※この作品はR-18です。

特務捜査隊エージェントライダーズ!-絶賛排卵中の危険日女捜査官達は特製媚薬になんか絶対に負けない!-   作:オリーブドラブ

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第16話 海を揺るがす鬼の巨人

 

「……! フリーデリーケ、アマンダッ!」

「えっ……!? カ、カズハッ!?」

 

 長時間に渡る陵辱の宴から、辛うじて脱出したカズハ達アルファチーム。操舵室を離れ、艦橋内部の通路を走っていた彼女達は、ついにブラヴォーチームやチャーリーチームとの合流を果たしていた。

 音信不通となっていた仲間達が目の前に現れ、フリーデリーケやアマンダ達は瞠目して足を止める。その弾みで、彼女達の乳房と桃尻がゆさっと上下に揺れ動いていた。

 

「もうっ……! 定時連絡はどうしたのよ、心配したじゃない!」

「無事だったのだな、カズハ!」

「フリーデリーケ、アマンダ、それに皆……! 来てくれたんだね、助かったよ!」

 

 仲間の無事を喜んでいるフリーデリーケ達は、青い仮面の下で破顔しながらカズハ達との抱擁を交わす。その光景に他の隊員達も安堵の息を漏らしていた。一度は窮地に陥ったB.A.V.A.R.F.も、これでついに勢揃い。後は全員の力を合わせて、この船を制圧するのみだ。

 

「君達がここまで来れたということは……アイングレイザーを倒したんだね? 流石だ、私達では手も足も出なかったのに」

「アイングレイザー……? 誰だ、そいつは」

「え……? ノバシェードが雇っていた傭兵部隊のリーダーだよ? 私達を一度無力化した後、君達を倒しに行くと言って出て行ったのだけど……まさか君達、彼とは会っていないのか?」

「そんな奴には遭遇しなかったわ。だけど……カズハ達を倒すような奴が居るなんて。ということは、そいつがまだこの船のどこかに居る……?」

 

 だが、カズハはアマンダやフリーデリーケ達の言葉に神妙な表情を浮かべる。あの時確かに、アイングレイザーはフリーデリーケ達を始末すると宣言して立ち去ったはず。なのに当のフリーデリーケ達は、アイングレイザーに会ってもいないらしい。

 

 あれは口先だけの出まかせだったというのか。しかし雇い主であるはずのノバシェードを欺いてまで、そんな真似をする理由が分からない。確かなのは、彼の動向が不明となっていることだけだ。

 

「……彼は今、一体どこに……!?」

 

 どんな企みがあるにせよ、あれほどの強敵を野放しにしてはおけない。その焦燥に駆られるカズハは、フリーデリーケやアマンダ達が心配げに見つめる中、強い胸騒ぎを覚えていた。

 

 ◆

 

 その頃。甲板の「隠し通路」から船体下部に降りていたアイングレイザーは、秘密の船倉へと続く薄暗い通路を歩いていた。そんな彼の足音に反応した門番の戦闘員は、咄嗟に銃口を向ける。

 

「誰だッ!?」

「……随分な挨拶だな。雇われ者の傭兵の顔など、いちいち覚えておれんか?」

「あ、あぁ……なんだ、あんたかよ。ビビらせやがって、対策室の連中がついにここまで乗り込んで来たのかと思ったぜ」

 

 上の情報はそれほど正確には届いていないようだが、それでも概ねの事情は理解しているらしい。上の甲板から響いて来る戦闘の轟音に戦いていた彼は、不安げな表情で天を仰いでいた。

 そんな彼を鋭い双眸で見つめているアイングレイザーは、ゆっくりと歩み寄って来る。仮面を外し、見目麗しい素顔を露わにした彼は、じりじりと門番との距離を詰めていた。

 

「その想像が現実となるのも時間の問題だぞ。D.A.S.T.は俺を除いて全滅した。さらに奴らは、輸送予定だった5台のM.R.イレイザーとフィロキセラ・モンスターを倒して、ここに向かっている。想定外の事態だ」

「な、なんだと!? 対策室の連中は『ワンオフ』の新世代ライダー共とは違って、量産型の外骨格しか持ってないんじゃなかったのか!? 何でそんな奴らがそこまで……!」

「詳しくは分からんが、どうやら対策室の中でも指折りのエリート部隊のようだ。奴らの戦力はすでに、新世代ライダー共にも劣らぬ域に達している。このままではここも突き止められ、ノバシェードの威信を賭けた『A.O.計画』も水の泡だ」

「そ、そんな……一体どうしたら……!」

 

 アイングレイザーの口から語られた戦況に青ざめる門番は、予想以上に深刻な事態だと知り狼狽している。そんな彼の動揺に付け込むように、アイングレイザーは鋭い碧眼で彼の目を射抜いていた。そのまま距離を詰めた彼は門番を通路の壁際に追い詰め、顔の横に左手を押し当てる。いわゆる「壁ドン」だ。

 

「……こうなれば手段を選んではいられまい、一か八かだ。船を放棄してでも、『A.O.計画』の成果物……『(オーガ)』を脱出させるしかない。アレを起動させる方法を教えろ、操縦は俺がやる。陸地にまで運んでしまえば、あとはこちらのものだろう?」

「な、なんだって……!? い、いやっ、こんな状況だからって……それだけはダメだ! いくらあんたでも、外部の人間相手に俺達の組織(ノバシェード)の機密を明け渡すなんて……!」

 

 このビッグ・ノアでの輸送任務に就いているノバシェード戦闘員達にとっての「本命」である、「A.O.計画」。その成果物である兵器を、この船から持ち出すための起動方法を明け渡せ。それが、アイングレイザーの要求だった。

 

 だが、一介の門番にそんな重大な判断を下せるはずがない。それにアイングレイザーはあくまで雇われ者の傭兵。組織の機密である兵器の起動方法など、こんな状況であっても教えられるはずがないのだ。

 

「ならば、このまま俺と一緒に海の藻屑になるか? もう議論している時間など無いんだぞ、奴らがここに辿り着いたら何もかもがおしまいだ。本当にそれで良いのか? お前は良いと言うんだな?」

「……っ!」

「この船の『積荷』を待っている陸地の連中は、今でもお前達を信じているはずだぞ? 必ず、あの『(オーガ)』を送り届けてくれると。仮面ライダー共に勝利するための切り札を、希望を紡いでくれると。その期待を、信頼を裏切ろうと言うんだな? お前の責任で、お前の判断で」

「う、うぅっ……で、でもっ……!」

「お前は何のためにこの船に乗った。お前の使命は何だ? ただここで死ぬまで門番をしていることか? 『A.O.計画』の成果物たるあの『(オーガ)』を無事に送り届ける。仲間達のために切り札を運ぶ。そのためにお前は命を賭け、この船に乗り込んだのではないのか?」

「う、うぐぅうう……!」

 

 しかしアイングレイザーは今の苦境を引き合いに出し、より強く門番に迫る。金髪碧眼の美男子は、その見目麗しい顔を門番の顔に急接近させていた。鼻先や唇が触れ合いそうなほどに近い。

 

「……こ、これが起動用のカードキーだ。これがあれば、『アレジアント・オーガ』の本体を起動させられるっ……!」

 

 同性ですら「理解」出来てしまうほどの美しさと、鬼気迫る迫力を兼ね備えたアイングレイザーの美貌。その覇気に圧倒された門番はとうとう観念したのか――懐から1枚のカードキーを取り出し、差し出してしまう。高度に組織化された正規軍の類ではない民兵組織。そうであるが故の脆さが表れた瞬間であった。

 

「よし……よくぞ決断してくれた、正しい判断だ。お前のような人間がD.A.S.T.に居れば、対策室に遅れを取ることも無かっただろうに。……武装はすぐに使えるのだな?」

「あ、あぁ……。万一の時のために、どの武装も即座に使えるようになってる。切り札のミサイルも、特に異常は見当たらなかったって聞いた」

「異常は見当たらなかった……ふふ、そうか。ミサイルに異常は無い(・・・・・)んだな?」

「え……? お、おう……?」

 

 カードキーを受け取ったアイングレイザーは妖艶な微笑を浮かべ、透き通るような青い瞳で門番を射抜く。その色気に圧倒される門番は慄きながらも、彼の言葉にコクコクと頷いていた。「確認」を済ませたアイングレイザーは邪悪に嗤い、再び鉄仮面を被る。

 

「……上出来だ。よし、お前は直ちにここから脱出しろ。上に居る連中も、恐らくはとうに殺られている。お前1人が逃げたところで叱責する人間などこの世に居らん」

「わ、分かったよ……。あんたも達者でな。『A.O.計画』の未来……あんたに託したぜ!」

「あぁ任せておけ、お前達の分までしっかり使いこなしてやる。……さぁ、早く逃げるんだ」

「お、おう!」

 

 そして、門番の戦闘員はアイングレイザーに促されるまま、この船から脱出しようと走り出す。しかし、彼がアイングレイザーとすれ違って背を見せた瞬間。

 

「がッ……!?」

「……そう、早く逃げるんだ。あの世にな(・・・・・)

 

 アイングレイザーを信じてしまった(・・・・)門番は。彼が横薙ぎに振るった鋏で首を刎ねられ、何が起きたのかも分からぬまま絶命してしまう。

 驚愕の表情を浮かべたまま、通路の床に転がる彼の首。それが落ちる音を耳にしながら、アイングレイザーは振り向くことなく通路の奥へと進んで行く。

 

 やがて彼は、門番が守り続けていた秘密の船倉に辿り着き。そこに隠されていた「A.O.計画」の成果物――「アレジアント・オーガ」の前へと足を運ぶのだった。

 薄暗い闇に包まれているその空間に横たわっていたのは、規格外なサイズを誇る鈍色の巨人。鋼鉄のボディを持つ、全長70mにも及ぶ巨大な人型機動兵器であった。

 

「……ようやくこの時が来た。感謝するぞノバシェード、そして対策室ッ! ふっ、ははっ、はははははははーッ!」

 

 ビッグ・ノアが積荷の量に対してあまりに「鈍足」だったのは、船倉にこの巨人を隠していたからなのだ。その「秘宝」の前に辿り着いたアイングレイザーは両手を広げ、高らかな笑い声を上げる。彼にとっての「A.O.計画」は、ここから始まるのだ――。

 

 ◆

 

 そして。アイングレイザーの捜索を始めたB.A.V.A.R.F.の面々が、艦橋の前まで降り立った瞬間。突如船体が激しく揺れ動き、カズハ達は立っていることさえままならなくなってしまう。彼女達は乳房や桃尻をゆさっと揺らし、尻餅をついていた。

 

「……ッ!? な、なんだ……!? どうしたんだ、この揺れはッ!?」

「きゃあぁあっ!? ど、どうなってるのよこれっ! 座礁っ!?」

「ううん、違う……! 船が……このビッグ・ノアが、割れ(・・)始めている!」

「皆、この船はもう危ない! 全員、GクルーザーIIに戻って! 直ちにここから脱出だ!」

「りょ、了解ッ!」

 

 さらに甲板全体には、巨大な亀裂まで走り始めていた。まるでビッグ・ノアの船体そのものが、内側から(・・・・)真っ二つに裂けようとしているかのようだ。その悍ましい光景に戦慄するカズハ達は、怜悧な声を張り上げて「脱出」を決意する。

 

 アルファチーム、ブラヴォーチーム、チャーリーチームの隊員達は即座に船を離れ、嵐の海に飛び込んで行った。空中で鮮やかに回転する彼女達は、その下で待機していたそれぞれのGクルーザーIIに跨って行く。

 強化服の繊維がY字に食い込んでいる淫らな鼠蹊部と、その中心に位置する股間。その濡れそぼった秘所からシートに着地した瞬間、強化服を押し上げる乳房と桃尻がぷるんっと弾んでいた。

 

「船が沈む……! 総員、直ちに退却! 急いでッ!」

 

 凄まじい轟音と共に裂けて行くビッグ・ノアの船体。その光景を仰ぐカズハは切迫した様子で声を張り上げ、GクルーザーIIのハンドルを切る。船から離れるように全速力で走り出した彼女の後に続き、他の捜査官達も即座にその場から飛び出して行った。

 

 エンジン全開で荒波を駆け抜け、ビッグ・ノアから離れて行くB.A.V.A.R.F.の捜査官達。彼女達の背後では、ノバシェード戦闘員達の生き残りを乗せたビッグ・ノアが最期の時を迎えていた。生存していた戦闘員達の断末魔さえ飲み込み、巨大な貨物船は嵐の海に消えて行く。

 

「どうなってるのよ……一体っ……!」

 

 一定の距離まで無事に離脱した咲達は、その壮絶な光景を前に息を呑んでいた。後ほんの少し脱出が遅れていたら、自分達も沈没に巻き込まれていただろう。

 

「あ、危なかった……! もう少しであの船と運命を共にするところだったよ……!」

「……!? み、皆……! アレ見て……!」

 

 自分達の幸運に感謝するランヒルドが、打ちのめされたように呟いた瞬間。沈み行くビッグ・ノアの陰から現れた「巨人」のシルエットに気付いたリンが、ゆさっと乳房を揺らして叫ぶ。

 

 やがて、彼女達の前に――鈍色のボディを持つ、70m級の「巨人」が現れるのだった。その巨人は腰から上を海面に浮上させており、カズハ達を鋭い双眸で見下ろしている。

 

 鋼鉄のボディと2本の角を持つ、鬼のような風貌の鉄人。重厚な外殻で身を固めているその巨人は「鬼」のような形相であり、赤く発光しているツインアイは血走っているかのような険しさを醸し出していた。

 

「……な、何なんだアレは……! 巨大な鋼鉄の……鬼……!?」

「ちょっともう、いくら何でも……冗談でしょう……!? あんな化け物が、あの貨物船に隠されていたっていうの……!?」

「積荷の量に対して船の動きが妙に遅かったのは……喫水が深かったのは、こういうことだったのね……!」

 

 そのあまりに悍ましい巨大さや外観に、アマンダやフリーデリーケ達が戦慄する中。以前から感じていたビッグ・ノア号の違和感に繋がる「積荷」の正体に勘付いたハンナは、わなわなと唇を震わせていた。

 

 彼女達だけではない。この鉄人――「アレジアント・オーガ」の巨体を仰ぐ捜査官達は皆、GクルーザーIIのシートに跨ったまま驚愕の表情を浮かべている。70m級の巨人など、新世代ライダーでも遭遇したことがないほどの強敵だ。これまでの相手とは、明らかに「次元」が違う。

 

『……ありがとう、ノバシェード対策室の諸君。お前達のおかげでこのアレジアント・オーガを手に入れることが出来た。D.A.S.T.を代表して礼を言わせて貰おう』

「その声は……アイングレイザー!? 君の目的は……この巨人だったというのか!?」

 

 その時。巨人のコクピットに相当する頭部から、操縦者であるアイングレイザーの声が響き渡って来た。その声を耳にしたカズハはぶるんっと乳房を揺らし、目を見開いてオーガを仰ぐ。アイングレイザーが味方さえ欺いて行方を眩ましたのは、この巨人を手に入れるためだったのだと、カズハ達はようやく気付くのだった。

 

『その通りだ。奴らノバシェードが仮面ライダー共を滅ぼすために、数多の軍事企業との「癒着」を経て開発した決戦兵器。親父の遺作(ミサイルスパルタン)から抜き取ったデータを投入した切り札。それがこの、機甲怪人型移動要塞「アレジアント・オーガ」なのだよ』

 

 ――Allegiant(アレジアント)-Ogre(オーガ)。それを意味する「A.O.計画」の成果物を手に入れたアイングレイザーは、頭部のコクピット内で愉悦に満ちた笑みを浮かべている。そんな彼を睨み上げるカズハ達は、悔しげに唇を噛み締めていた。

 

「『忠実なる鬼(アレジアント・オーガ)』……。そんなモノを手に入れるために、君はノバシェードに近付いていたのか……!」

「じゃあ……私達は今までずっと、『A.O.計画』の真上を歩いていたというの……!?」

『そうだとも。……だが、この機体を手に入れるのも簡単ではなくてな。ノバシェードの奴らは頑なに「本体」の起動方法を漏らさなかったのだよ。力尽くで奪おうにも、7人しか居ない俺達D.A.S.T.では多勢に無勢。そこで……お前達の手を借りることにした』

「何だって……!?」

 

 アイングレイザーの言葉に、ハンナやカズハ達は思わず顔を上げる。彼女達はそこで、自分達が彼に「利用」されていたことに勘付くのだった。この作戦は全て、最初から仕組まれたものだったのだ。

 

『もしもお前達に……ノバシェード対策室にビッグ・ノアを制圧されてしまったら。この巨人の力を使わぬ限り、計画の全てが無駄に終わってしまう。そんな状況に陥れば、奴らも機密保持ばかりに拘ってはいられまい?』

「なっ……!? まさか、私達にこの船の偽情報を流したのは……!」

『そう、俺達だよ。お前達をビッグ・ノアに誘き寄せ、程々(・・)に暴れて貰う。そのためにありもしない占拠事件をでっち上げ、『調査』のために上船するように仕向けたのだ。アレジアント・オーガの起動方法を奴らから聞き出す前に、いきなり船を沈められては敵わんからな』

「こ、このぉッ……! 馬鹿にしてッ……! 全部何もかも、あんた達の思惑通りだったってわけ!?」

『馬鹿を言え、何が思惑通りなものか。むしろ、かなり危うい賭けだったと言ってもいいだろう。ノバシェードに気取られない程度の戦いで切り上げるつもりだったのだが……お前達を見くびった結果、D.A.S.T.隊員のほとんどを失ってしまった。だが……この巨人が手に入ったことを思えば、それでも十分に釣りが来る』

 

 多くの部下達を失ったというのに、アイングレイザーは意に介さないばかりか涼しげですらある。自分の目的を果たすためなら、共に戦った仲間達ですら躊躇なく「道具」として使い潰せてしまう男なのだ。咲が声を荒げる中、彼は冷淡に「釣りが来る」とまで言ってのけていた。

 

 そんな彼に静かな怒りを燃やすカズハは、仮面の下に隠された鋭い双眸で巨人を射抜く。彼女をはじめとする戦乙女達は皆、アイングレイザーへの義憤を露わにしていた。

 

「……釣りだと? もういい。もうこれ以上、君の好きにはさせないッ!」

 

 カズハが乳房をばるんっと弾ませて吼える瞬間。彼女をはじめとする全員のGクルーザーIIが、車体に装着されていた「増加装甲」を展開させる。両脇から搭乗者(ライダー)の身体を包み込むように動き出した、その青い装甲「マリン・パーフェクター」は――瞬く間に彼女達の肢体を分厚い外殻で包み込んで行った。

 

「皆! 私達の通常装備では、到底あの巨人は倒し切れない! 『重装型』で勝負を付けよう! 総員ッ、装着大変身(マーキュリー・セタップ)!」

「了解ッ!」

 

 やがて、カズハの「号令」が嵐の空に轟く瞬間。彼女達の全身に重厚な「増加装甲」が完全に装着され、各関節部から蒸気が噴き出る。その姿は、身体のラインがくっきりと浮かび上がっていた軽装型のシルエットとは全くの正反対であった。まるで岩山のようにずんぐりとした、無骨な外観の重鎧となっている。

 

 青を基調とする、その「増加装甲(マリン・パーフェクター)」を纏った強化フォーム――「マス・ライダー重装型」の姿を手に入れたカズハ達は、外骨格の動作を点検するように手首をスナップする。そんな彼女達の両肩部には、大型のロケットランチャーやミサイルポッドが搭載されていた。

 

 この「重装型」の外骨格は、彼女達が「火力」を最優先しなければならない状況に立たされた場合に備えて、GクルーザーIIに搭載されていた増加装甲だ。ハンドルを握りながらでも攻撃出来るようにと、その増加装甲の肩部には大火力の砲撃装備が与えられている。

 

 しかしこの外骨格は外観以上にかなりの重量があり、軽装型の持ち味である機動力を完全に失ってしまうという欠点がある。それどころか、この鎧を着た状態の彼女達は完全に膂力不足であるため、満足に動き回ることさえ難しい。なので「足」の役割を持つGクルーザーIIとの併用が不可欠となる、「使い所」が限られたピーキーな装備なのだ。

 

 そして今まさに、この重装型が活きる絶好の「使い所」が訪れている。海上での戦闘であることに加え、強大な火力を必要とする敵と対峙している今ならば、重装型を使わない手はない。その思いを一つにしたカズハ達は重装型の鎧を纏い、アレジアント・オーガの巨体と真っ向から対峙していた。

 

『……多少は手を変えて来たようだが、少し分厚い鎧を上に着た程度で何になる? 今すぐここから逃げ出せば、この「鬼」の射程範囲からは逃れられるかも知れんのだぞ。量産型風情が今の俺に楯突くつもりか?』

「ただの量産型などではない。私達B.A.V.A.R.F.は、全員が『仮面ライダー』なんだ! その誇りに懸けて……アイングレイザー・アイアンザック! 君だけは、絶対にここで倒すッ!」

『ふっ、良いように利用されていただけの女共が何を吼える。路傍の蟻をわざわざ踏みに行く趣味はないが……向かって来るというのならば蹴散らすのみだ。決着を付けようではないか、対策室! 今度こそ最後の……さぁ、来いッ!』

 

 カズハ達はGクルーザーIIのハンドルを捻り、アレジアント・オーガ目掛けて一斉に走り出して行く。荒れ狂う嵐の海を乗りこなし、迫り来る蒼き女傑達。彼女達は凛とした気高い表情を仮面に隠し、ハンドルを握り締めていた。その群れを迎え撃つべく、鬼の鉄人も両腕を広げ、全身に仕込まれていた連装砲の砲塔を展開させて行く――。

 






【挿絵表示】


 今回は本作のラスボス怪人ことアレジアント・オーガのお披露目回となりました。アイングレイザーはこの巨人を手に入れるために今回の戦いを仕組んでいたわけですねー。もちろん、このまま彼の好きにさせるわけには行きません。
 次回はいよいよこの事件にケリを付ける最終決戦が始まりますので、どうぞお楽しみに! ロブスタースパルタンよりもさらに手強いアレジアント・オーガに対抗するため、今話からお披露目された強化フォーム……もとい「マス・ライダー重装型」も次回から大暴れですぞ〜!٩( 'ω' )و
 これまでの軽装型はゼロスーツサムス感あるぴっちりスーツでしたが、この重装型は一転してG3-X感あるマッシブな外骨格となっております。最初は「らしくない」見た目だったものが、段階を踏んで「お馴染み」の造形に近づいて行く……というのも、結構作者の好みな展開だったり。ゴツい鎧着込んでる美女っていうのもオツですよね〜(*´꒳`*)

 また現在、咲を考案された泥濡れ龍先生の3次創作「歪んだ純愛に堕ちるマス・ライダー達(https://www.pixiv.net/novel/series/12221546)がpixivにて公開されております! 咲と装太のイチャラブが中心となっているSS作品となっており、他のメンバー達も登場している賑やかな作品となっておりますので、機会がありましたらこちらもご一読ください〜(*´ω`*)
 加えて、G-20先生も新たな3次創作「【RC&レジガール二次創作】ノバシェード残党北欧某国ちはや山荘事件(https://syosetu.org/novel/354513/)」を公開されております。本作のビッグ・ノア事件から4年後の北欧某国が舞台となっており、B.A.V.A.R.F.をはじめとするノバシェード対策室らの奔走が描かれて行くものと思われますので、もしよろしければこちらもご一読くださいませm(_ _)m

 さらにもう一つお知らせです! X2愛好家先生が連載されている3次創作「仮面ライダーAP外伝 Imitated Devil(https://syosetu.org/novel/316771/)」のエピソード「特別編 第4話 原初のG/白獣(https://syosetu.org/novel/316771/16.html)」に、アルファチームのトリニティがゲスト参戦しております! 舞台は本作のビッグ・ノア事件から約1年後。アフリカ大陸のナイジェリアに休暇で訪れていた彼女が、異世界からの侵略者・ハンドレッドに遭遇! さらにこのエピソードでは、彼女の「体質」に纏わる知られざる秘密が明らかに……!? 気になる方は、こちらもぜひご一読くださいませ〜!(*≧∀≦*)

 また、トリニティの活躍は同じくX2愛好家先生が執筆された「九十九 光の気ままな実験録(https://syosetu.org/novel/357309/)」でも描かれております。マス・ライダー軽装型を遥かに超える「力」を得た彼女の「真価」が強烈に描写されておりますので、機会がありましたらこちらの作品もぜひご一読くださいませ……m(_ _)m
 同作内のエピソード「開幕:MS(https://syosetu.org/novel/357309/3.html)」では、本来C-6(チャーリー・シックス)になるはずだった元特務捜査官「麗牙(れいが)R(ラモーナ)・レクスドライグ」が登場しております。アルファチームやブラヴォーチームと違ってチャーリーチームが5人しか居ないのは、本来そこの隊員になるはずだった彼女の分が空席になっているためだったのですなー……(ノД`)
 B.A.V.A.R.F.はおろか対策室からも去ってしまった彼女の現在については、こちらの作品で描かれております。幻のC-6こと麗牙の存在が気になる方は、是非こちらの作品もご覧くださいませー!(*^ω^*)

Ps
 アレジアント・オーガの元ネタである「仮面ライダーX」のキングダークといえば、頬杖を着いたあのポーズ。出来ることなら作中のどこかにねじ込みたかった……_(┐「ε:)_
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