※この作品はR-18です。

【完結】ヒロイン全員子持ち人妻の小説が完成した!   作:hige2902

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第二話 シレリア

「んっ……あっ」

 

 シレリアの口から、甘い吐息が漏れ出した。

 

「はあっ、あぁ。あん」

 

 極度のストレスで硬くなった心身を、熱いお湯にじっくりと肩まで浸かればそうなってしまうのも仕方がない。

 ゆっくりと身体が温められ、疲れが溶け出ていくような気持ちになる。

 

(それにしても)

 

 と浴室を見渡す。白を基調とした清潔な空間。洗練された機構のボトルに詰められた液体の石鹸や洗髪材は素晴らしい香りと泡立ちだった。

 それに薪をくべ火を付ける事無く湯が沸き、レバーを捻れば水が出てくる。たしか天界やそこに近い地域、王族や近しい縁者の邸宅には似たようなものがあると聞いた事がある。だとしたらここはまさに天国のように思えた。

 

 いつまでも至福の時を味わっていたいが、この後に彼も入るだろうから名残惜しさを捨てて風呂を後にする。

 脱衣所のタオルで身体を拭き、用意された衣類を広げた。

 

「まあ」

 思わず感嘆の声が出る。

 

 彼が用意した寝巻は薄手のナイトガウンだった。厳密には就寝用の衣類ではないが、そもそもシレリアの体型を納めるサイズのパジャマなどそう簡単に見つかるはずもなく、では浴衣はどうかと思ったが、こちらの方が西洋文化圏っぽい世界の彼女に馴染みがありそうに考えた結果だ。

 袖を通してみるとやはり肌触りが良い。見た事も無いきめ細かやな生地がしっとりと包み込み、火照った身体をほどよく冷ましてくれる。

 

 しかしここまでくると、嬉しいよりも申し訳ないという気持ちが勝ってくる。先ほどの食事にしてもそうだが、こんな高級品をタダで受け取るだけというのも気が引けた。

 よくある劇や昔話では、欲に溺れた人間は最後に酷い目に遭うのが相場と決まっている。

 悪魔に化かされているのではと、だんだんと不安になってきた。

 

 おずおずと脱衣所から出ると、ちょうど彼が夕食の後片付けを終えたところだった。彼の視線は否応なしにシレリアの胸に吸い寄せられる。量販店にある一番大きいサイズを買ったが、それでも湯上りのしっとりした胸元は大きく開いており窮屈そう。

 なんとかスケベ心を抑えて、事務的に口を開く。

 

「……すみません、肌着の方はサイズがちょっとわからなかったんで買えなかったんですけど」

 

 センシティブな事柄だったが、物おじせずに言うとなんとなく大人っぽいと思った。ショーツの方はとりあえず一番大きいのを買ってみたが、履けているか聞く勇気は無い。そして買うのがめちゃくちゃ恥ずかしかった。

 

「そんな!」

 わたわたと両手を振って答える。

「ただでさえこんな高価なものまで用意していただいているのに」

「自分で言うのもなんですけど、安物ですよ。ショッピングモールで売ってたし」

「いえ、何から何まで甘えるというわけにはいけないので」

 

 言ってシレリアは、もともと着ていた服の隠しポケットから小さな袋を取り出して申し訳なさそうに差し出した。

 ずっしりとした重さがある。

 

「少ないのですがわたしの世界のお金です。こちらでも価値があるかどうかわかりませんが……」

 

 わ! すげえ、ファンタジーでありがちな硬貨の入った麻袋だ! 実物! 

 彼は謎の感動を覚えた。

 一枚取り出してみると金貨に見える。知らない女性の顔が刻印されてあった。これはこれで嬉しいのだが、こういった形で恩を返されるよりも肉体的な関係を結べたらなぁと思っていた彼としては受け取りにくい。

 それと掌に収まる金属の小箱。見た事も無い不思議な色合いで、灰色と淡い紫が見る角度によって混ざり合っている。花をモチーフにした細工も見事な物だった。

 

「綺麗ですね、これ」

「……ええ」

 

 どこか歯切れの悪いシレリアに事情を聞くと、どうやら嫁入り道具の類いらしかった。

 

「いやさすがに貰えないですよ。硬貨にしても。シレリアさんは事故に遭ったようなもんですし」

 

 その姿勢にシレリアは胸を打たれた。不測の事態に備えていた額は決して少なくない。もちろんその価値を彼が知りようハズも無いが、あまりにも高潔な態度に戸惑いすら覚える。

 とはいえ受け取ってもらわないとこちらの気が収まらない。

 

 その後も押し問答は続けられ、シレリアが気持ちよくこちらで休暇を楽しめない、という一言で決着がついた。彼としては彼女に気持ちよくなってほしいから。

 話が一段落して彼は浴室に向かった。ほんの少し前まで女性がここで入浴していたのだと考えるとなんだかドキドキする。同じ湯船に浸かるというのもなんとなく背徳感を覚えた。

 身体を洗い、いざ風呂蓋を取る。

 

「え、少な」

 

 浴槽の湯は半分ほどしか無い。張る量を間違えたかと首を傾げたが、湯上りのシレリアの豊満な身体を思い出す。あの肉体が浸かれば、まあこうなるかと落胆した。

 次からは自分が先に入るしかなさそうだった。

 

 

 

 その夜も、シレリアはベッドを借りることになった。彼をソファで眠らせるのは悪いが、金貨を受け取った事を盾にされると甘えさせてもらう他ない。

 前日と違い、張り詰めたこころは解きほぐされたからこそわかるベッドの柔らかさに身を預ける。初めて味わうマットレスは、気を抜くとすぐに入眠してしまいそうな心地よさがあった。

 

 春用の掛布団は軽く通気性透湿性に優れており、何もかもが快適そのもの。

 豪華な食事、贅沢に湯を張った浴槽と香り高い石鹸に洗髪材、安心で心地よい寝床。

 

(まるで王女さまにでもなった気分)

 

 らしくもなく少女のような感想に、小さく苦笑する。

 そして長らく嗅ぐ事の無かった、男の香りを吸った。

 もぞりと太ももをすり合わせる。

 らしくもなく女のような考えに、顔に朱が差した。

 

 

 

 xxxxxxx

 

 

 

「あ、そうだ。今日は町の方に行かないですか? 案内しますよ。おつかいとか頼むかもですし、シレリアさんの日用品も揃えないと。それと、こっちの世界に慣れるってのも兼ねて」

「え、ええ。じゃあお願いしようかしら」

 

 目的としてはシレリアの衣類関係と日用雑貨の購入、簡単な道路交通法を理解してもらうのが主だ。

 昨日彼が買ってきた普段着は、好みもあるだろうしその場しのぎの一着だけなので。

 

 しかし、と彼は先に部屋を出たシレリアの後ろ姿を眺めて改めて思った。昨日買ってきた落ち着いた色合いのワンピースを身に纏っている。少しでもゆったりした衣類がいいだろうとマタニティ用のを選んだが、それでも胸元はだいぶ張っている。

 まさか後ろからでも胸が見えるほどの巨乳とは。しかもブラが無いのでやけに揺れる。乳首には絆創膏を張ってもらったのでそこまで目立ちはしないだろうが、どのみち人目を集めることになりそうだ。

 

 二人はゆっくりと長い坂を下る。午前中の春の空気は澄んでいて、気持ちが良かった。

 

「あれが信号機って言って、青の時は進んでいいんですけど赤は止まらないとダメで──」

「あの凄い速さで動いてるのは」

「車って言う乗り物です」

 

 彼と初めて出会った薄暗い夕暮れ時とは違い、今でははっきりと視認できる。ここが元居た世界とは大きく違う社会である事が。不安から無意識的に彼の腕を抱く。

 やわらかく温かい胸が歩くたびに揺れる感触を腕に味わいながら、長い時間歩いてようやくショッピングモールにたどり着いた。

 

「まあ……」

 シレリアが口元に手を当てて感嘆する。

「本当にこれがお店なの? 闘技場より大きいかしら……なんだか少し怖い」

 

「やっぱビックリですよね。けど下着とかここでしか買えなさそうなんで」

 

 まずは目立つ揺れをなんとかした方がいい気がした。豊満に過ぎるバストを見るに、ショッピングモールの専門店に行った方が確実だろう。

 シレリアはこの世界の建築技術、人の多さに圧倒されながら、彼におどおどと付いて行く。何もかもがきらびやかで異世界である事を実感させられる。同時に自分が異物である事も。

 

 エスカレーターの類いは怖がりそうなので階段で目当ての店へ向かう。普段は通り過ぎるだけでまじまじと見る事の無い場所だ。色とりどりパステル調の下着が展示されており、なんとも入りづらい。

 

「じゃあえーと、お金はこれで三つ買えるくらいのヤツを見繕ってもらってください。サイズとかは計ってくれるそうなんで」

 

 事前に相場はスマホで調べてある。結構な出費だったが仕方がない。

 が、シレリアは動こうとしない。視線を泳がせて恥ずかしそう顔を赤らめて彼の服の裾を握る。

 

「その、付いて来てくれないかしら? 一人だと、ちょっと、怖くて」

「え!? それは……」

 

 嫌だ。こうして店の前で立ち止まるのもちょっと恥ずかしい。そもそも女子物の下着店に男女で入っていくって相当な胆力がいる。

 店員からはどういう視線を向けられるのだろうか。

『なー今度こういう下着着てよ』『えー何それ穴開いてんじゃーん』『じゃあこれ』『そういうのに興奮すんの? んーじゃあもうしょうがないなー』って会話するヤツらだと思われるに違いない。

 

 しかし異世界に来て心細い彼女を一人で行かせていいのか? 習慣もマナーも不文律も知らない状態で買い物というコミュニケーションは、きっととてつもなく心細いに違いない。

 だったら俺が恥ずかしい思いをするくらい大した事は無いと、彼は覚悟を決めた。

 裾を握ったままのシレリアを連れて入店する。布で出来た宝石のような下着が、これほどプレッシャーになるとは思わなかった。

 

「すみません、あのー採寸してもらえますか?」

「いらっ、しゃいませ。どうぞフィッティングルームへ」

 

 スタッフは一瞬、シレリアの胸を見て固まったがすぐに持ち直す。が、疑問は残る。男女での来店は珍しいが無いわけではない。

 なぜか男性が仕切っているのか謎だし、明らかに年上の女性の方がオドオドしているのがもっと謎だ。普通逆だろ。

 

(どういうプレイ?)

 店員は心の中で突っ込んだ。

 

「そ、そこにいてね」

「あ、はい」

 

 子供が病院で親に縋るような表情で、フィッティングルームへ消えるシレリアが言った。

 

(どういうプレイ?)

 

 フィッティングルーム内で、スタッフがワンピースを脱ぐよう指示する。ブラも無く、だゆん、と波打った乳房には絆創膏が張られている。

 

(どういうプレイ?)

 

 しばらくして採寸が終わるが、スタッフ曰くこのサイズのブラの取り扱いは無いとの事。代替案としてニップレスを提案されたのでショーツと合わせて購入した。繰り返し使えるらしく、安く済んでよかったかもしれない。

 絆創膏よりはいいだろうから、トイレで早速付けてもらう事にした。

 

「どうですか、シレリアさん。違和感とか、付けたくないって思ったらまたブラを探しましょう」

「い、いえ。ちょっと不思議な感じだけどすぐになれると思うわ。それより、ちゃんと出来てるかちょっと見てくれない? 不安なの」

「え?」

 

 シレリアはすぐ横の人気の無い階段に移動してきょろきょろと辺りを見回して確認した後、少しばかり前かがみになってワンピースの襟元のボタンを適度に外す。もう片方の手で重そうな乳房を服の上から持ち上げてニップレスを付けている部分を覗かせた。

 

 白く柔らかそうな乳肉に、橙色をした花形のニップレスが吸着している。

 

「……大丈夫だと思います」

 

「そ、そう。ならよかった」

 ほっと一息ついたように安堵の表情を見せる。

「ごめんなさいね。でももし付け方を間違ってたらと思うと心配で。素材もなんだか不思議だし」

 

「……いやちょっともう一回確認させてください」

「え!? やっぱり変だったかしら」

 

 乳房がぼるんと弛む。

 

「気のせいでした。問題無いと思います。あとは普段着を揃えて──」

 

 思わぬ役得だったが、彼は内心で首をかしげる。

 

(なぜ平気でおっぱいを見せてくれたんだ。ひょっとしてシレリアさんがいた世界って、乳首さえ見えなければ恥ずかしくないって価値観なのか?)

 

 もしそうならやはり一度は足を運んでみたい。たぶんみんなギリギリな格好なのだろう。いやそんなわけないか。それに男性もそうだったらちょっと困る。ギリギリキンタマが零れそうで零れない服だったら、空を見上げて歩くしかない。

 異文化のギャップを感じる買い物だった。

 

 

 

 必要な物は一通り揃え、シレリアが人混みに疲れたようなので早々にショッピングモールを後にした。

 

「そうだ、海見に行きませんか?」

 

 公園のベンチで一休みしている最中に彼が提案した。目まぐるしい情報量に疲れているのなら大自然を見せてあげようという計らいだ。

 

「海……そういえばしばらく行ってないわ」

「ちょっと歩きますけど、結構綺麗ですよ」

「じゃあ案内してもらえる?」

 小さく笑って言った。

「元の世界の海と同じなのか、ちょっと怖いけど」

 

 

 

「わあ! 本当に綺麗ね」

 

 春の日差しをまばゆく反射する、青く広がる海を前にしてシレリアの表情は明るくなった。

 適当な砂浜に腰掛けて、ぼうっと眺める。温かくなったとはいえ水温は低く、泳ぐような人はおらず空いていた。

 

「どうですか、元の世界の海と比べて」

「同じ。異世界でも変わらないものはあるのね……少し安心した」

「そういえば久しぶりって言ってましたけど、内地に住んでたんですか?」

「そうねえ、親が鍛冶屋だったから子供の頃は鉱山に近い所に住んでたし、冒険者になって何度か船に乗ったけど基本的には大陸国だから」

 

「冒険者か、すごいなあ。やっぱり危険な場所とかもあったりするんですよね」

「まあ、安全ってわけじゃないわよ。魔物とか魔法災害とか。でも、自分で言うのもなんだけど、これでも元の世界では冒険者として結構有名なのよ、わたし」

 

 ふふん、少しばかり得意になっているが、それが実力的な意味なのか服装的な意味なのか、彼にはいまいち判断に困った。というか、あの破廉恥メイド姿で魔物と戦ったり出来るのか? 明らかに前衛向きでは無いので、おそらく彼女は支援や非戦闘要員で生活面を支えていたのだろうと推察した。であればメイド服なのも頷、う、頷け……う、うう。うん! 

 なんと答えるか迷い、そいういえば気になった一言を拾う。

 

「さっき両親が鍛冶屋って言ってましたけど……それってやっぱり剣とか鎧とかも作ってたんですか?」

「まあね、わたしも良く手伝ってたわよ。結構評判だったんだから……転移の時に武器を落としちゃったみたいで見せてあげられないけど」

「それは……」

 

 言いさしてやめる。

 それは却って良かったかもしれない。銃刀法違反だ。

 しかし武具と聞いてわくわくしない男の子はそういないだろう。ファンタジーものの作品には必ずと言っていいほど出てくる重要なファクターだ。

 あれこれと目を輝かせて質問してくる彼に、シレリアは気を良くした。

 

「そんなに興味があるなら、もしあなたがわたしの世界に来た時にいろいろと案内してあげる」

「ぜひお願いしますよ。魔法とかあるって話でしたけど、けっこう使ってる人いるんですか?」

 

「そうねぇ、魔法使いはそんなに多いわけじゃなくてわたしも使えないけど、仲間に一人いるわ。たぶん今頃は、彼女が小さな輪のような物を調べてくれているはず……」

 ほんの少し物憂げに目を伏せ、意図的に声色を明るくして続けた。

「それにすっごい遣い手で頼りになるの。興味ある? もしあなたが使えるようになるとしたらどんな魔法がいい?」

 

「んー、分身とか出来たらいっぱい働けていいなーって思いますけど」

「なにそれ、うふふっ」

 

 しばらく歓談が続き、小腹が空いてきた。そういえばキッチンカーを見かけたのでシレリアを待たせてあるものを買ってくる。きっと喜んでくれるだろう。

 

「これは?」

「ソフトクリームって氷菓子です。少しずつ口に含んで食べてみてください」

「へえ……ん!? 凄い、冷たいのね、こんなの初めて!」

 

 れろりと白いクリームを舐め上げる舌使いに、彼は生唾を飲んだ。

 同時に別の危惧を覚えた。喜んでくれるのは嬉しいが、正直なところ今の懐事情ではかなりの贅沢なのだ。期待させすぎるのも悪い。食べ終わるのを待ってから切り出す。

 

「はあ、美味しかった。私だけいただいちゃって悪いわね。ごちそうさまでした」

「いえ。あとちょっとガッカリさせちゃうかもしれないですけど」

「なに?」

「その、昨晩みたいな夕食は毎回用意できる訳じゃなくて、たぶん普通はあのサンドイッチみたいな感じになっちゃうんですけど……」

 

 それを聞くと、シレリアには柔らかい微笑みが自然に浮かんだ。

 彼はその意味が分からず少し戸惑う。

 

「ごめんなさい。それを聞いて、嬉しくなっちゃったの」

 一輪の花のような笑顔を彼に向ける。

「それならあのご馳走は、私を想って、元気付けようとしてくれたって事でしょう?」

 

「や、まあ、それは、そうですけど」

 見栄を見透かされ滝がしてなんだかバツが悪くなる。しかしこれは、なんかいい雰囲気になっている気がする。

 

「それにあのサンドイッチだって、あの時は塞ぎ込んでてちゃんと言えなかったけど、美味しかった。本当に、ありがとうございます」

 

 正面から感謝を伝えられると、なんだかむずがゆい。

 

「いやそんなあの程度のメシで喜んでくれるなら……あー、そろそろ帰りますか?」

「ふふ、そうね」

 

 立ち上がり、尻に付いた砂を払う。その時、ふと同じ海でも明らかに異質な構造物が今さら視界の端に映った。

 

「あれはなに?」

 

 指された指の先に視線を向ける。自然界には存在しないであろう大きな人工物が多数置かれている。

 

「船をつける、波止場? 埠頭っていうのかな。新しく作るらしいんで、いろいろと重機とか資材です」

「ずいぶんと大きな埠頭になるのかしら」

「たしか400メートルくらいあるんじゃなかったかな。ん? メートルって単位は通じるのか? ええと、端から歩いて10分くらいの距離くらい。ん? 分って単位は通じるのか? あれ、難しいな」

「ここでは何もかもが大きいのね、なんだか圧倒されてばかりだわ」

「こっちの世界でも珍しいですよ、あれだけ大きいのは……なんでこんな地方の港を拡張してるのかわからないですけど」

 

 シレリアの胸に比べれば全然大したことなかったが、野暮なので黙っておいた。

 砂浜を後にする道すがら、甘いものを食べて糖分を補給できたせいかシレリアは海に来ている人たちに二人組が多い事に気付く。それは男女で、手を握っていたり肩を抱いていたり、すなわち恋人であろう事が一目でわかる。

 

(や、やだ。これじゃまるで……デート、してるみたいじゃない)

 

 一度意識するとどうにも拭い難い羞恥心を覚えた。海を離れてもすれ違う人の視線がこちらを向いている事も。

 

(こんなおばさんが若い子を連れて歩いてるなんて、やっぱり変よね)

 

 実際は老若男女問わずシレリアの胸にビックリしているだけなのだが、釣りあわない年齢差を奇異に見られていると勘違いしても仕方がないし、中には本当にそう思っている人もいるだろう。

 急に黙り込んだシレリアに、彼が心配そうな視線を向ける。

 

「い、いえ何でもないの。少し疲れちゃっただけで」

「すみません、バス……あそこに見える大きな乗り物を使えばよかったんですけど、ケチっちゃって」

「あ、ごめんなさい。そう意味じゃなくて、その、体力的には問題無いのだけど……」

 

 なんだかいい雰囲気だったが、妙な気まずさが漂い出した。

 

「……そういえば、今日は色々と買って貰っちゃったけど大丈夫なの、その……」

 

 シレリアが申し訳なさそうに彼の懐具合を心配する。金貨を渡しはしたが、それはあくまで気持ちを表しただけだ。各国を冒険した彼女は、両替が常に機能するとは限らない事を理解している。

 実際に未知の金貨を円に換えるとなると難しい。密輸入されたインゴットを捌くために鋳造したと訝しまれる可能性だってある。

 

 そのような訳をスマホで調べた彼は金貨を売る訳にもいかず、正直なところ穴の開いた財布のような財政状況なので苦しいには苦しい。

 頭をかいて、彼は内心でボヤく。

 

(けどこうなった以上、土地を売る話は断んなきゃな。電話するのめんどくせー)

 

 ただでさえ目立つ上に異世界人の彼女を、ひとけの多い場所に住まわせるのはリスクがある。せめてこちらの常識や読み書きを覚えてからでないと、何かあった時に職質されて終わる。

 その意味ではあのボロアパートは良い隠れ場所だ。

 それに、やっぱり皮算用を当てにしなくてよかった。

 当面は──と逡巡して口を開く。

 

「まあー、これくらいなら大丈夫ですよ」

 

 彼のすぐ隣を、自転車に乗った小学生の集団が駆け抜ける。その背をほんの少し視線で追った。ほんの少し目を閉じて、少し笑って言った。

 

「何かあった時ように蓄えてたんで」

 

 

 

 xxxxxxxxxx

 

 

 

 翌朝、トーストと牛乳という簡単な朝食—―シレリアにしてみれば文句の無い食事——―を済ませると、皿洗いを終えた彼女が改まる。

 

「休暇という事だけれど、いつ戻れるかわからない生活だし……何かあなたの、その……助けになりたいと思うの」

 

 やった、エッチなやつかな。と彼がワクワクするするも、当然のように別の言葉が続いた。

 

「だからどこかで働いてみようと思って。異世界人の私でも大丈夫な働き口について一緒に考えてくれないかしら」

「……」

 

 硬貨の話の続きではないが、いつ戻れるかわからない以上は将来を見越してある程度の生活費を確保しておくべきだ。それに何もしないで居候というのも気が引ける。

 先日のショッピングで同年代に見える女性が働いていたのも多数見かけており、性別のハードルはなさそうに思えた。

 そして事実、彼の稼ぎではシレリアを長期間養い続ける事は難しい。働いてくれるなら助かりはする、のだが。

 

「できれば鍛冶屋であったり金物屋や武器を扱うお店とか……鉄鉱石の目利きなんかも自信があるわ! こう見えて力仕事なんかにも──」

 と懸命にアピールするが、近場にそのような場所は無い。更に根本的な問題がある。

 

「いや無理ですよ」

「た、たしかにこの世界の文字の読み書きは出来ないけどこうして問題無く喋れる訳だし」

「そういう問題以前の話で」

 

 一刀両断の言葉に、シレリアは胸に手を当て必死になって問いただす。

 

「そんな! これでもわたしは冒険者として身を立てるくらいの事は出来るのに、いったい何が足りないの!?」

「口座とか」

「こう、ざ?」

「あと戸籍も無いから身分がバレたら逮捕されると思います」

「え……え!? 逮捕って!」

 

 給与の支払いは振り込みが主なこの国において、口座が無い事は致命的である。現金手渡しの仕事は探す方が難しい。また、採用にあたっては戸籍の無い人間はまず無理だろう。

 バイトくらいなら彼が代筆して履歴書を偽造してもバレないかもしれないが、読み書き出来ない事が露見すると一巻の終わりだ。

 

 その辺りの詳しい仕組みをかくかくしかじかすると、見るからにしょげていた。

 魔法のような超自然的現象を起こせるわけでもない彼女が異世界から来た事を証明するのは難しい。それはつまりこの国に存在していること自体が罪とされる可能性が高く、自身が非常に危うい立場であると突きつけられれば仕方のない話だ。

 

「そんなに気落ちしないでください。捕まるっていっても普通に暮らしてたら警察に身分を検められる事なんてそうそうないですし」

「そう、かしら。でも働けないというのも困ったわ」

 

 頬に手を当てて、困った顔をして尋ねる。

 

「そう言えば、あなたは何のお仕事をしてるの?」

 

「俺はーなんて言ったらいいんだろ、今日行ったショッピングモールってとこよりは小さな商店のベーカリー部門っていう……パンを焼いたり陳列したり、あとたまに引っ越しとか手伝ったり」

 自嘲気味に笑って続ける。

「あとは家賃収入、があればいいんですけど」

 

「あら、大家さんなの!?」

「ええ、はい、ここの。立地も街へのアクセスも悪いから全然人が来てくれないですよ。外見もボロだし」

 

 まったく褒められた状況ではないが、それでもシレリアは尊敬の眼差しを向けてくる。元の世界で賃貸物件を所有している場合、大商人や地主といった経済的成功者に類されるからである。

 それほどの裕福層であれば昨日の御馳走や風呂の設備も納得できる。

 

「俺が頑張ったわけじゃないです。親の遺産みたいなもんですし」

「そうだったの、悲しい気持ちにさせちゃってごめんなさい」

 

 さらりと過酷な境遇を述べられ、シレリアはなんと慰めるべきか悩んだが、あまり踏み込んでも酷だろう。それに元の世界でも孤児院関係の話はよくある。

 

「いや全然そんな感情は無いですよ。金がないからって生まれてすぐ児童養護施設に預けられて育ったんで顔も知らないし、最近警察から訃報を聞いて相続しただけなんです。後悔してますけど」

「そうなの?」

「土地は広いんですけど価値はほぼ無いんで税金が苦しいんですよね。だからもう売っちゃおうと」

 

 言って、しまったと内心で悔いる。わざわざ金の無い男と表明してしまったようなものだ。困ったように笑う彼に、シレリアはどうしても力になりたくて必死にお願いする。

 

「だ、だったらせめてここの管理を手伝わせてちょうだい! 空き部屋の掃除や草むしりでも、何でもするから!」

「それは……結構助かるかも」

 

「それとその……もしあなたが嫌でなければなんだけど……」

 少し視線を泳がせ、歯切れ悪く言った。

「よければ、身の回りのお世話の手伝いも……させてくれないかしら? ほら、お仕事から帰ってからご飯作るのも大変でしょう? 洗濯とかも。ね? ね?」

 

 働けないシレリアが負い目なく生活するにはここらあたりが落としどころだろう。それに、なんだかちょっとずつエッチなシチュエーションに近づいている気がする。

 

「じゃあ……お願いします」

 

 それを聞くと、シレリアはほっと胸を撫でおろした。

 

「あ、そうだ」

 と彼は最初に出会った時に言った言葉を思い出す。

「部屋が余ってるんですけど、どうします? ベッドも真新しいのがありますけど、そっちに住みます?」

 

 ほんとは一緒の部屋の方がラッキースケベがありそうなので切り出したくなかったが、約束は約束だ。

 

「それは、ありがたいんだけど……いろいろと使い方がわからない道具が多いから……あなたさえよければこの部屋に置いてくれると」

 

 冒険者をやっていたシレリアからすれば異性と同室で寝泊まりする事は珍しくない。しかし異世界となれば事情も異なる事を理解しているので、どことなく歯切れは悪い。いきなりオバサンが部屋に転がり込んでくるのだ。青年には面倒だろうと考えるのが自然だ。

 が、彼は内心、二重の意味でグッと拳を握った。

 

「そりゃ全然いいですよ!」

 

 一つはもちろんシレリアと同棲出来る事だが、二つ目は大家としての利点だった。

 いくら閑古鳥が鳴いているとはいえ、もし入居者がやって来てシレリアに貸していた部屋を希望されれば原状復帰させなければならない。それはかなり苦しい。

 

 ともあれ、こうして異世界より転移してきたシレリアの生活はようやく安定の兆しを見せ始めたのだった。

 

 

 

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 彼の働くスーパーの女子更衣室から高齢の女性の声が漏れ出てくる。

 

「こないだ店長から聞いたんだけどさ、ベーカリーの彼、知ってる?」

「え? なにが?」

「なんか気になる子がいるらしくてねー」

「へえーいいじゃない」

 

「いいも悪いもないわよー。相手は人妻なんですって。悪いわよー」

「ええー! いやそれはちょっと……」

「しかも」

「なになに?」

 

「お子さんもいるんだって」

「うっそ~~! でしょそれは流石に」

「でも店長が言ってた」

「まあ~あの人もホント口軽いわねえ」

 

「あの子も相談する相手を選べばいいのに、素直なんだか考えてないんだか」

「よねえ……けど誰なんだろ、まさか……」

「……ちょっとやめてよー私らみたいなオバサンが」

 

 ガアハハと笑い声が響き、別の噂話が続けられた。従業員の誰々が病気だとか、仲が悪いだとかそんな内容が。

 半信半疑の井戸端会議。取るに足らないただの暇つぶし。だがドアの前で顔を赤くして固まる小柄な妙齢の女性、和狸 想実(わたぬき このみ)にとってはただならぬ情報だった。

 

(それ、絶対わたしだわ!)

 

 栗色の短い髪を後ろで軽く結び、白のカットソーにアースカラーのカーディガンとロングスカートで纏めた装いをしている彼女にはその自覚がある。

 童顔にぽってりとした眉を困惑させ、くりくりとした大きな瞳に戸惑いの色を滲ませた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 まず第一に人妻であるし、子供もおり噂話の条件を満たしている。無論、それは主婦が多く働くスーパーでは珍しくない。だがそれに加えて第二の理由があった。

 静かに自分の豊満な双丘を見下ろす。男性の手でも収まりきらない程大きい。

 ごくりと生唾を飲む。

 

「お疲れさまです」

「あっ! うん、おお疲れさま」

 

 急に後ろから投げかけられた声に慌てて振り向く。

 声の主である彼が申し訳なさそうに言った。

 

「昨日は急にシフト替わってもらってすみません。本当に助かりました」

「い、いえ。気にしないで。いつも無理言っているのはこっちなんだし」

「やー、お子さんが二人もいたらいろいろ行事が被るでしょうし、しょうがないですよ。俺は給料が欲しいんでかえって助かります」

「そ、そう。そう言ってくれると……あ、そ、それじゃあ」

 

 そそくさと女子更衣室に逃げ込むように去る。

 

(やっぱり、そうなんだわ!)

 

 疑念が確信に変わり、心臓が激しく脈打った。再び胸に視線を落とす。

 第二の理由として、彼はこの乳房を見てくる。

 実際に、うおっデッカ、という目で見ているので彼は言い訳できない。女性は男性のそういった視線に敏感だと知っていても避けられなかったのだ。

 

(狙われている……人妻の、この身体を!)

 

 一度そう思い込むと、彼の一挙手一投足その全てが怪しい。それだけではなく過去の事柄までそう見えてくる。

 やけにタイムカードを切るタイミングよく居合わせたり、今までは普通の仕事仲間として愚痴を聞いてもらったり、世間話で笑ったりしていたのも入念な下準備だとしたら……

 

(そりゃ彼は優しいし、あの時は助けてくれた()もあるし、話も合うけど……)

 

 一旦思考を切り替え、今日はかなり足早に更衣室を出た。そこで急に噂話とは別の緊張感を覚えつつ出勤のタイムカードを切る。慎重に。

 確かに出勤処理をしたのを何度も念頭に置き、再び先ほどの思いを巡らせた。

 

 彼とは仕事上の上下関係も危うさを滲ませていた。和狸の方が年上ではあるが仕事場では後輩にあたる。そういった立場を利用して関係を迫る昼ドラを最近観た。

 自らの現状を再確認するように、あるいは勇気づけるようにそっと、無意識的に左手の中指の付け根を親指の腹でさする。そこに配偶者がいる事の証が無いのは、食品製造の仕事中だからと遅れて気付く。

 

「和狸さん?」

「あっ! なに?」

「大丈夫ですか? それ、代わりにやっときましょうか?」

「ん? ……あ、ああ。いえ、ちょっと考え事しちゃってて、ごめんなさいね」

 

 慌ててパン生地にバター風味のアレを塗る。

 

(どうしましょ~)

 

 和狸はその日、かろうじて平静を取り繕いながらも帰宅した。愛する優しい夫と、二人の子供が待つ家へ。

 しかし彼女を悩ませる種はもう一つあったのだ。

 セカンドカーの軽を駐車場に停め、「ただいまー」と玄関を開ける。タタキ(靴を脱ぎ履きするスペース)には家族以外の、よく見るスニーカーがあった。

 中学三年生になる息子の友人の一人、友田が遊びに来ているようだ。

 

 困ったな、というのが正直な気持ちだった。

 息子とその友田の付き合いは中学からで、二人の仲がいいのは結構な事だが、何度か顔を合わせるうちにどうも好意を抱かれている気ぶりがあるのだ。

 

(まいったわ~、二人の若い男の子から目を付けられるなんて)

 

 和狸は友田にも虎視眈々と身体を狙われている。と思っている。

 むろん彼のそれは勘違いであるが、友田に関しては的中していた。

 最初は遊びに来た際にちゃんと挨拶をしていく子だと思っていたが、ちょっとした雑談が入るようになり、廊下でばったり会ったり、どういう経緯か息子が帰ってくるまで家で待つ事もあった。

 それとないボディタッチを狙っている節さえも。

 

 最初は女としてまんざらでもないという気持ちが無いわけではなかったが、すぐに薄れだし、対応に困り出す。やはり問題があるとも認識していた。

 かといってこちらから直接強く言って聞かせる勇気もなく、堂々巡りのまま悶々とするばかり。

 

 夕食は、もう遅いからと息子の誘いで友田も一緒に囲むことになった。

 それは構わなかったのだが、友田の料理を褒めるセリフに居心地の悪さのようなものを覚える。夫が仕事で食事に遅れたのもあるかもしれない。大学一年生になる娘がいてくれれば心強いが、今日はバイトだ。

 

「あ、そうだお母さん。こんどコイツをうちに泊めていい?」

 

 息子が唐突に言った。友田が人の好さそうな笑みを浮かべる。

 友達どうしで家に泊って遊ぶ事は、ある人はあるだろう。取り立てて珍しいという訳では無い。和狸も学生時代に同じ事をして夜遅くまでテレビを見たり、くだらない事や気になる男子の話だとかを話した。

 

 ただ、友田のそれは息子との親密さの延長よりも別の思惑があるように思えて気が進まない。

 かといって本人の前でダメだと断るのも口が重い。夫にそれとなく判断を仰ぎつつ防ぎたいが、このあいだ娘の友達が泊まりに来たのでその手は使えない。

 

「そう、ね。友田くんのご両親はいいって?」

 

 精一杯の作り笑いで尋ねるが、とうぜん先方の了解は得ていた。

 

 話はそれで纏まり、和狸はなんだか気が滅入る。

 食器を片付けようとした時、ちょうど友田と手が重なった。

 

「あ、すいません。片付け手伝います」

 

 いや重ねられたのだ。謝罪はあったものの、和狸は意図を感じ取って手を引っ込めた。

 

「そ、そう。ありがとう」

 

 その後、ようやく友田が帰宅するとホッと肩の荷が下りた気がした。

 

 風呂に入る前にふと洗面台の鏡に映る自分の身体を眺める。幼い顔立ちで、身長は低くテレビや雑誌に載るような女優体型ではない。ただ、バストの大きさにはちょっぴり自信を持っていた。これが男の視線と肉欲を集めているのも自覚している。

 

(けど40代のおばさん相手に興奮するなんて……若いって怖いわ)

 

 少し気になって腹をさする。ぽよぽよしていた。

 

(こういうところがあるって知らないものね~)

 

 

【挿絵表示】

 

 

 たぶん若い彼らは知らないのだ、と和狸は風呂に入りながら悟ったように自らに言い聞かせる。大きい胸は確かに目を引くが、実際の身体は年齢を重ねただらしない肉が付いている。それを知らずに年上に対する憧れと肉欲が混ざってしまっているだけ。

 現実を見れば冷めるとわかる情欲であれば、なんとも稚拙で可愛いものだ。

 歳を取ったと悲しくもあるが、和狸はほんの少し、大人としての余裕を覚える。

 

 やがて夫が帰宅し、夫婦の寝室で眠りにつき、いつものように朝を迎える。優しい夫と愛する子供たちを送り出し一段落すると、そそくさとベッドに寝転びスマホでアダルトコンテンツを扱うサイトを表示させた。

 今日はどれにしようかな、と昨日から続く胸のわだかまりを発散すべく動画を選別する。

 

 別に夫とレスなわけではない。ヤる時はヤっている。

 だがそれはそれ。これはこれ。セックスはセックス、オナニーはオナニーなのだ! 

 それはパートナーと共有して発散させたい性欲で、これは一人で消費したい性欲だ! そこになんの違いもありゃしねぇだろうが! 

 

 と考える人もいるだろうが、違うのだ!! 

 

 そのようなわけで和狸は一人でくちゅくちゅと遊ぶ。

 オカズはなんとなく、上司に力関係を理由に身体を貪られる系のやつになった。

 

 

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