特務捜査隊エージェントライダーズ!-絶賛排卵中の危険日女捜査官達は特製媚薬になんか絶対に負けない!- 作:オリーブドラブ
「どうしてこうなった……!?」
カズハを筆頭とするB.A.V.A.R.F.アルファチームが、甲板での戦闘を開始していた頃。ノバシェードの戦闘員達が集まっている操舵室内は騒然となっていた。
現場の対応により先手を取ることが出来たとはいえ、予期せぬタイミングで対策室に発見されたことに変わりはない。「積荷」を極秘裏に運ぶ自分達の任務に絶大な支障が生じてしまい、男達は顔を見合わせ動揺している。
「信じられん……! 対策室の捜査官共がこんなところまで嗅ぎ付けて来るとは……!」
「一体どこから情報が漏れた!? まさか俺達の中に裏切り者が……!?」
「不味いぞ、このままでは奴らに『A.O.計画』を潰されてしまう! 我々ノバシェードの再起が懸かっている重要なプロジェクトだというのにッ……!」
「どうする!? こうなればアレを……『M.R.イレイザー』を出すか!?」
「バカを言え、こんなところで大事な『商品』を使おうというのか! それに万一、アレを使った弾みで
この貨物船――ビッグ・ノアに乗っているノバシェード戦闘員達が任されている「A.O.計画」。そのプロジェクトの「成果物」を目的地まで送り届けるという彼らの任務は、早くも失敗の危機を迎えていた。操舵室内に居る幹部格の構成員達は狼狽した様子で、口々に言い合っている。
「……ふん、対策室が使う
――しかし、その一方。操舵室のモニターから戦闘の状況を観察している7人の男達は、落ち着いた様子で映像を眺めている。リーダーらしき金髪の美男子は、唸るような低い声で小さく呟いていた。
彼ら7人の格好は、ノバシェード戦闘員達の野戦服とは明らかに異なるものであった。無骨でマッシブな強化外骨格を纏う彼らは、小脇に鋼鉄の仮面を抱えている。
V字のアンテナや
「……お、おいあんた達! 何をそこで突っ立ってるんだ、さっさとあの捜査官達を始末してくれ! 何のためにその外骨格を貸してやったと思っていやがる!? ああいう連中から、この貨物船を護るためだろうがッ! 高い金を払ったんだ、
そんな男達の声に反応したノバシェードの戦闘員達は、忌々しげに彼らを睨み付ける。この7人はノバシェードのメンバーというわけではない。ノバシェードが今回の輸送任務のために「雇用」した傭兵部隊なのだ。
「……だからそのために、奴らの動きを見ているのだろう。それも待てんというのなら、いっそ自分達で何とかしたらどうだ?」
「ぐ、ぅ……! 金に汚いゴロツキ傭兵の分際でぇッ……!」
ノバシェードから「貸与」された外骨格を纏う7人の傭兵達は、互いに顔を見合わせた後、不遜に鼻を鳴らしていた。自分達を見下し、嘲笑するかのような彼らの態度に、ノバシェード戦闘員達はギリッと歯を食いしばる。
そんな戦闘員達を歯牙にもかけず、モニターの方へと向き直る傭兵達。彼らはこれから自分達が戦うことになるB.A.V.A.R.F.のマス・ライダー達の戦い振りを、つぶさに観察していた。先ほど戦闘員達を嘲笑っていた時とは違い、傭兵達は真剣な表情でカズハ達の動きを見つめている。
「……見事なものですな。強化服の性能もさることながら、各装着者の技術も非常に高い練度に達している。新世代ライダーにも匹敵する精鋭部隊……という噂も、あながち大袈裟ではなかったようですな」
「あんなピッチピチの強化服を着てるもんだから、一目見た時はとんでもねぇ変態痴女共だと思ったもんだが……奴ら、ただの痴女じゃありませんぜ。ハッキリ言って、これまで殺して来た捜査官共とは『格』が違いますよ」
「それくらいでなければ困るというものだ。……
どこか含みを持たせた言葉を残しつつ、リーダーの男はニヤリと口角を吊り上げて操舵室を後にして行く。そんな彼の後に続く6人の傭兵達も、重い腰を上げるようにゆっくりと動き出していた。
ただ歩いているだけでも伝わって来る、彼らの「覇気」に気圧されたのか。ノバシェードの戦闘員達は傭兵達を睨み付けながらも、すごすごと引き下がって道を譲っている。
ブラウン基調の外骨格を纏い、熱線の刃を帯びた戦斧を肩に担いでいる巨漢。紫基調の重鎧を装備し、グレネードランチャーを携行している男。マゼンタ基調の鎧で身を固め、腰のホルスターに旧式のビームガンを納めている筋肉質な男。
クリムゾン基調の装甲で全身を多い、大型の火炎放射器を担いでいる男。オレンジ基調の外骨格を装備し、血に染まった2枚刃のチェーンソーを抱えている巨漢。モスグリーン基調の鎧を纏い、指先でリボルバー拳銃をクルクルと回している「副隊長」。
そして。赤と黄色のツートンカラーの外骨格を纏い、右手に大きな鋏を装備している「
「……そろそろ、あの辺りが静かになる頃だろう。俺達も傭兵らしく、『報酬』に見合った働きをしようではないか。なぁ皆?」
「えぇ……仰せのままに、
やがて操舵室の外へと歩み出し、全身で豪雨を受け止める7人の傭兵。その先頭に立つリーダーの言葉を合図に、6人の部下達は一斉に艦橋の足場から飛び降りて行く。
降り立つ先は、カズハ達が戦っている
◆
高性能機とはいえ、所詮は量産型のマス・ライダーに過ぎない。改造人間である自分達が遅れを取るはずがない。その慢心が、致命的な「隙」に直結していた。
「ち、ちくしょう……なんなんだこいつらッ! たかが量産型のくせに、生身の女のくせにッ! なんでこんなに……ぐぁあッ!?」
全方位からの攻撃で侵入者達を瞬殺するはずだった戦闘員達は、逆に次々と各個撃破されている。禍々しく変異した怪人の腕で殴る暇もなく。銃の引き金を引く間もなく。彼らはカズハ達の「反撃」に遭い、矢継ぎ早に薙ぎ倒されていた。
「……自慢じゃないが私の腕は、とある新世代ライダーからもお墨付きでね。狙いは絶対に外さない!」
コンテナの影に身を隠しつつ、的確なビーム射撃で戦闘員達の急所を撃ち抜いて行くカズハ。彼女がビームガンの引き金を引く度に、発砲の反動で乳房と桃尻がばるんっと弾んでいた。
その銃口から迸る熱線は、異形の腕で彼女に殴り掛かろうとした戦闘員の眉間を、瞬く間に貫いてしまう。新世代ライダーの一員を弟子に持つ対策室のエース。その雷名が伊達ではないことを、彼女は己の手腕で証明していた。
「……うぐッ!?」
「はははっ、捕まえたぜ女ァッ!」
すると次の瞬間、乱戦に紛れてカズハの背後を取っていた戦闘員の1人が、彼女を後ろから抱き締めて拘束してしまう。ぶるんっと弾む乳房の揺れと、股間に伝わる桃尻の柔らかさに、戦闘員の男は下卑た笑みを浮かべていた。
「このスケベな強化服、今すぐひん剥いてやるぜッ! ナマ乳拝見ッ――」
「ふんッ!」
「――ぐほぉッ!?」
だが、戦闘員がカズハの強化服を引き裂こうと胸元を掴んだ瞬間。彼女はその体勢のまま長い美脚を垂直に振り上げ、真後ろに居る戦闘員の顔面にキックを当ててしまう。I字開脚によってぱっくりと開かれた彼女の股間に、強化服の繊維がキツく食い込んだ。
「はあぁあッ!」
「ぐが、ぁ……!」
彼女の脅威的な柔軟性に意表を突かれた戦闘員は、顔面を蹴られた痛みで思わず後ずさる。その隙に拘束から逃れた彼女は、反撃のローリングソバットで戦闘員の首をへし折ってしまうのだった。
華麗な蹴りの反動で乳房と桃尻がぶるんっと弾む瞬間、事切れた戦闘員の身体が崩れ落ちるように倒れて行く。
「……殺し屋になったつもりはないのだけれど、『手加減』させてくれそうにはないね」
残心を取って戦闘員の最期を見届けたカズハは、仮面の下で自嘲の笑みを溢す。特務捜査官である彼女の本懐は「捜査」であって「殲滅」ではない。しかし敵方の強さという状況が、その理想を許さないのだ。
それでも今は、生き残るために戦うしかない。彼女は仲間達と共に何としても生還するべく、己の手を汚す覚悟でビームガンを構え直す。そんな彼女に群がる戦闘員達は、次々と熱線で撃ち抜かれていた。
「ぎゃあぁあッ! こ、この、アマァッ……!」
「頭数さえ優っていれば、弾幕で負けることはない……とでも思った? 残念、僕のガトリングは文字通りの一騎当千なのさ」
無論、他の隊員達も負けていない。腰を落として安産型の巨尻をぶるんっと突き出し、ガトリングガンの引き金を引くランヒルド。彼女の叫びと共に放たれた銃弾の嵐は、近付く暇も与えず戦闘員達を蜂の巣にしている。
絶え間ない連射の反動により、彼女の桃尻はぶるぶると振動し続けていた。しかしまな板の如き貧乳は、ほとんど揺れる気配もなくその鉄壁を維持している。
「ちくしょうッ! ぶるんぶるん揺らして誘ってんじゃねぇぞッ! そのデカ乳揉ませやがッ……ぐはぁあッ!」
「……遅過ぎ。人間を超えた『力』に胡座をかいているようじゃあ、100年掛かっても人間の『技』には勝てないよ。ざぁこ」
その一方で。電光石火の動きで敵方の弾雨を掻い潜る咲は、一瞬のうちにビームソードで戦闘員達を矢継ぎ早に斬り伏せている。黒寄りの赤い閃光を纏う熱線の刃が、瞬く間に戦闘員達の命を刈り取っていた。
「がぁ、あ……! お、俺の、俺の足がぁあ……!」
「……死に際までうるさいなんて、ほんっと救えないね」
居合の如き光速の抜刀。その一閃に反応出来る者はおらず、彼女と対峙した戦闘員達は1人残らず上半身と下半身を両断されてしまう。熱線の刃が横一文字に振り抜かれるたびに、メートル超えの爆乳と巨尻がどたぷんっと弾んでいた。
「こ、このッ……ド変態の痴女共がッ! てめぇら如きに俺達がッ!」
「……最新式のビームガンなんて、なかなかセレブな武器を使ってるようだけど! 資金力だけあったって、私達には通用しないっ!」
最新式のビームガンを携行していた戦闘員は、これさえあればと無秩序に熱線を乱射していたのだが。その弾雨は全て、リンのビームソードによって弾き返されてしまう。
「く、くそッ……! なぜだ、なぜ当たらねぇッ!」
「下手な鉄砲、数撃ちゃ……って言葉にも! 限度ってものがあるんだよっ!」
乳房と桃尻を揺らして軽やかに跳ぶ彼女は、アクロバティックに空中で身体を捻りながら、熱線の対空射撃をかわしていた。宙を舞いながら鮮やかに仰け反り、乳房を揺らして熱線を回避するリン。その流麗な動きは芸術的ですらあったが、戦闘員達には見惚れている暇もなかった。
「はぁあッ!」
「ぎゃあぁあッ!」
着地と同時に振るわれた青いビームソードが、矢継ぎ早に戦闘員達を斬り捨てて行く。しかしそんな彼女の背後を、伏兵のビームガンが狙っていた。
「……甘いっ!」
「がは、ぁ……!?」
だが、その気配に気付かないリンではない。熱線の軌道を瞬時に見切ったリンは、振り向きざまにビームソードで的確に跳ね返して行く。その達人の技により反射された熱線が、射手である戦闘員の心臓に命中していた。
「さぁ……次っ!」
一瞬のうちに絶命した戦闘員の骸を冷たく見下ろし、リンは静かにビームソードを構え直す。その弾みで、汗ばんだ彼女の巨乳がぶるんっと揺れ動いていた。
「く、くそッ……! あの痴女、一体どこへ……がッ!?」
「……これで30人。ふふっ……さぁ、次は誰かしら?」
隠密行動に適したB.A.V.A.R.F.仕様の強化服は、コンテナの山で入り組んでいるこの
「ぎ、ぁっ……!」
「あらごめんなさい、手が滑っちゃったわ」
発砲のたびに豊かな乳房をぷるっと弾ませているハンナは、硝煙が立ち昇る銃口を次の獲物に向け、間髪入れず引き金を引いている。混乱に紛れて物陰に身を隠し、敵の背後を狙い撃つ彼女の戦法に、戦闘員達は翻弄される一方となっていた。
「うぐわぁああッ!」
「ぎゃぁああッ!?」
「……揃いも揃って、狙いが甘過ぎ。ここまで来ると、むしろ当たる方が難しいんだけど?」
その一方で身を隠そうとはせず、むしろ派手に動き回って注意を引き付けている隊員も居た。軽やかな側転や宙返りなど、アクロバティックな体術で銃撃をかわし、乳房と桃尻を揺らして跳び回るトリニティ。彼女は股間を大胆にがぱっと開き、鮮やかな側方宙返りで銃弾を回避しながら、サブマシンガンの連射で迫り来る戦闘員達を薙ぎ払っている。
優美な身体をくの字に仰け反らせて宙返りするたびに、豊かな乳房と安産型の桃尻がばるんっと大きく躍動していた。だが戦闘員達はその果実に気を取られる暇すらなく、彼女のサブマシンガンによって蜂の巣にされてしまう。
「いい加減にしやがれ雌豚ァアッ!」
「……!」
その時、トリニティの背後から1人の戦闘員がナイフを手に襲い掛かって来た。振り向きざまにサブマシンガンを構えるトリニティだったが、その照準が安定するよりも速く相手が間合いに飛び込んで来る。彼女は咄嗟にくの字に仰け反り、乳房と桃尻を揺らして後方に宙返りすることで初撃の刃をかわした。着地の反動で、豊満な果実がゆさっと弾む。
「おおっと、撃たせねぇぜ対策室ッ!」
「……っ!」
しかし戦闘員の男は初撃をかわされても間髪入れず、矢継ぎ早に斬撃を繰り出して来る。回避に徹するトリニティは、サブマシンガンを構える暇も与えられない。
「はははッ、さっきまでの勢いはどうしたッ!? まずはその強化服をひん剥いて、朝までヒィヒィ啼かせてやるぜッ!」
「……さぁ、それはどう?」
どんなに優れた腕前だろうと、撃てなければ意味がない。そう踏んだ戦闘員の男は、勝利を確信して口角を吊り上げる。しかしトリニティはそんな男を嘲笑うように――姿勢を落とし、一気に突進した。
「な、にィッ……!?」
「えいっ……!」
その予想外の挙動に不意を突かれた男が、僅かに足を止めた瞬間。トリニティは勢いよく地を蹴って太腿をがぱっと大きく開き、男の顔面に自らの股間をぶつける。そして、
それによって視界を塞がれた男は、甘く濃厚な雌の匂いに翻弄されながらも体勢を崩してしまう。その隙にトリニティは、肉感的な太腿で男の首を挟み込んでいた。肉厚たっぷりの太腿に挟まれた男の首は、そこでガッチリと固定される。
「むごッ……お、がッ!」
「……君達には、過ぎた冥土の土産だったかな」
その感触から次の「攻撃」を予感した男は、咄嗟に身を捩って彼女を振り解こうとしたのだが――遅かった。トリニティはその体勢でくびれた腰を淫らにくねらせ、男の身体を首ごと投げ落としてしまう。甲板の床に脳天から叩き付けられた男は、悲鳴を上げる暇もなく即死した。
B.A.V.A.R.F.を「所詮は人間の女共」と侮っていた戦闘員達では、戦う前から勝負が決まっていたのだろう。この一帯に投入された戦闘員達は、ものの数分で全滅してしまうのだった。銃声が途絶え、自分達を除く生命反応が失われたことを確認し、カズハは周囲を見渡す。そこに、5人の仲間達が乳房と桃尻を揺らして集まって来た。
「……ようやく片付いたようね。全員無事?」
「もちろんですよ、カズハさんっ! 私達なら全然余裕ですっ!」
「やっと身体が温まって来たところだったのに、拍子抜けもいいところ。……痴女だの何だの、言いたい放題言いやがって。こっちも好きで着てるんじゃないっての」
「ちょっと2人共、油断は禁物だっていつも言ってるでしょ」
カズハからの呼び掛けに対し、リンや咲は暴れ足りないと言わんばかりに好戦的な笑みを浮かべている。痴女呼ばわりが余程癪に触ったのか、彼女達はハイヒール型のパーツを装着している肉感的な美脚で、足元に倒れている戦闘員達の骸をぐりぐりと踏み付けていた。踵の突起で骸を踏み躙っている2人を、ハンナがため息混じりに嗜めている。
「……ねぇ皆、これ見てよ」
「これ、使えそうじゃないかい?」
するとそこへ、トリニティとランヒルドが声を掛けて来た。戦闘の流れ弾で破壊されていたコンテナを見つけた彼女達は、そこで無数の弾薬やエネルギータンクを発見していた。いずれも、カズハ達の実弾銃器やビーム兵器に使えるものばかりだ。
「このコンテナに積まれていたモノみたいだね。これを使えば、弾やエネルギーの心配は無さそうだ」
「……でも、妙だな。何故この貨物船にこんなモノが積まれていたのだろう。ビッグ・ノアは民間の貨物船だったはずだが……」
「確かにそれは気掛かりだけど、せっかくだし有効活用させて貰いましょう? ちょっと弾を使い過ぎたかなって思っていたところなのよ。これなら、もっと思う存分に戦えるわ」
「同感。私もちょっと飛ばし過ぎてたし」
ランヒルドの言葉に眉を顰めるカズハは、顎に手を当てて思案している。そんな隊長の心配をよそに、ハンナと咲は消耗した弾薬やエネルギーを手早く補給していた。
弾薬の類が貨物船に積まれていた理由は不明だが、先ほどの戦いで弾薬等を消耗している今、これを利用しない手はないだろう。カズハ達は疑念を抱きながらも、手に入れた弾薬やエネルギーを補充し、装備を万全に整えようとしていた。
「……おっ。私もちょっと、栄養補給しておこうかな」
さらに、破壊されたコンテナの中には
「……こうしないと、眠たくなっちゃうから……ね?」
いつまでも「睡眠欲」に偏らせたままでは、いずれ睡魔に負けて居眠りしてしまう。そうなる前にこうして欲求をスイッチする必要があったのだ。仮面を外した彼女は眠たげな表情のまま軍用糧食の包装を開き、艶やかな唇を濡れた舌でぺろりと舐める。その舌先の動きは妖艶であり、淫靡であった。
「……んむっ、んむ……よし、腹八分目」
コンテナの中で山積みにされていた軍用糧食。そのほとんどを1分足らずで平らげてしまったトリニティは、穏やかな微笑を浮かべて、瑞々しい唇を舌先で舐め回していた。そんな彼女の艶かしい舌の動きは、まだまだ「満腹」ではないことを意味している。
「トリニティ……その辺にしておきなよ。満腹の状態で欲求のスイッチを戻したら、今度は一瞬で眠ってしまうだろう? 任務はここからが本番なんだ、今は堪えてくれ」
「……そんなぁ〜……」
しかしトリニティが次の糧食に手を伸ばそうとした途端、その唇にカズハの指先が当てられた。「これ以上はダメだ」という隊長からの合図に、トリニティはしょんぼりと肩を落とす。しかし、カズハとしてもここを譲るわけには行かない。
通常の人間でも食後は血糖値の変動によって、眠気を感じやすくなるのだ。ただでさえ欲求への偏りが人一倍激しいトリニティが、満腹状態から「睡眠欲」に欲求をスイッチさせようものなら、一瞬で眠りについてしまうし数時間は起きなくなる。隊長として、その現象を看過するわけには行かないのだ。
「トリニティ。真凛の分まで皆と一緒に戦うって、約束しただろう?」
「……ふぁあい……」
その意図を理解しているトリニティは、物惜しげに糧食の残りを見下ろしつつ、仮面を被ってゆっくりと立ち上がる。欲求のスイッチを「睡眠欲」に戻した彼女は、仮面の下で再び眠たげな表情を浮かべていた。
「むぅう……」
「やれやれ……相変わらず、世話の焼ける子だね。真凛も苦労していたわけだ」
そんな手の掛かる部下を苦笑交じりに見守りながら、カズハはトリニティの肩をポンと優しく叩いている。そうしている間に、ハンナ達も弾薬とエネルギーの補充を完了させていた。
「カズハ、トリニティ。待たせたわね、私達も準備完了よ」
「よし……全員、弾薬やエネルギーは万全だな。これなら、再び敵と遭遇しても問題は無さそうだね」
ハンナ達と深く頷き合ったカズハは、仮面の下で勇ましげな微笑を浮かべている。これだけ潤沢な補給が出来たのだから、この先どんな敵が現れても自分達が負けることなどあり得ない。そんな自信に満ち溢れた表情で、彼女は仲間達の勇姿を見渡していた。
――すると、その時。
「……それは良かった。ならば、ウォーミングアップは十分だと思ってよろしいのだな?」
「……!」
壮年の男の声が、この一帯に響いて来る。次の瞬間、激しい銃声が雷雨の空に轟いた。
その直前に「殺気」を感じていたカズハ達は鋭い表情を浮かべ、咄嗟に四方へ飛び退いて行く。地を蹴って大きく跳んだ彼女達が軽やかに着地した瞬間、瑞々しい乳房と桃尻がたゆんっと躍動していた。先ほどまで彼女達が立っていた場所には、1発の銃弾が撃ち込まれている。
その銃弾が飛んで来た方向に、カズハ達が一斉に振り返った。彼女達の視線の先――コンテナの上には、無骨な外観の外骨格を纏った6人の傭兵達が立ちはだかっている。いずれも、身長2mを優に超える巨漢揃いだ。
彼らが小脇に抱えている、「仮面ライダー」に近しい意匠を持った、凶悪な面相の鉄仮面。それを目にしたカズハ達は、蒼い仮面の下で目を剥いていた。
「カズハ、あの仮面と外骨格は……!」
「某国陸軍のアレクサンダー・アイアンザック中将が『再建』したという、スパルタンシリーズ……! 完全に抹消されたと聞いていたのに……! まさか、ノバシェードはその全データを回収していたというのか……!?」
「11年前、仮面ライダーを模して造られた旧式の軍用外骨格……! なるほど、こいつらがノバシェードの『切り札』ってわけね……!」
ノバシェードと秘密裏に結託していたという、北欧某国陸軍のアレクサンダー・アイアンザック中将。その人物が過去に開発を推し進めていたという旧型の強化外骨格――「スパルタンシリーズ」が、ノバシェードに利用されていたのだ。
10年以上昔に造られた旧時代の外骨格ではあるが、その優れたポテンシャルは現代の最新兵器にも通用するとも言われている。そんな強敵を前に、カズハ達は不敵な笑みを浮かべながらも僅かに冷や汗をかいていた。
「……そんなに古びた外骨格を着て来るなんて、私達も舐められたものだね。随分と使い込んでいるようだけれど、油はちゃんと差してるのかな?」
「ハッハッハ、威勢も乳もケツも大層ご立派な姉ちゃん達だな! だが、心配は要らねぇぜ? 俺達の外骨格は
「その通り。この鎧はシャドーフォートレス島の連中が使っていたような、ただのスパルタンシリーズとはワケが違う。アイアンザック中将の思想をノバシェードの技術で仕上げた、『
「『A.O.計画』……?」
「……おい、タバル。喋り過ぎだぞ」
「おっ……と。すいません、つい! 今度また美味い酒買って来るんで、勘弁してくださいや!」
「お前が買って来るのはいつも安酒だろうが」
大柄な傭兵達の中でも一際体格が優れている、「タバル」と呼ばれた大男。彼はノバシェードの機密である「A.O.計画」の名を口にしてしまい、横に立つ同胞に小突かれていた。
やはり、この貨物船には何か重要な秘密が隠されているらしい。傭兵達の様子からその内部事情を察したカズハ達は顔を見合わせ、凛とした表情で頷き合っていた。
「……どうやら、その計画がこの貨物船に絡んでいるようだね。どんな目論見にせよ、見逃すわけには行かない。この船は必ず私達が取り戻して見せる!」
「取り戻す? はははっ、この
その傭兵部隊の「副隊長」である男は、手にしていたリボルバー拳銃をクルクルと回転させ、腰のホルスターに納めている。指先の感覚が鈍るはずの分厚い外骨格を着た状態で、華麗なガンスピンを披露している彼は、その仕草で自身の「練度」を証明していた。
「……」
どうやら、先ほどの銃撃も彼の仕業だったようだ。挨拶代わりの1発を瞬時に見切っていたカズハは、鋭い双眸で彼を睨み上げている。さっきはよくもやってくれたな、と言わんばかりの表情だ。
「この船が元々ノバシェードのもの……? じゃあ、船が『占拠』されたという情報は偽……!? さっきのコンテナにあんなモノが積まれていたのも、そういうことだったのね……!」
「ビッグ・ノア号は最初から、ノバシェードの物資を輸送するための『方舟』だった……ってコトですか!?」
一方。副隊長の口から聞かされたビッグ・ノアの真相に、ハンナとリンは瞠目している。この船は初めから「占拠」などされていなかった。最初から、ノバシェードが輸送のために利用していた船だったのだ。彼女達はまんまとノバシェードに嵌められ、この船上に誘き寄せられていたのである。
「……そう、それを聞いて安心したよ。そういうことなら……この貨物船ごと潰してしまっても問題は無さそうだしッ!」
「滅多なこと言うんじゃないよ、咲。僕達は特務捜査官であって、殺し屋じゃない。あくまで優先すべきは捕縛と情報収集、殲滅は最終手段」
「……尤も。向こうに投降の意思が無いのなら、こっちも容赦はしないけど?」
一方、その事実を耳にした咲は怒りを露わにしつつも、好戦的な微笑を溢している。手加減する理由を失い、枷を外した猛獣のような笑みだ。そんな彼女を嗜めているランヒルドとトリニティも、鋭い双眸で敵方を睨み上げている。
「ほう……随分と自信がおありのようだ。我々が狩り尽くして来た70人の特務捜査官達も、君達のような啖呵を切っていたが……今回はどうかな?」
「なっ……!? まさか、ここ最近の捜査官殺しは君達の仕業なのか……!?」
「……合点が行ったわ。殉職した特務捜査官達は皆、マス・ライダーの外骨格を装着した状態のまま殺されていた。つまり最低でも、その装甲を破れるほどの攻撃を繰り出せるということ。そんな芸当が出来る奴なんて、そう何人も居ない」
「僕達のように、『仮面ライダー』に近しい力を持った実力者なんてね……」
副隊長の言葉に驚愕するカズハ達は、仮面の下でギリッと下唇を噛み締める。この約1ヶ月の間に相次いでいた、特務捜査官達の変死事件。その
「……まさか、よりによってこんなところで装太君の仇に会えるなんて思わなかったなぁ……! 絶ッ対……ここでブッた斬ってやるよクソ野郎共がぁあ……!」
「衝矢君の腕を斬った奴ってのは……あんたのことだなぁっ……!? ここで会ったが100年目……! タダで済むとは思わないでっ……!」
特に、恋人に重傷を負わされている咲とリンの闘志は凄まじい。執念深く探し続けて来た因縁の宿敵と思わぬ形で遭遇した2人は、何としてもこの場で叩き斬るという苛烈な意思を、その全身から迸る殺気を以て示していた。そんな彼女達の気高さに、傭兵達も感嘆の笑みを浮かべている。
「……今の話を聞いても、怯むどころかますます士気を高めるか。気に入った、久々に狩り甲斐のある獲物が来てくれたようだ。それならば我々も、相応の『もてなし』が出来るというもの……変身ッ!」
「……いい気になるのはそこまでだ。次に獲物になるのはどちらか……思い知らせてあげよう! 行くよ皆ッ!」
傭兵達が禍々しい鉄仮面を被り、「
そして、戦闘準備を終えたスパルタンライダー達がコンテナから飛び降りると同時に。彼らを迎え撃つべく、カズハ達も各々の武器を構え直して行く――。
今話はアルファチームの初戦闘回であるのと同時に、本作のメインヴィランとなる傭兵集団「D.A.S.T.」が本格登場する回となりました。第0話の頃からチラチラ顔を見せていた彼らですが、ここからようやく物語に参入して来ることになります。次回以降はアルファチームの前に立ちはだかった彼らとの戦いになりますぞ!٩( 'ω' )و
また現在、咲を考案された泥濡れ龍先生の3次創作「歪んだ純愛に堕ちるマス・ライダー達(https://www.pixiv.net/novel/series/12221546)がpixivにて公開されております! 咲と装太のイチャラブが中心となっているSS作品となっており、他のメンバー達も登場している賑やかな作品となっておりますので、機会がありましたらこちらもご一読ください〜(*´ω`*)
さらにもう一つお知らせです! X2愛好家先生が連載されている3次創作「仮面ライダーAP外伝 Imitated Devil(https://syosetu.org/novel/316771/)」のエピソード「特別編 第4話 原初のG/白獣(https://syosetu.org/novel/316771/16.html)」に、アルファチームのトリニティがゲスト参戦しております! 舞台は本作のビッグ・ノア事件から約1年後。アフリカ大陸のナイジェリアに休暇で訪れていた彼女が、異世界からの侵略者・ハンドレッドに遭遇! さらにこのエピソードでは、彼女の「体質」に纏わる知られざる秘密が明らかに……!? 気になる方は、こちらもぜひご一読くださいませ〜!(*≧∀≦*)
また、トリニティの活躍は同じくX2愛好家先生が執筆された「九十九 光の気ままな実験録(https://syosetu.org/novel/357309/)」でも描かれております。マス・ライダー軽装型を遥かに超える「力」を得た彼女の「真価」が強烈に描写されておりますので、機会がありましたらこちらの作品もぜひご一読くださいませ……m(_ _)m
Ps
悪い組織に雇われてる強そうな用心棒ってカッコいいですよねー。ボバ・フェットとか超好き(EP6の死に様から目を逸らしつつ