頃には既に恋姫†無双のソシャゲはサービス終了していたので、そこら辺のタイムパラドックスはどうなっていたのかは知りません。一応、原産地や歴史等を調べたりして書いています。
そして、英雄譚で追加されたあのキャラが登場します。
どうぞ。


4話 商人が持つタイムパラドックス(エロ無し)

様々な方面、方向から注目されている天の御遣いこと一刀。

旅のお供は星と稟、風、香風。

無事、兗州領内には入れたものの、目指す曹操の居る陳留まではまだ遠い。

 

 

荷車を引く一刀と香風、稟と風、そして珍しくも星は荷車に座り休息をとっていた。

一刀「だいぶ歩いたけど、香風、星達と休んだらどうだ?」

香風「……全然平気。

むしろ、一刀が休んで。」

風「確かに、荷車についてはお兄さんがずっと引っ張っていますね〜。

お兄さんの場合、夜についても疲れ知らずの底なしですが。」

稟「ちょっと風、香風がいるのにそう言うことを……。」

意味がそういうことなので、幼い香風には聞かせてはいけないと、風の口を押さえる稟。だが、香風はどういう意味かをちゃんと理解していることを一刀は気付いていた。

香風「……ねぇ。お兄ちゃんは香風のこと、幼いと思う?」

一刀「そうだな……

確かに武力なら、並の大人の男の何倍も強いだろう。

けど、戦いぶりは未熟さがあるし、行動とかを見てもやっぱ幼いな。まあ、そこは生きている年数が俺達より短いから。」

香風「……むぅ。」

事実とはいえ、歯に衣着せずそう言われるので、頬を膨らませ不貞腐れる。そんな香風の姿にも一刀は可愛いと和んでいるが、

突然、無表情になりピタッと止まる。

星「主?どうされ」

一刀「しーっ。隠れるぞ。」

稟・風「??」

星・香風「?……!」

 

何か分からない軍師組と何かに気付いた武将組。一刀も荷車ごと巧みに茂みの中に隠す。全員が隠れると、反対の茂みから荒くれの集団が出てきた。

 

盗賊頭「やれやれ、盗賊稼業も楽じゃねえな。最近がこの近辺に行商人どころか金を持ってそうな旅人すら通らねえ。」

盗賊-1「しかも人手も足りなくなってきやがりましたしね。あの三人組、いつまで経っても帰ってこねえ。」

盗賊-2「ひょっとしたら、太守の曹操か、その大剣・夏侯惇、いや、弓の名手・夏侯淵に捕まって、殺されたんじゃ……。」

盗賊頭「もしそうだとしたらやばいな。あいつら、例の本を官史から預かっていたって……。」

盗賊-1「本……って、洛陽で頂いたっていう」

盗賊頭「声がでけえ!一応、洛陽の奴との繋がりは極秘だってあの方からの命令だ。

とにかく、見回りをして襲えそうな金持ちを探すぞ。」

盗賊-2・1(コクリ)

 

盗賊達はすぐにその場を去って行った。一刀達は茂みから顔を出し、今聞いたことを確かめる。

星は、もう既にいないと分かっていながらも、一刀に尋ねる。

星「(小声)曹操……の訳ないですな。恐らく主と出会ったあの時の……」

一刀も小声で答える。

一刀「(小声)ああ。だが妙な話になってきたな。洛陽のお偉いさんが、国宝にもなりそうな『太平要術の書』を簡単に、しかも、賊に渡すか?

近いうちに、大陸規模の騒乱が起きるかもな。」

稟「もう、小声でなくてもよろしいのでは?

それより、あの盗賊をどうします?追いかけて捕らえるべきでは。」

一刀「そうするべきとは思うが……ひとまず、置いておこう。」

星「主……本気ですか?それこそ主の信念、野心に反するのでは。」

一刀「隊を率いているならそうするさ。でも、荷物がある中で、しかも数の利と地の利はどちらかというと奴らの方が上だ。無為に血を流すのは良くない。」

風「確かに、この地形で荷物を守りながら討伐は下策ですね〜。待ち伏せしたら、むしろこちらが追い詰められます〜。」

星「だからといって……」

 

「わああああ!」

 

突然、盗賊が向かった方角から悲鳴が聞こえてきた。それも、先程の会話の声ではない。

香風「!……お兄ちゃん!」

一刀「もちろんだ。誰かが襲われているなら、話は別!」

その言葉で星と香風も己の武器を手に取り駆ける。稟と風も彼らの速度に追いつけなくとも向かうのだった。

 

 

 

盗賊頭「大人しく有り金と金目の物を全部寄こしやがれ!抵抗するなら、死ね!」

商人「だ、誰かお助けを!」

商隊を襲撃する盗賊、ありきたりな展開だが、被害に遭う当人にとっては大きな衝撃と恐怖だ。武器を振り回す荒くれ者に立ち向かえる兵もいるが、半数は戦い方も知らない普通の商人でただ守られるしかない為、圧倒的劣勢だった。

一瞬にして、一人の盗賊がくぐり抜けて商人を斬りつけようとする。

盗賊-2「はっは、死ねえー!」

商人頭「も、もう駄目だー!」

 

?「呼ばれて飛び出てででででーーん!そうはさせないよー!」

(ドゴッ)

盗賊-2「ぐっふう!?」

現代に例えるなら、楽器のタンバリンのような鈍器が盗賊の顔めがけてぶつけられて商人の命を救い、盗賊は吹き飛ばされた。

そんな武器を使う、花開いたようなオレンジ色の髪型で丈の短いセーラースカートにへそ出しの服装、透き通るような水色の眼の少女の名は糜竺、真名を雷々と言う。裕福な商人の娘だが、家に負けじと武術を磨いて、この場で活かしている。

雷々「おじちゃん、大丈夫?」

商人頭「おお、助かったよ糜竺ちゃ、うっ、後ろ!」

盗賊-3「お巫山戯もいい加減にしろ、餓鬼が!」

さっき倒した奴とは別の仲間が棍棒のようなものを雷々に振りかぶろうとする。

振り向いてタンバリンのような武器を構えたその時だった。

 

?「ででででーん!雷々に武器一本触れさせないよー!」

(ドガンッ!)

盗賊-3「ぐあっ!?」

流れ作業のように再び盗賊を吹き飛ばす。

武器は雷のような装飾が目立つ旋棍(トンファー)を使い、雷々と容姿や服装が瓜二つ、眼の色が紫なのと、前髪の髪留めが反対の位置に付いているだけが相違点の彼女は糜芳、真名を電々と言う。瓜二つなのも、雷々と電々は双子だからだ。

 

雷々「助かったよー!ありがとう電々!」

電々「いや〜それほどでも。

さあ、雷々!力を合わせよう!」

雷々「うん!電々との協力奥義は何人たりとも」

護衛兵「うわあ、もう無理だ!」

糜双子が何かコンビネーション技をやろうとした時には、もう遅く、戦える人は武器を折られる、荷台に突き飛ばされるなどして戦闘不能に陥った。

 

当然、四面楚歌の絶望的状況で笑顔でいられる筈もなく、涙目となっていた。

雷々「うう、これじゃあ合体技も意味ないよ〜。」

電々「雷々、私たちの人生ってここまで?まだ何もしていないのに?」

 

盗賊頭「ったく、餓鬼のクセに手こずらせやがって。おい、トドメを刺せ。」

そう言われ前に出たのは、槌のような武器を持つ盗賊の中で一番の巨漢だ。

巨漢盗賊「ふん、娼婦にしても捌け口にならない餓鬼に手間取るなんてな。

一瞬で潰して(ゴンッ!)」

何か鈍い音がすると巨漢盗賊は時間が止まったように動かなくなる。糜双子や商人もそうだが盗賊達も困惑する。

盗賊頭「おい、どうした?何もやられたわけじゃねえのに。早くトドメを」

巨漢盗賊「……うぅあぁ……」

(ドサッ)

 

 

一刀「ったく、力無き商人と可愛い女の子達に袋叩きとは、盗賊ってのは大体弱い者いじめだな。」

倒れた巨漢の後ろから現れたのは、一刀だった。一刀よりも二回りもデカい男を鞘に入ったままの刀で意識を奪い倒したのだ。

商人頭「お、おおお!これは、天の助けか!?」

雷々「すっご~い!私達より大きい男を一撃で倒したんだ!」

電々「あのお兄さん、見たことない白装束でかっこいい!」

商隊側から歓声が上がる。

 

盗賊頭「だ、誰だてめえ!そんな派手で高そうな服を……まさか、貴様、天の……?」

盗賊-2「兄貴!そういえば例の三人組の仲間が居たと思うところに白い流星が落ちたって!」

盗賊頭「ってことは、お前は『天の御使い』ってふざけた奴か。よくも仲間を!野郎共、相手は一人だ、かかれ!」

一刀(あの盗賊、存外切れ者だな。ナメないようにしないと。)

僅かな間に的を射る推測をした上で一刀を仕留めんと部下に攻撃指令を出した。が、一刀は動かずに三人の盗賊が同時に武器を突き出そうとすると、

(ヒュン!ガキキキン!)

盗賊-4「うわあ、なんだ!俺達の武器が……!?」

 

飛んできたのは、一刀が見知った装飾の槍。だが、三人同時に的確に武器だけを狙い投げるのは、一刀と交流・鍛錬を重ねた賜物だろう。

星「主もお人が悪いですな、こんな形で今の私の実力を推し量るとは。」

一刀「へへっ、でも、助けてくれてありがとうな。本当に強くなったよ。」

星「それも主の賜物です。」

槍を投げた正体は星だったのだ。しかも、一刀に褒められて嬉しくも照れ臭いのか少し頬が赤くなっている。

 

一刀(俺の教育・鍛錬による賜物もあるだろうが、それ以上に星が頑張ったからだな。)

星との稽古で未熟ながらも強くなっていたのは確かだ。

 

盗賊頭「何イチャイチャしてやがるんだ!お前ら、足竦めずに戦え!」

盗賊-3「で、でもお頭、あいつら、俺達なんかと比べたら雲泥の差……。」

盗賊頭「数で押せ、数で!どこの馬の骨か分からない女が一人出てきたからって調子乗らせるな!」

星「ふむ……常山の趙子龍を知らないとは、私もまだまだですな。」

一刀「やれやれ、懲りない連中だ。星、ちょっと懲らしめるとしますか!」

星「心得た!」

盗賊達は攻撃の標的を一刀達に向けて襲いかかる。一刀達も武器を構えて迎え撃つ。武器を一刀に向けて放つが、

(ヒュン!)

部下達「なっ!?て、手も足も出ない……。」

瞬く間に武器を落とされ、部下達は戦意喪失してしまった。

 

これに盗賊頭とその幹部格の二人はキョロキョロと見回し、焦る。

盗賊-1「どうします、頭?これじゃあ俺達……」

盗賊頭「ぐっ……ひとまず逃げて兗州国境を目指すんだ!あの方に謁見できれば、天の御使いなんてどうにでもなる!あばよ!」

何か重要な事を言い残し、捨て台詞と共に駆け出した。

 

星「主、奴らはまさか……?」

一刀「マズいかもな。絶対に逃さな、いや、生かして帰すな!」

 

盗賊頭「追いつけるもんなら追いついて

(ドンッガラガラドガン!)

って、げえーー!?なんでこんな時に落石!?」

突然、盗賊達の逃げる道に、大量の岩石が転がり進路を塞いだ。こんなことは偶然ではなく。

 

風「こうも容易く逃げますとはね〜、お兄さんの予防策も流石です。」

稟「風と私で確実に通るであろう道を予測して、香風と上で待機して転石。合作の策ですが、流石は一刀殿です。」

香風「……岩は全部運んだ。お兄ちゃん、シャンは強い?」

一刀「もちろん。作戦の要の岩は重いから、あの間で道を塞ぐまで用意できたのは流石だ、ありがとう。

……けど、それと大人扱いは別だからな。」

香風「……ムゥゥ〜。」

 

盗賊「だから何イチャイチャしてんだよ!

他に仲間がいたとはな。とりあえず、武器を持っていない奴を人質に取れ!」

盗賊幹部「へい!覚悟しな、嬢ちゃん!」

部下達は風と稟に目をつけ自身を有利にする為捕らえようとする。

が、捕まえようとしても、ヒラリヒラリと躱され、終いには足を引っ掛けられて転ばされた。

盗賊幹部「いでっ!」

盗賊頭「何やってんだ!そんな頭を使うだけしかできないような華奢な小娘に翻弄されるとは!」

稟「私達も一刀殿のお陰で身体的にもそれなりに鍛えられましたからね、護身術と言うものです。」

風「いざという時に自分の身を少しは自分で守れないとですからね〜。調練を受けている精兵は無理ですが、道を踏み外した盗賊程度なら造作もありませんよ〜。」

最後の風の言葉は、盗賊頭の逆鱗に触れてしまったようで、声を荒げ始めた。

盗賊頭「こ、この小娘………!!

もうヤケだ!娘だけでも殺せ!」

盗賊幹部「おお!このやろー!」

 

香風「……!!風!」

星「稟、危ない!」

 

武器を構え上げた幹部に瞬時に反応し、香風は斧を振り回し一人を真っ二つに、

星は飛び上がって急降下で槍で背中を一突きに倒した。

 

残るは盗賊頭、自身が四面楚歌の状態に自分も傷つかん程に武器を振り回し一刀に接近した。

盗賊頭「くそっ、畜生!天の御使い!てめえのせいだ!」

一刀「ここまで執念深いのもある意味天晴なのかもな……。

もう俺は迷わない、一瞬で楽にしてやる!」

捨て身の突撃に刀を鞘に戻し、少し取り出す。そして、盗賊の武器が当たりそうになるところで、一歩動いて避けて刀を振った。

盗賊頭「避けて……ん?何ともな……ぐはあっ。」

一瞬、何ともなかったと思ったら、一瞬にして首に切り口が出来て血が流れ討ち取られた。

こうして、商隊の救出は成功したのだった。

 

星「流石ですな、主。」

一刀「いや、厄介な方を星と香風が始末してくれたからな、風と稟の地理把握と策略も流石だった。」

風「お兄さんが考えさせる猶予を用意してくれたからですよ〜。」

稟「というか、最初から見越していたのでは?まあ、それでも活躍の場を用意してくれたのは光栄です。」

香風「……お兄ちゃん、シャンは強かった?」

一刀「ああ、とても強かったよ。また一緒に鍛錬しような。」

香風「………むぅ、うん。」

少々不満もあるようだが、喜んでいる様子の香風だった。

 

 

すると、立ち直った商隊の一番偉い人が一刀の下にやってきた。

商人頭「本当に助かりました!

貴方方はどこの部隊の者ですか?もしや、陳留太守・曹操様の?」

一刀「いや、唯の旅人集団さ。まあ、今の目的地はその曹操殿に会いに行くところだけどね。」

商人頭「それはそれは。曹操様の麾下には優秀な人材だけしか入れないと評判ですので、きっと重宝してくれると思いますよ!

……あ、残った盗賊達はどうしますか?」

 

商人達が指さしたところ、そこには指揮官を失って生きる希望も見失っている雑魚達だった。

下っ端-1「お、俺達、生かしてくれるわけないよな……」

下っ端-2「生き残る為とはいえ、盗賊稼業に身を落としたわけだしな……。」

下っ端-3「でも、このまま死ぬなんて嫌だよ!そもそも、俺達が盗賊になったのって官史や役人の理不尽な租税のせいだろ!

結局、俺ら雑魚は、簡単に命を奪われる運命なのか……」

下っ端-4「所詮、俺達は死んだあの三人に良いように使われてる駒だからな……」

 

星・風・稟・香風「…………」

討ち取った頭と幹部は根っからの賊だが、ここに残っている下っ端達は、世の中の理不尽に巻き込まれて、生きる道を閉ざされた者達を集められただけのようだ。

この言葉に、流石の商人達も殺気の視線を止めて憐れんでいる。

 

一刀「……なあ、アンタ。助けた礼と言っちゃなんだが、こいつらの身を引き取ってやってくれないか?」

商人頭「……へっ!?で、でも……人手は確かに有り難いですが、いいんですか?

こんな田舎者っぽいやつらじゃ流石に手を焼くだけのようにも……。」

一刀「それを何とかする期間を作る必要は当然あるさ。一月分、読み書きや算術、護身、教養を教え込むんだ。

必ず役に立つ筈だ。」

 

商人頭「……俺は良いと思っている。

けど、皆の総意を聞きたい。」

商人-1「構わないよな?変に暴れたりしなければ。」

商人-2「事情は他人事じゃないし、見捨てたらバチ当たりそうだ。」

護衛兵-1「鍛えればそれなりの戦力も期待したい。」

下っ端橘「い、いいんですか!?どこの馬の骨とも分からない我々を!」

商人頭「ああ、恩人で天の御使い様の御意志だからな。

けどな、もしまた盗みを働いたり悪事に手を染めるようなことがあったら……この天の御使い様にチクって天罰を下してもらうからな!」

下っ端達改め商隊新入り「はい!頑張っていきます!

御使い様、ありがとうございます!」

 

泣きながら感謝の言葉を述べる元下っ端達、商人達からも称賛の視線を与えられ、一刀は嬉しい反面、天の御使いとして崇められているところも感じて、若干顔がひきつっていた。

星達は愛する人の勇姿に、微笑んで、星は一刀の肩をポンポンと叩いた。

 

商人頭「こんなことをお礼にするわけには参りません。

我々の積荷の商品からご好きな物を差し上げます。」

一刀「いや、それは流石に……俺達は別に見返りを求めてやったわけじゃないし、実は俺達も行商人レベル……じゃなくて行商人並に荷物がいっぱいで。

そこの茂みに隠してあるんだ。

俺達は旅人だし、荷物が多くなると足が遅くなるし、今回みたいに盗賊の襲撃があったら簡単に盗られるから、貰っても無駄になっちまう。」

商人頭「……それは、確かにその通りですな。高価な物を台無しにするわけにはいきませんな。

ですが、ここにある積荷は殆ど高価な物ばかりですから。後は訳の分からない物品ばかりですしね……。」

一刀「見せてもらえます?一応、俺にとっては価値があるかも。」

商人頭「ええ、どうぞ。」

 

一刀は崩れた積荷を整理しながらそれを見比べる。商人の言う通り、殆どは宴席で着るような服や装飾品ばかりだ。すると、一刀は奇妙な木の容器を見つけた。

一刀「あの、これ開けても?」

商人頭「構いませんが、それが何の価値があるのかも分からない物の一つですよ。」

一刀「ありがとうございます。

……え、これって……?」

 

中身は白い液体だった。食べ物ではないことは分かったが、匂いと触感でそれの正体に気付いた。

一刀「(間違いない……これは天然ゴムだ!だが、この時代に南アメリカの存在は見つかっていないが……。)

あの、これはどこで手に入れたんだ?」

商人頭「それですか?

絹を売る交易路を使う商人からの仕入れのおまけです。

その交易路の最西国の国で見つかったって。話によると、海で流れ着いた種子を育てて、その樹木から出てきた樹液だそうですよ。」

 

一刀は内心で驚いていた。だが、納得もいっていた。

 

一刀(タイムパラドックスか……まあ、この場合は起こっても特に不自然は無いことだしな。

外史だからこそ起こったのだろうか。彼女(漢女)達は何が起きてもおかしくないって言っていたからな。これを手に入れられれば、生産の幅も拡がりそうだ。)

何かを決意した一刀は商人にある取引を持ちかけた。

 

一刀「お礼の品はこれでお願いします。」

商人頭「えっ!?こんな何かも分からない物品でよろしいのですか!?」

一刀「俺の知識と技術があれば、これは今までにない素晴らしいものに化ける。

今後もこれを仕入れたいんだが、取引できないか?俺が相応の役職に就いてからの取引だけど、十分な対価も支払う。」

商人頭「な、なんと……分かりました。各商人達にも伝えておきます!」

一刀「ありがとう。

……せっかくだし、ここから普通に売り買いしないか?荷物取ってくるから物々交換で。」

星「名案ですな。私も欲しい物があります故。主が作った品、よろしいですかな。」

一刀「いいよ、旅で困らない程度で。」

そうして、一刀達は近くの茂みに隠していた荷車を出して、星達は商人達と交渉しながら物々交換を行っていた。

 

 

それを一刀は眺めていたら、商人達を守っていた双子が一刀に話しかけた。

 

雷々「お兄さん、凄かったねー!カッコ良かったよ!」

電々「本当にありがとう!命の恩人だよ!」

一刀「どういたしまして。

君達は双子かい?」

 

雷々「そう!私は糜子仲、真名は雷々って言うの!」

 

電々「妹の糜子方、電々って真名で呼んでね。」

 

一刀「いいのか?初対面で真名を許すのって。」

雷々「いいの!命の恩人だし、お兄さんのこと気に入ったから、ねー電々。」

電々「うん!」

一刀「俺は北郷一刀、姓が北郷で名が一刀だ。

何でこの商隊にいたんだ?」

 

雷々「親は裕福な商人なんだ。その繋がりでこの商隊の護衛で徐州に向かうところだったの。」

一刀「裕福な生まれか。それで武器を使いこなすなんて凄いな。少し見ただけだけど腕は武将に負けないと思う。」

電々「嬉しい褒め言葉だよ、ありがとう!

 

私達、出生は恵まれているけど、それにあぐらをかくわけにはいかない、私達も自身の力で一旗挙げたい、って誓ったんだ!」

 

一刀「なるほどな、素晴らしい心がけだと思う。がんばれよ。きっと立派になれる。」

雷々「うん!頑張るよ!

……ねえ電々、アレやらない?」

電々「アレ?……ああアレね!」

一刀「?」

雷々「一刀お兄さん、いいって言うまで目を瞑って。」

 

一刀は言われるままに目を閉じて合図が出て目を開くと、特に変わったところはなく糜双子が立っているだけだ。

 

 

雷々・電々「どっちが雷々でどっちが電々でしょう?」

急なクイズのようだが一刀は特に迷うことはなかった。

 

一刀「左が雷々で右が電々、だろう?」

 

あっさりと答えた為、二人は凄く驚いた。

雷々「えっ!?正解!」

電々「す、凄い……どうして解ったの!?」

一刀「今回は単純に持っている武器だよ。戦いは見ていたから。」

雷々「あっ、そういえば……。」

電々「い、今のは無しで!もう一回!」

 

そうして、今度は普通に立ったままだったり、ポーズを変える、挙げ句には一刀を誘惑したりして挑んでみたが、なんと一刀は全問正解していたのだ。

 

雷々と電々もここまですると当てずっぽうと思えなかった。

雷々「……す、凄ーい!

全部当てられちゃったよ!

どんな人でも少なくとも一回は間違えるのに、まして初めましてのお兄さんは見分けがつくの!?」

電々「私達、双子なのを活かして撹乱しての連携攻撃が得意なの!

何で見分けがつくの!?」

 

一刀「いや、俺は女を見る目は確かだから。

双子だけど、俺から見ると二人には微妙に違いがある。体の動かし方とかの癖や髪留めの位置とか、一番判り易かったのは目の色かな。」

 

一切の嘘をつかずに話した。一刀自身も流石にキモがられると思っていたら、彼女達の目はむしろ輝いており、一刀の体の左右に絡んできた。

 

雷々「本当に凄くてカッコいいお兄さん、私達の理想の主君かも。」

電々「そう!

お兄さん、どこかの領主とかじゃないよね?旅しているって言っていたし。」

引くどころか惚れられているようだ。

一刀は誘惑による僅かな柔らかい感触を堪能しながら左右の手で雷々達の頭をそれぞれ撫でる。

 

一刀「ああ、そうだ。今は流浪の身だ。

だけど、俺は高みを目指している。必ず高い地位を確立する。その時になったら、必ず君達も迎え入れる、いや、奪ってやる方かもしれない。」

電々「へー!それって、お兄さんと戦うことになるかも、ってこと!」

雷々「なら、お兄さんに負けないように、私自身の武威も電々との連携ももっともーっと高めないと!」

一刀「その向上心は必ず実を結ぶよ。その時までに俺も相応の実力と権限を手に入れる。」

雷々「お兄さんも必ずできるよ!なんかそんな気がする!」

電々「必ずなってね!だから、雷々……♡」

雷々「うん♡」

 

雷々と電々は目を閉じて唇を細めて一刀の頬にくっつけた。左右の頬に同時にキスをしたのである。離して目を開いた時には、うっとりとした表情と赤さがあった。

一刀「俺は本気に考える男だぞ。そうとっていいんだな?もう後戻りはできない。生涯俺以外とは許さないからな。」

雷々「うんっ!お兄さんのために雷々頑張るから!」

電々「電々もだよー。」

 

一刀「よし、いい子だ。

俺も必ず野望を実現する。」

 

こうして、新たな絆を結んだ天の御使い・北郷一刀。

その頃には星達も物々交換が終わり、商隊とも別れた。糜双子は一刀達が木々で見えなくなるまで、手を振り続けたのだった。




如何でしたでしょうか?
ちょこっと触れた漢女については、とある独自設定を入れています。
太平要術の書はストーリーの都合で、曹操とは関係無く進めています。真の黒幕は今後登場すると思いますが、洛陽で悪者の男とは誰か、頑張って書き上げようと思うので気長にお待ちください。

次回は遂に、あの少女です!
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