※この作品はR-18です。

特務捜査隊エージェントライダーズ!-絶賛排卵中の危険日女捜査官達は特製媚薬になんか絶対に負けない!-   作:オリーブドラブ

7 / 40
◆今話の登場ライダー

◆アイングレイザー・アイアンザック/仮面ライダーSPR-29S2ロブスタースパルタンSpecII(スペック・ツー)
 北欧某国の元陸軍中佐であり、ノバシェードと結託していたアレクサンダー・アイアンザック中将の息子。3ヶ月前に仮面ライダーに敗れ死亡した父を見下している。ノバシェードの誘いに乗り、傭兵部隊「D.A.S.T.(ダスト)」を率いてビッグ・ノアの護衛を引き受けていた。仮面ライダーのシルエットを想起させる旧式強化外骨格の最新改修機(スペック・ツー)を着用しており、右腕の鋏と赤と黄色のボディが特徴となっている。年齢は28歳。身長は209cm。



第6話 D.A.S.T.最強の刺客

 

 それぞれの激闘を制し、D.A.S.T.のスパルタンライダー達を倒した、B.A.V.A.R.F.アルファチームの面々。彼女達は豪雨が降り頻る甲板(デッキ)を駆け抜け、仲間との合流を果たしていた。

 

「カズハ、無事? どうやら皆も上手く行ったみたいね」

「ハンナ、皆……!」

 

 強化服を限界まで張り詰めさせている、豊満な乳房や桃尻。その果実をばるんばるんと弾ませながら、ハンナ達が隊長の元へと駆け寄って来る。仲間達の無事を確認したカズハも、青い仮面の下で頬を綻ばせていた。

 

 だが、まだ楽観は出来ない。マグナ達が口にしていた「A.O.計画」の全貌が明らかになっていない以上、捜査の手を緩めるわけには行かないのだ。カズハ達は合流を果たして間も無く、互いに背を預け合いながら弾倉の交換や装備の点検を手早く済ませて行く。

 

「……? ブラヴォーチーム、チャーリーチーム! こちらA-1、応答して! ……繋がらない。どうやら、この船の下から出ている強力な電波で妨害されているようだね」

「通信機が使えなくなるほどの電波……? 奴らの新兵器か何かかな。とにかく、今は私達だけで捜査を進めるしかなさそうね」

 

 そんな中、D.A.S.T.との戦闘で定時連絡の機会を逸していたカズハは、ブラヴォーチームやチャーリーチームと連絡を取ろうとする。だが、その通信は何らかの強力な電波によって妨害されているようだった。彼女の様子に、咲も小首を傾げている。

 恐らくは一時的な故障に過ぎないのだろうが、このままでは連絡も取れそうにない。この船から発せられているらしい謎の怪電波に眉を顰めながら、カズハは通信機を懐に収めていた。

 

「それにしても……あんな手強い連中が護送に関わっていたなんて。何のために偽の情報で私達を誘き寄せたのかは分からないけど……彼らが言っていた『A.O.計画』というのは、余程重要なプロジェクトだったらしい」

「うん。さっきハンナも言ってたけど、この船は船体規模とコンテナの積載量に対して明らかに動きが遅い。それに、喫水も不自然なほどに深くなっている。恐らく奴らは、このビッグ・ノアのどこかに『A.O.計画』とやらの『成果物』を隠している。……調べてみる必要がありそうだね」

 

 カズハの言葉に頷くランヒルドは近くのコンテナを軽く叩き、神妙な面持ちで周囲を見渡している。貨物船の緩慢な動きと「A.O.計画」には何らかの繋がりがあるのではないか……と睨んでいた彼女は、鋭く目を細めて足元に視線を落としていた。

 

「……そうだね。それなら、この船を沈める前に操舵室を調べてみない? 『A.O.計画』について何か分かるかも知れないし、少なくともこの船の積荷の行き先は分かるはずだよ」

 

 ランヒルドの考えに同意したトリニティは、操舵室の探索を提案する。ノバシェードの撲滅を目指す彼女達にとって、この船の行き先は重要な情報となる。それに、「A.O.計画」の内容を把握している指揮官クラスの構成員を捕縛出来るかも知れない。

 

「なるほど……! この船が元々ノバシェードの所有物だったのなら、行き先の陸地も当然奴らの息が掛かっているということ。一網打尽の大チャンスってわけですね!」

「……よし、まずは操舵室に向かうわ。皆、行きましょう」

 

 その可能性に気付き、リンも乗り気な声を上げる。そんな彼女達の意思を汲み、カズハも隊長として操舵室を目指す決定を下した。

 ビームガンのオーバヒートが治まっていることを確認し、彼女は愛銃を両手で構えながらゆっくりと艦橋に向かう。5人の仲間達も隊長の後に続き、艦橋内部の通路へと潜入し始めていた。

 

「……」

 

 一方。そんなカズハ達の背中を、遠くから静観している者が居た。先ほどまで仰向けに倒れていたD.A.S.T.の副隊長――マグナだ。

 

 カズハのハイキックで倒されていた彼はゆっくりと上体を起こし、彼女達が艦橋に向かって行く様子を見送っている。彼の仮面に搭載されている通信機からは、低くくぐもった「隊長(ボス)」の声が響いていた。

 

「……私です。どうやら、我々の計画も予定通りとは行かなくなったようですな。タバル、ゾイレン、パースヴェイダー、フラウム、ザンマの5人が殺られました」

程々(・・)のところで引き上げる手筈だったが……対策室の連中も、なかなか味な真似をしてくれる。それに、奴らの仲間達もこの船に乗り込んで来たようだ。ノバシェードの連中も慌ただしくなっている』

 

 マグナ達を率いていたD.A.S.T.の「隊長」。その男は通信の向こう側から、忌々しげな声を漏らしている。彼の言葉を裏付けるように、ノバシェードの戦闘員達が慌ただしく駆け回る足音が響いて来た。遥か後方からは、銃声や爆発音も轟いている。

 

「なるほど……それは好都合(・・・)ですね」

『……あぁ。対策室の連中が派手に暴れてくれるほど、こちらも動きやすくなる。お前の作戦通りに事を進めた甲斐があったというものだ』

 

 一方、「隊長」の声を聞いているマグナは仮面の下でニヤリと薄ら笑いを浮かべていた。多くの仲間を失った悲しみ。それさえも凌ぐほどの「好機」がやって来たのだと、その貌が語っている。それは、先ほどまで苛立ちの声を漏らしていた「隊長」の男も同様だった。

 

「しかし奴ら、そちらの操舵室に向かっているようですな。恐らく積荷の行き先を調べようという魂胆なのでしょう。あるいは計画の全貌を突き止めようとしているのか……」

『心配するな、そいつらのことは俺が可愛がってやる。……お前は手筈通り、直ちにこの船を離れろ。近くに脱出艇があるはずだ』

「……分かりました。ついに、この船の『(オーガ)』を目覚めさせる時が来たようですね」

『ミサイルへの細工(・・)も済ませた今、「鬼」の起動方法さえ分かればノバシェードに用は無い。この船が目的地に辿り着く前に、全てを終わらせる必要がある』

「えぇ……そうですな。それでは隊長、地獄で堕ち逢いましょう」

『そうだな。一足先に、地獄で良い報告を待つとしよう』

 

 それはまるで、「今生の別れ」を告げているかのようなやり取りだった。「隊長」との通信を終えたマグナはゆっくりと立ち上がり、船体の端に歩み寄って行く。そこに備え付けられていた脱出ボートは、マグナを待っていたかのように佇んでいた。

 

 そのボートに乗り込む直前、マグナは一度振り返り――艦橋内部に消えて行くカズハ達の背中を一瞥する。

 

「……良い働きだ、対策室の諸君。是非ともその調子で、この船を『撹乱』してくれたまえ。我々の目的のためにもな」

 

 扇情的に腰をくねらせ、安産型の桃尻を左右に揺らしながら、この船の首脳部を目指す特務捜査官達。そんな彼女達を見送るマグナは、ボートに手を掛けながらカーキ色のレザーコートを翻し、仮面の下で静かに嗤っていた――。

 

 ◆

 

 艦橋内部の通路を進み、最上階の操舵室を目指すカズハ達。そんな彼女達の前に現れたのは、赤と黄色を基調とする外骨格を身に纏った、金髪碧眼の美男子だった。

 

 禍々しいディテールの鉄仮面を小脇に抱えている彼の右腕は、鋭利な赤い鋏になっている。外骨格の上に羽織った漆黒のコートから、その鋭利な切っ先が覗いていた。

 

「……来たか」

「その外骨格……君もD.A.S.T.のスパルタンライダーだね?」

 

 自分達の前に立ちはだかった男の正体を即座に看破したカズハは、ビームガンを構えながら鋭く目を細める。そんな彼女と視線を交わして不遜な笑みを浮かべる美青年は、鉄仮面を被り「変身(セタップ)」を完了させていた。外骨格の関節各部からブシュウと蒸気が噴き出し、ベルトから青白い電光が迸る。

 

「……変身」

 

 D.A.S.T.を率いていた「隊長(ボス)」の機体――「SPR-29ロブスタースパルタン」の最新改修機(スペック・ツー)は、すでに戦闘準備を終えていたようだ。通常の手指になっている左手で黒コートの生地を掴み、その外套を勢いよく脱ぎ捨てた隊長。彼は腰を落として右腕の鋏を構えると、鋭い双眸でカズハ達を狙っている。

 

「どうやら部下達が世話になったようだな。俺はD.A.S.T.の隊長……アイングレイザー・アイアンザック。知っての通り、ノバシェードに雇われたはぐれ者の傭兵だ」

「アイアンザック……!? 君はまさか……!」

「ふん……何を想像しようがお前達の勝手だが、俺は仮面ライダー共に敗れた親父とは違う。この命に代えても、必ず奴らを倒して見せる。その前に……まずはお前達だ、対策室の雌犬共」

 

 ロブスタースパルタンの鎧を纏う「隊長」の青年――アイングレイザー・アイアンザック。その名を聞いたカズハは即座に、彼が悪魔に魂を撃った人類の裏切り者(アレクサンダー・アイアンザック)の血縁者であると察知した。そんな彼女の直感を否定することなく、アイングレイザーは臨戦体勢を取っている。

 

 自身の発明品(スパルタンシリーズ)の威力を世に示すため、ノバシェードと手を組んだアイアンザック。その血を引く「息子」であるアイングレイザーの姿に、カズハ達は鋭く目を細めている。

 

「……親父とは違う、か。その割には、そのお父さんが始めたスパルタン計画の鎧を着ているのだね。随分と屈折した家族愛だ」

「ふっ……家族愛だと? これは戒め(・・)だよ。俺はこの程度の玩具しか作れなかった愚物の息子なのだと忘れないための自戒だ」

「仮面ライダーを倒す……。ノバシェードと組んだのもそのため? バカな選択ね」

「全くだわ。結局あなたのやろうとしていることは、アレクサンダー・アイアンザックと何も変わらない」

 

 父親と同じ轍を踏もうとしているアイングレイザーを否定するように、ランヒルド、咲、ハンナの3人は厳しい言葉を投げ掛ける。しかしアイングレイザーは動じることなく、彼女達の言葉を鼻で笑っていた。この男には今更、「正しい声」など届きはしないのだ。

 

「確かに何も変わらんよ、目的だけはな。だが、俺達D.A.S.T.が選んだ手段は親父のような生温いものではない。俺達は目的を完遂するためなら誰であろうと、何だろうと利用する。自分の命さえもな」

「……そうまでして、お父さんの仇を討ちたいの?」

「違うな、惰弱な親父のことなど知ったことではない。……11年前の2009年に実戦投入されたスパルタンシリーズ。その外骨格を纏って戦った当時の陸軍最強部隊『マルコシアン隊』は、旧シェードの改造人間部隊と交戦。相討ちに終わった。お前達ほどの連中なら、その程度の調べはついているのだろう? マルコシアン隊最期の突撃作戦……『サンダーランス作戦』のことも」

「それが……なんだっていうの」

「お前達が先ほど殺した俺の部下達は皆、その戦闘で死んだ連中の遺族(・・)なのだよ。奴らが装着していた強化スパルタンシリーズは全て、奴らの肉親が生前(・・)に使っていた外骨格がベースになっていた。愛する家族が着ていた鎧と一緒に死ねて、奴らも本望だったろうよ」

「……!?」

「奴らは皆……11年前の戦いで家族を失って以来、何かが壊れた。スパルタン計画の責任を問われて失脚した俺の親父のようにな。そういった犠牲者達の骸の上に立っているのが今のお前達だ。その事実さえ知らないお前達だ!」

 

 死兵と化してまで新世代ライダーの殲滅に拘るアイングレイザー。その動機を問うトリニティやリンに対し、彼は自分達の原点(オリジン)を語った。無慈悲な破壊しか生まなかった戦争。その渦中の中で育まれた憎悪と狂気が、彼らをD.A.S.T.たらしめていたのだ。

 

「11年前の『サンダーランス作戦』でマルコシアン隊が滅びた後……奴らのことを何も知らぬまま、のうのうとこの時代の『仮面ライダー』を名乗る。そんな連中を否定出来る手段があるなら、俺達は悪魔にだろうと魂を売る。ノバシェードの連中が今回の依頼を持ちかけて来る前から、すでに傭兵に落ちぶれていた身だ。今さら何かを躊躇う理由も無い」

「そんなこと……マルコシアン隊が望むはずがない」

「面白いことを言う。彼らに会ったこともないお前達に何が分かる? なぜ分かる。分かるはずもなかろう。だから俺達はここに来たのだよ」

 

 10年以上もの年月を掛けて熟成された狂気に「力」が伴えば、悍ましい怪物が出来上がってしまうのだ。カズハの制止など意に介さず、右腕の鋏を構えているアイングレイザーは彼女達を睨み付け、徹底抗戦の構えを見せていた。

 

「……交渉は決裂のようだね」

 

 もはや、対話の余地など存在し得ないのである。多くの同胞を失いながらも戦い以外の道を模索していたカズハ達も、ついに覚悟を決めた。無言で仲間達と頷き合った後、改めてアイングレイザーと向き直ったカズハはビームガンを構え、引き金に指を掛ける。

 

「なら……君達の虚しい復讐も、ここで終わりにしてあげよう。これ以上、君の蛮行でマルコシアン隊の名誉を傷付けさせはしない。そして……君達に殺された捜査官達の無念、ここで晴らさせて貰う」

「知ったことか。俺はそいつらの顔も知らん」

「……そうか。部下達に指示だけ出して、自分の手では誰も仕留めなかったのか。よほど腕に自信が無かったのかな?」

「路傍の蟻をわざわざ踏みに行く物好きに見えるか?」

「……ッ!」

 

 殺された同胞達を「蟻」と侮辱するアイングレイザーの挑発に怒り、カズハは躊躇うことなくビームガンを発砲した。その銃口から熱線が飛び、眩い閃光となってアイングレイザーに襲い掛かる。

 

「ふんッ!」

「なッ……!?」

 

 だが、アイングレイザーは避けようともせず――向かって来る熱線を、右腕の鋏で切り払ってしまう。鋏の刃で弾き飛ばされ、明後日の方向に着弾する熱線。その光景に瞠目するカズハは間髪入れずにビームを連射するが、アイングレイザーは無駄だと言わんばかりに何度も熱線を跳ね返していた。

 

「ビームガンが……通じない!?」

「マグナのリボルバーに使われていた対熱線コーティングを覚えているか? ……このロブスタースパルタンの全身には、それと同じ処置を施した特殊合金が使われている。つまり、お前達に勝ち目は無い……ということだ」

「全身……対熱線コーティングだって……!?」

 

 ビームガンの熱線を弾いていたマグナのリボルバー拳銃。それと同じ特殊合金が、ロブスタースパルタンの外装に採用されていたのだ。カズハのビームを跳ね返していた対熱線コーティングが、全身に施されている。それはつまり、ビーム兵器の一切が通用しないことを意味していた。

 

 絶望的な「相性」を前に、カズハは思わず銃口を下ろしてしまう。そんな彼女の両脇を抜き去るように、咲とリンがビームソードを振り上げてアイングレイザーに斬り掛かった。

 

「ビームに耐性があると言っても、所詮は個人が運用出来る範囲での代物! 限界はあるはず!」

「断続的にビーム攻撃が出来る私達の剣ならッ!」

 

 出力においてビームガンを上回るビームソードなら、少々のコーティングなど火力で押し切れる。そう判断した2人は同時に地を蹴って跳び上がり、それぞれの愛剣を一気に振り下ろした。

 アイングレイザーは水平に構えた鋏で2本の光刃を受け止め、2人分のパワーに単身で耐える。その瞬間、攻撃の反動で咲とリンの爆乳がぶるんっと大きく揺れ動いていた。

 

「う、嘘でしょ……!? ビームソードの出力でも足りないなんて……!」

「しかも、私達のパワーを合わせても押し切れないなんて……! なんて馬鹿力なのッ……!?」

 

 しかし対熱線コーティングの分厚さは、2人の見立てを大きく上回るものだった。咲とリンが力を合わせてビームソードを押し込んでも、鋏を構えて防御しているアイングレイザーは1歩も引いていない。逆に少し押し返されただけで、彼女達の方が優美な背中を仰け反らせていた。

 

「……最高の『栄誉』をくれてやる。本気の俺と直接戦えるのは、お前達が最初で最後だッ!」

「うぁああッ!?」

「きゃあぁあッ!」

「咲、リンッ!」

 

 アイングレイザーにとっても、2人のパワーは想定以上だったのだろう。仮面の下で冷や汗をかいていた彼は激しく吼えると、鋏を振るって2人のビームソードを弾き飛ばし、強烈な回し蹴りで彼女達を纏めて吹っ飛ばしてしまう。軽装型の防御力では耐え難い威力だったのか、床に転がった咲とリンはその場から動けなくなっていた。

 

「やってくれるね……女々しい復讐鬼が!」

「2人を傷つけたこと、後悔させてあげる!」

「……殺してもいいよね? こいつだけは」

 

 そんな2人を庇うように立ちはだかったランヒルド、ハンナ、トリニティの3人は、深く腰を落とした姿勢でそれぞれの愛銃を構える。ビーム兵器が通じないなら、実体弾で攻撃するしかない。3人は鋭い視線を交わして深く頷き合うと、それぞれの愛銃の引き金に指を掛けた。

 

「確かに大した防御力だけど……!」

「ビームが効かないのなら……」

「鉛玉で蜂の巣にするだけよッ!」

 

 やがて3人の愛銃が同時に火を噴き、猛烈な弾雨がアイングレイザーに襲い掛かる。凄まじいマズルフラッシュが通路内を照らす中、発砲の反動により3人の乳房や桃尻がぷるぷるっと揺れ続けていた。

 

「……ぬぅぉあぁぁあッ!」

 

 だが――けたたましく吼えるアイングレイザーは、鋏が付いていない左腕だけで難なく彼女達の弾雨を防ぎ切ってしまう。対熱線コーティングとは関係なく、彼の装甲は非常に頑強だったのだ。カズハ達が倒して来たスパルタンライダー達とは、明らかに「別格」な防御力だ。

 

「う、うそ……!? この量の弾丸を一気に叩き込んだのに、かすり傷一つ……!」

「……気は済んだか? それなら今度は、こちらから行くぞッ!」

 

 規格外のパワーと防御力。その両方を見せ付けられたランヒルド達は、仮面の下で瞠目する。その一瞬の隙を突いて距離を詰めて来たアイングレイザーは、実弾の雨を浴びながらも怯むことなく突進し、3人を鋏で殴り飛ばしてしまう。

 

「うわあぁあッ!」

「きゃあぁあッ!」

「あうぅっ……!」

「み、皆ッ! ……このおおぉおッ!」

 

 仲間達を倒され怒りに燃えるカズハは、両手で構えたビームガンを連射しながらアイングレイザーに急接近する。そして、先ほどの戦いでマグナを沈めた回し蹴りを仕掛けるのだった。弧を描くように振り抜かれた彼女の美脚が、アイングレイザーの首を捉える。

 

「うっ……!?」

「……なるほど、良い蹴りだ。マグナを倒しただけのことはある」

 

 しかし、ピンと伸び切った足の甲が急所に命中する寸前。咄嗟に身をかわしたアイングレイザーは、伸び切ったカズハの蹴り足を鋏で捕えてしまった。大胆に股間を開いたハイキックの姿勢のまま、カズハは身動きが取れなくなっている。鼠蹊部に深く食い込む強化繊維が、大きく曝け出された彼女の股間を強調していた。

 

「だが、所詮は少し性能が良いというだけの量産型。そこまでがお前達の限界ということだッ!」

「きゃあっ……!?」

 

 鋏に蹴り足を挟まれ、不安定な片足立ちを強いられたカズハ。そんな彼女の身体を弄ぶように――アイングレイザーは彼女の身体ごと鋏を振り上げ、そのまま一気に床へと叩き付けてしまう。鈍い衝撃音と共に、床がべコンと大きく凹んでいた。強化服と仮面が無ければ、間違いなく即死している威力だ。

 

「がはぁああッ!」

「カズハッ!」

 

 渾身の力で床に叩き付けられたカズハが、思わず悲鳴を上げる。そんな隊長の身を案じるランヒルド達の方を見遣りながら、アイングレイザーは仮面の下で薄ら笑いを浮かべていた。

 

 戦闘開始から僅か1分足らずで、アルファチーム全員が倒されてしまったのだ。マグナをはじめとする他のD.A.S.T.隊員達もかなりの強敵だったのだが、アイングレイザーことロブスタースパルタンのパワーはそれ以上に「別格」だ。

 

(パワーも……装甲も……何もかも、甲板(デッキ)で戦った連中とは「格」が違う……! 彼だけは間違いなく、新世代ライダーの精鋭達にも匹敵する強さだ……! いや、もしかしたらそれ以上かも知れない……! 私達の武器では、彼の鎧は到底ッ……!)

 

 アイングレイザーの言葉通り、ワンオフタイプの特別仕様ではない「量産型」のマス・ライダーでは、ここまでが限界なのだろうか。個人で携行出来る軽装型の武装で、ロブスタースパルタンの外殻を破れるビジョンがまるで見えない。

 GクルーザーIIに積んでいる対怪人用大型魚雷(クラーケン)でもない限り、この鎧を破壊することは出来ないだろう。その圧倒的なパワーの前に力無く倒れ伏したカズハ達は、アイングレイザーの桁違いな「力」にただただ戦慄している。

 

「……あぐ、うッ……!」

「心配するな、こんなところで殺す気はない。お前達にはまだ『利用価値』があるからな」

「なん、だと……!?」

 

 全身をビクビクと痙攣させながらも、何とか立ち上がろうとしているカズハ。そんな彼女の前で片膝を着いたアイングレイザーは、彼女の下顎を指先でクイっと持ち上げていた。

 

「アイングレイザー、やったか!? 対策室の捜査官共はどうなった……!?」

 

 「利用価値」という彼の言葉にカズハが眉を顰めると同時に、バタバタと慌ただしい足音が聞こえて来る。それはアイングレイザー達にカズハ達の対処を任せていた、ノバシェードの戦闘員達のものだった。彼らは先ほどの衝撃音を聞き、この場に駆け付けて来たのだ。

 

「あぁ、見ての通りだ。これだけ痛め付ければ、当分は身動きも取れんだろう」

「おぉ……ほ、本当か! でかしたぜぇ、D.A.S.T.の傭兵さんよぉ! あんたに掛かれば、対策室の特務捜査官も形無しってわけかぁ!」

「……っ」

 

 大勢の戦闘員を蹴散らし、スパルタンシリーズを装着したD.A.S.T.隊員さえも打倒したB.A.V.A.R.F.。そんな強豪達をたった1人で制圧してしまったアイングレイザーの戦闘力に、ノバシェードの戦闘員達は驚嘆の声を上げていた。憎き悪の組織の前で倒れ伏している自分達の醜態に、カズハ達は悔しげな表情を浮かべている。

 

「し、しかしすげぇな……! まさか俺達が手も足も出なかったコイツらを、たった1人で全滅させちまうなんて……! ははっ、高い金出してあんた達を雇った甲斐があったってもんだぜ……!」

「それは何よりだが……知っての通り、この船に侵入して来た捜査官はコイツらだけではない。俺はこれから、その『新手』の始末に向かう。どうやらお前達も手こずっているようだからな?」

「あ、あぁ、そうだな……! あいつらの相手も頼むぜ、この調子で全員叩きのめしてやってくれ!」

「……!」

 

 その時、アイングレイザーと戦闘員達のやり取りを耳にしていたカズハ達はハッと顔を上げる。D.A.S.T.との死闘により定時連絡の機会を逸したことで、待機していたブラヴォーチームとチャーリーチームが動き出していたのだ。

 

(「新手」……! そうか、ブラヴォーチームとチャーリーチームがこの船に……!)

 

 彼女達がここまで救援に来てくれれば、この状況も打開出来るかも知れない。その可能性に思いを馳せるカズハ達を一瞥しつつ、アイングレイザーは戦闘員達に背を向け、ゆっくりと外を目指して歩き出して行く。

 

「……いいだろう。この女共は好きなだけ嬲るが良い。これだけの身体だ、人身売買の組織に売れば良い金になるのではないか?」

「なっ……!?」

「へへ……そうだなァ。だがせっかくだし、存分に『味見』させて貰うとするか。うっかり壊し(・・)ちまっても……ご愛嬌だろう?」

「見た目以上に鍛えている女共だ、改造人間の膂力で可愛がっても簡単には壊れんさ。せいぜい愉しむんだな、俺は仕事に戻らせて貰う」

 

 だが、彼が立ち去る直前。アイングレイザーの言葉に下卑た笑みを浮かべる戦闘員達が、倒れているカズハ達の身体を無遠慮に弄り始めていた。その感触に戦慄の表情を浮かべるカズハ達を冷たく見下ろし、アイングレイザーはこの場を後にして行く。

 

「……言っただろう? お前達はまだ利用(・・)出来る。女だからな(・・・・)

「……ッ!」

 

 去り際に彼が残した言葉に、カズハ達は歯噛みする。女を道具のように見做している彼の発言に怒りを露わにした彼女達は、声を上げようとするが――その前に、戦闘員達によって仮面とベルトを剥ぎ取られてしまった。

 

「あっ……!」

「おおっ……! こりゃあ、相当な上玉じゃねぇか……!」

「しかもコイツら……昔、俺達をしょっ引いてた女達じゃねぇか!?」

 

 カズハ達の見目麗しい素顔に、戦闘員達はますます獣欲を露わにする。一方、エネルギータンクの役割を担っていたベルト――マス・ライドルを奪われた彼女達は力を失い、ただの女となってしまっている。

 

 このままでは当然、力で敵うはずがない。ただ露わにされた素顔の眼差しで、仇敵を睨み付けることしか出来ない。

 

「ほほぉ……! 揃いも揃って、とんでもねぇスケベなカラダしてやがるとは思ってたが……顔まで極上とは恐れ入ったぜ。こんな上玉、そうそうお目に掛かれねぇぞ。女優顔負け、とはまさにこのことよ」

「お前達……対策室の捜査官共には、これまで散々煮湯を飲まされて来たんだ。その身体でたっぷりと返して(・・・)貰うぜ?」

「ふ、ふざけないでっ! 汚い手で私達に触らなっ……あぁっ!?」

 

 戦闘員達から手錠を奪われ、その道具で両手を拘束されたカズハ達。彼女達は一瞬のうちに、首筋に何らかの注射器を打ち込まれてしまう。

 その弾みで豊満な乳房と、安産型の桃尻がぶるんっと揺れ動いていた。何を打ち込まれたのかと目を剥くカズハ達は、次の瞬間。

 

「な、何っ、これっ……身体が熱く……!?」

「はぁっ、あっ、あぁああっ……!」

 

 即座にその「効果」を、()で理解する。

 





 今回はラスボスとなるアイングレイザーの登場回。ラスボスに相応しい戦闘力をカズハ達に見せ付けております。彼の父親であるアレクサンダー・アイアンザックにつきましては、本編である「仮面ライダーAP(https://syosetu.org/novel/128200/)」の孤島編(https://syosetu.org/novel/128200/130.html)を参照ですぞ(*^ω^*)
 そしてアイングレイザーの口から語られたマルコシアン隊最期の突撃作戦「サンダーランス作戦」の全貌は、「仮面ライダーAP」の黎明編(https://syosetu.org/novel/128200/151.html)で描かれております。機会がありましたらこちらもどうぞよしなにm(_ _)m

 次回はようやくカズハ達のエロピンチが描かれるサービス回となります。本作はR-18作品としつつも基本的には戦闘パートやドラマパートが中心なので、エロパートも書ける時に書いておきたいところ。ではでは、次回もどうぞお楽しみに!٩( 'ω' )و

 また現在、咲を考案された泥濡れ龍先生の3次創作「歪んだ純愛に堕ちるマス・ライダー達(https://www.pixiv.net/novel/series/12221546)がpixivにて公開されております! 咲と装太のイチャラブが中心となっているSS作品となっており、他のメンバー達も登場している賑やかな作品となっておりますので、機会がありましたらこちらもご一読ください〜(*´ω`*)

 さらにもう一つお知らせです! X2愛好家先生が連載されている3次創作「仮面ライダーAP外伝 Imitated Devil(https://syosetu.org/novel/316771/)」のエピソード「特別編 第4話 原初のG/白獣(https://syosetu.org/novel/316771/16.html)」に、アルファチームのトリニティがゲスト参戦しております! 舞台は本作のビッグ・ノア事件から約1年後。アフリカ大陸のナイジェリアに休暇で訪れていた彼女が、異世界からの侵略者・ハンドレッドに遭遇! さらにこのエピソードでは、彼女の「体質」に纏わる知られざる秘密が明らかに……!? 気になる方は、こちらもぜひご一読くださいませ〜!(*≧∀≦*)

 また、トリニティの活躍は同じくX2愛好家先生が執筆された「九十九 光の気ままな実験録(https://syosetu.org/novel/357309/)」でも描かれております。マス・ライダー軽装型を遥かに超える「力」を得た彼女の「真価」が強烈に描写されておりますので、機会がありましたらこちらの作品もぜひご一読くださいませ……m(_ _)m
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